特許第6034841号(P6034841)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034841アップリンク伝送を扱う方法および関連する通信デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034841
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】アップリンク伝送を扱う方法および関連する通信デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20161121BHJP
   H04W 16/32 20090101ALI20161121BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20161121BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20161121BHJP
【FI】
   H04W24/08
   H04W16/32
   H04W16/28 150
   H04W72/04 111
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-217952(P2014-217952)
(22)【出願日】2014年10月27日
(65)【公開番号】特開2015-89127(P2015-89127A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2014年10月27日
(31)【優先権主張番号】61/896,626
(32)【優先日】2013年10月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/514,369
(32)【優先日】2014年10月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】李 建民
【審査官】 桑原 聡一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/100673(WO,A1)
【文献】 特表2013−520108(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/149898(WO,A1)
【文献】 特表2014−514821(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/139305(WO,A1)
【文献】 特表2015−511095(JP,A)
【文献】 特開2013−162327(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/151394(WO,A1)
【文献】 特表2015−518679(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24−7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行う通信デバイスの少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送を扱う方法であって、
前記通信デバイスと前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出するステップと、
前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのUL伝送の実行を停止し、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放しないステップと、
前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記情報は、前記無線リンク問題が検出されたことを示す標識を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記情報に応答して前記第1の基地局により送信される受信確認を受信した後に、前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記情報が送信されてから一定時間後に、前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記情報に応答して前記第1の基地局により送信される受信確認を受信した後に、前記第2の基地局の構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記情報が送信されてから一定時間後に、前記第2の基地局の構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基地局により送信される上位レイヤシグナリングに従って、前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の基地局により送信される上位レイヤシグナリングに従って、前記第2の基地局の構成を解放するステップ、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つのUL伝送には、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)伝送および/またはサウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)伝送が含まれる、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の基地局に対する前記PUCCH伝送の構成を解放するステップと、
前記第2の基地局に対する前記SRS伝送の構成を維持するステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行う通信デバイスであって、
命令を記憶する記憶部と、
前記記憶部に接続され、前記記憶部に記憶される前記命令を実行するように構成される処理手段と、
を備え、
前記記憶部に記憶される前記命令は、
前記通信デバイスと前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出するステップと、
前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送の実行を停止し、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放しないステップと、
前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信するステップと、
を実行させる命令である、
通信デバイス。
【請求項12】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行うコンピューターであって、
コンピューター可読媒体、
を備え、
前記コンピューター可読媒体は、
前記コンピューターに、前記コンピューターと前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出させる第1のコードセットと、
前記コンピューターに、前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送の実行を停止させ、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放させない第2のコードセットと、
前記コンピューターに、前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信させる第3のコードセットと、
を含む、
コンピューター。
【請求項13】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行う装置であって、
前記装置に、前記装置と前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出させる手段と、
前記装置に、前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送の実行を停止させ、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放させない手段と、
前記装置に、前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信させる手段と、
を備える装置。
【請求項14】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行う装置であって、
前記装置と前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出するように構成される少なくとも1つのプロセッサと、
前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送の実行を停止し、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放しないように構成される受信機と、
前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信するように構成される送信機と、
を備える装置。
【請求項15】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行うように構成される少なくとも1つのプロセッサであって、
前記少なくとも1つのプロセッサに、前記少なくとも1つのプロセッサと前記第2の基地局との間の無線リンク問題を検出させる第1のモジュールと、
前記少なくとも1つのプロセッサに、前記無線リンク問題が検出された後に、前記第2の基地局に対する少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送の実行を停止させ、前記第2の基地局に対する前記少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放させない第2のモジュールと、
前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1の基地局に、前記無線リンク問題に関する情報を送信させる第3のモジュールと、
を備える、少なくとも1つのプロセッサ。
【請求項16】
請求項1乃至10に記載の、第1の基地局および第2の基地局と通信を行うときに少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送を扱う方法に含まれる前記ステップの全てを実行するように構成される、通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップリンク伝送を扱う方法および関連する通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(Third Generation Partnership Project)のRel.8規格や3GPPのRel.9規格の基礎となるLTE(Long Term Evolution)システムは、UMTS(Universal Mobile Telecommunication System)の後継として、UMTSの性能をさらに向上させてユーザーの高まる要望に応えるために、3GPPにより開発された。LTEシステムには、新しい無線インターフェースと新しい無線ネットワークアーキテクチャが含まれ、高いデータ伝送速度、低遅延、パケット最適化および改善されたシステム容量とサービスエリアが提供される。LTEシステムでは、進化型UMTS地上波無線アクセスネットワーク(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network:E−UTRAN)として知られる無線アクセスネットワークは、複数の進化型ノードB(evolved Node B:eNB)を含む。eNBは、複数のユーザー装置(User Equipment:UE)と通信を行い、また、非アクセス層(Non-Access Stratum:NAS)制御のために、モビリティ管理エンティティ(Mobility Management Entity:MME)やサービング・ゲートウェイ(serving gateway)等のコアネットワークと通信を行う。
【0003】
LTE−Advanced(LTE−A)システムは、その名が示すように、LTEシステムの進化型である。LTE−Aシステムは、電力状態の高速切替を目標とし、eNBのサービスエリア端部での性能を改善し、キャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)、セル間協調(Coordinated Multipoint:CoMP)送受信、アップリンクMIMO(Uplink Multiple-Input Multiple-Output:UL−MIMO)等の先進技術を採用している。LTE−Aシステム内でUEとeNBが互いに通信を行うには、UEとeNBは、3GPPのRel.10規格やそれ以降のバージョンの規格等の、LTE−Aシステム用に開発された規格に準拠する必要がある。
【0004】
一例として、3つのeNB(NB1〜NB3)があり、eNB NB1がサービスエリアの大きいマクロセルeNBであり、eNB NB1のサービスエリア内のeNB NB2〜NB3がサービスエリアの小さいマイクロセルeNB(またはその他の小セルeNB)であるとする。UEは、eNB NB1,NB2の両方のサービスエリア内に位置するとし、例えばUEがデュアル接続性を有する場合、eNB NB1,NB2と同時に通信を行う。UEは、eNB NB1のサービスエリア内に留まりつつ、その移動に従って、eNB NB2のサービスエリアからeNB NB3のサービスエリアに移動する場合がある。この場合、ここでUEはeNB NB1およびeNB NB3のサービスエリア内に位置するので、どのようにUL伝送(制御情報、参照信号、データ等)を行うべきかを判断することができない。例えば、UEは、サウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)をeNB NB2へ送信すべきかを判断することができない。別の例では、UEは、eNB NB1のサービスエリア内に留まりつつ、その移動に従って、eNB NB2のサービスエリア外に移動する場合がある。この場合、ここでUEはeNB NB1のサービスエリアのみに位置するので、どのようにUL伝送(制御情報、参照信号、データ等)を行うべきかを判断することができない。例えば、UEは、SRSをeNB NB2へ送信すべきかを判断することができない。上述の例において、UEは、SRSが送信されるのか否かとSRSがどのように送信されるのかとに従って、異なる割当てでデータを送信する可能性がある。すなわち、データの伝送は、SRSの伝送の影響を受ける。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、UEが位置するサービスエリアが変わるときにどのようにUL伝送を行うのかは、解決されるべき重要な課題である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の問題を解決するために、本発明は、UL伝送を扱う方法および関連する通信デバイスを提供する。
【0007】
これは、請求項1および13〜18に係る、UL伝送を扱う方法および通信デバイスによって達成される。従属請求項は、対応するさらなる発展および改善に関する。
【0008】
第1の基地局および第2の基地局と通信を行う通信デバイスの少なくとも1つのアップリンク(UL)伝送を扱う方法は、該通信デバイスと該第2の基地局との間の無線リンク問題を検出するステップと、該無線リンク問題が検出された後に、該第2の基地局に対する少なくとも1つのUL伝送の実行を停止するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係る無線通信システムを示す概略図である。
図2】本発明の一実施例に係る通信デバイスを示す概略図である。
図3】本発明の一実施例に係るプロセスを示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施例に係るプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施例に係る無線通信システム10の概略図である。無線通信システム10は、大まかに、ユーザー装置(UE)100および基地局(BS)102,104,106を含む。図1において、UE100およびBS102,104,106は、無線通信システム10の構成を説明するのに用いられるに過ぎない。実際には、BS102(またはBS104またはBS106)は、進化型UTRAN(Evolved UTRAN:E−UTRAN)、LTE(Long Term Evolution)システム、LTE−Advanced(LTE−A)システムまたはLTE−Aシステムの進化型における進化型ノードB(evolved Node B:eNB)であってもよいし、中継基地局であってもよい。無線通信システム10は、時分割二重(Time-Division Duplexing:TDD)システムであってもよく(すなわち、TDDが作動される)、周波数分割二重(Frequency-Division Duplexing:FDD)システムであってもよい(すなわち、FDDが作動される)。例として、BS102がサービスエリアの比較的大きいマクロセルBSであり、BS102のサービスエリア内のBS104およびBS106がサービスエリアの比較的小さいマイクロセルBS(または他の小セルBS)であってよい。別の例では、BS102がマスターeNB(MeNB)であり、BS104およびBS106がセカンダリーeNB(SeNB)であってよい。UE100は、MeNBにより管理されるマスターセルグループ(MCG)を形成する1以上のセルに対して構成されてよい。UE100は、SeNBにより管理されるセカンダリーセルグループ(SCG)を形成する1以上のセルに対して構成されてよい。
【0011】
図1に示すように、UE100は、自身に設定されるデュアル接続性に従って、BS102およびBS104と同時に通信を行ってよい。すなわち、UE100は、BS102とBS104の両方を介して送受信を行ってよい。例えば、UE100は、デュアル接続性に従って、BS102およびBS104からパケット(トランスポートブロック(TB)等)、信号(制御情報、参照信号等)、メッセージ等を受信してよく、或いは、デュアル接続性に従って、BS102およびBS104へパケット(TB等)、信号(制御情報、参照信号等)、メッセージ等を送信してよい。UE100は、BS102のサービスエリアに留まりつつ、その移動に従って、BS104のサービスエリアからBS106のサービスエリアへ移動してよい。この場合UE100は、BS104とのリンク品質が閾値より低くなる可能性があるので、無線リンク問題を検出することができる。
【0012】
UE100は、マシン型通信(Machine-type Communication:MTC)デバイス、携帯電話、ラップトップ、タブレットコンピューター、電子書籍リーダー、ポータブルコンピューターシステム等であってよい。さらに、UE100、BS102、BS104またはBS106は、その伝送方向に従って送信機とみなされてもよいし、受信機とみなされてもよい。例えば、アップリンク(UL)では、UE100が送信機、BS102〜106が受信機であり、ダウンリンク(DL)では、BS102〜106が送信機、UE100が受信機である。
【0013】
図2は、本発明の一実施例に係る通信デバイス20の概略図である。通信デバイス20は、図1に示すUE100、BS102、BS104および/またはBS106であってよいが、これらに限定されない。通信デバイス20は、マイクロプロセッサや特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等の処理手段200と、記憶部210と、通信インターフェース部220とを有してよい。記憶部210は任意のデータ記憶デバイスであってよく、処理手段200によりアクセスされ実行されるプログラムコード214を格納してよい。記憶部210の例としては、加入者識別モジュール(Subscriber Identity Module:SIM)、リードオンリーメモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、DVD−ROM(Digital Versatile Disc-ROM)、BD−ROM(Blu-ray(登録商標) Disc-ROM)、磁気テープ、ハードディスク、光学データ記憶デバイス、不揮発性メモリ、非一時的コンピューター可読媒体(例えば有形媒体)等が挙げられる。通信インターフェース部220は、好ましくは送受信機であり、処理手段200の処理結果に従って信号(データ、信号、メッセージ、パケット等)を送受信するのに用いられる。
【0014】
図3は、本発明の一実施例に係るプロセス30のフローチャートである。プロセス30は、通信デバイス(例えばUE100)が第1のBS(例えばBS102)および第2のBS(例えばBS104)と通信を行っているときに、該通信デバイスが少なくとも1つのUL伝送を行う際に該通信デバイスにおいて用いられてよい。プロセス30は、プログラムコード214にコンパイルされてよい。プロセス30は、以下のステップを含む。
【0015】
ステップ300において、プロセスを開始する。
【0016】
ステップ302において、通信デバイスと第2のBSとの間の無線リンク問題を検出する。
【0017】
ステップ304において、無線リンク問題が検出された後に、第2のBSに対する少なくとも1つのUL伝送の実行を停止する。
【0018】
ステップ306において、プロセスを終了する。
【0019】
プロセス30によれば、通信デバイスは、第2のBSとの間の無線リンク問題を検出してよい。そして、通信デバイスは、無線リンク問題が検出された後に、第2のBSに対する少なくとも1つのUL伝送の実行を停止(例えば一時停止)してよい。すなわち、UE100は、無線リンク問題(無線リンク障害(Radio Link Failure:RLF)等)を検出した後に、少なくとも1つのUL伝送を停止してよい。例えば、少なくとも1つのUL伝送は、BS104に対する全てのUL伝送であってよい。RLFには、SeNB−RLF(S−RLF)やSCG−RLFが含まれてよい。さらに、UE100がRLFを検出する方法には様々なものがある。例えば、UE100は、カウンタ(例えばT310)が満了した場合に、RLFが発生したと判定してよい。上記によれば、UE100がBS104のサービスエリアからBS106のサービスエリアに移動する場合、またはBS104のサービスエリア外に移動する場合でも、UE100が不適切な信号(データ、制御情報、参照信号等)を送信することで別のBS(例えばBS106)に干渉することがない。例えば、BS106は、UE100により送信される信号の受信を予測していない場合がある。UE100がBS106へ(すなわち、BS106のサービスエリア内で)信号を送信すると、他のUEによって送信される信号はUE100による影響を受け、BS106により正確に検出されない可能性がある。
【0020】
さらに、プロセス30によれば、UE100は不適切な割当てでBS102に信号(データ、制御情報、参照信号等)を送信することがないので、BS102は信号を正確に検出(例えば復号、復調等)することができない。例えば、どのように信号がサブフレームで送信されるのかは、サウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS)が該サブフレーム内にスケジュールされるか否かによって決まる場合がある。詳細には、SRSがサブフレーム内にスケジュールされる場合、該サブフレームの最後の直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:OFDM)シンボルをデータの伝送(例えば、物理アップリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel:PUSCH)を介して)に用いることができない。例えば、BS102がサブフレームの最後のOFDMシンボル内のSRSの受信を予測する一方で、UE100が最後のOFDMシンボルでデータを送信する場合、BS102はサブフレーム内の該データを正確に検出できない。別の例では、BS102がサブフレームの最後のOFDMシンボルにおけるSRSの受信を予測しない一方、UE100が最後のOFDMシンボルでSRSを送信する場合、BS102はサブフレーム内のデータを正確に検出できない。
【0021】
さらに、UE100により送信される信号(PUSCHを介するデータ等)は消失しない。UE100が信号を送信する一方でBS102およびBS106が該信号の受信を予測しない場合、UE100により送信される信号は、BS102,106により受信されない可能性がある。プロセス30により、上記問題は解決される。なお、上述の状況は通常、BS102とBS106との間のバックホールが理想的でない場合に発生する。すなわちBS102およびBS106は、例えば遅延を原因として、該バックホールを介してすぐに関連情報をやりとりすることができない場合がある。
【0022】
本発明の実現は、上述のものに限定されない。
【0023】
UE100はさらに、無線リンク問題に関する情報をBS102に送信してよい。すなわち、UE100はBS102に、UE100とBS104との間に無線リンク問題があることを通知する。例えば、該情報は、少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成が解放されることを示す標識を含んでよい。少なくとも1つの構成は、少なくとも1つのUL伝送に対応してよい。なお、UE100は、少なくとも1つの構成を解放することなく、単に少なくとも1つの構成の解放をBS102に通知してもよい。別の例では、該情報は、無線リンク問題が検出されたことを示す標識を含んでよい(例えば、カウンタT310の満了によりRLFが発生したことを示すために)。すなわち、UE100は、例えばどの構成も解放することなく、BS102に無線リンク問題を通知してよい。
【0024】
さらに、UE100は、例えば無線リンク問題に関する情報をBS102に送信した後に、BS104に対する少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放してよい。一例として、UE100は、該情報に応答してBS102により送信される受信確認を受信した後に、少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放してよい。すなわち、UE100は、任意に少なくとも1つの構成を解放するのではなく、受信確認に従って少なくとも1つの構成を解放してよい。別の例では、UE100は、BS102により送信される上位レイヤシグナリング(例えば無線リソース制御(Radio Resource Control:RRC)シグナリング)に従って、UL伝送の少なくとも1つの構成を解放してよい。例えば、BS102は、例えばUE100により送信された無線リンク問題に関する情報を受信する前(または受信した後)に、上位レイヤシグナリングを送信して、少なくとも1つの構成を解放するようUE100に指示してよい。上位レイヤシグナリングには、少なくとも1つの構成(例えば、物理アップリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel:PUCCH)構成および/またはSRS構成)を解放するようUE100に指示する情報が含まれてよい。別の例では、UE100は、該情報が送信された一定期間後に、UL伝送の少なくとも1つの構成を解放してよい。すなわち、UE100はBS102からの受信確認を予測せずに、少なくとも1つの構成の解放に向けてタイマーを開始させてよい。UE100は、単にタイマーが満了した後(例えば2秒後)に、少なくとも1つの構成を解放してよい。つまり、UE100は、適切な基準に従って少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放してよく、上記の例に限定されない。
【0025】
なお、上述の少なくとも1つのUL伝送は、上記のものに限定されない。例えば、少なくとも1つのUL伝送には、PUCCH伝送が含まれてよい。別の例では、少なくとも1つのUL伝送には、SRS伝送が含まれてよい。別の例では、少なくとも1つのUL伝送には、PUCCH伝送とSRS伝送の両方が含まれてよい。すなわち、上述した少なくとも1つのUL伝送の構成には、PUCCHの構成(すなわちPUCCH構成)、SRS伝送の構成(すなわちSRS構成)、またはPUCCH伝送の構成とSRS伝送の構成の両方(すなわちSRS/PUCCH構成)が含まれてよい。別の例では、UE100は、BS104に対するPUCCH伝送の構成を解放する一方で、BS104に対するSRS伝送の構成を維持してよい。すなわち、UE100は、PUCCH伝送の構成とSRS伝送の構成とを別々に扱ってよい。対応する構成(例えばSRS/PUCCH構成)が解放される場合、UE100はどのように伝送(例えばSRS伝送およびPUCCH伝送)を行うかを判断できず、すなわち、伝送を行わない。一般に、SRS/PUCCH構成は、同時に構成される。
【0026】
UE100は、少なくとも1つのUL伝送の少なくとも1つの構成を解放する替わりに、BS104の構成を解放してよい。一実施例において、UE100は、無線リンク問題に関する情報をBS102に送信した後に、BS104の構成を解放してよい。一実施例において、UE100は、該情報に応答してBS102により送信される受信確認を受信した後に、BS104の構成を解放してよい。すなわち、UE100は、任意に構成を解放するのではなく、受信確認に従って構成を解放してよい。別の例では、UE100は、BS102により送信される上位レイヤシグナリング(例えばRRCシグナリング)に従って、BS104の構成を解放してよい。例えば、BS102は、例えばUE100により送信された無線リンク問題に関する情報を受信する前(または受信した後)に、上位レイヤシグナリングを送信して、構成を解放するようUE100に指示してよい。上位レイヤシグナリングには、構成を解放するようUE100に指示する情報が含まれてよい。別の例では、UE100は、該情報が送信されてから一定期間後に、BS104の構成を解放してよい。すなわち、UE100はBS102からの受信確認を予測せずに、構成の解放に向けてタイマーを開始させてよい。UE100は、単にタイマーが満了した後(例えば2秒後)に、構成を解放してよい。つまり、UE100は、適切な基準に従ってBS104の構成を解放することができ、上記の例に限定されない。
【0027】
図4は、本発明の一実施例に係るプロセス40を示すフローチャートである。プロセス40は、UE100がBS102およびBS104と通信を行っているときに少なくとも1つのUL伝送を行う際に、UE100によって用いられてよい。プロセス40は、プログラムコード214にコンパイルされてよい。プロセス40は、以下のステップを含む。
【0028】
ステップ400において、プロセスを開始する。
【0029】
ステップ402において、UE100とBS104との間の無線リンク問題を検出する。
【0030】
ステップ404において、無線リンク問題が検出された後に、BS104に対するPUCCH伝送および/またはSRS伝送の実行を停止する。
【0031】
ステップ406において、無線リンク問題を示す標識をBS102に送信する。
【0032】
ステップ408において、プロセスを終了する。
【0033】
プロセス40によれば、UE100は、BS104との間の無線リンク問題を検出してよい。UE100は、無線リンク問題が検出された後に、BS104に対するPUCCH伝送および/またはSRS伝送の実行を停止してよい。UE100は、無線リンク問題を示す標識をBS102に送信してよい。そして、UE100は、上位レイヤシグナリング(例えばRRCシグナリング)(例えば、BS102により送信される)に従って、PUCCH伝送および/またはSRS伝送の構成を解放してよい。プロセス40の詳細および変形については上記を参照することができ、ここでは論じない。
【0034】
当業者であれば、上述の記載および実施例について、組み合わせ、変更および/または代替を容易に行うことができるであろう。上述の記載、ステップおよび/または示唆されるステップを含むプロセスは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア(ハードウェアデバイスと該ハードウェアデバイス上の読取専用ソフトウェアとして存在するコンピューター命令およびデータとの組合わせとして知られる)、電子システム、それらの組合わせ等の手段によって実現することができる。該手段の一例として、通信デバイス20が挙げられる。
【0035】
ハードウェアの例としては、アナログ回路、デジタル回路、混合回路等が挙げられる。例えば、ハードウェアには、ASIC、フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)、プログラマブル論理デバイス、接続されたハードウェア要素、それらの組合わせ等が含まれてよい。別の例では、ハードウェアには、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor:DSP)、それらの組合わせ等が含まれてよい。
【0036】
ソフトウェアの例としては、コンピューター可読媒体等の記憶部に保持(例えば記憶)されるコードセット、命令セットおよび/または機能セットが挙げられる。コンピューター可読媒体には、SIM、ROM、フラッシュメモリ、RAM、CD−ROM、DVD−ROM、BD−ROM、磁気テープ、ハードディスク、光学データ記憶デバイス、不揮発性メモリ、それらの組合わせ等が含まれてよい。コンピューター可読媒体(例えば記憶部)は、少なくとも1つのプロセッサと内的に接続(例えば一体化)されてもよいし、外的に接続(例えば分離)されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、1以上のモジュールを有してよく、コンピューター可読媒体に記憶されたソフトウェアを実行するように構成されてよい。コードセット、命令セットおよび/または機能セットは、少なくとも1つのプロセッサ、モジュール、ハードウェアおよび/または電子システムに、関連ステップを実行させてよい。
【0037】
電子システムの例としては、システムオンチップ(SoC)、システムインパッケージ(SiP)、コンピューターオンモジュール(CoM)、コンピューター、装置、携帯電話、ラップトップ、タブレット型コンピューター、電子書籍リーダー、ポータブルコンピューターシステム、通信デバイス20等が挙げられる。
【0038】
まとめると、本発明は、UL伝送を扱う方法を提供する。本発明は、従来の通信デバイスでは無線リンク問題が検出された場合にUL伝送の実行方法が判断できないという問題を解決する。無線リンク問題は、通信デバイスがあるBSのサービスエリアから他のBSのサービスエリアへ移動したときに起こり得る。よって、BSおよび通信デバイスは、無線リンク問題の影響を受けることなく、通常どおりに動作することができる。
図1
図2
図3
図4