(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンダと、上記シリンダ内に軸方向に移動可能に挿入されるピストンロッドと、上記シリンダに固定される伸び切り規制部材と、上記ピストンロッドの外周に固定されるストッパ部材と、上記ピストンロッドの外周に取り付けられて伸び切り時に上記ストッパ部材と上記伸び切り規制部材との間で圧縮されて伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材とを備え、
上記リバウンド部材が、コイルばねと、上記コイルばねの一方側端部に固定される第一ホルダとを備えている緩衝器において、
上記コイルばねは、四角柱状の素線を巻き回して形成されており、
上記第一ホルダが上記ピストンロッドに沿って軸方向に移動することを抑制し上記ストッパ部材に当接させた状態に位置決めするとともに、上記第一ホルダの揺動を許容して上記コイルばねの傾斜角度を変更可能な位置決め揺動許容手段を備える
ことを特徴とする緩衝器。
【背景技術】
【0002】
一般的に、緩衝器は、車両、機器、構造物等に利用され、シリンダと、このシリンダ内に出没可能に挿入されるピストンロッドとを備えている。そして、振動が入力されると、緩衝器は伸縮して減衰力を発生し、振動を抑制する。
【0003】
また、上記緩衝器は、伸び切り時の衝撃を緩和するため、シリンダ側に固定される伸び切り規制部材と、ピストンロッド側に固定されるストッパ部材と、伸び切り時にストッパ部材と伸び切り規制部材との間に挟まれ圧縮されて所定の反力を発生するリバウンド部材とを備えている。
【0004】
例えば、
図10に示すように、特許文献1に開示の緩衝器において、上記伸び切り規制部材は、シリンダ1の一方側開口端部に固定されてピストンロッド2を軸方向に移動自在に軸支するロッドガイド3であり、上記リバウンド部材500は、四角柱状の素線を巻き回して形成されるコイルばね501と、このコイルばね501の下端部に固定されストッパ部材4に当接している第一ホルダ502と、コイルばね501の上端部に固定されロッドガイド3に当接可能な第二ホルダ503とを備えている。
【0005】
さらに、第一、第二ホルダ502,503は環状に形成されており、ピストンロッド2がコイルばね501及び第一、第二ホルダ502,503の内側に挿入されている。そして、緩衝器の伸び切り時に、ロッドガイド3とストッパ部材4が接近すると、コイルばね501が圧縮されて所定の反力を発生し、伸び切り時の衝撃を吸収することができる。
【0006】
また、上記コイルばね501は、素線の一巻分をコイル部501aとすると、複数のコイル部501a,501a・・・が軸方向に並べて連なる形状となっている。そして、素線の断面形状が四角状となっており、四角柱状の素線を巻き回してコイルばね501を形成しているため、
図11に示すように、コイルばね501の最圧縮時には、隣接するコイル部501a同士が面接触する。したがって、コイルばね50
1の最圧縮時に、コイル部501a同士が滑って一部のコイル部501aが直径方向にずれ、このずれたコイル部501aがピストンロッド2の外周面やシリンダ1の内周面に当たって異音が発生することを抑制できる。
【0007】
また、特許文献2の段落(0029)には、第一ホルダの内周面に圧入用突起を形成し、ピストンロッドに第一ホルダを圧入固定する構成が開示されており、これにより、第一ホルダをストッパ部材に当接した状態に位置決めすることができる。したがって、リバウンド部材が軸方向に動いて、第一ホルダがストッパ部材に接触する際の異音の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の第一の実施の形態に係る緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品かまたは対応する部品を示す。
【0015】
図1に示すように、本実施の形態に係る緩衝器は、シリンダ1と、このシリンダ1内に軸方向に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、上記シリンダ1に固定されるロッドガイド(伸び切り規制部材)3と、上記ピストンロッド2の外周に固定されるストッパ部材4と、上記ピストンロッド2の外周に取り付けられて伸び切り時に上記ストッパ部材4と上記ロッドガイド3との間で圧縮されて伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材5とを備え、上記リバウンド部材5が、コイルばね50と、上記コイルばね50の一方側端部(
図1中下端部)に固定される第一ホルダ51とを備えている。
【0016】
さらに、上記緩衝器は、上記第一ホルダ51が上記ピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制し上記ストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、上記第一ホルダ51の揺動を許容する隙間(位置決め揺動許容手段)S1を備えている。
【0017】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態において、上記緩衝器は、自動車の車体と車輪との間に介装された正立型の複筒型液圧緩衝器であり、作動流体として油、水、水溶液等の液体を収容している。そして、この緩衝器の構成は周知であるため詳細に図示しないが、緩衝器は、車輪側に連結されてシリンダ1との間に周知のリザーバRを形成する外筒10を備えている。また、上記シリンダ1は、外筒10の内側に同芯に配置される内筒である。
【0018】
さらに、上記緩衝器において、上記シリンダ1内に軸方向に移動可能に挿入されるピストンロッド2は、車体側に連結されるとともに、シリンダ1の車体側開口端部1aに取り付けられる環状のロッドガイド3の内側に挿通されており、このロッドガイド3の内周に嵌合する環状の軸受け30で軸方向に移動自在に軸支されている。
【0019】
そして、本実施の形態において、上記ロッドガイド3が本発明における伸び切り規制部材であり、内周部3aがシリンダ1の車体側開口端部1aの内側に挿入されるとともに、外周部3bがシリンダ1から外筒側に張り出している。また、ロッドガイド3の反シリンダ側(
図1中上側)には、周知のシール部材31が積層されており、外筒10の車体側端部10aを内側に加締めることで、ロッドガイド3をシール部材31とともにシリンダ1に固定している。
【0020】
もどって、上記ピストンロッド2の外周には、ピストン20とストッパ部材4が軸方向に並べて取り付けられている。そして、上記ピストン20は、環状に形成されてピストンロッド2の先端部(
図1中下端部)にナット21で固定されており、シリンダ1の内周面に摺接してシリンダ1内を軸方向に区画している。
【0021】
このピストン20で区画される部屋は、ピストン20のピストンロッド側(
図1中上側)に形成される伸側室Aと、ピストン20の反ピストンロッド側(
図1中下側)に形成される圧側室Bであり、伸側室A及び圧側室Bにはそれぞれ作動流体が充填されている。さらに、上記ピストン20には、伸側室Aと圧側室Bとを連通する伸側流路20aと圧側流路20bが形成されるとともに、圧側室側(
図1中下側)に伸側流路20aの出口を開閉可能に塞ぐ伸側リーフバルブV1が積層され、伸側室側(
図1中上側)に圧側流路20bの出口を開閉可能に塞ぐ圧側リーフバルブV2が積層されている。
【0022】
つづいて、上記ピストン20と同じくピストンロッド2の外周に取り付けられるストッパ部材4は、ピストン20のロッドガイド側(
図1中上側)に配置されており、ピストンロッド2の外周に固定される環状の支持部4aと、この支持部4aの上端から外周側に略水平(ピストンロッド2の中心線X1に対して垂直)に張り出す円板状のフランジ部4bとを備えており、このフランジ部4bでリバウンド部材5を支えている。
【0023】
上記リバウンド部材5は、ピストンロッド2の外周に取り付けられており、コイルばね50と、このコイルばね50の一方側端部(
図1中下端部)に固定される第一ホルダ51と、上記コイルばね50の他方側端部(
図1中上端部)に固定される第二ホルダ52とを備えている。そして、リバウンド部材5は、第一ホルダ51をストッパ部材側(
図1中下側)に、第二ホルダ52をロッドガイド側(
図1中上側)に向けて配置されている。
【0024】
図2に示すように、上記コイルばね50は、四角柱状の素線を巻き回して形成されている。そして、素線の一巻分をコイル部50aとすると、コイルばね50は、複数のコイル部50a,50a・・・が軸方向に並べて連なる形状となっており、コイル部50aの中心を繋いだ中心線X2が傾斜している。つまり、コイルばね50は傾斜した状態に形成されている。
【0025】
つづいて、第一ホルダ51は、環状に形成されており、上記コイルばね50の一方側(
図2中下側)端部内側に圧入される環状の保持部51aと、この保持部51aの反コイルばね側(
図2中下側)に連なり外径が保持部51aの外径よりも大きく形成される環状の支承部51bとを備えている。そして、支承部51bのコイルばね側(
図2中上側)には、環状のシート面51cが形成されており、このシート面51cにコイルばね50の下端が当接している。また、支承部51bの反コイルばね側(
図2中下側)には、環状の接地面51dが形成されており、ストッパ部材4のフランジ部4bに当接している。
【0026】
さらに、上記シート面51c及び接地面51dは、略平行に配置されている。このため、シート面51cにコイルばね50の一方側端(
図2中下端)を当接させるとともに、接地面51dをストッパ部材4のフランジ部4bに沿って接地させ、シート面51cを略水平に配置した状態で、リバウンド部材5をピストンロッド2に取り付けた場合、コイルばね50の下端でピストンロッド2の
中心線X1とコイルばね50の中心線X2が交じるが、コイルばね50の上端にかけてコイルばね50の中心線X2とピストンロッド2の中心線X1が矢印Y1方向にずれる。
【0027】
さらに、
図3に示すように、上記第一ホルダ51とピストンロッド2との間には、隙間S1が形成されており、この隙間S1は、第一ホルダ51が矢印Y2方向に揺動することを許容するが、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動できないように設定されており、第一ホルダ51をストッパ部材4に当接させた状態に維持することができる位置決め揺動許容手段である。
【0028】
もどって、
図2に示すように、上記第二ホルダ52は、環状に形成されてピストンロッド2の外周に遊嵌されており、上記コイルばね50の他方側(
図3中上側)端部内側に圧入される環状の保持部52aと、この保持部52aの反コイルばね側(
図3中上側)に連なり外径が保持部52aの外径よりも大きく形成される環状の衝合部52bとを備えており、この衝合部52bのコイルばね側(
図3中下側)に環状のシート面52cが形成されている。そして、このシート面52cにコイルばね50の他方側端(
図3中上端)が当接している。また、上記衝合部52bの反コイルばね側(
図3中上側)には、周方向に沿って突起52d,52d・・・が起立している。このため、第二ホルダ52がロッドガイド3に当接したとき、突起52dの間を作動流体が通過して、異音が発生することを抑制することができる。
【0029】
次に、本実施の形態の緩衝器の作動について説明する。ピストンロッド側にストッパ部材4が固定されるとともに、シリンダ側にロッドガイド(伸び切り規制部材)3が固定されているため、ピストンロッド2がシリンダ1から退出して緩衝器が伸長すると、ストッパ部材4とロッドガイド3が接近する。
【0030】
また、リバウンド部材5がピストンロッド2の外周に、ストッパ部材4上に起立した状態で取り付けられているため、緩衝器が伸長を続けると、第二ホルダ52がロッドガイド3に当接し、第二ホルダ52の移動がロッドガイド3で規制された状態で第一ホルダ51がストッパ部材4でロッドガイド側に押し上げられる。
【0031】
このとき、第一ホルダ51はピストンロッド2の中心線X1に沿って移動するが、コイルばね50はコイルばね50の中心線X2に沿って収縮しようとするため、第一ホルダ51が揺動してコイルばねの中心線X2がピストンロッドの中心線X1に重なった状態でコイルばね50が圧縮されて所定の反力を発生し、緩衝器の伸び切り時の衝撃を緩和する。
【0032】
次に、本実施の形態の緩衝器の作用効果について説明する。本実施の形態に係る緩衝器は、シリンダ1と、このシリンダ1内に軸方向に移動可能に挿入されるピストンロッド2と、上記シリンダ1に固定されるロッドガイド(伸び切り規制部材)3と、上記ピストンロッド2の外周に固定されるストッパ部材4と、上記ピストンロッド2の外周に取り付けられて伸び切り時に上記ストッパ部材4と上記ロッドガイド3との間で圧縮されて伸び切り時の衝撃を緩和するリバウンド部材5とを備え、上記リバウンド部材5が、コイルばね50と、上記コイルばね50の一方側端部(
図1中下端部)に固定される第一ホルダ51とを備えている。
【0033】
さらに、上記緩衝器は、上記第一ホルダ51が上記ピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制し上記ストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、上記第一ホルダ51の揺動を許容する隙間(位置決め揺動許容手段)S1を備えている。
【0034】
つまり、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って動くことを抑制されるため、リバウンド部材5が軸方向に動いて、第一ホルダ51がストッパ部材4に接触する際の異音の発生を抑制することができる。
【0035】
また、コイルばね50が四角柱状の素線を巻き回して形成される等の理由により、傾斜した状態に形成されていたとしても、コイルばね50が圧縮されると第一ホルダ51とともに揺動し、コイルばね50の中心線X2がピストンロッド2の中心線X1に重なるため、コイルばね50の傾斜が補正される。
【0036】
したがって、緩衝器の伸び切り時に、コイルばね50がその中心線X2に沿って圧縮されるため、第一ホルダ51をストッパ部材4に当接させた状態に位置決めしたとしても、コイルばね50の胴曲りを抑制することができ、胴曲りを起こした部分がピストンロッド2の外周面や、シリンダ1の内周面に当接することによる異音の発生を抑制することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態において、上記第一ホルダ51が環状に形成されて上記ピストンロッド2の外周に配置されており、位置決め揺動許容手段が上記第一ホルダ51と上記ピストンロッド2との間に形成される隙間S1からなる。
【0038】
したがって、第一ホルダ51の揺動を許容するとともに、ピストンロッド2に沿って第一ホルダ51が移動することを抑制できるように、第一ホルダ51とピストンロッド2との間に形成される隙間量を設定することのみで、コイルばね50の胴曲りに起因する異音や、第一ホルダ51がストッパ部材4に接触する際の異音を抑制することができ、これらの異音の発生を抑制するための構成を簡易にすることが可能となる。
【0039】
また、本実施の形態において、上記コイルばね50は、四角柱状の素線を巻き回して形成されている。
【0040】
したがって、コイルばね50の圧縮時に、コイル部50a同士が滑ることを抑制し、ずれたコイル部50aがピストンロッド2の外周面やシリンダ1の内周面に当たって異音が発生することを抑制することができる。
【0041】
しかし、四角柱状の素線を巻き回してコイルばね50を形成すると、応力等の影響で、コイルばね50が傾斜する場合がある。このため、四角柱状の素線を巻き回して形成されるコイルばね50においては、コイルばね50の傾斜を補正することが必要とされており、位置決め揺動許容手段となる隙間S1を設けることが特に有効である。
【0042】
次に、本発明の第二の実施の形態に係る緩衝器について説明する。本実施の形態においては、位置決め揺動許容手段の構成のみが上記第一の実施の形態と異なり、他の構成及びその作用効果については、第一の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る緩衝器の動作も、第一の実施の形態と同様である。したがって、以下、位置決め揺動許容手段の構成についてのみ詳細に説明し、他の構成、その作用効果、緩衝器の動作についての説明は、第一の実施の形態の説明及び
図1〜
図3を参照するものとする。
【0043】
図4に示すように、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動
許容手段S2は、環状に形成された第一ホルダ51とピストンロッド2との間に形成される隙間s1と、上記第一ホルダ51の内周面に起立して上記ピストンロッド2の外周面に当接可能な複数の突起s2,s2とを備えている。
【0044】
そして、上記隙間s1は、第一ホルダ51がピストンロッド2の外周で揺動できるように設定されている。他方、上記各突起s2,s2は、第一ホルダ51と一体形成されるとともに、第一ホルダ51の軸方向の略中央に設けられており、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制し、第一ホルダ51をストッパ部材4に当接させた状態に位置決めする。
【0045】
また、本実施の形態において、上記突起s2は、二つ設けられており、コイルばね50の傾斜方向である矢印Y1を挟んで相対向して配置され、ピストンロッド2の外周面に常に当接している。このため、第一ホルダ51は、二つの突起s2,s2で支えられた状態で
図5中矢印Y2方向に揺動することができる。尚、突起s2の数は、二以上であればよく、突起2aの形状及び位置は、第一ホルダ51の揺動を許容するとともに、第一ホルダ51をストッパ部材4に当接させた状態に位置決めできる限りにおいて、適宜選択することが可能である。また、第一ホルダ51の揺動の妨げにならない範囲で、突起s2がピストンロッド2の外周面に圧接されるとしてもよい。また、複数ある全ての突起s2が常にピストンロッド2の外周面に当接した状態に保たれていなくてもよく、当接と離間を繰り返すとしてもよい。
【0046】
次に、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S2を備えることによる作用効果を説明する。本実施の形態の緩衝器の位置決め揺動許容手段S2は、第一の実施の形態の揺動許容手段である隙間S1と同様に、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制しストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、第一ホルダ51の揺動を許容するものであり、位置決め揺動許容手段S2を備えることによる作用効果は、第一の実施の形態の緩衝器と同様である。
【0047】
さらに、本実施の形態において、上記第一ホルダ51が環状に形成されて上記ピストンロッド2の外周に配置されており、上記位置決め揺動許容手段S2が上記第一ホルダ51と上記ピストンロッド2との間に形成される隙間s1と、上記第一ホルダ51の内周面に起立して上記ピストンロッド2の外周面に当接可能な複数の突起s2,s2とを備えている。
【0048】
したがって、上記隙間s1で第一ホルダ51の揺動を許容するとともに、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って移動することを上記突起s2で抑制することができる。つまり、隙間s1の隙間量を大きくしても、突起s2で第一ホルダ51の移動を抑制できるため、隙間量の設定を容易にすることができる。
【0049】
次に、本発明の第三の実施の形態に係る緩衝器について説明する。本実施の形態においても、位置決め揺動許容手段の構成のみが上記第一の実施の形態と異なり、他の構成及びその作用効果については、第一の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る緩衝器の動作も、第一の実施の形態と同様である。したがって、以下、位置決め揺動許容手段の構成についてのみ詳細に説明し、他の構成、その作用効果、緩衝器の動作についての説明は、第一の実施の形態の説明及び
図1〜
図3を参照するものとする。
【0050】
図6に示すように、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動
許容手段
S3は、環状に形成された第一ホルダ51とピストンロッド2との間に介装された弾性体S3からなり、弾性変形することで、第一ホルダ51がピストンロッド2の外周で矢印Y2方向に揺動することを許容する。また、上記弾性体S3は、第一ホルダ
51とピストンロッド2との間で圧縮されて、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制する。
【0051】
次に、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S
3を備えることによる作用効果を説明する。本実施の形態の緩衝器の位置決め揺動許容手段である弾性体S3は、第一の実施の形態の揺動許容手段である隙間S1と同様に、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制しストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、第一ホルダ51の揺動を許容するものであり、弾性体(位置決め揺動許容手段)S3を備えることによる作用効果は、第一の実施の形態の緩衝器と同様である。
【0052】
さらに、本実施の形態においては、上記第一ホルダ51が環状に形成されて上記ピストンロッド2の外周に配置されており、上記位置決め揺動許容手段が上記第一ホルダ51と上記ピストンロッド2との間に介装される弾性体S3からなる。
【0053】
したがって、第一ホルダ51の揺動や、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って移動することを抑制することが容易に可能となる。
【0054】
次に、本発明の第四の実施の形態に係る緩衝器について説明する。本実施の形態においても、位置決め揺動許容手段の構成のみが上記第一の実施の形態と異なり、他の構成及びその作用効果については、第一の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る緩衝器の動作も、第一の実施の形態と同様である。したがって、以下、位置決め揺動許容手段の構成についてのみ詳細に説明し、他の構成、その作用効果、緩衝器の動作についての説明は、第一の実施の形態の説明及び
図1〜
図3を参照するものとする。
【0055】
図7に示すように、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S4は、ピストンロッド2と第一ホルダ51との間に形成される上下の隙間s3,s4と、第一ホルダ51の内周に周方向に沿って起立してピストンロッド2の外周面に当接する環状凸部s5とを備えている。
【0056】
そして、上記環状凸部s5の上側に形成される隙間s3と、環状凸部s5の下側に形成される隙間s4は、第一ホルダ51の揺動を許容できるように設定されている。他方、環状凸部s5は、第一ホルダ51と一体形成されるとともに縦断面が円弧状となっており、第一ホルダ51の軸方向の略中央部を頂点として隆起し、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制して、第一ホルダ51をストッパ部材4に当接させた状態に位置決めする。
【0057】
次に、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S4を備えることによる作用効果を説明する。本実施の形態の緩衝器の位置決め揺動許容手段S4は、第一の実施の形態の揺動許容手段である隙間S1と同様に、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制しストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、第一ホルダ51の揺動を許容するものであり、位置決め揺動許容手段S4を備えることによる作用効果は、第一の実施の形態の緩衝器と同様である。
【0058】
さらに、本実施の形態において、第一ホルダ51が環状に形成されてピストンロッド2の外周に配置されており、位置決め揺動許容手段S4がピストンロッド2と第一ホルダ51との間に形成される上下の隙間s3,s4と、第一ホルダ51の内周に周方向に沿って起立してピストンロッド2の外周面に当接する環状凸部s5とを備えている。
【0059】
したがって、上記両隙間s3,s4で第一ホルダ51の揺動を許容するとともに、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って移動することを環状凸部s5で抑制することができる。つまり、各隙間s3,s4の隙間量を大きくしても、環状凸部s5で第一ホルダ51の移動を抑制できるため、隙間量の設定を容易にすることができる。
【0060】
次に、本発明の第五の実施の形態に係る緩衝器について説明する。本実施の形態においても、位置決め揺動許容手段の構成のみが上記第一の実施の形態と異なり、他の構成及びその作用効果については、第一の実施の形態と同様である。また、本実施の形態に係る緩衝器の動作も、第一の実施の形態と同様である。したがって、以下、位置決め揺動許容手段の構成についてのみ詳細に説明し、他の構成、その作用効果、緩衝器の動作についての説明は、第一の実施の形態の説明及び
図1〜
図3を参照するものとする。
【0061】
図8に示すように、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S5は、上記第一ホルダ51と上記ピストンロッド2との間に形成される隙間s1と、上記第一ホルダ51の内周面に起立して上記ピストンロッド2の外周面に当接する3つの突起s6,s6,s6とを備えている。
【0062】
そして、上記三つの突起s6,s6,s6は、第一ホルダ51の内周面に、周方向に沿って等間隔に配置されている。さらに、各突起s6,s6,s6は、
図9に示すように、軸方向中央部が内周側に突出し、縦断面台形状若しくは円弧状に形成されており、第一ホルダ51の内周にピストンロッド2が挿入されたとき、各突起s6,s6,s6とピストンロッド2の軸方向接触幅Zが短くなるように設定されている。
【0063】
次に、本実施の形態の緩衝器における位置決め揺動許容手段S5を備えることによる作用効果を説明する。本実施の形態の緩衝器の位置決め揺動許容手段S5は、第一の実施の形態の揺動許容手段である隙間S1と同様に、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制しストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、第一ホルダ51の揺動を許容するものであり、位置決め揺動許容手段S5を備えることによる作用効果は、第一の実施の形態の緩衝器と同様である。
【0064】
さらに、本実施の形態においては、上記第一ホルダ51と上記ピストンロッド2との間に形成される隙間s1と、上記第一ホルダ51の内周面に起立して上記ピストンロッド2の外周面に当接する3つの突起s6,s6,s6とを備えている。また、上記三つの突起s6,s6,s6は、第一ホルダ51の内周面に、周方向に沿って等間隔に配置されるとともに、軸方向中央部が内周側に突出し、縦断面台形状若しくは円弧状に形成されている。
【0065】
このため、各突起s6,s6,s6とピストンロッド2の軸方向接触幅Zが短くなり、突起s6,s6,s6の上下に形成される隙間s1を大きくすることができる。したがって、第一ホルダ51は、上記突起s6,s6,s6で支えられた状態で揺動することができ、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って移動することを上記突起s6,s6,s6で抑制することができる。つまり、隙間s1の隙間量を大きくしても、突起s2で第一ホルダ51の移動を抑制できるため、隙間量の設定を容易にすることができる。
【0066】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0067】
例えば、上記実施の形態において、緩衝器は、自動車用の緩衝器であるが、機器、構造物等、自動車以外に利用されるとしてもよい。また、緩衝器の種類も、上記の限りではなく、図示しないが、単筒型緩衝器であるとしても、作動流体として気体を利用する空圧緩衝器であるとしてもよい。また、同じく図示しないが、シリンダ1が車体側に連結されるとともに、ピストンロッド2が車輪側に連結されて、緩衝器が倒立型に設定されるとしてもよい。
【0068】
また、位置決め揺動許容手段の構成は、上記の限りではなく、第一ホルダ51がピストンロッド2に沿って軸方向に移動することを抑制しストッパ部材4に当接させた状態に位置決めするとともに、第一ホルダ51の揺動を許容する限りにおいて、適宜選択することが可能である。
【0069】
また、上記各実施の形態において、コイルばね50が四角柱状の素線を巻き回して形成されており、これにより、コイルばね50が傾斜しているが、コイルばね50が傾斜していなくてもよく、四角柱状以外の素線で形成されていてもよい。