特許第6034691号(P6034691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034691
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】車輌用洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/52 20060101AFI20161121BHJP
   B60S 1/60 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B60S1/52
   B60S1/60 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-282386(P2012-282386)
(22)【出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2014-125056(P2014-125056A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】馬場 淳治
(72)【発明者】
【氏名】市川 靖洋
(72)【発明者】
【氏名】久保田 晃宜
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−153775(JP,A)
【文献】 特開2012−040916(JP,A)
【文献】 特開2011−102056(JP,A)
【文献】 特開2011−102055(JP,A)
【文献】 特開2003−137076(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00 − 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給タンクから供給される洗浄液が流動される流路と前記洗浄液を送り出す送出口とを有するジョイントと、
前記ジョイントが連結され前記ジョイントの送出口から送り出される前記洗浄液が内部を流動されるノズルホルダーと、
前記ノズルホルダーの内部に配置され前記洗浄液の流動方向に伸縮されるコイルバネと、
前記洗浄液を外部へ吐出する吐出口を有し前記ノズルホルダーに保持されるノズルと、
前記コイルバネに取り付けられ前記コイルバネとともに移動され前記ジョイントの送出口を開閉するバルブとを備え、
前記ノズルホルダーの内部における前記コイルバネの外側に前記洗浄液が流動される洗浄液流動路が形成され、
前記ノズルホルダーに、前記洗浄液流動路に連通され前記洗浄液を前記洗浄液流動路から前記ノズルへ向けて流動させる連通孔が円弧状に形成され、
前記連通孔が周方向に等間隔に離隔した4箇所に位置された
ことを特徴とする車輌用洗浄装置。
【請求項2】
前記バルブに、前記洗浄液を前記洗浄液流動路に案内する案内面が形成された
ことを特徴とする請求項1に記載の車輌用洗浄装置。
【請求項3】
前記ジョイントに、前記洗浄液を前記洗浄液流動路に誘導する誘導面が形成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輌用洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車輌用洗浄装置に関する。詳しくは、洗浄液が流動される洗浄液流動路をコイルバネの外側に形成し洗浄液に対する流動抵抗を低減して高い噴射圧を確保する技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】実開昭63−201653号公報
【特許文献2】実開平1−142359号公報
【背景技術】
【0003】
車体又はバンパーに形成された開口から一部が外部へ突出され、ノズルから洗浄液を噴射して車輌用灯具のカバーの表面を洗浄する洗浄装置がある。
【0004】
洗浄装置は、先端側に設けられ洗浄液を噴射するノズルと、ノズルを保持するノズルホルダー(ノズルケース)と、ノズルホルダーの内部に配置され洗浄液の流動方向に伸縮されるコイルバネと、コイルバネに取り付けられコイルバネとともに移動されるバルブとを備えたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
このような洗浄装置においては、ノズルホルダーに洗浄液が供給されるときに洗浄液の液圧が高まることによりコイルバネが圧縮されてバルブがコイルバネとともに移動され、バルブによって閉塞されていた送出口が開放されて洗浄液がノズルホルダーの内部に送り出されノズルから噴射される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1及び特許文献2に記載された洗浄装置においては、コイルバネが圧縮されてバルブが移動され送出口が開放されたときに、洗浄液が流動面積の小さい流水路を流動されたり、コイルバネの外周側から内部に侵入しコイルバネの内部を流動してノズルから外部へ噴射される。
【0007】
従って、面積の小さい流水路において洗浄液に対して流動抵抗が付与され又はコイルバネから洗浄液に対して抵抗力が付与されて圧力損失が生じ、ノズルから噴射される洗浄液の噴射圧が低下し、洗浄液による洗浄力が低いと言う問題がある。
【0008】
そこで、本発明洗浄装置は、洗浄液に対する流動抵抗を低減して高い噴射圧を確保することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
車輌用洗浄装置は、上記した課題を解決するために、供給タンクから供給される洗浄液が流動される流路と前記洗浄液を送り出す送出口とを有するジョイントと、前記ジョイントが連結され前記ジョイントの送出口から送り出される前記洗浄液が内部を流動されるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内部に配置され前記洗浄液の流動方向に伸縮されるコイルバネと、前記洗浄液を外部へ吐出する吐出口を有し前記ノズルホルダーに保持されるノズルと、前記コイルバネに取り付けられ前記コイルバネとともに移動され前記ジョイントの送出口を開閉するバルブとを備え、前記ノズルホルダーの内部における前記コイルバネの外側に前記洗浄液が流動される洗浄液流動路が形成され、前記ノズルホルダーに、前記洗浄液流動路に連通され前記洗浄液を前記洗浄液流動路から前記ノズルへ向けて流動させる連通孔が円弧状に形成され、前記連通孔が周方向に等間隔に離隔した4箇所に位置されたものである。
【0010】
従って、車輌用洗浄装置にあっては、送出口からノズルホルダーに供給された洗浄液が流動に対して抵抗が付与され難い空間を流動されてノズルから噴射される。
【発明の効果】
【0011】
本発明車輌用洗浄装置は、供給タンクから供給される洗浄液が流動される流路と前記洗浄液を送り出す送出口とを有するジョイントと、前記ジョイントが連結され前記ジョイントの送出口から送り出される前記洗浄液が内部を流動されるノズルホルダーと、前記ノズルホルダーの内部に配置され前記洗浄液の流動方向に伸縮されるコイルバネと、前記洗浄液を外部へ吐出する吐出口を有し前記ノズルホルダーに保持されるノズルと、前記コイルバネに取り付けられ前記コイルバネとともに移動され前記ジョイントの送出口を開閉するバルブとを備え、前記ノズルホルダーの内部における前記コイルバネの外側に前記洗浄液が流動される洗浄液流動路が形成され、前記ノズルホルダーに、前記洗浄液流動路に連通され前記洗浄液を前記洗浄液流動路から前記ノズルへ向けて流動させる連通孔が円弧状に形成され、前記連通孔が周方向に等間隔に離隔した4箇所に位置されたことを特徴とする。
【0012】
従って、流動面積の小さい空間において洗浄液に対して抵抗力が付与されたりコイルバネから洗浄液に対して抵抗力が付与されないため圧力損失が生じ難く、ノズルから噴射される洗浄液の高い噴射圧を確保することができる。
【0014】
また、洗浄液が確実に洗浄液流動路を流動されてノズルから噴射されるため、ノズルホルダーの内部を流動される洗浄液に対する流動抵抗を確実に低下させることができる。
【0016】
さらに、洗浄液の流速及びノズルホルダーの内圧の均一化を図ることが可能であり、洗浄液の流動状態及び噴射状態の安定化を図ることができる。
【0017】
請求項2に記載した発明にあっては、前記バルブに、前記洗浄液を前記洗浄液流動路に案内する案内面が形成されている。
【0018】
従って、部品点数の増大を伴わず洗浄装置の構造の簡素化を確保した上で洗浄液を洗浄液流動路において確実に流動させることができる。
【0019】
請求項3に記載した発明にあっては、前記ジョイントに、前記洗浄液を前記洗浄液流動路に誘導する誘導面が形成されている。
【0020】
従って、部品点数の増大を伴わず洗浄装置の構造の簡素化を確保した上で洗浄液を洗浄液流動路において確実に流動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図2乃至図4と共に本発明車輌用洗浄装置の実施の形態を示すものであり、本図は、車体又はバンパーに取り付けられた状態で示す洗浄装置の断面図である。
図2】洗浄装置の分解斜視図である。
図3】洗浄装置の断面図である。
図4】洗浄液の流動経路を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明車輌用洗浄装置を実施するための最良の形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
尚、以下には、車輌用洗浄装置を車輌用灯具の洗浄装置に適用した例を示すが、本発明車輌用洗浄装置の適用は車輌用灯具の洗浄装置に限られることはなく、車体、窓、ミラー等の車輌に設けられる各部の洗浄装置として広く適用することが可能である。
【0024】
洗浄装置1はジョイント2とノズルホルダー3とノズル4を有している(図1参照)。
【0025】
ジョイント2は第1の環状部5と第1の環状部5の軸方向における一端部から内方へ張り出された押し当て部6と押し当て部6の内周部から第1の環状部5の軸方向へ突出された第2の環状部7とから成る(図2及び図3参照)。
【0026】
第2の環状部7の内部には内方へ張り出された内フランジ部8が設けられ、内フランジ部8の内側の部分が送出口9として形成されている。第2の環状部7の先端部には先端に行くに従って径が大きくなるように傾斜された誘導面7aが形成されている。第2の環状部7の内部における内フランジ部8から誘導面7aまでの空間は挿入用空間7bとして形成されている。
【0027】
ジョイント2の内部空間のうち送出口9より第1の環状部5側の空間は流路2aとして形成されている。
【0028】
ノズルホルダー3は円筒状の基部10と基部10に軸方向において連続して設けられた保持部11と基部10の内部に設けられた形成面部12と形成面部12から突出された支持突部13とから成る。
【0029】
ノズルホルダー3には基部10にジョイント2の第2の環状部7が圧入され、ノズルホルダー3にジョイント2が連結される。ノズルホルダー3にジョイント2が連結された状態においては、ジョイント2の押し当て部6が基部10の一端面に押し当てられる。
【0030】
基部10の内部空間は、その外周部が洗浄液流動路10aとして形成されている。
【0031】
保持部11は基部10より外径が稍大きい略円筒状に形成され、軸方向における長さが基部10より短くされている。保持部11の内面は曲面状に形成されている。
【0032】
形成面部12は基部10における保持部11側の端部に設けられ、ノズルホルダー3の軸方向を向く板状に形成されている。形成面部12の外周部には連通孔12a、12a、・・・が周方向に等間隔に離隔して形成されている。連通孔12a、12a、・・・はノズルホルダー3の中心軸を中心とした円弧状に形成され、基部10の洗浄液流動路10aに連通されている。
【0033】
支持突部13は形成面部12における連通孔12a、12a、・・・の内側の部分からノズルホルダー3の軸方向において保持部11と反対側へ突出されている。
【0034】
ノズルホルダー3の基部10の内部にはコイルバネ14が配置される。コイルバネ14は圧縮コイルバネであり、一端部が支持突部13に外嵌されて支持されている。コイルバネ14は外径が基部10の内径より小さくされており、基部10の内部においてコイルバネ14の外側に空間が生じ、この空間が洗浄液流動路10aとされる。
【0035】
コイルバネ14の他端部にはバルブ15が取り付けられている。バルブ15はコイルバネ14の軸方向に延びる被挿入部16と被挿入部16の軸方向における一端部に連続して設けられた開閉部17とから成る。
【0036】
開閉部17には被挿入部16よりも外方へ張り出されたフランジ部17aが設けられている。開閉部17の外周部には被挿入部16から離隔するに従って内方へ変位するように傾斜された案内面17aが形成されている。
【0037】
バルブ15は被挿入部16がコイルバネ14の他端部に内嵌状に挿入されて取り付けられ、フランジ部17aがコイルバネ14の他端に押し付けられている。
【0038】
基部10の内部にコイルバネ14が配置された状態において、コイルバネ14に外力が付与されていないときには、コイルバネ14が伸長されてバルブ15の略全体がジョイント2の挿入用空間7bに挿入され開閉部17が内フランジ部8に押し付けられて送出口9が閉塞されている(図3参照)。
【0039】
ノズル4は外周面が球状に形成された本体部18を有し、本体部18の内部に流動空間18aが形成されている(図2及び図3参照)。本体部18には流動空間18aに連通する吐出口18bが形成されている。
【0040】
ノズル4はノズルホルダー3の保持部11に内嵌状に圧入され、保持部11に対して任意の方向へ回転可能とされる。
【0041】
ジョイント2には洗浄液が供給される供給管19の一端部が連結され、供給管19の他端部は洗浄液が貯留される図示しない供給タンクに連結されている。
【0042】
洗浄装置1においては、例えば、ノズルホルダー3の一部にカラー20が外嵌状に取り付けられ、カラー20が取付用板バネ21によって押さえられることにより車体100又はバンパーに取り付けられる(図1参照)。車体100又はバンパーに取り付けられた状態においては、少なくともノズル4の一部が車体100又はバンパーに形成された挿通孔100aから外方へ突出されている。ノズル4にはノズルカバー22が取り付けられる。
【0043】
上記のように構成された洗浄装置1において、供給タンクから供給管19を介してジョイント2の流路2aに洗浄液300が供給されると、洗浄液300の圧力がバルブ15の開閉部17に付与される。
【0044】
洗浄液300が流路2aに供給されて圧力が開閉部17に付与されると、供給された洗浄液300によって内圧が上昇してコイルバネ14が圧縮されバルブ15がコイルバネ14とともに移動され送出口9が開放される(図4参照)。
【0045】
このとき洗浄液300はバルブ15の案内面15aに案内されると共にジョイント2の誘導面7aに誘導されて送出口9からコイルバネ14の外周側に存在する洗浄液流動路10aに送り出される。洗浄液300は洗浄液流動路10aを流動され連結孔12a、12a、・・・を通過されてノズル4の流動空間18aに流動され、吐出口18bから車両用灯具200のカバー201へ向けて噴射され、噴射された洗浄液300によってカバーが洗浄される。
【0046】
供給タンクからの洗浄液300の供給が停止されると、内圧が低下しコイルバネ14が伸長されてコイルバネ14とともにバルブ15が移動され、開閉部17が内フランジ部8に押し付けられて送出口9が閉塞され、ノズル4からの洗浄液300の噴射が停止される。
【0047】
以上に記載した通り、洗浄装置1にあっては、ノズルホルダー3に供給された洗浄液300がコイルバネ14の外側に形成された洗浄液流動路10aを流動されてノズル4の吐出口18bから噴射される。
【0048】
従って、流動面積の小さい空間において洗浄液300に対して抵抗力が付与されたりコイルバネ14から洗浄液300に対して抵抗力が付与されないため圧力損失が生じ難く、ノズル4から噴射される洗浄液300の高い噴射圧を確保することができる。
【0049】
また、ノズルホルダー3に、洗浄液流動路10aに連通され洗浄液300を洗浄液流動路10aからノズル4へ向けて流動させる連通孔12a、12a、・・・が形成されている。
【0050】
従って、洗浄液300が確実に洗浄液流動路10aを流動されてノズル4から噴射されるため、ノズルホルダー3の内部を流動される洗浄液300に対する流動抵抗を確実に低下させることができる。
【0051】
さらに、連通孔12a、12a、・・・が円弧状に形成され周方向に離隔して位置されているため、洗浄液300の流速及びノズルホルダー3の内圧の均一化を図ることが可能であり、洗浄液300の流動状態及び噴射状態の安定化を図ることができる。
【0052】
さらにまた、バルブ15に洗浄液300を洗浄液流動路10aに案内する案内面17bが形成されているため、部品点数の増大を伴わず洗浄装置1の構造の簡素化を確保した上で洗浄液300を洗浄液流動路10aにおいて確実に流動させることができる。
【0053】
加えて、ジョイント2に洗浄液300を洗浄液流動路10aに誘導する誘導面7aが形成されているため、部品点数の増大を伴わず洗浄装置1の構造の簡素化を確保した上で洗浄液300を洗浄液流動路10aにおいて確実に流動させることができる。
【0054】
上記した発明を実施するための最良の形態において示した各部の形状及び構造は、何れも本発明を実施するに際して行う具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【符号の説明】
【0055】
1…洗浄装置、2…ジョイント、2a…流路、3…ノズルホルダー、4…ノズル、9…送出口、7a…誘導面、10a…洗浄液流動路、12a…連通孔、14…コイルバネ、15…バルブ、17b…案内面、18b…吐出口、200…車輌用灯具、300…洗浄液
図1
図2
図3
図4