(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
以下で説明する実施の形態では、本発明のペダル装置を自動車等の車両のアクセルペダル装置に適用したものである。
【0015】
図1は、実施の形態のアクセルペダル装置1の正面図、
図2はアクセルペダル装置1を
図1に示すA−A断面により切断した際の断面図である。
図1及び
図2に示されるように、アクセルペダル装置1は、運転者(操作者)による踏み込み操作が行われるペダル1Aと、ペダル1Aが連結されたペダルアーム1Bと、ペダルアーム1Bを揺動自在に支持するハウジング1Cとを有して構成される。
【0016】
ペダルアーム1Bには、ペダル1Aが接続された側とは逆側の端部において、ペダル1Aが踏み込まれる方向を基準としてその左右となる方向に延びるペダル軸部1Baが形成されている(
図2参照)。ペダル軸部1Baは、ハウジング1Cの内部空間に位置し、ハウジング1Cに対して回転自在に取り付けられている。これにより、ペダルアーム1Bがペダル軸部1Baを支点として揺動可能とされる。具体的に、ペダル1Aの踏み込み操作に応じては、ペダルアーム1Bが図中の矢印D1で示す方向に揺動する。
【0017】
本実施の形態のアクセルペダル装置1は、電子制御スロットルシステム、すなわちドライブバイワイヤーシステムに用いられるアクセルペダル装置とされる。ドライブバイワイヤーシステムに用いられるアクセルペダル装置では、ペダル1Aの操作量(踏み込み量:ペダルストローク)を表す信号を検出して外部に出力するいわゆるアクセルポジションセンサを設けることになる。図示は省略したが、アクセルペダル装置1においてアクセルポジションセンサは、例えばペダル軸部1Baの回転量を検出する位置に設ける。
【0018】
ハウジング1Cの内部空間には、アーム側歯車2、駆動側歯車部3、従動側歯車4、渦巻きバネ5及び渦巻きバネ6が設けられている。
アーム側歯車2は、円筒歯車(平歯車)とされ、ペダル軸部1Baに固着されている。アーム側歯車2は、ペダルアーム1Bの揺動方向D1への揺動に伴ってペダル軸部1Baと一体となって矢印D2方向に回転される。
【0019】
駆動側歯車部3は、同軸上に一体に設けられた第1駆動側歯車3aと第2駆動側歯車3bとによって構成され、ハウジング1Cに回転可能に取り付けられている。
第1駆動側歯車3aは、円筒歯車(平歯車)とされる。第1駆動側歯車3aは、アーム側歯車2と噛合されており、これによりアーム側歯車2の回転に応じてアーム側歯車2の回転方向(矢印D2方向)とは逆方向の矢印D3方向に回転される。この矢印D3方向を、以下「第1の回転方向D3」と表記する。
【0020】
なお、第1駆動側歯車3aの歯車径は、アーム側歯車2の歯車径よりも小さく設定されている。
【0021】
第2駆動側歯車3bは、楕円歯車とされている。楕円歯車は、回転に応じて回転中心から噛合部分までの距離が徐々に変化する曲率変化歯車に属するものである。
第2駆動側歯車3bの回転角は、第1駆動側歯車3aの回転角と一致する。
【0022】
駆動側歯車部3には、駆動側歯車部3を第1の回転方向D3に付勢する渦巻きバネ5が取り付けられている。渦巻きバネ5は、一方の端部が駆動側歯車部3の回転軸に取り付けられ、他方の端部がハウジング1Cに取り付けられている。
なお、
図2においては、ペダル1Aが非操作である状態(ペダル位置が初期位置の状態)での各歯車の状態を示しているが、この状態において、渦巻きバネ5はその付勢力が作用している状態にある。
【0023】
従動側歯車4は、楕円歯車とされ、第2駆動側歯車3bと噛合されている。ペダル1Aが踏み込まれた際には、第2駆動側歯車3bは第1の回転方向D3に回転するが、この回転に応じて従動側歯車4は第1の方向D3とは逆方向である矢印D4方向に回転される。この矢印D4方向を、以下「第2の回転方向D4」と表記する。
【0024】
従動側歯車4には、従動側歯車4を第2の回転方向D4とは逆方向に付勢する渦巻きバネ6が取り付けられている。渦巻きバネ6は、一方の端部が従動側歯車4の回転軸に取り付けられ、他方の端部がハウジング1Cに取り付けられている。
渦巻きバネ6のバネ力は、渦巻きバネ5のバネ力よりも大きくなるように設定されている。
なお、
図2に示すペダル1Aが非操作の状態では、渦巻きバネ6はその付勢力が作用していない状態にある。
【0025】
ここで、本実施の形態のアクセルペダル装置1では、ペダル1Aが初期位置にある状態において、第2駆動側歯車3bと従動側歯車4とが次のような噛合状態となるように駆動側歯車部3と従動側歯車4とが位置決めされている。すなわち、
図2に示されるように、第2駆動側歯車3bの曲率の最も大きい部分と従動側歯車4の曲率の最も小さい部分とが噛合するように、駆動側歯車部3と従動側歯車4とが位置決めされている。
【0026】
また、本実施の形態のアクセルペダル装置1では、ペダル1Aより入力された踏力がアーム側歯車1Ba及び第1駆動側歯車3aに伝達されて第2駆動側歯車3bが回転し、それによって従動側歯車4が回転することになるが、前述のように、アーム側歯車1Baと第1駆動側歯車3aの歯車径は異なっているので、アーム側歯車1Baの回転角度に対し第1駆動側歯車3aの回転角度が異なるようになる。すなわち、ペダルアーム1Bの揺動角度と第2駆動側歯車3bの回転角度とは一致しない。
このとき、ペダルアーム1Bの揺動角度と第2駆動側歯車3bの回転角度との関係は、アーム側歯車1Baと第1駆動側歯車3aとの歯車径の比で定まる。この点からも理解されるように、アーム側歯車1Baと第1駆動側歯車3aは、ペダルアーム1Bの揺動による動力を第2駆動側歯車3bに伝達する上で、それらの歯車径の比によってペダルアーム1Bの揺動角度と第2駆動側歯車3bの回転角度との関係を調整する機能を担っている(回転角調整部)。
前述のように、本実施の形態では、アーム側歯車1Baの歯車径の方が第1駆動側歯車3aの歯車径よりも大きく設定されるが、具体的にこれらの歯車径の比は、ペダル1Aが初期位置から最大踏み込み位置まで踏み込まれた際に、楕円歯車である第2駆動側歯車3bと従動側歯車4とが共に略90°回転するように設定されている。
なお、本例の場合、ペダルアーム1Bの最大揺動角度、つまりアーム側歯車2の最大回転角度は20°程度である。
【0027】
上記のような歯車径比の設定によって、本実施の形態のアクセルペダル装置1では、ペダル1Aが最大踏み込み位置まで踏み込まれた際に、第2駆動側歯車3bは
図2に示す状態から第1の方向D3に略90°回転された状態となり、従動側歯車4は
図2に示す状態から第2の回転方向D4に略90°回転された状態となる。すなわち、ペダル1Aが最大踏み込み位置まで踏み込まれた際には、
図2に示す状態とは逆に、第2駆動側歯車3bの曲率の最も小さい部分と従動側歯車4の曲率の最も大きい部分とが噛合する状態が得られる。
【0028】
上記のように構成されたアクセルペダル装置1によって、ペダル踏力とペダルストロークとの関係にヒステリシス特性が発現される。
図3及び
図4を参照して、このようなヒステリシス特性を発現させるアクセルペダル装置1の動作について説明する。
図3は、ペダル1Aの踏み側についての説明図であり、
図4は渦巻きバネ6による付勢力が駆動源となってペダル1Aの位置を戻す戻り側についての説明図である。
図3A、
図3Bでは、それぞれペダル1Aの踏み始めの段階、ペダル1Aをさらに最大踏み込み位置に向けて踏み込むまでの段階での状態を示し
図4A、
図4Bでは、ペダル1Aを最大踏み込み位置から戻し始めた段階、ペダル1Aをさらに初期位置(非操作状態でのペダル位置)に向けて戻すまでの段階における状態をそれぞれ示している。
図3A、
図3B、
図4A、
図4Bの各分図の右側には、上記の各段階ごとに得られる踏力対ペダルストロークの特性を併せて示している。
【0029】
先ず、
図3Aに示す踏み始めの段階では、第2駆動側歯車3bの曲率の最も大きい部分と従動側歯車4の曲率の最も小さい部分とが噛合する状態を起点として、これらの歯車が回転を開始する。
ペダル1Aの踏み側では、駆動側歯車部3が動力の伝達元側となり、従動側歯車4は動力の伝達先側となる。従って、踏み始めの段階では、伝達元側の歯車と伝達先側の歯車との噛合部分における曲率大小関係が「大:小」であると言うことができる。
このように噛合部分における伝達元側の歯車の曲率に対し伝達先側の歯車の曲率の方が小さい状態では、伝達元側の歯車が伝達先側の歯車を回転させるのに要するトルクが比較的大きくなる。すなわち 駆動側歯車部3が従動側歯車4を回転させるのに要するトルクが比較的大きい。このため、踏み始めの段階では、ペダル踏力に対してペダルストロークが比較的増加し難い特性となる。
【0030】
図3Aの踏み始め段階からペダル1Aが踏み増されると、
図3Bを参照して分かるように第2駆動側歯車3b(伝達元側)と従動側歯車4(伝達先側)との噛合部分における曲率大小関係は「大:小」から次第に「小:大」に転じていく。従って、第2駆動側歯車3bが従動側歯車4を回転させるのに要するトルクは踏み始め段階よりも徐々に小さくなっていく。この結果、ペダル踏力に対してペダルストロークが増加し易い特性に転じて行く。
【0031】
一方、
図4に示す戻り側では、渦巻きバネ6による付勢力が動力源となってペダル1Aの位置を押し戻す。すなわち、戻り側では、従動側歯車4が動力の伝達元側となり、第2駆動側歯車3bが伝達先側に転じる。
【0032】
なお、先の説明によると、渦巻きバネ5は駆動側歯車部3を第1の回転方向D3に付勢するので、渦巻きバネ5の付勢力は渦巻きバネ6の付勢力に対して抗うように作用するが、前述のように渦巻きバネ6のバネ力の方が渦巻きバネ5のバネ力よりも大きく設定されているので、渦巻きバネ6の付勢力によってペダル1Aが押し戻される。
渦巻きバネ5は、第2駆動側歯車3bを第1の回転方向D3に付勢することで、第2駆動側歯車3bの歯部と従動側歯車4の歯部との噛合状態を良好とし、歯車のガタツキを抑制して動作の安定性を向上させる役割を担う。
【0033】
図4Aに示す戻し始めの段階では、伝達元側である従動側歯車4と伝達先側である第2駆動側歯車3bとの噛合部分における曲率大小関係は「大:小」である。このように伝達元側である従動側歯車4の曲率よりも伝達先側である第2駆動側歯車3bの曲率の方が大きいことで、従動側歯車4が第2駆動側歯車3bを回転させるのに要するトルクは比較的大きくなる。従って、戻し始めの段階では、ペダル踏力に対してペダルストロークが減少し難い特性となる。
【0034】
戻し始めの段階からペダル1Aがさらに戻される
図4Bの段階では、従動側歯車4と第2駆動側歯車3bとの噛合部分における曲率大小関係が徐々に「小:大」に転じていく。従って、伝達元側である従動側歯車4が伝達先側である第2駆動側歯車3bを回転させるのに要するトルクは、戻し始めの段階よりも徐々に小さくなっていき、ペダル踏力に対してペダルストロークが減少し易い特性に転じていく。
【0035】
このようにして、本実施の形態のアクセルペダル装置1によれば、ペダル1Aの踏み側と戻し側とで踏力対ペダルストロークの特性に差を与えることができる。すなわち、ヒステリシス特性を発現させることができる。具体的に、本例におけるヒステリシス特性とは、
図4Bの右側に示されるように、ペダル1Aの踏み込み側では、踏み始め段階で踏力に対するペダルストロークの増加率が低く且つ踏み始め後から最大踏み込み位置までの段階でペダルストローク増加率が高くなり、またペダルの戻り側では、最大踏み込み位置からの戻し始め段階で踏力に対するペダルストロークの減少率が低く且つその後のペダル初期位置までの戻し段階でペダルストロークの減少率が高くなる特性となる。
【0036】
本実施の形態のアクセルペダル装置1では、このようなヒステリシス特性を、曲率変化歯車を回転させた際に生じる噛合部分での曲率差を利用して実現している。
このため、対向状態のロータとフリクションワッシャとの間に生じる摩擦力を利用してヒステリシス特性を発現させる従来とは異なり、摺動に伴う摩擦抵抗が生じない。
従って、摩耗によるヒステリシス特性の変化を防止でき、経時的な操作フィーリングの悪化を防止できる。
また、摺動による摩耗が生じないことから、引っかかりによるペダルの戻り不良の発生を防止できる。
【0037】
また、本実施の形態では、曲率変化歯車を含む複数の歯車を噛合させそれらをペダル操作に応じて回転させるという比較的簡易な構成により、操作フィーリングの悪化やペダルの戻り不良の発生の防止を図ったペダル装置を実現することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態では、曲率変化歯車として楕円歯車を用いているが、上記の説明からも理解されるように、楕円歯車は、ヒステリシスス特性を発現させるための曲率変化歯車として好適である。
【0039】
さらに、本実施の形態では、駆動側歯車と従動側歯車の双方に楕円歯車を用いているが、これにより、ペダル操作に応じて歯車の回転軸の位置を変化させる必要がなくなる。従って、歯車の回転軸の位置を動かすための可動部が不要となり、部品点数の削減が図られ、製造コストの削減が図られる。
また、可動部の数を抑えることができることから、故障リスクが低減され、信頼性の向上が図られる。
【0040】
加えて、本実施の形態では、ペダルアーム1Bの揺動に応じた動力を歯車径の異なるアーム側歯車1Baと第1駆動側歯車3aとで構成された回転角調整部を介して第2駆動側歯車3bに伝達している。このような回転角調整部によれば、所望のヒステリシス特性を発現させる上で重要となる曲率変化歯車の回転角度を、ペダルアーム1Bの最大揺動角度に対して調整することが可能となる。
従って、ペダル1Aの最大ストローク量に制約されずに、所望のヒステリシス特性を発現させることができる。
【0041】
以上、本発明を実施するための具体的な一例について説明したが、本発明は上記により説明した具体例に限定されるべきものではなく、多様な変形例が考えられる。
例えば、曲率変化歯車は、楕円歯車に限定されない。
また、曲率変化歯車は、駆動側と従動側の双方に設ける必要はなく、少なくとも何れか一方に設ければよい。
【0042】
図5は、駆動側に対して円筒歯車による駆動側歯車7、従動側に対して楕円歯車以外の曲率変化歯車による従動側歯車8を設けた場合の説明図、
図6は駆動側に対して楕円歯車以外の曲率変化歯車による駆動側歯車9、従動側に円筒歯車による従動側歯車10を設けた場合の説明図である。
【0043】
なお、
図5及び
図6においては従動側の歯車とこれに噛合する駆動側の歯車のみを抽出して示しているが、他の部分の構成については
図1及び
図2で説明したものと同様の構成が採られればよい。
また、
図5、
図6のように駆動側と従動側の一方にのみ曲率変化歯車を用いる場合は、ペダル操作に応じて従動側又は駆動側の少なくとも一方の歯車の回転軸の位置を変位させる構成を設けることになる。
【0044】
図5及び
図6において、それぞれの分
図Aはペダル1Aが初期位置にある状態、分
図Bはペダル1Aが最大踏み込み位置まで踏み込まれた状態における駆動側の歯車と従動側の歯車との関係を表している。
【0045】
先の
図3及び
図4の説明からも理解されるように、ヒステリシス特性を発現させるためには、駆動側の歯車と従動側の歯車との噛合部分における曲率大小関係が、ペダル1Aが初期位置にある状態で「大:小」となり、ペダル1Aが最大踏み込み位置に向けて踏み込まれる過程で「小:大」に転じるようにすればよい。従って、曲率変化歯車としては、その断面形状が楕円以外の形状とされてもよい。例えば、
図5、
図6にそれぞれ従動側歯車8、駆動側歯車9として示すような、菱形をベースに各辺及び各辺の境界部に丸みを持たせたような形状とすることができる。
【0046】
ここで、駆動側と従動側の双方を曲率変化歯車とした先の具体例では、ペダル初期位置の状態において第2駆動側歯車3bの曲率が最大となる部分を従動側歯車4の曲率が最小となる部分に噛合させ、ペダル1Aの踏み込みに応じて第2駆動側歯車3bを略90°回転させることで、上記の曲率大小関係が実現されたが、一方が円筒歯車とされる場合は、円筒歯車の曲率と曲率変化歯車に存在する最大・最小の曲率部分の曲率との計3種の曲率が関与することから、これら3種の曲率についての大小関係を考慮すべきとなる。
【0047】
具体的には、円筒歯車の曲率を「中」としたときに、曲率変化歯車における曲率最小部分(8a又は9a)の曲率が「小」、曲率最大部分(8b又は9b)の曲率が「大」となるようにそれらの曲率の大小関係を設定する。
【0048】
この設定の下で、従動側にのみ曲率変化歯車を用いる
図5の場合は、
図5Aに示すようにペダル初期位置の状態で駆動側歯車7に従動側歯車8の曲率最小部分8aが噛合するように構成する。
また、駆動側にのみ曲率変化歯車を用いる
図6の場合は、
図6Aに示すようにペダル初期位置の状態で駆動側歯車9の曲率最大部分9bが駆動側歯車10に噛合するように構成する。
【0049】
これにより、従動側にのみ曲率変化歯車が用いられる場合は、
図5A及び
図5Bに示されるように、ペダル初期位置の状態での駆動側歯車と従動側歯車との噛合部分における曲率大小関係が「大:小」となり、ペダル最大踏み込み位置の状態では「小:大」に転じる。
同様に、駆動側にのみ楕円歯車が用いられた場合としても、
図6A及び
図6Bに示されるように、ペダル初期位置の状態での駆動側歯車と従動側歯車との噛合部分における曲率大小関係が「大:小」となり、ペダル最大踏み込み位置の状態では「小:大」に転じる。
従って、
図4Bの右側に示したものと同様のヒステリシス特性を発現させることができる。
【0050】
これら
図5,
図6の何れの場合も、回転角調整部としてのアーム側歯車1Baと第1駆動側歯車3aとの歯車径の比は、ペダルアーム1Bの最大揺動角度に対し曲率変化歯車の回転角度が略90°となるように設定する。
【0051】
なお、これまでの説明では、ヒステリシス特性の実現にあたり、曲率変化歯車における曲率最大部分と曲率最小部分とを使用する例を挙げたが、これら曲率最大部分と曲率最小部分との間の部分のみを使用してヒステリシス特性を実現することも可能である。
なお、この点からも理解されるように、ペダル初期位置に対応した駆動側歯車と従動側歯車との噛合状態は、
図2や
図5A,
図6Aに示したものに限定されるものではなく、またペダル最大踏み込み位置に対応した駆動側歯車と従動側歯車との噛合状態も
図5Bや
図6Bに示したものに限定されるものではない。また、ヒステリシス特性を実現するにあたって必要な曲率変化歯車の回転角度もこれまでで例示した略90°に限定されるものではない。
【0052】
また、曲率変化歯車は、その全周に亘って歯が形成されている必要はなく、全周が曲面として形成されている必要もない。例えば、曲率変化歯車は略扇状の断面形状を有する歯車とすることもできる。
【0053】
また、これまでの説明では、従動側歯車を付勢する付勢部材として渦巻きバネを用いる場合を例示したが、本発明における付勢部材としては渦巻きバネに限定されるべきものではなく、付勢が可能なものであれば具体的な手段は問わない。
【0054】
また、これまでの説明では、本発明を車両用のアクセルペダル装置に適用する場合を例示したが、本発明は、ペダル装置として踏み側と戻し側とでヒステリシス特性を発現させるものに広く好適に適用できる。