特許第6034503号(P6034503)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034503
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ケイ酸塩発光材料及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/59 20060101AFI20161121BHJP
   C09K 11/08 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   C09K11/59CPR
   C09K11/08 B
【請求項の数】10
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-538246(P2015-538246)
(86)(22)【出願日】2012年10月31日
(65)【公表番号】特表2015-536363(P2015-536363A)
(43)【公表日】2015年12月21日
(86)【国際出願番号】CN2012083878
(87)【国際公開番号】WO2014067112
(87)【国際公開日】20140508
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】511215230
【氏名又は名称】オーシャンズ キング ライティング サイエンスアンドテクノロジー カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】514052553
【氏名又は名称】シェンジェン オーシャンズ キング ライティング エンジニアリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN OCEAN’S KING LIGHTING ENGINEERING CO., LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ミンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ロン
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−532938(JP,A)
【文献】 特表2005−536843(JP,A)
【文献】 特開昭53−079000(JP,A)
【文献】 特開2001−288467(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/009844(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/083517(WO,A1)
【文献】 特開2009−179662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/59
C09K 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ酸塩発光材料であって、
一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mである、
(ここで、MはLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、Ag、Au、Pt、Pd、及びCu金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種であり、
xは0<x≦0.2であり、
yはMとSiとのモル比で、0<y≦1×10−2である。)、
ことを特徴とするケイ酸塩発光材料。
【請求項2】
前記xは0.02≦x≦0.10である、
ことを特徴とする請求項1に記載のケイ酸塩発光材料。
【請求項3】
前記yは1×10−5≦y≦5×10−3である、
ことを特徴とする請求項1に記載のケイ酸塩発光材料。
【請求項4】
ケイ酸塩発光材料の製造方法であって、
M(ここで、MはAg、Au、Pt、Pd、及びCu金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種である)含有のゾルを調製する工程と、
前記M含有のゾルをシリカエアロゲルと混合して混合物を得て、前記混合物を撹拌してから超音波処理を行って乾燥し、乾燥により得られる固体を研磨した後、600℃〜1200℃で0.5時間〜4時間焼成してM含有のシリカエアロゲルを得る工程と、
一般式LiCa1−xSiO:Tb,M(ここで、xは0<x≦0.2であり、MはLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、yはMとSiとのモル比で、0<y≦1×10−2である)における各元素の化学量論比に応じて、Liに対応する化合物、Caに対応する化合物、及びTbに対応する化合物と前記M含有のシリカエアロゲルとを混合して均一に研磨した後、500℃〜1000℃まで昇温して2時間〜15時間焼成し、さらに800℃〜1200℃で0.5時間〜6時間還元させ、冷却してから研磨して一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mであるケイ酸塩発光材料を得る工程と、
を含む、
ことを特徴とするケイ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項5】
前記M含有のゾルを調製する工程は、Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液を助剤、還元剤と混合し、10分間〜45分間反応させてM含有のゾルを得ることである、
ことを特徴とする請求項4に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項6】
前記Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液の濃度は5×10−4mol/L〜2.5×10−2mol/Lである、
ことを特徴とする請求項に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項7】
前記助剤はポリビニルピロリドン、チルトリメチルアンモニウム臭化物、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルスルホン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であり、
前記M含有のゾルにおける助剤の濃度は、1×10−4g/mL〜5×10−2g/mLであり、
前記還元剤はヒドラジン水和物、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であり、
前記還元剤と前記Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液における金属イオンとのモル比は0.5:1〜10:1である、
ことを特徴とする請求項に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項8】
前記混合物を撹拌してから超音波処理を行って乾燥することは、具体的に、前記混合物を50℃〜75℃で0.5時間〜3時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに60℃〜150℃で乾燥することである、
ことを特徴とする請求項4に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法。
【請求項9】
前記Liに対応する化合物はLiの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、前記Caに対応する化合物はCaの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、前記Tbに対応する化合物はTbの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩である、
ことを特徴とする請求項4に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法
【請求項10】
前記800℃〜1200℃で0.5〜6時間還元させることは、具体的に、窒素ガスと水素ガスとの混合還元雰囲気、一酸化炭素還元雰囲気、及び水素ガス還元雰から選ばれる少なくとも1種において、800℃〜1200℃で0.5〜6時間処理することである、
ことを特徴とする請求項4に記載のケイ酸塩発光材料の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光材料分野に関し、特にケイ酸塩発光材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
20世紀の60年代に、KenShoulderは、電界放出陰極アレイ(Field Emissive Arrays、FEAs)に基づく電子ビーム微小化装置の構想を提案した。そして、FEAsによってパネルディスプレー及び光源素子(すなわち電界放出表示素子、FieldEmission Display、FED)の設計及び製造に関する研究は、大きく関心を引いている。この新型の電界放出表示素子の作動原理は、従来の陰極線管(CathodeRay Tube,CRT)の作動原理と類似して、即ち、電子ビームで赤、緑及び青の三色蛍光粉に衝撃を与え発光させることによって、結像又は照明への適用を実現することである。この素子は、輝度、視角、応答時間、使用温度の範囲、及びエネルギー消費量等の面で、潜在的優位性を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
性能が優れている電界放出素子を製造するためには、高性能の発光材料の調製が主要因の1つである。現在、電界放出素子に用いられる発光材料は、主として従来の陰極線管及びプロジェクションテレビイメージ管に用いられる硫化物系及び酸硫化物系の蛍光粉である。これらの硫化物及び酸硫化物系の発光材料は、発光輝度が高く、一定の導電性を持つが、大電流電子ビームの衝撃において分解し易く、硫黄元素の放出によって陰極針を汚染し、且つ他の沈殿物を生成して発光材料の表面を覆うことがあるため発光材料の発光効率を低下させ、電界放出素子の実用寿命を縮める。
【0004】
そのため、発光強度が高く、安定性の良いケイ酸塩発光材料及びその製造方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ケイ酸塩発光材料であって、その一般式はLiCa1−xSiO:Tb,Mであり、ここで、MはLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、Ag、Au、Pt、Pd、及びCu金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種であり、xは0<x≦0.2であり、yはMとSiとのモル比で、0<y≦1×10−2である。
【0006】
1つの実施形態において、xは0.02≦x≦0.10である。
【0007】
1つの実施形態において、yは1×10−5≦y≦5×10−3である。
【0008】
ケイ酸塩発光材料の製造方法であって、
M(ここで、MはAg、Au、Pt、Pd、及びCu金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種である)含有のゾルを調製する工程と、
上記M含有のゾルをシリカエアロゲルと混合して混合物を得て、上記混合物を撹拌してから超音波処理を行って乾燥し、乾燥により得られる固体を研磨した後、600℃〜1200℃で0.5時間〜4時間焼成してM含有のシリカエアロゲルを得る工程と、
一般式LiCa1−xSiO:Tb,M(ここで、xは0<x≦0.2であり、MはLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、yはMとSiとのモル比で、0<y≦1×10−2である)における各元素の化学量論比に応じて、Liに対応する化合物、Caに対応する化合物、及びTbに対応する化合物と上記M含有のシリカエアロゲルとを混合して均一に研磨した後、500℃〜1000℃まで昇温して2時間〜15時間焼成し、さらに800℃〜1200℃で0.5時間〜6時間還元させ、冷却してから研磨して一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mであるケイ酸塩発光材料を得る工程と、を含む
1つの実施形態において、上記M含有のゾルを調製する工程は、Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液を助剤、還元剤と混合し、10分間〜45分間反応させてM含有のゾルを得ることである。
【0009】
1つの実施形態において、上記Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液の濃度は5×10−4mol/L〜2.5×10−2mol/Lである。
【0010】
1つの実施形態において、上記助剤はポリビニルピロリドン、チルトリメチルアンモニウム臭化物、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルスルホン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であり、
上記M含有のゾルにおける助剤の濃度は、1×10−4g/mL〜5×10−2g/mLであり、
上記還元剤はヒドラジン水和物、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムから選ばれる少なくとも1種であり、
上記還元剤と上記Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液における金属イオンとのモル比は0.5:1〜10:1である。
【0011】
1つの実施形態において、上記混合物を撹拌してから超音波処理を行って乾燥することは、具体的に、上記混合物を50℃〜75℃で0.5時間〜3時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに60℃〜150℃で乾燥することである。
【0012】
1つの実施形態において、上記Liに対応する化合物はLiの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、上記Caに対応する化合物はCaの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、上記Tbに対応する化合物はTbの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩である。
【0013】
1つの実施形態において、上記800℃〜1200℃で0.5〜6時間還元させることは、具体的に、窒素ガスと水素ガスとの混合還元雰囲気、一酸化炭素還元雰囲気、及び水素ガス還元雰から選ばれる少なくとも1種において、800℃〜1200℃で0.5〜6時間処理することである。
【発明の効果】
【0014】
上記ケイ酸塩発光材料は、金属ナノ粒子Mがドープされるものであり、その金属ナノ粒子Mにより発光材料の内部量子效率を向上させ、そのゲルマニウム酸塩発光材料の発光強度の向上に寄与することができる。また、当該ケイ酸塩発光材料は、従来の硫化物及び酸硫化物が、使用における分解により生成した沈殿物で発光材料の表面を被覆することで発光材料の発光効率を低下させるという現象を抑えることができ、安定性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係るケイ酸塩発光材料の製造方法のフロー図である。
図2図2は、実施例3におけるLiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料とLiCa0.90SiO:Tb0.10ケイ酸塩発光材料とを3kV電圧における陰極線発光スペクトルの比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び図面により、上記ケイ酸塩発光材料及びその製造方法をさらに説明する。
【0017】
一実施形態に係るケイ酸塩発光材料は、一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mである。
【0018】
ここで、Mは銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及び銅(Cu)金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種である。
【0019】
xは0<x≦0.2であり、好ましくは0.02≦x≦0.10である。
【0020】
符号「:」はドーピング及び置換を表す。発光材料はLiCaSiOを基材とし、TbがLiCaSiOにドープされて一部のCaを置換して得られるLiCa1−xSiO:Tbを発光基材とするものである。3価のTbイオン(Tb3+)はその発光材料の発光中心である。
【0021】
Mは、発光基材であるLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mであるケイ酸塩発光材料を形成する。
【0022】
yは、MとSiとのモル比で0<y≦1×10−2であり、好ましくは1×10−5≦y≦5×10−3である。
【0023】
一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mであるケイ酸塩発光材料は、金属ナノ粒子Mがドープされるものであり、その金属ナノ粒子Mにより発光材料の内部量子效率を向上させ、そのゲルマニウム酸塩発光材料の発光強度の向上に寄与することができる。また、当該ケイ酸塩発光材料は、従来の硫化物及び酸硫化物が、使用における分解により生成した沈殿物で発光材料の表面を被覆することで発光材料の発光効率を低下させるという現象を抑えることができ、安定性が良い。
【0024】
一実施形態に係るケイ酸塩発光材料の製造方法は、工程S110と、工程S120と、工程S130とを含む。
【0025】
工程S110において、M含有のゾルを調製する。
【0026】
Mは銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、及び銅(Cu)金属ナノ粒子から選ばれる少なくとも1種である。
【0027】
そのM含有のゾルを調製する工程は、Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液を助剤、還元剤と混合し、反応させてM含有のゾルを得ることである。ここで、M含有のゾルが得られることの確保を前提で、エネルギー消費量を抑えるために、反応時間は10分間〜45分間であることが好ましい。
【0028】
Ag、Au、Pt、Pd、又はCuの塩溶液は、Ag、Au、Pt、Pd、又はCuの塩化物溶液、硝酸塩溶液などである。Ag、Au、Pt、Pd、又はCuの塩溶液の濃度は必要に応じて調整されるが、好ましくは5×10−4mol/L〜2.5×10−2mol/Lである。
【0029】
助剤はポリビニルピロリドン(PVP)、チルトリメチルアンモニウム臭化物、ドデシル硫酸ナトリウム、及びドデシルスルホン酸ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である。M含有のゾルにおける助剤の濃度は1×10−4g/mL〜5×10−2g/mLである。
【0030】
還元剤はヒドラジン水和物、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、及び水素化ホウ素ナトリウムから選ばれる少なくとも1種である。還元剤を濃度が1×10−4mol/L〜1mol/Lである水溶液に調製した後、Ag、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液及び助剤と混合して反応させる。
【0031】
還元剤とAg、Au、Pt、Pd、及びCuのうちの少なくとも1種の塩溶液における金属イオンとのモル比は0.5:1〜10:1である。
【0032】
還元剤及び助剤の作用で、Ag、Au、Pt、Pd、又はCuイオンはAg、Au、Pt、Pd、又はCu金属ナノ粒子に還元され溶剤に分散してM含有のゾルが得られる。
【0033】
工程S120において、M含有のゾルをシリカエアロゲルと混合し、得られる混合物を撹拌してから超音波処理を行って乾燥し、乾燥により得られる固体を研磨した後、600℃〜1200℃で0.5時間〜4時間焼成してM含有のシリカエアロゲルを得る。
【0034】
M含有のゾルをシリカエアロゲルと混合して混合物を得る。その混合物を50℃〜75℃で0.5時間〜3時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、金属ナノ粒子Mをシリカエアロゲルに十分に吸着させる。その後、60℃〜150℃で乾燥してシリカエアロゲルにおける液体を取り除く。乾燥した後、高温で焼成して液体をさらに完全に取り除き、完全に乾燥したM含有のシリカエアロゲルを得る。
【0035】
工程S130において、一般式LiCa1−xSiO:Tb,M(ここで、xは0<x≦0.2であり、MはLiCa1−xSiO:Tbにドープされ、yはMとSiとのモル比で、0<y≦1×10−2である)における各元素の化学量論比に応じて、Liに対応する化合物、Caに対応する化合物、及びTbに対応する化合物と上記M含有のシリカエアロゲルとを混合して均一に研磨した後、500℃〜1000℃まで昇温して2時間〜15時間焼成し、さらに800℃〜1200℃で0.5時間〜6時間還元させ、冷却してから研磨して一般式がLiCa1−xSiO:Tb,Mであるケイ酸塩発光材料を得る。
【0036】
Liに対応する化合物は、Liの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、例えば、酸化リチウム(LiO)、炭酸リチウム(LiCO)、シュウ酸リチウム(Li)などである。
【0037】
Caに対応する化合物は、Caの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、例えば、酸化カルシウム(CaO)、炭酸カルシウム(CaCO)、シュウ酸カルシウム(CaC)などである。
【0038】
Tbに対応する化合物は、Tbの酸化物、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩、又はシュウ酸塩であり、例えば、七酸化四テルビウム(Tb)、炭酸テルビウム(Tb(CO))、シュウ酸テルビウム(Tb(C))などである。
【0039】
Liに対応する化合物、Caに対応する化合物、及びTbに対応する化合物とM含有のシリカエアロゲルとを原料として、反応の前に混合して均一に研磨することにより、反応をより十分に行う。2回焼成した後さらに研磨することによって、得られるケイ酸塩発光材料の粒径がより小さくなり、分布がより均一になる。
【0040】
上記アルミン酸塩発光材料の製造方法は、プロセスが簡単で、デバイスに対する要求が低く、非汚染で、コントロールし易く、工業的生産に適している。
【0041】
以下、具体的な実施例で説明する。
【0042】
<実施例1>
[LiCa0.85SiO:Tb0.15,Au1×10−2ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Au含有のゾルの調製
クロロ金酸(AuCl・HCl・4HO)41.2mgを秤量して脱イオン水16.7mLに溶解させた。クロロ金酸が完全に溶解した後、クエン酸ナトリウム14mg及びセチルトリメチルアンモニウム臭化物6mgを秤量して磁気撹拌しながらクロロ金酸水溶液に溶解させた。水素化ホウ素ナトリウム1.9mg及びアスコルビン酸17.6mgを秤量してそれぞれ脱イオン水10mLに溶解させ、濃度が5×10−3mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mL、及び濃度が1×10−2mol/Lのアスコルビン酸水溶液10mLを得た。磁気撹拌しながら、まずクロロ金酸水溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.08mLを加え、5分間撹拌して反応させた後、クロロ金酸水溶液に1×10−2mol/Lのアスコルビン酸水溶液3.22mLを加え、その後30分間反応を続けて、Au含有量が5×10−3mol/LのAuナノ粒子含有のゾル20mLを得た。
【0043】
(2)Au含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.3005gを秤量してAu含有量が5×10−3mol/LのAuナノ粒子含有のゾル10mLに溶解させ、50℃で3時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに60℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して600℃で4時間焼成し、金属ナノ粒子Au含有のシリカエアロゲルを得た。
【0044】
(3)LiCa0.85SiO:Tb0.15,Au1×10−2ケイ酸塩発光材料の調製
0.1195gのLiO、0.1904gのCaO、0.1121gのTb、及び0.2405gの金属ナノ粒子Au含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において500℃で15時間熱処理し、その後管状炉で炭粉還元雰囲気において1000℃で2時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.85SiO:Tb0.15,Au1×10−2ケイ酸塩発光材料を得た。
【0045】
<実施例2>
[LiCa0.98SiO:Tb0.02,Pt5×10−3ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Pt含有のゾルの調製
塩化白金酸(HPtCl・6HO)25.9mgを秤量して脱イオン水17mLに溶解させた。塩化白金酸が完全に溶解した後、クエン酸ナトリウム400mg及びドデシルスルホン酸ナトリウム600mgを秤量して磁気撹拌しながら塩化白金酸水溶液に溶解させた。水素化ホウ素ナトリウム1.9mgを秤量して脱イオン水10mLに溶解させ、濃度が5×10−3mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mLを得た。同時に、濃度が5×10−2mol/Lのヒドラジン水和物溶液10mLを調製した。磁気撹拌しながら、まず塩化白金酸水溶液に水素化ホウ素ナトリウム水溶液0.4mLを滴下し、5分間撹拌して反応させた後、塩化白金酸水溶液に5×10−2mol/Lのヒドラジン水和物溶液2.6mLを滴下し、その後40分間反応を続けて、Pt含有量が2.5×10−3mol/LのPtナノ粒子含有のゾル10mLを得た。
【0046】
(2)Pt含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.3005gを秤量してPt含有量が2.5×10−3mol/LのPtナノ粒子含有のゾル10mLに溶解させ、75℃で0.5時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに150℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して1200℃で0.5時間焼成し、金属ナノ粒子Pt含有のシリカエアロゲルを得た。
【0047】
(3)LiCa0.98SiO:Tb0.02,Pt5×10−3ケイ酸塩発光材料の調製
0.2955gのLiCO、0.3924gのCaCO、0.0199gのTb(CO)、及び0.2404gの金属ナノ粒子Pt含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において1000℃で2時間熱処理し、その後管状炉で一酸化炭素還元雰囲気において1200℃で0.5時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.98SiO:Tb0.02,Pt5×10−3ケイ酸塩発光材料を得た。
【0048】
<実施例3>
[LiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Ag含有のゾルの調製
硝酸銀(AgNO)3.4mgを秤量して脱イオン水18.4mLに溶解させた。硝酸銀が完全に溶解した後、クエン酸ナトリウム42mgを秤量して磁気撹拌しながら硝酸銀水溶液に溶解させた。水素化ホウ素ナトリウム5.7mgを秤量して脱イオン水10mLに溶解させ、濃度が1.5×10−2mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mLを得た。磁気撹拌しながら硝酸銀水溶液に1回で1.5×10−2mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液1.6mLを加えた後、10分間反応を続けてAg含有量が1×10−3mol/LのAgナノ粒子含有のゾル20mL得た。
【0049】
(2)Ag含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.7212gを秤量してAg含有量が1×10−3mol/LのAgナノ粒子含有のゾル3mLに溶解させ、60℃で2時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに80℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して800℃で2時間焼成し、金属ナノ粒子Ag含有のシリカエアロゲルを得た。
【0050】
(3)LiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料の調製
0.2955gのLiCO、0.2016gのCaO、0.0747gのTb、及び0.2524gの金属ナノ粒子Ag含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において600℃で4時間熱処理し、その後管状炉で95%Nと5%Hとの弱還元雰囲気において1000℃で4時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料を得た。
【0051】
図2は本実施例におけるLiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料とLiCa0.90SiO:Tb0.10ケイ酸塩発光材料との3kv電圧における陰極線発光スペクトルの比較図である。ここで、曲線1はLiCa0.90SiO:Tb0.10,Ag2.5×10−4ケイ酸塩発光材料の発光スペクトル図であり、曲線2はLiCa0.90SiO:Tb0.10ケイ酸塩発光材料の発光スペクトル図である。
【0052】
<実施例4>
[LiCa0.80SiO:Tb0.20Pd1×10−5ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Pd含有のゾルの調製
塩化パラジウム(PdCl・2HO)0.22mgを秤量して脱イオン水10mLに溶解させた。塩化パラジウムが完全に溶解した後、クエン酸ナトリウム11.0mg及びドデシル硫酸ナトリウム4.0mgを秤量して磁気撹拌しながら塩化パラジウム水溶液に溶解させた。水素化ホウ素ナトリウム0.38mgを秤量して脱イオン水100mLに溶解させて濃度が1×10−4mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム還元液を得た。磁気撹拌しながら塩化パラジウム水溶液に1×10−4mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mLを迅速に加えた後20分間反応を続けて、Pd含有量が5×10−5mol/LのPdナノ粒子含有のゾルを20mL得た。
【0053】
(2)Pd含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.9015gを秤量してPd含有量が5×10−5mol/LのPdナノ粒子含有のゾル3mLに溶解させ、65℃で1.5時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに120℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して1100℃で2時間焼成し、金属ナノ粒子Pd含有のシリカエアロゲルを得た。
【0054】
(3)LiCa0.80SiO:Tb0.20Pd1×10−5ケイ酸塩発光材料の調製
0.4076gのLi、0.4096gのCaC、0.2327gのTb(C)、及び0.2404gの金属ナノ粒子Pd含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において700℃で5時間熱処理し、その後管状炉で純粋なH還元雰囲気において800℃で6時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.80SiO:Tb0.20Pd1×10−5ケイ酸塩発光材料を得た。
【0055】
<実施例5>
[LiCa0.95SiO:Tb0.05Cu1×10−4ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Cu含有のゾルの調製
硝酸銅1.6mgを秤量してエタノール16mLに溶解させた。硝酸銅が完全に溶解した後、撹拌しながらポリビニルピロリドン12mgを加え、その後水素化ホウ素ナトリウム0.4mgをエタノール10mLに溶解して得た1×10−3mol/Lの水素化ホウ素ナトリウムアルコール溶液4mLを徐々に滴下し、10分間撹拌しながら反応を続けて、Cu含有量が4×10−4mol/LのCuナノ粒子含有のゾル20mLを得た。
【0056】
(2)Cu含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.7212gを秤量してCu含有量が4×10−4mol/LのCuナノ粒子含有のゾル3mLに溶解させ、65℃で1.5時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに110℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して900℃で3時間焼成し、金属ナノ粒子Cu含有のシリカエアロゲルを得た。
【0057】
(3)LiCa0.95SiO:Tb0.05Cu1×10−4ケイ酸塩発光材料の調製
0.5516gのLiNO、0.6232gのCa(NO)、0.0689gのTb(NO)、及び0.2404gの金属ナノ粒子Cu含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において600℃で4時間熱処理し、その後管状炉で95%Nと5%Hとの弱還元雰囲気において1000℃で6時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.95SiO:Tb0.05Cu1×10−4ケイ酸塩発光材料を得た。
【0058】
<実施例6>
[LiCa0.88SiO:Tb0.12,Ag5×10−4ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Ag含有のゾルの調製
0.0429gのAgNO、2.932gのクエン酸ナトリウム、0.05gのPVPをそれぞれ秤量して、0.025mol/LのAgNO水溶液10mL、1mol/Lのクエン酸ナトリウム水溶液10mL、5mg/mLのPVP水溶液10mLにそれぞれ調製した。AgNO水溶液2mLを脱イオン水30mLに加えると同時に上記PVP水溶液4mLを加え、撹拌して100℃まで加熱した後、クエン酸ナトリウム水溶液4mLを滴下し、15分間反応してからAg含有量が1.25×10−3mol/LのAgナノ粒子含有のゾル40mLを得た。
【0059】
(2)Ag含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.6010gを秤量してPd含有量が1.25×10−5mol/LのAgナノ粒子含有のゾル4mLに溶解させ、70℃で1時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに80℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して800℃で3時間焼成し、金属ナノ粒子Ag含有のシリカエアロゲルを得た。
【0060】
(3)LiCa0.88SiO:Tb0.12,Ag5×10−4ケイ酸塩発光材料の調製
0.2955gのLiCO、0.4506gのCaC、0.1396gのTb(C)、及び0.2404gの金属ナノ粒子Ag含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において500℃で10時間熱処理し、その後管状炉で純粋なH還元雰囲気において1100℃で3時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.88SiO:Tb0.12,Ag5×10−4ケイ酸塩発光材料を得た。
【0061】
<実施例7>
[LiCa0.92SiO:Tb0.08,(Ag0.5/Au0.5) 1.25×10−3ケイ酸塩発光材料の調製]
(1)Au及びAg含有のゾルの調製
クロロ金酸(AuCl・HCl・4HO)6.2mg及びAgNO2.5mgを秤量して脱イオン水28mLに溶解させた。クロロ金酸が完全に溶解した後、クエン酸ナトリウム22mg及びPVP20mgを加え、磁気撹拌しながら上記混合溶液に溶解させた。新たに調製した水素化ホウ素ナトリウム5.7mgを秤量して脱イオン水10mLに溶解させ、濃度が1.5×10−2mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液10mLを得た。磁気撹拌しながら、上記混合溶液に1.5×10−2mol/Lの水素化ホウ素ナトリウム水溶液2mLを1回加えた後20分間反応を続けて、金属合計濃度が1×10−3mol/LのAg及びAuナノ粒子含有のゾル30mLを得た。
【0062】
(2)Au及びAg含有のシリカエアロゲルの調製
シリカエアロゲル0.4808gを秤量して金属合計濃度が1×10−3mol/LのAg及びAuナノ粒子含有のゾル10mLに溶解させ、75℃で1時間撹拌してから10分間超音波処理を行い、さらに100℃で乾燥した。乾燥により得られる固体を均一に研磨して1000℃で4時間焼成し、金属ナノ粒子Au及びAg含有のシリカエアロゲルを得た。
【0063】
(3)LiCa0.92SiO:Tb0.08,(Ag0.5/Au0.5) 1.25×10−3ケイ酸塩発光材料の調製
0.5279gのCHCOOLi、0.5821gの(CHCOO)Ca、0.1075gの(CHCOO)Tb、及び0.2524gの金属ナノ粒子Au及びAg含有のシリカエアロゲルを秤量してメノウ乳鉢において均一に混合するまで十分に研磨した後、得られた粉末を鋼玉るつぼに移してマッフル炉において700℃で8時間熱処理し、その後管状炉で95%Nと5%Hとの弱還元雰囲気において900℃で5時間焼成し、室温まで冷却してから研磨してLiCa0.92SiO:Tb0.08,(Ag0.5/Au0.5) 1.25×10−3ケイ酸塩発光材料を得た。
【0064】
上述した実施例は、具体的、かつ詳細に説明しており、本発明のいくつかの実施形態を示すものであるが、本発明の特許請求の範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本発明の思想を逸脱しないことを前提とする場合、当業者が複数の変形及び変更をしても、本発明の保護範囲に属するものであると理解されるべきである。したがって、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に基づくものである。
図1
図2