【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の1つの態様では、
近隣の磁場源によって引き起こされた、トルクセンサからの信号に含まれるノイズを低減するための方法である。同方法は、近隣の磁場源によって引き起こされた、トルクセンサからの信号に含まれるノイズを低減するための方法であって、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材と、前記部材に作用するトルクが比例的に伝達されるような仕方で、前記部材の内面に有効な磁気弾性的活性領域であって、前記トルクが増大するにつれて磁化極性が次第にらせん形状になるように磁気分極した少なくとも1つの領域を含む、前記磁気弾性的活性領域と、前記磁気弾性的活性領域から発生するトルクに依存する磁束に対応する第1の信号を出力するために、前記少なくとも1つの領域に近接して配置された、少なくとも4つの一次磁場センサと、近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する第2の信号を出力するために前記複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間された、少なくとも2つの二次磁場センサと、前記近隣の磁場源から発生する前記周囲磁束に対応する第3の信号を出力するために前記複数の一次磁場センサから所定の第2の距離だけ前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間された、少なくとも2つの二次磁場センサと、を備え、前記一次および二次の磁場センサが、前記長手方向に延びる部材内に配置されており、前記磁場センサが、単一のプリント回路基板上に装着されており、2つの一次磁場センサが、前記プリント回路基板の第1の面に装着され、且つ他方の2つの一次磁場センサが、前記プリント回路基板の、反対側の第2の面に装着されており、前記プリント回路基板の前記第1の面の前記2つの一次磁場センサの位置が、前記第2の面の前記2つの一次磁場センサの位置と目一杯重なり、前記磁場センサは、線対称の水平軸および線対称の縦軸に対して対称的に配置され、前記水平軸及び縦軸は、いずれも前記プリント回路基板の平面内にあり、且つ前記磁場センサの幾何学的な重心において互いに交差するトルクセンサを提供するステップと、前記トルクの作用時に前記第1の信号を受信するステップと、前記第2および第3の信号を受信するステップと、前記第2および第3の信号を用いて前記第1の信号を調整して、前記近隣の磁場源の影響を解消するステップと、を含む。
また、本発明の別の態様は、トルクセンサであって、長手方向に延びる少なくとも一部が中空の部材と、前記部材に作用するトルクが比例的に伝達されるような磁気弾性的活性領域であって、前記トルクが増大するにつれて磁化極性が次第にらせん形状になるように磁気分極した少なくとも1つの領域を含む、前記磁気弾性的活性領域と、前記磁気弾性的活性領域から発生するトルクに依存する磁束に対応する第1の信号を出力するために、前記少なくとも1つの領域に近接して配置され、且つ前記長手方向に延びる部材に対し径方向に位置合わせされた、少なくとも4つの一次磁場センサと、前記複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間された、少なくとも2つの二次磁場センサと、前記複数の一次磁場センサから所定の第2の距離だけ前記第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間された、少なくとも2つの二次磁場センサと、を備え、前記一次および二次の磁場センサが、前記長手方向に延びる部材内に配置されており、前記磁場センサが、単一のプリント回路基板上に装着されており、2つの一次磁場センサが、前記プリント回路基板の第1の面に装着され、且つ他の2つの一次磁場センサが、前記プリント回路基板の、反対側の第2の面に装着されており、前記プリント回路基板の第1の面の前記2つの一次磁場センサの位置が、前記第2の面の前記2つの一次磁場センサの位置と目一杯重なり、前記磁場センサは、線対称の水平軸および線対称の縦軸に対して対称的に配置され、前記水平軸及び縦軸は、いずれも前記プリント回路基板の平面内にあり、且つ前記磁場センサの幾何学的な重心において互いに交差する。
本発明によれば、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材(たとえば中空シャフト)を備えるトルクセンサが、提供される。少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材は、内面を有するキャビティを備えている。部材は、磁気弾性的活性領域を含む。磁気弾性的活性領域は、上記少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材の内面(すなわちキャビティの内側)において影響的である。磁気弾性的活性領域の影響は、上記部材の内側(内面)にある磁場センサによって検出可能である。前記磁気弾性的活性領域は、上記部材に作用するトルクが比例的に当該磁気弾性的活性領域に伝達されるように構成することができる。前記磁気弾性的活性領域は、作用するトルクが増大するにつれて磁化極性が次第にらせん形状になるように磁気分極した少なくとも1つの領域を含む。前記磁気弾性的活性領域から発生するトルクに依存する磁束に対応する第1の信号を出力するための複数の一次磁場センサが、上記少なくとも1つの領域に近接して配置される。近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する第2の信号を出力するための少なくとも1つの二次磁場センサが、上記複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間される。近隣の磁場源から発生する周囲磁場に対応する第3の信号を出力するための少なくとも1つの二次磁場センサが、複数の一次磁場センサから所定の第2の距離だけ、第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間される。また、第2および第3の信号を用いて第1の信号を調整するための手段があり、それによって近隣の磁場源の影響が解消される。一次および二次の磁場センサは、長手方向に延びる部材の内側(すなわち長手方向に延びる部材のキャビティの内側)に配置される。
【0018】
本発明の態様は、少なくとも4つの磁場センサを、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材(たとえばシャフト)の内側であって、しかもシャフトの内面において検出可能に磁化された磁気領域の近くに配置することによって、外部磁場を打ち消すことを目的とする。シャフトの磁気領域は、有利には、3つのセクション、すなわち、中央領域、右側領域、および左側領域からなることができる。第1または一次の組の磁場センサは、中央領域の近くに位置している。少なくとも1つの二次磁場センサは、右側領域の近くに位置している。少なくとも1つの二次磁場センサは、左側領域の近くに位置している。
【0019】
シールドは通常、シャフトを介して伝播する外部磁場を保護または遮蔽するのには不十分であると考えられているが、本発明は、近接磁場の影響が、外部磁場センサを用いるよりも大幅に打ち消されるという驚くべき効果を有する。特に、本発明の態様によるトルクセンサは、0Hz(DC)まで下がった非常に低い周波数を有する磁場の外乱を抑制するのに適している。機械的衝撃または極度の温度変化によって引き起こされた遮蔽装置のいかなる変形もコンパシング不良を生じさせ得るというシールド方法のさらなる欠点は問題ではなくなる。これは、正常な作動条件下ではシャフトは、生来的に変形しないと認知されているためである。さらに、追加的なパッケージング空間は必要とされない。
【0020】
少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材は、磁気弾性効果を生み出すのに適した、いかなる材料からも少なくとも部分的に形成することができる。部材の材料は、磁気弾性効果をもたらすのに適した強磁性材料にすることができる。材料はNiを含有することができる。
【0021】
本発明の態様では、
磁場センサは、
単一のプリント回路基板(PCB)上に配置
される。この態様は、磁場センサ同士、および磁場センサと長手方向に延びる部材の磁気領域との(自動的な)位置合わせを提供する。
【0022】
近磁場源とセンサの間のある一定の距離を超えると、外部の近磁場源(単数または複数)からの磁場は、外部近磁場源からの距離に関連してほぼ線形的に減少する。外部近磁場の最も近くに置かれた磁場センサは最大の近磁場値を検出し、外部近磁場源から最も遠くに置かれた磁場センサは最小の近磁場値を検出し、中央の磁場センサは、磁場センサの最も近い組および最も遠い組の平均値を感知する。中央領域にある磁場センサは、右側および左側の領域にある磁場センサとは反対の感知極性を有する。したがって、中央領域にある一次磁場センサによって測定された近磁場は、右側および左側の領域にある二次磁場センサによって測定された近磁場の平均値と同じ大きさで逆の符号のものである。左側および右側の領域の値を平均化し、その平均と該中央領域センサの値とを合計するように、関連する電子装置と組み合わせた磁場センサとの相互接続が構成される。中央領域センサの値は、中央領域センサが反対の極性で配向されているために、近磁場の測定誤差の影響を効果的に打ち消す。先に説明した3つの磁化された領域を用いる配置はまた、「三バンドトルクセンサ(tri-band torque sensor)」とも称される。
【0023】
近磁場が打ち消される一方で、一次および二次の磁場センサによって測定されたトルク由来の磁場は、中心領域、または一次センサの出力が、左および右の領域のセンサについての差分測定値(differential measurement)であるために打ち消されない。
【0024】
上記で開示した3つの連続的に磁化された領域の使用に加えて、磁場センサのこの配置は、シャフト上のいかなる数の磁化された領域にも適用可能になり得る。たとえば、この配置が単一磁化領域に適用された場合、中央の一次領域にある磁場センサは、単一磁化領域の中心の近くに置かれる。単一磁化領域の右側および左側に位置にする磁場センサは、近磁場しか検出しないが、これは、これらの二次センサの近くに磁気分極が存在しない結果、トルク由来の磁場が存在しないためである。
【0025】
本発明の態様によれば、領域内の磁化された全ドメインが最大でも部材の円周方向のプラス45°またはマイナス45°の限界値内にあるように、前記少なくとも1つの領域が磁化される。
【0026】
磁場センサは、ベクトルセンサであることができる。磁場センサ(ベクトルセンサ)は、ホール効果、磁気抵抗、磁気トランジスタ、磁気ダイオード、MAGFET場センサ、またはフラックスゲート磁気計のうちの1つにすることができる。有利には、本発明の実施形態の磁場センサのすべては、同じタイプのセンサを使用する。
【0027】
長尺部材は、オンロードまたはオフロード車両、船、工業プロセス、消費者製品(洗濯機、自転車、e−バイクなど)内に組み込まれたシャフトであることができる。
【0028】
所定の第1および第2の距離は、ほぼ同じにすることができる。
【0029】
所定の第1および第2の距離は、第2および第3の信号の平均が、少なくとも1つの一次磁場センサの場所に存在する周囲磁束の値を近似するようなものとすることができる。
【0030】
トルクセンサは、2つの一次磁場センサと、第1の方向に軸方向に離間された1つの二次磁場センサと、反対の第2の方向に軸方向に離間された1つの二次磁場センサとを備えることができる。
【0031】
一次磁場センサの一方および二次磁場センサの一方は、長手方向に延びる部材のキャビティの1つの側(中空部材のキャビティの内側)上に配置することができ、一次磁場センサの他方および二次磁場センサの他方は、部材のキャビティの反対側に配置することができる。
【0032】
トルクセンサは、8つの磁場センサを備えることができる。ここで8つの磁場センサは、4つの一次磁場センサと、第1の方向に軸方向に離間された2つの二次磁場センサと、反対の第2の方向に軸方向に離間された2つの二次磁場センサとを備えていてもよい。
【0033】
別の態様によれば、4つの一次磁場センサは、長手方向に延びる部材に対して径方向に位置合わせすることができる。2つの二次磁場センサは、複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間させることができ、2つの二次磁場センサは、複数の一次磁場センサから所定の第2の距離だけ第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間させることができる。
【0034】
2つの一次磁場センサおよび2つの二次磁場センサは、基板(プリント回路基板、特に単一のプリント回路基板)の第1の面に装着することができ、他方の2つの一次磁場センサおよび2つの二次磁場センサは、基板の裏側の第2の面に装着することができる。
【0035】
基板の第1の面の2つの一次磁場センサの位置は、基板の第2の面の2つの一次磁場センサの位置と全体的に(ぴったり)重なる(一致する、合致する)ことができる。
【0036】
換言すれば、これら一次磁場センサは、基板の両側にある各一次磁場センサが全体的に重なる位置を有するように配置することができる。基板の第1の面(正面)の一次磁場センサは、反対面の他の一次磁場センサに対し、基板上の厳密に同じ位置にあることができる。二次磁場センサの各々は、基板の反対面では他の二次磁場センサがない位置で、一次磁場センサの1つと軸方向に(長手方向に延びる部材の軸方向に)位置合わせすることができる。
【0037】
有利には、磁場センサは、線対称の水平軸及び線対称の垂直軸に対して対称的に配置することができる。これら線対称の水平軸及び線対称の垂直軸は、何れも基板の平面内に位置し、且つ磁場センサ(すべての磁場センサ)の幾何学的な重心のところで互いに交差するものである。
【0038】
一次磁場センサと二次磁場センサの間の軸方向の距離(軸方向の間隔)は、20mm以下とすることができる。この距離は、磁場センサの中心に関連する。一次磁場センサと二次磁場センサの軸方向の有利な距離はまた、10mm以下であり、より有利には9.5mmとすることができる。センサが示された距離以下で配置される場合、近磁場ノイズ源からのノイズは、さらに低減することができる。
【0039】
径方向の2つの一次磁場センサ間の距離は、中空シャフトの内側のキャビティの直径によって決まる。有利な実施形態では、径方向距離は、30mm以下にすることができる。
【0040】
磁気弾性的活性領域は、2つの軸方向に離間された領域を含むことができる。第1の領域は、ほぼ円周の第1の方向に磁化され、他方の領域は、上記第1の方向とは反対の、ほぼ円周の第2の方向に磁化される。この場合、部材に作用するトルクが前記磁気弾性的活性領域に比例的に伝達され、且つ上記第1の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサは、領域の一方の近くにあり、第2の、反対側の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサは、他方の領域の近くにあるような態様で磁化される。
【0041】
磁気弾性的活性領域は、3つの軸方向に離間された領域を含むことができる。中間領域は、ほぼ円周の第1の方向に磁化され、外側領域は、上記第1の方向とは反対の、ほぼ円周の第2の方向に磁化される。この場合、部材に作用するトルクが磁気弾性的活性領域に比例的に伝達され、且つ上記第1の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサは、外側領域の一方の近くにあり、第2の、反対側の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサは、他方の外側領域の近くにあるような態様で磁化される。
【0042】
一次および二次の磁場センサは、長手方向に延びる部材の軸方向に配向することができる。
【0043】
一次および二次の磁場センサは、長手方向に延びる部材の内面に対して法線方向に配向することができる。
【0044】
一次および二次の磁場センサは、領域間のそれぞれの境界において部材の表面に対してほぼ法線方向に配向することができる。
【0045】
3つの領域が磁化された(三バンド)シャフトを適用する場合、中央領域にある磁場センサならびに右側および左側の領域の磁場センサは、近磁場およびトルク由来の磁場の両方を測定する。近磁場は打ち消され、トルク由来の磁場は測定される。
【0046】
簡単に説明すれば、本発明のこれらおよび他の目的および利点は、具現化され、本明細書で十分に説明された方法によって達成される。この方法は、近隣の諸磁場源によって引き起こされた、トルクセンサからの信号に含まれるノイズを低減するための方法であって、トルクセンサを提供するステップと、トルクの作用時に第1の一次信号を受信するステップと、第2および第3の二次信号を受信するステップと、第2および第3の信号を用いて第1の信号を調整し、それによって近隣の磁場源の影響を解消するステップとを含む。
【0047】
トルクセンサは、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材と、部材の内面の一部に直接的もしくは間接的に取り付けられまたはその一部を形成する磁気弾性的活性領域であって、部材に作用するトルクが、磁気弾性的活性領域に比例的に伝達されるような仕方で第1のほぼ円周方向に磁化された少なくとも1つの領域を有する磁気弾性的活性領域と、磁気弾性的活性領域から発生するトルクに依存する磁束に対応する第1の信号を出力するために少なくとも1つの領域の近くに配置された複数の一次磁場センサと、近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する第2の信号を出力するために複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサと、近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する第3の信号を出力するために複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間された少なくとも1つの二次磁場センサとを含むことができる。
【0048】
本発明はまた、近隣の磁場源によって引き起こされた、トルクセンサからの信号に含まれるノイズを低減するための方法を提供する。先に説明したように構成されたトルクセンサが提供される。第1の信号は、トルクの作用時に受信される。第2および第3の信号が受信される。第1の信号は、第2および第3の信号を用いることによって調整され、それによって近隣の磁場源の影響が解消される。
【0049】
本発明の1つの態様では、長手方向に延びる部材と、部材に作用するトルクが比例的に伝達されるような磁気弾性的活性領域であって、作用するトルクが増大するにつれて磁化極性が次第にらせん形状になるように磁気分極した少なくとも1つの領域を含む磁気弾性的活性領域と、磁気弾性的活性領域から発生するトルクに依存する磁束に対応する信号を出力するために少なくとも1つの領域に近接して配置され、かつ長手方向に延びる部材に対して径方向に位置合わせされた少なくとも4つの一次磁場センサと、近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する信号を出力する、複数の一次磁場センサから所定の第1の距離だけ第1の方向に軸方向に離間された少なくとも2つの二次磁場センサと、近隣の磁場源から発生する周囲磁束に対応する信号を出力する、複数の一次磁場センサから所定の第2の距離だけ第1の方向とは反対の第2の方向に軸方向に離間された少なくとも2つの二次磁場センサとを備える、トルクセンサが存在する。ここで2つの一次磁場センサおよび2つの二次磁場センサは、回路基板の第1の面に装着することができ、他方の2つの一次磁場センサおよび2つの二次磁場センサは、基板の裏側の第2の面に装着することができる。ここで磁場センサの相対位置は、互いに対して自動的に位置合わせされる。さらに、磁場センサは、ノイズキャンセレーションをサポートする単一の(同じ)平面内に実質的に配置される。また、磁場センサは、線対称の水平軸および線対称の縦軸に対してほぼ対称的に配置することができる。これら線対称の水平軸および線対称の縦軸は、いずれも回路基板の平面内に位置し、且つ磁場センサの幾何学的な重心のところで互いに交差するものである。本発明のこの態様の利点はまた、磁場センサが長手方向に延びる部材の内側に配置されない場合にも達成することができる。
【0050】
本発明の一態様によれば、油圧ポンプ、モータ、または変速装置などの非接触のトルク変換器を備える油圧動力ユニットからなる機器が存在する。このユニットは、通常製造時にはその部品一体型である。加えて、本発明は、円形に磁化されたトルク変換器をそのような油圧ユニットに組み入れるための方法に関する。本発明は、さらに、トルクセンサおよび速度センサの両方をそのような油圧動力ユニットに組み入れることに関する。
【0051】
トルクセンサは、この明細書において説明したような本発明の態様によって構成される。そのような装置は、静液圧ポンプまたはモータなどの油圧動力ユニットのシャフト内のトルクを感知することができる。また、そのようなユニットの回転の速度または回転時の瞬間の位置を感知するように適合されるオプションであってもよい。制御システムであって、トルク変換器の測定値、さらにできれば他の情報をも感知可能な制御システムは、油圧動力ユニット上のトルクを制御するために使用されるオプションであってもよい。油圧動力ユニットのトルクおよび速度に関するこの追加の情報が測定されると、改良された制御および他の改良の結果が得られる。
【0052】
トルクセンサから得られた信号は、油圧動力ユニットのトルクを抑制するために使用することができる。トルクは、負荷を損傷から保護する目的、または内燃機関のストール現象を防止する目的で抑制されてもよい。各信号はまた、制御を高めるためにも使用されてもよい。測定されたトルク情報は、牽引力を高めるとともに、ホイールの滑りを低減もしくは防止するようにしばしば設計されるさまざまな制御スキーム、または他の目的において有用である。
【0053】
本発明はまた、本発明の態様によるトルクセンサを備える分割式ロールスタビライザを提供する。したがって、分割式ロールスタビライザ内の捩り力は、磁気信号に変換することができる。ロールスタビライザは、アクチュエータと、トルクセンサを中に組み入れることができる連結部分とを備えることができる。したがって、連結部分は少なくとも部分的に中空にすることができる。ここで連結部分の捩り力は、作用した捩り力に依存する磁気信号を発生させることができる。連結部分は、有効捩り力の伝達を提供する。有効捩り力は、連結可能なアクチュエータと、連結されたスタビライザパーツとの間で生成する。さらに連結部分は、作用した捩り力に依存する磁気信号を発生させることができる。測定された捩り力は、選択的に連結することができるアクチュエータを作動させるために、制御装置の測定変数として使用することができる。
【0054】
連結部分は、フランジを備えることができる。フランジは、その一方の側がアクチュエータに対して連結され、アクチュエータと回転するようにロック可能であり、他方の側は、スタビライザパーツと回転するようにロック可能である。スタビライザパーツが、たとえば、ロッド形状のトーションバースプリングとして構成される場合、アクチュエータに面するスタビライザパーツの端部をフランジの受け部に挿入し、このフランジと回転可能にロックすることができる。
【0055】
アクチュエータは、生成された捩り力を、一方の側では、スタビライザパーツの一方に伝達し、他方の側では、スタビライザパーツの他方に伝達するために、スタビライザの2つの部分間に効果的に配置することができる。
【0056】
連結部分は、コンパクトな一体構成品とすることができる。連結部分は、磁気弾性効果に適した任意の材料から形成することができる。たとえば、連結部分は、磁気弾性効果に適した強磁性鋼から形成することができる。連結部分は、1.5%から8%の間のNi、または20Cr13を含有する工業鋼、または類似の鋼から形成することができる。
【0057】
本発明の一実施形態では、スタビライザパーツは、スタビライザの軸受内に支持される。スタビライザパーツ及びスタビライザの軸受の各々には、アクチュエータへの連結用の連結部分が設けられる。スタビライザ軸受は、スタビライザパーツを車両本体上で支持し、スタビライザパーツが捩り軸周りに回転移動することを可能にする。
【0058】
別の連結部分は、磁気弾性材料から生産可能であり、磁化可能であり、よって、本発明によれば、有効捩り力を非接触で検出するように適合される。捩り力が作用しているときに磁気特性が変わる別体の一次センサは、必要とされない。
【0059】
連結部分がフランジとして構成される場合、1つの選択肢は、フランジが中空構造を持つことである。そのようなフランジは、中実のフランジと比較して重量が軽い。二次センサは、中空フランジ内に配置させることができ、それにより、二次センサ用の追加的な設置空間の要請は、解消される。
【0060】
しかし、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材(たとえば中空フランジまたは中空シャフト)の内側に配置することはまた、さらなる予期せぬ利点、特に、磁場源に対するさらに良好なノイズの電磁波耐性ももたらす。磁場センサが、少なくとも部分的に中空の長手方向に延びる部材の内側に配置される場合、これらは互いにより近くに置くことができ、一方で部材上の磁気的な活性領域に対するその相対的な距離は、同じままになり得る。部材は、さらなる遮蔽効果をもたらすが、本質的に安定性のものである。さらに、すべての磁場センサは、プリント回路基板(PCB)上に装着することができ、それによって、磁場センサの互いに対する自動的な位置合わせ、および部材の磁気的な活性領域に対する自動的な位置合わせをもたらす。
【0061】
本発明のさらなる態様および特性が、添付の図を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の説明によって示される。