(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コントローラは、前記荷物を出庫する場合に、当該荷物が収納された前記移動ラックの前に前記無人搬送車の走行路が形成されるように前記移動ラックを移動させると共に、前記第2コンベアにおける前記走行路の延長線上の位置に前記荷物を移載するように前記無人搬送車を移動させることを特徴とする請求項1記載の搬送システム。
前記送信手段は、前記荷物を出庫する場合に、当該荷物が収納された前記移動ラックの前に前記無人搬送車の走行路が形成されるように前記移動ラックを移動させる制御信号を前記移動ラックに送信すると共に、前記第2コンベアにおける前記走行路の延長線上の位置に前記荷物を移載するように前記無人搬送車を移動させる制御信号を前記無人搬送車に送信することを特徴とする請求項6記載のコントローラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷凍倉庫においては、冷凍環境を維持するために稼働させる冷凍機の運用コストなどの観点から、冷凍室内の限られたスペースにできるだけ多くの荷物を収納することが望まれている。また、冷凍環境のような零下の環境下において、冷凍室と前室との間で荷物を搬送する作業は、作業者の負荷が大きく、効率的ではなかった。このように、冷凍環境を有する保管庫においては、荷物の収納スペースを確保しつつ、効率的な荷物の搬送の実現が望まれている。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、荷物の収納性の向上を図ることができ、且つ、荷物の効率的な搬送を実現できる搬送システム及びコントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る搬送システムは、収納室を含む保管庫において荷物を搬送する搬送システムであって、荷物を収納すると共に、収納室内において互いに同方向に沿って延在して配置され、当該延在方向に直交する方向に移動可能に設けられた複数の移動ラックと、移動ラックに荷物を移載すると共に、収納室の床面を走行する無人搬送車と、移動ラックの延在方向に沿って延在すると共に、収納室と当該収納室の外部とに亘って配置され、荷物を搬送する第1コンベアと、収納室内において移動ラックの延在方向に略直交する方向に延在して配置され、第1コンベアの収納室側の一端部に接続されると共に、無人搬送車により荷物の移載が行われる第2コンベアと、移動ラック、第1コンベア、第2コンベア及び無人搬送車の動作を制御するコントローラと、を備え、コントローラは、荷物を入庫する場合に、当該荷物を収納する移動ラックの前に無人搬送車の走行路が形成されるように移動ラックを移動させると共に、第2コンベアにおいて走行路の延長線上に荷物が位置するように第2コンベアを稼働させ、走行路を通って第2コンベア上の荷物を移動ラックの収納棚に移載するように無人搬送車を移動させることを特徴とする。
【0007】
この搬送システムでは、移動ラックと、第1コンベアと、第2コンベアと、無人搬送車と、これらを制御するコントローラとを備え、コントローラは、荷物を入庫する場合に、当該荷物を収納する移動ラックの前に無人搬送車の走行路が形成されるように移動ラックを移動させると共に、第2コンベアにおいて走行路の延長線上に荷物が位置するように第2コンベアを稼働させ、走行路を通って第2コンベア上の荷物を移動ラックの収納棚に移載するように無人搬送車を移動させる。移動ラックは、延在方向に直交する方向に移動可能に設けられており、無人搬送車は、移動ラックの移動により形成される走行路を走行する。このような構成により、冷凍室等の収納室内においては、無人搬送車の走行路を形成するために移動ラックが移動するだけのスペースを確保すればよく、それ以外は収納スペースとして活用できる。したがって、収納室内において荷物の収納スペースを確保でき、収納性を向上が図れる。また、第2コンベアは、無人搬送車の走行路の延長線上に荷物が位置するように荷物を搬送する。したがって、無人搬送車は、移動ラックと第2コンベアとの間の最短経路で荷物を搬送できる。したがって、搬送時間の短縮化が図れ、効率的な荷物の搬送が可能となる。更に、無人移動搬送車と第1及び第2コンベアにより荷物の搬送が実現されるため、作業者が収納室(冷凍室)内で作業する負担を低減できる。
【0008】
また、コントローラは、荷物を出庫する場合に、当該荷物が収納された移動ラックの前に無人搬送車の走行路が形成されるように移動ラックを移動させると共に、第2コンベアにおける走行路の延長線上の位置に荷物を移載するように無人搬送車を移動させる。これにより、荷物を出庫するときの無人搬送車の移動を最小限とすることができる。したがって、搬送効率の向上が図れる。
【0009】
無人搬送車は充電式であり、収納室内に無人搬送車を充電する充電装置を備える。このような構成によれば、無人搬送車を収納室内だけで稼働させるため、無人搬送車において外気の変化に起因する結露が生じることを防止できる。したがって、無人搬送車において、結露による電気系の不具合の発生を防止できる。
【0010】
第1コンベア及び第2コンベアは、上下方向に複数段設けられており、各段において荷物の入庫用と出庫用とに分けられている構成とすることができる。このような構成によれば、各コンベアを設置する床面積を増大させることなく搬送能力の向上を図ることができる。また、荷物の入庫と出庫とを同時に行うことが可能となるため、搬送効率の向上を図ることができる。
【0011】
移動ラックと第2コンベアとの間隔は、無人搬送車の幅よりも小さい構成とすることができる。本発明では、無人搬送車は第2コンベアの前において第2コンベアの搬送方向に沿って移動することがない。そのため、移動ラックと第2コンベアとの間隔を無人搬送車の幅よりも小さくすることにより、収納スペース効率の向上が図れる。
【0012】
第1コンベアは、収納室の外部に荷物を搬送する手段に積載される量以上の荷物が収納可能とされている。このような構成によれば、例えばトラックにより搬送されてきた荷物を第1コンベアに全て収納できる。これにより、搬送待ちの荷物が収納室の外部に長時間置かれることが防止され、例えば冷凍食品等といった荷物の品質低下を防止できる。
【0013】
本発明に係るコントローラは、荷物を収納すると共に、収納室内において互いに同方向に沿って延在して配置され、当該延在方向に直交する方向に移動可能に設けられた複数の移動ラックと、移動ラックに荷物を移載すると共に、収納室の床面を走行する無人搬送車と、移動ラックの延在方向に沿って延在すると共に、収納室と当該収納室の外部とに亘って配置され、荷物を搬送する第1コンベアと、収納室内において移動ラックの延在方向に略直交する方向に延在して配置され、第1コンベアの収納室側の一端部に接続されると共に、無人搬送車により荷物の移載が行われる第2コンベアと、を備えた、収納室を含む保管庫において荷物を搬送する搬送システムのコントローラであって、移動ラック、第1コンベア、第2コンベア及び無人搬送車に制御信号を送信する送信手段を備え、送信手段は、荷物を入庫する場合に、荷物を収納する移動ラックの前に無人搬送車の走行路が形成されるように移動ラックを移動させる制御信号を送信し、第2コンベアにおいて走行路の延長線上に荷物が位置するように第2コンベアを稼働させる制御信号を送信し、無人搬送車が走行路を通って第2コンベア上の荷物を移動ラックの収納棚に移載するように無人搬送車を移動させる制御信号を送信する、ことを特徴とする。
【0014】
送信手段は、荷物を出庫する場合に、当該荷物が収納された移動ラックの前に無人搬送車の走行路が形成されるように移動ラックを移動させる制御信号を移動ラックに送信すると共に、第2コンベアにおける走行路の延長線上の位置に荷物を移載するように無人搬送車を移動させる制御信号を無人搬送車に送信する。
【0015】
コントローラは、第1コンベアに搬入された荷物に係る情報を管理する荷物管理手段を備え、荷物を入庫する場合に、当該荷物に係る情報に基づいて移載ラックにおける荷物の収納位置を決定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、荷物の収納性の向上を図ることができ、且つ、荷物の効率的な搬送を実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
図1は、一実施形態に係る搬送システムが適用された冷凍倉庫を上から見た図である。
図2は、冷凍室を正面から見た図である。
図1及び
図2に示す搬送システム1は、冷凍機を備える冷凍環境に適用されるシステムであり、本実施形態では冷凍倉庫Wに適用されている。搬送システム1が適用される冷凍倉庫(保管庫)Wには、冷凍室(収納室)Fと、前室(外部)Aとが設けられている。
図1及び
図2では、冷凍倉庫Wの幅方向をX方向、奥行方向をY方向、高さ方向をZ方向と規定する。
【0020】
冷凍室Fは、荷が収容される冷凍環境のスペースであり、例えば−25℃程度に設定されている。前室Aは、冷凍室Fに荷物B(
図2参照)を入庫(搬入)、または冷凍室Fから荷を出庫(搬出)する際に荷が一時的に保管される荷捌きスペースであり、例えば10℃程度に設定されている。前室Aには、荷物Bを搬送するトラック(冷凍室Fの前室Aに荷物Bを搬送する手段、図示しない)などにより荷物Bが搬入及び搬出される。
図1に示すように、冷凍室Fと前室Aと間には、防熱扉D1,D2が設けられている。この防熱扉D1,D2により、冷凍室Fと前室Aとの間で出入りが可能とされている。
【0021】
冷凍室Fには、移動ラック10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10hと、ストックコンベア(第1コンベア)20a,20bと、ストレージコンベア(第2コンベア)30と、無人搬送車40a,40bと、充電器(充電装置)50a,50bとが設けられている。
【0022】
移動ラック10a〜10hは、例えばパレット(図示しない)に載置された荷物Bを収納する収納棚である。移動ラック10a〜10hは、冷凍室F内に複数台(ここでは8台)設置されている。移動ラック10a〜10hは、冷凍室Fの奥行方向であるY方向(
図1の上下方向)に沿って互いに略平行(同方向)に延在している。
図2に示すように、移動ラック10a〜10hは、上下方向に例えば3段に荷物Bを収納可能に構成されている。なお、移動ラック10a〜10hに収納されるパレットは、JISで規格化されているものであり、サイズが例えば1200mm×1000mmのものである。
【0023】
移動ラック10a〜10hは、床面S(
図2参照)上を移動可能とされている。具体的には、移動ラック10a〜10hは、図示しない移動機構を備えており、この移動ラック10a〜10hの延在方向(Y方向)に直交するX方向に沿って移動する(
図4参照)。つまり、移動ラック10a〜10dは、隣接する他の移動ラック10a〜10hと離間する方向に移動する。これにより、隣接する移動ラック10a〜10h同士の間に無人搬送車40a,40bの走行路が形成される。なお、移動ラック10a,10hについては、ストックコンベア20a,20bとの間にも走行路が形成される。移動ラック10a〜10hの移動は、後述する移動ラックコントローラ110により動作が制御される。
【0024】
移動ラック10d,10eの間には、固定ラック14が配置されている。固定ラック14は、冷凍室Fにおいて中央部に配置されており、移動ラック10a〜10hに沿って延在している。本実施形態では、固定ラック14は、左右4台の移動ラック10a〜10d,10e〜10hの間に配置されている。この固定ラック14により、移動ラック10a〜10hは、冷凍室F内において2つの領域に区画されて配置されている。
【0025】
ストックコンベア20a,20bは、コンベアとしての機能と共に、バッファとしての機能を有している。ストックコンベア20a,20bは、移動ラック10a〜10hの延在方向に沿って移動ラック10と略平行に延在して配置されている。ストックコンベア20a,20bは、移動ラック10a〜10hを挟んで対向して配置されている。ストックコンベア20a,20bの荷物Bの搬送方向は、移動ラック10a〜10hの延在方向に沿った方向である。ストックコンベア20aは、冷凍室Fの幅方向の一方側(図示左側)の壁に沿い且つ近接して配置されている。ストックコンベア20bは、冷凍室Fの幅方向の他方側(図示右側)の壁に沿い且つ近接して配置されている。
【0026】
ストックコンベア20a,20bは、冷凍室Fと前室Aとに亘って設けられている。つまり、ストックコンベア20a,20bは、荷物Bを前室Aから冷凍室Fに導入すると共に、荷物Bを冷凍室Fから前室Aに導出する。ストックコンベア20a,20bにおいて、冷凍室Fと前室Aとの間には、防熱扉22a,22b(防熱シャッター)が設けられている。
図2に示すように、ストックコンベア20a,20bは、上下方向に複数段(ここでは2段)設けられており、例えば下段が荷物Bの入庫用、上段が荷物Bの出庫用として用いられる。ストックコンベア20a,20bの最上部は、荷物Bが載置可能とされており、棚として使用可能とされている。
【0027】
ストックコンベア20a,20bは、例えばモータが内臓されたローラ(図示しない)が搬送方向と直交する方向に延在するように複数配置されており、このローラにより荷物Bが搬送される。また、ストックコンベア20a,20bは、例えば前室Aから連続して荷物Bを搬入し、その荷物Bをストレージコンベア30に受け渡すまで一時的に保持するバッファとして機能する。ストックコンベア20a,20bの最大ストック量は、例えばトラックにより搬入及び搬出される荷物B以上の量、つまりトラックの最大積載量(例えば、20〜30パレット)以上とされている。
【0028】
ストレージコンベア30は、ストックコンベア20a,20bにより搬送された荷物Bを搬送する共に、無人搬送車40a,40bにより移載された荷物Bをストックコンベア20a,20bに搬送する。ストレージコンベア30は、移動ラック10a〜10h(ストックコンベア20a,20b)の延在方向(X方向)に直交する方向(Y方向)に沿って延在し、冷凍室Fの奥行方向の一端側(
図1上側)に近接して配置されている。すなわち、ストレージコンベア30における荷物Bの搬送方向は、移動ラック10a〜10hの延在方向に直交する方向である。ストレージコンベア30は、上下方向に複数段(ここでは2段)設けられている。ストレージコンベア30と移動ラック10a〜10hとの間隔は、無人搬送車40a,40bの幅寸法よりも小さく設定されている。
【0029】
ストレージコンベア30の両端部には、ストックコンベア20a,20bの冷凍室F側の一端部が接続されている。ストックコンベア20a,20bとストレージコンベア30との接続部分には、荷物Bの進行方向を転換する転換機32a,32bが設けられている。転換機32a,32bは、例えば直角方向転換機である。
【0030】
ストレージコンベア30は、荷物Bを移載するためのポートとしての機能を有している。ストレージコンベア30は、無人搬送車40a,40bの走行路の延長線上において、無人搬送車40a,40bによる荷物Bの移載が可能とされている。すなわち、ストレージコンベア30は、移動ラック10a〜10hの間に形成される無人搬送車40a,40bの走行路に対応した位置において、荷物Bを停止させる。ストレージコンベア30は、後述するストレージコンベアコントローラ130により動作が制御される。
【0031】
無人搬送車40a,40bは、冷凍室F内で荷物Bの移載を行う装置である。無人搬送車40a,40bは、充電式であり、図示しないバッテリを電源としている。無人搬送車40a,40bは、冷凍室F内に複数台(ここでは2台)配置されている。無人搬送車40a,40bは、荷物Bを移載するフォークリフト式の移載装置を備えている。無人搬送車40a,40bは、レーザ誘導又はSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)技術を利用して、自機の位置を推定する。無人搬送車40a,40bは、後述する無人搬送車コントローラ140により動作が制御される。
【0032】
本実施形態では、無人搬送車40aは、固定ラック14よりも図示左側に設けられている移動ラック10a〜10dに対して荷物Bの移載を行う。また、無人搬送車40bは、固定ラック14よりも図示右側に設けられている移動ラック10e〜10hに対して荷物Bの移載を行う。なお、無人搬送車40a,40bは、一方の無人搬送車に例えば不具合が生じた場合には、全ての移動ラック10a〜10hに対して荷物Bの移載を行う。
【0033】
充電器50a,50bは、無人搬送車40a,40bのバッテリを充電する装置である。充電器50a,50bは、例えば冷凍室F前方側においてストックコンベア20a,20bの近傍に配置されている。なお、充電器50a,50bの配置位置は、無人搬送車40a,40bの走行の妨げになる場所でなければ特に限定されない。本実施形態では、充電器50aは、無人搬送車40aの充電を行い、充電器50bは、無人搬送車40bの充電を行う。無人搬送車40a,40bは、例えば搬送要求がないときに充電器50a,50bにより充電を行う。
【0034】
図3は、搬送システムのシステム構成を示すブロック図である。
図3に示すように、搬送システム1は、メインコントローラ100を備えている。メインコントローラ100には、移動ラックコントローラ110と、ストックコンベアコントローラ120と、ストレージコンベアコントローラ130と、無人搬送車コントローラ140とが通信可能に接続されている。
【0035】
メインコントローラ100は、冷凍室F内の荷物Bの在庫管理を行う共に、荷物Bの搬送スケジュールを作成し、この搬送スケジュールに基づいて、各コントローラ110,120,130,140に搬送指令(制御信号)を送出して指示を行う装置である。メインコントローラ100は、入庫の際には、ストックコンベア20a,20bに搬入された荷物Bに係る情報が管理されている荷物管理手段(図示しない)を参照し、荷物Bに係る情報に基づいて入庫された荷物Bの保管位置を決定し、この保管位置まで荷物Bを搬送するための搬送スケジュールを作成する。また、メインコントローラ100は、出庫の際には、例えば客先から提供される出庫データに対応する荷物Bの保管位置を確認し、この保管位置から荷物Bを搬送するための搬送スケジュールを作成する。メインコントローラ100では、保管した荷物Bの保管位置を荷物管理手段に記憶している。
【0036】
メインコントローラ100は、各コントローラ110,120,130,140と図示しない統括コントローラとの間に設けられ、統括コントローラからの各種指示(入庫及び出庫データ)に基づいて各コントローラ110,120,130,140に送信手段(図示しない)により適時搬送指令を伝達(送信)し、このコントローラ110,120,130,140からの報告をまとめて統括コントローラに伝達する機能を有する。
【0037】
移動ラックコントローラ110は、移動ラック10の動作を制御する。移動ラックコントローラ110は、メインコントローラ100から送出された搬送指令により移動ラック10を移動させる。移動ラックコントローラ110は、移動ラック10の移動後に、移動ラック10の移動位置を示す情報をメインコントローラ100に送出する。
【0038】
ストックコンベアコントローラ120は、ストックコンベア20a,20bの動作を制御する。ストックコンベアコントローラ120は、メインコントローラ100から送出された搬送指令によりストックコンベア20a,20b(ローラ)を動作させる。ストックコンベアコントローラ120は、ストックコンベア20a,20bにより搬送される荷物Bの位置を常に把握している。ストックコンベアコントローラ120は、荷物Bの位置を含む情報をメインコントローラ100に送出する。
【0039】
ストレージコンベアコントローラ130は、ストレージコンベア30の動作を制御する。ストレージコンベアコントローラ130は、メインコントローラ100から送出された搬送指令によりストレージコンベア30を動作させる。具体的には、ストレージコンベアコントローラ130は、搬送指令に基づいて、所定の位置(無人搬送車40a,40bの走行路の延長線上に対応する位置)まで荷物Bを搬送するようにストレージコンベア30を制御する。ストレージコンベアコントローラ130は、荷物Bの位置を含む情報をメインコントローラ100に送出する。
【0040】
無人搬送車コントローラ140は、第1コントローラ150と、第2コントローラ160とを有している。第1コントローラ150は、地上側(例えば、操作室等)に設置され、第2コントローラ160は、無人搬送車40a,40bに搭載される。第1コントローラ150と第2コントローラ160とは、無線通信可能とされている。
【0041】
第1コントローラ150は、メインコントローラ100から送出された搬送指令を第2コントローラ160に送出する。第2コントローラ160は、荷物Bの入庫の際には、第1コントローラ150から送出された搬送指令に含まれる荷物Bの搬送先までの無人搬送車40a,40bの走行ルートを生成し、この走行ルートに沿って無人搬送車40a,40bを走行させ、所定の移動ラック10の所定の位置に荷物Bを移載するように無人搬送車40a,40bを制御する。
【0042】
また、第2コントローラ160は、出庫の際には、搬送指令に含まれる荷物Bの保管位置(移動ラック10)までの走行ルートを作成し、その保管位置から荷物Bを取り出してストレージコンベア30まで荷物Bを搬送するように無人搬送車40a,40bを制御する。第2コントローラ160は、無人搬送車40a,40bの動作に係る情報を第1コントローラ150に送出する。第1コントローラ150は、第2コントローラ160から送出された情報をまとめてメインコントローラ100に送出する。
【0043】
続いて、搬送システム1の動作について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4及び
図5は、搬送システムの動作を説明するための図である。なお、以下の説明では、
図1に示す状態を初期状態とする。
【0044】
最初に、荷物Bを入庫するときの動作について、
図4を参照して説明する。まず、例えばトラックにより搬送された荷物Bが前室Aに搬入され、その荷物Bがストックコンベア20aに移載される。移動ラック10bに荷物Bを収納する搬送指示が送出されている場合には、移動ラック10aが、移動ラック10bの前に無人搬送車40aの走行路が形成されるように左側に移動する。また、ストレージコンベア30は、移動ラック10aと10bとの間に形成された走行路の延長線上に荷物Bが位置するように、荷物Bを搬送する。そして、無人搬送車40aは、ストレージコンベア30から荷物Bをピックアップすると共に、その荷物Bを移動ラック10bの所定の位置まで搬送して移載する。
【0045】
同様に、移動ラック10fに荷物Bを収納する搬送指示が送出されている場合には、移動ラック10g,10hが、移動ラック10fの前に無人搬送車40bの走行路が形成されるように右側に移動する。また、ストレージコンベア30は、移動ラック10fと10gとの間に形成された走行路の延長線上に荷物Bが位置するように、荷物Bを搬送する。そして、無人搬送車40bは、ストレージコンベア30から荷物Bをピックアップすると共に、その荷物Bを移動ラック10fの所定の位置まで搬送して移載する。
【0046】
続いて、荷物Bを出庫するときの動作について、
図5を参照して説明する。移動ラック10cの所定位置から荷物Bを搬出する搬送指令が送出されている場合には、移動ラック10a,10bが、移動ラック10cの前に無人搬送車40aの走行路が形成されるように左側に移動する。そして、無人搬送車40aは、収納ラック10cから荷物Bをピックアップすると共に、その荷物Bを走行路に沿って搬送し、走行路の延長線上のストレージコンベア30に移載する。その後、ストックコンベア20aにより前室Aまで搬送される。
【0047】
同様に、移動ラック10eの所定位置から荷物Bを搬出する搬送指令が送出されている場合には、移動ラック10f〜10hが、移動ラック10eの前に無人搬送車40bの走行路が形成されるように右側に移動する。そして、無人搬送車40bは、収納ラック10eから荷物Bをピックアップすると共に、その荷物Bを走行路に沿って搬送し、走行路の延長線上のストレージコンベア30に移載する。その後、ストックコンベア20aにより前室Aまで搬送される。なお、上述の搬送システム1の動作は、一例であり、ストックコンベア20a,20b及びストレージコンベア30荷物Bの搬送方向は任意に設定されればよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態では、冷凍室F内に、移動ラック10a〜10h、ストックコンベア20a,20b、ストレージコンベア30及び無人搬送車40a,40bが設けられている。移動ラック10a〜10bは、互いに幅方向に離間する方向に移動可能に設けられており、無人搬送車40a,40bは、移動ラック10a〜10hの移動により形成される走行路を走行する。このような構成により、冷凍室F内においては、無人搬送車40a〜40dの走行路を形成するだけのスペースを確保すればよく、それ以外は収納スペースとして活用できる。したがって、冷凍室F内において荷物Bの収納スペースを確保でき、収納性を向上が図れる。
【0049】
また、ストレージコンベア30は、無人搬送車40a,40bの走行路の延長線上に荷物Bが位置するように荷物Bを搬送する。したがって、無人搬送車40a,40bは、移動ラック10a〜10hとストレージコンベア30との間の最短経路で荷物Bを搬送できる。したがって、搬送時間の短縮化が図れ、効率的な荷物Bの搬送ができる。
【0050】
また、本実施形態では、主として、移動ラック10a〜10h、ストックコンベア20a,20b、ストレージコンベア30及び無人搬送車40a,40bにより荷物Bの搬送が自動的に行うことができるため、冷凍室F内において作業する作業者をほとんど要しない。したがって、作業者の負担を軽減できる。
【0051】
また、本実施形態では、ストックコンベア20a,20bにおいて荷物Bをストックできる。すなわち、ストックコンベア20a,20bが荷物Bのバッファとして機能する。これにより、荷物Bを冷凍室Fに入庫する際には、ストレージコンベア30に荷物Bが受け渡されるまでの間、ストックコンベア20a,20bにおいて荷物Bを待機させることができ、ストレージコンベア30に対して直ぐに荷物Bを送出できる。したがって、搬送効率の向上を図ることができる。
【0052】
また、荷物Bの搬出の際には、例えば夜のうちに搬出対象の荷物Bを無人搬送車40a,40bでピックアップしてストックコンベア20a,20bに保持しておくことができる。これにより、搬送用のトラックが朝に到着したときに、ストックコンベア20a,20bから荷物Bを搬出するだけでよいので、効率的に荷物Bを搬出することができる。さらに、ストックコンベア20a,20bにおいて荷物Bを保持できるため、前室Aに荷物Bが長時間置かれることを防止でき、これにより、冷凍食品の品質低下を防止できる。
【0053】
また、本実施形態の搬送システム1では、移動ラック10a〜10hを移動させることにより走行路(通路)が形成されるため、例えば、パレット単位でではなく、そのパレットに載置された荷物B内の商品単位でピックアップする場合、作業者が冷凍室F内に入って通路を通り、商品のピックアップ作業を行うことができる。このように、搬送システム1を完全に自動化したシステムではなく、状況に応じてフレキシブルに対応できるシステムとすることにより、より効率的な作業が実現できる。なお、作業者が冷凍室F内に入るときには、無人搬送車40a,40bの動作が停止され、例えば充電器50a,50bにより充電されていることが安全性の観点から好ましい。
【0054】
また、本実施形態では、主として無人搬送車40a,40bにより冷凍室F内において荷物Bの移載を行い、ストックコンベア20a,20b及びストレージコンベア30により荷物Bの搬送を行うため、無人搬送車40a,40bが冷凍室Fから出ることがない。そのため、無人搬送車40a,40bに結露が発生することを防止できる。その結果、結露による不具合の発生を抑制できる。また、搬送車が前室Aと冷凍室Fとの間で行き来しないため、その移動に要する電力の消費を抑制できる。
【0055】
また、本実施形態では、ストックコンベア20a,20b及びストレージコンベア30が上下方向に多段の構成を有している。これにより、ストックコンベア20a,20b及びストレージコンベア30では、例えば下段を入庫用、上段を出庫用として用いることができる。これにより、各コンベア20a,20b,30を設置する床面積を増大させることなく搬送能力の向上を図ることができる。ストックコンベア20a,20bは、その最上部において荷物Bが載置可能とされている。これにより、荷物Bの収納スペースを確保でき、収納性の向上を図れる。
【0056】
また、本実施形態では、冷凍室Fと前室Aとの間の荷物Bの搬送は、主としてストックコンベア20a,20bにより行われる。したがって、従来のように冷凍室Fと前室Aとの間をフォークリフトで頻繁に行き来する必要がないので、冷凍室Fの温度が上昇することを抑制でき冷凍室Fの温度を維持できる。その結果、冷凍機の負荷を低減でき、冷凍環境を維持するためのコストの増大を抑制できる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、無人搬送車40a,40bを冷凍室F内に配置する構成を一例に説明したが、無人搬送車は冷凍室F内に少なくとも1台配置されればよい。この場合、初期状態において走行路は一本だけ存在していればよい。これにより、移動ラックを増設することができ、収納性の向上が図れる。なお、搬送効率の観点からは、無人搬送車が複数台配置されることが好ましい。
【0058】
また、移動ラックの設置数は、冷凍室Fの設計に応じて適宜設定されればよい。また、これに合わせて、無人搬送車や充電器の設置台数が設定されればよい。また、移動ラック、ストックコンベア及びストレージコンベアの配置や構成(段数)は、冷凍室Fの構造に応じて適宜設定されればよい。
【0059】
また、本実施形態に加えて、荷物Bを入庫する際に、荷物Bに付された例えばバーコードをバーコードリーダにて読み取ることにより取得し、このバーコードに紐付けられたデータにより荷物Bの在庫管理を行ってもよい。
【0060】
また、本実施形態では、保管庫として冷凍室Fを含む冷凍倉庫Wを一例に説明したが、収納室は冷凍室に限定されず、保管庫は冷蔵室、常温室を含むものであってもよい。