特許第6034437号(P6034437)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルエス産電株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000002
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000003
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000004
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000005
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000006
  • 特許6034437-HVDCの損傷測定システム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034437
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】HVDCの損傷測定システム
(51)【国際特許分類】
   G01R 21/133 20060101AFI20161121BHJP
   G01R 21/00 20060101ALI20161121BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G01R21/133 C
   G01R21/00 Q
   H02J1/00 301Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-82333(P2015-82333)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-203702(P2015-203702A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2015年4月14日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0044152
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス産電株式会社
【氏名又は名称原語表記】LSIS CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヨン キル
(72)【発明者】
【氏名】リ ウン チェ
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−013032(JP,A)
【文献】 特開2012−010530(JP,A)
【文献】 特開昭60−223434(JP,A)
【文献】 特開平05−146062(JP,A)
【文献】 特表2010−521955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 21/133
G01R 21/00
H02J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
HVDC内での送電端と受電端側の電力損失を測定するためのシステムであって、
送電端側に構成される第1損失測定手段と、
受電端側に構成される第2損失測定手段を含み、
前記第1及び第2損失測定手段のそれぞれ
VDC内で電流又は電圧が測定可能な位置に装着され、電圧を測定するための電圧センサと、電流を測定するための電流センサと、
前記電圧センサ及び電流センサによる測定が行われる時刻情報を提供するためのGPSモジュールと、
前記電圧センサによって測定された電圧値前記電流センサによって測定された電流値と前記時刻情報と前記第1及び第2損失測定手段を区分する識別情報とが一緒に貯蔵される貯蔵部と、
メイン制御手段とデータ通信を可能にする通信モジュールと、
を含み、
前記メイン制御手段は、前記第1及び第2損失測定手段の識別情報を有し、
前記第1及び第2損失測定手段は、前記通信モジュールを利用して周期的に測定される電流値及び電圧値と一緒に前記時刻情報を前記メイン制御手段に伝送するHVDCの損失測定システム。
【請求項2】
前記HVDCはターン(turn)比に応じて電圧を変換する送電端側変圧器及び受電端側変圧器と、前記送電端側電圧器の入力端に設けられるスイッチング素子である送電端側変圧器開閉器と、前記受電端側電圧器の出力端に設けられるスイッチング素子である受電端側変圧器開閉器を含み、
前記第1損失測定手段は前記送電端側変圧器開閉器の入力端に連結され、前記第2損失測定手段は前記受電端側変圧器開閉器の出力端に連結される、請求項1に記載のHVDCの損失測定システム。
【請求項3】
前記HVDCは高周波成分を除去するための送電端側高周波フィルタ及び受電端側高周波フィルタと、前記送電端側高周波フィルタの入力端に設けられるスイッチング素子である送電端側フィルタ開閉器と、前記受電端側高周波フィルタの出力端に設けられるスイッチング素子である受電端側フィルタ開閉器を含み、
前記第1損失測定手段は前記送電端側フィルタ開閉器の入力端に連結され、前記第2損失測定手段は前記受電端側フィルタ開閉器の出力端に連結される、請求項1に記載のHVDCの損失測定システム。
【請求項4】
前記HVDCは送電端と受電端のサイリスタバルブを連結する送電線路と、グランド電圧が印加されるグランド線路を含み、
前記第1及び第2損失測定手段は前記送電線路とグランド線路をそれぞれ連結するように構成され、前記第1損失測定手段は送電端サイリスタバルブ側に設けられ、前記第2損失測定手段は受電端サイリスタバルブ側に設けられる、請求項1に記載のHVDCの損失測定システム。
【請求項5】
前記送電端側変圧器の入力に連結される送電端側損失測定手段と、
前記受電端側変圧器の出力に連結される受電端側損失測定手段を更に含み含む、請求項1に記載のHVDCの損失測定システム。
【請求項6】
電力を受電端に伝達する送電端に構成される送電端側変圧器と、
前記変圧器から出力される電圧を変換する送電端側サイリスタバルブと、
前記送電端側変圧器と並列に連結され、前記電力の高周波成分を除去する送電端側高周波フィルタと、
前記高周波フィルタに連結され、電圧値又は電流値を測定する第1損失測定手段と、
前記送電端と受電端を連結する送電線路と、
前記受電端に構成され、前記送電線路と連結される受電端側サイリスタバルブと、
前記サイリスタバルブに連結される受電端側変圧器と、
前記受電端側変圧器と並列に連結され、前記受電端側変圧器から出力される電力の高周波成分を除去する受電端側高周波フィルタと、
前記受電端側高周波フィルタに連結され、電圧値又は電流値を測定する第2損失測定手段を含み、
前記第1及び第2損失測定手段それぞれは
電圧を測定するための電圧センサと、電流を測定するための電流センサと、
電圧センサ及び前記電流センサによる測定が行われる時刻情報を提供するためのGPSモジュールと
電圧センサによって測定された電圧値と前記電流センサによって測定された電流値と前記時刻情報と前記第1及び第2損失測定手段を区分する識別情報と一緒に貯蔵される貯蔵部と、
メイン制御手段とデータ通信を可能にする通信モジュールと、
を含み、
前記メイン制御手段は、前記第1及び第2損失測定手段の識別情報を有し、
前記第1及び第2損失測定手段は、前記通信モジュールを利用して周期的に測定される電流値及び電圧値と一緒に前記時刻情報を前記メイン制御手段に伝送するHVDCの損失測定システム。
【請求項7】
前記送電端側高周波フィルタに連結されてスイッチングの役割をする送電端側フィルタ開閉器と、
前記受電端側高周波フィルタに連結されてスイッチングの役割をする受電端側フィルタ開閉器を更に含み、
前記第1損失測定手段は前記送電端側高周波フィルタ及びフィルタ開閉器の両側に構成される請求項に記載のHVDC損失測定システム。
【請求項8】
前記第2損失測定手段は前記受電端側高周波フィルタ及びフィルタ開閉器の両側に構成される、請求項に記載のHVDCの損失測定システム。
【請求項9】
前記受電端と送電端を連結し、グランド電圧が印加されるグランド線路と、
前記送電線路及びグランド線路にそれぞれ連結される第1及び第2損失測定手段を更に含み、
前記第1損失測定手段は送電端サイリスタバルブ側に設けられ、前記第2損失測定手段は受電端サイリスタバルブ側に設けられる、請求項に記載のHVDCの損失測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHVDCシステムに関するものであり、特にHVDCでの電力損失をより正確に測定及び監視するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
HVDC(High Voltage Direct Current)送電とは、遠隔地に電力を送電するに当たって、電力損失を最小化して送電効率を上げるための技術である。HVDCは最近海南−済州間の電力送電に使用されており、そのために各地域にHVDC変換所を設置して運営している。
【0003】
また、HVDC送電方式は従来のAC送電方式に比べ損失が少ないため長距離で大容量の電力輸送が容易で、絶縁階級を下げることができるため経済的に有利であり、送電効率を上げることができ、安定度を向上することができる。
【0004】
しかし、HVDCで送電するためには高電圧整流バルブを初めインバータ、コンバータ及び無効電力制御のための制御設備など初期投資費用が多くかかるため、それについても多くの研究が進められている。
【0005】
図1は、従来のHVDCシステムが連携されたAC系統を示すである。
【0006】
図1に示したように、HVDCシステムと連携されたAC系統の無効電力を保障するためにフィルタ11やキャパシタ12が構成されることが一般的である。過度状態で無効電力を保障する場合にはコンデンサバンク13、静止型無効電力補償器14や静止型同期調相機(STATCOM:Static Synchronous Compensator)15又は同期調相機16をHVDCシステムが連携されたAC系統の母線に連携して制御している。
【0007】
このような構造を介して無効電力補償などの効率的なシステム動作を具現しようとする努力があるが、未だにHVDCシステムの電力効率を正確に判断/検出する装置が提供されていない。
【0008】
即ち、実際に構築されたHVDCシステムを評価する方法、HVDCの送電側と受電側との間の損失(loss)割合を正確に判断するシステムが構築されていない状態である。
【0009】
HVDCシステムは電圧及び電流を変換し、系統網に連携されて送電端から受電端に電力を供給するシステムであるため、システムの構築が完了されるとシステムの完成度や性能が評価される必要がある。
【0010】
即ち、損失と可用率はシステムの性能と完成度の側面で重要な要素として考慮される。需用家(負荷)で必要なだけの電力を送電端から供給するためには、送電端と受電端との間の送電過程で電力の変換、送電線の長さの増加、環境要素の影響などによって電力損失が必然的に発生する。この際、発生する損失分が大きければ送電に関わるシステムの性能及び効率が低くなることはもちろんである。
【0011】
HVDCシステムは送電のために特化された電力送電システムのうち一つであり、システムの構築が完了されるとシステムで発生する損失を測定して性能基準に符合するシステムであるのかを判断する過程が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はHVDCに対する送電端と受電端との間の電力損失をより正確に測定するシステムを提案し、特に本実施例の損失測定手段がHVDCで測定しようとする位置に自由に設置され、それぞれの損失測定手段の測定時刻を一致することができるため、正確な時刻に望みの地点の電力損失を正確に測定することができるシステムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本実施例のHVDCシステムの損失測定システムはHVDC内での送電端と受電端側の電力損失を測定するためのシステムであって、送電端側に構成される第1損失測定手段と、受電端側に構成される第2損失測定手段を含み、前記第1及び第2損失測定手段はHVDC内で電流及び電圧を測定可能な位置に装着され、電圧を測定するための電圧センサと、電流を測定するための電流センサと、前記電圧センサ及び電流センサによる測定が行われる時刻情報を提供するためのGPSモジュールと、前記電圧センサと電流センサによって測定された電圧値及び電流値と共に前記時刻情報が一緒に貯蔵される貯蔵部を含む。
【0014】
そして、前記第1及び第2損失測定手段はユーザの要請又は周期的に測定される電流値及び電圧値を前記時刻情報と一緒に貯蔵する。
【0015】
そして、前記第1及び第2損失測定手段はそれぞれの損失測定手段を区分する識別情報も一緒に貯蔵する。
【0016】
また、前記第1及び第2損失測定手段は外部機器とのデータ通信を可能にする通信モジュールを更に含み、前記第1及び第2損失測定手段は前記通信モジュールを利用してユーザの要請又は周期的に測定される電流値及び電圧値共に測定した時刻情報を外部に伝送する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の実施例によってHVDCの性能を確認することができ、これは結局HVDCを提供する事業者とそれを利用する事業者間の性能保証を可能にする。即ち、本実施例の損失測定手段をHVDC内に複数個設けることで損失測定手段間の経路上に電力損失が発生する位置を正確に把握することができ、損失測定手段間には互いに誤差が発生しない時刻情報を利用するため正確な電力損失値を算出することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】HVDCシステムが連携されたAC系統を示す図である。
図2】本実施例の損失測定手段の構成を示す図である。
図3】他の実施例の損失測定手段の構成及びシステムの構成を示す図である。
図4】本実施例の損失測定手段がHVDC内の様々な位置に装着される場合の実施例を示す図である。
図5】本実施例の損失測定手段がHVDC内の様々な位置に装着される場合の実施例を示す図である。
図6】本実施例の損失測定手段がHVDC内の様々な位置に装着される場合の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施例について添付した図面を参照して詳細に説明する。
図2は本実施例の損失測定手段の構成を示す図であり、図3は他の実施例の損失測定手段の構成及びシステムの構成を示す図である。
【0020】
まず、図2を参照して本実施例の損失測定手段100について説明する。
【0021】
損失測定手段100はHVDC内で電流又は電圧が測定可能な位置に自由に設置する。そして、損失測定手段100は送電(受電)される電力の電圧又は電流を測定するための電圧センサ130と電流センサ140を含む。前記電圧センサ130はPT(Potential Transformer)であって電線に印加される電圧の大きさを測定し、前記電流センサ140はCT(Current Transformer)であって電線を流れる電流の大きさを測定する。
【0022】
そして、前記損失測定手段100はGPSモジュール120を含み、前記GPSモジュール120を利用して損失測定手段間の測定時刻が同期化される。即ち、それぞれの損失測定手段は内蔵されたGPSモジュールを利用して電圧又は電流を測定した時刻を正確に一致させる。そして、前記GPSモジュール120を介して測定される時刻情報と共に、前記電圧又は電流センサ130,140によって測定された電圧値又は電流値が貯蔵される貯蔵部150が損失測定手段100に構成される。
【0023】
また、前記損失測定手段100には各構成を制御するための制御部110が含まれ、前記制御部110はユーザの要請があるとき又は周期的に電圧センサ130と電流センサ140によって測定される電圧値と電流値を前記貯蔵部150に貯蔵するが、この際前記GPSモジュール120を介して該当測定時刻を一緒に貯蔵する。
【0024】
結局、前記GPSモジュール120を利用することでそれぞれの損失測定手段は互いに測定時刻に誤差が減るようになり、これは結局測定時刻の同期化が行われるといえる。
【0025】
一方、前記制御部110は損失測定手段100が連結された電線の電圧値と電流値を測定して貯蔵部150に記録する際、測定時刻と共に該当損失測定手段100の識別情報を貯蔵する。ここで、前記損失測定手段100の識別情報はそれぞれの損失測定手段を区分するための情報となり、それぞれの損失測定手段に識別情報として固有番号を付与する。この場合、前記貯蔵部150には該当固有番号と測定時刻及び測定された電圧/電流値が一緒に貯蔵される。
【0026】
図2に示した損失測定手段はそれ自体に通信機能がない場合であるといえるため、周期的に該当ラインでの電圧値と電流値を測定し、測定された値と共に同期化された測定時刻を一緒に貯蔵部150に貯蔵する。この場合、ユーザは他の位置の損失測定手段の貯蔵部に貯蔵されたデータと比較してもその測定時刻で互いに誤差がないため、該当損失測定手段と他の損失測定手段との間の電力差(損失)を容易に算出することができる。
【0027】
即ち、HVDCを提供する事業者の場合、HVDCを使用する顧客に一定レベル以上の電力効率を補償する必要場ある。この場合、それぞれの損失測定手段に貯蔵されたデータを必要なときに確認することで、同期化された時刻での損失レベルを判断することができる。
【0028】
一方、図3にはそれぞれの損失測定手段が通信モジュールを内蔵し、損失測定手段間でデータ通信が行われるかメイン制御手段50を経由してデータ通信が行われる場合が示されている。即ち、図2に例示される損失測定手段でデータ通信のための通信モジュール160が内蔵された場合のシステム構成図が図示されている。
【0029】
図3には第2実施例の損失測定手段100aが示されており、前記メイン制御手段50又は第2損失測定手段100bとネットワーク連結されるようにする通信モジュール160を含む。
【0030】
この際、前記メイン制御手段50はそれぞれの損失測定手段の位置情報又は識別情報を有しており、必要なときに又は周期的にそれぞれの損失測定手段によって測定された電圧値及び/又は電流値を伝達される。この場合、前記メイン制御手段50は損失測定手段間の電力損失を計算することができ、電力損失の推移を正確に追跡することができるようになる。
【0031】
しかし、本発明の実施例の損失測定手段は必ずしも通信モジュールを含むべきではなく、ユーザの要請があるとき又は周期的に測定される電圧値と電流値が貯蔵部150に記録されるため、同じ時刻での他の損失測定手段の値と比較及び演算する過程を介して電力損失などを追跡することができる。
【0032】
図4図6は、本実施例の損失測定手段がHVDC内の様々な位置に装着される場合の実施例である。
【0033】
まず、図4を参照してHVDCの構成を説明すると、送電端と受電端の各構成は互いに対応するように設けられ、送電端の場合、スイッチの役割をする送電端側変圧器開閉器(Gas Insulated Switch gear(GIS))210と、ターン(turn)比に応じて電圧を変圧するための送電端側変圧器220と、電力変換素子として送電端にはACをDCに変換するための送電端側サイリスタバルブ230を含む。そして、送電端と受電端を連結する送電線路240が含まれる。例えば、図4のようにスイッチング素子である開閉器に損失測定手段を装着する場合、同じ送電線路240に連結される変圧器開閉器210,211に第1損失測定手段101と第2損失測定手段102を装着する。
【0034】
即ち、第1損失測定手段101は送電端側変圧器開閉器210の入力端に連結され、第2損失測定手段102は受電端側変圧器開閉器211の出力端に連結される。この場合、同じ送電線路240で変圧器開閉器210,211間の電力損失を測定するために前記第1及び第2損失測定手段101,102を装着した場合であるといえる。
【0035】
前記第1損失測定手段101は送電端側変圧器開閉器210に伝達される電力の電圧値と電流値を測定し、第2損失側測定手段102は受電端側変圧器開閉器211から出力される電力の電圧値と電流値を測定する。前記第1及び第2損失測定手段101,102の測定電力を比較することで、前記送電端側変圧器開閉器210と受電端側変圧器開閉器211間の電力損失を測定することができる。
【0036】
そして、ユーザは図4に示したような位置に損失測定手段を構成することができる。この場合、送電端側と受電端側の開閉器間での電力損失を測定することができる。そして、開閉器間に追加に損失測定手段を更に一対装着することで、どの構成要素によって損失が主に発生するのかを把握することもできる。
【0037】
図5は、本実施例の損失測定手段が送電端と受電端の高周波フィルタ側に装着される場合を例示している。
【0038】
図5を参照すると、HVDCはフィルタ開閉器311,312を含み、フィルタ開閉器それぞれに損失測定手段が連結される。
【0039】
フィルタ開閉器は送電端側フィルタ開閉器311と受電端側フィルタ開閉器312を含む。そして、電力の高周波成分を除去するための高周波フィルタ312,322が変圧器220,221にそれぞれ並列に連結される。
【0040】
例えば、送電端側高周波フィルタ321は送電端側変圧器220と並列に連結され、受電端側高周波フィルタ322は受電端側変圧器221と並列に連結される。そして、それぞれの高周波フィルタにはスイッチングの役割をするフィルタ開閉器311,312が設けられる。例えば、送電端側高周波フィルタ321の入力端には送電端側フィルタ開閉器311が連結される。受電端側高周波フィルタ322の場合にもフィルタ開閉器312が連結される。
【0041】
そして、高周波フィルタとフィルタ開閉器の両側にそれぞれ損失測定手段105を装着する場合、高周波フィルタとフィルタ開閉器での損失量も同期化された時間で測定及び確認することができる。
【0042】
そして、同じ時刻に送電端の特定位置と受電端の対応位置との間の損失量も確認することができる。
【0043】
本実施例の測定手段はHVDC内で電力損失を把握するために送電端と受電端の対応する構成要素に設けることで、該当位置の間での電力損失を把握することができる。
【0044】
このような趣旨で、図6のように送電線路での電力損失を測定するために損失測定手段が送電線路の上に複数個設けられることもできる。図6のようにHVDCが2つのポール(pole)で形成される場合、第1送電線路240と第2送電線路241及びレファランスのグランド電圧と連結されたグランド線路242の間に損失測定手段が設けられる。
【0045】
例えば、第1損失測定手段109aは第1送電線路240とグランド線路242に連結されながら送電端側サイリスタバルブ230に近く装着され、第2損失測定手段109bは第1送電線路240とグランド線路242に連結されながら受電端側サイリスタバルブ230に近く装着される。
【0046】
この場合、前記第1損失測定手段109aと第2損失測定手段109bによって測定される電圧値と電流値から計算される値を比較することで送電線路上での損失を検出することができ、それから電力損失の主な原因が正確にどこであるのかを把握することができる。
【0047】
上述したような本発明の実施例によってHVDCの性能を確認することができ、これは結局HVDCを提供する事業者とそれを利用する事業者間の性能補償を可能にする。即ち、本実施例の損失測定手段をHVDC内に複数個設けることで、損失測定手段間の経路上に電力損失が発生する位置を正確に把握することができ、損失測定手段間には互いに誤差が発生しない時刻情報を利用するため正確な電力損失値を算出することができる長所がある。
【符号の説明】
【0048】
50 メイン制御手段
100、100a、105 損失測定手段
100b 第2損失測定手段
101、109a 第1損失測定手段
102、109b 第2損失測定手段
110 制御部
120 GPSモジュール
130 電圧センサ
140 電流センサ
150 貯蔵部
160 通信モジュール
210 送電端側変圧器開閉器
211 受電端側変圧器開閉器
220 送電端側変圧器
221 受電端側変圧器
230 送電端側サイリスタバルブ
240 第1送電線路
241 第2送電線路
242 グランド線路
311 送電端側フィルタ開閉器
312 受電端側フィルタ開閉器
321 送電端側高周波フィルタ
322 受電端側高周波フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6