特許第6034488号(P6034488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034488香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法及び香喫味成分を含む嗜好品の構成要素
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034488
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法及び香喫味成分を含む嗜好品の構成要素
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/24 20060101AFI20161121BHJP
   A24B 3/12 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   A24B15/24
   A24B3/12 C
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-513839(P2015-513839)
(86)(22)【出願日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2014061617
(87)【国際公開番号】WO2014175399
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】特願2013-92942(P2013-92942)
(32)【優先日】2013年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 仁紀
(72)【発明者】
【氏名】中野 拓磨
(72)【発明者】
【氏名】打井 公隆
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
(72)【発明者】
【氏名】片山 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
【審査官】 宮崎 光治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−238873(JP,A)
【文献】 特開平03−259074(JP,A)
【文献】 特開平06−098746(JP,A)
【文献】 特開平09−010502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B15/24
A24B15/38
A24B 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法であって、
アルカリ処理されたたばこ源を加熱して、前記たばこ源から気相中に香喫味成分を放出する工程Aと、
気相中に放出された前記香喫味成分を常温で液体の物質である所定溶媒に接触させることによって、前記所定溶媒に前記香喫味成分を捕捉させる工程Bと、
前記所定溶媒を前記構成要素に添加する工程Cとを有しており、
前記工程Aにおいて、前記たばこ源に対して加水処理を施すことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記工程Aにおいて、前記たばこ源を加熱する前において前記たばこ源の水分量は、前記加水処理によって30重量%以上であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項3】
香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法であって、
アルカリ処理されたたばこ源を加熱して、前記たばこ源から気相中に香喫味成分を放出する工程Aと、
気相中に放出された前記香喫味成分を常温で液体の物質である所定溶媒に接触させることによって、前記所定溶媒に前記香喫味成分を捕捉させる工程Bと、
前記所定溶媒を前記構成要素に添加する工程Cとを有しており、
前記構成要素は、前記工程Aで前記香喫味成分を放出した後の前記たばこ源である残たばこ源であり、
前記工程Cは、前記所定溶媒を前記残たばこ源に掛け戻す工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項4】
前記工程Aにおいて、前記たばこ源を加熱する前において前記たばこ源の水分量は、30重量%以上であり、前記たばこ源を加熱した後において前記たばこ源の水分量は、5重量%未満であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程Bにおいて、前記所定溶媒の温度は、10℃以上かつ40℃以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記工程Bにおいて、気相中に放出された前記香喫味成分を前記所定溶媒中に通気することによって、前記所定溶媒に前記香喫味成分を捕捉させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程Aにおいて、常圧以下の圧力が前記たばこ源に印加された状態で、前記たばこ源から気相中に香喫味成分を放出することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする香喫味成分を含む嗜好品の構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法及び香喫味成分を含む嗜好品の構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、香味源に対して香喫味成分(例えば、ニコチン成分を含むアルカロイド)を含有させる技術として、たばこ源そのものを香味源として活用する技術や、たばこ源中から香喫味成分を抽出して香味源基材に担持させる技術が知られている。
【0003】
上述の技術では、たばこ源に含まれる夾雑成分が喫味等に悪影響を及ぼす虞があるため、たばこ源から夾雑成分のみを選択的に分離/低減することが望ましいが、既存の技術では、煩雑なプロセスを要するため、簡便かつ低コストに実施することが困難であるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許4215706
【特許文献2】特表2009−502160号公報
【特許文献3】米国特許5235992
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の特徴は、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法であって、アルカリ処理されたたばこ源から気相中に香喫味成分を放出する工程Aと、気相中に放出された前記香喫味成分を常温で液体の物質である所定溶媒中に接触させることによって、前記所定溶媒に前記香喫味成分を捕捉させる工程Bと、前記所定溶媒を前記構成要素に添加する工程Cとを有することを要旨とする。
【0006】
また、本発明の第2の特徴は、上述の製造方法によって製造された香喫味成分を含む嗜好品の構成要素であることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態に係る製造方法によって製造された嗜好品(たばこ製品)の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る製造方法について示すフローチャートである。
図3図3は、第1実施形態に係る製造方法について行われる所定溶媒中へのバブリングを行うためのバブリング装置の一例を示す図である。
図4図4は、変更例1に係る製造方法について示すフローチャートである。
図5図5は、第1実験を説明するための図である。
図6図6は、第1実験を説明するための図である。
図7図7は、第1実験を説明するための図である。
図8図8は、第1実験を説明するための図である。
図9図9は、第2実験を説明するための図である。
図10図10は、第2実験を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本発明の第1の実施形態)
以下、図1乃至図3を参照して、本発明の第1の実施形態に係る香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法について説明する。本実施形態では、かかる嗜好品の構成要素として、香味吸引具の構成要素を製造するケースについて例示するものとする。
【0009】
かかる香味吸引具は、図1に示すような炭素熱源タイプの香味吸引具1であってもよいし、電子シガレットタイプの香味吸引具であってもよいし、化学反応タイプの香味吸引具であってもよい。
【0010】
なお、第1実施形態においては、たばこ香喫味に寄与する香喫味成分の一例として、ニコチン成分を例に挙げる。第1実施形態では、香喫味成分の指標としてニコチン成分が用いられていることに留意すべきである。
【0011】
例えば、図1に示すように、かかる香味吸引具1は、炭素熱源3と、香味発生源4と、フィルタ5と、炭素熱源3や香味発生源4やフィルタ5を保持する紙管ホルダ2とを具備していてもよい。
【0012】
本実施形態では、かかる香味吸引具1の構成要素として、炭素熱源3、香味発生源4、フィルタ5、紙管ホルダ2を構成するセルロースの少なくとも1つを製造するケースについて例示する。
【0013】
図2に示すように、本実施形態に係る製造方法では、ステップS101において、たばこ源にアルカリ処理(アルカリ添加処理)を施すことで、たばこ源から気相中に香喫味成分を放出する。詳細には、ステップS101において、アルカリ処理されたたばこ源を加熱して、たばこ源から気相中に香喫味成分を放出する。かかる構成によれば、気相中への香喫味成分の放出効率を向上させることができる。
【0014】
ここで、たばこ源の加熱温度は、室温からたばこ源の熱分解温度までの任意の温度であってもよく、加熱温度が高い方が、気相への香喫味成分の放出効率が高い。ただし、加熱温度が高すぎると、気相へ放出する夾雑成分の量が増加してしまう虞がある。これらの点を考慮して、例えば、加熱温度は、60℃〜150℃の範囲としてもよい。たばこ源の加熱温度が60℃以上であることによって、たばこ源から十分な香喫味成分が放出されるタイミングを早めることができる。一方で、たばこ源の加熱温度が150℃未満であることによって、たばこ源から夾雑成分(例えば、たばこ特異的ニトロソアミン:TSNA)が放出されるタイミングを遅らせることができる。
【0015】
なお、ステップS101の処理は、密閉された空間において行うことが好ましい。ここで、「密閉」とは、通常の取り扱い、運搬又は保存状態において、固形の異物混入を防ぎ、内容物の損失を防ぐことができる状態である。かかる構成によれば、香喫味成分が系外に揮散してしまうという事態を防ぐことができる。
【0016】
具体的には、かかるたばこ源として、アルカリ性pHに調整されたたばこ原料又はたばこ抽出物を用いてもよい。好ましくは、かかるたばこ源として、pHが8.0以上、さらに好ましくは、pHが9.0以上に調整されたたばこ原料又はたばこ抽出物を用いてもよい。
【0017】
なお、たばこ源は、刻や粉粒体や成形体等のたばこ原料であってもよいし、香味成分を含む抽出液が添加されたシートや凍結乾燥粉末やゲル等のたばこ抽出物であってもよい。
【0018】
たばこ源としては、例えば、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana.tabacum)やニコチアナ・ルスチカ(Nicotiana.rusutica)等のタバコ属の原料を用いることができる。ニコチアナ・タバカムとしては、例えば、バーレー種や黄色種等の品種を用いてもよい。
【0019】
また、たばこ源における香喫味成分の含有量は、特に限定されないが、気相への香喫味成分の放出量の観点から、たばこ源における香喫味成分の含有量は、できるだけ多い方が好ましい。例えば、香喫味成分(ここでは、ニコチン成分)の含有量が4重量%以上のたばこ源を用いてもよい。この結果、少ない量のたばこでより多くの香喫味成分を気相へ放出することができる。
【0020】
また、たばこ源の粒径は、任意の粒径を用いることができるが、できるだけ小さい粒径のたばこ源を用いる方が、気相への香喫味成分の放出効率が高い。なお、たばこ源の粒径があまりにも小さくなると、製造工程におけるたばこ源の取り扱いが困難になる。これらの点を考慮して、例えば、0.5mm〜1.18mm程度の粒径のたばこ源を用いてもよい。
【0021】
さらに、第1実施形態に係る製造方法において、たばこ源として、収穫した後に乾燥処理が施されたもの(Cured tobacco)を用いてもよく、乾燥処理を施していないもの(Green tobacco)を用いてもよい。
【0022】
また、上述のアルカリ添加処理においてたばこ源に添加される物質としては、例えば、炭酸カリウム水溶液等の塩基性物質を噴霧してもよい。なお、たばこ源を再利用することを検討する場合、添加する塩基性物質は、弱塩基性を有することが好ましい。
【0023】
また、上述のように、アルカリ添加処理が施された後のたばこ源のpHは、アルカリ性であることが好ましく、8.0以上であることがより好ましく、8.9〜9.7の範囲内であることが更に好ましい。したがって、かかる条件を満たすように、たばこ源に添加すべき炭酸カリウム等の塩基性物質の量を決定することが好ましい。
【0024】
また、ステップS101において、たばこ源に対して加水処理を施すことが好ましい。かかる構成によれば、気相中への香喫味成分の放出効率を向上させることができる。或いは、ステップS101に供する前の段階で、たばこ源に対して加水処理を施し、たばこ源の含水率を増加した上で、ステップS101を行ってもよく、ステップS101において、炭酸カリウム水溶液等の塩基性物質の水溶液を添加することで、アルカリ処理と加水処理を同時に行ってもよい。
【0025】
ここで、たばこ源に含まれる水分量が多い方が、気相への香喫味成分の放出効率が高い。なお、たばこ源が、絶乾に近い状態(具体的には4重量%未満)になると、気相中への香喫味成分の放出効率が著しく低下する。
【0026】
具体的には、たばこ源から効率的に香喫味成分を気相中に放出させるため、アルカリ物質噴霧後のたばこ源の水分量は、10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましい。たばこ源の水分量の上限は、特に限定されるものではないが、例えば、たばこ源を効率的に加熱するために、50重量%以下とすることが好ましい。
【0027】
また、ステップS101において、たばこ源に対して通気処理を施してもよい。これによって、アルカリ処理されたたばこ源から気相に放出される香喫味成分量を増大させることができる。かかる通気処理における通気時間は、たばこ源を処理する装置及びたばこ源の量によって異なるため、一概に特定することはできないが、例えば、たばこ源が500gのたばこ原料である場合には、通気時間は300分程度以内である。また、かかる通気処理における総通気量についても、たばこ源を処理する装置及びたばこ源の量によって異なるため、一概に特定することはできないが、例えば、たばこ源が500gのたばこ原料である場合には、たばこ源の重量に対する総通気量の割合は、10L/g程度である。また、たばこ源が55gのたばこ原料である場合には、通気時間は300分程度以内であり、かかる通気処理における総通気量は4.9〜5.3L/g程度である。
【0028】
また、通気する気体の含有水分量を多くすることで、気相中への香喫味成分の放出効率を向上させることができる。例えば、水分80%程度の加湿空気や、80℃における飽和水蒸気をたばこ源に接触させてもよい。
【0029】
なお、通気処理で用いる空気は、飽和水蒸気でなくてもよい。通気処理で用いる空気の水分量は、特にたばこ原料50の加湿を必要とせずに、例えば、加熱処理及び通気処理が適用されているたばこ原料50に含まれる水分が50%未満の範囲に収まるように調整されてもよい。通気処理で用いる気体は、空気に限定されるものではなく、窒素、アルゴン等の不活性ガスであってもよい。
【0030】
ステップS102において、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒に接触させることによって捕捉する。
【0031】
具体的には、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒に溶解させたり、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒に吸収させたり、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒に吸着させたりする。
【0032】
ここで、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒中に通気すること(バブリング)によって、香喫味成分を所定溶媒に捕捉することが好ましい。これによって、たばこ源としてのたばこ原料に含まれる不要な夾雑物質の所定溶媒への移行を抑制しながら、十分な量の香喫味成分を所定溶媒に移行させることができる。
【0033】
また、かかる所定溶媒としては、常温で液体の物質、例えば、グリセリン、水、エタノール、ポリオール、クエン酸水溶液、又は、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油等を用いることができる。かかる構成によれば、所定溶媒に香喫味成分を溶解させることができる。
【0034】
ここで、ステップS101及びステップ102において、バブリング開始時において所定溶媒の温度は、常温である。ここで、常温の下限は、例えば、所定溶媒が凝固しない温度、好ましくは、10℃である。常温の上限は、例えば、40℃以下である。所定溶媒の温度を10℃以上40℃以下とすることで、所定溶液からの香喫味成分の揮散を抑制しつつ、アンモニウムイオンやピリジン等の揮発性夾雑成分を所定溶液から効率的に除去することができる。
【0035】
また、ステップS101及びステップS102において、アルカリ処理装置の容器内の圧力は常圧以下である。詳細には、アルカリ処理装置の容器内の圧力の上限は、ゲージ圧で+0.1MPa以下である。また、アルカリ処理装置の容器の内部は、減圧雰囲気であってもよい。すなわち、ステップS101及びステップS102において、常圧以下の圧力がたばこ源に印加された状態で、たばこ源から香喫味成分を気相中に放出させ、所定溶媒に気相中に放出された香喫味成分を捕捉させる。
【0036】
また、上述の所定溶媒のpHは、上述のたばこ源のpH以下であることが好ましい。かかる構成によれば、気相中の香喫味成分を、たばこ源よりも所定溶媒の方に多く分配させることができる。
【0037】
図3に、気相中に放出された香喫味成分を所定溶媒中にバブリングするためのバブリング装置100の一例を示す。
【0038】
図3に示すように、ステップS101において気相中に放出された香喫味成分を含む気体10は、バブリング装置100に設けられた穴30を介して所定溶媒20中に放出され、かかる気体10中の香喫味成分が、所定溶媒20によって捕捉される。
【0039】
所定溶媒20によって捕捉されなかった夾雑成分を含む気体40は、バブリング装置100外に排気される。すなわち、ステップS102において所定溶媒20に印可される圧力は常圧以下である。
【0040】
かかる構成によれば、気体10と所定溶媒20との接触面積を増やすことができ、所定溶媒による香喫味成分の捕捉効率を向上させることができる。
【0041】
ここで、かかるバブリングにおいて、所定溶媒の温度の上昇を抑制するために、かかる所定溶媒を冷却してもよい。かかる構成によれば、所定溶媒による香喫味成分の捕捉効率を向上させることができる。言い換えると、所定溶媒の温度を常温に維持することが好ましい。常温の下限は、例えば、上述したように、所定溶媒が凝固しない温度、好ましくは、10℃である。常温の上限は、例えば、上述したように、40℃以下である。所定溶媒の温度を10℃以上40℃以下に維持することによって、所定溶液からの香喫味成分の揮散を抑制しつつ、アンモニウムイオンやピリジン等の揮発性夾雑成分を所定溶液から効率的に除去することができる。
【0042】
また、かかるバブリングにおいて、所定溶媒に対する気相に放出された香喫味成分の接触面積を増大するためにラシヒリングを配置してもよい。
【0043】
さらに、かかるバブリングにおいて、所定溶媒に補足された香喫味成分の再揮散を抑制するために、所定溶媒に対して、リンゴ酸やクエン酸等の任意の酸を添加してもよい。
【0044】
ここで、たばこ源と所定溶媒との間に、香喫味成分を捕捉することができる物質が少ない方が好ましい。
【0045】
なお、香喫味成分を捕捉した所定溶媒に対して、共に捕捉された水等を除去するために、減圧濃縮処理や加熱濃縮処理や塩析処理等を施してもよい。減圧濃縮処理や加熱濃縮処理を施す場合、所定溶媒として、除去したい成分(例えば、水)よりも蒸気圧の低い溶媒を用いることが好ましい。
【0046】
ここで、減圧濃縮処理は、密閉空間で行われるため、空気接触が少なく、所定溶媒を高温にする必要がないため、成分変化の懸念が少ない。従って、減圧濃縮を用いれば、利用可能な所定溶媒の種類が増大する。
【0047】
加熱濃縮処理では、一部の香喫味成分の酸化などのような液の変性の懸念があるが、一方で香喫味成分によっては増加する効果が得られる可能性がある。但し、減圧濃縮と比べると、利用可能な所定溶媒の種類が減少する。例えば、MCT(Medium Chain Triglyceride)のようなエステル構造を有する所定溶媒を用いることができない可能性がある。
【0048】
塩析処理では、減圧濃縮処理と比べて、香喫味成分を効率よく分離することが可能であるが、液溶媒相/水相における香喫味成分が半々であるものについては、香喫味成分の歩留まりが悪い。また、疎水性物質(MCT等)の共存が必須であると想定されるため、所定溶媒、水及び香喫味成分の比率によっては、塩析が生じない可能性がある。
【0049】
ステップS103において、香喫味成分を捕捉している状態の所定溶媒を、上述の香味吸引具1の構成要素に添加する。
【0050】
(作用及び効果)
第1実施形態に係る製造方法によれば、非常に簡便な方法で、たばこ源としてのたばこ原料中の不要な夾雑物質を移行させることなく、十分な量の香喫味成分を所定溶媒に移行させることができ、かかる所定溶媒を香味吸引具1の構成要素(例えば、フィルタ)に対して添加して香味発生源とすることで、夾雑物質のユーザへの送達を低減することができる。
【0051】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について説明する。以下においては、第1実施形態に対する相違点について主として説明する。
【0052】
具体的には、上述した第1実施形態では特に触れていないが、変更例1においては、香喫味成分を放出した後のたばこ原料(たばこ原料残渣)に対して、香喫味成分を捕捉している状態の所定溶媒が掛け戻されてもよい。なお、所定溶媒を掛け戻す場合には、たばこ原料残渣に所定溶媒を掛け戻した後のたばこ原料に含まれる香喫味成分量(ここでは、ニコチン成分)は、香喫味成分を放出する前のたばこ原料に含まれる香喫味成分量(ここでは、ニコチン成分)以下となることに留意すべきである。
【0053】
すなわち、図4に示すように、香喫味成分を捕捉している状態の所定溶媒を構成要素に添加する工程(図2に示すステップS103)は、ステップS103A及びステップS103Bを含む。
【0054】
ステップS103Aにおいて、ステップS101で香喫味成分を放出した後のたばこ原料(たばこ原料残渣)を準備する。
【0055】
ステップS103Bにおいて、ステップS102によって香喫味成分を捕捉している状態の所定溶媒をたばこ原料残渣に掛け戻す。すなわち、変更例1において、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素は、ステップS101で香喫味成分を放出した後のたばこ原料(たばこ原料残渣)である。なお、ステップS103Bにおいて、たばこ原料残渣に掛け戻す所定溶媒が中和されてもよい。
【0056】
変更例1では、ステップS101において、加熱処理を行う前のたばこ原料の水分量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上とし、加熱処理後のたばこ原料の水分量が絶乾に近い状態、具体的にはたばこ源の水分量が5重量%未満となるまでたばこ源の加熱処理を行うことが好ましい。これによって、香喫味成分と共に、たばこ源に含まれる夾雑成分(例えば、アンモニウムイオン)を十分に気相中に放出することができる。換言すれば、たばこ源からアンモニウムイオン等の夾雑成分を十分に除去することができる。このような加熱処理方法の詳細については、参照により本明細書に組み込まれているWO2013/146592の明細書中に記載されている。
【0057】
一方、S102において、気相中に放出された成分を所定溶媒中に通気すること(バブリング)によって、香喫味成分を所定溶媒に捕捉することが好ましい。これによって、気相中に放出された成分の内、アンモニア(アンモニウムイオン)等の夾雑成分が所定溶媒に捕捉されることを抑制しながら、十分な量の香喫味成分を所定溶媒に捕捉することが可能となる。
【0058】
したがって、このような処理条件を用いて図4に示した一連の処理工程を行うことによって、たばこ原料に含まれる夾雑成分(アンモニウムイオン等)を除去しながら、香喫味成分の損失を抑制したたばこ原料を製造することができる。
【0059】
[変更例2]
上述の第1の実施形態では、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素として、上述の香味吸引具の構成要素を製造するケースについて説明したが、本発明は、かかるケースに限定されることはない。
【0060】
すなわち、本発明は、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素として、例えば、ガムベース、タブレット、可食フィルム、飴等の、口腔内で消費可能な嗜好品の香味源基材に付与されてもよい。
【0061】
或いは、本発明は、香喫味成分を含む嗜好品の構成要素として、上述の香味吸引具の構成要素の代わりに、その他の吸引具、例えば、電子シガレットのエアロゾル源(いわゆるE−liguid)を製造するケースについても適用可能である。実施形態では、たばこ源に含まれる不揮発性成分が所定溶媒に移行せずに、120℃程度で揮発する成分のみを所定溶媒に捕集できるため、所定溶媒によって捕集される成分を電子シガレットのエアロゾル源として用いると効果的である。これによって、電子シガレットにおいてアンモニウムイオンやアセトアルデヒド、ピリジンといった揮発性夾雑成分の増大を抑制しながらたばこ香味を含むエアロゾルをユーザに送達することができ、さらにエアロゾル源を加熱するヒータの焦げ等を抑制することができる。なお、ここでの「電子シガレット」という用語は、液体のエアロゾル源及びエアロゾル源を加熱霧化するための電気ヒータを具備し、ユーザへエアロゾルを送達するための非燃焼型香味吸引器又はエアロゾル吸引器(例えば、特許第5196673号記載のエアロゾル吸引器や特許第5385418号記載のエアロゾル電子たばこ等)を指す。
【0062】
[実験結果]
(第1実験)
第1実験では、実施例及び比較例について、たばこ源に含まれるアルカロイド(ここでは、ニコチン成分)の回収率(以下、ニコチン成分回収率)、アセトアルデヒド濃度、アンモニウムイオン濃度、ピリジン濃度を測定した。実施例では、上述した第1実施形態に従って、バブリングによって香喫味成分を所定溶媒によって捕捉した(実施例1)。また、後述する比較例とステップS101におけるたばこ源の量、処理時間、通気流量を同一とするために実施例1よりも小スケールの装置を用いた点、捕集溶媒の温度制御を行わなかった点以外は実施例1と同様の条件で香喫味成分の捕捉を行った(実施例2)。
【0063】
比較例では、所定溶媒を用いず、コールドトラップによって香喫味成分を捕捉した。詳細には、ステップS102に相当する香喫味成分の補足工程において、リービッヒ冷却管及びグラハム冷却管を連結したものを用いて、香喫味成分の補足を行った。リービッヒ冷却管及びグラハム冷却管はそれぞれ冷媒として水道水を用い、管内の温度を約20℃に維持した。たばこ源から気相に放出された成分がリービッヒ冷却管、グラハム冷却管の順で通過する間に冷却され、凝縮した液体成分をグラハム冷却管出口のビーカーに捕集することで香喫味成分の捕捉を行った。
【0064】
実施例及び比較例の条件は、以下に示す通りである。
【0065】
−実施例1に係る実験条件−
・たばこ源の種類:バーレー種のたばこ原料
・たばこ源に含まれるニコチン量:たばこ源の乾燥重量当たり4.9重量%
・たばこ源に含まれるアンモニウムイオン量:たばこ源の乾燥重量当たり4545μg/g
・たばこ源の量:500g
・たばこ源の粒径:0.5mm〜1.18mm
・アルカリ処理後のたばこ源のpH:9.6
・アルカリ処理後のたばこ源の初期水分量:39%±2%
・たばこ源の加熱温度:120℃
・処理時間:300min
・バブリング時の空気流量:15L/min
・所定溶媒の種類:グリセリン
・所定溶媒の量:61g
・所定溶媒の温度:20℃
【0066】
−実施例2に係る実験条件−
・たばこ源の種類:バーレー種のたばこ原料・たばこ源の量:55g
・たばこ源に含まれるニコチン量:たばこ源の乾燥重量当たり4.9重量%
・たばこ源に含まれるアンモニウムイオン量:たばこ源の乾燥重量当たり4545μg/g
・たばこ源の粒径:0.5mm〜1.18mm
・アルカリ処理後のたばこ源のpH:9.6
・アルカリ処理後のたばこ源の初期水分量:39%±2%
・たばこ源の加熱温度:120℃
・処理時間:24Hr
・バブリング時の空気流量:1.5L/min
・所定溶媒の種類:グリセリン
・所定溶媒の量:7.4g
【0067】
−比較例に係る実験条件−
・たばこ源の種類:バーレー種のたばこ原料
・たばこ源に含まれるニコチン量:たばこ源の乾燥重量当たり4.9重量%
・たばこ源に含まれるアンモニウムイオン量:たばこ源の乾燥重量当たり4545μg/g
・たばこ源の量:55g
・たばこ源の粒径:0.5mm〜1.18mm
・アルカリ処理後のたばこ源のpH:9.6
・アルカリ処理後のたばこ源の初期水分量:39%±2%
・たばこ源の加熱温度:120℃
・処理時間:24Hr
・コールドトラップ時の空気流量:1.5L/min
・冷媒の温度:20℃
【0068】
ニコチン成分回収率の測定結果は、図5に示す通りである。また、所定溶媒へのバブリングまたは冷却管による凝縮により捕捉されたアセトアルデヒド、アンモニウムイオン、ピリジンの測定結果は、図6図8に示す通りである。
【0069】
ここで、ニコチン成分回収率は、たばこ源に含まれるニコチン成分の初期重量が100重量%である場合における、所定溶媒へのバブリングまたは冷却管による凝縮により捕捉されたニコチン成分の重量%で示されている。実施例と比較例で回収される溶液量の差異を相殺するために、アセトアルデヒド濃度は、捕捉されたニコチン重量との重量比、すなわち、捕捉されたニコチン重量を1とした場合における、アセトアルデヒドの重量比で示されている。同様に、アンモニウムイオン濃度及びピリジン濃度は、捕捉されたニコチン重量との重量比、すなわち、捕捉されたニコチン重量を1とした場合における、アンモニウムイオン及びピリジンの重量比で示されている。
【0070】
図5に示すように、比較例よりも処理時間が短いにもかかわらず、実施例1は比較例と比してニコチン回収率が同等以上であることが確認された。また、比較例と同一の通気流量及び処理時間である実施例2は、概ね比較例と同等のニコチン回収率を得られることが確認された。
【0071】
また、図6図8に示すように、実施例1及び実施例2では、比較例と比べて、アセトアルデヒド、アンモニウムイオン、ピリジンのニコチン重量との比率が低いことが確認された。詳細には、実施例1では、アセトアルデヒド及びピリジンは略ゼロ(検出限界未満)であり、ニコチン重量を1とした場合におけるアンモニウムイオンの重量比は、比較例の1000分の1未満であった。また、実施例2では、ピリジンは略ゼロ(検出限界未満)であり、ニコチン重量を1とした場合におけるアセトアルデヒドの重量比は、比較例の45分の1未満であり、ニコチン重量を1とした場合におけるアンモニウムイオンの重量比は、比較例の270分の1未満であった。
【0072】
このように、第1実施形態に係るバブリング処理を行うことによって、たばこ源に含まれる夾雑成分(例えば、アセトアルデヒド、アンモニウムイオン及びピリジン)を除去しながら、香喫味成分(ここでは、ニコチン成分)を回収することができることが確認された。
【0073】
(第2実験)
第2実験では、以下の条件下において、所定溶媒の温度を変更することによって、所定溶液に含まれるアンモニウムイオン及びピリジンの重量を測定した。所定溶液に含まれるアンモニウムイオンの重量は、図9に示す通りである。所定溶液に含まれるピリジンの重量は、図10に示す通りである。
【0074】
−実験条件−
・たばこ源の種類;バーレー種
・たばこ源に含まれるニコチン量:たばこ源の乾燥重量当たり4.9重量%
・たばこ源に含まれるアンモニウムイオン量:たばこ源の乾燥重量当たり4545μg/g
・たばこ源の量:500g
・たばこ源の粒径:0.5mm〜1.18mm
・たばこ源の加熱温度:120℃
・アルカリ処理後のたばこ源のpH:9.6
・アルカリ処理後のたばこ源の初期水分量:39%±2%・処理時間:300min
・バブリング時の空気流量:15L/min
・所定溶媒の種類:グリセリン
・所定溶媒の量:61g
【0075】
第1に、図9に示すように、所定溶媒の温度が10℃以上である場合に、アンモニウムイオンを効率的に除去することができることが確認された。一方で、所定溶媒の温度を制御しなかった場合であっても、アンモニウムイオンを効率的に除去することができることが確認された。なお、所定溶液からのアルカロイド(ここでは、ニコチン成分)の揮散は、所定溶媒の温度が40℃以下であれば抑制される。このような観点から、所定溶媒の温度を10℃以上40℃以下とすることで、所定溶液からのニコチン成分の揮散を抑制しつつ、アンモニウムイオンを所定溶液から効率的に除去することができる。
【0076】
第2に、図10に示すように、所定溶媒の温度が10℃以上である場合に、ピリジンを効率的に除去することができることが確認された。一方で、所定溶媒の温度を制御しなかった場合であっても、ピリジンを効率的に除去することができることが確認された。なお、所定溶液からのニコチン成分の揮散は、所定溶媒の温度が40℃以下であれば抑制される。このような観点から、所定溶媒の温度を10℃以上40℃以下とすることで、所定溶液からのニコチン成分の揮散を抑制しつつ、ピリジンを所定溶液から効率的に除去することができる。
【0077】
なお、所定溶媒の温度とは、所定溶媒を収容する容器の温度を制御するチラー(恒温槽)の設定温度である。所定溶媒の温度は、チラーに容器をセットして温度制御を開始してから約60分で収束することに留意すべきである。
【0078】
[測定方法]
(たばこ原料に含まれるニコチン成分の測定方法)
ドイツ標準化機構DIN 10373に準ずる方法で行った。すなわち、たばこ原料を250mg採取し、11%水酸化ナトリウム水溶液7.5mLとヘキサン10mLを加え、60分間振とう抽出した。抽出後、上澄みであるヘキサン相をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)に供し、たばこ原料に含まれるニコチン重量を定量した。
【0079】
(所定溶媒に含まれるNHの測定方法)
所定溶媒を50μL採取し、0.05Nの希硫酸水溶液950μLを添加することで希釈し、イオンクロマトグラフィーで分析し、所定溶媒に含まれるアンモニウムイオンを定量した。
【0080】
(所定溶媒に含まれるニコチン成分の測定方法)
ドイツ標準化機構DIN 10373に準ずる方法で行った。すなわち、所定溶媒を100mg採取し、11%水酸化ナトリウム水溶液7.5mLとヘキサン10mLを加え、60分間振とう抽出した。抽出後、上澄みであるヘキサン相をガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)に供し、所定溶媒に含まれるニコチン重量を定量した。
【0081】
(所定溶媒に含まれるアセトアルデヒドの測定方法)
所定溶媒を0.05mL採取し、6mmol/Lの2,4−ジニトロフェニルピラジン溶液を0.4mL加えて所定溶媒中のアセトアルデヒドを不揮発性のヒドラゾン誘導体に変換し、更に0.2w/v%のトリズマベース溶液を0.55mL加えて所定溶媒中のヒドラゾン誘導体を安定化した。得られた液を高速液体クロマトグラフィーダイオードアレイ検出器に供し、所定溶媒に含まれるヒドラゾン誘導体量を定量した。さらに、ヒドラゾン誘導体量から捕集溶媒に含まれるアセトアルデヒト量を算出した。
【0082】
ここで、6mmol/Lの2,4−ジニトロフェニルピラジン溶液は、12mLの2,4−ジニトロフェニルピラジン−アセトニトリル溶液1Lに、992mLの水及び8mLの80% phosphoric acidを加えることで調製し、0.2w/v%のトリズマベース溶液は、2gのトリズマベースに、アセトニトリル800mLと水200mLを加えることで調製した。
【0083】
(所定溶媒に含まれるピリジンの測定方法)
所定溶媒を1mL採取し、メタノール19mLを添加することで希釈し、ガスクロマトグラフ質量分析計にて所定溶媒中に含まれるピリジン量を定量した。
【0084】
(たばこ原料に含まれる水分量の測定方法)
たばこ原料を250mg採取し、エタノール10mLを加え、60分間振とう抽出を行った。抽出後、抽出液を0.45μmのメンブレンフィルタでろ過し、熱伝導度検出器を備えたガスクロマトグラフ(GC/TCD)に供し、たばこ原料に含まれる水分量を定量した。
【0085】
なお、乾燥状態におけるたばこ原料の重量は、上述した水分量をたばこ原料の総重量から差し引くことによって算出される。
【0086】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0087】
なお、日本国特許出願第2013−092942号(2013年4月25日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、簡便かつ低コストなプロセスによって、たばこ源に含まれる夾雑成分を選択的に低減することができる香喫味成分を含む嗜好品の構成要素の製造方法及び香喫味成分を含む嗜好品の構成要素を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10