特許第6034819号(P6034819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

▶ アズビル株式会社の特許一覧
<>
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000002
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000003
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000004
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000005
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000006
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000007
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000008
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000009
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000010
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000011
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000012
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000013
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000014
  • 特許6034819-圧力センサチップ 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034819
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】圧力センサチップ
(51)【国際特許分類】
   G01L 19/06 20060101AFI20161121BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20161121BHJP
   G01L 13/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   G01L19/06 A
   H01L29/84 A
   H01L29/84 B
   G01L13/00 A
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-71064(P2014-71064)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-194342(P2015-194342A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智久
(72)【発明者】
【氏名】石倉 義之
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−190343(JP,A)
【文献】 実開平3−44646(JP,U)
【文献】 実開平1−105840(JP,U)
【文献】 特開昭57−40626(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00−23/32
G01L27/00−27/02
H01L29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、このセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にその周縁部を対面させて接合され、前記センサダイアフラムへ測定圧を導く導圧孔を有する第1および第2の保持部材とを備えた圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材は、
前記導圧孔の周部に連通する非接合領域を内部に有し、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域は、
前記センサダイアフラムの受圧面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けられ、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、
複数の凸部が離散的に形成され、
この複数の凸部と凸部との間の通路が前記導圧孔の周部と前記非接合領域の周端部との間の連通路とされ、
前記第2の保持部材は、
前記センサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該センサダイアフラムの過度な変位を阻止する凹部を備えている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項2】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材の内部には、
前記非接合領域に連続する前記第1の保持部材の肉厚方向へ張り出した環状の溝が形成されている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項3】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材は、
前記非接合領域が設けられた前記センサダイアフラムの受圧面と平行な面で2分割され、
前記2分割された一方の保持部材と他方の保持部材とは、
前記非接合領域が設けられた面の非接合領域を除く領域同士が接合されている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項4】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域に連続する環状の溝は、
前記第1の保持部材の内部の非接合領域に直交する断面形状が円弧部分を含んでいる
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項5】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記センサダイアフラムは、
前記一方の面が高圧側の測定圧の受圧面とされ、
前記他方の面が低圧側の測定圧の受圧面とされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【請求項6】
請求項1に記載された圧力センサチップにおいて、
前記第1の保持部材は、
前記センサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該センサダイアフラムの過度な変位を阻止する凹部を備え、
前記第2の保持部材は、
前記導圧孔の周部に連通する非接合領域を内部に有し、
前記第2の保持部材の内部の非接合領域は、
前記センサダイアフラムの受圧面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けられ、
前記第2の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、
複数の凸部が離散的に形成され、
この複数の凸部と凸部との間の通路が前記導圧孔の周部と前記非接合領域の周端部との間の連通路とされている
ことを特徴とする圧力センサチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた圧力センサチップ、例えば圧力を受けて変位する薄板状のダイアフラム上に歪抵抗ゲージを形成し、ダイアフラムに形成された歪抵抗ゲージの抵抗値変化からダイアフラムに加わった圧力を検出する圧力センサチップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、工業用の差圧センサとして、一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムを用いた圧力センサチップを組み込んだ差圧センサが用いられている。
【0003】
この差圧センサは、高圧側および低圧側の受圧ダイアフラムに加えられる各測定圧を、圧力伝達媒体としての封入液によってセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に導き、そのセンサダイアフラムの歪みを例えば歪抵抗ゲージの抵抗値変化として検出し、この抵抗値変化を電気信号に変換して取り出すように構成されている。
【0004】
このような差圧センサは、例えば石油精製プラントにおける高温反応塔等の被測定流体を貯蔵する密閉タンク内の上下2位置の差圧を検出することにより、液面高さを測定するときなどに用いられる。
【0005】
図12に従来の差圧センサの概略構成を示す。この差圧センサ100は、センサダイアフラム(図示せず)を有する圧力センサチップ1をメータボディ2に組み込んで構成される。圧力センサチップ1におけるセンサダイアフラムは、シリコンやガラス等からなり、薄板状に形成されたダイアフラムの表面に歪抵抗ゲージが形成されている。メータボディ2は、金属製の本体部3とセンサ部4とからなり、本体部3の側面に一対の受圧部をなすバリアダイアフラム(受圧ダイアフラム)5a,5bが設けられ、センサ部4に圧力センサチップ1が組み込まれている。
【0006】
メータボディ2において、センサ部4に組み込まれた圧力センサチップ1と本体部3に設けられたバリアダイアフラム5a,5bとの間は、大径のセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介してそれぞれ連通され、圧力センサチップ1とバリアダイアフラム5a,5bとを結ぶ連通路8a,8bにシリコーンオイル等の圧力伝達媒体9a,9bが封入されている。
【0007】
なお、シリコーンオイル等の圧力媒体が必要となるのは、センサダイアフラムに対する計測媒体中の異物付着を防ぐこと、センサダイアフラムを腐食させないため、耐食性を持つ受圧ダイアフラムと応力(圧力)感度を持つセンサダイアフラムとを分離する必要があるためである。
【0008】
この差圧センサ100では、図13(a)に定常状態時の動作態様を模式的に示すように、プロセスからの第1の流体圧力(第1の測定圧)Paがバリアダイアフラム5aに印加され、プロセスからの第2の流体圧力(第2の測定圧)Pbがバリアダイアフラム5bに印加される。これにより、バリアダイアフラム5a,5bが変位し、その加えられた圧力Pa,Pbがセンタダイアフラム6により隔離された圧力緩衝室7a,7bを介し、圧力伝達媒体9a,9bを通して、圧力センサチップ1のセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にそれぞれ導かれる。この結果、圧力センサチップ1のセンサダイアフラムは、その導かれた圧力Pa,Pbの差圧ΔPに相当する変位を呈することになる。
【0009】
これに対して、例えば、バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わると、図13(b)に示すようにバリアダイアフラム5aが大きく変位し、これに伴ってセンタダイアフラム6が過大圧Poverを吸収するように変位する。そして、バリアダイアフラム5aがメータボディ2の凹部10aの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5aを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。バリアダイアフラム5bに過大圧Poverが加わった場合も、バリアダイアフラム5aに過大圧Poverが加わった場合と同様にして、バリアダイアフラム5bがメータボディ2の凹部10bの底面(過大圧保護面)に着底し、その変位が規制されると、バリアダイアフラム5bを介するセンサダイアフラムへのそれ以上の差圧ΔPの伝達が阻止される。この結果、過大圧Poverの印加による圧力センサチップ1の破損、すなわち圧力センサチップ1におけるセンサダイアフラムの破損が未然に防止される。
【0010】
この差圧センサ100では、メータボディ2に圧力センサチップ1を内包させているので、プロセス流体など外部腐食環境から圧力センサチップ1を保護することができる。しかしながら、センタダイアフラム6やバリアダイアフラム5a,5bの変位を規制するための凹部10a,10bを備え、これらによって圧力センサチップ1を過大圧Poverから保護する構造をとっているので、その形状が大型化することが避けられない。
【0011】
そこで、圧力センサチップに第1のストッパ部材および第2のストッパ部材を設け、この第1のストッパ部材および第2のストッパ部材の凹部をセンサダイアフラムの一方の面および他方の面に対峙させることによって、過大圧が印加された時のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止し、これによってセンサダイアフラムの破損・破壊を防止する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
図14に特許文献1に示された構造を採用した圧力センサチップの概略を示す。同図において、11−1はセンサダイアフラム、11−2および11−3はセンサダイアフラム11−1を挟んで接合された第1および第2のストッパ部材、11−4および11−5はストッパ部材11−2および11−3に接合された第1および第2の台座である。ストッパ部材11−2,11−3や台座11−4,11−5はシリコンやガラスなどにより構成されている。
【0013】
この圧力センサチップ11において、ストッパ部材11−2,11−3には凹部11−2a,11−3aが形成されており、ストッパ部材11−2の凹部11−2aをセンサダイアフラム11−1の一方の面に対峙させ、ストッパ部材11−3の凹部11−3aをセンサダイアフラム11−1の他方の面に対峙させている。凹部11−2a,11−3aは、センサダイアフラム11−1の変位に沿った曲面(非球面)とされており、その頂部に圧力導入孔(導圧孔)11−2b,11−3bが形成されている。また、台座11−4,11−5にも、ストッパ部材11−2,11−3の導圧孔11−2b,11−3bに対応する位置に、圧力導入孔(導圧孔)11−4a,11−5aが形成されている。
【0014】
このような圧力センサチップ11を用いると、センサダイアフラム11−1の一方の面に過大圧が印加されてセンサダイアフラム11−1が変位したとき、その変位面の全体がストッパ部材11−3の凹部11−3aの曲面によって受け止められる。また、センサダイアフラム11−1の他方の面に過大圧が印加されてセンサダイアフラム11−1が変位したとき、その変位面の全体がストッパ部材11−2の凹部11−2aの曲面によって受け止められる。
【0015】
これにより、センサダイアフラム11−1に過大圧が印加された時の過度な変位が阻止され、センサダイアフラム11−1の周縁部に応力集中が生じないようにして、過大圧の印加によるセンサダイアフラム11−1の不本意な破壊を効果的に防ぎ、その過大圧保護動作圧力(耐圧)を高めることが可能となる。また、図12に示された構造において、センタダイアフラム6や圧力緩衝室7a,7bをなくし、バリアダイアフラム5a,5bからセンサダイアフラム11−1に対して直接的に測定圧Pa,Pbを導くようにして、メータボディ2の小型化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2005−69736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、図14に示された圧力センサチップ11の構造において、ストッパ部材11−2および11−3は、センサダイアフラム11−1の一方の面および他方の面に、その周縁部11−2cおよび11−3cの全面を接合させている。すなわち、ストッパ部材11−2の凹部11−2aを囲む周縁部11−2cをセンサダイアフラム11−1の一方の面に対面させ、この対面する周縁部11−2cの全領域をセンサダイアフラム11−1の一方の面に直接接合している。また、ストッパ部材11−3の凹部11−3aを囲む周縁部11−3cをセンサダイアフラム11−1の他方の面に対面させ、この対面する周縁部11−3cの全領域をセンサダイアフラム11−1の他方の面に直接接合している。
【0018】
このような構造の場合、ストッパ部材11−2による過大圧保護動作圧力(耐圧)を越える過大な圧力が印加されると、センサダイアフラム11−1が撓んでストッパ部材11−2の凹部11−2aに着底した後、この状態でセンサダイアフラム11−1はストッパ部材11−2とともに更に撓む。すると、引っ張り応力が最も発生する圧力が印加された側のセンサダイアフラム11−1のエッジ付近(図14中の一点鎖線で囲んだ部位)が両面とも拘束状態にあるため、その箇所に応力集中が発生し、期待される耐圧が確保できないという問題があった。
【0019】
更に、ストッパ部材11−2,11−3の凹部11−2a,11−3aの開口サイズに製作上のズレがあると、センサダイアフラム11−1の拘束箇所に位置ずれが生じるため、その影響で応力集中がより顕著になる場合がある。この場合、センサダイアフラム11−1の着底異常に伴う応力集中も重なり、更なる耐圧低下となってしまう虞がある。
【0020】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、センサダイアフラムの拘束による応力発生を低減し、ダイアフラムエッジへの応力集中を防いで、期待される耐圧を確保することが可能な圧力センサチップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このような目的を達成するために本発明は、一方の面および他方の面に受ける圧力差に応じた信号を出力するセンサダイアフラムと、このセンサダイアフラムの一方の面および他方の面にその周縁部を対面させて接合され、センサダイアフラムへ測定圧を導く導圧孔を有する第1および第2の保持部材とを備えた圧力センサチップにおいて、第1の保持部材は、導圧孔の周部に連通する非接合領域を内部に有し、第1の保持部材の内部の非接合領域は、センサダイアフラムの受圧面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けられ、第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、複数の凸部が離散的に形成され、この複数の凸部と凸部との間の通路が導圧孔の周部と非接合領域の周端部との間の連通路とされ、第2の保持部材は、センサダイアフラムに過大圧が印加された時の当該センサダイアフラムの過度な変位を阻止する凹部を備えていることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、センサダイアフラムの一方の面に高圧の測定圧がかかった場合、センサダイアフラムは第2の保持部材側に撓み、ダイアフラムエッジに開きが生じようとする。この場合、本発明では、第1の保持部材の内部に設けられている非接合領域に導圧孔を通して測定圧が導かれるので、この非接合領域が測定圧の受圧面となって、第1の保持部材を第2の保持部材およびダイアフラムと同じ方向に撓んで追従変形させることにより、ダイアフラムエッジに開きを生じさせないようにする。これにより、センサダイアフラムの拘束による応力発生が低減され、ダイアフラムへの応力集中が防がれる。
【0023】
また、第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上には、複数の凸部が離散的に形成され、この複数の凸部と凸部との間の通路が導圧孔の周部と非接合領域の周端部との間の連通路とされるているので、通常用いられるオイル等の圧力伝達媒体の封入が容易となり、かつ圧力伝達媒体の伝達抵抗を下げることにより、伝達速度差による動作不良の影響を無くし、かつ、逆側からの圧力印加に対しては凸部の面積を最適設計することにより、耐圧確保することが可能となる。
【0024】
また、本発明において、第1の保持部材の内部に、非接合領域に連続する第1の保持部材の肉厚方向へ張り出した環状の溝を形成するようにすると、この非接合領域に連続する環状の溝の内部に応力が分散されるものとなり、さらに高耐圧とすることが可能となる。
【0025】
本発明において、センサダイアフラム上で高圧側の測定圧を受ける面が必ず決まっている場合には、センサダイアフラムの一方の面を高圧側の測定圧の受圧面とし、他方の面を低圧側の測定圧の受圧面とする。すなわち、センサダイアフラム上で高圧側の測定圧を受ける面が必ず決まっている場合には、センサダイアフラムの一方の面を高圧側の測定圧の受圧面とし、第1の保持部材の内部の非接合領域に導圧孔を通して高圧側の測定圧が導かれるようにする。
【0026】
本発明において、第1の保持部材にもセンサダイアフラムに過大圧が印加された時のセンサダイアフラムの過度な変位を阻止する凹部を備えたうえ、第2の保持部材についても、第1の保持部材と同様にして、非接合領域を内部に設けるようにしてもよい。この場合、第1の保持部材の内部の非接合領域と同様に、第2の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上にも、複数の凸部を離散的に形成し、この複数の凸部と凸部との間の通路を導圧孔の周部と非接合領域の周端部との間の連通路とするようにする。
【0027】
このようにすると、センサダイアフラムのどちらの面が高圧側の測定圧の受圧面となっても、ダイアフラムエッジに開きを生じさせないようにして、センサダイアフラムの拘束による応力発生を低減し、ダイアフラムエッジへの応力集中を防ぐことが可能となる。また、センサダイアフラムのどちらの面でも、通常用いられるオイル等の圧力伝達媒体の封入が容易となり、かつ圧力伝達媒体の伝達抵抗を下げることにより、伝達速度差による動作不良の影響を無くし、かつ、逆側からの圧力印加に対しては凸部の面積を最適設計することにより、耐圧確保することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、第1の保持部材の内部に導圧孔の周部に連通する非接合領域を設け、この第1の保持部材の内部の非接合領域をセンサダイアフラムの受圧面と平行な面の一部を対向する第1の面と第2の面とに分けた領域として設けるようにしたので、第1の保持部材の内部の非接合領域が受圧面となって、第1の保持部材に加わる逆方向への力を抑制し、ダイアフラムエッジに開きを生じさせないようにして、センサダイアフラムの拘束による応力の発生を低減し、ダイアフラムエッジへの応力集中を防ぎ、期待される耐圧を確保することが可能となる。
【0029】
また、本発明によれば、第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面および第2の面の少なくとも一方の面上に、複数の凸部を離散的に形成し、この複数の凸部と凸部との間の通路を導圧孔の周部と非接合領域の周端部との間の連通路とするようにしたので、通常用いられるオイル等の圧力伝達媒体の封入が容易となり、かつ圧力伝達媒体の伝達抵抗を下げることにより、伝達速度差による動作不良の影響を無くし、かつ、逆側からの圧力印加に対しては凸部の面積を最適設計することにより、耐圧確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明に係る圧力センサチップの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略を示す図である。
図2】この圧力センサチップにおけるストッパ部材の内部の非接合領域の第1の面上に離散的に形成された複数の凸部の形状を示す平面図である。
図3】この圧力センサチップにおけるストッパ部材の内部の非接合領域の第1の面上に離散的に形成された複数の凸部の形状の他の例を示す平面図である。
図4】この圧力センサチップにおいてセンサダイアフラムがストッパ部材の凹部に着底した後の状態を示す図である。
図5】この圧力センサチップにおける第1の保持部材の内部の非接合領域の第2の面上に複数の凸部を離散的に形成するようにした例を示す図である。
図6】この圧力センサチップにおける第1の保持部材の内部の非接合領域の対向する第1の面と第2の面の両方の面上に複数の凸部を離散的に形成するようにした例を示す図である。
図7】本発明に係る圧力センサチップの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略を示す図である。
図8】実施の形態2の圧力センサチップにおいてストッパ部材の内部の環状の溝をスリット状(矩形状断面)の環状溝とした例を示す図である。
図9】実施の形態2の圧力センサチップにおいてセンサダイアフラムがストッパ部材の凹部に着底した後の状態を示す図である。
図10】本発明に係る圧力センサチップの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略を示す図である。
図11】本発明に係る圧力センサチップの第4の実施の形態(実施の形態4)の概略を示す図である。
図12】従来の差圧センサの概略構成を示す図である。
図13】この差圧センサの動作態様を模式的に示す図である。
図14】特許文献1に示された構造を採用したセンサチップの概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0032】
〔実施の形態1〕
図1はこの発明に係る圧力センサチップの第1の実施の形態(実施の形態1)の概略を示す図である。同図において、図14と同一符号は図14を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。なお、この実施の形態では、圧力センサチップを符号11Aで示し、図14に示された圧力センサチップ11と区別する。
【0033】
この圧力センサチップ11Aにおいて、ストッパ部材11−2は、導圧孔11−2bの周部に連通する非接合領域SAを内部に有している。この非接合領域SAは、センサダイアフラム11−1の受圧面と平行な面PLの一部を対向する第1の面PL1と第2の面PL2とに分けた領域として設けられている。
【0034】
また、この非接合領域SAの対向する第1の面PL1およびPL2の少なくとも一方の面(この例では、第1の面PL1)上には、複数の凸部(柱)12が離散的に形成されており(図2参照)、この複数の凸部12と凸部12との間の通路(溝)13が導圧孔11−2bの周部と非接合領域SAの周端部14との間の連通路とされている。この例において、凸部12は円柱状とされているが、図3に示すように、六角柱状とするなどしてもよい。
【0035】
この例において、ストッパ部材11−2は、センサダイアフラム11−1の受圧面と平行な面PLで2分割されており、この2分割された一方のストッパ部材11−21と他方のストッパ部材11−22とを、非接合領域SAが設けられた面PLの非接合領域SAを除く領域SB同士を接合することにより1つのストッパ部材11−2としている。これにより、センサダイアフラム11−1の受圧面と平行な面PLは、導圧孔11−2bの周部に連通する非接合領域SAと、導圧孔11−2bの周部には連通しない接合領域SBとに分けられている。
【0036】
この圧力センサチップ11Aにおいて、測定圧Paを高圧側の測定圧とし、測定圧Pbを低圧側の測定圧とした場合、センサダイアフラム11−1の一方の面に高圧側の測定圧Paがかかると、センサダイアフラム11−1はストッパ部材11−3側に撓む。この際、ストッパ部材11−2にはセンサダイアフラム11−1が撓んだ方向とは反対側に力が加わり、ダイアフラムエッジ(図中点Gで示す箇所)に開きが生じようとする。なお、以下の説明では、図1において、センサダイアフラム11−1が撓んだ方向を上方向、撓んだ方向とは反対側を下方向と呼ぶ。
【0037】
この場合、本実施の形態では、ストッパ部材11−2の内部に設けられている非接合領域SAに導圧孔11−2bを通して測定圧Paが導かれるので、この非接合領域SAが測定圧Paの受圧面となって、ストッパ部材11−2に加わる下方向への力を抑制し、ダイアフラムエッジに開きを生じさせないようにする。これにより、センサダイアフラム11−1の拘束による応力発生が低減され、ダイアフラムエッジへの応力集中が防がれる。
【0038】
また、ストッパ部材11−2の内部の非接合領域SAの第1の面PL1の面上には、複数の凸部12が離散的に形成され、この複数の凸部12と凸部12との間の通路13が導圧孔11−2bの周部と非接合領域SAの周端部14との間の連通路とされているので、通常用いられるオイル等の圧力伝達媒体の封入が容易となり、かつ圧力伝達媒体の伝達抵抗を下げることにより、伝達速度差による動作不良の影響を無くし、かつ、逆側からの圧力印加に対しては凸部12の面積を最適設計することにより、耐圧確保することが可能となる。
【0039】
この圧力センサチップ11Aにおいて、非接合領域SAは、センサダイアフラム11−1がストッパ部材11−3の凹部11−3aに着底した後、過大圧が大きくなったような場合、さらに大きな効果を発揮する。
【0040】
図4にセンサダイアフラム11−1がストッパ部材11−3の凹部11−3aに着底した後の状態を示す。センサダイアフラム11−1の一方の面に過大圧がかかると、センサダイアフラム11−1はストッパ部材11−3側に撓み、ストッパ部材11−3の凹部11−3aに着底する。このセンサダイアフラム11−1の凹部11−3aへの着底後、過大圧が大きくなると、ストッパ部材11−2に加わる下方向への力により、ストッパ部材11−2が変形し、ダイアフラムエッジに開きが生じようとする。
【0041】
この場合、本実施の形態では、ストッパ部材11−2の内部に設けられている非接合領域SAにも、導圧孔11−2bを通して複数の凸部12と凸部12の間の通路13内に満遍なく過大圧が導かれるので、この非接合領域SAが過大圧の受圧面となって、ストッパ部材11−21に上方向への力を加え、ストッパ部材11−21の変形を抑制、もしくは逆方向に変形させる。図4の例では、ダイアフラム11−1の上方向への変形に追従する形で、ストッパ部材11−21を上方向へ変形させている。
【0042】
これにより、センサダイアフラム11−1のストッパ部材11−3の凹部11−3aへの着底後、過大圧が大きくなっても、ダイアフラムエッジに開きが生じず、ダイアフラムエッジへの応力集中が避けられ、期待される耐圧が確保される。
【0043】
なお、本実施の形態において、ストッパ部材11−2の内部に設ける非接合領域SAの面積は、すなわちストッパ部材11−2の内部の受圧面積は、ストッパ部材11−2の下方向への変形を抑制、もしくは逆方向に変形させるために、ストッパ部材11−2の凹部11−2aの受圧面積よりも十分大きな面積とすることが望ましい。
【0044】
また、本実施の形態では、ストッパ部材11−2の内部の非接合領域SAの第1の面PL1の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしたが、第2の面PL2の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしてもよく(図5参照)、第1の面PL1と第2の面PL2の両方の面上に複数の凸部12を離散的に形成するようにしてもよい(図6参照)。
【0045】
〔実施の形態2〕
図7にこの発明に係る圧力センサチップの第2の実施の形態(実施の形態2)の概略を示す。この実施の形態2の圧力センサチップ11Bでは、ストッパ部材11−2の内部に、非接合領域SAに連続するストッパ部材11−3の肉厚方向へ張り出した環状の溝11−2dを形成している。この環状の溝11−2dは、離散的に分断された溝ではなく、連続した溝であり、溝断面の径を大きくすることが望ましい。
【0046】
なお、図7に示した例では、環状の溝11−2dの非接合領域SAに直交する断面形状を円形としているが、必ずしも円形としなくてもよく、図8に示すようにスリット状(矩形)とするなどしてもよい。図9にこの圧力センサチップ11Bにおいてセンサダイアフラム11−1がストッパ部材11−3の凹部11−3aに着底した後の状態を示す。このような環状の溝11−2dを形成することにより、この環状の溝11−2dの内部に応力が分散されるものとなり、さらに高耐圧とすることが可能となる。
【0047】
〔実施の形態3〕
図10にこの発明に係る圧力センサチップの第3の実施の形態(実施の形態3)の概略を示す。この実施の形態3の圧力センサチップ11Cは、実施の形態2の圧力センサチップ11Bと同様に、ストッパ部材11−2の内部に非接合領域SAと、この非接合領域SAに連続する環状の溝11−2dとを備えているが、以下の点で実施の形態2の圧力センサチップ11Bとは異なっている。
【0048】
この圧力センサチップ11Cにおいて、ストッパ部材11−2の周縁部11−2cは、センサダイアフラム11−1の一方の面と対面する領域S1のうち、外周側の領域S1aがセンサダイアフラム11−1の一方の面との接合領域とされ、内周側の領域S1bがセンサダイアフラム11−1の一方の面との非接合領域とされている。
【0049】
また、ストッパ部材11−3の周縁部11−3cは、センサダイアフラム11−1の他方の面と対面する領域S2のうち、外周側の領域S2aがセンサダイアフラム11−1の他方の面との接合領域とされ、内周側の領域S2bがセンサダイアフラム11−1の他方の面との非接合領域とされている。
【0050】
ストッパ部材11−2の周縁部11−2cの外周側の領域S1aは、センサダイアフラム11−1の一方の面に直接接合されることによって接合領域とされ、ストッパ部材11−3の周縁部11−3cの外周側の領域S2aは、センサダイアフラム11−1の他方の面に直接接合されることによって接合領域とされている。
【0051】
ストッパ部材11−2の周縁部11−2cの内周側の領域S1bは、プラズマや薬液などにより表面を荒らすなどして、センサダイアフラム11−1の一方の面に接してはいるが、接合はされてない非接合領域とされている。ストッパ部材11−3の周縁部11−3cの内周側の領域S2bも、プラズマや薬液などにより表面を荒らすなどして、センサダイアフラム11−1の他方の面に接してはいるが、接合はされてない非接合領域とされている。
【0052】
この圧力センサチップ11Cでは、センサダイアフラム11−1の下面の非接合領域S1bより更に内側がダイアフラムの感圧領域D1とされ、同様に、センサダイアフラム11−1の上面の非接合領域S2bより更に内側がダイアフラムの感圧領域D2とされている。このダイアフラムの感圧領域D1ではストッパ部材11−2に対向する面に一方の測定圧Paがかかるとともに、ダイアフラムの感圧領域D2ではストッパ部材11−3に対向する面にもう一方の測定圧Pbがかかる。なお、感圧領域D1及びD2の直径がダイアフラムの有効径である。
【0053】
この圧力センサチップ11Cにおいて、測定圧Paを高圧側の測定圧とし、測定圧Pbを低圧側の測定圧とした場合、センサダイアフラム11−1の下面の感圧領域D1に高圧側の測定圧Paがかかると、センサダイアフラム11−1はストッパ部材11−2の周縁部11−2cとの非接合領域S1bでストッパ部材11−2から拘束による過渡な引っ張り応力が生じることなく撓むことができるので、この部分に生じる応力が低減されるものとなる。
【0054】
また、この圧力センサチップ11Cにおいて、測定圧Pbを高圧側の測定圧とし、測定圧Paを低圧側の測定圧とした場合、センサダイアフラム11−1の上面の感圧領域D2に高圧側の測定圧Pbがかかると、センサダイアフラム11−1はストッパ部材11−3の周縁部11−3cとの非接合領域S2bでストッパ部材11−3から拘束による過渡な引っ張り応力が生じることなく撓むことができるので、この部分に生じる応力が低減されるものとなる。
【0055】
なお、図10に示した例では、ストッパ部材11−2の内部にしか非接合領域SAを設けなかったが、図11に実施の形態4の圧力センサチップ11Dとして示すように、ストッパ部材11−3の内部にも非接合領域SAを設け、この非接合領域SAに連続する環状溝11−3dを設けるようにしてもよい。
【0056】
この場合、ストッパ部材11−3の内部の非接合領域SAもその対向する第1の面PL1およびPL2の少なくとも一方の面(この例では、第1の面PL1)上に、複数の凸部(柱)12を離散的に形成し、この複数の凸部12と凸部12との間の通路(溝)13を導圧孔11−2bの周部と非接合領域SAの周端部14との間の連通路とする。
【0057】
この実施の形態4の圧力センサチップ11Dでは、ストッパ部材11−2の内部に設けた環状溝11−2dとストッパ部材11−3の内部に設けた環状溝11−3dとを同じ断面形状とし、また同じ位置に対向して設けるようにしているが、環状の溝11−2dと11−3dの断面形状を変えるようにしてもよく、環状の溝11−2dと11−3dの横方向の位置を異ならせるようにしてもよい。また、環状の溝11−2dや11−3dの断面形状は、前述した円形やスリット状に限られるものではなく、楕円形としたりするなど、各種の形状が考えられる。
【0058】
また、上述した実施の形態1〜4では、ストッパ部材11−2,11−3に凹部11−2a,11−3aを設けるようしているが、必ずしも凹部11−2a,11−3aを備えていなくてもよく、センサダイアフラム11−1を保持するだけの単なる保持部材であってもよい。このような場合でも、その保持部材内に設けられる非接合領域は、センサダイアフラム11−1が撓んだ方向と反対側の力を加える受圧面として作用する。
【0059】
また、上述した実施の形態では、センサダイアフラム11−1を圧力変化に応じて抵抗値が変化する歪抵抗ゲージを形成したタイプとしているが、静電容量式のセンサチップとしてもよい。静電容量式のセンサチップは、所定の空間(容量室)を備えた基板と、その基板の空間上に配置されたダイアフラムと、基板に形成された固定電極と、ダイアフラムに形成された可動電極とを備えている。ダイアフラムが圧力を受けて変形することで、可動電極と固定電極との間隔が変化してその間の静電容量が変化する。
【0060】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0061】
11C〜11D…圧力センサチップ、11−1…センサダイアフラム、11−2(11−21,11−22),11−3(11−31,11−32)、11−2a,11−3a…凹部、11−2b,11−3b…圧力導入孔(導圧孔)、11−2c,11−3c…周縁部、11−2d,11−3d…環状の溝、11−4,11−5…台座、11−4a,11−5a…圧力導入孔(導圧孔)、SA…非接合領域、SB…接合領域、S1a,S2a…外周側の領域(接合領域)、S1b,S2b…内周側の領域(非接合領域)、D1,D2…感圧領域、PL1…第1の面、PL2…第2の面、12…凸部(柱)、13…通路(溝)、14…周端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14