(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6034468
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置
(51)【国際特許分類】
G01B 15/02 20060101AFI20161121BHJP
G01B 11/06 20060101ALI20161121BHJP
G01N 21/3586 20140101ALI20161121BHJP
【FI】
G01B15/02 C
G01B11/06 G
G01N21/3586
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-212109(P2015-212109)
(22)【出願日】2015年10月28日
【審査請求日】2015年10月28日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0093296
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】KR
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 発行日:2015年5月28日 公開物:Optics Express,Volume 23,No.11,14806頁〜14814頁,Optical Society of America 公開者:イー デ−ス ヤン ジ サン パク チョン−ス イ フィ ドン キム チャン−ソク
(73)【特許権者】
【識別番号】512328201
【氏名又は名称】コリア リサーチ インスティチュート オブ スタンダーズ アンド サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】イー デ−ス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジ サン
【審査官】
神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−243416(JP,A)
【文献】
特開2011−164578(JP,A)
【文献】
特開2011−196990(JP,A)
【文献】
特表2003−525446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B11/00−11/30,
15/00−15/08
G01N21/17−21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された第1波長(λ1)を有する第1レーザー光を発振する波長固定レーザーと、
一周期の間に予め設定された最小波長から予め設定された最大波長に高速に可変する第2波長(λ2)を有する第2レーザー光を発振する波長掃引レーザーと、
波長掃引速度と同じ周波数で変調された電圧を波長掃引レーザーに印加して、第2波長を前記最小波長から前記最大波長に前記一周期の間に可変させる駆動部と、
前記第1レーザー光と前記第2レーザー光を結合して混合光を形成し、前記混合光を第1混合光と第2混合光に分岐するカプラーと、
前記カプラーで分岐された前記第1混合光が入力され、第1波長(λ1)に対応する周波数(f1=c/λ1、cは真空中の光速度)と、第2波長(λ2)に対応する周波数(f2=c/λ2)との差値に該当する周波数(fTHz=|f1−f2|)を有するテラヘルツ波を出力する発生器と、
前記発生器から出力された前記テラヘルツ波が照射されるサンプルと、
前記カプラーで分岐された前記第2混合光と前記サンプルを透過又は反射したテラヘルツ波が入力されて光電流を生成する検出器と、
前記光電流をデジタルデータに変換して、取得し、出力するデータ取得部と、
前記出力されたデジタルデータから周波数領域データを生成し、前記周波数領域データを高速フーリエ変換して時間領域のデータを生成し、前記時間領域のデータに基づいて前記サンプルの厚さを演算する演算部と、を含むことを特徴とする、テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項2】
前記の一周期は、100Hz以上の波長掃引速度の逆数であることを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルを透過したテラヘルツ波が入力された場合に、前記サンプルの厚さを演算する式として
【数1】
を用いることを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
{d:前記サンプルの厚さ、
c:真空中の光速度、
Δτ
1:前記テラヘルツ波が、サンプルを透過せずに伝搬する際にかかった時間と、サンプルを一度透過して伝搬する際にかかった時間との差
Δτ
2:前記テラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間}
【請求項4】
前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルを透過したテラヘルツ波が入力された場合に、テラヘルツ波がサンプルを透過せずに測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延を見出し、テラヘルツ波がサンプルを透過した後に測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延及びテラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延を見出し、Δτ1は、テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延を減算した値となり、Δτ2は、テラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延を減算した値となることを用いることを特徴とする、請求項3に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルに反射したテラヘルツ波が入力された場合に、前記サンプルの厚さを演算する式として
【数2】
を用いることを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
{d:前記サンプルの厚さ、
n
g:前記サンプルの群屈折率、
c:真空中の光速度、
Δτ
2:前記テラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間}
【請求項6】
前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルに反射したテラヘルツ波が入力された場合に、テラヘルツ波がサンプルに反射して測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際の時間遅延及びテラヘルツ波がサンプルを透過して表面の対向面から反射する際の時間遅延を見出し、Δτ2は、テラヘルツ波がサンプルを透過して表面の対向面から反射する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際の時間遅延を減算した値となることを用いることを特徴とする、請求項5に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項7】
前記波長固定レーザーが発振する第1レーザー光の第1波長は1545nmに固定され、前記波長掃引レーザーが発振する第2レーザー光の第2波長の最小波長と最大波長はそれぞれ1544nmと1558nmであり、その最小波長から最大波長に可変する周期は1msであることを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項8】
前記カプラーと前記検出器との間に設けられ、前記カプラーで分岐された前記第2混合光を可変時間遅延させて前記検出器に入力する可変時間遅延ツールをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項9】
前記カプラーと前記発生器との間に設けられ、前記カプラーで分岐された前記第1混合光を可変時間遅延させて前記発生器に入力する可変時間遅延ツールをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項10】
前記検出器と前記データ取得部との間に設けられ、前記検出器で生成された光電流を増幅して前記データ取得部に伝達する増幅器をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項11】
前記データ取得部は、前記駆動部で提供される波長掃引速度と同じ周波数の同期信号によりトリガされて、一週期(波長掃引速度の逆数)の間に光電流をデジタルデータに変換して取得することを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項12】
前記データ取得部は、前記一周期の間にデジタルデータを取得することを予め設定された回数だけ繰り返して前記演算部に提供し、前記演算部は、繰り返して取得されたデジタルデータを平均して信号対雑音比を改善することを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項13】
前記波長固定レーザーはDFB‐LDであることを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項14】
前記波長掃引レーザー又は前記波長固定レーザーは、第1レーザー光又は第2レーザー光の光出力を増幅するために出力端子に設けられた光ファイバ増幅器をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項15】
前記発生器から前記検出器に至るテラヘルツ波の経路上に設けられた軸外し放物面鏡又はレンズをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【請求項16】
前記発生器から前記検出器に至るテラヘルツ波の経路上に設けられたビームスプリッタをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置に関し、詳細には、波長が固定されたレーザーと波長掃引レーザーから生成された周波数が高速に可変するテラヘルツ連続波を試験片に照射し、透過又は反射するテラヘルツ波を測定することにより、試験片の厚さを測定することができるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テラヘルツ帯(0.1THz〜10THz)は、非金属及び非導電性物質を透過する特性を有しており、数meV水準の非常に低いエネルギーの電磁波であって、人体にほとんど影響を与えない。
【0003】
従来、非金属物質の厚さを測定するための非接触方法としては光学的方法があるが、光が透過しない物質の厚さは測定することができない。反面、テラヘルツ波は、非金属物質を透過することができることから、光が透過しない非金属物質の厚さを測定する方法としてテラヘルツ波を用いることが可能である。
【0004】
また、非常に多様な分子の共振周波数がテラヘルツ帯に分布していることから、これらの分子を非破壊、未開放、非接触方法によりリアルタイムで識別することで、医療、医学、農業食品、環境計測、バイオ、先端材料評価などにおいて今まで存在しなかった新概念の分析技術を提供することが可能になると予測している。
【0005】
これにより、THzギャップ領域ともする0.1〜10THz周波数帯域で動作する波源を開発して利用するための研究が行われている。
【0006】
波長が固定されたレーザーと波長掃引レーザーを用いて周波数が高速に可変するテラヘルツ連続波を生成する方法を開示した先行文献としては、韓国登録特許第10‐1453472号が挙げられる。
【0007】
ただし、かかる方法は、単にテラヘルツ波を生成する技術のみを提示するだけであって、生成されたテラヘルツ波を用いて試験片の厚さを測定する技術は提示できていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国登録特許1453472号(2014年10月21日公告)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点を解消するために導き出されたものであり、波長が固定されたレーザーと波長掃引レーザーから生成された周波数が高速に可変するテラヘルツ連続波を試験片に照射し、透過又は反射するテラヘルツ波を測定することにより、試験片の厚さを測定することができる、テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明の他の目的は、以下の実施例に関する説明により容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記のような目的を達成するための本発明の好ましい一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、固定された第1波長(λ
1)を有する第1レーザー光を発振する波長固定レーザーと、一周期の間に予め設定された最小波長から予め設定された最大波長に高速に可変する第2波長(λ
2)を有する第2レーザー光を発振する波長掃引レーザーと、波長掃引速度と同じ周波数で変調された電圧を波長掃引レーザーに印加して、第2波長を前記最小波長から前記最大波長に前記一周期の間に可変させる駆動部と、前記第1レーザー光と前記第2レーザー光を結合して混合光を形成し、前記混合光を第1混合光と第2混合光に分岐するカプラーと、前記カプラーで分岐された前記第1混合光が入力され、第1波長(λ
1)に対応する周波数(f
1=c/λ
1、cは真空中の光速度)と、第2波長(λ
2)に対応する周波数(f
2=c/λ
2)との差値に該当する周波数(f
THz=|f
1−f
2|)を有するテラヘルツ波を出力する発生器と、前記発生器から出力された前記テラヘルツ波が照射されるサンプルと、前記カプラーで分岐された前記第2混合光とサンプルを透過又は反射したテラヘルツ波が入力されて光電流を生成する検出器と、前記光電流をデジタルデータに変換して、取得し、出力するデータ取得部と、前記出力されたデジタルデータから周波数領域データを生成し、前記周波数領域データを高速フーリエ変換して時間領域のデータを生成し、前記時間領域のデータに基づいて前記サンプルの厚さを演算する演算部と、を含むことができる。
【0012】
ここで、前記の一周期は、100Hz以上の波長掃引速度の逆数であることを特徴とすることができる。
【0013】
また、前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルを透過したテラヘルツ波が入力された場合に、前記サンプルの厚さを演算する式として
【数1】
を用いることができる。この場合、{d:前記サンプルの厚さ、c:真空中の光速度、Δτ
1:前記テラヘルツ波が、サンプルを透過せずに伝搬する際にかかった時間と、サンプルを一度透過して伝搬する際にかかった時間との差、Δτ
2:前記テラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間}である。
【0014】
また、前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルを透過したテラヘルツ波が入力された場合に、テラヘルツ波がサンプルを透過せずに測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延を見出し、テラヘルツ波がサンプルを透過した後に測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延及びテラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延を見出し、Δτ
1は、テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延を減算した値となり、Δτ
2は、テラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延を減算した値となることを用いることができる。
【0015】
また、前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルに反射したテラヘルツ波が入力された場合に、前記サンプルの厚さを演算する式として
【数2】
を用いることができる。この場合、{d:前記サンプルの厚さ、
n
g:前記サンプルの群屈折率、c:真空中の光速度、Δτ
2:前記テラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間}である。
【0016】
また、前記演算部は、前記検出器に前記第2混合光と前記サンプルに反射したテラヘルツ波が入力された場合に、テラヘルツ波がサンプルに反射して測定された時間領域データからテラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際の時間遅延及びテラヘルツ波がサンプルを透過して表面の対向面から反射する際の時間遅延を見出し、Δτ
2は、テラヘルツ波がサンプルを透過して表面の対向面から反射する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際の時間遅延を減算した値となることを用いることができる。
【0017】
また、前記波長固定レーザーが発振する第1レーザー光の第1波長は1545nmに固定され、前記波長掃引レーザーが発振する第2レーザー光の第2波長の最小波長と最大波長はそれぞれ1544nmと1558nmであり、その最小波長から最大波長に可変する周期は1msであることがある。
【0018】
また、前記テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、前記カプラーと前記検出器との間に設けられ、前記カプラーで分岐された前記第2混合光を可変時間遅延させて前記検出器に入力する可変時間遅延ツールをさらに含むことができる。
【0019】
また、前記テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、前記カプラーと前記発生器との間に設けられ、前記カプラーで分岐された前記第1混合光を可変時間遅延させて前記発生器に入力する可変時間遅延ツールをさらに含むことができる。
【0020】
また、前記テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、前記検出器と前記データ取得部との間に設けられ、前記検出器で生成された光電流を増幅して前記データ取得部に伝達する増幅器をさらに含むことができる。
【0021】
また、前記データ取得部は、前記駆動部で提供される波長掃引速度と同じ周波数の同期信号によりトリガされて、一週期(波長掃引速度の逆数)の間に光電流をデジタルデータに変換して取得することができる。
【0022】
また、前記データ取得部は、前記一周期の間にデジタルデータを取得することを予め設定された回数だけ繰り返して前記演算部に提供し、前記演算部は、繰り返して取得されたデジタルデータを平均して信号対雑音比を改善することができる。
【0023】
また、前記波長固定レーザーはDFB‐LDであることを特徴とすることができる。
【0024】
また、前記波長掃引レーザー又は前記波長固定レーザーは、第1レーザー光又は第2レーザー光の光出力を増幅するために出力端子に設けられた光ファイバ増幅器をさらに含むことができる。
【0025】
また、前記テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、前記発生器から前記検出器に至るテラヘルツ波の経路上に設けられた軸外し放物面鏡又はレンズをさらに含むことができる。
【0026】
また、前記テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、前記発生器から前記検出器に至るテラヘルツ波の経路上に設けられたビームスプリッタをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、上述のように、波長が固定されたレーザーと波長掃引レーザーから生成された周波数が高速に可変するテラヘルツ連続波を試験片に照射し、透過又は反射するテラヘルツ波を測定することにより、試験片の厚さを測定することができる、テラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を提供することができる。
【0028】
本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置によれば、非金属物質の厚さを透過型又は反射型で測定することができ、好ましくは、鉄材などの金属基板上のペイント塗膜の厚さの測定に有効であることを期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置のブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で厚さを繰り返して測定して信号対雑音比が向上した結果を示すグラフである。
【
図3】(a)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、様々な時間遅延に対して測定された周波数領域データを示すグラフである。(b)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、様々な時間遅延に対して測定された周波数領域データを高速フーリエ変換して生成された時間領域データを示すグラフである。
【
図4】(a)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて測定された時間領域データを示すグラフである。(b)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、サンプルの厚さを演算する方法を説明するための図である。
【
図5】(a)は本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置のブロック図である。(b)は本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、サンプルの厚さを演算する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、様々な変更を加えることがあり、様々な実施例を有することがあり、特定の実施例を図面に例示し、詳細な説明において詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定するためのものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。
【0031】
各図面を説明するにあたり、類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用した。本発明を説明するにあたり、関連の公知技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にしうると判断した場合には、その詳細な説明を省略する。
【0032】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例について説明することにより本発明を詳述する。
【0033】
厚さを測定するためにテラヘルツパルス波を用いる場合にはフェムト秒レーザーを使用するためコストが高い。厚さを測定するためにテラヘルツ連続波を用いれば、コストダウンを図ることはできるが、テラヘルツ連続波の周波数を可変しながらデータを測定しなければならないため、測定時間が長くなるという欠点がありうる。この欠点を解消するために、テラヘルツ連続波を発生するために使用する2つのレーザーのうち一つのレーザーとして波長掃引レーザーを使用する。すなわち、テラヘルツ連続波の周波数を高速に可変しながら周波数領域データを高速に測定することで、信号処理と演算によりリアルタイムで非接触非破壊的に厚さを測定することができる。
【0034】
図1は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置のブロック図である。
図1を参照すると、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置は、波長固定レーザー100と、波長掃引レーザー200と、カプラー300と、発生器400と、サンプル500と、軸外し放物面鏡510と、検出器600と、可変時間遅延ツール610と、増幅器620と、データ取得部700と、演算部800と、駆動部900と、を含むことができる。
【0035】
波長固定レーザー100は、固定された第1波長を有する第1レーザー光を発振する。波長固定レーザーは、DFB‐LD(distributed feedback laser diode)であってもよい。第2波長の可変区間の限界値(最小値又は最大値)に近く第1波長が固定されていることが、広い周波数帯域のテラヘルツ連続波を得るために好ましい。具体的には、第2波長の可変区間が1544nm〜1558nmであると、第1波長は1545nmであることができる。
【0036】
波長掃引レーザー200は、高速に可変する第2波長を有する第2レーザー光を発振する。
【0037】
駆動部900は、波長掃引速度と同じ周波数で変調された電圧を波長掃引レーザーに印加することで、第2波長が予め設定された最小波長から予め設定された最大波長に波長掃引速度の逆数を周期に可変するようにすることができる。前記波長掃引レーザー及び前記波長固定レーザーの光出力が小さい場合、光出力を増幅するためにそれぞれの出力端子に光ファイバ増幅器が設けられることが好ましい。
【0038】
カプラー300は、第1レーザー光と第2レーザー光を結合して混合光を形成し、前記混合光を第1混合光と第2混合光に分岐することができる。
【0039】
発生器400は、カプラーで分岐された前記第1混合光をテラヘルツ波に変換することができる。発生器400がフォトミキサーの場合、前記発生器400は、光電導体及びアンテナを含むことができる。前記光電導体は、混合光を光電流に変換し、前記光電流は、前記アンテナを介してテラヘルツ波に放出されることができる。発生器400は、ビーティング現象を用いて、第1波長(λ
1)に対応する周波数(f
1=c/λ
1、cは真空中の光速度)と、第2波長(λ
2)に対応する周波数(f
2=c/λ
2)との差値に該当する周波数(f
THz=|f
1−f
2|)を有するテラヘルツ波を発生することができる。したがって、固定された第1波長と高速に可変される第2波長によって生成されるテラヘルツ波の周波数は高速に可変されることができる。テラヘルツ波の周波数掃引速度は、前記波長掃引レーザー220の波長掃引速度(sweep rate)と同様であり、波長掃引速度の逆数である波長掃引周期に依存することができる。前記掃引速度は、数百Hz〜数kHzであることが好ましい。第2波長の掃引周期が1msであれば掃引速度は1kHzであることができる。
【0040】
サンプル500は、厚さが測定される対象であって、好ましくは、非金属及び非導電性物質であってもよい。
【0041】
軸外し放物面鏡510は、発生器で生成されたテラヘルツ波の方向を変更し、コリメーション(collimation)及び集光(focusing)によりテラヘルツ波が検出器に達するようにすることができる。テラヘルツ波の光経路を変更しなくても良い場合には、
図5のようにレンズ511が軸外し放物面鏡510の代わりに用いられることができる。
【0042】
検出器600には、カプラーで分岐された第2混合光とサンプルを透過したテラヘルツ波が入力され、検出器600で第2混合光によって励起される光キャリア(photocarrier)がテラヘルツ波の電場によってバイアスされて光電流を生成することができる。カプラーから検出器に至る二つの光経路の長さの差のため時間遅延が過剰に大きくなる場合には、検出器でテラヘルツ波と第2混合光との可干渉性が低下することができる。したがって、第1混合光又は第2混合光を時間遅延させることができる可変時間遅延ツール610を用いて時間遅延を適切に調節することで、検出器600でテラヘルツ波と第2混合光との可干渉性を維持しなければならない。
【0043】
ここで、検出器600から出力される光電流を増幅してデータ取得部700で達する増幅器620を含むことができる。
【0044】
データ取得部700は、駆動部900で提供される波長掃引速度と同じ周波数の同期信号によりトリガされて、一週期(波長掃引速度の逆数)の間に光電流をデジタルデータに変換して取得する。データ取得部700は、取得したデータを演算部800に提供する。また、前記データ取得部700は、一周期の間にデジタルデータを取得することを予め設定された回数だけ繰り返して演算部800に提供することができ、前記演算部800は、信号対雑音比を改善するために提供されたデジタルデータを平均した値を試料の厚さを演算するために用いることができる。
【0045】
図2は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で厚さを繰り返して測定して信号対雑音比が向上した結果を示すグラフである。すなわち、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置でデータ取得部700が繰り返して取得したデータを演算部800が平均したときに信号対雑音比(signal to noise ratio)が向上した結果を示すものである。
図2を参照すると、データ取得部700でデジタルデータを繰り返して取得する回数(number of averaged traces)が増加したときに、これを平均した値の信号対雑音比が向上したことが分かる。ただし、繰り返した回収が増加することに比例して測定時間(measurement time)も増加することがある。
【0046】
また、
図1を参照すると、演算部800は、データ取得部700が取得したデジタルデータを周波数領域データに変換することができる。このために波長掃引レーザー200の第2波長に対して一周期の間の時間経過に伴う変化を予め測定しなければならない。ファブリーペロー(Fabry‐Perot)干渉計又はマッハジェンダー(Mach‐Zehnder)干渉計を用いて、波長掃引レーザーの第2波長に対して一周期の間の時間経過に伴う変化(λ
2(t))を測定することができる。このように予め測定した第2波長の一周期の間の時間経過に伴う変化を用いて、テラヘルツ波の周波数の一周期の間の時間経過に伴う変化(f
THz(t)=|c/λ
1−c/λ
2(t)|)を見出すことができる。演算部800は、テラヘルツ波の周波数の一周期の間の時間経過に伴う変化を用いて、前記デジタルデータ(y(t)
)を周波数領域データ(y(f
THz))に変換することができる。また、演算部は、周波数領域データを高速フーリエ変換して時間領域データ(Y(τ))を生成し、時間領域データに基づいて前記サンプルの厚さを演算することができる。
【0047】
以下、時間領域データを用いて厚さを演算する原理について記述する。
【0048】
図3の(a)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、様々な時間遅延に対して測定された周波数領域データを示すグラフであり、
図3の(b)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、様々な時間遅延に対して測定された時間領域データを示すグラフである。すなわち、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で可変時間遅延ツール610で設定された10ps、20ps、40ps、80psの時間遅延によって生成されたテラヘルツ波がサンプルを通過することなく検出器600に到着したときに、データ取得部700が取得したデジタルデータを演算部800が変換して生成した周波数領域データを示すグラフ(
図3の(a))と前記周波数領域データを高速フーリエ変換して生成した時間領域データを示すグラフ(
図3の(b))である。本発明の一実施例による透過型厚さ測定装置で測定された周波数領域データを示す
図3の(a)とは異なり、周波数領域データを高速フーリエ変換して生成された時間領域データを示す
図3の(b)では、遅延した時間の位置に最高値が発生して遅延時間情報が簡単に抽出されることを見出すことができる。前記遅延時間は、カプラーから検出器に至る二つの光経路の長さの差のため発生するものである。前記の時間遅延は、発生器400と検出器600との間にサンプルが存在する場合には、サンプルの厚さに応じて決定されることができる。
【0049】
図4の(a)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて測定された時間領域データを示すグラフであり、
図4の(b)は本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて、サンプルの厚さを演算する方法を説明するための図である。
【0050】
図4の(a)を参照すると、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で発生器400と検出器600との間にサンプル500が存在しないときに演算部800で生成した時間領域データは赤色のグラフである。このような状況を
図4の(b)において参照すると、サンプルを透過せずに伝搬するテラヘルツ波711が検出器600に到着した状況でありうる。また、
図4の(a)を参照すると、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で発生器400と検出器600との間にサンプル500が配置されたときに演算部800で生成した時間領域データは青色のグラフである。このような状況は、
図4の(b)においてサンプルを一度透過して伝搬するテラヘルツ波721と、サンプル内を一度往復した後、透過して伝搬するテラヘルツ波731が、時間差を置いて検出器600に到着した状況を含むことでありうる。
図4の(a)を参照すると、時間領域のデータをグラフで示すことから、テラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延710、テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延720及びテラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延730に対する情報を得ることができる。すなわち、時間領域のデータの振幅をy軸とし、時間をx軸としてグラフを作成したときに、振幅が極大値を有する点のx座標からそれぞれの時間遅延710、720、730を求めることができる。
【0051】
本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて測定された時間領域データからサンプルの厚さを演算する方法は、テラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延710、テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延720及びテラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延730を時間領域データから求める段階と、前記時間遅延710、720、730からサンプルの厚さを求める段階とに分けられる。
【0052】
先ず、時間領域データから時間遅延を見出す段階について説明する。先ず、サンプル500を発生器400と検出器600との間に配置することなく時間領域データを得てから極大値を調査して最高値が最も大きい極大値を見出し、テラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延710を決定する。また、発生器400と検出器600との間にサンプル500を配置し、時間領域データを得てから極大値を調査して極大値のうち最高値が最も大きい極大値を見出してテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延720を決定し、極大値のうち最高値が二番目に大きい極大値を見出してテラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延730を決定する。
【0053】
次に、見出した前記遅延時間からサンプルの厚さを求める段階について説明する。Δτ
1をテラヘルツ波が、サンプルを透過せずに伝搬する際にかかった時間と、サンプルを一度透過して伝搬する際にかかった時間との差、Δτ
2をテラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間だとしたとき、Δτ
1は、テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延720からテラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延710を減算した値となり、Δτ
2は、テラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延730からテラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延720を減算した値となる。
【0054】
図4の(b)を参照すると、Δτ
1とΔτ
2は、それぞれ数1と数2のように示すことができることが分かる。
【0057】
数1と数2において、dはサンプルの厚さ、cは真空中の光速度、n
gはサンプルの群屈折率(group refractive index)である。数1と数2をサンプルの厚さdに対して整理すると、数3のように示すことができる。
【0059】
したがって、数3と見出したΔτ
1とΔτ
2を用いて、サンプルの厚さを求めることができる。
【0060】
以上の説明により、本発明の一実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いてテラヘルツ波をサンプルに透過する方式で厚さを測定することができることが分かる。
【0061】
次に、本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いてテラヘルツ波をサンプルに反射させて厚さを測定する装置について説明する。
【0062】
図5の(a)を説明するにあたり、
図1と同じ構成要素はその構成と動作原理が同じであるため説明を省略する。
図5(a)を参照すると、発生器400から放出されるテラヘルツ波がビームスプリッタ520を透過してサンプル500に反射し、またビームスプリッタ520から反射して検出器600に入力されることができる。
【0063】
この際、ビームスプリッタ520と検出器600との間にレンズ511が追加されることができるが、これは、軸外し放物面鏡510のようにテラヘルツ波を検出器600に集光する機能を行うことができる。
【0064】
図5の(a)の本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置でも上述と同じ方法で時間領域データを演算部800で生成することができる。ただし、相違点は、検出器に入力されるテラヘルツ波に、
図5の(b)に示すように、サンプルの表面から反射するテラヘルツ波とサンプルを透過して表面の対向面から反射するテラヘルツ波を含むことができるという点である。本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を用いて測定された時間領域データからサンプルの厚さを演算する方法は、テラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際741の時間遅延と、テラヘルツ波がサンプルを透過して表面の対向面から反射する際751の時間遅延を前記生成された時間領域データから求める段階と、前記時間遅延からサンプルの厚さを求める段階とに分けられる。
【0065】
先ず、時間領域データから時間遅延を見出す段階について説明する。
図5のように本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置の演算部800が生成した時間領域データを得る。得られた前記時間領域データの極大値を調査して、最高値が最も大きい極大値が発生する値を見出し、テラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際741の時間遅延を決定し、極大値のうち最高値が二番目に大きい極大値が発生する値を見出し、テラヘルツ波がサンプル内に透過された後、表面の対向面から反射する際751の時間遅延を決定する。
【0066】
次に、見出した前記時間遅延からサンプルの厚さを求める段階について説明する。Δτ
2をテラヘルツ波がサンプル内を一度往復伝搬する際にかかった時間としたとき、Δτ
2は、テラヘルツ波がサンプル内に透過された後、表面の対向面から反射する際の時間遅延からテラヘルツ波がサンプルの表面から反射する際の時間遅延を減算した値となる。
【0067】
Δτ
2は、数2のように示すことができるため、サンプルの厚さは、数4のように示すことができる。
【0069】
したがって、数4のように本発明の他の実施例によるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置で見出したΔτ
2を用いて予め群屈折率(group refractive index)を見出したサンプルであれば、厚さを求めることができる。
【0070】
以上の説明により、反射型厚さ測定装置を用いてサンプルの厚さを測定することができることが分かる。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施例について説明しているが、本発明の請求範囲は本明細書に図示され、説明された特定の実施例にのみ限定されず、添付の特許請求の範囲に記載の要旨から逸脱しない範囲内で当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって実施可能な様々な変形実施例までも本請求の記載で考慮している範囲内に属すると言える。
【符号の説明】
【0072】
100 波長固定レーザー
200 波長掃引レーザー
300 カプラー
400 発生器
500 サンプル
510 軸外し放物面鏡
511 レンズ
520 ビームスプリッタ
600 検出器
610 可変時間遅延ツール
620 増幅器
700 データ取得部
710 テラヘルツ波がサンプルを透過せずに伝搬する際の時間遅延
711 サンプルを透過せずに伝搬するテラヘルツ波
720 テラヘルツ波がサンプルを一度透過して伝搬する際の時間遅延
721 サンプルを一度透過して伝搬するテラヘルツ波
730 テラヘルツ波がサンプル内を一度往復した後、透過して伝搬する際の時間遅延
731 サンプル内を一度往復した後、透過して伝搬するテラヘルツ波
741 サンプルの表面から反射したテラヘルツ波
751 サンプルを透過して表面の対向面から反射したテラヘルツ波
800 演算部
900 駆動部
【要約】 (修正有)
【課題】試験片の厚さを測定することができるテラヘルツ波を用いたリアルタイム非接触非破壊厚さ測定装置を提供する。
【解決手段】波長固定レーザー100と波長掃引レーザー200は、カプラー300に入力され、形成された混合光は、テラヘルツ波を発生する発生器400に入力され、また、発生器400から放出されてサンプル500を透過又は反射したテラヘルツ波が入力される検出器600に入力され、且つ検出器600では混合光によって励起される光キャリア(photocarrier)がテラヘルツ波の電場によってバイアスされて光電流を生成する。データ取得部700は、光電流をデジタルデータの形態で取得して演算部800に出力する。演算部800は、データ取得部700が出力したデータを周波数領域データに変換し、周波数領域データを高速フーリエ変換して時間領域データを生成し、時間領域データに基づいてサンプル500の厚さを演算する。
【選択図】
図1