【実施例】
【0051】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
【0052】
<ポリウレタン(A)の調製>
(合成例1:ポリウレタン1の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル187gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.5gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール187gで希釈して、イソホロンジアミン62.6gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン1を含有する樹脂溶液1を得た。得られた樹脂溶液1の粘度は200mPa・s/20℃、二重結合当量は162g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン1の重量平均分子量は3900であった。
【0053】
(合成例2:ポリウレタン2の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル174gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)46.4g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート72.4gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール174gで希釈して、イソホロンジアミン31.3gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン2を含有する樹脂溶液2を得た。得られた樹脂溶液2の粘度は160mPa・s/20℃、二重結合当量は145g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン2の重量平均分子量は3500であった。
【0054】
(合成例3:ポリウレタン3の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)20.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)63.3g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート98.7gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン64.1gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン3を含有する樹脂溶液3を得た。得られた樹脂溶液3の粘度は280mPa・s/20℃、二重結合当量は168g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン3の重量平均分子量は4500であった。
【0055】
(合成例4:ポリウレタン4の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル191gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート86.9g、及び2−ヒドロキシエチルアクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの重合体、Laromer LR9000(BASF社製、両末端イソシアネートプレポリマー、NCO%=15.1)を20.4g仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール191gで希釈して、イソホロンジアミン62.6gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン4を含有する樹脂溶液4を得た。得られた樹脂溶液4の粘度は240mPa・s/20℃、二重結合当量は162g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン4の重量平均分子量は4000であった。
【0056】
(比較合成例1:ポリウレタン5の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.6g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.1gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン62.4gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン5を含有する樹脂溶液5を得た。得られた樹脂溶液5の粘度は200mPa・s/20℃、二重結合当量は161g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン5の重量平均分子量は3800であった。
【0057】
(比較合成例2:ポリウレタン6の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル170gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)37.1g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート57.7gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール170gで希釈して、イソホロンジアミン12.5gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン6を含有する樹脂溶液6を得た。得られた樹脂溶液6の粘度は60mPa・s/20℃、二重結合当量は133g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン6の重量平均分子量は1800であった。
【0058】
(比較合成例3:ポリウレタン7の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、水酸基とメタクリロオキシ基を含有する化合物(エポキシエステル40EM、共栄社化学社製、分子量346)400gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル251gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)272.3gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール251gで希釈して、イソホロンジアミン78.7gを徐々に滴下して、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。酢酸エチルとイソプロピルアルコールの質量比が1:1、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン7を含有する樹脂溶液7を得た。得られた樹脂溶液6の粘度は160dPa・s/20℃、二重結合当量は327g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン7の重量平均分子量は15,000であった。なお、使用した水酸基とメタクリロオキシ基を含有する化合物(エポキシエステル40EM)の構造を以下に示す。
【0059】
【0060】
(比較合成例4:ポリウレタン8の合成)
撹拌機、還流冷却管、温度計、空気吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を空気で置換しながら、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合体(水酸基価102.9mgKOH/g)400.0gと、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)3.0gを仕込んだ。次いで、溶剤として酢酸エチル186gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)61.9g、及び4,4’−メチレンビス−シクロヘキシルジイソシアネート96.5gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して75℃で4時間反応させ、プレポリマーを得た。次いで、30℃まで冷却してイソプロピルアルコール186gで希釈して、イソホロンジアミン18.8g(当量の30%)を徐々に滴下した。その後、固形分が40%となるまで希釈して、ポリウレタン8を含有する樹脂溶液8を得た。得られた樹脂溶液8の粘度は45mPa・s/20℃、二重結合当量は148g/eq.であった。また、GPCにより測定したポリウレタン8の重量平均分子量は1500であった。
【0061】
上記の合成例で用いた各成分の配合(組成)、得られた各ポリウレタンの重量平均分子量及び二重結合当量を表1に示す。
【0062】
【0063】
<クリヤー層用塗料の調製>
(クリヤー層用塗料1)
合成例1で得た樹脂溶液1 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料1を得た。
【0064】
(クリヤー層用塗料2)
合成例2で得た樹脂溶液2 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料2を得た。
【0065】
(クリヤー層用塗料3)
合成例3で得た樹脂溶液3 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料3を得た。
【0066】
(クリヤー層用塗料4)
合成例4で得た樹脂溶液4 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%のクリヤー層用塗料4を得た。
【0067】
(比較クリヤー層用塗料1)
比較合成例1で得た樹脂溶液5 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料1を得た。
【0068】
(比較クリヤー層用塗料2)
比較合成例2で得た樹脂溶液6 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料2を得た。
【0069】
(比較クリヤー層用塗料3)
比較合成例3で得た樹脂溶液7 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料3を得た。
【0070】
(比較クリヤー層用塗料4)
比較合成例4で得た樹脂溶液8 100gに対して、光重合開始剤(商品名「イルガキュア184」、BASF社製)2gを配合し、酢酸エチルとイソプロパノールを質量比1:1の比率で配合して、固形分40%の比較クリヤー層用塗料4を得た。
【0071】
上記のクリヤー層用塗料を調製する際に用いた各成分の配合を表2に示す。
【0072】
【0073】
<接着層用樹脂組成物の調製>
(接着層用樹脂組成物1)
変性ポリオレフィン(商品名「アウローレン 150S」、日本製紙ケミカル社製)を、メチルシクロヘキサンとMEKを9:1の質量比で含有する混合溶媒に溶解させ、固形分15%としたものを接着層用樹脂組成物1とした。
【0074】
(接着層用樹脂組成物2)
接着層用樹脂組成物1 100gに黒顔料分散着色剤(商品名「セイカセブンSS01−323ブラック」、大日精化工業社製、固形分25%、溶剤:MEK、顔料:カーボンブラック)20.0g、溶剤としてMEKとシクロヘキサノンを質量比1:1の比率で配合して、固形分30%の接着層用樹脂組成物2を得た。
【0075】
(接着層用樹脂組成物3)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素で置換しながら、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(商品名「プラクセルCD220」、ダイセル化学工業社製、末端官能基定量による数平均分子量=2,000)400.0g、1,4−ブタンジオール10.0g、を仕込んだ。次いで、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)118gを仕込んだ。系内が均一となった後、50℃でイソホロンジイソシアネート62.2gを仕込み、触媒としてジブチルチンラウリレートを使用して80℃で反応させた。溶剤希釈により反応液の粘度を調整し、赤外吸収スペクトル分析で測定される遊離イソシアネート基による2,270cm
-1の吸収が消失するまで反応を進行させた。MEKとシクロヘキサノンの質量比が1:1となるまでシクロヘキサノンを添加して、ポリウレタンを含有する接着層用樹脂組成物3を得た。得られた接着層用樹脂組成物3の粘度は610dPa・s/20℃、固形分は55%であった。また、接着層用樹脂組成物3に含まれるポリウレタンのGPCにより測定した重量平均分子量は21,000であった。
【0076】
(接着層用樹脂組成物4)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、及びマンホールを備えた反応容器を用意した。反応容器の内部を窒素ガスで置換した後、メチルエチルケトン(MEK)100g、メタクリル酸メチル50.0gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。アクリル酸ブチル50.0g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)2gの混合物を用意した。混合物の半分を反応容器内に添加し、残りの半分を滴下ロートで1時間かけて反応容器内に滴下した。滴下後、そのままの状態で6時間反応させて、アクリル重合体からなる接着層用樹脂組成物4を得た。得られた接着層用樹脂組成物4の粘度は80dPa・s/20℃、固形分は55%であった。また、接着層用樹脂組成物4に含まれるアクリル重合体のGPCにより測定した重量平均分子量は35,000であった。
【0077】
<機能性成型シートの作製>
(実施例1)
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例1)を得た。
【0078】
(実施例2)
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に、UVインクジェットプリンターを使用して、UV反応性モノマー、顔料、及び開始剤を含有するUVインクを塗布して絵柄を印刷して意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例2)を得た。
【0079】
(実施例3)
基材シートとなるガードフィルムとして、厚さ200μmの非晶質PETフィルム(商品名「ノバクリア」、三菱化学社製)を用意した。このガードフィルムの表面にバーコーターでクリヤー層用塗料1を塗工した後、90℃で2分乾燥して厚さ15μmのクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層の表面に、蒸着法によりアルミニウムの薄膜からなる意匠層を形成した。形成した意匠層の表面に接着層用樹脂組成物2をバーコーターで塗工し、90℃で2分乾燥して厚さ20μmの接着層を形成した。形成した接着層の表面にセパレートフィルム(厚さ80μmのPETフィルム)を貼着して、機能性成型シート(実施例3)を得た。
【0080】
(実施例4〜9及び比較例1〜4)
表1に示す種類のクリヤー層用塗料又は比較クリヤー層用塗料を用いてクリヤー層を形成したこと以外は、前述の実施例1の場合と同様にして機能性成型シート(実施例4〜9及び比較例1〜4)を得た。
【0081】
<加飾成型品の作製>
真空成型機(商品名「NGF−0404−S型」、布施真空社製)を使用し、80℃に加温したPP樹脂製の被加飾部材(厚さ3.5mm)表面に100℃に加温した実施例1〜9及び比較例1〜3の機能性成型シートを真空成型によりそれぞれ貼着した。紫外線照射機(商品名「ユニキュア UVC−02512S1AA01」、ウシオ電機社製)を使用し、部材表面に貼着された機能性成型シートに対して積算光量2000mJ/cm
2となるようにUV照射してクリヤー層を硬化させて硬化層を形成して加飾成型品を得た。
【0082】
<評価方法>
(1)三次元成型性(真空成型性)
機能性成型シート(紫外線硬化前)を使用して作製した加飾成型品の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って三次元成型性(真空成型性)を評価した。結果を表3に示す。
◎:クリヤー層及び意匠層に塗膜割れや白化が全く認められず、型の形状に良好に追従した。
○:三次元形状部又は最大延伸部の一部に微細な塗膜割れ又は白化が認められたが、実用上問題ないレベルであった。
△:三次元形状部又は最大延伸部の一部に軽微な塗膜割れ又は白化が認められた。
×:クリヤー層及び意匠層が型の形状に追従できず、塗膜割れ又は白化が認められた。
【0083】
(2)耐ブロッキング性
クリヤー層用塗料及び比較クリヤー層用塗料を、乾燥膜厚が約30μmとなるようにそれぞれPETフィルム上に塗工してクリヤー層を形成した。形成したクリヤー層に無処理のPETフィルムを重ねて、7×7cmの正方形にカットして試料を作製した。作製した試料を硝子板で挟み、荷重20kg/49cm
2の条件下、45℃で1日保存した。25℃まで放冷した後、無処理のPETフィルムをはがした。クリヤー層を目視観察し、以下に示す評価基準に従って耐ブロッキング性を評価した。結果を表3に示す。
○:クリヤー層に著しい変化は生じなかった。
×:ブロッキングによりクリヤー層に破断やウキが生じた。
【0084】
(3)鉛筆硬度
JIS K5400に準拠し、荷重500gの条件で、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)の鉛筆硬度を測定した。結果を表3に示す。
【0085】
(4)耐溶剤性
キシレンを含ませた脱脂綿を使用して、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)を荷重50g/cm
2で50回ラビングした後の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐溶剤性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に著しい変化は認められなかった。
×:硬化層の膨潤又は剥離が認められた。
【0086】
(5)衝撃抵抗性
重さ500gの鋼球を、作製した加飾成型品の表面(紫外線硬化済みの硬化層)に35cmの高さから落球させた後の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って衝撃抵抗性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に割れが認められなかった。
×:硬化層に割れが認められた。
【0087】
(6)耐熱性
作製した加飾成型品(紫外線硬化済み)をオーブンに入れ、120℃で400時間保持する耐熱性試験を行った。試験後の硬化層の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐熱性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層に黄変、チョーキング、ワレ、ヒビ等が生じなかった。
×:硬化層に黄変、チョーキング、ワレ、ヒビ等が生じた。
【0088】
(7)耐加水分解性
作製した加飾成型品(紫外線硬化済み)を加水分解槽に入れ、70℃/95%RHで20週間保持する耐加水分解性試験を行った。試験後の硬化層の外観を観察し、以下に示す評価基準に従って耐加水分解性を評価した。結果を表3に示す。
○:硬化層にワレ、ヒビ等が生じなかった。
×:硬化層にワレ、ヒビ等が生じた。
【0089】
【0090】
表3に示す結果から明らかなように、実施例1〜9の機能性成型シートは、クラックや割れが発生することなく、三次元成型性が良好であった。さらに、実施例1〜9の機能性成型シートを用いて得られた加飾成型品は、耐擦傷性、衝撃抵抗性、耐溶剤性、耐光性、耐熱性、及び耐加水分解性に優れていることが確認された。