特許第6034866号(P6034866)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034866ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物および成形体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034866
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物および成形体
(51)【国際特許分類】
   C08L 67/04 20060101AFI20161121BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20161121BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   C08L67/04
   C08L31/04 S
   C08J5/00CFD
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-522407(P2014-522407)
(86)(22)【出願日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】JP2013003735
(87)【国際公開番号】WO2014002417
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年4月21日
(31)【優先権主張番号】特願2012-146453(P2012-146453)
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 徹也
(72)【発明者】
【氏名】西座 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 紀之
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−504396(JP,A)
【文献】 特開平09−302207(JP,A)
【文献】 特開2008−222873(JP,A)
【文献】 特開平06−065484(JP,A)
【文献】 特開2006−316172(JP,A)
【文献】 特表2011−516711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00−67/04
31/00−31/08
C08J 5/00−5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂(A)と、酢酸ビニル比率が65〜95重量%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(B)とを含有し、
樹脂(A)がポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂及びポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であり、かつ樹脂(A)と樹脂(B)が相溶しており、樹脂(A)/樹脂(B)が90/10〜55/45(重量/重量)であるポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物。
【請求項2】
ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂(A)の3−ヒドロキシブチレート比率が、80モル%以上である請求項1に記載のポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリ−3−ヒドロキシアルカノエート樹脂組成物からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性を有するポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂を含む樹脂組成物およびその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラスチック廃棄物が、生態系への影響、燃焼時の有害ガス発生、大量の燃焼熱量による地球温暖化等、地球環境への大きな負荷を与える原因となっている問題を解決できるものとして、生分解性プラスチックの開発が盛んになっている。
【0003】
中でも植物由来の生分解性プラスチックを燃焼させた際に出る二酸化炭素は、もともと空気中にあったもので、大気中の二酸化炭素は増加しない。このことをカーボンニュートラルと称し、二酸化炭素削減目標値を課した京都議定書の発効が確実味をおびてきている昨今、重要視され、積極的な使用が望まれている。
【0004】
最近、生分解性およびカーボンニュートラルの観点から、植物由来のプラスチックとして脂肪族ポリエステル系樹脂が注目されており、特にポリヒドロキシアルカノエート(以下、PHAと称する場合がある)系樹脂、さらにはPHA系樹脂の中でもポリ(3−ヒドロキシブチレート)単独重合樹脂(以下、P3HBと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)共重合樹脂(以下、P3HB3HVと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂(以下、P3HB3HHと称する場合がある)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)共重合樹脂(以下、P3HB4HBと称する場合がある)およびポリ乳酸(以下、PLAと称する場合がある)等が注目されている。
【0005】
しかしながら、前記硬質性のPHA系樹脂は結晶化が非常に遅いため成形加工後の経時変化によって、脆くなってしまうことが知られている。
【0006】
一般的に硬質性の樹脂に柔軟性を付与するには、可塑剤を添加する方法が挙げられるが、可塑剤が大量に必要となるためブリードアウトする問題がある。
【0007】
特許文献1には、ポリ(ヒドロキシアルカン酸)とエチレン/酢酸ビニルコポリマーをブレンドすることで、ある程度の透明性を維持しながら、良好な衝撃強度を付与する技術が開示されている。該文献ではエチレン/酢酸ビニルコポリマー中の酢酸ビニル比率は6重量%以上であるが、エチレン/酢酸ビニルコポリマー中の酢酸ビニル比率およびポリ(ヒドロキシアルカン酸)の種類の組み合わせによって、相溶性および改善効果が異なるため、透明性および衝撃強度が不充分であった。
【0008】
特許文献2には、生分解性を有するP3HB3HVと酢酸ビニル比率が5〜30重量%のエチレン/酢酸ビニルコポリマーなどをブレンドすることで一定の割合が生分解性を有し且つ弾性率や破断伸びをある範囲内で制御可能な組成物が開示されている。しかしながら、該コポリマーとP3HB3HVは非相溶であるため、ブレンドすることで透明性が悪化する。またP3HB3HVを含む組成物に十分な延性を付与するにはエチレンコポリマーを半分近くブレンドする必要があり、生分解性が低くなってしまう。
【0009】
特許文献3には、乳酸系ポリマーと酢酸ビニル比率が30〜90重量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる組成物が、フィルム同士のブロッキングを防止し、かつ良好な破断伸び等を有し、更に透明性に優れることが開示されている。しかしながら、透明性および破断伸び等は必ずしも満足できるものではなかった。
【0010】
特許文献4には、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる層と、ポリ乳酸系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相容させる相容化剤を含む樹脂組成物からなる層から成る熱収縮性積層フィルムが開示されている。該文献によれば、前記2つの異なる層を2層以上積層することで優れた透明性および延性を有する熱収縮性積層フィルムとなるが、ポリ乳酸系樹脂を主成分とし、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を含む樹脂組成物からなる層だけでは、フィルムとして必ずしも満足のいく延性を有することはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特表2010−504396号公報
【特許文献2】特表平6−503847号公報
【特許文献3】特開平9−151310号公報
【特許文献4】特開2011−136428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、延性および透明性に優れるポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物およびその成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂と、酢酸ビニル比率が65〜95重量%の優れた延性を有するエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(以下、EVAと称する場合がある)を相溶させると、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物よりなる成形体の経時変化による脆化を抑制し、かつ、透明性を低下させないことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明の第一は、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂(A)と、酢酸ビニル比率が65〜95重量%のエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(B)とを含有し、かつ樹脂(A)と樹脂(B)が相溶しており、樹脂(A)/樹脂(B)が90/10〜55/45(重量/重量)であるポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物に関する。好ましい実施態様は、ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂(A)の3−ヒドロキシブチレート比率が、80モル%以上である上記記載のポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物に関する。本発明の第二は、上記記載のポリ−3−ヒドロキシアルカノエート樹脂組成物からなる成形体に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に従えば、延性および透明性に優れるポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂組成物およびその成形体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂(PHA系樹脂)とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の相溶性確認の方法において、PHA系樹脂とEVAが判別できない状態、即ち「相溶」と判断する場合の透過型電子顕微鏡写真である。
図2】ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂(PHA系樹脂)とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)の相溶性確認の方法において、PHA系樹脂が連続相でEVAが分散相となった状態である、即ち「非相溶」と判断する場合の透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について、さらに詳細に説明する。本発明のポリ−3−ヒドロキシアルカノエート(以下、P3HAと称する場合がある)系樹脂組成物は、特定のP3HA系樹脂(A)と、特定の酢酸ビニル(以下、VAと称する場合がある)比率であるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(B)とを含有し、かつ樹脂(A)と樹脂(B)が相溶していることを特徴とする。
【0018】
本発明に用いるP3HA系樹脂(A)は、3−ヒドロキシブチレートが80モル%以上からなる重合樹脂であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上からなる重合樹脂であり、微生物によって生産された物が好ましい。具体例としては、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)単独重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシプロピオネート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘプタノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシオクタノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシノナノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシデカノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシウンデカノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)共重合樹脂等が挙げられる。特に、成形加工性および成形体物性の観点から、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシバリレート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)共重合樹脂、ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)共重合樹脂が好適に使用し得る。
【0019】
前記P3HA系樹脂において、3−ヒドロキシブチレート(以下、3HBと称する場合がある)と、共重合している3−ヒドロキシバリレート(以下、3HVと称する場合がある)や、3−ヒドロキシヘキサノエート(以下、3HHと称する場合がある)や、4−ヒドロキシブチレート(以下、4HBと称する場合がある)等のコモノマーとの構成比、即ち共重合樹脂中のモノマー比率としては、成形加工性および成形体品質等の観点から、3−ヒドロキシブチレート/コモノマー=97/3〜80/20(モル%/モル%)であることが好ましく、95/5〜85/15(モル%/モル%)であることがより好ましい。コモノマー比率が3モル%未満であると、成形加工温度と熱分解温度が近接するため成形加工し難い場合がある。コモノマー比率が20モル%を超えると、P3HA系樹脂の結晶化が遅くなるため生産性が悪化する場合がある。
【0020】
前記P3HA系樹脂の共重合樹脂中の各モノマー比率は、以下のようにガスクロマトグラフィーによって測定できる。乾燥P3HA系樹脂約20mgに、2mlの硫酸/メタノール混液(15/85(重量比))と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、P3HA系樹脂分解物のメチルエステルを得る。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生が止まるまで放置する。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、上清中のP3HA系樹脂分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析することにより、共重合樹脂中の各モノマー比率を求められる。
【0021】
前記ガスクロマトグラフとしては、島津製作所社製「GC−17A」、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製「NEUTRA BOND−1」(カラム長:25m、カラム内径:0.25mm、液膜厚:0.4μm)を用いる。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧を100kPaとし、サンプルは1μl注入する。温度条件は、8℃/分の速度で初発温度100℃から200℃まで昇温し、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温する。
【0022】
本発明のP3HA系樹脂の重量平均分子量(以下、Mwと称する場合がある)は、20万〜250万が好ましく、25万〜200万がより好ましく、30万〜100万がさらに好ましい。重量平均分子量が20万未満では、機械物性等が劣る場合があり、250万を超えると、成形加工が困難となる場合がある。
【0023】
前記重量平均分子量の測定方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めることができる。この際、検量線は重量平均分子量31400、197000、668000、1920000のポリスチレンを使用して作成する。
【0024】
なお、前記P3HA系樹脂は、例えば、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32株(ブダペスト条約に基づく国際寄託、国際寄託当局:独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)、原寄託日:平成8年8月12日、平成9年8月7日に移管、寄託番号FERM BP−6038(原寄託FERM P−15786より移管))(J.Bacteriol.,179,4821(1997))等の微生物によって産生される。
【0025】
本発明に用いるエチレン酢酸ビニル共重合樹脂(B)は、VA比率が65〜95重量%のものが好ましく、70〜90重量%がより好ましい。VA比率が65重量%未満であると、P3HA系樹脂と非相溶となり、透明性が悪化する場合がある。酢酸ビニル比率が95重量%を超えると、EVAを比較的大量にブレンドしなければP3HA系樹脂に延性を付与することができない場合がある。なお、前記EVAのVA比率は、JIS K 7192に順じて求めることができる。
【0026】
前記エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(B)は、メルトフローレート(以下、MFRと称する場合がある)0.1〜1000g/10minが好ましく、0.5〜500g/10minがより好ましく、1〜100g/10minがさらに好ましい。MFRが0.1g/10min未満では、非相溶となる傾向があり、1000g/10minを超えると延性が十分に改善されない傾向がある。
なお、前記EVAのMFRは、JIS K 7210に順じて求めることができる。
【0027】
前記EVAとして、具体的にはLANXESS社製「Levapren650HV」(VA比率65重量%のEVA)、LANXESS社製「Levapren700HV」(VA比率70重量%のEVA)、LANXESS社製「Levapren800HV」(VA比率80重量%のEVA)、LANXESS社製「Levapren900HV」(VA比率90重量%のEVA)や、LANXESS社製「Levapren700XL」(VA比率70重量%の部分架橋EVA)、LANXESS社製「Levapren800XL」(VA比率80重量%の部分架橋EVA)や、LANXESS社製「Levamelt700」(VA比率70重量%のEVA)、LANXESS社製「Levamelt800」(VA比率80重量%のEVA)および、日本合成化学社製「ソアブレンDH」(VA比率70重量%のEVA)などが挙げられ、これらを少なくとも1種使用できる。
【0028】
ところで、ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂の中でもポリ乳酸の場合、VA比率90重量%のEVAをブレンドすると透明性は低下しないが、ポリ乳酸−EVAブレンド物の延性はほとんど改善されない。また、ポリ乳酸にVA比率50重量%のEVAをブレンドすると、延性はある程度改善されたが、透明性が悪化する。しかしながら、本発明のように3−ヒドロキシブチレート比率が80モル%以上のP3HA系樹脂にVA比率65〜95重量%のEVAをブレンドすると、P3HA系樹脂組成物の透明性を低下させずに、延性を付与することができる。従って、ポリ乳酸ではVA比率65〜95重量%のEVAをブレンドしても延性と透明性を両立することができないが、前記3−ヒドロキシブチレート比率が80モル%以上のP3HA系樹脂とVA比率65〜95重量%のEVAでは達成することができる。
【0029】
前記P3HA系樹脂組成物の組成比は、P3HA系樹脂/EVA=90/10〜55/45(重量/重量)が好ましく、90/10〜70/30(重量/重量)がより好ましく、85/15〜70/30(重量/重量)がさらに好ましい。
該組成比が90/10を越えると、P3HA系樹脂組成物に延性を付与できない場合がある。該組成比が55/45未満であると、P3HA系樹脂組成物の成形加工性が悪化し、生産性が低下する場合がある。
【0030】
本発明におけるP3HA系樹脂組成物およびその成形体は、P3HA系樹脂(A)とEVA(B)を所定の比率で含有した上、P3HA系樹脂(A)とEVA(B)が相溶することにより、P3HA系樹脂組成物より成る成形体は、優れた延性および透明性を有する。
【0031】
本発明のPHA系樹脂とEVAとの相溶性の判断は、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製「H−7650」)を用い、RuO染色したPHA系樹脂組成物またはPHA系樹脂組成物よりなる成形体を1万〜4万倍で観察することで、PHA系樹脂とEVAが判別できない状態まで分散している場合を「相溶」とし、PHA系樹脂が連続相でEVAが分散相となった状態である場合を「非相溶」とする。
【0032】
本発明のP3HA系樹脂組成物のように、P3HA系樹脂(A)とEVA(B)が相溶したP3HA系樹脂組成物は、P3HA系樹脂の融点以上で、P3HA系樹脂とEVAを溶融混練すること、または、クロロホルム等のP3HA系樹脂とEVAを溶解できる溶媒中でブレンドすることで、容易に得ることができるが、生産性の観点から溶融混練で作製することが好ましい。
【0033】
本発明におけるP3HA系樹脂組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲において、各種添加剤を含有しても良い。ここで添加剤とは、たとえば、滑剤、結晶化核剤、可塑剤、加水分解抑制剤、酸化防止剤、離形剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などの着色剤、無機充填剤等を目的に応じて使用できるが、それらの添加剤は、生分解性を有することが好ましい。
【0034】
他の添加剤としては、炭素繊維等の無機繊維や、人毛、羊毛等の有機繊維が挙げられる。また、竹繊維、パルプ繊維、ケナフ繊維や、類似の他の植物代替種、アオイ科フヨウ属1年草植物、シナノキ科一年草植物等の天然繊維も使用することが出来る。二酸化炭素削減の観点からは、植物由来の天然繊維が好ましく、特に、ケナフ繊維が好ましい。
【0035】
本発明のP3HA系樹脂組成物および、その成形体の製造方法を以下に例示する。
【0036】
<P3HA系樹脂組成物からなる成形体の製造方法>
まず、P3HA系樹脂およびEVA、さらには必要に応じて、前記各種添加剤を押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて溶融混練して、P3HA系樹脂組成物を作製し、それをストランド状に押し出してからカットして、円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状などの粒子形状のP3HA系樹脂組成物からなるペレットを得る。
【0037】
前記において、P3HA系樹脂とEVA等を溶融混練する温度は、使用するP3HA系樹脂の融点、溶融粘度等やEVAの溶融粘度等によるため一概には規定できないが、溶融混練物のダイス出口での樹脂温度が140〜200℃であることが好ましく、150〜195℃であることがより好ましく、160〜190℃がさらに好ましい。溶融混練物の温度が140℃未満であると、P3HA系樹脂とEVAが非相溶となる場合があり、200℃を超えるとP3HA系樹脂が熱分解する場合がある。
【0038】
前記方法によって作製されたペレットを、40〜80℃で十分に乾燥させて水分を除去した後、公知の成形加工方法で成形加工でき、任意の成形体を得ることができる。成形加工方法としては、例えば、フィルム成形、シート成形、射出成形、ブロー成形、繊維の紡糸、押出発泡、ビーズ発泡等が挙げられる。
【0039】
フィルム成形体の製造方法としては、例えば、Tダイ押出し成形、カレンダー成形、ロール成形、インフレーション成形が挙げられる。ただし、フィルム成形法はこれらに限定されるものではない。フィルム成形時の成形温度は140〜190℃が好ましい。また、本発明のP3HA系樹脂組成物から得られたフィルムは、加熱による熱成形、真空成形、プレス成形が可能である。
【0040】
射出成形体の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を成形する場合に一般的に採用される射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。また、その他目的に合わせて、上記の方法以外でもインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。ただし、射出成形法はこれらに限定されるものではない。射出成形時の成形温度は140〜190℃が好ましく、金型温度は20〜80℃が好ましく、30〜70℃であることがより好ましい。
【0041】
本発明の成形体は、農業、漁業、林業、園芸、医学、衛生品、食品産業、衣料、非衣料、包装、自動車、建材、その他の分野に好適に用いることができる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0043】
<ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂の共重合体中の各モノマー比率の測定>
乾燥P3HA系樹脂約20mgに、2mlの硫酸/メタノール混液(15/85(重量比))と2mlのクロロホルムを添加して密栓し、100℃で140分間加熱して、P3HA系樹脂分解物のメチルエステルを得た。冷却後、これに1.5gの炭酸水素ナトリウムを少しずつ加えて中和し、炭酸ガスの発生が止まるまで放置した。4mlのジイソプロピルエーテルを添加してよく混合した後、上清中のP3HA系樹脂分解物のモノマーユニット組成をキャピラリーガスクロマトグラフィーにより分析することにより、共重合樹脂中の各モノマー比率を求めた。
【0044】
ガスクロマトグラフは島津製作所社製「GC−17A」、キャピラリーカラムはGLサイエンス社製「NEUTRA BOND−1」(カラム長:25m、カラム内径:0.25mm、液膜厚:0.4μm)を用いた。キャリアガスとしてHeを用い、カラム入口圧を100kPaとし、サンプルは1μl注入した。温度条件は、初発温度100℃から200℃まで8℃/分の速度で昇温し、さらに200〜290℃まで30℃/分の速度で昇温した。
【0045】
<ポリ−3−ヒドロキシアルカノエート系樹脂の重量平均分子量の測定>
P3HA系樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(昭和電工社製「Shodex GPC−101」)を用い、カラムにポリスチレンゲル(昭和電工社製「Shodex K−804」)を用い、クロロホルムを移動相とし、ポリスチレン換算した場合の分子量として求めた。この際、検量線は重量平均分子量31400、197000、668000、1920000のポリスチレンを使用して作成した。
【0046】
<ポリヒドロキシアルカノエート系樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合樹脂の相溶性確認>
PHA系樹脂組成物またはPHA系樹脂組成物よりなる成形体について、23℃、湿度50%雰囲気下にて1ヶ月保存した後、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製「H−7650」)を用い、RuO染色したPHA系樹脂組成物またはPHA系樹脂組成物よりなる成形体を1万〜4万倍で観察することで、PHA系樹脂とEVAが判別できない状態(黒く大きな固まりが全く見えない)まで分散している場合を「相溶」(図1)とし、PHA系樹脂が連続相でEVAが分散相(黒く大きな固まりとして見える)となった状態である場合を「非相溶」(図2)とした。
【0047】
<Tダイフィルムの引張降伏点強度および引張破断伸びの測定>
厚み100μmのTダイフィルムを23℃、湿度50%雰囲気下にて1ヶ月保存した後、JIS K7113に基づき、MD方向のダンベル(小型試験片2(1/3)号形)を10個打ち抜き、引張試験機(島津製作所製「AUTOGRAPH AG2000A」)を用いて、試験速度100mm/分の条件にて引張降伏点強度および引張破断伸びを10回測定し、平均化した値を引張降伏点強度および引張破断伸びとした。
【0048】
<Tダイフィルムの透明性の評価>
厚み100μmのTダイフィルムを23℃、湿度50%雰囲気下にて1ヶ月保存した後、JIS K7105に基づき、PHA系樹脂組成物からなる厚み100μmのTダイフィルムのヘイズ値と、当該PHA系樹脂組成物の原料として使用するPHA系樹脂からなる厚み100μmのTダイフィルムのヘイズ値を測定し、両者を比較して、PHA系樹脂組成物からなる厚み100μmのTダイフィルムのヘイズ値の方が高い場合を「×」、同等の場合を「△」、低い場合を「○」とした。
【0049】
<射出成形体の引張降伏点強度および引張破断伸びの測定>
ダンベルを23℃、湿度50%雰囲気下にて1ヶ月保存した後、ASTM D638に基づき、全自動引張試験機(東洋精機社製「ストログラフAP II」)を用いて、試験速度5mm/分の条件にて引張降伏点強度および引張破断伸びを10回測定し、平均化した値を引張降伏点強度および引張破断伸びとした。
【0050】
<射出成形体の透明性の評価>
厚み1/64インチの板を23℃、湿度50%雰囲気下にて1ヶ月保存した後、PHA系樹脂組成物からなる厚み1/64インチの板の透明性と、当該PHA系樹脂組成物の原料として使用するPHA系樹脂からなる厚み1/64インチの板の透明性を目視にて確認し、両者を比較して、PHA系樹脂組成物からなる厚み1/64インチの板の透明性の方が悪い場合を「×」、同等の場合を「△」、良い場合を「○」とした。
【0051】
(製造例1) P3HA−1の作製
国際公開第09/145164号に準拠して、3HH率=5モル%、Mw=75万のP3HB3HH(PHA−1)を作製した。
【0052】
(製造例2) P3HA−2の作製
国際公開第09/145164号に準拠して、3HH率=13モル%、Mw=70万のP3HB3HH(P3HA−2)を作製した。
【0053】
(製造例3) P3HA−3の作製
生産菌株としてC.necatorH16株(ATCC17699)を用い、国際公開第09/145164号に準拠して、Mw=85万のP3HB(PHA−3)を作製した。
【0054】
その他、実施例および比較例で使用した物質を以下に示す。
【0055】
<P3HA−4>
Ecomann社製EM5400F(ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−4−ヒドロキシブチレート)、4HB率=14モル%、Mw=105万)を用いた。
【0056】
<ポリ乳酸>
ポリ乳酸として、NatureWorks社製「Ingeo 4060D」を用いた。
【0057】
<エチレン酢酸ビニル共重合樹脂>
エチレン酢酸ビニル共重合樹脂として、以下のものを用いた。
【0058】
EVA−1:LANXESS社製「Levapren900HV」(VA比率90重量%、MFR=5g/10minのEVA)
EVA−2:LANXESS社製「Levapren800HV」(VA比率80重量%、MFR=6g/10minのEVA)
EVA−3:LANXESS社製「Levapren700HV」(VA比率70重量%、MFR=8g/10minのEVA)
EVA−4:LANXESS社製「Levapren600HV」(VA比率60重量%、MFR=6g/10minのEVA)
EVA−5:住友化学社製「エバテートR5011」(VA比率41重量%、MFR=60g/10minのEVA)
EVA−6:住友化学社製「エバテートK3010」(VA比率28重量%、MFR=7g/10minのEVA)
<ポリ酢酸ビニル>
ポリ酢酸ビニルとして、電気化学社製「サクノールSN−04T」(VA比率100重量%)を用いた。
【0059】
(実施例1) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1:80重量部と、VA比率90重量%のEVA(EVA−1、LANXESS社製Levapren900HV):20重量部とを、混合してから二軸押出機(東芝機械社製TEM−26SS、条件:吐出量15kg/hr、スクリュー回転数150rpm、設定温度150℃)を用いて溶融混練してストランド(φ:3.5mm)を押出し、適当な長さにカッティングしてP3HA系樹脂組成物のペレットを得た。この際、二軸押出機のダイス先端から出た溶融混練物の温度は185℃であった。
【0060】
続いて、得られたP3HA系樹脂組成物のペレットを60℃で十分に乾燥させた後、横幅:150mm、リップ幅:0.15mmのT型ダイスを装着した単軸押出機(東洋精機製作所製「20C200型」ラボプラストミル)を用いて、成形温度:165℃、スクリュー回転数:50rpmの条件で押出し、55℃に温調した冷却ロールで3m/minの速度で引き取り、厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0061】
【表1】
【0062】
(実施例2) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−1をEVA−2に変更した点以外は、実施例1と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0063】
(実施例3) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1を80重量部から90重量部に、EVA−2を20重量部から10重量部に変更した点以外は、実施例2と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0064】
(実施例4) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1を90重量部から60重量部に、EVA−2を10重量部から40重量部に変更した点以外は、実施例2と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0065】
(実施例5) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1をP3HA−2に変更し、EVA−2をEVA−3に変更した点以外は、実施例3と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0066】
(実施例6) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1をP3HA−3に変更し、EVA−2をEVA−1に変更した点以外は、実施例4と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0067】
(実施例7) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1:80重量部をP3HA−4:90重量部に変更し、EVA−1を20重量部から10重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0068】
(実施例8) フィルムの評価
実施例2で得られたTダイフィルムを23℃、湿度50%雰囲気下にて1年保存した後、引張破断試験を行い、引張降伏点強度と引張破断伸びを評価し、それらの結果は表1に示した。
【0069】
(実施例9) フィルムの評価
実施例3で得られたTダイフィルムを23℃、湿度50%雰囲気下にて1年保存した後、引張破断試験を行い、引張降伏点強度と引張破断伸びを評価し、それらの結果は表1に示した。
【0070】
(比較例1) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1を80重量部から100重量部に、EVA−1を20重量部から0重量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0071】
(比較例2) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−2をEVA−4に変更した点以外は、実施例3と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0072】
(比較例3) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−2をEVA−5に変更した点以外は、実施例3と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0073】
(比較例4) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−2をEVA−6に変更した点以外は、実施例3と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0074】
(比較例5) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1をP3HA−3に変更し、EVA−1をEVA−6に変更した点以外は、実施例3と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0075】
(比較例6) フィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−1をポリ酢酸ビニルに変更した点以外は、実施例1と同様にしてP3HA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0076】
(比較例7) 特開平9−151310号公報、特開2011−136428号公報準拠のフィルムの作製と評価
表1の配合に従って、P3HA−1をポリ乳酸に変更した点以外は、実施例1と同様にしてPHA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0077】
(比較例8) 特開平9−151310号公報、特開2011−136428号公報準拠のフィルムの作製と評価
表1の配合に従って、EVA−1をEVA−4に変更した点以外は、比較例7と同様にしてPHA系樹脂組成物のペレットおよび厚み100μmのTダイフィルムを得た。得られたTダイフィルムの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表1に示した。
【0078】
(実施例10) 射出成形体の作製と評価
実施例3で得られたP3HA系樹脂組成物のペレットを60℃で十分に乾燥させた後、75t射出成形機(東芝機械社製「IS−75E−2A」)を用いて、成形温度165℃、金型温度55℃の条件で射出成形を行い、ASTM D638に基づいたダンベルおよび、厚み1/64インチの板を得た。得られたダンベルの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、厚み1/64インチの板の透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表2に示した。
【0079】
【表2】
【0080】
(比較例9) 射出成形体の作製と評価
表2の配合に従って、P3HA−1を90重量部から100重量部に、EVA−2を10重量部から0重量部に変更した点以外は、実施例8と同様にしてASTM D638に基づいたダンベルおよび、厚み1/64インチの板を得た。得られたダンベルの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、厚み1/64インチの板の透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表2に示した。
【0081】
(比較例10) 射出成形体の作製と評価
表2の配合に従って、EVA−2をEVA−4に変更した点以外は、実施例8と同様にしてASTM D638に基づいたダンベルおよび、厚み1/64インチの板を得た。得られたダンベルの引張降伏点強度と引張破断伸びおよび、厚み1/64インチの板の透明性と相溶性を評価し、それらの結果は表2に示した。
図1
図2