(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記曲板部の外面を前記シート材の上面に当接させ、前記シート保持部を前記シート材の一端縁から他端縁まで前記シート材の上を転動させる請求項1に記載のシート搬送装置。
前記シート保持部の転動によって前記曲板部の外面における前記シート材の上面に当接する部分が移動すると、該部分に対応する吸引孔の吸引動作をオフからオンに切換えるとともに、既にオンに切換えられた吸引孔の吸引動作をオンのままに維持する請求項2に記載のシート搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるシート搬送装置を示す斜視図、
図2は本発明の第1の実施の形態におけるシート搬送装置の要部を示す斜視図である。
【0022】
図において、10は本実施の形態におけるシート搬送装置であって、搬送対象物であるシート材91を開放自在に保持するシート保持部11と、該シート保持部11を搬送する搬送部31と、該搬送部31をガイドする搬送ガイド部41とを有する。
【0023】
前記シート材91は、1枚毎に矩(く)形にカットされた、いわゆるカットシート状の薄板部材であれば、いかなる材質のものであっても、いかなる厚さのものであってもよいが、本実施の形態においては、天然ゴム等の天然樹脂や、シリコーン樹脂、シリコーンゴム等の合成樹脂から成り、厚さが約1〔mm〕以下の柔軟性が高い薄板部材であって、直線状の一端縁としての前端縁91f及び直線状の他端縁としての後端縁91rと一対の直線状の側端縁91sとによって周囲が画定された一辺が約1〔m〕程度の正方形のカットシート状のものであるものとして説明する。
【0024】
なお、前記シート材91は、複数枚が積層された状態で搬送元としての載置台93上に載置されているものとする。そして、前記シート材91は、前記シート搬送装置10によって1枚ずつ順に取出されて搬送され、搬送先としての処理台95上に移し替えられるものとする。なお、
図1に示される例では、描画の都合上、処理台95が載置台93の後方における接近した位置に配設されているが、処理台95はいかなる位置に配設されてもよく、載置台93から遠く離れた位置に配設されてもよい。また、前記処理台95は、例えば、シート材91にコーティング、洗浄、加工等の処理を施すための台であるが、必ずしもこれに限定されるものでなく、例えば、コンベヤ等の搬送装置の中継部であってもよく、シート材91が載置可能であれば、いかなる種類の部材であってもよい。
【0025】
本実施の形態において、シート搬送装置10及びその他の部材に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、シート搬送装置10及びその他の部材に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、シート搬送装置10及びその他の部材に含まれる各部の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0026】
前記シート保持部11は、
図2に示されるように、シート材91の幅方向に延在する曲板部13と、該曲板部13の両端にそれぞれ取付けられた一対の端板部12とを備える。図に示される例において、各端板部12は、中心角が約90度の扇形の板部材であり、また、前記曲板部13は、シート材91の幅方向に延在する直線状の前端縁13f及び後端縁13rと、中心角が約90度の扇形の円弧状に湾曲した一対の側端縁13sとによって四辺を画定された湾曲した板部材である。換言すると、前記曲板部13は、円筒形の周壁のうちの四半分に対応する形状、すなわち、円形の上面及び底面のうちの中心角が約90度の扇形の部分に対応する周壁の形状を備える湾曲した板部材である。更に換言すると、前記シート保持部11は、円筒形のうちの四半分に対応する形状を備えている。なお、前記曲板部13の少なくとも外面、すなわち、周面は、曲率が一定の平滑な曲面である。
【0027】
また、各端板部12は、前記扇形の円弧に沿って延在する曲板保持部12aと、前記扇形の一対の半径に沿ってそれぞれ延在する一対の半径部12bと、扇の要(かなめ)に該当する要部12cと、前記曲板保持部12a、半径部12b及び要部12cに周囲を画定された開放部12dとを含んでいる。前記曲板保持部12aの両端に各半径部12bの一端が接続され、前記要部12cに各半径部12bの他端が接続されている。なお、前記開放部12dは適宜省略することができる。
【0028】
そして、前記曲板保持部12aの外側縁には、前記曲板部13の側端縁13sが取付けられている。また、前記曲板保持部12aには、吸引管21の端部である管端部22が取付けられている。前記吸引管21は、複数本、例えば、10〜15本であり、それぞれが曲板部13の内面に沿って、前端縁13f及び後端縁13rと平行に、直線状に、かつ、シート保持部11の軸方向に延在する管部材である。そして、各吸引管21の両端に位置する管端部22は、各端板部12の曲板保持部12aを貫通するように配設され、該曲板保持部12aに取付けられている。なお、前記吸引管21は、一般的な管のように円管であってもよいが、少なくとも曲板部13の内面に接する面が前記内面と同形状となっている異形管であることが望ましい。
【0029】
また、前記吸引管21の曲板部13の内面に接する面には、管の内部と外部とを連通する図示されない貫通孔が形成されている。前記吸引管21のそれぞれにおいて、前記貫通孔は、吸引管21の長手方向に所定間隔で並ぶように、複数形成されている。
【0030】
一方、前記曲板部13には、
図2に示されるように、複数の吸引孔14が形成されている。該吸引孔14は、曲板部13を板厚方向に貫通する孔(あな)であり、その各々は、前記吸引管21の貫通孔の各々に対応する位置に形成されている。したがって、前記吸引孔14は、曲板部13上において格子状に配設され、その各々は、前記貫通孔を介して、吸引管21の内部に連通している。なお、前記吸引管21は、曲板部13の内面のほぼ全範囲に亘(わた)って存在するように、かつ、互いに隣接して配設されている。また、前記貫通孔は、各吸引管21のほぼ全長に亘って存在するように形成されている。したがって、前記吸引孔14は、吸引管21に沿って列を成すように配設され、かつ、曲板部13の周面の円弧方向に関し、隣接する列同士の間隔(ピッチ)が、隣接する吸引管21同士のピッチと同様に、短くなっている。
【0031】
また、前記吸引孔14は、曲板部13の外面における前端縁13f、後端縁13r及び側端縁13s近傍の不可避的な余白を除くほぼ全範囲に亘って存在するように、少なくとも、前端縁91f、後端縁91r及び側端縁91sによって周囲が画定された正方形である搬送対象物としてのシート材91に対応する範囲の全体に亘って存在するように配設されている。
【0032】
なお、前記吸引孔14の開口の形状は、例えば、円形、楕(だ)円形、矩形等であるが、いかなる形状であってもよい。また、前記吸引孔14の大きさは、その長径(開口形状が円形の場合には直径)が、例えば、1〔mm〕以下であることが望ましいが、より望ましくは、長径がシート材91の厚さ寸法以下であることが望ましい。これにより、吸引孔14による吸着跡や皺の発生を防止することができる。
【0033】
そして、各吸引管21の一方の管端部22にはジョイント部23が接続され、真空ポンプ等の図示されない吸引装置に一端が接続された図示されないパイプラインの他端が前記ジョイント部23に接続される。これにより、各吸引管21の内部の空気は、前記パイプラインを介して、前記吸引装置によって吸引排出され、その結果、曲板部13に形成された吸引孔14による吸引が行われる。
【0034】
なお、前記パイプラインの途中には、前記吸引装置との連通状態と外気との連通状態とを切換えるための切換制御弁装置が配設されている。前記吸引装置を作動させた状態で前記切換制御弁装置を作動させることによって、前記吸引管21による吸引動作のオン/オフを切換えることができる。前記切換制御弁装置を各パイプラインに配設することによって、各吸引管21の吸引動作のオン/オフを個別に切換えることが可能となる。なお、前記吸引装置及び切換制御弁装置の動作は、図示されない吸引制御装置によって制御される。もっとも、各吸引管21の吸引動作のオン/オフを個別に切換える必要がないときは、隣接する吸引管21を何本かずつまとめていくつかのグループを形成し、何本かの吸引管21から成るグループ毎に吸引動作のオン/オフを切換えるようにすることもできる。本実施の形態においては、各吸引管21の吸引動作のオン/オフを個別に切換えるものとして説明する。
【0035】
前記要部12cには、シート保持部11を前記搬送部31の回転軸33に固定する固定具17が取付けられている。該固定具17は、
図2に示されるように、要部12cに取付けられた基礎部17aと、該基礎部17aに取付けられる対向部17bと、該対向部17bが基礎部17aに取付けられた状態で対向部17bと基礎部17aとの間に生じる軸通過孔17cとを含んでいる。そして、該軸通過孔17cに回転軸33を挿入した状態で、該回転軸33を対向部17bと基礎部17aとによって両側から挟持することにより、前記回転軸33に固定具17が固定され、その結果、前記回転軸33にシート保持部11が固定される。なお、前記軸通過孔17cは、その中心が前記曲板部13の側端縁13sを円弧とする扇形の中心、すなわち、前記曲板部13の外面の曲率中心と一致するように形成される。したがって、軸通過孔17cに挿入された回転軸33の回転中心も、前記曲板部13の外面の曲率中心と一致する。
【0036】
前記搬送部31は、シート材91の幅方向に延在する支持腕部32と、該支持腕部32と同方向に延在し、該支持腕部32の下端に回転可能に支持された前記回転軸33と、前記支持腕部32の長手方向一端に取付けられたスライド部36と、同じく前記支持腕部32の長手方向一端に取付けられた駆動ユニット35とを備える。また、前記搬送ガイド部41は、シート材91の搬送方向に延在する搬送レール部44と、該搬送レール部44に沿って延在し、該搬送レール部44を支持する梁部43と、該梁部43の両端に接続された一対の脚部42とを備える。
【0037】
前記支持腕部32の長手方向の両端の下には軸受32aが取付けられ、前記回転軸33の両端は前記軸受32aによって回転可能に支持される。また、前記駆動ユニット35は、パルスモータ等の図示されない回転用アクチュエータを含み、該回転用アクチュエータの駆動力が、ギヤ、チェーン、スプロケット等の図示されない駆動力伝達部材を介して、回転軸33に伝達され、該回転軸33を回転させる。
【0038】
前記スライド部36は昇降レール部36aを含み、前記支持腕部32は前記昇降レール部36aに沿って昇降可能となっている。また、前記駆動ユニット35は、パルスモータ等の図示されない昇降用アクチュエータを含み、該昇降用アクチュエータの駆動力が、ギヤ、チェーン、スプロケット等の図示されない駆動力伝達部材を介して伝達され、支持腕部32をスライド部36に対して昇降させる。なお、前記昇降用アクチュエータは、前記回転用アクチュエータと別個のものであってもよいし、同一のものであってもよい。
【0039】
また、前記スライド部36は、前記搬送レール部44にスライド可能に取付けられている。そして、前記駆動ユニット35は、パルスモータ等の図示されないスライド用アクチュエータを含み、該スライド用アクチュエータの駆動力が、ギヤ、チェーン、スプロケット等の図示されない駆動力伝達部材を介して伝達され、スライド部36を搬送レール部44に沿ってスライドさせる。なお、前記スライド用アクチュエータは、前記回転用アクチュエータ又は昇降用アクチュエータと別個のものであってもよいし、同一のものであってもよい。また、駆動ユニット35の各アクチュエータの動作は、図示されない駆動制御装置によって制御される。該駆動制御装置は、前記吸引制御装置と別個のものであってもよいし、同一のものであってもよい。
【0040】
さらに、前記脚部42は、鉛直方向に延在し、その上端が前記梁部43の一端に取付けられた支柱部42aと、該支柱部42aの下端に取付けられた基礎部42bと、該基礎部42bの下面に取付けられたキャスター42c及びストッパ42dとを含んでいる。前記キャスター42cを使用することによって、一対の脚部42を、ひいてはシート搬送装置10全体を、工場等の床面上における任意の位置に移動させることができ、また、前記ストッパ42dを使用することによって、一対の脚部42を、ひいてはシート搬送装置10全体を、工場等の床面上における任意の位置で停止させることができる。
【0041】
次に、前記構成のシート搬送装置10の動作について説明する。
【0042】
図3は本発明の第1の実施の形態におけるシート搬送装置の動作を説明する図、
図4は、本発明の第1の実施の形態におけるシート保持部の第1の変形例を説明する斜視図、
図5は、本発明の第1の実施の形態におけるシート保持部の第2の変形例を説明する斜視図である。なお、
図3において、(a)〜(e)はシート保持部がシート材を保持する動作の各工程を示す図である。
【0043】
まず、オペレータは、キャスター42cを使用することによってシート搬送装置10を移動させ、
図3(a)に示されるように、載置台93上に載置されているシート材91の直上にシート保持部11を位置させる。より詳細には、曲板部13の前端縁13fがシート材91の前端縁91fと平行になり、シート材91の幅(横)方向及び前後(縦)方向に関して、曲板部13の外面における吸引孔14の存在する範囲内にシート材91が対応するように、シート搬送装置10の位置及び向きを調整する。そして、シート搬送装置10の位置及び向きが決まったら、ストッパ42dを使用することによってシート搬送装置10を停止させる。
【0044】
なお、シート材91は、複数枚が積層された状態で搬送元としての載置台93上に載置されており、図において、91−1はその最上位に位置するシート材91を意味し、91−2は最上位から2番目のシート材91を意味する。
【0045】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作して駆動ユニット35の昇降用アクチュエータを作動させ、支持腕部32をスライド部36の昇降レール部36aに沿って下降させる。これにより、シート保持部11を下降させ、
図3(b)に示されるように、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14をシート材91−1の前端縁91f近傍の上面に当接させる。
【0046】
続いて、オペレータは、吸引制御装置を操作して曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換える。実際には、駆動制御装置の制御動作と吸引制御装置の制御動作とを協調させ、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の前端縁91f近傍の上面に当接すると同時に前記吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換えさせることが望ましい。なお、この時点では、他のすべての吸引管21の吸引動作は、オフのままに維持される。
【0047】
これにより、前記シート材91−1における吸引孔14が当接した部分のみが曲板部13の外面に吸引されて保持される。この場合、前記吸引孔14が、その長径がシート材91の厚さ寸法以下、と小さいので、シート材91−1が前記吸引孔14内に吸込まれて皺や吸着跡が発生することがない。また、他のすべての吸引管21の吸引動作がオフのままに維持されているので、前記シート材91−1における吸引孔14に当接していない部分、すなわち、前端縁91f近傍以外の部分が他の吸引孔14によって吸上げられることがないので、皺が発生することがない。
【0048】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作して駆動ユニット35の回転用アクチュエータを作動させ、回転軸33を中心にしてシート保持部11を回転させる。これにより、曲板部13がシート材91−1上を後端縁91rの方向に向いて転がるように、シート保持部11が回転する。この場合、シート保持部11がシート材91−1上を転動することになるので、駆動ユニット35のスライド用アクチュエータを作動させてスライド部36を搬送レール部44に沿ってスライドさせ、回転軸33をシート材91−1の後端縁91rの方向に平行移動させる。つまり、曲板部13の外面をシート材91−1の上面に当接させ、シート保持部11をシート材91−1の前端縁91fから後端縁91rまでシート材91−1の上を転動させる。実際には、回転軸33の回転と平行移動とが協調するように、駆動制御装置が回転用アクチュエータ及びスライド用アクチュエータの動作の協調制御を行うことが望ましい。
【0049】
そして、曲板部13の前端縁13fに2番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の上面に当接すると、オペレータは、吸引制御装置を操作して曲板部13の前端縁13fに2番目に近い吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換える。これにより、前記シート材91−1における吸引孔14が当接した部分が曲板部13の外面に吸引されて保持される。
【0050】
一方、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14の吸引動作がオンのままに維持されている。したがって、シート材91−1における前端縁13fに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14に当接した部分、すなわち、シート材91−1の前端縁91f近傍の部分は、曲板部13の外面に吸引されて保持されたままになっているので、シート保持部11の転動によって、前端縁13fに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14の周囲における曲板部13の外面が上昇するのに伴い、上方に持上げられる。その結果、シート材91−1の前端縁91f及びその近傍の部分は、その下に位置するシート材91−2の上面から引き剥(は)がされて、上方に持上げられる。
【0051】
実際には、駆動制御装置の制御動作と吸引制御装置の制御動作とを協調させ、シート保持部11の転動によって、曲板部13の前端縁13fに2番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の前端縁91f近傍の上面に当接すると同時に前記吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換えさせることが望ましい。
【0052】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作して回転軸33を中心にしてシート保持部11を更に回転させ、かつ、回転軸33を更に平行移動させる。すなわち、シート保持部11を更に転動させる。そして、曲板部13の前端縁13fに3番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の上面に当接すると、オペレータは、吸引制御装置を操作して曲板部13の前端縁13fに3番目に近い吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換える。一方、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21及び2番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14の吸引動作は、オンのままに維持されている。換言すると、シート保持部11の転動によって曲板部13の外面におけるシート材91−1の上面に当接する部分が移動すると、この部分に対応する吸引孔14の吸引動作をオフからオンに切換えるとともに、既にオンに切換えられた吸引孔14の吸引動作をオンのままに維持する。
【0053】
以降、このような動作を繰返し、シート保持部11を更に転動させながら、各吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の上面に当接すると、当該吸引管21の吸引動作をオフからオンに切換えるとともに、既にオンに切換えられた吸引孔14の吸引動作をオンのままに維持させる。したがって、シート保持部11が後端縁91rの方向に転動するにつれて、シート材91−1は、前端縁91fから後端縁91rに向けて順次連続的に、曲板部13の外面に吸引されて保持され、上方に持上げられる。
【0054】
そして、
図3(c)に示されるように、曲板部13における前端縁13fと後端縁13rとの中間近傍の部分がシート材91−1における前端縁91fと後端縁91rとの中間近傍の部分に当接した状態となる。つまり、曲板部13の前端縁13fにn番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の上面に当接し、前記吸引管21の吸引動作がオフからオンに切換えられた状態となる。
【0055】
この状態では、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21から前端縁13fにn−1番目に近い吸引管21に対応する吸引孔14の吸引動作は、オンのままに維持されている。したがって、シート材91−1における前端縁91fから前端縁91fと後端縁91rとの中間近傍までの部分は、曲板部13の外面における前端縁13fから前端縁13fと後端縁13rとの中間近傍までの部分に吸引されて保持され、上方に持上げられている。つまり、シート材91−1は、シート保持部11が転動するにつれて、前端縁91fから前端縁91fと後端縁91rとの中間近傍まで、順次連続的にシート材91−2の上面から引き剥がされ、捲り挙げられるようにして、上方に持上げられている。したがって、シート材91−2は、シート材91−1に付着して上方に持上げられることがなく、皺が発生することがない。また、シート材91−1もシート材91−2に付着して下方に引張られることがなく、皺が発生することがない。
【0056】
以降、このような動作の繰返しを継続し、シート保持部11を更に転動させる。そして、
図3(d)に示されるように、曲板部13における後端縁13rに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の後端縁91r近傍の上面に当接した状態になると、オペレータは、駆動制御装置を操作して駆動ユニット35の回転用アクチュエータ及びスライド用アクチュエータの作動を停止させ、シート保持部11の転動を停止させる。つまり、曲板部13の後端縁13rに最も近い吸引管21に対応する吸引孔14がシート材91−1の上面に当接し、前記吸引管21の吸引動作がオフからオンに切換えられた状態となると、シート保持部11の転動を停止させる。この状態では、すべての吸引孔14の吸引動作がオンとなっている。そして、シート材91−1全体は、曲板部13の外面に吸引されて保持されている。
【0057】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作して駆動ユニット35の昇降用アクチュエータを作動させ、支持腕部32をスライド部36の昇降レール部36aに沿って上昇させてシート保持部11を上昇させる。なお、すべての吸引孔14の吸引動作は、オンのままに維持されている。これにより、
図3(e)に示されるように、シート材91−1全体は、曲板部13の外面に吸引されて保持され、シート材91−2の上面から離れて、上方に持上げられている。
【0058】
シート材91−1における前端縁91fから後端縁91rまでの全体は、曲板部13の外面における前端縁13fから後端縁13rまでの全体に吸引されて保持され、上方に持上げられている。つまり、シート材91−1は、シート保持部11が転動するにつれて、前端縁13fから後端縁13rまで、順次連続的にシート材91−2の上面から引き剥がされ、捲り挙げられるようにして、上方に持上げられている。したがって、シート材91−2は、シート材91−1に付着して上方に持上げられることがなく、皺が発生することがない。また、シート材91−1もシート材91−2に付着して下方に引張られることがなく、皺が発生することがない。
【0059】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作して駆動ユニット35のスライド用アクチュエータを作動させ、スライド部36を搬送レール部44に沿ってスライドさせてシート保持部11を処理台95に向けて移動させる。そして、シート保持部11が処理台95の直上の所定位置に到達したら、スライド部36のスライドを停止させる。なお、すべての吸引孔14の吸引動作は、オンのままに維持されている。
【0060】
続いて、オペレータは、駆動制御装置を操作し、シート保持部11が保持しているシート材91−1を処理台95に載置させる。なお、シート保持部11が保持しているシート材91−1を処理台95に載置する動作は、実質的に、シート保持部11が載置台93上のシート材91−1を保持する動作の各工程を逆の順番で行うのと同様である。すなわち、
図3(a)〜(e)に示される動作を、シート材91−2を除去し、載置台93を処理台95に置換えて、
図3(e)、(d)、(c)、(b)及び(a)の順で行うのと同様である。
【0061】
つまり、
図3(e)に示されるように、シート材91−1全体を曲板部13の外面に吸着したシート保持部11を下降させ、
図3(d)に示されるように、シート材91−1の後端縁91r近傍を処理台95の上面に当接させる。そして、曲板部13の後端縁13rに最も近い吸引管21の吸引動作をオンからオフに切換える。なお、この時点では、他のすべての吸引管21の吸引動作は、オンのままに維持される。
【0062】
続いて、曲板部13が前端縁91fの方向に向いて転がるように、シート保持部11を転動させる。そして、該シート保持部11を更に転動させながら、シート材91−1における各吸引管21に対応する部分が処理台95の上面に当接すると、当該吸引管21の吸引動作をオンからオフに切換える。既にオフにされた吸引管21に対応する吸引孔14の吸引動作は、オフのままに維持される。前記シート材91−1におけるオフにされた吸引管21に対応する部分は、曲板部13の外面から離間してその自重によって落下するので、処理台95上に載置された状態となる。したがって、シート保持部11が前端縁91fの方向に転動するにつれて、シート材91−1は、後端縁91rから前端縁91fに向けて順次連続的に、曲板部13の外面から離間して処理台95上に載置される。
【0063】
そして、曲板部13が
図3(c)に示されるような姿勢になると、シート材91−1における後端縁91rから前端縁91fと後端縁91rとの中間近傍までの部分が、曲板部13の外面から離間して処理台95上に載置された状態となる。なお、シート材91−1における前端縁91fから前端縁91fと後端縁91rとの中間近傍までの部分は、未だ曲板部13の外面に吸着された状態である。
【0064】
続いて、回転軸33を中心にしてシート保持部11を更に転動させ、曲板部13が
図3(b)に示されるような姿勢になると、曲板部13の前端縁13fに最も近い吸引管21の吸引動作をオンからオフに切換える。これにより、すべての吸引孔14の吸引動作がオフとなる。したがって、シート材91−1全体は、曲板部13の外面から離間して処理台95上に載置された状態となる。
【0065】
最後に、
図3(a)に示されるように、シート保持部11を上昇させた後、載置台93の上方の位置に復帰させる。これにより、2番目のシート材91であるシート材91−2の搬送を行うことが可能となる。
【0066】
なお、本実施の形態においては、吸引管21の動作がオンとオフである場合について説明したが、空気を噴出する動作を行うことができるようにしてもよい。例えば、空気ポンプ、空気ボンベ等の空気供給装置を準備するとともに、吸引管21に接続されたパイプラインの途中に更に別の切換制御弁装置を配設して前記空気供給装置との連通状態を切換可能とすれば、吸引管21内に圧縮空気を導入し、吸引孔14から空気を噴出させることが可能となる。そして、シート保持部11が保持しているシート材91を処理台95に載置させる工程において、吸引管21の吸引動作をオンからオフに切換える際に、さらに、オフにされた吸引管21から空気を噴出させるようにすれば、より確実にシート材91を曲板部13の外面から離間させることができる。
【0067】
また、本実施の形態においては、オペレータは、駆動制御装置及び吸引制御装置を操作してシート搬送装置10に各動作を行わせる例について説明したが、駆動制御装置及び/又は吸引制御装置が、プロセッサ等の演算手段及びメモリ等の記憶手段を備え、プログラム可能な装置である場合には、あらかじめ作成したプログラムをインストールしておくことによって、シート搬送装置10の各動作を自動的に行わせることができる。
【0068】
さらに、本実施の形態においては、シート材91が複数枚が積層された状態で載置台93上に載置されている場合について説明したが、シート材91は、単独で、すなわち、1枚だけで載置台93上に載置されていてもよい。
【0069】
なお、本実施の形態においては、曲板部13が前端縁13f及び後端縁13rと一対の側端縁13sとによって四辺を画定された湾曲した板部材である場合について説明したが、本実施の形態における曲板部13は、必ずしも、1枚の湾曲した板部材である必要はなく、複数の板部材の集合であってもよいし、他の部材の一部の面、例えば、
図4に示されるように、吸引管21における貫通孔が形成された面の集合であってもよい。
【0070】
図4に示される例において、21bは、吸引管21の内部と外部とを連通する貫通孔であり、21aは、該貫通孔21bが形成された外面である。この場合、吸引管21は、円管でなく異形管であって、前記外面21aは、円筒形の周壁の一部に対応する形状を備える湾曲した曲面である。そして、各吸引管21の管端部22が端板部12の曲板保持部12aに取付けられ、複数本の吸引管21が並べられて配設された状態において、隣接する吸引管21の外面21a同士の間に隙間が生じることがなく、かつ、すべての吸引管21の外面21aを結合して形成された面が曲板部13となる。また、前記貫通孔21bは、曲板部13に形成された吸引孔14として機能する。
【0071】
このように、
図4に示される例では、曲板部13となる湾曲した板部材を別途用意する必要がなく、吸引管21の外面21aを結合して形成された面が曲板部13となるので、構成が簡素化され、コストが低減される。
【0072】
また、本実施の形態における曲板部13は、必ずしも、実在する部材の面である必要はなく、複数の部材の曲面と接平面を共有する仮想的な曲面、すなわち、与えられたすべての部材の曲面に接するような曲面である包絡面であってもよく、例えば、
図5に示されるように、円管から成る複数の吸引管21おける貫通孔21bが形成された円筒外側面に接するような仮想的な包絡面であってもよい。
【0073】
図5に示される例において、吸引管21は、その外面21aが円筒外側面状のアルミニウム合金製の円管であり、その外径が、例えば、15〔mm〕であり、曲板保持部12aの円弧方向におけるピッチが、例えば、50〔mm〕となるように配設されている。なお、前記吸引管21の外径及びピッチの値は、これに限定されるものでなく、任意に変更することができる。そして、各吸引管21における貫通孔21bは、仮想的な包絡面と外面21aとが接する位置に形成され、前記包絡面としての曲版部13に形成された吸引孔として機能する。
【0074】
このように、
図5に示される例では、曲板部13となる湾曲した板部材を別途用意する必要がないので、構成が簡素化され、コストが低減される。この場合、各吸引管21の外面21aを結ぶ仮想的な包絡面が曲板部13と同様の形状となるので、シート材91は、前記包絡面に位置する貫通孔21bによって吸引されると、曲板部13の外面に吸引されたときと同様の形状となって保持される。したがって、曲板部13が実在する部材によって形成されたものでなくても、シート材91は、曲板部13の外面に当接している場合と同様に、皺、弛み、吸着跡等の変形が生じることなく保持される。
【0075】
さらに、シート保持部11の支持機構に、シート材91の表面に存在する凹凸に対応してシート保持部11を上下方向に変位させるための上下方向調整機構を設けることもできる。例えば、回転軸33を支持する軸受32aを、スプリング、オイルダンパ、エアシリンダ、アクチュエータ等を含む振動吸収サスペンションユニットを介して、支持腕部32に取付ることにより、曲板部13の外面をシート材91の上面に当接させてシート保持部11を転動させる際に、シート材91上の凹凸に起因するシート保持部11の上下方向への変位を適切に吸収することができる。
【0076】
このように、本実施の形態において、シート搬送装置10は、シート材91を開放自在に保持するシート保持部11と、シート保持部11を搬送する搬送部31とを有し、シート材91を載置台93から処理台95にまで搬送する。そして、シート保持部11は、湾曲した曲板部13と、曲板部13を貫通する複数の吸引孔14とを含み、シート保持部11を載置台93に載置されたシート材91の上を転動させるとともに、吸引孔14の吸引動作を順にオフからオンに切換えることによって、シート材91をその前端縁91fから捲り挙げるようにして曲板部13の外面に吸引して保持する。
【0077】
これにより、薄く柔軟なシート材91であっても、前端縁91fから捲り挙げるようにして曲板部13の外面に吸引して保持するので、皺、弛み、吸着跡等の変形を生じさせることなく保持することができ、搬送前と同じ状態を維持したままで処理台95にまで搬送することができる。
【0078】
また、曲板部13の外面をシート材91の上面に当接させ、シート保持部11をシート材91の前端縁91fから後端縁91rまでシート材91の上を転動させる。これにより、シート材91は、シート保持部11の転動につれて、前端縁91fから後端縁91rまでの範囲で順次連続的に、徐々に、捲り挙げられるように持上げられるので、載置台93の上面又は直下に位置する2番目のシート材91の上面に張付くことなく、曲板部13の外面に吸引されて保持される。したがって、シート材91に皺、弛み、吸着跡等の変形が生じることがない。また、2番目のシート材91も、1番目のシート材91に張付いて持上げられることがないので、皺、弛み、吸着跡等の変形が生じることがない。
【0079】
さらに、シート保持部11の転動によって曲板部13の外面におけるシート材91の上面に当接する部分が移動すると、この部分に対応する吸引孔14の吸引動作をオフからオンに切換えるとともに、既にオンに切換えられた吸引孔14の吸引動作をオンのままに維持する。これにより、シート材91における既にオンに切換えられた吸引孔14に当接した部分は、曲板部13の外面に吸引されて保持されたままになっているので、シート保持部11の転動によって、シート材91は前端縁13fに近い部分から順に曲板部13の外面が上昇するのに伴い、上方に持上げられる。その結果、1番目のシート材91は、その下に位置する載置台93又は2番目のシート材91の上面から引き剥がされて、上方に持上げられる。
【0080】
さらに、搬送部31は、シート保持部11を回転、スライド及び昇降させる駆動ユニット35を備える。これにより、シート保持部11を載置台93及び処理台95に対して上下させること、シート保持部11を載置台93と処理台95との間をスライドさせること、並びに、シート保持部11を転動させることができ、載置台93のシート材91を処理台95に搬送することができる。
【0081】
さらに、シート保持部11は、曲板部13の内側に配設された複数本の吸引管21を含み、各吸引管21は、シート保持部11の軸方向に延在し、この軸方向に所定間隔で並んで形成された複数の貫通孔であって吸引孔14の各々と対応する貫通孔を備えるとともに、オン/オフを切換可能に吸引装置に接続されている。これにより、曲板部13の周面の円弧方向に関する吸引孔14の列のピッチを狭くすることができ、かつ、吸引孔14の列毎に吸引動作のオン/オフが切換可能なので、シート材91においてシート保持部11の転動につれて吸引される部分のピッチを狭くすることができる。したがって、シート材91を滑らかに捲り挙げるようにして持上げることができ、シート材91に皺、弛み、吸着跡等の変形が生じることがない。
【0082】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図6は本発明の第2の実施の形態におけるシート保持部を説明する第1の概略側面図、
図7は本発明の第2の実施の形態におけるシート保持部を説明する第2の概略側面図、
図8は本発明の第2の実施の形態におけるシート保持部の変形例を説明する概略側面図である。なお、
図8において、(a)及び(b)は第1及び第2の変形例を示す図である。
【0084】
本実施の形態において、シート保持部11は、円筒状の全体形状を有し、
図6及び7の図面に垂直な方向に延在する中心軸18を中心に回転可能となっている。そして、曲板部13は、中心軸18の周囲を360度に亘って取囲む円筒の周壁の形状を備える湾曲した板部材である。なお、前記曲板部13には、図に示されていないが、前記第1の実施の形態と同様に、曲板部13を板厚方向に貫通する複数の吸引孔14が形成されている。
【0085】
前記シート保持部11の内部は、複数枚の仕切板16によって複数の吸引室15に区画されている。前記仕切板16は、中心軸18の軸方向(
図6及び7の図面に垂直な方向)に延在し、その延在方向両端が円筒の両端の底面に相当するシート保持部11の図示されない両端板の内面に接続されるとともに、中心軸18から半径方向に延在し、その延在方向両端が中心軸18及び曲板部13に接続されている平坦な板部材である。
【0086】
図に示される例において、吸引室15の数は8つであって、第1〜第8の吸引室15のそれぞれに対して符号15−1〜15−8が付与されているが、吸引室15の数、すなわち、シート保持部11の内部の区画数は、任意に変更することができる。
【0087】
そして、シート保持部11の一方の端板における各吸引室15に対応する部分には、図示されないジョイントが接続され、図示されない吸引装置に一端が接続された図示されないパイプラインの他端が前記ジョイントに接続される。これにより、各吸引室15の内部の空気は、前記パイプラインを介して、前記吸引装置によって吸引排出され、その結果、曲板部13に形成された吸引孔14による吸引が行われる。なお、前記パイプラインの途中には、前記第1の実施の形態と同様に、前記吸引装置との連通状態と外気との連通状態とを切換えるための切換制御弁装置が配設されている。前記吸引装置を作動させた状態で前記切換制御弁装置を作動させることによって、前記吸引室15による吸引動作のオン/オフを切換えることができる。
【0088】
なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0089】
次に、本実施の形態におけるシート搬送装置10の動作について説明する。
【0090】
前記第1の実施の形態と同様に、オペレータは、シート保持部11を載置台93上に載置されているシート材91の直上にシート保持部11を位置させた後、該シート保持部11を下降させ、
図6に示されるように、第1の吸引室15−1に対応する曲板部13の外面をシート材91の前端縁91f近傍の上面に当接させる。
【0091】
続いて、オペレータは、第1の吸引室15−1の吸引動作をオフからオンに切換える。これにより、前記シート材91における第1の吸引室15−1に対応する部分のみが曲板部13の外面に吸引されて保持される。なお、この時点では、他のすべての吸引室15、すなわち、第2〜第8の吸引室15−2〜15−8の吸引動作は、オフのままに維持される。
【0092】
続いて、オペレータは、中心軸18を中心にしてシート保持部11を、図において矢印Aで示される方向に回転させる。これにより、曲板部13がシート材91上を後端縁91rの方向に向いて転がるように、シート保持部11が回転する。この場合、シート保持部11がシート材91上を転動することになるので、中心軸18をシート材91の後端縁91rの方向に平行移動させる。
【0093】
そして、第2の吸引室15−2に対応する曲板部13の外面がシート材91の上面に当接すると、オペレータは、第2の吸引室15−2の吸引動作をオフからオンに切換える。これにより、前記シート材91における第2の吸引室15−2に対応する部分も曲板部13の外面に吸引されて保持される。
【0094】
なお、第1の吸引室15−1の吸引動作がオンのままに維持されている。したがって、シート材91における第1の吸引室15−1に対応する曲板部13に当接した部分、すなわち、シート材91の前端縁91f近傍の部分は、曲板部13の外面に吸引されて保持されたままになっているので、シート保持部11の回転によって、第1の吸引室15−1に対応する曲板部13の外面が上昇するのに伴い、上方に持上げられる。その結果、シート材91の前端縁91f及びその近傍の部分は、載置台93の上面から引き剥がされて、上方に持上げられる。
【0095】
以降、このような動作を繰返し、シート保持部11を更に転動させながら、第3の吸引室15−3及び第4の吸引室15−4に対応する曲板部13の外面が順次シート材91の上面に当接すると、第3の吸引室15−3及び第4の吸引室15−4の吸引動作を順次オフからオンに切換えるとともに、既にオンに切換えられた第1の吸引室15−1及び第2の吸引室15−2の吸引動作をオンのままに維持させる。したがって、シート保持部11が後端縁91rの方向に転動するにつれて、シート材91は、前端縁91fから後端縁91rに向けて順次連続的に、曲板部13の外面に吸着されて上方に持上げられる。
【0096】
そして、
図7に示されるように、曲板部13がシート材91の後端縁91r近傍の上面に当接した状態になると、オペレータは、シート保持部11の転動を停止させる。この状態では、第1〜第4の吸引室15−1〜15−4の吸引動作がオンとなっている。そして、シート材91全体は、曲板部13の外面に吸着されている。
【0097】
続いて、オペレータは、前記第1の実施の形態と同様に、シート保持部11を上昇させ、図示されない処理台95に向けて移動させ、シート保持部11が保持しているシート材91を処理台95に載置させる。なお、シート保持部11が保持しているシート材91を処理台95に載置する動作は、実質的に、シート保持部11が載置台93上のシート材91を保持する動作の各工程を逆の順番で行うのと同様である。すなわち、
図6及び7に示される動作を、載置台93を処理台95に置き換えて、
図7及び6の順で行うのと同様である。
【0098】
つまり、シート材91全体を曲板部13の外面に吸着したシート保持部11を下降させ、
図7に示されるように、シート材91の後端縁91r近傍を処理台95の上面に当接させる。そして、第4の吸引室15−4の吸引動作をオンからオフに切換える。なお、この時点では、第1〜第3の吸引室15−1〜15−3の吸引動作は、オンのままに維持される。
【0099】
続いて、曲板部13が前端縁91fの方向に向いて転がるように、シート保持部11を転動させる。そして、シート保持部11を更に転動させながら、シート材91における各吸引室15に対応する部分が処理台95の上面に当接すると、当該吸引室15の吸引動作をオンからオフに切換える。既にオフにされた吸引室15の吸引動作は、オフのままに維持される。前記シート材91におけるオフにされた吸引室15に対応する部分は、曲板部13の外面から離間してその自重によって落下するので、処理台95上に載置された状態となる。したがって、シート保持部11が前端縁91fの方向に転動するにつれて、シート材91は、後端縁91rから前端縁91fに向けて順次連続的に、曲板部13の外面から離間して処理台95上に載置される。
【0100】
続いて、中心軸18を中心にしてシート保持部11を更に転動させ、曲板部13が
図6に示されるようになると、第1の吸引室15−1の吸引動作をオンからオフに切換える。これにより、すべての吸引孔14の吸引動作がオフとなる。したがって、シート材91全体は、曲板部13の外面から離間して処理台95上に載置された状態となる。
【0101】
なお、その他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0102】
本実施の形態においては、シート保持部11が、
図6及び7に示されるように、円筒状の全体形状を有する場合について説明したが、本実施の形態におけるシート保持部11の全体形状は、必ずしも、円筒状である必要はなく、例えば、半円筒状であってもよいし、四半分円筒状であってもよい。すなわち、
図8(a)に示されるように、両端乃至断面の形状が中心角が約180度の扇形である筒状であってもよいし、
図8(b)に示されるように、両端乃至断面の形状が中心角が約90度の扇形である筒状であってもよい。
【0103】
このように、本実施の形態において、シート保持部11は、曲板部13の内側に形成された複数の吸引室15を含み、各吸引室15は、シート保持部11の軸方向に延在し、オン/オフを切換可能に吸引装置に接続されている。これにより、各吸引室15に対応する吸引孔14のオン/オフが切換可能なので、シート材91において各吸引室15に対応する部分を、シート保持部11の転動につれて順次連続的に曲板部13の外面に吸引することができる。また、前記第1の実施の形態のように曲板部13の内側に複数本の吸引管21を配設する場合と比較して、切換制御弁装置の数を減少させて構造を簡素化することができ、また、切換制御弁装置の制御も容易となる。
【0104】
なお、その他の点の効果については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0105】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。