(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1の流路の少なくとも一部が、それを貫通してサンプリング口が配置されている側部の内表面から内部チャンバー中に延びる第1の導管内に配置されていて、試料入口は側部から離隔して内部チャンバー内に配置されるようになっている、請求項1に記載の方法。
蒸留された酢酸生成物を第2の蒸留カラム内において蒸留する前に、酢酸カリウム、炭酸カリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択されるカリウム塩を蒸留された酢酸生成物に加える工程を更に含み;カリウムの少なくとも一部を酸形態のカチオン交換体によって除去する、請求項1に記載の方法。
酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるリチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の酢酸リチウムの濃度を維持することを更に含む、請求項1に記載の方法。
カルボニル化反応器内の水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、及び反応媒体中のヨウ化メチル濃度の少なくとも1つを調節することによって反応媒体中のヨウ化エチル濃度を制御する、請求項19に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0012]始めに、任意のかかる実際の態様の開発においては、1つの実施態様と他のものとで変化するシステム関連及びビジネス関連の制限との適合性のように、開発者の具体的な目標を達成するために、数多くの実施−具体的な決定を行わなければならないことを留意すべきである。更に、かかる開発努力は複雑で時間がかかる可能性があるが、それでも本開示の利益を享受する当業者には日常的な業務であろうことが認められる。更に、当業者に明らかなように、ここで開示する方法にはまた、挙げられているか又は具体的に言及されているもの以外の構成要素を含ませることもできる。
【0010】
[0013]概説及びこの詳細な説明において、それぞれの数値は、一旦は(既に明らかにそのように修飾されていない限りにおいて)用語「約」によって修飾されているように読み、次に文脈において他に示されていない限りにおいて、そのように修飾されていないように再び読むべきである。また、概説及びこの詳細な説明において、有用、好適などとしてリスト又は記載されている濃度範囲は、端点を含むその範囲内のありとあらゆる濃度が示されているとみなすべきであると意図されることを理解すべきである。例えば、「1〜10の範囲」は、約1と約10の間の連続体に沿ったありとあらゆる可能な数を示すものとして読むべきである。而して、この範囲内の具体的なデータ点が明確に特定されているか又は僅かな具体的なデータ点のみに関する場合、或いはこの範囲内のデータ点が明確に特定されていないか又は僅かな具体的なデータ点のみに関していない場合であっても、本発明者らはこの範囲内のありとあらゆるデータ点が特定されていたとみなすべきであると認識且つ理解し、且つ本発明者らはこの範囲内の全範囲及び全ての点の知識を有していたことを理解すべきである。
【0011】
[0014]特許請求の範囲を含む明細書全体にわたって、以下の用語は他に示さない限りにおいて示されている意味を有する。
[0015]明細書及び特許請求の範囲において用いる「付近」は「における」を包含する。及び/又はという用語は、包含的な「及び」の場合、及び排他的な「又は」の場合の両方を指し、本明細書において簡潔にするために用いられる。例えば、酢酸及び/又は酢酸メチルを含む混合物は、酢酸単独、酢酸メチル単独、又は酢酸と酢酸メチルの両方を含んでいてよい。
【0012】
[0016]本明細書において用いる元素を表す記号及び周期律表の族に関する新しい付番方式は、Chemical and Engineering News, 63(5), 27 (1985)に開示されているものと一致して用いられるものである。全ての分子量は、他に示していない限りにおいて重量平均である。
【0013】
[0017]全てのパーセントは、他に示していない限りにおいて、存在する特定の流れの全重量を基準とする重量パーセント(重量%)として表される。他に示していない限りにおいて、室温は25℃であり、大気圧は101.325kPaである。
【0014】
[0018]本発明における目的のためには、樹脂の交換された活性部位のパーセントは、全交換能力を基準とするものであり、ミリ当量/グラム(meq/g)である。例えば、2meq/gのカチオン交換能を有するカチオンイオン交換樹脂においては、銀イオンによる2meq/gの置換は活性部位の100%が銀によって置換されていることを構成し、1meq/gの置換は活性部位の50%が置換されていることを構成する。
【0015】
[0019]本発明における目的のためには、
酢酸は「AcOH」と略称することがあり;
酢酸メチルは「MeAc」と略称することがあり;
ヨウ化メチルは「MeI」と略称することがあり;及び
一酸化炭素は「CO]と略称することがある。
【0016】
[0020]過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)とは、当業者には容易に理解されるように、過マンガン塩試験の不合格の指示をもたらす酸化性の化合物を指す("A New System For Automatic Measurement of Permanganate Time", Laboratory Automation and Information Management, 34, 1999, 57-67を参照)。過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)の例としては、アセトアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、2−エチルクロトンアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒドなど、及びこれらのアルドール縮合生成物が挙げられる。
【0017】
[0021]本発明における目的のためには、蒸留カラムの「塔頂流」は、蒸留カラムの頂部又は頂部の隣接位置において排出される最も低い沸点の凝縮性フラクションを指す。更に、蒸留カラムの残渣とは、蒸留カラムの底部又はその付近から排出される最も高い沸点のフラクションを指す。残渣は蒸留カラムの最も底部の排出口の直上から回収することができ、例えばここでカラムの最も底部は、当業者に容易に理解されるように、使用できないタール、固体廃棄物、又は僅少な流れである。更に、塔頂流は蒸留カラムの最も上部の出口の直下において回収することができ、例えばここで最も低い沸点のフラクションは、当業者に容易に理解されるように非凝縮性の流れであるか或いは僅少な流れを表す。
【0018】
[0022]本発明において用いるカラム供給流のカラム内における平均滞留時間は、他に示さない限りにおいて、カラムに供給される全流量を、カラム内に存在する非占有容積の合計量で割った値を指す。
【0019】
[0023]本発明の目的のためには、処理容器(カラムと呼ぶ場合がある)は、入口及び出口を有する。カラムの内部(本発明においては内部チャンバーとも呼ぶ)は、精製樹脂を充填するのに好適である。処理装置及びカラムという用語は、他に示さない限りにおいてここでは互換的に用いられる。
【0020】
[0024]本明細書において用いる質量流量とは、他に示さない限りにおいてkg/時を指し、直接求めるか、又は体積測定から計算することができる。成分の全質量流量又は濃度が存在していると条件付けられている場合、「存在していたとしても」とは、当業者に容易に理解されるように、この成分は適当な分析方法の検出限界よりも多く流れの中に存在する可能性があるか、或いは存在しない可能性があると理解すべきである。
【0021】
[0025]本明細書において用いるように、流れの質量流量を、特定の流量、又は他の流れの質量流量に比例する流量のいずれかに「制御」する場合には、当業者に容易に理解されるように、かかる制御には、特定のプロセス流の流れを直接変化させること、又は対象の流れの質量流量に直接影響を与える流れを変化させることによって特定の流れの質量流量を制御することが含まれることを理解すべきである。全てのかかる比は、他に示さない限りにおいて質量/質量の重量%として表される。
【0022】
[0026]本発明において用いるカルボニル化可能な反応物質は、反応条件下で一酸化炭素と反応して酢酸又は所期の生成物を生成させる任意の材料である。カルボニル化可能な反応物質としては、メタノール、酢酸メチル、ジメチルエーテル、ギ酸メチルなどが挙げられる。
【0023】
[0027]本発明において用いる低水カルボニル化プロセスとは、約14重量%以下のカルボニル化反応器中における限定濃度の水を有するものと定義される。
[0028]本発明において用いるように、流れの少なくとも一部をプロセスの他の部分の中に再循環又は戻す場合には、「一部」とは流れの全質量流量の一部を指すことを理解すべきである。この流れは他の流れと混合する(即ち間接的に再循環する)ことができ、流れの中に元々存在する全ての成分は混合した後にも存在する。
【0024】
[0029]これに対し、他の流れから「誘導される」流れには流れ全体が含まれる可能性があり、或いは流れの中に始めに存在する個々の成分の全部よりも少ないものが含まれる可能性がある。したがって、特定の流れから「誘導される」流れには、処分の前に更なる処理又は精製にかけた流れを含めることができる。例えば、再循環する前に蒸留された流れは、元の流れから誘導されるものである。
【0025】
[0030]他に示さない限りにおいて、本明細書において用いる、1つの構成要素の存在下において観察される効果の、同じ構成要素の不存在下において観察される効果に対する比較に基づく制限とは、規定される構成要素の存在又は不存在を除いて実質的に同一の条件(例えば実質的に同じ組成、実質的に同じ温度、時間、及び他の条件)の下で行う比較に関する。
【0026】
[0031]酢酸中に存在する不純物には、種々のヨウ素含有種が含まれる。例としては、1〜約20個の炭素原子を有するアルキルヨウ化物が挙げられる。約6個より多い炭素を有するより高分子量のアルキルヨウ化物は、最終生成物中に数ppbのレベルで存在する可能性がある。これらの不純物は、酢酸の種々の最終用途に対して問題であり、種々の精製標準技術にしたがって除去することが必要である。他の不純物としては、種々のアルデヒド及び腐食金属が挙げられる。これらの汚染物質は、約50℃より高い温度において酢酸を好適な精製樹脂と接触させることによって除去することができる(US−6657078を参照)。しかしながら、かかる精製樹脂の使用は、最終生成物及び樹脂それ自体の両方を監視して、製造中に不純物が精製樹脂床から「破過」することを阻止する必要がある。
【0027】
[0032]最終生成物の試料は容易に入手できるが、かかる精製プロセスにおいて用いる精製樹脂の試料は、精製システムが運転中の間は得ることがほぼ不可能である。更に、かかる精製システムを停止して樹脂試料を得ることは不経済であり、しばしば信頼できない。しかしながら、本発明の1以上の態様によるサンプリング装置は、樹脂床に沿った種々の位置において液体試料及び固体精製樹脂の試料の両方を入手して分析することを可能にする。これらの試料を得る能力によって、プロセスに対する改良された監視及び制御が可能になる。更にこれらのサンプリング口により、過剰量の不純物が最終生成物中に存在する前に、樹脂がいつ消耗された状態になるかを予測することが可能になる。
【0028】
[0033]一態様においては、サンプリング装置は、入口と、開放位置と閉止位置の間で操作可能な流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び、入口と、独立して開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;を含む。
【0029】
[0034]幾つかの態様においては、本方法は、その中に配置されている処理又は他の形態の精製樹脂を含み、少なくとも1つの側部を貫通して配置されているここに開示する任意の態様による複数のサンプリング口を含む、ここに開示する任意の態様による処置装置を与え;そして、不純物の第1の濃度を有する酢酸流を、存在していたとしても第1の濃度よりも低い第2の濃度の不純物濃度を有する精製された酢酸流を生成させるのに十分な温度及び流量で、入口端から出口端を通して流す;ことを含む。
【0030】
[0035]幾つかの態様においては、処理装置とは、カラム、樹脂カラム、保護床カラム、又はその中で流体がカラム内に配置されている精製樹脂に接触する他の容器を指す。
[0036]幾つかの態様においては、処理装置は、中心軸の周りに放射状に配列されている複数の側部によって結合されている内部チャンバー;内部チャンバーを貫通して出口端と流体連絡しており、それから縦方向に離隔している入口端;側部の少なくとも1つを貫通して配置されており、それぞれは、内部チャンバー内に配置されている試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び、試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;を含む複数のサンプリング口;を含む。
【0031】
[0037]幾つかの態様においては、本方法は、第1のサンプリング口から液体及び精製樹脂を含む試料を得るのに十分な時間、第1の流れ制御部材を閉止位置から開放位置に操作し、次に閉止位置に戻し、第1のサンプリング口から液体を含む試料を得るのに十分な時間、第2の流れ制御部材を閉止位置から開放位置に操作し、次に閉止位置に戻し、或いはこれらの組合せを行うことを更に含む。
【0032】
[0038]幾つかの態様においては、本方法は、1以上の試料を分析して、対応するサンプリング口における1以上の不純物の1以上の濃度を求めることを更に含む。幾つかの態様においては、本方法は、バルブを操作する前にサンプリング口の出口に熱交換器を取り付けて、内部チャンバーの温度と比べて低下した温度を有する試料を得ることを更に含む。
【0033】
[0039]幾つかの態様においては、第1の流路の少なくとも一部を、それを貫通してサンプリング口が配置されている側部の内表面から内部チャンバー中に延びる第1の導管内に配置して、試料入口が内部チャンバー内に側部から離隔して配置されるようにする。幾つかの態様においては、第1の導管は複数の試料入口を含み、これらは全て中心軸に対して直交する面と同一面上に配置されている。
【0034】
[0040]幾つかの態様においては、かかる金属交換された樹脂の強酸交換部位の少なくとも1%は銀によって占有されている。幾つかの態様においては、粗酸生成物は10ppm以下のリチウムを含む。
【0035】
[0041]幾つかの態様においては、蒸気生成物流を分離することは、第1の蒸留カラム内において蒸気生成物流を蒸留し、側流を回収して蒸留された酢酸生成物を得て;蒸留された酢酸生成物を第2の蒸留カラム内において蒸留して、酢酸及びリチウムカチオンを含む粗酸生成物を生成させる;ことを含む。幾つかの態様においては、本方法は、蒸留された酢酸生成物を第2の蒸留カラム内において蒸留する前に、酢酸カリウム、炭酸カリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択されるカリウム塩を蒸留された酢酸生成物に加える工程を更に含み;酸形態のカチオン交換体によってカリウムの少なくとも一部を除去する。
【0036】
[0042]幾つかの態様においては、粗酢酸生成物を、50℃〜120℃の温度においてカチオン交換体と接触させる。幾つかの態様においては、中間体酢酸生成物を、50℃〜85℃の温度において金属交換されたイオン交換樹脂と接触させるか;或いは、これらの組合せを行う。幾つかの態様においては、中間体酢酸生成物は50ppb未満のリチウムイオン濃度を有する。
【0037】
[0043]幾つかの態様においては、酸形態のカチオン交換体は、酸形態の強酸カチオン交換巨大網状、マクロ多孔質、又はメソ多孔質樹脂の樹脂を含む。幾つかの態様においては、本方法は、精製された酢酸生成物をカチオン交換樹脂で処理して、銀、水銀、パラジウム、又はロジウムを回収することを更に含む。幾つかの態様においては、反応媒体中の水濃度は、存在する反応媒体の全量を基準として0.1〜5重量%に制御する。
【0038】
[0044]幾つかの態様においては、本方法は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるリチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の酢酸リチウムの濃度を維持することを更に含む。幾つかの態様においては、本方法は、反応媒体中において0.1〜1.3重量%のヨウ化水素濃度を維持し;反応媒体中において300〜3000wppmのロジウム触媒濃度を維持し;反応媒体中において0.1〜4.1重量%の水濃度を維持し;反応媒体中において0.6〜4.1重量%の酢酸メチル濃度を維持し;或いはこれらの組合せを行うことを更に含む。
【0039】
[0045]幾つかの態様においては、本方法は、酢酸生成物から酢酸ブチルを直接除去することなく、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に制御することを更に含む。幾つかの態様においては、酢酸ブチル濃度は、反応媒体中において1500ppm以下のアセトアルデヒド濃度を維持し;反応器内の温度を150〜250℃に制御し;反応器内の水素分圧を0.3〜2気圧に制御し;反応媒体中のロジウム触媒濃度を100〜3000wppmに制御し;或いはこれらの組合せを行うことによって制御する。
【0040】
[0046]幾つかの態様においては、本方法は、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750wppm以下に制御することを更に含む。幾つかの態様においては、生成物酢酸中のプロピオン酸濃度は、生成物酢酸からプロピオン酸を直接除去することなく250wppm未満であり;反応媒体中のヨウ化エチルと酢酸生成物中のプロピオン酸は3:1〜1:2の重量比で存在し;アセトアルデヒドとヨウ化エチルは2:1〜20:1の重量比で反応媒体中に存在し;反応器中へのメタノール供給流中のエタノール濃度は150wppm未満であり;或いはこれらの組み合わせである。幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度は、カルボニル化反応器内の水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、及び反応媒体中のヨウ化メチル濃度の少なくとも1つを調節することによって制御する。
【0041】
酢酸製造システム:
[0047]メタノールカルボニル化によって酢酸を製造する方法は、3つの主要領域:反応システム及びプロセス;軽質留分回収/酢酸生成物分離システム及びプロセス;並びに生成物酢酸精製システム及びプロセス;に好都合に分けることができる。
【0042】
[0048]カルボニル化反応器から蒸気を生成させ、これを次に軽質留分カラム内で蒸留して、酢酸生成物を側流として生成させる本発明における目的のために好適な酢酸プロセスは、精製流、再循環流、用いる蒸留カラムのタイプ及び数、用いる種々の精製プロセスなどをはじめとして、システム及びプロセスにおいて変化させることができる。好適なプロセスの例としては、US−3769329;US−3772156;US−4039395;US−4255591;US−4615806;US−5001259;US−5026908;US−5144068;US−5237097;US−5334755;US−5653853;US−5683492;US−5831120;US−5227520;US−5416237;US−5731252;US−5916422;US−6143930;US−6225498;US−6255527;US−6339171;US−6657078;US−7208624;US−7223883;US−7223886;US−7271293;US−7476761;US−783871;US−7855306;US−8076507;US−20060247466;US−20090259072;US−20110288333;US−20120090981;US−20120078012;US−2012081418;US−2013261334;US−2013281735;EP−0161874;WO−9822420;WO−0216297;WO−2013137236;など(これらの全ての内容及び開示事項は参照として本明細書中に包含する)に記載されているものが挙げられる。概してプロセス100として示される本明細書に開示する幾つかの態様による酢酸を製造するための方法を、
図1に図示する。
【0043】
[0049]14重量%未満の水で運転され、主精製系列内において2つ以下の蒸留カラムを用いるロジウム触媒システムを包含する、メタノールのカルボニル化によって酢酸を製造するための低水・低エネルギープロセスが開発された。主精製系列は、酢酸を得るための反応器/フラッシャーからの蒸気生成物流から、水、酢酸メチル、ヨウ化メチル、及びヨウ化水素のようなバルク成分を除去することを目的とする。この主精製系列は、反応器からの蒸気流の大部分を受容して、酢酸を最終酢酸として得る。例えば、主精製系列のカラムには、軽質留分カラム及び乾燥カラムが含まれる。この主精製系列からは、アセトアルデヒド、アルカン、及びプロピオン酸のような微量成分を除去することがその主要機能であるカラムは排除される可能性がある。
【0044】
[0050]酢酸を製造する方法によってカチオンが生成する可能性があり、これは粗酸生成物中に集積される。これらの残留カチオンは除去するのが困難である可能性があり、最後の金属交換保護床においてヨウ化物を不利に置換する可能性がある。而して、最終生成物は、金属交換保護床を用いているにもかかわらず、許容できないレベルのヨウ化物を有する可能性がある。本発明はカチオンを除去する方法を提供する。
【0045】
[0051]カチオンの源は、種々の促進剤、共触媒、添加剤、in situ反応等に由来する可能性がある。例えば、酢酸リチウム又は他の適合性のリチウム塩を反応混合物に加えた後にin situで形成される可能性があるヨウ化リチウムのような促進剤の使用を伴う低水・低エネルギープロセス。したがって、プロセス流は若干量のリチウムイオンを含む可能性がある。更に、このプロセスは主精製系列において最大で2つの蒸留カラムを使用し、好ましくは主精製は重質留分材料を除去するためのカラムを含んでいないので、粗酸生成物は、リチウムのようなカチオンに加えて、より大きなアルキルヨウ化物化合物、例えばC
10〜C
14アルキルヨウ化物を含む可能性がある。時には、存在するヨウ化物の10%より多く、又は更には50%より多くが、10炭素原子より大きい有機連鎖長を有する。而して、10ppbより多く、例えば20ppbより多く、50ppbより多く、100ppbより多く、又は1ppmより多いC
10〜C
14アルキルヨウ化物が存在する可能性がある。ヨウ化メチル、HI、及びヨウ化ヘキシルなどのヨウ化物促進カルボニル化プロセスの粗酸生成物中に見られる通常のより短い連鎖長のヨウ化物不純物に加えて、これらのより高級のアルキルヨウ化物が存在する可能性がある。通常のヨウ化物不純物は、通常は、金属が例えば銀又は水銀である金属交換された強酸イオン交換樹脂を用いて粗酸生成物から除去される。しかしながら、金属交換された強酸イオン交換樹脂中の銀又は水銀は残留リチウムによって置換されて、その結果、樹脂の能力及び効率がより低くなり、生成物が銀又は水銀で汚染される可能性が生じる可能性があることが見出された。
【0046】
[0052]粗酸生成物中のカチオンは、CN−101053841及びCN−1349855(これらの全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているもののような有機リチウム塩リガンドのような有機アルカリ塩リガンドを用いることに起因する可能性がある。CN−101053841においては、酢酸リチウム又はシュウ酸リチウムを含むリガンドが記載されている。CN−1349855においては、金属リチウム有機リガンドが配位しているシス−ジカルボニルロジウム構造を有する二元金属触媒が記載されている。金属リチウム有機リガンドは、リチウムピリジン−2−フォルメート、リチウムピリジン−3−フォルメート、リチウムピリジン−4−フォルメート、リチウムピリジン−3−アセテート、リチウムピリジン−4−アセテート、又はリチウムピリジン−3−プロピオネートのようなピリジン誘導体であってよい。実際に、これらのリガンドの全部のリチウム塩成分は、カルボニル化反応器内の反応温度及び圧力においてヨウ化メチルに曝露された後に、反応媒体内でヨウ化リチウムをin situで生成すると考えられる。リチウム成分の少なくとも多少の小さい割合は精製システム中に同伴される。而して、本発明による精製システムは、これらのタイプの有機リガンドの使用からin situで形成されるリチウムを除去することもできる。
【0047】
[0053]カチオンはまた、CN−1640543(その全ての内容及び開示事項を参照として本明細書中に包含する)に記載されているもののようなアミン官能基を有する二元金属Rhキレート触媒を用いることなどによる非リチウム塩の使用の結果として存在する可能性もある。CN−16040543によれば、カチオン種はN及びOドナー原子を含み、アミノ安息香酸から形成される。アミンは、反応温度及び圧力において反応媒体内でin situでヨウ化メチルによって4級化されて第4級窒素カチオンを形成する可能性がある。第4級窒素カチオンは、リチウムカチオンと同様に、粗酸生成物と共に送られる可能性があり、これは金属交換保護床の前に本発明を用いて除去することができる。
【0048】
[0054]幾つかの態様は、メタノール、ジメチルエーテル、及び/又は酢酸メチルを、0.1乃至14重量%未満の水、金属触媒、ヨウ化メチル、及びヨウ化リチウムの存在下でカルボニル化することによって酢酸を製造するための低水・低エネルギープロセスを包含する。幾つかの態様においては、主精製系列内において2つ以下の蒸留カラム(例えば、第3の「重質留分カラム」は用いないで、軽質留分カラム及び水除去若しくは脱水カラム)を用い、得られる酸性酸生成物を酸形態のカチオン交換体で精製して残留リチウムイオンを除去し、次に、銀、水銀、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含む酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂で処理する低エネルギープロセス。金属交換されたイオン交換樹脂は、強酸交換部位の少なくとも1%が、銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウムによって占有されていてよく、例えば少なくとも1%の銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウム、少なくとも5%の銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウム、少なくとも10%の銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウム、或いは少なくとも20%の銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウムを有していてよい。金属交換された強酸カチオン部位を有する樹脂を用いる前にカチオン交換体を用いてリチウムを除去することによって、主精製系列において2つ以下の蒸留カラムを用いるプロセスに関して、リチウムによる金属交換された部位からの銀、水銀、パラジウム、及び/又はロジウムの置換が減少又は排除される。幾つかの態様においては、主精製系列に加えて、ヨウ化メチルを反応媒体に戻す前にアセトアルデヒド及び他のPRCをヨウ化メチル相から除去するアセトアルデヒド除去システムのような他の精製システムにおいて蒸留カラムを用いて、反応器成分から不純物を除去することができる。
【0049】
[0055]特に好ましいプロセスは、リチウムを除去するためにカチオン交換体を用い、次にヨウ化物を除去するために銀交換されたカチオン基材を用いるものである。粗酸生成物は、多くの場合においてC
10以上の脂肪族連鎖長を有する有機ヨウ化物を含んでおり、これは除去する必要がある。時には、存在するヨウ化物の10%より多く、例えば30%より多く、又は更には50%より多くが、10炭素原子より多い有機連鎖長を有する。
【0050】
[0056]重質留分及び他の仕上げ装置が存在しない場合には、ヨウ化デシル及びヨウ化ドデシルが特に優勢であり、これらは生成物から除去するのが困難である。本発明の銀交換されたカチオン基材は、通常はかかるヨウ化物の90%超を除去する。しばしば、粗酸生成物は処理の前に10〜1000ppbの全ヨウ化物を有しており、このために生成物はヨウ化物感受性の用途に関して使用することができない。
【0051】
[0057]ヨウ化物除去処理の前の粗酸生成物中においては、20ppb〜1.5ppmのヨウ化物レベルが通常であり;これに対して、ヨウ化物除去処理は、好ましくは存在する全ヨウ化物の少なくとも約95%を除去するように運転される。通常の態様においては、リチウム/ヨウ化物除去処理は、粗酸生成物をカチオン交換体と接触させてリチウムイオンの95%以上を除去し、次に粗酸生成物を銀交換されたスルホン酸官能化巨大網状イオン交換樹脂と接触させることを含み、生成物は、処理の前に100ppbより高い有機ヨウ化物含量、及び樹脂と接触させた後に10ppb未満の有機ヨウ化物含量を有する。
【0052】
[0058]リチウムはまた、重質留分及び他の仕上げ装置を用いない場合には粗酸生成物中に同伴されることも分かっている。粗酸生成物中の10ppbの非常に少量のリチウムであっても、ヨウ化物の除去に関して問題を引き起こす可能性がある。酢酸プロセスの乾燥カラム、例えば主精製系列における最後のカラムから排出される酸含有粗酸生成物中には、粗酸生成物の重量基準で10ppm以下、例えば5ppm以下、1ppm以下、500ppb以下、300ppb以下、又は100ppb以下のリチウムが存在するようにすることができる。範囲に関しては、粗酸生成物中に、0.01ppm〜10ppm、例えば0.05ppm〜5ppm、又は0.05ppm〜1ppmのリチウムが存在するようにすることができる。粗酸生成物を金属交換された樹脂に導入する前に酸形態のカチオン交換体を用いることによって、相当量のリチウムを除去することができる。例えば、流れの中のリチウムの90重量%、例えば95重量、又は99重量%より多くをカチオン交換体によって除去することができる。而して、酸形態のカチオン交換体から排出される流れは、50ppb未満、例えば10ppb未満、又は5ppb未満のリチウムを含むようにすることができる。かかるリチウムの除去によって、金属交換された樹脂の寿命を大きく延ばすことができる。
【0053】
反応システム及びプロセス:
[0059]
図1に示すように、酢酸を製造するプロセス100はカルボニル化反応器104を含む反応システムを含み、カルボニル化反応器から反応媒体の一部を、ライン113を通して連続的に取り出して、反応媒体から酢酸及び他の揮発性成分を分離し、非揮発性成分を流れ110を通して反応媒体中に再循環して戻すために用いる分離システム、例えばフラッシャー112内でのフラッシュ又は低圧蒸留にかける。次に、反応媒体の揮発性成分を、塔頂のライン122を通して、軽質留分カラム124で開始される軽質留分回収/酢酸生成物分離システム及びプロセス中に送る。
【0054】
[0060]
図1において示されるように、メタノール含有供給流101及び一酸化炭素含有供給流102をカルボニル化反応器104の液相反応媒体中に送り、触媒、水、ヨウ化メチル、酢酸メチル、酢酸、ヨウ化物塩、HI、及び他の反応媒体成分を含む反応媒体中でカルボニル化反応を行う。
【0055】
[0061]幾つかの態様においては、カルボニル化反応器104は、撹拌容器、バブルカラムタイプの容器、或いはこれらの組合せであってよく、その中で反応液又はスラリー内容物を通常運転にふさわしいレベルに維持する。幾つかの態様においては、一酸化炭素を、例えば内容物を撹拌するために用いる撹拌機の下方で、カルボニル化反応器の反応媒体中に連続的に導入することができる。気体供給流は、好ましくは、この撹拌手段によって反応液体全体に十分に分散される。幾つかの態様においては、反応器システムに、複数の再循環ライン(この中で種々の成分をプロセスの他の部分から反応媒体中に再循環して戻す)、及び種々の蒸気パージライン(更なる処理などにかけることができる)を更に含ませることができる。当業者に容易に理解されるように、全ての排出及び他の蒸気パージラインは1以上のスクラバーシステム139に接続され、全ての凝縮性成分は、蒸気流を大気中に放出する前に最終的にカルボニル化反応器中に再循環して戻されることを理解すべきである。
【0056】
[0062]幾つかの態様においては、気体パージ流106を反応器104からスクラバーシステム139に排出して、気体状副生成物の蓄積を阻止し、一酸化炭素分圧及び/又は全反応器圧力を制御することができる。反応器システムには、反応器の温度を制御するためにポンプアラウンドループ103を更に含ませることができる。
【0057】
[0063]幾つかの態様においては、反応媒体は、金属触媒、又は第9族金属触媒、或いはロジウム及び/又はイリジウムを含む触媒を含む。幾つかの態様においては、反応媒体はロジウム触媒を含む。
【0058】
[0064]幾つかの態様においては、触媒系のロジウム成分は、ロジウムと、配位化合物の少なくとも1つのリガンドを与えるハロゲン成分との配位化合物の形態で存在すると考えられる。ロジウムとハロゲンの配位に加えて、一酸化炭素がロジウムと配位するとも考えられている。幾つかの態様においては、触媒系のロジウム成分は、ロジウム金属、酸化物、酢酸塩、ヨウ化物、炭酸塩、水酸化物、塩化物などのようなロジウム塩、或いは反応雰囲気中でロジウムの配位化合物を形成する他の化合物の形態のロジウムを反応区域中に導入することによって与えることができる。別の態様においては、カルボニル化触媒は、液体反応媒体中に分散しているか、或いは不活性の固体上に担持されているロジウムを含む。ロジウムは任意の多くの形態で反応システム中に導入することができ、活性触媒複合体内におけるロジウム成分の実際の特質は不確かである場合がある。
【0059】
[0065]幾つかの態様においては、反応器内の触媒濃度は、反応媒体の全重量を基準として約200〜約5000重量ppmの量に維持する。
[0066]幾つかの態様においては、反応媒体にはハロゲン含有触媒促進剤を更に含ませることができる。好適な例としては、有機ハロゲン化物、アルキル、アリール、及び置換アルキル又はアリールハロゲン化物が挙げられる。幾つかの態様においては、ハロゲン含有触媒促進剤は、アルキル基がカルボニル化する供給アルコールのアルキル基に対応しているアルキルハロゲン化物の形態で存在する。而して、メタノールの酢酸へのカルボニル化において、ハロゲン化物促進剤としては、ハロゲン化メチル、又はヨウ化メチル(MeI)が挙げられる。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として約5重量%以上のMeIを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、約5重量%以上で約50重量%以下のMeIを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として、約7重量%又は10重量%以上のMeIで、約30重量%又は20重量%以下のMeIを含む。
【0060】
[0067]幾つかの態様においては、用いる液体反応媒体には触媒系と適合性の任意の溶媒を含ませることができ、純粋なアルコール、又はアルコール供給材料及び/又は生成物カルボン酸及び/又はこれらの2つの化合物のエステルの混合物を挙げることができる。幾つかの態様においては、液体反応媒体において用いる溶媒は酢酸(AcOH)を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は約50重量%以上のAcOHを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、約50重量%以上で約90重量%以下のAcOHを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として約50重量%又は60重量%以上のAcOHで、約80重量%又は70重量%以下のAcOHを含む。
【0061】
[0068]幾つかの態様においては、反応媒体は少なくとも限定濃度の水を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は検出しうる量の水を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は約0.001重量%以上の水を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、約0.001重量%以上で約14重量%以下の水を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として、約0.05重量%、又は0.1重量%、又は0.5重量%、又は1重量%、又は2重量%、又は3重量%、或いは4重量%以上の水で、約10重量%又は5重量%以下の水を含む。
【0062】
[0069]幾つかの態様においては、反応媒体は、カルボン酸生成物と、カルボニル化において用いるアルコールとのエステルを更に含む。幾つかの態様においては、反応媒体は酢酸メチルを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は約0.5重量%以上の酢酸メチル(MeAc)を含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、約1重量%以上で約50重量%以下のMeAcを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として、約1.5重量%、又は2重量%、或いは3重量%以上のMeAcで、約20重量%又は10重量%以下のMeAcを含む。
【0063】
[0070]幾つかの態様においては、反応媒体は、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンに加えて更なるヨウ化物イオンを更に含む。幾つかの態様においては、ヨウ化物イオン濃度は、ヨウ化物塩又はヨウ化リチウム(LiI)によって与えられる。幾つかの態様においては、反応媒体は低い水濃度下に維持し、酢酸メチル及びヨウ化リチウムを、速度促進剤として機能するのに十分な濃度で存在させる(US−5001259を参照)。
【0064】
[0071]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化物イオン濃度の少なくとも一部は、金属ヨウ化物塩、或いは有機カチオン、又は第4級アミン、ホスフィンなどをベースとするカチオンのヨウ化物塩に由来する。幾つかの態様においては、ヨウ化物は、金属塩、第1族又は第2族のヨウ化物塩である。幾つかの態様においては、反応媒体はアルカリ金属ヨウ化物又はヨウ化リチウムを含む。幾つかの態様においては、ヨウ化物濃度は、ヨウ化水素として存在するヨウ化物イオンよりも多い。幾つかの態様においては、反応媒体は、約2重量%より高い全ヨウ化物イオン濃度を生成させるのに十分な量のヨウ化物塩又はヨウ化リチウムを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として約2重量%以上で約40重量%以下の全ヨウ化物イオン濃度を生成させるのに十分な量のヨウ化物塩又はヨウ化リチウムを含む。幾つかの態様においては、反応媒体は、反応媒体の全重量を基準として、約5重量%、又は10重量%、或いは15重量%以上のヨウ化物イオンで、約30重量%又は20重量%以下のヨウ化物イオンを含む。
【0065】
[0072]幾つかの態様においては、反応媒体には、反応器内に存在する水素分圧にしたがって測定される水素を更に含ませることができる。幾つかの態様においては、反応器内の水素の分圧は、約0.7kPa(0.1psia)、又は3.5kPa(0.5psia)、或いは6.9kPa(1psia)以上で、約1.03MPa(150psia)、又は689kPa(100psia)、又は345kPa(50psia)、或いは138kPa(20psia)以下である。
【0066】
[0073]幾つかの態様においては、反応器温度、即ち反応媒体の温度は約150℃以上である。幾つかの態様においては、反応器温度は、約150℃以上で約250℃以下である。幾つかの態様においては、反応器温度は、約180℃以上で約220℃以下である。
【0067】
[0074]幾つかの態様においては、反応器内の一酸化炭素分圧は約200kPa以上である。幾つかの態様においては、CO分圧は、約200kPa以上で約3MPa以下である。幾つかの態様においては,反応器内のCO分圧は、約300kPa、又は400kPa、或いは500kPa以上で、約2MPa又は1MPa以下である。全反応器圧力は、その中に存在する全ての反応物質、生成物、及び副生成物の分圧の合計を表す。幾つかの態様においては、全反応器圧力は、約1MPa以上で約4MPa以下である。
【0068】
[0075]幾つかの態様においては、液体反応媒体を、その中の一定のレベルを維持するのに十分な速度で、カルボニル化反応器104から引き抜いて、反応器内に存在するよりも低い圧力を有するフラッシャー112中に送り、その頂部と底部の間の中間の位置においてフラッシャー112に導入する。フラッシャーにおいては、揮発性がより低い成分、即ち触媒溶液を底流110(主として、ロジウム及びヨウ化物塩を、より少量の酢酸メチル、ヨウ化メチル、酢酸、及び水と共に含む酢酸)として排出し、反応媒体中に再循環して戻す。フラッシャーの塔頂流122は、主として生成物酢酸を、ヨウ化メチル、酢酸メチル、水、及びPRCと共に含む。一酸化炭素の一部、並びにメタン、水素、二酸化炭素などのような気体状副生成物も、フラッシャーの頂部から排出される可能性がある。
【0069】
[0076]
軽質留分回収/酢酸生成物分離システム及び方法:
[0077]幾つかの態様においては、フラッシャー112からの塔頂流は、当該技術においてストリッパーカラムとも呼ばれる軽質留分カラム124に流れ122として送り、ここで蒸留によって、本発明においては第1の塔頂流126とも呼ぶ低沸点の塔頂蒸気流126、及び幾つかの態様においては側流として取り出される精製された酢酸生成物流128を生成させる。軽質留分カラム124は高沸点の残渣流116を更に生成し、これは更なる精製にかけることができ、及び/又は反応媒体中に再循環して戻すことができる。
【0070】
[0078]幾つかの態様においては、第1の塔頂流126を凝縮し、次に本発明において塔頂デカンターとも呼ぶ塔頂相分離ユニット134に送る。幾つかの態様においては、第1の塔頂流126は、ヨウ化メチル、酢酸メチル、酢酸、水、及び少なくとも1種類のPRCを含む。幾つかの態様においては、凝縮された第1の塔頂流126を、水、酢酸、ヨウ化メチル、酢酸メチル、及び少なくとも1種類の過マンガン酸塩還元性化合物(PRC)、例えばアセトアルデヒドを含む軽質水相135;並びにヨウ化メチル、酢酸メチルを含む重質相137(これも少なくとも1種類のPRCを含む可能性がある)に分離する。
【0071】
[0079]幾つかの態様においては、重質相137の少なくとも一部、軽質相135の少なくとも一部、又はこれらの組合せを、それぞれライン118及び114を通して反応媒体に戻す。幾つかの態様においては、必要に応じて、軽質相流135の一部を流れ114で反応媒体に再循環して、反応媒体に水を供給することができる。幾つかの態様においては、重質相137は118を通して反応器に再循環する。
【0072】
[0080]幾つかの態様においては、軽質相135、重質相137、又はこれらの組合せを、流れ142を通して1以上の精製プロセス108、例えばアルデヒド除去システムに送る。その結果として精製された流れは、次に1以上の流れ(集合的に155と呼ぶ)によってプロセスに戻す。
【0073】
[0081]軽質液相135の具体的な組成は広く変化する可能性があるが、幾つかの代表的な組成を下表1に与える。
【0075】
[0082]一態様においては、塔頂デカンター134は、低い界面レベルを維持してヨウ化メチルの過剰の保持を防ぐように配置及び構成する。重質液相137の具体的な組成は広く変化する可能性があるが、幾つかの代表的な組成を下表2に与える。
【0077】
[0083]示してはいないが、軽質液相135及び/又は重質液相137の一部を分離してアセトアルデヒド又はPRC除去システムに送って、アセトアルデヒドを除去しながらヨウ化メチル及び酢酸メチルを回収することができる。表1及び2において示されるように、軽質液相135及び/又は重質液相137はそれぞれPRCを含み、本方法には、酢酸生成物の品質を低下させるアセトアルデヒドのようなカルボニル不純物を除去することを含ませることができ、これらは、米国特許6,143,930;6,339,171;7,223,883;7,223,886;7,855,306;7,884,237;8,889,904;及び米国公開2006/0011462;(これらはその全部を参照として本明細書中に包含する)に記載されているような好適な不純物除去カラム及び吸収装置で除去することができる。アセトアルデヒドのようなカルボニル不純物は、ヨウ化物触媒促進剤と反応してアルキルヨウ化物、例えばヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、ヨウ化ブチル、ヨウ化ペンチル、ヨウ化ヘキシル等を形成する可能性がある。また、多くの不純物はアセトアルデヒドに由来するので、液体軽質相からカルボニル不純物を除去することが望ましい。
【0078】
[0084]アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給される軽質液相135及び/又は重質液相137の部分は、軽質液相133及び/又は重質液相134のいずれかの質量流量の1%〜99%、例えば1〜50%、2〜45%、5〜40%、5〜30%、又は5〜20%で変化させることができる。また幾つかの態様においては、軽質液相135及び重質液相137の両方の一部をアセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない軽質液相135の部分は、本明細書に記載するように第1のカラムに還流するか又は反応器に再循環することができる。アセトアルデヒド又はPRC除去システムに供給されない重質液相137の部分は、反応器に再循環することができる。重質液相137の一部を第1のカラムに還流することができるが、ヨウ化メチルが富化されている重質液相137を反応器に戻すことがより望ましい。
【0079】
[0003]一態様においては、軽質液相135及び/又は重質液相137の一部を蒸留カラムに供給して、その塔頂流を濃縮してアセトアルデヒド及びヨウ化メチルを有するようにする。構成に応じて、2つの別々の蒸留カラムを存在させることができ、第2のカラムの塔頂流をアセトアルデヒド及びヨウ化メチルで富化させることができる。in-situで形成される可能性があるジメチルエーテルも、塔頂流中に存在する可能性がある。塔頂流は1以上の抽出段階にかけて、ヨウ化メチルが富化されたラフィネート及び抽出剤を除去することができる。ラフィネートの一部は、蒸留カラム、第1のカラム、塔頂デカンター、及び/又は反応器に戻すことができる。例えば、重質液相137をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を蒸留カラム又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。また、例えば軽質液相135をPRC除去システム内で処理する場合には、ラフィネートの一部を、第1のカラム、塔頂デカンター、又は反応器のいずれかに戻すことが望ましい可能性がある。幾つかの態様においては、抽出剤は更に蒸留して水を除去することができ、これは1以上の抽出段階に戻す。軽質液相135よりも多くの酢酸メチル及びヨウ化メチルを含むものも、反応器104に再循環、及び/又は第1のカラム124に還流することができる。
【0080】
好適な精製プロセスとしては、US−6143930;US−6339171;US−7223883;US−7223886;US−8076507;US−20130303800;US−20130310603;US−20090036710;US−20090062525;US−20120132515;US−20130026458;US−201300116470;US−20130204014;US−20130261334;US−20130264186;又は201330281735;(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)に開示されているものが挙げられる。
【0081】
生成物精製システム及びプロセス:
[0085]幾つかの態様においては、酢酸流128は乾燥カラム130などにおいて更なる精製にかけることができ、ここで酢酸をカラム塔底流として回収し、水性塔頂流を塔頂デカンター148内に回収し、その一部は反応器104に戻す前に乾燥カラム130中に還流して戻すことができる。他の態様は、酢酸を、重質留分カラムに送る(WO−0216297を参照)か、及び/又は、ここでより完全に記載するように、樹脂床又は保護カラム200内で1以上の吸収剤、吸着剤、又はイオン交換樹脂と接触させて、プロセスの生成物精製セクション内で種々の不純物などを除去する(US−6657078を参照)ことを含む。示されるように、乾燥カラム130によって、酢酸側流128を、主として水を含む塔頂流、及び主として酢酸を含む塔底流に分離する。塔頂流は、相分離ユニット、例えばデカンター148内で冷却及び凝縮させて、軽質相及び重質相を形成する。示されるように、軽質相の一部を還流し、軽質相の残りは反応器に戻す。通常は水及びヨウ化メチルを含むエマルジョンである重質相は、好ましくはその全部を反応器に戻す。乾燥カラム塔頂流の軽質相に関する代表的な組成を下表3に与える。
【0083】
[0086]幾つかの態様においては、乾燥カラム130に導入する前に、KOHのような少量のアルカリ成分を側流128に加えることができる。他の態様においては、アルカリ成分は、乾燥カラム130に導入する流れ128と同じ高さレベルか、又は乾燥カラム130に導入する流れ128の高さレベルよりも上方の高さにおいて乾燥カラム130に加えることもできる。かかる添加によってカラム内のHIを中和することができる。
【0084】
[0087]幾つかの態様においては、乾燥カラム塔底流は酢酸を含むか又はこれから実質的に構成されるようにすることができる。幾つかの態様においては、乾燥カラム塔底流は、90重量%より多く、例えば95重量%より多く、又は98重量%より多い量の酢酸を含む。幾つかの態様においては、この流れはまた実質的に無水で、例えば、0.15重量%未満の水、例えば0.12重量%未満の水、又は0.1重量%未満の水を含む。しかしながら、議論したように、この流れは種々のレベルの不純物を含む可能性がある。
【0085】
[0088]
図1においては、粗酸生成物は、乾燥カラム塔底流146中に残渣として排出される。幾つかの態様においては、乾燥カラム130からの粗酸生成物は、カラム130の底部よりも僅かに上方の位置において側流から回収することができる。この側流は、液相又は蒸気相で排出される可能性がある。蒸気相で排出される場合には、アルカリ性汚染物質、例えばリチウム汚染物質を除去する前に更なる凝縮及び冷却が必要な可能性がある。例えば、粗酸生成物はカラムの下部部分から側流として回収することができ、一方、乾燥カラム130の底部から残渣流を排出し、取り出すか又は再循環する。この側流は粗酢酸生成物を含み、リチウムを除去するためにカチオン交換樹脂に送る。これによって、残渣流中の粗酸生成物から、より高沸点のフラクションを分離することを可能にすることができる。幾つかの態様においては、残渣流は廃棄するか又はプロセス100からパージする。
【0086】
[0089]幾つかの態様においては、乾燥カラム130によって生成する粗酸生成物は、商業的使用のために貯蔵又は輸送する前に、一連の金属官能化ヨウ化物除去イオン交換樹脂に通すことによって更に処理する。幾つかの態様においては、酢酸を製造するプロセスは、リチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の量の酢酸リチウムの濃度を維持することを更に含む。幾つかの態様においては、所定量のリチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.1〜1.3重量%の量のヨウ化水素の濃度を維持する。幾つかの態様においては、カルボニル化反応器内に存在する反応媒体の全重量を基準として、ロジウム触媒の濃度は反応媒体中において300〜3000wppmの量に維持し、水の濃度は反応媒体中において0.1〜4.1重量%の量に維持し、酢酸メチルの濃度は反応媒体中において0.6〜4.1重量%に維持する。
【0087】
[0090]幾つかの態様においては、反応器中に導入するリチウム化合物は、酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、他の有機リチウム塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応媒体中に可溶である。一態様においては、リチウム化合物の源物質として酢酸リチウム二水和物を用いることができる。
【0088】
[0091]酢酸リチウムは、次の平衡反応(I):
【0090】
にしたがってヨウ化水素と反応して、ヨウ化リチウム及び酢酸を形成する。
[0092]酢酸リチウムは、反応媒体中に存在する酢酸メチルのような他のアセテートに対してヨウ化水素濃度の改良された制御を与えると考えられる。理論には縛られないが、酢酸リチウムは酢酸の共役塩基であり、したがって酸−塩基反応によってヨウ化水素に対して反応性である。この特性は、酢酸メチルとヨウ化水素の対応する平衡によって生成するものを上回って反応生成物を有利に生成する反応(I)の平衡をもたらすと考えられる。この改良された平衡は、反応媒体中の4.1重量%未満の水の濃度によって推進される。更に、酢酸メチルと比べて比較的低い酢酸リチウムの揮発性によって、酢酸リチウムを、揮発損失及び蒸気粗生成物中への少量の同伴を除いて反応媒体中に保持することが可能になる。これに対して、酢酸メチルの比較的高い揮発性により、材料が精製系列中に留出して、酢酸メチルを制御するのがより困難になる。酢酸リチウムは、ヨウ化水素の安定して低い濃度において、プロセス中に保持及び制御するのが遙かにより容易である。したがって、反応媒体中のヨウ化水素濃度を制御するのに必要な酢酸メチルの量と比べて比較的少量の酢酸リチウムを用いることができる。更に、酢酸リチウムはロジウム[I]錯体へのヨウ化メチルの酸化的付加を促進するのに酢酸メチルよりも少なくとも3倍有効であることが見出された。
【0091】
[0093]幾つかの態様においては、電位差滴定終点までの過塩素酸滴定によって求めて、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.3重量%以上、又は0.35重量%以上、又は0.4重量%以上、又は0.45重量%以上、或いは0.5重量%以上に維持し、及び/又は幾つかの態様においては、反応媒体中の酢酸リチウムの濃度は、0.7重量%以下、又は0.65重量%以下、又は0.6重量%以下、或いは0.55重量%以下に維持する。
【0092】
[0094]反応媒体中の過剰の酢酸リチウムは、反応媒体中の他の化合物に悪影響を与えて生産性を減少させる可能性があることが見出された。これとは逆に、約0.3重量%より低い反応媒体中の酢酸リチウム濃度は、反応媒体中のヨウ化水素濃度に対する制御の欠落をもたらすことが見出された。
【0093】
[0095]幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応媒体中に連続的又は断続的に導入することができる。幾つかの態様においては、リチウム化合物は反応器の始動中に導入する。幾つかの態様においては、リチウム化合物は同伴損失を補償するために断続的に導入する。
【0094】
[0096]カルボニル化反応器内の酢酸リチウムの促進効果を示すため、及びロジウム錯体:Li[RhI
2(CO)
2]へのヨウ化メチルの酸化的付加に対する酢酸リチウムの効果を求めるために行った一連の実験によって、反応速度に対する酢酸リチウムの促進効果が確認された。酢酸リチウム濃度の増加に相関する反応速度の直線的増加が観察された。この相関は、ヨウ化メチルとLi[RhI
2(CO)
2]との間の反応の一次促進効果を示した。これらの実験によってゼロでない阻害が更に示され、これにより、酢酸リチウムはMeI−Rh(I)の反応を起こすためには必須ではないが、酢酸リチウムは低い濃度においても相当な促進効果を与えることが確認された。
【0095】
[0097]幾つかの態様においては、本方法には、生成物酢酸から酢酸ブチルを直接除去することなく、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に維持することを更に含ませることができる。幾つかの態様においては、最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は、反応媒体からアセトアルデヒドを除去すること、例えば反応媒体から誘導される流れからアセトアルデヒドを除去することにより、及び/又は、反応温度、及び/又は水素分圧、及び/又は反応媒体中の金属触媒濃度を制御することによって、10ppmより低く維持することができる。幾つかの態様においては、150℃〜250℃のカルボニル化反応温度、0.3〜2気圧のカルボニル化反応器内の水素分圧、反応媒体の全重量を基準として100〜3000wppmの反応媒体中のロジウム金属触媒濃度、及び/又は1500ppm以下の反応媒体中のアセトアルデヒド濃度の1以上を制御することによって、最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を維持する。
【0096】
[0098]幾つかの態様においては、ここに開示する方法の幾つかの態様にしたがって形成される酢酸生成物は、酢酸生成物の全重量を基準として10wppm以下、又は9wppm以下、又は8wppm以下、又は6wppm以下、或いは2wppm以下の酢酸ブチル濃度を有する。幾つかの態様においては、酢酸生成物は、酢酸ブチルを実質的に含まず、即ち0.05wppm未満の酢酸ブチル濃度であるか、或いは当該技術において公知の検出手段によって検出不能である。幾つかの態様においては、酢酸生成物はまた、250wppm未満、又は225ppm未満、或いは200wppm未満のプロピオン酸濃度を有することもできる。
【0097】
[0099]幾つかの態様においては、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は、反応媒体中のアセトアルデヒドの濃度を制御することによって制御することができる。理論に縛られることは望まないが、酢酸ブチルはアセトアルデヒドのアルドール縮合に起因する副生成物であると考えられる。本出願人は、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度を1500wppm未満に維持することによって、最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度を10wppmより低く制御することができることを見出した。幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度は、反応媒体の全重量を基準として1500wppm以下、又は900wppm以下、又は500wppm以下、或いは400wppm以下に維持する。
【0098】
[0100]幾つかの態様においては、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度は、カルボニル化反応器の反応温度を150℃又は180℃以上で、250℃又は225℃以下の温度に制御することによって制御することができ;及び/又は、カルボニル化反応器中の水素分圧は、0.3気圧、又は0.35気圧、又は0.4気圧、或いは0.5気圧以上で、2気圧、又は1.5気圧、或いは1気圧以下に制御することができる。
【0099】
[0101]比較的高い水素分圧によって、向上した反応速度、選択性、向上した触媒活性、及び低下した温度がもたらされるが、本出願人は、水素分圧が上昇するにつれて、酢酸ブチルなどの不純物の生成も増加することを見出した。
【0100】
[0102]幾つかの態様においては、水素分圧は、一酸化炭素源物質中に存在する水素の量を変化させ、及び/又は反応器排出流を増加又は減少させてカルボニル化反応器内の所望の水素分圧を得ることによって制御することができる。
【0101】
[0103]最終酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度に対する水素分圧及び反応媒体中のアセトアルデヒド濃度の効果を示すために、一連の実験を行った。これらの実験により、最終酢酸生成物中の減少した酢酸ブチル濃度と、反応媒体中の比較的低いアセトアルデヒド濃度、及び/又はカルボニル化反応器内の比較的低い水素分圧の間の相関が確認された。反応器内のアセトアルデヒド濃度を1500ppmより低く維持し、反応器水素分圧を0.6気圧より低く維持した実験によって、最終酢酸生成物中において10wppmより低い酢酸ブチルレベルが得られた。他の実験によって、1500wppmより低い反応器内のアセトアルデヒド濃度、及び0.46気圧の反応器水素分圧によって、最終酢酸生成物中において8wppm未満の酢酸ブチル濃度が得られたことが示された。水素分圧が0.30気圧であった同様の条件によって6wppmより低い酢酸ブチルレベルが得られ、0.60気圧の水素分圧によって最終酢酸生成物中において0.2wppmより低い酢酸ブチル濃度が得られた。しかしながら、水素分圧がそれぞれ0.4及び0.3であったが、アルデヒド除去システムが存在しておらず、反応器内のアセトアルデヒド濃度が1500wppmより高かった比較実験では、それぞれ13wppm及び16wppmの酢酸ブチルレベルを有する最終酢酸生成物が得られた。
【0102】
[0104]本出願人は、最終酢酸生成物中のプロピオン酸の濃度は、酢酸生成物中の酢酸ブチルの濃度によって影響を受ける可能性があることを更に見出した。したがって、最終酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に制御することによって、最終酢酸生成物中のプロピオン酸の濃度を、250wppm未満、又は225wppm未満、或いは200wppm未満に制御することができる。更に、メタノール源物質中に不純物として存在する可能性がある反応器供給流中のエタノールの含量を制御することによって、最終酢酸生成物中のプロピオン酸及び酢酸ブチル濃度を制御することもできる。幾つかの態様においては、カルボニル化反応器に供給されるメタノール中のエタノールの濃度は、150wppm以下に制御する。幾つかの態様においては、存在していたとしても、反応器へのメタノール供給流中のエタノール濃度は、100wppm、又は50wppm、或いは25wppm以下である。
【0103】
[0105]本出願人は、ヨウ化エチルの形成は、反応媒体中のアセトアルデヒド、酢酸エチル、酢酸メチル、及びヨウ化メチルの濃度などの数多くの変数によって影響を受ける可能性があることを更に見出した。更に、メタノール源物質中のエタノール含量、水素分圧、及び一酸化炭素源物質中の水素含量は、反応媒体中のヨウ化エチル濃度、及びその結果として最終酢酸生成物中のプロピオン酸濃度に影響を与えることが見出された。
【0104】
[0106]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、750wppm以下、又は650wppm以下、又は550wppm以下、又は450wppm以下、或いは350wppm以下になるように維持/制御する。別の態様においては、反応媒体中のヨウ化エチルの濃度は、1wppm、又は5wppm、又は10wppm、又は20wppm、或いは25wppm以上で、650wppm、又は550wppm、又は450wppm、或いは350wppm以下に維持/制御する。
【0105】
[0107]幾つかの態様においては、酢酸生成物中のプロピオン酸濃度は、更に、反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750wppm以下に維持することによって、酢酸生成物からプロピオン酸を除去することなく、250wppmより低く維持することができる。
【0106】
[0108]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度と酢酸生成物中のプロピオン酸は、3:1〜1:2、又は5:2〜1:2、或いは2:1〜1:2の重量比で存在していてよい。幾つかの態様においては、反応媒体中のアセトアルデヒド:ヨウ化エチル濃度は、2:1〜20:1、又は15:1〜2:1、或いは9:1〜2:1の重量比に維持する。
【0107】
[0109]幾つかの態様においては、反応媒体中のヨウ化エチル濃度は、水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、ヨウ化メチル濃度、及び/又はアセトアルデヒド濃度の少なくとも1つを制御することによって維持することができる。
【0108】
[0110]エチルの形成に対するアセトアルデヒド及び他の反応条件の効果を求めるために行った一連の実験によって、反応媒体中のアセトアルデヒド濃度とヨウ化エチル濃度との間の関係、及びヨウ化エチルの反応器濃度と最終酢酸生成物中のプロピオン酸の濃度との間の関係が示された。一般に、反応媒体中において750wppm未満のヨウ化エチル濃度及び1500wppm未満のアセトアルデヒド濃度によって、酢酸生成物中における250wppm未満のプロピオン酸濃度が得られた。
【0109】
ヨウ化物除去床/イオン交換樹脂の使用:
[0111]幾つかの態様においては、生成物酢酸流はハロゲン化物(例えばヨウ化物)及びリチウムで汚染されている可能性があり、所定範囲の運転条件下において、酸形態のカチオン交換樹脂、次に銀、水銀、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含む酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂と接触させることができる。幾つかの態様においては、イオン交換樹脂組成物は固定床内で与える。汚染されているカルボン酸流を精製するために固定ヨウ化物除去床を用いることは、当該技術において十分に文書で記載されている(例えば、米国特許4,615,806;5,653,853;5,731,252;及び6,225,498(これらの全部を参照として本明細書中に包含する)を参照)。一般に、汚染されている液体カルボン酸流を、一連の静止固定床を通して流すことによって上述のイオン交換樹脂組成物と接触させる。リチウム汚染物質は、酸形態のカチオン交換体によって除去する。次に、金属交換されたイオン交換樹脂の金属と反応させて金属ヨウ化物を形成することによって、ハロゲン化物汚染物質、例えばヨウ化物汚染物質を除去する。幾つかの態様においては、ヨウ化物と会合することができる炭化水素基、例えばメチル基がカルボン酸とエステル化する可能性がある。例えば、ヨウ化メチルで汚染されている酢酸の場合には、ヨウ化物除去の副生成物として酢酸メチルが生成する。このエステル化生成物の形成は、通常は処理されたカルボン酸流に対して有害な影響を与えない。
【0110】
[0112]同様のヨウ化物汚染の問題が、ロジウム−ヨウ化物触媒系を用いて製造される無水酢酸においても存在する可能性がある。而して、本発明方法は、或いは粗無水酢酸生成物流の精製において用いることができる。
【0111】
[0113]本発明において金属イオン汚染物質を除去するために好適な酸形態のカチオン交換体としては、強酸カチオン交換樹脂、例えば強酸巨大網状又はマクロ多孔質樹脂、例えばAmberlyst(登録商標)15樹脂(DOW)、Purolite C145、又はPurolite CT145を挙げることができる。樹脂はまた、酸形態の強酸カチオン交換メソ多孔質樹脂であってもよい。キレート樹脂及びゼオライトを用いることもできる。
【0112】
[0114]ヨウ化物除去のための銀又は水銀交換樹脂を製造するために本発明に関連して用いられる好適な安定なイオン交換樹脂は、通常は、巨大網状(マクロ多孔質)タイプの「強酸」、即ちスルホン酸カチオン交換樹脂として分類される「RSO
3H」タイプのものである。特に好適なイオン交換基材としては、昇温温度において用いるのに好適なAmberlyst(登録商標)15、Amberlyst(登録商標)35、及びAmberlyst(登録商標)36樹脂(DOW)が挙げられる。材料が対象の条件において有機媒体中で安定である、即ち許容できない量で化学的に分解或いは有機媒体中に銀又は水銀を放出しないならば、ゼオライトのような他の安定なイオン交換基材を用いることができる。ゼオライトカチオン交換基材は、例えば米国特許5,962,735(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)において開示されている。
【0113】
[0115]約50℃より高い温度においては、銀又は水銀交換カチオン基材は、500ppb以下のオーダーの少量の銀又は水銀を放出する傾向を有する可能性があり、而して、銀又は水銀交換基材は、対象の条件下において化学的に安定である。より好ましくは、銀の損失は、有機媒体中に100ppb未満、更により好ましくは有機媒体中に20ppb未満である。銀の損失は始動によって僅かに高くなる可能性がある。いずれにしても、所望の場合には、銀又は水銀交換材料の上流の酸形態のカチオン材料の床に加えて、酸形態のカチオン材料の床を銀又は水銀交換材料の下流に配置して、放出される銀又は水銀を捕捉することができる。
【0114】
[0116]交換樹脂との接触工程中の圧力は、樹脂の物理的強度のみによって制限される。一態様においては、接触は、0.1MPa〜1MPa、例えば0.1MPa〜0.8MPa、又は0.1MPa〜0.5MPaの範囲の圧力において行う。しかしながら、便宜上の理由で圧力及び温度の両方を、好ましくは汚染されているカルボン酸流が液体として処理されるように定めることができる。而して、例えば経済学的考察に基づいて一般に好ましい大気圧において運転する場合には、温度は、17℃(酢酸の凝固点)乃至118℃(酢酸の沸点)の範囲にすることができる。他のカルボン酸化合物を含む生成物流に関して同様の範囲を定めることは当業者の理解しうる範囲内である。接触工程の温度は、好ましくは樹脂の分解を最小にするのに十分に低く維持する。一態様においては、接触は、25℃〜120℃、例えば25℃〜100℃、又は50℃〜100℃の範囲の温度において行う。幾つかのカチオン巨大網状樹脂は、通常は、150℃の温度において(酸触媒芳香族脱スルホン化のメカニズムによって)大きく分解し始める。5個以下の炭素原子、例えば3個以下の炭素原子を有するカルボン酸は、これらの温度において液体状態を維持する。而して、接触中の温度は、用いる樹脂の分解温度より低く維持しなければならない。幾つかの態様においては、運転温度は、液相運転並びにリチウム及び/又はハロゲン化物除去に関して所望の反応速度論と合致する樹脂の温度限界より低く維持する。
【0115】
[0117]酢酸精製系列内の樹脂床の構成は広く変化させることができるが、カチオン交換体は金属交換された樹脂の上流に配さなければならない。好ましい態様においては、樹脂床は最終乾燥カラムの後に配することができる。好ましくは、樹脂床は、粗酸生成物の温度が低く、例えば120℃未満、又は100℃未満である位置に配する。酸形態のカチオン交換樹脂と接触する流れ、及び金属交換された樹脂と接触する流れは、同じか又は異なる温度に調節することができる。例えば、酸形態のカチオン交換樹脂と接触する流れは、25℃〜120℃、例えば25℃〜85℃、40℃〜70℃、例えば40℃〜60℃の温度に調節することができ、一方、金属交換された樹脂と接触する流れは、50℃〜100℃、例えば50℃〜85℃、55℃〜75℃、又は60℃〜70℃の温度に調節することができる。上記で議論した有利性に加えて、より低い温度における運転によって、より高い温度における運転と比べて腐食がより少なくなる。より低い温度における運転によって、腐食金属汚染物質(これは上記で議論したように全体的な樹脂の寿命を減少させる可能性がある)の形成がより少なくなる。また、より低い運転温度によって腐食がより少なくなるので、有利なことに高価な耐腐食性金属で容器を形成する必要がなく、より低いグレードの金属、例えば標準的なステンレススチールを用いることができる。
【0116】
[0118]
図1に戻り、乾燥カラム塔底流はまずカチオン交換樹脂床200に通してリチウムイオンを除去する。1つのカチオン交換樹脂床200が示されているが、複数のカチオン交換樹脂床を直列又は並列で用いることができることを理解すべきである。カチオン交換床はまた、酢酸カリウム、炭酸カリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択されるカリウム塩として乾燥カラム130に加えた場合に流れの中に存在するカリウムのような他のカチオン、及び腐食金属を除去することもできる。得られる交換された流れ、例えば中間体酸生成物は、次に、銀、水銀、パラジウム、及びロジウムからなる群から選択される少なくとも1種類の金属を含む酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂床に通して、流れからヨウ化物を除去して精製された生成物146を生成させることができる。精製樹脂はブロック200によって示されているが、複数の金属交換されたイオン交換樹脂床を直列又は並列で用いることができることを理解すべきである。樹脂床に加えて、いずれかの樹脂床の前に熱交換器(図示せず)を配置して、流れ146及び182の温度を樹脂床と接触する前に適当な温度に調節することができる。同様に、粗酢酸生成物を、乾燥カラム側流からカチオン交換樹脂床に供給することができる。熱交換器又は凝縮器をいずれかの樹脂床の前に配置して、流れの温度を樹脂床と接触する前に適当な温度に調節することができる。
【0117】
[0119]一態様においては、樹脂床を通る流量は、0.1床体積/時(BV/時)〜50BV/時、例えば1BV/時〜20BV/時、又は6BV/時〜10BV/時の範囲である。有機媒体の床体積は、樹脂床によって占められる体積に等しい媒体の体積である。1BV/時の流量は、樹脂床によって占められる体積に等しい量の有機液体が1時間の間で樹脂床を通過することを意味する。
【0118】
[0120]樹脂床処理の結果として、精製された酢酸組成物が得られる。精製された酢酸組成物は、一態様においては、100wppb未満、例えば90wppb未満、50wppb未満、又は25wppb未満のヨウ化物を含む。一態様においては、精製された酢酸組成物は、100wppb未満、例えば50wppb未満、20wppb未満、又は10wppb未満のリチウムを含む。範囲に関しては、精製された酢酸組成物は、0〜100wppb、例えば0〜50wppbのヨウ化物;及び/又は0〜100wppb、例えば1〜50wppbのリチウム;を含むようにすることができる。他の態様においては、樹脂床によって、粗酢酸生成物からヨウ化物の少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。一態様においては、樹脂床によって、粗酢酸生成物からリチウムの少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、又は少なくとも75重量%を除去する。
【0119】
[0121]したがって幾つかの態様においては、生成物酢酸、又はプロセスの再循環流の1以上の中間体を、1以上の吸収剤、吸着剤、又はイオン交換樹脂(本発明においてはまとめて精製樹脂と呼ぶ)と接触させることができる。樹脂床又は保護カラム200内で酢酸を接触させて、種々の不純物を除去して最終酢酸生成物を生成させる。
【0120】
[0122]精製樹脂によって除去される不純物としては、アルキルヨウ化物を挙げることができる。特に、アルキルヨウ化物は1〜約20個の炭素原子を含む。他の不純物としては、クロム、ニッケル、鉄などのような種々の腐食金属が挙げられる。
【0121】
[0123]本発明の目的のために好適な精製樹脂としては、それらの活性部位の少なくとも1%が銀又は水銀形態に転化されている巨大網状強酸カチオン交換樹脂が挙げられる。樹脂と会合する銀又は水銀の量は、樹脂の活性部位の1〜100%、又は約25%〜約75%であってよく、或いは活性部位の少なくとも約50%を銀又は水銀形態に転化させることができる(US−4615806:その内容を参照として完全に本明細書中に包含する)。他の好適な例としては、液体ハロゲン化物汚染物質の酸を銀(I)交換された巨大網状樹脂と接触させることによって、ハロゲン化物不純物で汚染されている液体カルボン酸からハロゲン化物を除去することに関するUS−5139981が挙げられる。精製樹脂の好適な例としては、Amberlyst(登録商標)15樹脂(Rohm and Haas)、ゼオライトカチオンイオン交換基材(US−596273を参照)などが挙げられる。他の好適な精製樹脂及び方法としては、US−5227524、US−5801279、US−5220058、EP−0685445、及びUS−6657078(これらの内容は参照として本明細書中に完全に包含する)において開示されているものが挙げられる。
【0122】
[0124]幾つかの態様においては、酢酸は、用いる精製樹脂のタイプによって少なくとも約50℃、又は約60℃〜約100℃の温度、或いは約150℃以上の温度において精製樹脂と接触させる。
【0123】
[0125]幾つかの態様においては、カラムを通る酢酸の流量は約0.5〜約20床体積/時(BV/時)であってよく、ここで床体積は床中の樹脂によって占められる体積と定義される。幾つかの態様においては、流量は約6〜約10BV/時、又は約7〜8BV/時であってよい。
【0124】
[0126]幾つかの態様においては、カラムに、ピリジン又はピロリドン樹脂を含むアニオン性保護床を含ませることができる。本発明において用いる「ピリジン樹脂」、「ピリジン環含有ポリマー」、「ピリジンポリマー」などの技術用語は、置換又は非置換ピリジン環、或いはキノリン環のような置換又は非置換のピリジン含有多環縮合環を含むポリマーを指す。幾つかの態様においては、樹脂は、高い、即ち10重量%より高い架橋度を有していてよい。置換基としては、アルキル基及びアルコキシ基のようにメタノールカルボニル化プロセス条件に対して不活性のものが挙げられる。不溶性のピリジン環含有ポリマーの好適な例としては、ビニルピリジンとジビニルモノマーの反応、或いはビニルピリジンとジビニルモノマー含有ビニルモノマーの反応によって得られるもの、例えば4−ビニルピリジンとジビニルベンゼンのコポリマー、2−ビニルピリジンとジビニルベンゼンのコポリマー、スチレン、ビニルベンゼン、及びジビニルベンゼンのコポリマー、ビニルメチルピリジンとジビニルベンゼンのコポリマー、並びにビニルピリジン、メチルアクリレート、及びエチルジアクリレートのコポリマーが挙げられる(US−5334755(その開示事項は参照として本明細書中に包含する)を参照)。
【0125】
[0127]好適な「ピロリドン樹脂」、「ピロリドン環含有ポリマー」、ピロリドンポリマーなどとしては、置換又は非置換のピロリドン環を含むポリマーが挙げられる。置換基としては、アルキル基又はアルコキシ基のようにメタノールカルボニル化媒体に対して不活性のものを挙げることができる。不溶性のピロリドン環含有ポリマーの例としては、ビニルピロリドンとジビニルモノマー含有ビニルモノマーの反応によって得られるもの、例えばビニルピロリドンとジビニルベンゼンのコポリマーが挙げられる。ピロリドンポリマーの好適な例としては、US−5466874、US−5286826、US−4786699、US−4139688(これらの開示事項は参照として本明細書中に包含する)において開示されているもの、並びにIndianapolis,米国のReilley Tar and Chemical CorporationからReillex(登録商標)の商品名で入手できるものが挙げられる。
【0126】
[0128]幾つかの態様においては、窒素複素環含有ポリマーを、少なくとも10%、又は少なくとも15%若しくは20%で、50%、又は60%、或いは75%未満架橋して機械的強度を与えることができ、ここで「架橋度」とは、ジビニルモノマー又は他の架橋基の重量%による含量を指す。
【0127】
[0129]幾つかの態様においては、好適なピリジン又はピロリドン不溶性ポリマーには、遊離塩基形態、及び/又はN−オキシド形態、及び/又は4級化形態が含まれる。幾つかの態様においては、不溶性のピリジン又はピロリドン環含有ポリマーは、0.01〜2mm、又は0.1〜1mm、或いは0.25〜0.7mmの粒径を有するビーズ、又は顆粒形態、或いは球状形態であってよい。商業的に入手できるピリジン含有ポリマーとしては、Reillex-425(Reilly Tar and Chemical Corporation)、KEX-316、Kex-501、及びKEX-212(Koei Chemical Co., Ltd.の製品)などが挙げられる。
【0128】
[0130]幾つかの態様においては、生成物酢酸を、流れ146によってカラムの底部又はその付近において乾燥カラム130から排出し、精製樹脂を含むカラム内で1種類以上の樹脂と接触させる。本発明において用いる精製樹脂を含むカラムは、精製カラム、保護床アセンブリ又はカラム、或いは単純にカラムと呼ぶことができる。これらの用語は本発明においては互換的に用いられる。精製又は保護床アセンブリは、
図1において概して200として示されている。
【0129】
[0131]幾つかの態様においては、
図2に示すように、保護床アセンブリ200には1以上の処理装置、例えばカラム202及びカラム204を含ませることができ、それぞれは入口端(それぞれ206及び210)並びに出口端(それぞれ208及び212)を含む。入口は、内部チャンバー214及び216によって出口と離隔されている。所定量の精製樹脂218及び220が内部チャンバー内に配置されている。
【0130】
[0132]第1の濃度の不純物を有するプロセスからの酢酸146を、その中に不純物が存在していたとしても第1の不純物濃度よりも低い第2の濃度で存在する精製された酢酸流222を生成させるのに十分な温度及び流量で内部チャンバー214及び216を通して送って、精製樹脂218及び220と接触させる。したがって、不純物の第2の濃度は、ゼロ又はさもなければ検出不能にすることができる。
【0131】
[0133]幾つかの態様においては、保護床アセンブリには、酢酸を精製樹脂と接触させる温度を制御する熱交換器224及び226を更に含ませることができる。幾つかの態様においては、カラム202及び204は、頂部から底部へ重力によって下方に流れる栓流カラムである。しかしながら、底部入口端から頂部出口端へ重力に逆らって流れる装置も意図される。
【0132】
[0134]幾つかの態様においては、第1のカラム202には、第2のカラム204の入口端210と直接流体連絡している出口端208を含ませることができる。幾つかの態様においては、種々の装置の間に導管を配列して、複数のカラムのいずれかを第1の処理装置にすることができ、残りのカラムのいずれかをそれに続いて直列に配置することができる。幾つかの態様においては、複数のカラムを平行構成で配列することができる。
【0133】
[0135]幾つかの態様においては、第1のカラム202の精製樹脂218は、第2のカラム204内の精製樹脂220と相違させることができ、及び/又は第1のカラム202の温度を第2のカラム204の温度と相違させることができ、及び/又は第1のカラム202の内部チャンバー214の容積を第2のカラム204の内部チャンバー216の容積と相違させることができる。
【0134】
[0136]
図3に示すように、幾つかの態様においては、カラム400は、中心軸406の周りに放射状に配列されている複数の側部404によって結合されている内部チャンバー402を含む。幾つかの態様においては、カラム400は無限数の側部を含み、即ち円形の断面を有する。カラム400は、内部チャンバー402を貫通して出口端410と流体連絡していて、それから縦方向に離隔している入口端408を更に含む。幾つかの態様においては、カラム400は、少なくとも1つの側部404を貫通して配置されている複数のサンプリング口412を更に含む。サンプリング口は、固体サンプリング口、液体サンプリング口、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0135】
[0137]
図4に示すように、幾つかの態様においては、それぞれのサンプリング口412は、内部チャンバー402内に配置されている試料入口416と、開放位置(流れ制御部材420において示されている:例えばボールバルブのボール)と閉止位置(流れ制御部材418において示されている)の間で操作可能な第1の流れ制御部材418との間の第1の開放流路414を含み、流れ制御部材は外部環境422内で内部チャンバー402の外側に配置されている。「開放流路」という用語は、液体物質及び固体物質の両方がそれを通過するのを可能にするように寸法付けられて配置されている流路を指す。したがって、開放流路の相対寸法は、それを通過する固体又は半固体材料の平均粒径に対して定めなければならない。
【0136】
[0138]流れ制御部材が開放位置にある場合には、内部チャンバー402と外部環境422との間に流体連絡が存在する。幾つかの態様においては、第1の流路414及び第2の流路424は、対応する流れ制御部材(それぞれ418及び420)が開放位置にある場合には、それぞれ外部環境422と流体連絡している。流れ制御部材が閉止位置にある場合には、内部チャンバー402と外部環境422との間の流体連絡は阻止される。
【0137】
[0139]幾つかの態様においては、サンプリング口は、試料入口416と、内部チャンバー402の外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材420との間に配置されている多孔質部材426を含む第2の流路424を更に含む。
【0138】
[0140]幾つかの態様においては、第2の流路424は、試料入口416と第1の流れ制御部材418との間の第1の流路414の一部を含む。したがって、幾つかの態様においては、第2の流路は、第1の流路の「T型」又は「Y型」分岐として、第1の制御部材418を通って排出される試料が、第2の流れ制御部材420を通って排出される試料と同じ内部チャンバー402内の位置から回収されるようにすることができる。
【0139】
[0141]幾つかの態様においては、
図3に示すように、第1の流路414、第2の流路424、又は両方は、試料入口416と外部環境422との間に配置されている熱交換器428を更に含む。幾つかの態様においては、熱交換器428は、示されているように、流れ制御部材を過ぎた流路の部分に着脱可能に取り付けることができる。したがって、内部チャンバーが昇温温度にある場合に、熱交換器428(「試料冷却器」とも呼ぶ)、即ち氷水槽内の冷却配管を用いて内部チャンバー402の試料を獲得することができる。
【0140】
[0142]幾つかの態様においては、第1の流路414は、第1の流れ制御部材418を含む第1のバルブ434を備えた第1の出口端432を有する第1の導管430内に配置される。幾つかの態様においては、バルブは、ボールバルブ、ゲートバルブなどであってよい。幾つかの態様においては、第1のバルブは、粒状物質、例えば内部チャンバー402内に配置されているイオン交換樹脂が、試料を得た後にバルブを閉止するのを妨げるのを阻止するために、シートフラッシュシステム436を備えた過酷条件用ボールバルブである。
【0141】
[0143]幾つかの態様においては、第2の流路424は、少なくとも部分的に、第1の導管430への接続位置440において接続されており、第2の流れ制御部材420を含む第2のバルブ444を備えた第2の出口端442を有する第2の導管438内に配置されている。幾つかの態様においては、接続位置440又はその付近、第2の出口端442又はその付近、或いはこれらの組合せにおいて多孔質部材426が配置されている。幾つかの態様においては、多孔質部材は、スクリーン、多孔質フリット、フィルターエレメント、又はこれらの組み合わせを含み、概して446として示される。幾つかの態様においては、複数の多孔質部材を用いる場合には、部材の排除サイズを変化させることができる。例えば、幾つかの態様においては、内部チャンバー402内に含まれる粒状物質(例えば精製樹脂)の相対寸法に応じて、多孔質部材426のスクリーン又はフィルターエレメント446を、第1の位置においては100メッシュスクリーン、第2の下流の位置においては200メッシュスクリーンにすることができる。
【0142】
[0144]幾つかの態様においては、第1の開放流路414は、内部チャンバー402から液体450及び固体448の両方が、試料入口416から開放位置の第1の流れ制御部材418を通って外部環境422中に流れるのを可能にするように寸法付け及び配列し;第2の流路424は、内部チャンバー402内に存在する液体450が試料入口416から多孔質部材426を通り、開放位置の第2の流れ制御部材420を通って外部環境422中に流れるのを可能にする一方で、内部チャンバー402内に存在する固体又は半固体材料448の少なくとも一部が第2の流れ制御部材420を通って流れるのを排除するように寸法付け及び配列する。
【0143】
[0145]幾つかの態様においては、第1の流路414の少なくとも一部456を、それを貫通してサンプリング口412が配置されている側部404の内表面458から離れて内部チャンバー402中に延びる第1の導管430内に配置して、試料入口416が側部404から離隔して内部チャンバー402内に配置されるようにする。
【0144】
[0146]
図3に示すように、幾つかの態様においては、試料入口416は、それを貫通してサンプリング口412が配置されている側部404に配置する。
[0147]幾つかの態様においては、内部チャンバー402は、対向する側部404の間で中心軸406に直交して測定して、入口端408と出口端406の間で中心軸406に平行に測定される内部チャンバー402の平均長さ454の50%未満である平均内径452を有する。幾つかの態様においては、第1の導管430は複数の試料入口416を含む。幾つかの態様においては、単一の第1の導管430の複数の試料入口は全て、中心軸406に直交する面460と同一面上に配置される。
【0145】
[0148]幾つかの態様においては、サンプリング口412は、側部404の少なくとも一部に沿って、縦方向に(中心軸に平行な1以上の側部の少なくとも一部に沿って、入口端408から出口端410まで)実質的に等間隔462で配列されている。
【0146】
[0149]幾つかの態様においては、本方法は、内部チャンバー402が内部チャンバー402を少なくとも部分的に満たす量の精製樹脂448を含む、ここに開示する態様のいずれか又は組み合わせによる少なくとも1つ、好ましくは複数のサンプリング口412を含む、ここに開示する態様のいずれか又は組み合わせによるカラム400を提供することを含む。精製する流れ464、例えば第1の濃度の1種類以上の不純物を有する酢酸流及び/又は中間体生成物流を、次に、精製された液体流466、例えば第1の濃度よりも低い第2の濃度の不純物を有する精製された酢酸流及び/又は中間体生成物流を生成させるのに十分な温度及び流量で、カラムを通して入口端408から内部チャンバー402を通して送って精製樹脂448と接触させ、次に出口端410を通して送る。
【0147】
[0150]幾つかの態様においては、精製樹脂448は巨大網状強酸イオン交換樹脂を含み、樹脂の活性部位の少なくとも約1%は銀又は水銀形態に転化されており、温度は少なくとも約50℃であり、銀又は水銀交換されたイオン交換樹脂は、酢酸流中のC
1〜C
20有機ヨウ化物の少なくとも約90重量%を除去するのに有効である。
【0148】
[0151]幾つかの態様においては、精製樹脂448は、内部チャンバー402内において、複数の帯域468及び470(第1の帯域468は入口端408と第2の帯域470との間に配置されており、第2の帯域470は第1の帯域468と出口端410との間に配置されている)内に存在する。幾つかの態様においては、第1の帯域468内の精製樹脂は第2の帯域470内の精製樹脂と同一である。別の態様においては、第1の帯域468内の精製樹脂は第2の帯域470内の精製樹脂と異なる。幾つかの態様においては、第1の帯域468内の精製樹脂は非官能化巨大網状強酸イオン交換樹脂であり、第2の帯域470内の精製樹脂は、樹脂の活性部位の少なくとも約1%が銀又は水銀形態に転化されている巨大網状強酸イオン交換樹脂を含む。
【0149】
[0152]幾つかの態様においては、ここに開示する1以上の態様による方法は、第1のサンプリング口から液体450及び精製樹脂448を含む試料を得るのに十分な時間、第1の流れ制御部材418を閉止位置から開放位置に操作し、次に第1の流れ制御部材418を閉止位置に戻すこと、及び/又は第1のサンプリング口から液体450を含む試料を得るのに十分な時間、第2の流れ制御部材420を閉止位置から開放位置に操作し、次に第2の流れ制御部材420を閉止位置に戻すことを更に含む。
【0150】
[0153]幾つかの態様においては、本方法には、1以上の試料を分析して、対応するサンプリング口における1種類以上の不純物の1以上の濃度を求めることを更に含ませることができる。幾つかの態様においては、本方法には、バルブを操作する前にサンプリング口の出口に熱交換器を取り付けて、内部チャンバーの温度と比べて低下した温度を有する試料を得ることを更に含ませることができる。幾つかの態様においては、本方法には、第1のカラムの出口端が第2のカラムの入口端に直接流体連絡している複数のカラムを与えることを更に含ませることができる。
【0151】
[0154]図面及び上記に示した明細書から明らかなように、種々の態様が意図される。
E1.試料入口と、開放位置と閉止位置の間で操作可能な第1の流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び
試料入口と、独立して開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;
を含むサンプリング装置。
【0152】
E2.第2の流路が、試料入口と第1の流れ制御部材の間の第1の流路の一部を含む、態様E1のサンプリング装置。
E3.第1の流路及び第2の流路がそれぞれ、対応する流れ制御部材が開放位置にある際に外部環境と流体連絡している、態様E1又はE2のサンプリング装置。
【0153】
E4.第1の流路、第2の流路、又は両方が、試料入口と外部環境の間に配置されている熱交換器を更に含む、態様E1〜E3のいずれかのサンプリング装置。
E5.第1の流路が、第1の流れ制御部材を含む第1のバルブを装備した第1の出口端を有する第1の導管内に配置されており、
第2の流路が、少なくとも部分的に、第1の導管への接続位置に接続されており、第2の流れ制御部材を含む第2のバルブを装備した第2の出口端を有する第2の導管内に配置されている、態様E1〜E4のいずれかのサンプリング装置。
【0154】
E6.多孔質部材が、接続位置又はそれに近接して、第2の出口端又はそれに近接して、或いはこれらの組み合わせにおいて配置されている、態様E1〜E5のいずれかのサンプリング装置。
【0155】
E7.多孔質部材が、スクリーン、多孔質フリット、フィルターエレメント、又はこれらの組み合わせを含む、態様E1〜E6のいずれかのサンプリング装置。
E8.第1の開放流路が、液体および固体の両方が試料入口から開放位置の第1の流れ制御部材を通って外部環境中に流れるのを可能にするように寸法付け及び配列されており;
第2の流路が、液体が試料入口から多孔質部材を通り、開放位置の第2の流れ制御部材を通って外部環境中に流れるのを可能にする一方で、固体又は半固体材料の少なくとも一部が第2の流れ制御部材を通って流れるのを排除するように寸法付け及び配列されている、態様E1〜E7のいずれかのサンプリング装置。
【0156】
E9.中心軸の周りに放射状に配列されている複数の側部によって結合されている内部チャンバー;
内部チャンバーを貫通して出口端と流体連絡しており、それから縦方向に離隔している入口端;
少なくとも1つの側部を貫通して配置されている態様D1〜E8のいずれかの複数のサンプリング口;
を含む処理装置。
【0157】
E10.中心軸の周りに放射状に配列されている複数の側部によって結合されている内部チャンバー;
内部チャンバーを貫通して出口端と流体連絡しており、それから縦方向に離隔している入口端;
側部の少なくとも1つを貫通して配置されており、それぞれは、内部チャンバー内に配置されている試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び
試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;
を含む複数のサンプリング口;
を含む処理装置。
【0158】
E11.内部チャンバーが、対向する側部の間の中心軸に直交して測定して、入口端と出口端の間の中心軸に平行に測定される内部チャンバーの平均長さの50%未満である平均内径を有する、態様E9又はE10の処理装置。
【0159】
E12.第1の流路の少なくとも一部が、それを貫通してサンプリング口が配置されている側部の内表面から内部チャンバー中に延びる第1の導管内に配置されていて、試料入口は側部から離隔して内部チャンバー内に配置されるようになっている、態様E9〜E11のいずれかの処理装置。
【0160】
E13.第1の導管が複数の試料入口を含み、その全部は中心軸に直交する面と同一面上に配置されている、態様E9〜E12のいずれかの処理装置。
E14.サンプリング口が、側部の少なくとも一部に沿って縦方向に実質的に等間隔で配列されている、態様E9〜E13のいずれかの処理装置。
【0161】
E15.内部チャンバー内の精製樹脂を更に含む、態様E9〜E14のいずれかの処理装置。
E16.精製樹脂が、内部チャンバー内において複数の帯域内に存在する、態様E15の処理装置。
【0162】
E17.少なくとも2つの帯域の精製樹脂が異なる、態様E16の処理装置。
E18.態様E9〜E17のいずれかの処理装置を与え;
不純物の第1の濃度を有する酢酸流を、存在していたとしても第1の濃度よりも低い第2の濃度の不純物濃度を有する精製された酢酸流を生成させるのに十分な温度及び流量で、入口端から出口端を通して流す;
ことを含む方法。
【0163】
E19.中心軸の周りに放射状に配列されている複数の側部によって結合されている内部チャンバー;
内部チャンバーを貫通して出口端と流体連絡しており、それから縦方向に離隔している入口端;
それぞれが、
内部チャンバー内に配置されている試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び
試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;を含む、少なくとも1つの側部を貫通して配置されている複数のサンプリング口;
を含み;
内部チャンバーは、内部チャンバーを少なくとも部分的に満たす量の精製樹脂を更に含む;
処理装置を与え;
不純物の第1の濃度を有する酢酸流を、存在していたとしても第1の濃度よりも低い第2の濃度の不純物濃度を有する精製された酢酸流を生成させるのに十分な温度及び流量で、入口端から出口端を通して流す;
ことを含む方法。
【0164】
E20.精製樹脂が巨大網状強酸イオン交換樹脂を含み、樹脂の活性部位の少なくとも約1%は銀又は水銀形態に転化されており;温度は少なくとも約50℃であり、銀又は水銀交換されたイオン交換樹脂は、酢酸流中のC
1〜C
20有機ヨウ化物の少なくとも約90重量%を除去するのに有効であり、或いはこれらの組み合わせである、態様E18又はE19の方法。
【0165】
E21.精製樹脂が内部チャンバー内において複数の帯域内に存在し;
第1の帯域は入口端と第2の帯域との間に配置されており、第2の帯域は第1の帯域と出口端との間に配置されており、第1の帯域内の樹脂は非官能化巨大網状強酸イオン交換樹脂であり、第2の帯域は、樹脂の活性部位の少なくとも約1%が銀又は水銀形態に転化されている巨大網状強酸イオン交換樹脂を含む、態様E18〜E20のいずれかの方法。
【0166】
E22.個々に、少なくとも1つの第1のサンプリング口から液体及び精製樹脂を含む第1の試料を得るのに十分な時間、少なくとも1つのサンプリング口の第1の流れ制御部材を閉止位置から開放位置に操作し、次に閉止位置に戻し、少なくとも1つのサンプリング口から液体を含む第2の試料を得るのに十分な時間、少なくとも1つのサンプリング口の第2の流れ制御部材を閉止位置から開放位置に操作し、次に閉止位置に戻し、或いはこれらの組合せを行うことを更に含む、態様E18〜E21のいずれかの方法。
【0167】
E23.第1の試料、第2の試料、又は両方の1以上を分析して、対応するサンプリング口のそれぞれにおける1種類以上の不純物の1以上の濃度を求めることを更に含む、態様E22の方法。
【0168】
E24.流れ制御部材を操作する前に1以上のサンプリング口の出口に熱交換器を取り付けて、内部チャンバーの温度と比べて低下した温度を有する試料を得ることを更に含む、態様E18〜E23のいずれかの方法。
【0169】
E25.第1の処理装置の出口端が第2の処理装置の入口端に直接流体連絡している複数の処理装置を与えることを更に含む、態様E18〜E24のいずれかの方法。
E26.第1の処理装置の精製樹脂が第2の処理装置内の精製樹脂と異なり;第1の処理装置の温度が第2の処理装置の温度と異なり;第1の処理装置の内部チャンバーの容積が第2の処理装置の容積と異なり;或いはこれらの組み合わせである、態様E25の方法。
【0170】
E27.反応器内において、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種類の構成成分を、0.1乃至14重量%未満の水、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、及びヨウ化リチウムの存在下でカルボニル化して、酢酸を含む反応媒体を形成し;
反応媒体を、液体再循環流及び蒸気生成物流に分離し;
主精製系列中の2つ以下の蒸留カラム内において蒸気生成物流を分離して、リチウムカチオンを含む酢酸を含む粗酸生成物を生成させ;
第1の処理装置内において、粗酢酸生成物を酸形態のカチオン交換体と接触させて中間体酸生成物を生成させ;そして
第2の処理装置内において、中間体酢酸生成物を、酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂と接触させて精製された酢酸を生成させる;
ことを更に含み;
第1の処理装置、第2の処理装置、又は両方は、態様E9〜E17のいずれかのものである、態様E18〜E26のいずれかの方法。
【0171】
E28.反応器内において、メタノール、ジメチルエーテル、及び酢酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種類の構成成分を、0.1乃至14重量%未満の水、ロジウム触媒、ヨウ化メチル、及びヨウ化リチウムの存在下でカルボニル化して、酢酸を含む反応媒体を形成し;反応媒体を、液体再循環流及び蒸気生成物流に分離し;主精製系列中の2つ以下の蒸留カラム内において蒸気生成物流を分離して、リチウムカチオンを含む酢酸を含む粗酸生成物を生成させ;第1の処理装置内において、粗酢酸生成物を酸形態のカチオン交換体と接触させて中間体酸生成物を生成させ;そして、第2の処理装置内において、中間体酢酸生成物を、酸カチオン交換部位を有する金属交換されたイオン交換樹脂と接触させて精製された酢酸を生成させる;ことを更に含み;第1の処理装置、第2の処理装置、又は両方は、中心軸の周りに放射状に配列されている複数の側部によって結合されている内部チャンバー;内部チャンバーを貫通して出口端と流体連絡しており、それから縦方向に離隔している入口端;側部の少なくとも1つを貫通して配置されており、それぞれは、内部チャンバー内に配置されている試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な流れ制御部材との間の第1の開放流路;及び、試料入口と、内部チャンバーの外部に配置されている開放位置と閉止位置の間で操作可能な第2の流れ制御部材との間に配置されている多孔質部材を含む第2の流路;含む複数のサンプリング口;を含む方法。
【0172】
E29.第1の流路の少なくとも一部が、それを貫通してサンプリング口が配置されている側部の内表面から内部チャンバー中に延びる第1の導管内に配置されていて、試料入口は側部から離隔して内部チャンバー内に配置されるようになっている、態様E27又はE28の方法。
【0173】
E30.第1の導管が複数の試料入口を含み、その全部は中心軸に直交する面と同一面上に配置されている、態様E27〜E29のいずれかの方法。
E31.金属交換された樹脂の強酸交換部位の少なくとも1%が銀によって占められている、態様E27〜E30のいずれかの方法。
【0174】
E32.粗酸生成物が10ppm以下のリチウムを含む、態様E27〜E31のいずれかの方法。
E33.蒸気生成物流を分離することが、
第1の蒸留カラム内において蒸気生成物流を蒸留し、側流を回収して蒸留された酢酸生成物を得て;そして
第2の蒸留カラム内において、蒸留された酢酸生成物を蒸留して、酢酸及びリチウムカチオンを含む粗酸生成物を生成させる;
ことを含む、態様E27〜E32のいずれかの方法。
【0175】
E34.蒸留された酢酸生成物を第2の蒸留カラム内において蒸留する前に、酢酸カリウム、炭酸カリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択されるカリウム塩を蒸留された酢酸生成物に加える工程を更に含み、カリウムの少なくとも一部を酸形態のカチオン交換体によって除去する、態様E27〜E33のいずれかの方法。
【0176】
E35.粗酢酸生成物を、50℃〜120℃の温度でカチオン交換体と接触させる、態様E27〜E34のいずれかの方法。
E36.中間体酢酸生成物を、50℃〜85℃の温度で金属交換されたイオン交換樹脂と接触させ;或いはこれらの組合せを行う、態様E27〜E35のいずれかの方法。
【0177】
E37.中間体酢酸生成物が50ppb未満のリチウムイオン濃度を有する、態様E27〜E36のいずれかの方法。
E38.酸形態のカチオン交換体が、酸形態の強酸カチオン交換巨大網状、マクロ多孔質、又はメソ多孔質樹脂の樹脂を含む、態様E27〜E37のいずれかの方法。
【0178】
E39.精製された酢酸生成物をカチオン交換樹脂で処理して、銀、水銀、パラジウム、又はロジウムを回収することを更に含む、態様E27〜E38のいずれかの方法。
E40.反応媒体中の水濃度を、存在する反応媒体の全量を基準として0.1〜5重量%に制御する、態様E27〜E39のいずれかの方法。
【0179】
E41.酢酸リチウム、カルボン酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるリチウム化合物を反応器中に導入して、反応媒体中において0.3〜0.7重量%の酢酸リチウム濃度を維持することを更に含む、態様E27〜E40のいずれかの方法。
【0180】
E42.反応媒体中において0.1〜1.3重量%のヨウ化水素濃度を維持し;
反応媒体中において300〜3000wppmのロジウム触媒濃度を維持し;
反応媒体中において0.1〜4.1重量%の水濃度を維持し;
反応媒体中において0.6〜4.1重量%の酢酸メチル濃度を維持し;
又はこれらの組合せを行う;
ことを更に含む、態様E41のいずれかの方法。
【0181】
E43.酢酸生成物から酢酸ブチルを直接除去することなく、酢酸生成物中の酢酸ブチル濃度を10wppm以下に制御することを更に含む、態様E27〜E42のいずれかの方法。
【0182】
E44.反応媒体中において1500ppm以下のアセトアルデヒド濃度を維持することによって酢酸ブチル濃度を制御する、態様E43の方法。
E45.反応器内の温度を150〜250℃に制御することによって酢酸ブチル濃度を制御する、態様E43又はE44の方法。
【0183】
E46.反応器内の水素分圧を0.3〜2気圧に制御することによって酢酸ブチル濃度を制御する、態様E43〜E45のいずれかの方法。
E47.反応媒体中においてロジウム触媒濃度を100〜3000wppmに制御することによって酢酸ブチル濃度を制御する、態様E43〜E45のいずれかの方法。
【0184】
E48.反応媒体中のヨウ化エチル濃度を750wppm以下に制御することを更に含む、態様E27〜E47のいずれかの方法。
E49.生成物酢酸中のプロピオン酸濃度が、生成物酢酸からプロピオン酸を直接除去することなく250wppm未満である、態様E48の方法。
【0185】
E50.反応媒体中のヨウ化エチルと酢酸生成物中のプロピオン酸が3:1〜1:2の重量比で存在する、態様E48又はE49の方法。
E51.反応媒体中において、アセトアルデヒドとヨウ化エチルが2:1〜20:1の重量比で存在する、態様E48〜E50のいずれかの方法。
【0186】
E52.反応器中へのメタノール供給流中のエタノール濃度が150wppm未満であり;或いはこれらの組合せである、態様E48〜E51のいずれかの方法。
E53.カルボニル化反応器内の水素分圧、反応媒体中の酢酸メチル濃度、及び反応媒体中のヨウ化メチル濃度の少なくとも1つを調節することによって反応媒体中のヨウ化エチル濃度を制御する、態様E48〜E52のいずれかの方法。
【0187】
[0155]図面及び上記の記載において幾つかの態様を詳細に示し且つ記載したが、これは例示とみなすべきであり、特質を限定するものではなく、一部の態様のみが示され且つ記載されており、幾つかの態様の精神の範囲内の全ての変更及び修正は保護されることを要求していることが理解される。上記の記載において用いられている「理想的には」、「望ましくは」、「好ましい」、「好ましくは」、「好適な」、「より好ましい」、又は「代表的な」のような語句の使用は、そのように記載されている特徴がより望ましいか又は特徴的である可能性があるが必須でなくてもよく、それが欠落している態様は、下記の特許請求の範囲によって規定される発明の範囲内であると意図される可能性があることを示している。特許請求の範囲を読むにあたって、「1つ」、「1個」、「少なくとも1つ」、又は「少なくとも一部」のような語句を用いる場合には、特許請求の範囲において具体的に反対に示されていない限りにおいて、特許請求の範囲を1つの事項のみに限定する意図はないと意図される。「少なくとも一部」及び/又は「一部」の語句を用いる場合には、具体的に反対に示されていない限りにおいて、この事項には一部及び/又は事項全体を含めることができる。