(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034492
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】解剖学的構造内におけるアンカーの貫入深さを制限するための器具及び方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/07 20130101AFI20161121BHJP
A61F 2/848 20130101ALI20161121BHJP
A61F 2/962 20130101ALI20161121BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/848
A61F2/962
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-526687(P2015-526687)
(86)(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公表番号】特表2015-524342(P2015-524342A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】US2013054049
(87)【国際公開番号】WO2014025957
(87)【国際公開日】20140213
【審査請求日】2015年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/681,677
(32)【優先日】2012年8月10日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/961,416
(32)【優先日】2013年8月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エス.ミチャラク
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0102024(US,A1)
【文献】
特開平08−299456(JP,A)
【文献】
特表2006−510393(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2007/0093888(US,A1)
【文献】
特許第4078298(JP,B2)
【文献】
特許第2771001(JP,B2)
【文献】
特表2005−525910(JP,A)
【文献】
特開平04−129549(JP,A)
【文献】
特表2011−526802(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0274345(US,A1)
【文献】
特開2008−029839(JP,A)
【文献】
特許第3529672(JP,B2)
【文献】
特許第4699445(JP,B2)
【文献】
特開平6−323310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/848
A61F 2/962
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置に連結される、逆とげ体を含む医療用固定装置であって、該逆とげ体が、前記医療装置の長軸から外側に放射状に延在する、S字形に形成された尖頭先端部と深さストッパとを備え、前記深さストッパが、溝部に結合された頂部を備え、ここで前記溝部と前記頂部とは互いに逆の方向に延在し、前記深さストッパが、体腔壁への前記逆とげ体の貫入の深さを制限する、医療用固定装置。
【請求項2】
前記医療装置がステント又はステントグラフトであることを特徴とする、請求項1に記載の医療用固定装置。
【請求項3】
前記溝部が前記ステント又はステントグラフトの一方に結合されることを特徴とする、請求項2に記載の医療用固定装置。
【請求項4】
前記逆とげ体が前記ステント又はステントグラフトの一方に結合されることを特徴とする、請求項2に記載の医療用固定装置。
【請求項5】
前記逆とげ体が、更に所定の長さの形状記憶ワイヤを備える、請求項1に記載の医療用固定装置。
【請求項6】
前記逆とげ体が、前記逆とげ体が展開時に固定される医療装置からばね式に離れることができることを特徴とする、請求項1に記載の医療用固定装置。
【請求項7】
前記尖頭先端部が体腔壁の厚みに基づく特定の長さに構成されることを特徴とする、請求項1に記載の医療用固定装置。
【請求項8】
本体と、前記本体に結合された逆とげ体とを含む医療装置であって、前記逆とげ体が、所定の長さの形状記憶ワイヤから構成され、かつ、前記医療装置の本体の長軸から外側に放射状に延在する、S字形に形成された深さストッパと尖頭先端部とを備え、前記深さストッパが、溝部に結合された頂部を備え、ここで前記溝部と前記頂部とは互いに逆の方向に延在し、前記深さストッパが体腔への前記逆とげ体の貫入深さを制限する、医療装置。
【請求項9】
前記尖頭先端部が体腔壁の厚みに基づく特定の長さに構成されることを特徴とする、請求項8に記載の医療装置。
【請求項10】
ステントと、前記ステントに結合された逆とげ体とを備える医療装置であって、該逆とげ体が、前記ステントの長軸から外側に放射状に延在する、S字形に形成された尖頭先端部と深さストッパとを備え、前記深さストッパが、溝部に結合された頂部を備え、ここで前記溝部と前記頂部とは互いに逆の方向に延在し、前記尖頭先端部が、前記ステントを体腔壁に固定し、前記深さストッパが、前記体腔壁内への前記逆とげ体の貫入深さを前記体腔壁の厚みを上回らない深さに制限する、医療装置。
【請求項11】
ステントグラフトと、前記ステントグラフトに結合された逆とげ体とを備える医療装置であって、該逆とげ体が、前記ステントグラフトの長軸から外側に放射状に延在する、S字形に形成された尖頭先端部と深さストッパとを備え、前記尖頭先端部が、前記ステントグラフトを体腔壁に固定し、前記深さストッパが、前記体腔壁内への前記逆とげ体の貫入深さを前記体腔壁の厚みを上回らない深さに制限する、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2012年8月10日に提出された米国特許出願第61/681677号に関する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概略的には医療分野に関し、特に解剖学的構造又は身体(例えば、人体)内において医療装置を固定するためのアンカー及び逆とげ体(barbs)などの固定装置に関する。
【背景技術】
【0003】
解剖学的構造又は身体(例えば靭帯)内に埋植するための多様な医療装置がこれまで開発された。この種の多くの医療装置は、体腔(例えば人体の脈管及び/又は消化管(GI管))内に埋植可能である。例えば、ステント、グラフト及びステントグラフトなどの医療装置は、人体の脈管及び/又はGI管内に埋植して、体腔の損傷した、不健全な又はその他の疾患部分を補強、置換及び/又は架橋結合(bridge)できる。これらの器具は、特定の事例において、円筒形内面によって形成された管腔を通過するよう血液及び/又はその他の液体を案内できる。しかし、埋植時に、医療装置が修復対象の解剖学的構造の損傷又は疾患部から離れて移動しないように、この種の医療装置を所定の場所に固定する必要がしばしばある。
【0004】
上述のような器具を所定の場所に保持するための技法が開発されたが、これらの技法は、様々な欠点を有する。例えば、固定装置(医療用アンカー又は逆とげ体)は、固定装置の鋭利部が周囲組織に曝される(損傷する可能性がある)ように、体腔へ完全に貫入する可能性がある。これは、例えば固定装置が体腔壁(例えば、腸壁の十二指腸球部)へ貫入するための逆とげ体を備える場合に生じる可能性がある。逆とげ体は、いくつかの状況において、体腔壁へ完全に貫入し、これによって、周囲の解剖学的構造に損傷を与えかつ/又は周囲の解剖学的構造への漏出路を開く可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、医療装置を予定する場所に固定するためのより適切な技法が望まれる。例えば、体腔壁において(体腔壁が完全に穿刺されないように)部分的に埋植できる固定装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、例えば1つ又はそれ以上の逆とげ体を備える固定装置を含む。固定装置は、深さストッパを備え、深さストッパは溝部に結合された頂部を備えることができる。固定装置は、様々な実施形態において、所定の長さの形状記憶ワイヤから構成できる。従って、展開時に、固定装置は、固定装置が体腔壁と接触して限定された深さまで体腔壁を穿刺するように、固定装置が結合されている医療装置からばね式に離れることができる。但し、固定装置は、体腔壁を完全に穿刺する必要はない。むしろ、深さストッパは、体腔壁の周囲又は外部の組織が損傷及び/又は出血又は体腔内からの漏出を生じる危険のない深さに穿刺深さを制限できる。様々な実施形態において、1対の固定装置を結合して、一体的な2叉固定装置を形成できる。
【0007】
本開示の特徴及び利点は、添付図面を参照して詳細な説明を読むと更に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、医療装置に結合された固定装置の横断面図である。
【
図1B】
図1Bは、医療装置に結合されかつ体腔壁と係合した固定装置の横断面図である。
【
図2A】
図2Aは、医療装置に結合された複数の2叉固定装置の斜視図である。
【
図2B】
図2Bは、体腔壁と係合した複数の固定装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
当業者は、本開示の様々な形態は予定の機能を果たすように構成された多数の方法及び装置によって実現できることが容易に分かるだろう。言い換えると、予定の機能を果たすために他の方法及び装置を本出願に組み込むことができる。本出願において参照する添付図面は、全てが縮尺通りに描かれておらず、本発明の様々な形態を図解するために誇張する場合があり、この点に関して、図面は限定的なものと見なされるべきではない。最後に、本開示について様々な原理及び確信に関連して説明するが、本開示は、理論に拘束されるべきではない。
【0010】
本出願において使用する場合、「固定装置」と言う用語は、人体内において医療装置を固定できる器具を意味できる。例えば、様々な実施形態において、固定装置は、アンカー、ステープル、クリップ、フック、鋲、逆とげ体及びその類似品を備えることができる。
【0011】
同様に、本出願において使用する場合、「医療装置」と言う用語は、体腔内に固定できる器具を意味できる。例えば、様々な実施形態において、医療装置は、ステント、グラフト、ステントグラフト及びその類似品を含むことができる。
【0012】
以下に具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、概略的に、主に体内(例えば人体内)に医療装置を固定するための装置及び方法に重点を置く。例えば、様々な実施形態において、これらの器具及び方法は、体腔に医療装置が埋植される疾患を含めて脈管及び/又はGI管の疾患を治療するために応用できる。
【0013】
さらに、本出願において説明する装置及び方法は人体への医療装置の応用に重点を置くが、これらの装置及び方法は、任意の身体(人体、哺乳類又はその他)の任意の部位内に医療装置を固定するためにもっと広義に応用できる。更に、本出願の開示は、部分的に体腔に医療装置を固定する実施形態に重点を置くが、本出願において説明する器具及び方法は、同様に組織−組織間の固定並びに医療装置−非体腔組織間の固定に応用できる。
【0014】
様々な実施形態において、固定装置(例えば、1つ又はそれ以上のアンカー又は逆とげ体を備える固定装置)を開示する。固定装置は、深さストッパを備え、深さストッパは、溝部に結合された頂部を備えることができる。固定装置は、様々な実施形態において、所定の長さの形状記憶ワイヤから構成できる。従って、展開時に、固定装置は、固定装置が体腔壁に接触して限定された深さまで体腔壁を穿刺するように、固定装置が結合される医療装置からばね式に離れることができる。但し、固定装置は、体腔壁を完全に穿刺しなくても良い。むしろ、深さストッパは、体腔壁の周囲又は外部の組織が損傷及び/又は出血又は体腔内からの漏出する危険を生じない深さに穿刺深さを制限できる。
【0015】
図1Aは、固定装置102の横断面図である。固定装置102は、体腔内への固定装置102の貫入深さを制限できる深さストッパを備えることができる。更に、固定装置102は、尖頭先端部104を備えることができ、尖頭先端部は深さストッパに結合できる。様々な実施形態において、深さストッパは、溝部又は凹部108に結合された頂部又は凸部106を備えることができる。従って、様々な実施形態において、深さストッパは、S字形又はジグザグ形、S字形又はジグザグ型の鏡像などの波形を持つことができる。固定装置102は、図示するように医療装置(例えば、ステント又はステントグラフト)110に結合できる。
【0016】
図1Bは、体腔壁に貫入している固定装置102の横断面図である。図示するように、固定装置102は、医療装置110が体腔壁112に係合するとき医療装置110を固定しかつ/又は安定化できる。更に、上述のように、固定装置102の深さストッパは、体腔壁112への固定装置102の貫入深さを制限できる。特に、様々な実施形態において、深さストッパの頂部106及び/又は溝部108は、個別にかつ/又は一緒に、体腔壁112への固定装置102の貫通深さを制限できる。例えば、固定装置102は、頂部106及び/又は溝部108が体腔壁112の管腔面114に係合又は接触するとき、体腔壁112への固定装置102のそれ以上の貫入を停止するのに充分な抵抗に遭う。従って、深さストッパの波形は、図示するように、固定装置102が体腔壁112を完全に穿刺するのを防止する。むしろ、固定装置102の尖頭先端部104の前進は、体腔を通過する進行において深さストッパによって体腔途中で停止できる。
【0017】
従って、様々な実施形態において、固定装置102の尖頭先端部104は、体腔壁112の反管腔面116を穿刺又は破壊しない。このことは、上述のように、体腔壁を通過する流体の漏出並びに反管腔面116外部の組織の損傷を防止できる。更に、固定装置102は、固定装置102を貫入させるべき体腔壁112の厚みに応じて具体的寸法又はサイズに構成できる(例えば、尖頭先端部104は、深さストッパの配置前に特定の長さに構成できる)。言い換えると、固定装置102は、多様な体腔(各体腔は固有の厚みを持つ可能性がある)に嵌合又は使用するように設計できる。
【0018】
図2Aは、2叉固定装置の斜視図である。図示するように、2叉固定装置は、複数の固定装置302及び304を備えることができる。各固定装置302及び304は、上述のように、深さストッパを備えることができる。更に、様々な実施形態において、1対の固定装置302及び304が一体的2叉固定装置を備えるように、1対の固定装置302及び304の一方の固定装置を、この対の固定装置の他方の固定装置に結合できる。2叉固定装置は、図示するように、固定装置302及び304の交差によって形成された凹部又は溝306によって形成された中心線を軸とする対称形とすることができる。様々な実施形態において、2叉固定装置は、特定の長さのワイヤ例えばニッケルチタン合金(NiTi)を含む所定の長さのワイヤなど所定の長さの形状記憶ワイヤから形成できる。
【0019】
様々な実施形態において、1つの固定装置及び/又は2叉固定装置(以後、単に「固定装置」と呼ぶ)を、医療装置308に結合できる。同様に、様々な実施形態において、複数の固定装置を1つの医療装置308及び/又は複数の医療装置に結合できる。固定装置は、技術上既知の任意の方法によって(例えば、化学的接着、熱接着、冶金的接着又は接合、医療装置との一体的構成及びこれに類するもの)医療装置308に結合できる。
【0020】
図2Bを参照すると、1つ又はそれ以上の固定装置(例えば1つ又はそれ以上の2叉固定装置)310は、医療装置308に結合され、固定装置310が体腔壁312に係合するように体腔内で展開できる。様々な実施形態において、固定装置は、医療装置が体腔内において所望通りに位置付けられるまで(例えば医者が医療装置及び/又は医療装置を収納する送達ルーメンを操作することによって)、医療装置308に対して平らに又は実質的に平らに(
図2Aに示すように)できる。様々な実施形態において、固定装置310は、送達シースによって医療装置308表面に対して平坦位置にすることができる。送達シースは、送達のために固定装置310及び/又は医療装置308に被せてある程度固定装置及び/又は医療装置を圧縮することができる。このように圧縮された固定装置310は、ばね荷重を受けることができる。同様に、様々な実施形態において、固定装置310は、特定の周囲温度に反応する平坦プロフィルを採用できる(例えば、固定装置310は、マルテンサイト相において平坦化する又は解除プロフィルを取ることができる熱反応形状記憶合金を含むことができる)。
【0021】
様々な実施形態において、固定装置310は、医療装置送達装置を用いて(例えば、例えば約6ミリメートル未満またはこれに等しい直径及び/又は半径を有する治療用内視鏡のワーキングチャンネルを介してかつ外反スリーブ送達装置(everting sleeve delivery system)を用いて)、展開できる。展開時に、1つ又はそれ以上の固定装置310は、各固定装置310が体腔壁312に接触してこれへ貫入するように、医療装置308からばね式に離れることができる。固定装置310は、上述のように、送達シースの取外しに反応して展開できる。固定装置310がばね式に展開位置になる場合、固定装置310は、固定装置310の自然の傾向(この場合にも固定装置は形状記憶材料を含むことができる)などのばね荷重力に反応してばね式に展開位置になり、形成された形状又は形態へ戻ることができる。同様に、様々な実施形態において、固定装置310は、特定の温度(例えば、固定装置310をオーステナイト相にすることができる典型的な正常体温)に加熱されたことに反応して展開できる。様々な実施形態において、固定装置310は、鋭角、90度及び鈍角を含めて多様な角度で体腔壁と接触できる。
【0022】
更に、様々な実施形態において、固定装置310は、上述のように、深さストッパによって制限される深さまで体腔壁312へ貫入できる。従って、固定装置は、固定装置が体腔壁312の外面へ貫入できないように、体腔内で展開できる。この特徴は、本出願において説明するように、体腔壁312の外部の組織が固定装置310によって損傷するのを防止できる。また、この特徴は、体腔壁の穿刺又は破損を防止できる。体腔壁が破損すると、体腔と体腔外部の組織との間に流体の漏出が生じる可能性がある。
【0023】
様々な実施形態において、固定装置は、ねじ切り又はねじ式構造体を備えることができる。同様に、様々な実施形態において、送達ルーメンは、ねじ切り又はねじ式構造体を備えることができる。例えば、固定装置がねじ切り構造体を備える場合、固定装置は、ねじ切り送達ルーメンを回転しながら通過して、(又は)体腔及び/又は体組織内で回転式に展開できる。簡略に言うと、様々な実施形態において、固定装置は、スクリューのように展開できる。このように展開した固定装置は、体組織内において螺旋溝を刻むことができ、これは、組織内における固定装置の安定した留置を助ける。
【0024】
同様に、様々な実施形態において、本出願において説明する固定装置のいずれも、1つ又はそれ以上の逆とげ体又はフックを含む又は組み込むことができる。例えば、固定装置(上述のように逆とげ体を含む)は、1つ又はそれ以上の逆とげ体を含むことができ、その各々が、遠位方向を向く尖頭先端部を持つことができる。逆とげ式固定装置は、組織内で容易に展開できるが、遠位方向の移動に抵抗する。
【0025】
更に、様々な実施形態において、複数の固定装置を体内での連続的送達のために送達ルーメンに装填できる。このような固定装置は、直線的形態で及び/又は実質的に直線的形態で送達ルーメンに装填できる。これによって、生物学的に最小限の侵襲性で体組織への送達を容易にできる。
【0026】
グラフト及びステントグラフトに関して、多くのグラフト材料が知られており、様々な実施形態において、これらの材料を組み合わせて使用し、一緒に組み立ててグラフトを構成できる。更に、これらの材料は、押出成形、コーティング及び/又はラップトフィルム(wrapped film)からの形成及び/又はこれらの組合せが可能である。具体的な応用のために、重合体材料、生物分解性材料及び/又は天然材料を使用できる。
【0027】
様々な実施形態において、グラフトは、ナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリグリコール酸、ポリエステル、ポリアミド、その混合物及び共重合体を含む合成重合体を含むことができる。様々な実施形態において、グラフトは、DACRON(登録商標)及びMYLAR(登録商標)を含むポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル及びKEVLAR(登録商標)などのポリアラミド、共重合体化ヘクサフルオロプロピレンを含む又は含まないポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのポリフルオロカーボン(TEFLON(登録商標)又はGORE−TEX(登録商標))、及び多孔質又は非多孔質ポリウレタンから作ることができる。更に、様々な実施形態において、グラフトは、延伸フルオロカーボン重合体(特に、PTFE)を含むことができる。
【0028】
様々な実施形態において、フッ素重合体は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),延伸PTFE(ePTFE)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン(TFE)とペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PEA)の共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のホモポリマーおよびPCTFEとTFEの共重合体、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)の共重合体、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及びポリフッ化ビニル(PVF)を含むことができる。様々な実施形態において、グラフトは、上記の材料の任意の組合せを含むことができる。更に、様々な実施形態において、グラフトは、体液に対して実質的に不透過性及び/又は不透過性とすることができる。実質的に非透過性のグラフトは、体液に対して実質的に不透過性の材料から作るか、又は体液に対して実質的に不透過性になるように処理された又は製造された透過性材料から構成できる(例えば、上述の又は技術上既知の様々なタイプの材料を層状化することによって)。様々な実施形態において、上述のような医療装置は、延伸PTFEを含めて上述の材料の任意の組合せから作ることができる。
【0029】
ステントは、拘束された時及び/又は拘束されない時概ね円筒形とすることができ、複数の螺旋巻きを有する螺旋形に配列された波形を含むことができる。様々な実施形態において、波形は、相互に同相であるように整列できる。より具体的には、波形は、対向する第1及び第2方向に頂部を備えることができる。この波形が同相である場合、隣り合う螺旋巻きの頂部は、頂部が隣り合う螺旋巻きの対応する波形のそれぞれの頂部へ変位できるように整列される。特定の実施形態において、波形は、正弦曲線、U字形、V字形及び/又は卵形を持つことができる。
【0030】
様々な実施形態において、ステントは、埋植可能な医療装置の製造に使用される周知の材料(又はその組み合わせ)を含めて多様な生体適合性材料から製造できる。この種の材料は、316Lステンレス鋼、コバルトクロムニッケルモリブデン鉄合金(「コバルトクロム」)、L605など他のコバルト合金、タンタル、ニチノール又はその他の生体適合性金属を含むことができる。いくつかの実施形態において、本出願において説明するステント及び/又はステントグラフトは、バルーン拡張式ステント及び/又はステントグラフト及び/又は自動拡張式ステント及び/又はステントグラフトを含むことができる。更に、特定の実施形態において、ステントは、ワイヤ巻きステント含むことができ、ステントは波形を含んでも含まなくても良い。
【0031】
以上の説明において、装置及び/又は方法の構造及び機能の詳細と一緒に様々な代替策を含めて多数の特徴及び利点を示した。開示は単に例示的なものであり、網羅的であることを意図しない。当業者には、特に、構造、材料、要素、構成部品、形状、サイズ及び部品の配列に関して、特許請求の範囲において表示される用語の広義の一般的意味によって示される全範囲まで、本発明の原則内での組合せを含めて様々な修正を加えることができることが、明らかであろう。これらの様々な修正が請求項の主旨及び範囲から逸脱しない限り、これらの修正は本発明に包含される。