(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1実施形態(
図1〜
図4)》
〈
図1に示したカメラモジュールの構造〉
図1に示したカメラモジュールは、カメラ機能を発揮するための各種デバイス及び回路を備えたものであって、基板10とこれに取り付けられた光学パッケージ20とから成り、全体が略直方体形状を成している。参考までに
図1に示したカメラモジュールの寸法例を述べれば、長さ及び幅(
図1の左右方向寸法)が略8.5mmで高さ(
図1の上下方向寸法)が略5mmである。
【0011】
基板10は、
図1に示したように、電子部品14が埋設されたグランド配線兼用のコア部11と、コア部11の厚さ方向一面(上面)に設けられ内部にシグナル配線12a及びグランド配線12b等が埋設された第1絶縁部12と、コア部11の厚さ方向他面(下面)に設けられ内部にシグナル配線13a及びグランド配線13b等が埋設された第2絶縁部13を備えている。つまり、基板10は電子部品14が埋設された多層構造の基板である。
【0012】
コア部11には、部品収納用の貫通孔11aと、凹部CPの一部を構成する貫通孔11bと、導体ビア配置用の貫通孔11cが設けられている。部品収納用の貫通孔11aには例えばコンデンサやインダクタやレジスタやフィルタチップやICチップ等の電子部品14が適宜収納されていて、収納された電子部品14と貫通孔11aとの隙間には絶縁材11bが充填されている。
【0013】
第1絶縁部12の内部には、2次元的にパターニングされたシグナル配線12a及びグランド配線12bと断面T字状の導体ビア(図示省略)が埋設されている。また、第2絶縁部13の内部には、2次元的にパターニングされたシグナル配線13a及びグランド配線13bと断面T字状の導体ビア13cが埋設されている。さらに、第1絶縁部12及び第2絶縁部13の内部には、第1絶縁部12からコア部11の貫通孔11cを通じて第2絶縁部13に至る筒状の導体ビア12cが埋設されている。さらに、第1絶縁部12の表面(上面)と第2絶縁部13の表面(下面)には、断面T字状の導体パッド12dと導体パッド13dがそれぞれ設けられている。
【0014】
また、第1絶縁部12には、コア部11の貫通孔11bの真上に当たる位置に、凹部CPの他部を構成する貫通孔12eが設けられている。この貫通孔12eの横断面積はコア部11の貫通孔11bの横断面積よりも大きく、貫通孔12eの中心線は貫通孔11bの中心線に略一致している。つまり、基板10の表面(上面)には、第1絶縁部12の貫通孔12eとコア部11の貫通孔11bによって構成された凹部CPが設けられている。この凹部CPの深さは撮像素子15の厚さよりも大きく、凹部CPの底面CPaの面積よりも開口CPb(基板10の表面における開口を指す)の面積の方が大きく、凹部CPの内壁(符号無し)は階段状の断面形状を成している。
【0015】
さらに、凹部CPの底面CP、即ち、第2絶縁部13の表面(上面)には、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の撮像素子15が接着剤を用いて装着されている。この撮像素子15は表面(上面)の中央に受光部15aを有し、その周りに複数の接続パッド15bを有している。先に述べたように凹部CPの深さは撮像素子15の厚さよりも大きいため、凹部CPの底面CPに装着された撮像素子の表面(上面)と基板10の表面(上面)との間には空隙GAが存在する。また、撮像素子15の接続パッド15bは、撮像素子15の表面(上面)と基板10の表面(上面)との間に存する空隙GAを経由したボンディングワイヤBWにより、第1絶縁部12の導体パッド12dに接続されている。
【0016】
また、撮像素子15の輪郭は略矩形であり、凹部CPの底面CPaの輪郭(貫通孔11bの横断面形)と開口CPaの輪郭(貫通孔12eの横断面形)は撮像素子15の輪郭と相似の略矩形である。撮像素子15の輪郭に比して凹部CPの底面CPaの輪郭(貫通孔11bの横断面形)を大きくし過ぎるとカメラモジュールの長さ及び幅(
図1の左右方向寸法)が無駄に増加してしまうため、底面CPaの輪郭(貫通孔11bの横断面形)は撮像素子15の挿入を許容する最小のものとなっている。
【0017】
図1に準じて補足すれば、コア部11は銅や銅合金等の導電性材料から成り、その厚さは例えば100〜400μmの範囲内にある。また、絶縁材11bと第1絶縁部12と第2絶縁部13はエポキシ樹脂やポリイミドやビスマレイミドトリアジン樹脂やこれらに二酸化ケイ素等から成る補強フィラーを含有させたもの等の合成樹脂(熱硬化性のみならず熱可塑性のものも使用可能)から成り、第1絶縁部12と第2絶縁部13の厚さは例えば30〜90μmの範囲内にある。さらに、シグナル配線12a及び13aとグランド配線12b及び13bと図示省略の導体ビアと導体ビア12c及び13cと導体パッド12d及び13dは銅や銅合金等の導電性材料から成り、シグナル配線12a及び13aとグランド配線12b及び13bの厚さは例えば5〜25μmの範囲内にある。
【0018】
また、第1絶縁部12の左側の導体パッド12dは導体ビア12cを介して第2絶縁部13の左から3番目の導体パッド12dに接続され、第1絶縁部12の右側の導体パッド12dは第1絶縁部12内のシグナル配線12aに接続され、第1絶縁部12内のグランド配線12bはそのビア部(符号無し)を通じてコア部11aに接続されている。一方、第2絶縁部13の左から1番目と2番目の導体パッド13dは第2絶縁部13内の導体ビア13cを介して左側の電子部品14の端子にそれぞれ接続され、右から2番目と3番目の導体パッド13dは第2絶縁部13内の導体ビア13cを介して右側の電子部品14の端子にそれぞれ接続され、右から1番目の導体パッド13dは第2絶縁部13内のシグナル配線13aに接続され、第2絶縁部13内のグランド配線13bはそのビア部13b3(
図2を参照)を通じてコア部11に接続されている。
【0019】
ここで、
図2を引用して、第2絶縁部13の内部に埋設されたグランド配線13b、特に面状部13b2の態様について説明する。
図2に破線で示したように、グランド配線13bは2つの配線部13b1の間に介在する面状部13b2を有しており、面状部13b2に設けられた2つのビア部13b3をコア部11に接続されている。要するに、面状部13b2はグランド配線13bの一部を構成している。この面状部13b2の輪郭は撮像素子15の装着面(下面)の輪郭及び凹部CPの底面CPaの輪郭よりも大きな略矩形であり、面状部13b2は撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っている。前記寸法例に準じて補足すれば、面状部13b2の厚さは配線部13b1と同じで例えば5〜25μmの範囲内にあり、第2絶縁部13の表面(上面)との距離(深さ)は例えば10〜30μmの範囲内にある。また、面状部13b2がグランド配線13bの一部を構成していることから、面状部13b2のヤング率(縦弾性係数)は第2絶縁部13(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。この面状部13b2は、第2絶縁部13における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たす。
図2にはビア部13b3の数を2つとしたものを示したが、なるべく多くのビア部13b3を面状部13b2に設けてコア部11に接続することが好ましい。
【0020】
一方、光学パッケージ20は、
図1に示したように、レンズユニット21と、レンズユニット21の周囲に配されたオートフォーカス用アクチュエータ22と、レンズユニット21の下側に配されたフィルタユニット23と、レンズユニット21、アクチュエータ22及びフィルタユニット23を包含するケース24を備えている。
【0021】
レンズユニット21は、複数(図中は2個)のレンズ21aと、レンズ21aの周囲を囲む筒状ホルダ21bを有している。オートフォーカス用アクチュエータ22は例えば可動コイル及び固定永久磁石を備えたものであって、可動コイルに入力される駆動信号に基づいてレンズユニット21を上下方向に移動させて焦点合わせを行う。フィルタユニット23は、IRカットフィルタ等の光学フィルタ23aと、光学フィルタ23aの周囲を囲む環状ホルダ23bを有している。ケース24は外観が略直方体形状を成し、その内側に配されたレンズユニット21、アクチュエータ22及びフィルタユニット23を覆っている。このケース24は、レンズ21a及び光学フィルタ23aが基板10の撮像素子15の真上に位置するように、嵌め合わせや接着等の結合手法によって基板10に取り付けられており、図示省略の端子を介して基板10に構築された回路に電気的に接続されている。
【0022】
〈
図1に示したカメラモジュールによって得られる効果〉
(E11)
図1に示したカメラモジュールは、基板10の第2絶縁部13の内部に、該第2絶縁部13における撮像素子15が装着された面の変形を抑制するための面状部13b2が、第2絶縁部13の表面(上面)に装着された撮像素子15と向き合うように埋設されている。依って、携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器に組み込まれたカメラモジュールの基板10、特に撮像素子15が装着された第2絶縁部13に落下衝撃や熱衝撃等に伴う応力が伝搬しても、該応力によって第2絶縁部13における撮像素子15が装着された面に撓みや捻れ等の変形が生じることを面状部13b2により抑制して、該変形に起因して例えば撮像素子15とレンズ21aとに光軸ズレが発生して画像偏りや画像乱れ等の機能障害が発生することを回避できる。
【0023】
(E12)
図1に示したカメラモジュールは、面状部13b2が撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っており、しかも、面状部13b2のヤング率が第2絶縁部13(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。依って、第2絶縁部13における撮像素子15が装着された面に対する変形抑制作用をより的確に発揮して、先に述べた機能障害発生をより確実に回避できる。
【0024】
(E13)
図1に示したカメラモジュールは、面状部13b2がグランド配線13bと同じ導電性材料から成り、該面状部13b2がグランド配線13bの一部を構成している。依って、第2絶縁部13の内部にグランド配線13bをパターニングするときに面状部13b2を同時に作製できることから、面状部13b2の作製にコストがかからない。
【0025】
(E14)
図1に示したカメラモジュールは、基板10の表面(上面)に撮像素子15の厚さよりも大きな深さを有する凹部CPが設けられていて、撮像素子15がその表面(上面)と基板10の表面(上面)との間に空隙GAが存するように凹部CPの底面CPaに装着されている。依って、撮像素子15の受光部15aとレンズ21aとの間に最小焦点距離に対応する間隔CL(
図1を参照)を確保しなければならない場合でも、レンズ21aを基板10の表面(上面)に近付けて配置することができ、これによりカメラモジュールの高さを低減して薄型化に貢献できる。
【0026】
〈面状部の変形例〉
(M11)
図2には面状部13b2に配線部13b1及びビア部13b3が付帯したものを示したが、
図3(A)に示したように配線部13b1を排除した場合でも前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。
【0027】
(M12)
図2には面状部13b2の輪郭が撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも大きいものを示したが、
図3(B)に示したように面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、加えて、
図3(A)に示した面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。勿論、面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E11〜E14と略同様の効果を期待できる。
【0028】
(M13)
図2には面状部13b2が導体ビア13b3を通じてコア部11に接続されたものを示したが、
図4に示したように導体ビア13b3を排除した場合でも、加えて、
図3(B)に示したものから導体ビア13b3及び矩形状張り出し部分を排除した場合でも、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。また、この導体ビア13b3を排除する場合に関しては、面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E11〜E14と略同様の効果を期待できる。
【0029】
(M14)図示を省略したが、
図2に示したものから配線部13b1及び導体ビア13b3を排除した面状部13b2のみ、即ち、グランド配線にはならない単なる面状部13b2のみを埋設した場合でも、加えて、該面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、要するに、面状部13b2が第2絶縁部13に埋設されたグランド配線等と非接触で孤立していても、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。また、このグランド配線にはならない単なる面状部13b2のみを埋設する場合に関しては、面状部13b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E11〜E14と略同様の効果を期待できる。
【0030】
(M15)図示を省略したが、前記M14で説明したようなグランド配線にはならない単なる面状部13b2のみを埋設する場合には、該面状部13b2の材料は必ずしも導電性材料である必要はない。例えば、第2絶縁部13(合成樹脂部分を指す)のヤング率よりもヤング率が高値であるセラミックスやガラス等の非導電性材料から成る面状部相当物を第2絶縁部13の内部に埋設するようにしても、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。
【0031】
(M16)図示を省略したが、
図2に示した面状部13b2並びに前記M11〜M15で説明した面状部13b2は、第2絶縁部13における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たせるものであれば、シグナル配線を通過させるためのスリットや導体ビアを配置するための貫通孔を有するものであっても前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。
【0032】
〈他の変形例〉
図1及び
図4には、基板10のコア部11が導電性材料から成るものを示したが、コア部11が例えば合成樹脂やセラミックス等の非導電性材料から成る場合でも、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。また、コア部11及び絶縁材11bが単一の層状絶縁材から成る場合、換言すれば、電子部品14が単一の層状絶縁材の中に埋設されている基板構造であっても、前記E11〜E14と同様の効果を発揮できる。
【0033】
《第2実施形態(
図5〜
図8)》
〈
図5に示したカメラモジュールの構造〉
図5に示したカメラモジュールが、
図1に示したカメラモジュール(第1実施形態)と構造を異にするところは、
・基板10から凹部CPを排除した点
・基板10の第1絶縁部12の表面(上面)に撮像素子15を装着した点
・第1絶縁部12の内部に
図1に示したグランド配線13bの代用となるグランド配線1 2fを埋設した点
にある。
図5には、図示の便宜上、コア部11の中央部分に電子部品14が埋設されていないものを示したが、実際上は該中央部分にも他の電子部品14が埋設されている。参考までに
図5に示したカメラモジュールの寸法例を述べれば、長さ及び幅(
図5の左右方向寸法)が略8.5mmで高さ(
図5の上下方向寸法)が略7mmである。
【0034】
ここで、
図6を引用して、第1絶縁部12の内部に埋設されたグランド配線12f、特に面状部12f2の態様について説明する。
図6に破線で示したように、グランド配線12fは2つの配線部12f1の間に介在する面状部12f2を有しており、面状部12f2に設けられた2つのビア部12f3をコア部11に接続されている。要するに、面状部12f2はグランド配線12fの一部を構成している。この面状部12f2の輪郭は撮像素子15の装着面(下面)の輪郭(2点鎖線を参照)よりも大きな略矩形であり、面状部12f2は撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っている。前記寸法例に準じて補足すれば、面状部12f2の厚さは配線部12f1と同じで例えば5〜25μmの範囲内にあり、第1絶縁部12の表面(上面)との距離(深さ)は例えば10〜30μmの範囲内にある。また、面状部12f2がグランド配線12fの一部を構成していることから、面状部12f2のヤング率(縦弾性係数)は第1絶縁部12(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。この面状部12f2は、第1絶縁部12における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たす。
図6にはビア部12f3の数を2つとしたものを示したが、なるべく多くのビア部12f3を面状部12f2に設けてコア部11に接続することが好ましい。
【0035】
〈
図5に示したカメラモジュールによって得られる効果〉
(E21)
図5に示したカメラモジュールは、基板10の第1絶縁部12の内部に、該第1絶縁部12における撮像素子15が装着された面の変形を抑制するための面状部12f2が、第1絶縁部12の表面(上面)に装着された撮像素子15と向き合うように埋設されている。依って、携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器に組み込まれたカメラモジュールの基板10、特に撮像素子15が装着された第1絶縁部12に落下衝撃や熱衝撃等に伴う応力が伝搬しても、該応力によって第1絶縁部12における撮像素子15が装着された面に撓みや捻れ等の変形が生じることを面状部12f2により抑制して、該変形に起因して例えば撮像素子15とレンズ21aとに光軸ズレが発生して画像偏りや画像乱れ等の機能障害が発生することを回避できる。
【0036】
(E22)
図5に示したカメラモジュールは、面状部12f2が撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っており、しかも、面状部12f2のヤング率が第1絶縁部12(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。依って、第1絶縁部12における撮像素子15が装着された面に対する変形抑制作用をより的確に発揮して、先に述べた機能障害発生をより確実に回避できる。
【0037】
(E23)
図5に示したカメラモジュールは、面状部12f2がグランド配線12fと同じ導電性材料から成り、該面状部12f2がグランド配線12fの一部を構成している。依って、第1絶縁部12の内部にグランド配線12fをパターニングするときに面状部12f2を同時に作製できることから、面状部12f2の作製にコストがかからない。
【0038】
〈面状部の変形例〉
(M21)
図6には面状部12f2に配線部12f1及びビア部12f3が付帯したものを示したが、
図7(A)に示したように配線部12f1を排除した場合でも前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。
【0039】
(M22)
図6には面状部12f2の輪郭が撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも大きいものを示したが、
図7(B)に示したように面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、加えて、
図7(A)に示した面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。勿論、面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E21〜E23と略同様の効果を期待できる。
【0040】
(M23)
図6には面状部12f2が導体ビア12f3を通じてコア部11に接続されたものを示したが、
図8に示したように導体ビア12f3を排除した場合でも、加えて、
図7(B)に示したものから導体ビア12f3及び矩形状張り出し部分を排除した場合でも、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。また、この導体ビア12f3を排除する場合に関しては、面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E21〜E23と略同様の効果を期待できる。
【0041】
(M24)図示を省略したが、
図6に示したものから配線部12f1及び導体ビア12f3を排除した面状部12f2のみ、即ち、グランド配線にはならない単なる面状部12f2のみを埋設した場合でも、加えて、該面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、要するに、面状部12f2が第1絶縁部12に埋設されたグランド配線等と非接触で孤立していても、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。また、このグランド配線にはならない単なる面状部12f2のみを埋設する場合に関しては、面状部12f2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E21〜E23と略同様の効果を期待できる。
【0042】
(M25)図示を省略したが、前記M24で説明したようなグランド配線にはならない単なる面状部12f2のみを埋設する場合には、該面状部12f2の材料は必ずしも導電性材料である必要はない。例えば、第1絶縁部12(合成樹脂部分を指す)のヤング率よりもヤング率が高値であるセラミックスやガラス等の非導電性材料から成る面状部相当物を第1絶縁部12の内部に埋設するようにしても、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。
【0043】
(M26)図示を省略したが、
図6に示した面状部12f2並びに前記M21〜M25で説明した面状部12f2は、第1絶縁部12における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たせるものであれば、シグナル配線を通過させるためのスリットや導体ビアを配置するための貫通孔を有するものであっても前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。
【0044】
〈他の変形例〉
図5及び
図8には、基板10のコア部11が導電性材料から成るものを示したが、コア部11が例えば合成樹脂やセラミックス等の非導電性材料から成る場合でも、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。また、コア部11及び絶縁材11bが単一の層状絶縁材から成る場合、換言すれば、電子部品14が単一の層状絶縁材の中に埋設されている基板構造であっても、前記E21〜E23と同様の効果を発揮できる。
【0045】
《第3実施形態(
図9〜
図12)》
〈
図9に示したカメラモジュールの構造〉
図9に示したカメラモジュールが、
図1に示したカメラモジュール(第1実施形態)と構造を異にするところは、
・基板10を、電子部品14が埋設されていない多層構造の基板30に置換した点
・基板30の絶縁部11の表面(上面)に設けられた導体パッド31dに電子部品14を 実装した点
・基板30の絶縁部31の表面(上面)に撮像素子15を装着した点
・絶縁部31の内部に
図1に示したグランド配線13bの代用となるグランド配線31b を埋設した点
にある。参考までに
図9に示したカメラモジュールの寸法例を述べれば、長さ及び幅(
図9の左右方向寸法)が略8.5mmで高さ(
図9の上下方向寸法)が略7mmである。
【0046】
基板30は、
図9に示したように、表面側(上面側)に電子部品14と撮像素子15が設けられ、且つ、内部にシグナル配線31a及びグランド配線31b等が埋設された絶縁部31を備えている。つまり、基板30は電子部品14が埋設されていない多層構造の基板である。
【0047】
絶縁部31の内部には、2次元的にパターニングされたシグナル配線31a及びグランド配線31bと断面T字状の導体ビア31cが埋設されている。また、絶縁部31の表面(上面と下面の両方)には、断面T字状の導体パッド31dと導体パッド31eがそれぞれ設けられている。
【0048】
図9に準じて補足すれば、絶縁部31はエポキシ樹脂やポリイミドやビスマレイミドトリアジン樹脂やこれらに二酸化ケイ素等から成る補強フィラーを含有させたもの等の合成樹脂(熱硬化性のみならず熱可塑性のものも使用可能)から成り、その厚さは例えば50〜150μmの範囲内にある。また、シグナル配線31aとグランド配線31bと導体ビア31cと導体パッド31d及び31eは銅や銅合金等の導電性材料から成り、シグナル配線31aとグランド配線31bの厚さは例えば5〜25μmの範囲内にある。
【0049】
また、左側の電子部品14はその端子をハンダ等の接合材を介して左から1番目と2番目の導体パッド31dにそれぞれ接続され、右側の電子部品14はその端子をハンダ等の接合材を介して右から1番目と2番目の導体パッド31dにそれぞれ接続されている。撮像素子15は絶縁部31の表面(上面)に接着剤を用いて装着され、撮像素子15の接続パッド15bはボンディングワイヤBWを介して左から3番目と4番目の導体パッド31dに接続されている。
【0050】
さらに、左から1番目の導体パッド31dは絶縁部31内の導体ビア31cを介して絶縁部31内のシグナル配線31aに接続され、左から2番目の導体パッド31dは絶縁部31内の導体ビア31cを介して左から1番目の導体パッド31eに接続され、左から3番目の導体パッド31dは絶縁部31内の導体ビア31cを介して左から2番目の導体パッド31eに接続されている。右から1番目の導体パッド31dは絶縁部31内の導体ビア31cを介して右から1番目の導体パッド31eに接続され、右から2番目と3番目の導体パッド31dは絶縁部31内のシグナル配線31aに接続されている。絶縁部31内のグランド配線31bはそのビア部31b3(
図10を参照)を通じて絶縁部31内の導体ビア31cに接続され該導体ビア31cは左から3番目の導体パッド31eに接続されていると共に、別のビア部31b3(
図10を参照)を通じて絶縁部31内の別のグランド配線31bに接続されている。
【0051】
ここで、
図10を引用して、絶縁部31の内部に埋設されたグランド配線31b、特に面状部31b2の態様について説明する。
図10に破線で示したように、グランド配線31bは2つの配線部31b1の間に介在する面状部31b2を有しており、面状部31b2に設けられた2つのビア部31b3を導体ビア31cと別のグランド配線31bに接続されている。要するに、面状部31b2はグランド配線31bの一部を構成している。この面状部31b2の輪郭は撮像素子15の装着面(下面)の輪郭(2点鎖線を参照)よりも大きな略矩形であり、面状部31b2は撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っている。前記寸法例に準じて補足すれば、面状部31b2の厚さは配線部31b1と同じで例えば5〜25μmの範囲内にあり、絶縁部31の表面(上面)との距離(深さ)は例えば10〜30μmの範囲内にある。また、面状部31b2がグランド配線31bの一部を構成していることから、面状部31b2のヤング率(縦弾性係数)は絶縁部31(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。この面状部31b2は、絶縁部31における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たす。
図10にはビア部31b3の数を2つとしたものを示したが、なるべく多くのビア部31b3を面状部31b2に設けて導体ビア31cと別のグランド配線31bに接続することが好ましい。
【0052】
〈
図9に示したカメラモジュールによって得られる効果〉
(E31)
図9に示したカメラモジュールは、基板30の絶縁部31の内部に、該絶縁部31における撮像素子15が装着された面の変形を抑制するための面状部31b2が、絶縁部31の表面(上面)に装着された撮像素子15と向き合うように埋設されている。依って、携帯電話やスマートフォン等のモバイル機器に組み込まれたカメラモジュールの基板30、特に撮像素子15が装着された絶縁部31に落下衝撃や熱衝撃等に伴う応力が伝搬しても、該応力によって絶縁部31における撮像素子15が装着された面に撓みや捻れ等の変形が生じることを面状部31b2により抑制して、該変形に起因して例えば撮像素子15とレンズ21aとに光軸ズレが発生して画像偏りや画像乱れ等の機能障害が発生することを回避できる。
【0053】
(E32)
図9に示したカメラモジュールは、面状部31b2が撮像素子15の装着面(下面)と略平行に向き合っており、しかも、面状部31b2のヤング率が絶縁部31(合成樹脂製部分を指す)のヤング率よりも高値である。依って、絶縁部31における撮像素子15が装着された面に対する変形抑制作用をより的確に発揮して、先に述べた機能障害発生をより確実に回避できる。
【0054】
(E33)
図9に示したカメラモジュールは、面状部31b2がグランド配線31bと同じ導電性材料から成り、該面状部31b2がグランド配線31bの一部を構成している。依って、絶縁部31の内部にグランド配線31bをパターニングするときに面状部31b2を同時に作製できることから、面状部31b2の作製にコストがかからない。
【0055】
〈面状部の変形例〉
(M31)
図10には面状部31b2に配線部31b1及びビア部31b3が付帯したものを示したが、
図11(A)に示したように配線部31b1を排除した場合でも前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。
【0056】
(M32)
図10には面状部31b2の輪郭が撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも大きなものを示したが、
図11(B)に示したように面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、加えて、
図11(A)に示した面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。勿論、面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E31〜E33と略同様の効果を期待できる。
【0057】
(M33)
図10には面状部31b2が導体ビア31b3を通じて導体ビア31cと別のグランド配線31bに接続されたものを示したが、
図12に示したように導体ビア31b3を排除した場合でも、加えて、
図11(B)に示したものから導体ビア31b3及び矩形状張り出し部分を排除した場合でも、前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。また、この導体ビア31b3を排除する場合に関しては、面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E31〜E33と略同様の効果を期待できる。
【0058】
(M34)図示を省略したが、
図10に示したものから配線部31b1及び導体ビア31b3を排除した面状部31b2のみ、即ち、グランド配線にはならない単なる面状部31b2のみを埋設した場合でも、加えて、該面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭と略一致させた場合でも、要するに、面状部31b2が絶縁部31に埋設されたグランド配線等と非接触で孤立していても、前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。また、このグランド配線にはならない単なる面状部31b2のみを埋設する場合に関しては、面状部31b2の輪郭を撮像素子15の装着面(下面)の輪郭よりも多少小さくしても前記E31〜E33と略同様の効果を期待できる。
【0059】
(M35)図示を省略したが、前記M24で説明したようなグランド配線にはならない単なる面状部31b2のみを埋設する場合には、該面状部31b2の材料は必ずしも導電性材料である必要はない。例えば、絶縁部31(合成樹脂部分を指す)のヤング率よりもヤング率が高値であるセラミックスやガラス等の非導電性材料から成る面状部相当物を絶縁部31の内部に埋設するようにしても、前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。
【0060】
(M36)図示を省略したが、
図10に示した面状部31b2並びに前記M31〜M35で説明した面状部31b2は、絶縁部31における撮像素子15が装着された面の変形を抑制する役目を果たせるものであれば、シグナル配線を通過させるためのスリットや導体ビアを配置するための貫通孔を有するものであっても前記E31〜E33と同様の効果を発揮できる。