(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
環境にやさしい自動車は純粋な電気自動車と燃料電気自動車を含む。
【0003】
前記燃料電気自動車とは互いに異なる2種類以上の動力源を効率的に組み合わせて車両を駆動することを意味し、これは燃料(ガソリンなどの化学燃料)を燃焼して回転力を得るエンジンとバッテリの電力で回転力を得る駆動モータによって駆動する車両を意味する。
【0004】
このような環境にやさしい自動車は駆動モータを動力源として採択し、排気ガスの低減及び燃費の向上を図る未来型車両として、燃費を改善し環境にやさしい製品を開発するという時代の要請に応えて更に活発な研究が進められている。
【0005】
しかし、前記のような駆動モータを使用する環境にやさしい自動車では、駆動モータの駆動中にモータの温度が一定レベル以上に上昇するモータの過熱が発生する恐れがある。
【0006】
モータの運転領域は瞬間最大定格と連続定格で区分され、連続定格以下では「冷却容量>発熱量」であるため温度が上昇することなく持続的に運転することができるが、連続定格以下の領域では長時間運転するとモータの温度が上昇する。
【0007】
そのため、モータの過熱を防止するためにモータの温度をリアルタイムで確認してモータの温度が一定レベル以上に上昇すれば運転領域を制限し、過熱によるシステムの損傷を防止する技術が適用されている。
【0008】
即ち、モータの温度が臨界点を超過すれば最大トルクを漸進的に減少して定格出力を下げるディレーティング(Derating)領域に進入し、ディレーティング領域に進入した状態ではモータの使用量が急激に減るため追加的な温度上昇を制限することができる。
【0009】
図1及び
図2は、従来技術による臨界温度超過時の最大トルクを漸進的に減少するディレーティング領域を示すトルク制限線図である。
【0010】
図1を参照すると、モータの温度が臨界点以下である正常作動領域では正常の最大トルク値に応じてモータの出力トルクを制限するが、モータの温度が臨界点を超過するディレーティング領域ではモータの最大トルクを漸進的に低く設定してモータの使用量を制限する。
【0011】
しかし、モータの最大トルクを減少する場合にはモータの利用可能な運転領域に変化が生じするため車両の動力性能も大きく減少するが、これは運転者の不満を引き起こす。
【0012】
よって、最近は
図2のようなモータ保護臨界温度を追加で設定し、モータ保護臨界温度以上、臨界温度未満では動力性能を阻害しない範囲内でモータの過熱を防止するために使用量を減らし、臨界温度以上では動力を減少するディレーティング方法を使用する。
【0013】
しかし、駆動モータの温度センサは駆動モータの特定部位に付着している。この際、駆動モータの熱源が前記温度センサまで完全に伝達されるまでは一定時間がかかる。
そのため、駆動モータの温度のみを基準に駆動モータの過熱状態を確認するには無理がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明による実施例では、負荷の大きさ及び負荷がかかった時間を考慮して駆動モータの駆動条件を決定するようにした電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を提供する。
【0016】
また、本発明による実施例では、駆動モータの動作を制限する条件としてトルク値だけでなく電流の大きさを考慮して前記駆動モータの駆動条件を決定するようにした電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を提供する。
【0017】
また、本発明による実施例では、負荷の大きさ及び負荷がかかった時間に応じた駆動モータの駆動条件を決定する場合、前記駆動モータの温度を追加に考慮して前記駆動モータの駆動条件を決定する電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を提供する。
【0018】
また、本発明による実施例では、駆動モータの温度変化量に基づいて前記駆動モータの駆動条件を決定するようにした電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を提供する。
【0019】
提案される実施例で成そうとする技術的課題は上述した技術的課題に制限されず、言及していない他の技術的課題は以下の記載から提案される実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
一実施例による電気自動車の駆動モータの過熱防止方法は、モータの出力負荷の大きさを確認するステップと、前記確認した出力負荷の大きさを基準に前記モータの負荷時間を確認するステップと、前記確認した負荷時間と予め設定した臨界時間を比較するステップと、前記比較結果に応じて前記モータの出力トルクを制御するステップと、を含む。
【0021】
また、前記稼働時間との比較のための臨界時間は前記確認した出力負荷の大きさに応じて変化する。
【0022】
また、前記モータの出力トルクを制御するステップは、前記負荷時間が前記臨界時間を超過したか否かを判断するステップと、前記負荷時間が前記臨界時間を超過すれば前記モータの出力トルク値を減少するステップを含む。
【0023】
また、前記減少した出力トルク値に応じて駆動される前記モータに流れる電流の大きさに基づいて前記トルク値を再設定するステップを更に含み、前記再設定するステップは、以前の時点の前記電流の大きさと現時点の前記電流の大きさを比較して電流の大きさの減少程度を確認するステップと、前記減少した出力トルク値の減少率を確認するステップと、前記確認した出力トルク値の減少率と前記確認した電流の大きさの減少程度に差があれば前記差に応じて前記出力トルク値を追加に減少するステップを含む。
【0024】
また、前記モータの温度を感知するステップを更に含み、前記臨界時間は前記感知した温度に応じて変化する。
【0025】
また、前記臨界時間は前記感知した温度に反比例して増減する。
【0026】
また、前記以前の時点で感知した前記モータの温度と現時点で感知した前記モータの温度に基づいて前記モータの温度変化量を確認するステップを更に含み、前記臨界時間は前記現時点で感知した温度及び前記確認した温度変化量に応じて変化する。
【0027】
一実施例による電気自動車のモータ制御装置はモータと、前記モータに供給される電流を感知する電流センサと、前記感知した電流に基づいて前記モータの負荷の大きさを確認し、確認した負荷の大きさを基準に前記モータの負荷時間を確認し、確認した負荷時間と予め設定した臨界時間を比較し、前記比較結果に応じて前記モータの出力トルクを制御する制御部と、を含む。
【0028】
また、前記制御部は前記確認した負荷の大きさに応じて前記臨界時間を変更する。
【0029】
また、前記制御部は前記負荷時間が前記臨界時間を超過したか否かを判断し、前記負荷時間が前記臨界時間を超過すれば前記モータの出力トルク値を減少する。
【0030】
また、前記制御部は前記減少した出力トルク値に応じて駆動する前記モータに流れる電流の大きさに基づいて前記出力トルク値を再設定する。
【0031】
また、前記制御部は以前の時点の前記電流の大きさと現時点の前記電流の大きさを比較して電流の大きさの減少程度を確認し、前記減少した出力トルク値の減少率を確認し、前記確認した出力トルク値の減少率と前記電流の大きさの減少程度に差があれば前記差に応じて前記出力トルク値を追加に減少する。
【0032】
また、前記モータの温度を感知する温度センサを更に含み、前記制御部は前記感知した温度に応じて前記臨界時間を変更する。
【0033】
また、前記制御部は前記感知した温度に反比例して前記臨界時間を増減する。
【0034】
また、前記制御部は以前の時点で感知した前記モータの温度と現時点で感知した前記モータの温度に基づいて前記モータの温度変化量を確認し、前記現時点で感知した温度及び前記確認した温度変化量に応じて前記臨界時間を変更する。
【発明の効果】
【0035】
本発明による実施例によると、負荷の大きさ及び負荷がかかった時間を考慮して駆動モータの駆動条件(トルク値の減少及び電流の大きさの減少)を変更することで温度センサの遅い応答特性及び温度センサの温度の誤測定による駆動モータの過熱現象を効果的に防止するため、より安全に駆動モータを過熱から保護することができる。
【0036】
また、本発明による実施例によると、電流強度を考慮してトルク値を減少することで前記トルク値の減少割合より電流強度の減少割合が著しく小さいことによって発生する駆動モータの過熱を防止することができる。
【0037】
また、本発明による実施例によると、駆動モータの出力を制限するための負荷時間に対する臨界時間を駆動モータの温度及び温度変化量に応じて変更可能とすることで、動力性能が低下する現象を最大限抑制して運転性能を向上させながら運転者の満足度を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の内容は単に本発明の原理を例示する。よって、当業者はたとえ本明細書に明確に説明されているか図示されていなくても、本発明の原理を具現し本発明の概念と範囲に含まれた多様な装置を発明することができる。また、本明細書に列挙された全ての条件付用語及び実施例は、原則的に本発明の概念を理解させるための目的にのみ明白に意図され、このように特別に列挙された実施例及び状態に制限的ではないと理解すべきである。
【0040】
また、本発明の原理、観点及び実施例のみならず特定実施例を列挙する全ての詳細な説明は、このような事項の構造的及び機能的均等物を含むように意図されると理解すべきである。また、このような均等物は現在公知の均等物のみならず将来に開発される均等物、即ち、構造とは関係なく同じ機能を行うように発明した全ての素子を含むものと理解すべきである。
【0041】
図3は、本発明の実施例による電気自動車の構成を示す図である。
【0042】
図3を参照すると、電気自動車はバッテリ110、メインリレー129、インバータ130、モータ140、温度センサ150及び制御部160を含む。
【0043】
この際、図面の上には温度センサ150が開示されているが、前記温度センサ150は前記電気自動車に構成された多数のセンサのうちいずれか一つを示したものであり、それによって前記電気自動車には前記温度センサだけでなく他の追加的なセンサが更に具備されてもよい。例えば、電気自動車はモータ140に供給される電流の強度を感知する電流センサ(図示せず)を更に含む。
【0044】
バッテリ110は電気駆動移動体(例えば、電気自動車)に駆動電源を供給する。
特に、バッテリ110はインバータ130の内部に具備された直流端キャパシタに直流電力を供給する。このようなバッテリ110は高電圧バッテリであって、複数個の単位セルの集合で形成される。
【0045】
前記複数個の単位セルは一定な電圧を維持するために電子制御ユニット(例えば、バッテリ管理システム(BMS:Battery Management System))によって管理され、前記バッテリ110は前記電子制御ユニット(図示せず)の制御下で一定の直流電力を放出する。
【0046】
また、前記電子制御ユニットは前記バッテリ110の電圧を検出し、それを後述する制御部160に伝達する。
【0047】
このようなバッテリ110は、動作状態に応じて充電状態及び放電状態に変更可能な二次電池で構成されることが好ましい。
【0048】
メインリレー120は前記バッテリ110と連結される所定のパワーラインに配置され、前記バッテリ110を介して出力される直流電力を管理する。
【0049】
図面にはパワーラインに一つのメインリレーのみが配置されると図示しているがこれは一実施例に過ぎず、前記配置されるメインリレー120の数は増加してもよい。
【0050】
例えば、前記メインリレーはポジティブ端子に連結され、前記直流電源を管理する第1メインリレーと、ネガティブ端子に連結されて前記直流電源を管理する第2メインリレーを含んで構成される。
【0051】
インバータ130は、前記メインリレー120のスイッチング状態に応じて前記バッテリ110から直流電力を供給される。
【0052】
また、インバータ130は前記バッテリ110から供給された直流電力を交流電力に変換し、前記変換された交流電力をモータに供給する。
【0053】
前記インバータ130によって変換された交流電力は3相交流電力であることが好ましい。
【0054】
特に、インバータ130はIGBT(Insulated Gate Bipolar Trasistor)で形成され、後述するインバータ制御部160から印加される制御信号に応じてPWM(Pulse Width Modulation)スイッチングを実行して前記バッテリ110から供給される直流電力を相変換してモータを駆動する。
【0055】
モータ140は回転せずに固定される固定子(図示せず)と回転する回転子(図示せず)を含む。モータ140はインバータ130を介して供給される交流電力が印加される。
【0056】
モータ140は例えば3相モータであってもよく、各相の固定子のコイルに電圧可変/周波数可変の各相交流電源が印加される場合、印加される周波数に応じて回転子の回転速度が可変する。
【0057】
モータ140は誘導モータ(Induction Motor)、BLDCモータ(blushless DC motor)、リラクタンスモータ(reluctance motor)など多様な形態であってもよい。
【0058】
一方、モータ140の一側には駆動ギア(図示せず)が具備される。駆動ギアはモータの回転エネルギーをギアビアに応じて変換する。駆動ギアから出力される回転エネルギーは前輪及び/又は後輪に伝達されて電気自動車を動かす。
【0059】
一方、図示していないが、電気自動車は電気自動車全般の電子装置の制御のための電子制御部(Electronic Controller)を更に含む。電子制御部(図示せず)は各装置が動作、表示などをするように制御する。また、上述したバッテリ管理システムを制御することもできる。
【0060】
また、電子制御部は電子自動車の傾斜角を感知する傾斜角感知部(図示製図)、電気自動車の速度を感知する速度感知部(図示せず)、ブレーキペダルの動作によるブレーキ感知部(図示せず)、アクセルペダルの動作によるアクセル感知部(図示せず)などからの感知信号に基づき、多様な運転モード(走行モード、後進モード、中立モード、駐車モードなど)による運転指令値を生成する。この際の運転指令値は、例えばトルク指令値又は速度指令値であってもよい。
【0061】
一方、本発明の実施例による電気自動車は、バッテリ及びモータを利用した純粋電気自動車はもちろん、エンジンを使用しながらバッテリ及びモータを利用するハイブリッド電気自動車を含む概念である。
【0062】
この際、ハイブリッド電気自動車はバッテリとエンジンのうち少なくともいずれか一つを選択可能は切替手段及び変速機を更に具備してもよい。一方、ハイブリッド電気自動車はエンジンから出力される機械エネルギーを電気エネルギーに変換してモータを駆動する直列方式と、エンジンから出力される機械エネルギーとバッテリでの電気エネルギーを同時に利用する並列方式とで分けられる。
【0063】
温度センサ150は前記モータ140の駆動状態に対応する情報を獲得する。
【0064】
好ましくは、前記温度センサ150は前記モータ140の少なくともいずれか一側に付着されて前記モータ140の発熱によって上昇する温度を感知する。
【0065】
言い換えると、前記温度センサ150は前記モータ140の温度を感知する。
【0066】
また、図示していないが、電気自動車は上述したように前記モータ140の駆動状態に応じて前記モータ140に供給される電流の大きさを検出する電流センサを更に含む。
【0067】
前記電流センサは前記モータに供給される3相電流値(u相電流値、v相電流値、w相電流値)を検出して制御部160に伝達する。
【0068】
制御部160は前記インバータ130の全般的な動作を制御する。
【0069】
例えば、制御部160は前記モータ140の駆動条件を決定し、前記決定した駆動条件に応じて前記モータ140を駆動する駆動値を計算し、前記計算した駆動値に応じて前記インバータ130を制御するための(好ましくは、前記インバータを構成するIGBTのスイッチングを制御するための)スイッチング信号を発生する。
【0070】
それによって、前記インバータ130は前記制御部160を介して発生するスイッチング信号に応じて選択的にオン−オフ動作を行い、前記バッテリ110から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0071】
一方、前記制御部160は前記モータ140に供給される電力による負荷の大きさ(これはトルク値であり得る)と、前記負荷の大きさで前記モータ140に電力が供給された時間(負荷がかかった時間)を利用して前記モータ140の駆動条件を変更する。
【0072】
また、制御部160は前記モータ140の駆動条件を変更する際、単にトルク値のみを考慮して前記モータ140の駆動条件を変更することなく、前記トルク値の変化に応じた電流の大きさの変化を確認し、前記確認した電流の大きさに基づいて前記トルク値を変更する。
【0073】
また、制御部160は前記トルク値の減少条件となる出力制限状態に進入する際、前記モータ140の温度に応じて前記出力制限状態に進入するための負荷時間に対する臨界時間を変更可能とする。
【0074】
また、制御部160は前記モータ140の温度変化量に応じて前記負荷時間との比較対象となる臨界時間を変更可能とし、現在の外部環境に合わせて前記モータ140の駆動条件が変更されるようにする。
【0075】
以下、添付した図面を参照して前記制御部160の動作についてより具体的に説明する。
【0076】
図4は本発明の第1実施例による電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を段階別に説明するためのフローチャートであり、
図5は本発明の第1実施例による最大トルクを漸進的に減少する出力制限領域を示すトルク制限線図であり、
図6は本発明の第1実施例によるトルクの減少量を決定するための電流条件を示す図であり、
図7は
図6を説明するためのモータの駆動条件を決定するための方法を段階別に説明するためのフローチャートである。
【0077】
図4を参照すると、まず制御部160は負荷の大きさを確認する(S101)。ここで、前記負荷の大きさは前記モータ140の駆動条件に対応する情報である。
【0078】
例えば、前記負荷の大きさは前記モータ140に供給される電流の大きさであってもよく、好ましくはモータ140の出力トルク(トルク値)である。
【0079】
即ち、前記モータ140の運転領域は瞬間最大定格と連続定格で区分され、連続定格以下では前記モータ140の温度増加率が著しく減少し、前記連続定格以下では前記モータ140の温度が上昇することなく連続的に運転することができる。しかし、前記連続定格以上の領域では長時間運転するとモータ140の温度が急速に上昇する。
【0080】
前記瞬間最大定格と連続定格は前記トルク値を意味する。
【0081】
それによって、制御部160は現在モータ140の出力条件となるトルク値を確認する。
【0082】
前記負荷の大きさが確認されれば、前記制御部160は前記確認した負荷の大きさでどれだけの時間の間に前記モータ140の運転が行われたか否かを確認する(S102)。即ち、前記制御機160は前記負荷がかかった時間(負荷時間)を確認する。
【0083】
次に、制御部160は前記確認した負荷時間が予め設定した臨界時間を超過したか否かを判断する(S103)。
【0084】
ここで、前記臨界時間は前記負荷の大きさに応じて互いに異なる値を有する。即ち、前記臨界時間は特定負荷の大きさで連続的な運転が行われても前記モータ140が無理に駆動されず、前記モータ140の温度が正常範囲を維持する条件である。
【0085】
例えば、瞬間最大定格に10分間連続的な運転が行われても前記モータ140の温度上昇は起こらないが、前記10分が過ぎると急激に前記モータ140の温度上昇が起こる。この際、瞬間最大定格のような負荷の大きさに対応する臨界時間は10分に設定される。
【0086】
そして、前記臨界時間は前記トルク値(負荷の大きさ)に応じて異なるように決定されるが、例えば前記トルク値が増加すればそれに応じて前記臨界時間は減少し、前記トルク値が減少すればそれに応じて前記臨界時間は増加する。即ち、前記臨界時間と前記トルク値は互いに反比例関係にある。
【0087】
次に、制御部160は前記確認した負荷時間が前記臨界時間を超過したのであれば前記モータ140の駆動条件を変更する(S104)。
【0088】
即ち、制御部160は現在設定したトルク値で運転が続けられる場合、前記モータ140の温度上昇が不可避で前記モータ140の発熱による危険状況が発生する恐れがあるため、現在設定したトルク値を減少する。
【0089】
この際、前記トルク値の減少程度は前記確認した負荷時間に応じて変更可能とする。例えば、前記負荷時間と臨界時間の差が大きければ(前記負荷時間が臨界時間を大きく超過すれば)前記トルク値の減少程度は大きく、それとは異なって前記負荷時間と臨界時間が殆ど同じであれば前記トルク値の減少程度は小さい。
【0090】
図5を参照すると、前記で説明したように200%の瞬間最大定格でモータ140の駆動が行われる場合、前記制御部160は臨界時間に対応する負荷時間の間に現時設定したモータ140の駆動条件を維持する。
【0091】
そして、前記維持される駆動条件で前記臨界時間を超過した負荷時間の間にモータ140の運転が行われたのであれば、前記制御部160は前記トルク値を減少(例えば、200%から150%に)する。
【0092】
一方、
図5に示したように前記駆動条件の変更は前記のようにトルク値のみで行われてもよく、それとは異なって電流の大きさの制限で行われてもよい。
【0093】
即ち、前記のような瞬間最大定格ではAに対応する大きさの電流がモータ140に供給され、それによって前記のような出力制限領域に進入することで駆動条件の変更が必要であれば前記モータ140に供給される電流の大きさを減少(Aより小さい値)する。
【0094】
言い換えると、前記トルク値と前記電流の大きさは線形的な比例関係ではない。これは前記トルク値がXだけ減少したとしても前記電流の大きさは前記Xより小さいYだけ減少することを意味する。
【0095】
それによって、本発明では前記トルク値の減少による電流の大きさの変化率を確認し、前記電流の大きさの変化率が前記トルク値の減少率に対応すれば現在減少したトルク値をそのまま維持し、前記電流の大きさの変化率とトルク値の減少率に著しい差があれば前記トルク値を追加で変更する。
【0096】
それについては
図7参照して説明する。
【0097】
図7を参照すると、まず制御部160は前記負荷時間が予め設定した臨界時間を超過することによって現在負荷の大きさ及び前記負荷時間と臨界時間の差の値を基準にトルク値を減少する(S201)。
【0098】
即ち、制御部160は第1トルク値を前記第1トルク値より低い第2トルク値に減少する。
【0099】
次に、制御部160は前記トルク値の減少による電流の大きさを確認する(S202)。即ち、前記トルク値が減少することによって電流が減少するが、前記制御部160は前記減少する電流の大きさを確認する。前記電流の大きさは電流センサによって感知される。
【0100】
制御部160は前記確認した電流の大きさを基準に前記トルク値の減少割合に対応して前記電流の大きさも共に減少したか否かを判断する(S203)。
【0101】
即ち、制御部160は前記第2トルク値と第1トルク値の差の値が、前記第1トルク値が適用された際の電流値と前記第2トルク値が適用された際の電流値の差の値に対応するか否かを判断する。
【0102】
次に、制御部160は前記トルク値の減少割合に対応して前記電流の大きさも減少したのであれば、現在の駆動条件をそのまま維持しながら出力制限のための条件を確認する(S204)。
【0103】
そして、制御部160は前記確認した条件に応じて前記モータ140のを駆動する(S205)。
【0104】
一方、制御部160は前記トルク値の減少割合とは異なるように前記電流の大きさの減少が行われたのであれば、前記電流の大きさの減少程度に応じて前記トルク値を追加で減少する(S206)。
【0105】
即ち、制御部160は前記トルク値の減少が行われた状態でも前記電流の大きさに対する減少が行われていないのであれば、前記電流の大きさを減少するために前記トルク値を追加に減少する。
【0106】
図8は本発明の第2実施例による電気自動車の駆動モータの過熱防止方法を段階別に説明するためのフローチャートであり、
図9及び
図10は本発明の第2実施例による最大トルクを漸進的に減少する出力制限領域を示すトルク制限線図であり、
図11は本発明の第2実施例によるモータの温度と臨界時間との関係を示す図である。
【0107】
図8を参照すると、まず制御部160は負荷の大きさを確認する(S301)。ここで、前記負荷の大きさは前記モータ140の駆動条件に対応する情報である。
【0108】
例えば、前記負荷の大きさは前記モータ140に供給される電流の大きさであってもよく、好ましくはモータ140の出力トルク(トルク値)である。
【0109】
即ち、前記モータ140の運転領域は瞬間最大定格と連続定格で区分され、連続定格以下では前記モータ140の温度増加率が著しく減少し、前記連続定格以下では前記モータ140の温度が上昇することなく連続的に運転することができる。しかし、前記連続定格以上の領域では長時間運転するとモータ140の温度が急速に上昇する。
【0110】
前記瞬間最大定格と連続定格は前記トルク値を意味する。
【0111】
それによって、制御部160は現在前記モータ140の出力条件となるトルク値を確認する。
【0112】
そして、制御部160は温度センサ150を介して感知した前記モータ140の温度を確認する(S302)。
【0113】
前記負荷の大きさと温度が確認されれば、前記制御部160は前記確認した負荷の大きさでどれだけの時間の間に前記モータ140の運転が行われたかを確認する(S303)。即ち、前記制御機160は前記負荷がかかった時間(負荷時間)を確認する。
【0114】
次に、制御部160は前記確認した負荷及び温度に応じて前記モータ140の出力を制限するための臨界時間を確認する(S304)。
【0115】
この際、前記第1実施例では前記臨界時間が単に負荷の大きさによって決定していた。
【0116】
しかし、前記第2実施例では前記臨界時間が負荷の大きさだけでなく、現在の前記モータ140の温度も考慮して決定される。
【0117】
例えば、前記臨界時間は前記モータ140の温度が低温である場合と高温である場合とで区別されて異なるように適用される。即ち、前記モータ140の温度が低温であれば最大負荷をモータ140に印加しても前記モータ140の上昇可能な温度幅が高温である場合に比べて大きいため前記臨界時間を長く設定する。そして、前記モータ140の温度が高温であれば最大負荷を短い時間の間だけ印加しても前記モータ140の温度上昇幅が大きくなるため前記臨界時間を短く設定する。
【0118】
言い換えると、同じ負荷の大きさの条件で前記モータ140の温度が高ければ前記臨界時間はそれだけ短く設定され、前記モータ140の温度が低ければ前記臨界時間はそれだけ長くなる。
【0119】
次に、前記制御部160は前記確認した臨界時間を基準に前記負荷時間が前記臨界時間を超過したか否かを判断する(S305)。
【0120】
また、前記臨界時間は前記温度だけでなく前記負荷の大きさに応じて互いに異なる値を有する。即ち、前記臨界時間は特定負荷の大きさで連続的な運転が行われても前記モータ140が無理に駆動されず、前記モータ140の温度が正常範囲を維持する条件である。
【0121】
次に、制御部160は前記確認した負荷時間が前記臨界時間を超過したのであれば前記モータ140の駆動条件を変更する(S306)。
【0122】
即ち、制御部160は現在設定されたトルク値で運転が続けられる場合、前記モータ140の温度上昇が不可避で前記モータ140の発熱による危険状況が発生する恐れがあるため、現在設定されたトルク値を減少する。
【0123】
この際、前記トルク値の減少程度は前記確認した負荷時間に応じて変更可能とする。例えば、前記負荷時間と臨界時間の差が大きければ(前記負荷時間が臨界時間を大きく超過すれば)前記トルク値の減少程度は大きく、それとは異なって前記負荷時間と臨界時間が殆ど同じであれば前記トルク値の減少程度は小さい。
【0124】
そして、制御部160は前記決定した駆動条件に応じて前記モータ140のを駆動が行われるようにする(S307)。
【0125】
即ち、
図9及び
図10を参照すると、本発明の第2実施例ではトルク制限及び電流制限が負荷の大きさと負荷の時間に応じた臨界時間に基づいて行われるのではなく、前記負荷の大きさ及びモータの温度に応じて変化する臨界時間と負荷時間との比較を介して行われる。
【0126】
そして、同じ負荷の大きさの条件で前記モータ140の温度が高ければ前記変更されるトルク値(最大トルク制限に応じた最大トルク値)もそれだけ減少する。
【0127】
また、
図10を参照すると前記臨界時間とモータの温度は互いに反比例関係にある。
【0128】
即ち、前記モータの温度が高くなればそれだけ前記臨界時間は短くなり、それによって同じ負荷の大きさで短い負荷時間の間に運転が行われたとしても前記のようなトルク制限及び電流制限が行われる。
【0129】
それとは逆に、モータの温度が減少したのであればそれだけ前記臨界時間が長くなり、それによって同じ負荷の大きさで前記より長い負荷時間の間に運転が行われた後でトルク制限及び電流制限が行われる。
【0130】
図12は本発明の実施例による臨界時間決定方法の他の実施例を段階別に説明するためのフローチャートであり、
図13は温度変化量に応じて変化する臨界時間の関係グラフである。
【0131】
図12を参照すると、制御部160は前記確認したモータ140の温度と負荷の大きさによる臨界時間を確認する(S401)。
【0132】
次に、制御部160は前記モータ140の温度を確認する(S402)。
【0133】
次に、制御部160は前記確認した温度が高温であるのか又は低温であるか否かを判断する(S403)。前記高温と低温の条件は管理者によって予め設定していてもよい。
【0134】
そして、制御部160は前記確認した温度に応じて前記基準臨界時間を変更する(S404)。
【0135】
即ち、制御部160は前記確認した温度が高ければ前記基準臨界時間を減少し、それと逆であれば前記基準臨界時間を増加する。
【0136】
この際、
図8では前記温度によって減少する臨界時間によってトルクの制限や電流の制限を行っていた。
【0137】
しかし、
図12では追加的な条件に応じて前記基準臨界時間を最終決定する。
即ち、制御部160は以前の時点で確認したモータ140の温度と現時点で確認したモータ140の温度を基準に温度変化量を確認する(S405)。
【0138】
そして、前記制御部160は前記温度変化量に応じて前記基準臨界時間を追加的に増加又は減少する(S406)。
【0139】
即ち、制御部160は前記温度変化量が大幅に減少する状況であれば外部温度が低い状況であることを認知し、それによって前記モータ140が自然冷却される条件があるため前記臨界時間を増加する。
【0140】
それとは逆に、前記制御部160は前記温度変化量が増加する状況であれば前記臨界時間を追加に減少する。
【0141】
また、前記温度変化量が殆どない状態であって前記モータ140の温度が高温であれば現在のモータ駆動条件によっても前記モータの温度が減少しない可能性が高いため、前記制御部160は前記臨界時間を追加で減少する。
【0142】
また、以上では本発明の好ましい実施例について図示し説明したが、本発明は上述した特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨から逸脱することなく当該発明の属する分野における通常の知識を有する者によって多様な変更実施が可能であることはもちろんであり、このような変更実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【0143】
本発明による実施例によると、負荷の大きさ及び負荷がかかった時間を考慮して駆動モータの駆動条件(トルク値の減少及び電流の大きさの減少)を変更することで温度センサの遅い応答特性及び温度センサの温度の誤測定による駆動モータの過熱現象を効果的に防止するため、より安全に駆動モータを過熱から保護することができる。
【0144】
また、本発明による実施例によると、電流強度を考慮してトルク値を減少することで前記トルク値の減少割合より電流強度の減少割合が著しく小さいことによって発生する駆動モータの過熱を防止することができる。
【0145】
また、本発明による実施例によると、駆動モータの出力を制限するための負荷時間に対する臨界時間を駆動モータの温度及び温度変化量に応じて変更可能とすることで、動力性能が低下する減少を最大限抑制して運転性能を向上させながら運転者の満足度を向上することができる。