特許第6034461号(P6034461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6034461
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03B 1/04 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   F03B1/04
【請求項の数】6
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2015-174178(P2015-174178)
(22)【出願日】2015年7月28日
【審査請求日】2016年3月9日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000246354
【氏名又は名称】有▲吉▼ 一夫
(72)【発明者】
【氏名】有▲吉▼ 一夫
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−133756(JP,A)
【文献】 特開平03−085378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水圧管の側部に、該水圧管より小径の補水管を水圧管と同じ高さの取水口から並設し、該下端を水圧管の下部の乱流がはじまるところに接続した発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【請求項2】
複数列の水圧管に、該水圧管と同径程度の補水管を並設し、該補水管を分岐して各水圧管の下部か、乱流がはじまるところに接続した請求項1記載の発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【請求項3】
水圧管に並設した補水管の下部を数分岐し、下段は水圧管の下部に、上段の分岐管は乱流が始まるところに、中段の分岐管は下段と上段の分岐管の中間部に接続した請求項1記載の発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【請求項4】
水圧管の下部に、長めのテーパ管を形成して接続し、該下端に噴出口を取り付け、テーパ管上部の水圧管には補水管を接続し、水圧管が複数の時は、補水管を分岐して各テーパ管上部の水圧管に補水管を接続するようにした請求項1記載の発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【請求項5】
水圧管の下部に、上下がテーパで大径の脱気管を介在して接続し、脱気管上部のテーパ部に、水圧管より小径の補水管を接続した請求項1記載の発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【請求項6】
複数列の各水圧管の下部に脱気管を介在して接続し、水圧管と同径程度の補水管を分岐して、各脱気管の上部テーパ部に接続した請求項1記載の発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電出力を飛躍的に高めた水力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水力発電所における水圧管内のダム水は、層流から乱流になり、ついには、しぶき状態になって発生した多量のガス(今まで水に溶解していた空気その他の気体)を伴って、水車に噴出して発電している。
そのため、発電効率はきわめて低く、また、噴出した多量のガスが、水車に悪影響を及ぼし、水車のキャビテーション現象を悪化させ、音響、振動を発生させると共に水車をアバタ状に腐食し、発電効率を更に低下させている。
この状態は、落差が小さい水圧管であっても、流下するにつれ、乱流化し、ダム水は希薄化するので、ガスを発生し、多小なりとも上記のような悪影響がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の発電効率の低下現象に対し、何ら対策がとられてないのが現状である。
本発明は、常時、水圧管内を100%充満した満流水(以下、層流、乱流、しぶき状態に対する満流水を畧して、満水に定義する)で発電し、発電効率を飛躍的に高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そして、第1実施例の図1は、水圧管の側部に、該水圧管より小径の補水管を、水圧管と同じ高さの取水口から並設し、該下端を水圧管の下部に接続したものである。
なお、該補水管は、乱流がはじまるところに接続してもよい。
【0005】
第2実施例の図2は、複数列の水圧管に実施する場合で、水圧管と同径程度の補水管を並設し、該補水管を分岐して各水圧管の下部か、乱流がはじまるところに接続したものである。
【0006】
第3実施例の図3は、水圧管に並設した補水管の下部を数分岐し、下段は水圧管の下部に、上段の分岐管は乱流が始まるところに、中段の分岐管は下端と上段の分岐管の中間部に接続したものである。
【0007】
第4実施例の図4は、水圧管の下部に、長めのテーパ管を形成して接続し、該下端に噴出口を取り付け、テーパ管上部の水圧管には補水管を接続したもので、水圧管が複数の時は、図2のように、補水管を分岐して各水圧管に接続する。
なお、新規の発電所を建設する時は、先ず、発電機に適合するテーパ管を設計し、該上部にテーパ管の上端と同口径の水圧管を接続して、発電効率を高めるようにしたがよい。
【0008】
第5実施例の図5は、水圧管の下部に上下がテーパで大径の脱気管を介在して接続し、脱気管上部のテーパ部に水圧管より小径の補水管を接続したものである。
【0009】
第6実施例の図6は、複数列の各水圧管の下部に脱気管を介在して接続し、水圧管と同径程度の補水管を分岐して、各脱気管の上部テーパ部に接続したものである。
【本発明の作用】
【実施例1】
【0010】
図1の作用は次の通りである。すなわち、水圧管に接続した補水管で水圧管内を常に満水にするので、水圧管の流下時に発生するガスはすべてダム水に溶解し、満水になって高圧化したダム水が水車に噴き出すので、発電効率は高く、また、水車もガスによる悪影響を受けないので長期間使用することができる。
なお、水車を長期間使用可能は、すべての実施例も同様である。
【実施例2】
【0011】
図2は、大径の補水管を分岐し、複数列の水圧管に接続したので、総合的に発電効率を向上することができる。
【実施例3】
【0012】
図3は、水圧管の各部で補水するので、流下課程で発生したガスを溶解し、満水になって流下する。
したがって、高圧の満水が水車に噴出するので、発電効率を高くすることができる。
【実施例4】
【0013】
図4は、長めのテーパ管で流下するダム水を圧縮し、ガスを溶解して流下するようにしたので、ダム水は高圧になって流下し、水車に噴出する。
したがって、高効率の発電をすることができる。
【実施例5】
【0014】
図5のダム水は、補水管で満水にした脱気管に入って圧縮され、更に、脱気管下部のテーパ部で圧縮されるので、ガスを完全に溶解して流下する。
したがって、高圧の圧力水を水車に噴出するので、高効率の発電をすることができる。
【実施例6】
【0015】
図6は、脱気管を複数列の水圧管に介在し、補水管を分岐して補水するようにしたので、各水圧管の高圧の圧力水が水車に噴出するので、総合的に発電効率を高めることができる。
【0016】
以上において、水圧管や脱気管に接続する補水管の水圧は、水圧管と同一であるので、水圧の高圧化と水車への噴出力に有効に作用する。
【発明の効果】
【0017】
水圧管内は、流下の課程(層流→乱流→しぶき)で発生する多量のガスを補水管や脱気管で完全に溶解して流下するようにしたので、ダム水は満流となって流下し、大圧力化したダム水が、水車に噴射するので高効率の発電をすることができる。
また、ダム水は満水で水車に作用し、キャビテーション現象は著しく減少する。
したがって、水車や周辺機器の取り替え費用が著しく減少するので、発電単価を下げることができ、更に、安価な電力を安定して供給することができる。
なお、本発明の構造簡単で、既設のみでなく、新設の水力発電所にも実施可能である等の諸効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】 第1実施例の正面図(補水管は水圧管と同じように、ダムに沿って並設するが、分りやすくするため、前方に表した。以下の図も同様である。
図2】 第2実施例の斜視図
図3】 第3実施例の正面図
図4】 第4実施例の正面図
図5】 第5実施例の正面図
図6】 第6実施例の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図1から図6について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1の3aは、発電機1に通ずる水圧管2と同じ高さの取水口から、水圧管2の側部に並設した水圧管2より小径の補水管で、該下端を水圧管2の下部に接続している。
【実施例2】
【0021】
図2の3bは、複数列の水圧管2に並設した水圧管2と同径程度の補水管で、該補水管3bを分岐して、各水圧管2の下部か、乱流が初まるところに接続している。
【実施例3】
【0022】
図3の3cは、下部を数分岐した補水管で、下端を水圧管2の下部に、上段の分岐管4は乱流が始まるところに、中段の分岐管5は下端と上段の分岐管4の中間部に各接続している。
【実施例4】
【0023】
図4の6は、水圧管2の下端に接続した長めのテーパ管で、該下端に噴出口7を取り付けている。3aは補水管で、テーパ管6上部の水圧管2に接続している。
【実施例5】
【0024】
図5の8は上下にテーパを形成した大径の脱気管で水圧管2の下部に介在して接続し、該脱気管8上部のテーパ部に、水圧管2より小径の補水管3dを接続している。
【実施例6】
【0025】
図6は、各水圧管2の下部に介在して接続した各脱気管8に、水圧管2と同径程度の補水管3eを分岐して、脱気管8の上部テーパ部に各接続している。
【0026】
なお、補水管上部に弁を取り付、流下量の調整や補水管の補修時は全閉する。
【符号の説明】
【0027】
1 発電機
2 水圧管
3a、3b、3c、3d、3e 補水管
4 上段の分岐管
5 中段の分岐管
6 テーパ管
7 噴出口
8 脱気管
【要約】      (修正有)
【課題】常時、水圧管内を100%充満した満流水(以下、層流、乱流、しぶき状態に対する満流水を畧して、満水に定義する)で発電し、発電効率を飛躍的に高める。
【解決手段】水圧管2に補水管3eや脱気管8を接続し、水圧管内のダム水が100%満水なるように構成することにより、100%満水のダム水が水車に噴射するので、高効率の発電ができる。また水車に100%満水のダム水が作用するので、水車のキャビテーション現象を著しく軽減し、水車や周辺機器の寿命を延ばすことができる。従って、発電効率は更に高まると共に安価な電力を安定して供給できる。なお本発明は、落差が小さい水圧管に実施しても有効に作用する。
【選択図】図6
図1
図2
図3
図4
図5
図6