特許第6034892号(P6034892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6034892ロボットの設置台の輝度が変化するロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034892
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ロボットの設置台の輝度が変化するロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   B25J19/06
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-13659(P2015-13659)
(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公開番号】特開2016-137544(P2016-137544A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年12月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100159684
【弁理士】
【氏名又は名称】田原 正宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 知之
(72)【発明者】
【氏名】荒牧 武亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 広光
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−208002(JP,A)
【文献】 特開2014−148027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 19/06
G08B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの周囲に設定された監視領域に人が侵入していることを検出する侵入検知器と、
側面および上面を有し、ロボットを支持する設置台と、
前記設置台の側面を明るくする発光装置と、
侵入検知器が出力する信号を受信し、発光装置を制御する制御装置とを備え、
前記設置台の上面は、ワークに対して作業を行う作業面であり、
制御装置は、前記監視領域への人の侵入を検出した場合に発光装置を発光させることを特徴とする、ロボットシステム。
【請求項2】
発光装置は、前記監視領域への人の侵入を検出した場合に点滅する、請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記監視領域は、人が侵入するとロボットの動作を停止させる停止領域と、人が侵入するとロボットの動作速度を低速に制限する速度制限領域とを含み、
侵入検知器は、停止領域への人の侵入および速度制限領域への人の侵入を個別に検出可能に形成されており、
制御装置は、発光装置が発光する色を制御する発光制御部を含み、
発光制御部は、停止領域に人が侵入した場合、速度制限領域に人が侵入した場合、または、停止領域および速度制限領域の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置が発光する色を変化させる制御および消灯する制御のうち少なくとも一方を実施する、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記監視領域は、人が侵入するとロボットの動作を停止させる停止領域と、人が侵入するとロボットの動作速度を低速に制限する速度制限領域とを含み、
侵入検知器は、停止領域への人の侵入および速度制限領域への人の侵入を個別に検出可能に形成されており、
制御装置は、発光装置の点滅の時間間隔を制御する発光制御部を含み、
発光制御部は、停止領域に人が侵入した場合、速度制限領域に人が侵入した場合、または、停止領域および速度制限領域の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置の点滅の有無および点滅の時間間隔のうち少なくとも一方を制御する、請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記設置台を移動させる移動装置を備え、
前記監視領域は、前記設置台の移動と共に移動し、
侵入検知器は、前記設置台に固定されて前記設置台と共に移動し、前記設置台が移動した位置にて設定される前記監視領域に人が侵入していることを検出可能に形成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの設置台を備えるロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは、時間と共に位置および姿勢を変更可能に形成されている。近年では動作プログラムに基づいて自動的に動作するロボットと、ロボットを制御する制御装置とを備えるロボットシステムが用いられている。ところで、ロボットが動作している期間中に不注意などにより作業者がロボットに接触する場合がある。作業者がロボットに接触すると、作業者がロボットから衝撃を受けたりロボットが故障したりする虞がある。
【0003】
特許文献1には、ロボットの稼動範囲内に作業者が侵入した時に、ロボットの動作を停止したり、ロボットの速度を制限したりするロボットの安全装置が開示されている。ロボットの動作を制御することにより、ロボットが作業者に衝突する危険を防止することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、複数のマニピュレータを備え、それぞれのマニピュレータのアームに回転灯を配置したロボットシステムが開示されている。このロボットシステムでは、所定のマニピュレータの回転灯が点灯することにより、操作対象に選択されていることを作業者に知らせることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5035768号公報
【特許文献2】特許第4990504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特許第5035768号公報には、ロボットの稼動範囲内に作業者が侵入した時に、ロボットの動作を制御することが開示されている。すなわち、人がロボットに接触したときの影響を軽減する装置が開示されている。ところが、ロボットは高速で駆動したり不規則な動作を行ったりすることがあるために、ロボットが動作している期間中には作業者等の人がロボットに近づかないことが好ましい。
【0007】
また、この公報には、ロボットの動作状態を作業者に知らせる方法は開示されていない。すなわち、ロボットが通常運転中であるのか、停止しているのか、速度が制限されているのか等のロボットの動作状態を作業者に知らせる方法は開示されていない。このために、作業者は、ロボットの動作状態が分からずに不用意にロボットに接近してロボットに接触する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロボットシステムは、ロボットの周囲に設定された監視領域に人が侵入していることを検出する侵入検知器と、側面および上面を有し、ロボットを支持する設置台と、設置台の側面を明るくする発光装置と、侵入検知器が出力する信号を受信し、発光装置を制御する制御装置とを備える。設置台の上面は、ワークに対して作業を行う作業面である。制御装置は、監視領域への人の侵入を検出した場合に発光装置を発光させる。
【0009】
上記発明においては、発光装置は、監視領域への人の侵入を検出した場合に点滅することが好ましい。
【0010】
上記発明においては、監視領域は、人が侵入するとロボットの動作を停止させる停止領域と、人が侵入するとロボットの動作速度を低速に制限する速度制限領域とを含み、侵入検知器は、停止領域への人の侵入および速度制限領域への人の侵入を個別に検出可能に形成されており、制御装置は、発光装置が発光する色を制御する発光制御部を含み、発光制御部は、停止領域に人が侵入した場合、速度制限領域に人が侵入した場合、または、停止領域および速度制限領域の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置が発光する色を変化させる制御および消灯する制御のうち少なくとも一方を実施することが好ましい。
【0011】
上記発明においては、監視領域は、人が侵入するとロボットの動作を停止させる停止領域と、人が侵入するとロボットの動作速度を低速に制限する速度制限領域とを含み、侵入検知器は、停止領域への人の侵入および速度制限領域への人の侵入を個別に検出可能に形成されており、制御装置は、発光装置の点滅の時間間隔を制御する発光制御部を含み、発光制御部は、停止領域に人が侵入した場合、速度制限領域に人が侵入した場合、または、停止領域および速度制限領域の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置の点滅の有無および点滅の時間間隔のうち少なくとも一方を制御することが好ましい。
【0012】
上記発明においては、設置台を移動させる移動装置を備え、監視領域は、設置台の移動と共に移動し、侵入検知器は、設置台に固定されて設置台と共に移動し、設置台が移動した位置にて設定される監視領域に人が侵入していることを検出可能に形成されることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人がロボットの運転状態を容易に把握することができて、人が不用意にロボットに接近することを抑制するロボットシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態における第1のロボットシステムの概略斜視図である。
図2】実施の形態における第1のロボットシステムの概略平面図である。
図3】実施の形態における第1のロボットシステムのブロック図である。
図4】実施の形態における発光装置の制御のフローチャートである。
図5】実施の形態における第2のロボットシステムの概略斜視図である。
図6】実施の形態における第3のロボットシステムの概略斜視図である。
図7】実施の形態における第4のロボットシステムの概略斜視図である。
図8】実施の形態における第4のロボットシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図8を参照して、実施の形態におけるロボットシステムについて説明する。図1に、本実施の形態における第1のロボットシステムの概略斜視図を示す。図2に、本実施の形態における第1のロボットシステムの概略平面図を示す。図1および図2を参照して、ロボットシステムは、ワークWの搬送を行うロボット1とハンド17とを備える。本実施の形態のロボット1は、多関節ロボットである。本実施の形態のハンド17は、吸着によりワークを保持する吸着ハンドである。ロボット1のアーム12は、姿勢が変化したり回転したりするように形成されている。
【0016】
第1のロボットシステムは、床面に固定された設置台4を備える。本実施の形態の設置台4は、直方体状に形成されている。設置台4の表面は、側面4a〜4cおよび上面4dを含む。第1のロボットシステムでは、設置台4が壁81の近傍に配置されている。このために、一つの側面は壁81に近接している。上面4dは、ワークWの作業面として機能する。搬送前のワークWは、第1の位置71に配置されている。ロボット1は、ワークWを、第1の位置71から第2の位置72に移動する。第1の位置71に配置されている複数のワークWは、向きが互いに揃っていない。ロボット1は、ワークWの向きを調整して、第2の位置72にワークWを移動する。
【0017】
ロボットシステムでは、作業者等の人がロボット1に近づく場合がある。本実施の形態のロボットシステムは、ロボット1に人が近づいたことを検出する侵入検知器としてのレーザスキャナ装置51a〜51cを備える。それぞれのレーザスキャナ装置51a〜51cは、ロボット1に近づく人を検知できる高さに取り付けられている。
【0018】
本実施の形態のレーザスキャナ装置51a〜51cは、レーザ発振器とレーザ受信器とを含む。レーザ発振器は、例えば赤外線領域のレーザ光を放出するパルスレーザ発振器である。レーザ光は、検知する物の表面で反射して、レーザスキャナ装置51a〜51cに戻ってくる。レーザ受信器は、戻ってきたレーザ光を検知する。レーザスキャナ装置51a〜51cは、レーザ光を放出してから戻るまでの時間を検出する。そして、レーザスキャナ装置51a〜51cは、レーザ光が往復する時間に基づいて、レーザスキャナ装置51a〜51cから対象物までの距離を算出することができる。
【0019】
本実施の形態のレーザスキャナ装置51a〜51cは、筐体の内部でレーザ発振器およびレーザ受信器が回転するように形成されている。回転軸と垂直な方向にレーザ光が発振される。このために、任意のレーザ発振器の回転角度において、対象物までの距離を測定することができる。レーザスキャナ装置51a〜51cは、対象物が存在する方向および距離を検出することができる。すなわち、レーザスキャナ装置51a〜51cは、対象物の位置を検出することができる。
【0020】
本実施の形態のレーザスキャナ装置51a〜51cは、レーザ発振器およびレーザ受信器の回転軸が鉛直方向に延びるように配置されている。このために、水平方向にレーザ光を放出し、レーザ発振器が配置された高さにおける水平面内に人が存在するか否かを検出することができる。本実施の形態におけるレーザスキャナ装置51a〜51cのレーザ発振器およびレーザ受信器は、回転角度が180°の範囲内で回転可能に形成されている。このために、レーザスキャナ装置51a〜51cは、測定角度が180°の範囲内で人の位置を検出することができる。
【0021】
図2を参照して、レーザスキャナ装置51bは、領域Aに侵入した人の位置を検出することができる。レーザスキャナ装置51a,51cは、領域Bに侵入した人の位置を検出することができる。領域Aおよび領域Bが交差する領域では、レーザスキャナ装置51a,51cおよびレーザスキャナ装置51bにて人の位置を検出することができる。
【0022】
本実施の形態では、設置台が直方体状に形成され、設置台の1つの側面に1つのレーザスキャナ装置を配置しているが、この形態に限られず、設置台は任意の形状に形成することができる。レーザスキャナ装置は、設置台に近づく人を検出できるように配置することができる。例えば、設置台が直方体状であり、測定範囲が270°のレーザスキャナ装置を用いた場合には、設置台の2つの角の部分にレーザスキャナ装置を配置することができる。
【0023】
図1を参照して、本実施の形態におけるロボットシステムでは、人がロボット1に近づいたときに、ロボット1の動作を制限する領域として監視領域95が予め設定されている。監視領域95は、ロボット1の周囲に設定されている。監視領域95は、設置台4を取り囲む停止領域93および停止領域93の外側に設定された速度制限領域94を含む。境界線91の内側が停止領域93である。境界線91と境界線92とに挟まれる領域が速度制限領域94である。
【0024】
停止領域93に人が侵入した場合には、ロボット1を停止させる制御を行う。速度制限領域94に人が侵入した場合には、ロボットの動作速度を低速に制限する制御を行う。境界線92の外側の領域、すなわち、監視領域95の外側の領域では、ロボット1からの距離が十分にあり、ロボット1の動作速度に制限を加えない領域である。
【0025】
本実施の形態における停止領域93および速度制限領域94は、設置台4の平面形状に沿って設定されている。すなわち平面視したときにほぼ四角形になるように設定されている。停止領域93および速度制限領域94としては、この形態に限られず、任意の範囲に設定することができる。例えば、設置台を中心に半円状に停止領域および速度制限領域が設定されていても構わない。
【0026】
更に、本実施の形態の監視領域95は、停止領域93および速度制限領域94を含むが、この形態に限られず、任意の領域を設定することができる。例えば、監視領域は、速度制限領域を設けずに停止領域のみを設けても構わない。または、複数の速度制限領域を設けて、人がロボットに近づくほどロボットの動作速度を低く制限するように制御を行っても構わない。
【0027】
図3に、本実施の形態におけるロボットシステムのブロック図を示す。本実施の形態では、動作プログラム41に基づいてワークWを搬送する制御を例示して説明する。図1および図3を参照して、ロボットシステム3は、ロボットシステム3を制御する制御装置2を備える。制御装置2は、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等を有するデジタルコンピュータを含む。ロボット1は、制御装置2の動作指令に基づいて駆動する。
【0028】
ロボット1は、それぞれのアーム12の関節部を駆動するアーム駆動装置14を含む。アーム駆動装置14は、例えば関節部の内部に配置されているアーム駆動モータを含む。アーム駆動装置14が駆動することにより、アーム12を関節部にて所望の角度に曲げたり回転させたりすることができる。ハンド17は、ハンド駆動装置18を備える。ハンド駆動装置18は、例えば、吸着ポンプを含む。ハンド17は、ハンド駆動装置18が駆動することにより、ワークWを担持したり解放したりすることができる。アーム駆動装置14およびハンド駆動装置18は、制御装置2により制御されている。
【0029】
制御装置2には、ロボット1の動作を行うために予め作成された動作プログラム41が入力される。動作プログラム41は、動作プログラム記憶部42に記憶される。動作制御部43は、動作プログラムに基づいてロボット1を駆動するための動作指令を送出する。動作制御部43は、アーム駆動装置14を駆動する動作指令をアーム駆動部44に送出する。アーム駆動部44は、アーム駆動モータ等を駆動する電気回路を含み、動作指令に基づいてアーム駆動装置14に電力を供給する。
【0030】
また、動作制御部43は、ハンド駆動装置18を駆動する動作指令をハンド駆動部45に送出する。ハンド駆動部45は、吸着ポンプ等を駆動する電気回路を含み、動作指令に基づいて吸着ポンプ等に電力を供給する。このように、ロボット1およびハンド17が駆動することにより、ロボットシステム3は、自動的に初期の位置から目標の位置までワークを搬送することができる。
【0031】
侵入検知器51は、停止領域への人の侵入および速度制限領域への人の侵入を個別に検出可能に形成されている。制御装置2は、侵入検知器51が出力する信号を受信する侵入判定部46を含む。侵入検知器51は、人が存在する位置を検出することができる。第1のロボットシステムでは、レーザスキャナ装置51a〜51cが人の位置を検出する。侵入判定部46は、予め設定された監視領域95の範囲に基づいて、人がどの領域に居るのかを判別する。すなわち、侵入判定部46は、人が停止領域93の内部に居るのか、速度制限領域94の内部に居るのか、または監視領域95の外側に人がいるのかを判別する。
【0032】
侵入判定部46は、人が停止領域93または速度制限領域94に人が居ると判別した場合には、動作制御部43に対して、停止領域93または速度制限領域94に人がいる信号を発信する。動作制御部43は、停止領域93に人が居る場合に、ロボット1を停止する動作指令を送出する。たとえば、制御装置2は、アーム駆動装置14を停止させる制御を実施する。動作制御部43は、速度制限領域94に人が居る場合に、ロボット1の動作速度を低速に制限する制御を行う。本実施の形態では、アーム12の動作速度の上限を設定している。通常運転でアーム12の速度が上限速度より大きくなる場合には、ロボット1の速度が上限速度になるように制御する。ロボット1の動作速度を低速に制限する制御としては、この形態に限られず、例えば、アーム12の全ての動作について速度を低減する制御を実施しても構わない。ロボット1の動作速度を低速に制限する制御を実施することにより、人がロボット1に接触したときの影響を緩和することができる。このように、人がロボット1に近づいた時にはロボット1の動作に制限を加える。
【0033】
図1を参照して、本実施の形態のロボットシステム3は、ロボット1を支持している設置台4の表面を明るくする発光装置52を備える。発光装置52は、複数のLED(Light Emitting Diode)ライト52aを含む。LEDライト52aは、設置台4の側面4a〜4cに嵌め込まれている。複数のLEDライト52aが点灯することにより、それぞれの側面4a〜4cの輝度が高くなる。すなわち側面4a〜4cが明るくなる。
【0034】
本実施の形態のLEDライト52aは、緑色、黄色および赤色の光を発光できるように形成されている。このために、設置台4を見た時の側面4a〜4cの色を、緑色、黄色または赤色にすることができる。
【0035】
図3を参照して、制御装置2は、発光装置52を制御する発光制御部47を含む。発光装置52は、発光制御部47により制御されている。発光制御部47の指令により、発光装置52が点灯したり消灯したりする。また、発光制御部47の指令により、発光装置52は発光する色を変化する。更に、発光制御部47の指令により、発光装置52が点滅するように形成されている。
【0036】
侵入判定部46は、人が監視領域95の内部に居ない場合には、対応する信号を発光制御部47に送出する。発光制御部47は、発光装置52を所定の色に点灯させたり、消灯したりする。侵入判定部46は、停止領域93または速度制限領域94に人が侵入した場合には、対応する信号を発光制御部47に送出する。発光制御部47は、発光装置52を点灯させる。本実施の形態の発光制御部47は、人が侵入している領域に応じて、発光装置52の発光形態を変化させる制御を実施する。発光状態には、連続的な点灯、消灯、点滅、および発光する色などが含まれる。
【0037】
図4に、本実施の形態における発光装置の制御のフローチャートを示す。図4に示す制御は、予め定められた時間間隔ごとに繰り返して行うことができる。また、ロボット1が駆動している期間中に加えて、ロボット1が停止している期間中にも実施することができる。
【0038】
図3および図4を参照して、ステップ101において、侵入判定部46は、停止領域93に人が居るか否かを判別する。すなわち、停止領域93に人が侵入したか否かを判別する。停止領域93に人が居る場合には、ステップ102に移行する。ステップ102において、動作制御部43は、ロボット1を停止させる。特に、動作制御部43は、アーム駆動装置14を停止する。
【0039】
次に、ステップ103において、発光制御部47は、赤色の光にて点滅するように発光装置52を制御する。すなわち、赤色の光にて所定の時間間隔にて点灯および消灯を繰り返す。設置台4の側面4a〜4cが赤くなったり暗くなったりする。このために、人に対して停止領域93に居ることを知らせると共に注意を促すことができる。
【0040】
ステップ101において、停止領域93に人が居ない場合には、ステップ104に移行する。
【0041】
ステップ104において、侵入判定部46は、速度制限領域94に人が居るか否かを判別する。速度制限領域94に人が居ることを検出した場合には、ステップ105に移行する。ステップ105において、動作制御部43は、ロボット1の動作速度を低速に制限する。次に、ステップ106において、発光制御部47は、黄色の光にて点滅するように発光装置52を制御する。設置台4の側面4a〜4cが黄色になったり暗くなったりする。人に対して速度制限領域94に居ることを知らせると共に注意を促すことができる。
【0042】
ステップ104において、速度制限領域94に人が居ない場合には、ステップ107に移行する。この場合には、停止領域93および速度制限領域94の両方の領域に人が侵入していない状態である。すなわち、監視領域95の内部には人が居ない状態である。
【0043】
ステップ107においては、現在の制御において、ロボット1の動作制限が実施されているか否かを判別する。すなわち、ロボット1が停止していたり、ロボット1の動作速度が低速に制限されていたりするか否かを判別する。ステップ107において、ロボット1の動作制限が実施されている場合には、ステップ108に移行する。
【0044】
ステップ108において、動作制御部43は、ロボットの動作制限を解除する。次に、ステップ109に移行する。ステップ107において、ロボットの動作制限が実施されていない場合には、ステップ109に移行する。
【0045】
ステップ109において、発光制御部47は、緑色の光で連続的に点灯するように発光装置52を制御する。人に対して監視領域95の外側に居ることを知らせることができる。
【0046】
このように、本実施の形態のロボットシステムにおいては、停止領域93に人が侵入した場合、速度制限領域94に人が侵入した場合、または、停止領域93および速度制限領域94の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光形態を変化させることができる。ロボット1の周りに居る人は、自分がどの領域に居るかを容易に認識することができる。また、ロボット1に注意を払っていない場合においても、発光装置52の発光形態が変化するために、人に注意を促すことができる。このために、人がロボット1に不用意に近づいてロボット1に接触することを抑制できる。
【0047】
本実施の形態においては、監視領域95への人の侵入を検出した場合に、発光装置52が点滅するように制御されている。この構成により、人が注意すべき領域に侵入したことを容易に認識することができる。また、人に対して注意を促すことができる。
【0048】
また、発光制御部47は、停止領域93に人が侵入した場合、速度制限領域94に人が侵入した場合、または、停止領域93および速度制限領域94の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置52が発光する色を変化させる制御を実施している。この構成により、人がどの領域に居るのかを容易に認識することができる。
【0049】
なお、発光形態を変化させる制御としては、発光装置52が発光する色を変化させる制御に限られず、発光装置52が消灯する制御を実施しても構わない。例えば、人が監視領域95の外側に居る場合には、発光装置52が消灯する制御を実施しても構わない。
【0050】
また、発光制御部47は、停止領域93に人が侵入した場合、速度制限領域94に人が侵入した場合、または、停止領域93および速度制限領域94の両方の領域に人が侵入していない場合に応じて、発光装置52の点滅の有無を制御している。この構成により、人がどの領域に居るのかを容易に認識することができる。また、人に対して注意を促すことができる。
【0051】
更に、本実施の形態においては、発光装置52が発光する色を領域ごとに変化させているが、この形態に限られず、発光する光は単色であっても構わない。この場合には、消灯および点滅の時間間隔を制御することにより、人に対して注意を促すことができる。例えば、監視領域95の外側に人が居る場合には、発光装置52を消灯させる制御を行うことができる。速度制限領域94に人が居る場合には、発光装置52を点灯させる制御を行うことができる。さらに、停止領域93に人が居る場合には、発光装置52を点滅させる制御を行うことができる。
【0052】
または、速度制限領域94の内部に人が居る場合には、発光装置52を比較的に長い時間間隔で点滅させることができる。停止領域93に人が居る場合には、比較的に短い時間間隔で点滅させることができる。すなわち、停止領域93に人が居る場合には、速度制限領域94に人が居る場合よりも点滅する時間間隔を短くすることができる。このような制御にても、人がどの領域に居るかを認識することができる。また、人に対して注意を促すことができる。
【0053】
また、侵入検知器としては、レーザスキャナ装置に限られず、ロボットの周りに設定された領域に人が侵入していることを検出可能な任意の検知器を採用することができる。
【0054】
図5に、本実施の形態における第2のロボットシステムの概略斜視図を示す。第2のロボットシステムにおいては、設置台4の背面に壁が存在しておらずに、ロボット1が解放された空間に配置されている。
【0055】
第2のロボットシステムは、侵入検知器としてのマットスイッチ装置55a,50bを備える。マットスイッチ装置55aは、停止領域93の形状に対応するように形成されている。マットスイッチ装置55bは、速度制限領域94の形状に対応するように形成されている。このように、監視領域95の内部に、2つのマットスイッチ装置55a,55bが配置されている。
【0056】
図5および図3を参照して、マットスイッチ装置55a,55bは、例えば、互いに対向する上側のゴム板と下側のゴム板との間に、テープ状のスイッチ素子が配置されている構造を有する。スイッチ素子は、互いに離れた上側導電板と下側導電板とを含む。マットスイッチ装置55a,55bが押圧されることにより、上側導電板と下側導電板とが接触して導通が検出される。例えば、人が停止領域93に侵入した場合には、マットスイッチ装置55aが踏まれる。この時に、マットスイッチ装置55aのスイッチ素子の導通が検出される。侵入判定部46は、停止領域93に人が居ると判別する。また、侵入判定部46は、マットスイッチ装置55bのスイッチ素子の導通が検出された場合に、速度制限領域94に人が居ると判別する。このように、制御装置2は、マットスイッチ装置55a,55bの導通状態に基づいて、それぞれの領域に人が居るか否かを判別することができる。
【0057】
また、第2のロボットシステムにおいては、設置台4の周りに壁が配置されていない。このために、設置台4を取り囲むように停止領域93および速度制限領域94を含む監視領域95が設定されている。このように、監視領域95は、ロボット1が設置される場所や人が近づく状況に応じて、任意に設定することができる。
【0058】
第2のロボットシステムは、発光装置53を含む。発光装置53は、複数の照射ライト53aを含む。照射ライト53aは、設置台4の下部に配置され、設置台4の4つの側面4a,4bを照らすように形成されている。照射ライト53aは、例えば、LEDライトにより構成することができる。このように、発光装置は、設置台の表面に埋め込まれる形態に限られず、設置台の表面を照射するように形成されていても構わない。
【0059】
また、本実施の形態の発光装置は、設置台の側面を明るくするように形成されているが、この形態に限られず、上面を明るくするように形成されていても構わない。すなわち、発光装置は、設置台の少なくとも一部の表面を明るくすることができれば任意の構成を採用することができる。
【0060】
図6に、本実施の形態における第3のロボットシステムの概略斜視図を示す。第3のロボットシステムは、侵入検知器51が第1のロボットシステムと異なる。第3のロボットシステムの侵入検知器51は、ライトカーテン装置56,57である。図6に示す例では、監視領域のうち停止領域93の検出の為に配置されているライトカーテン装置を示している。
【0061】
ライトカーテン装置56は、棒状に形成された投光器56aおよび棒状に形成された受光器56bを含む。投光器56aは、矢印96に示すように、受光器56bに向かって複数本の光を放出する。受光器56bは、受光したことを検出する。投光器56aおよび受光器56bは、長手方向が水平になるように配置されている。投光器56aおよび受光器56bは、人の検出が可能な低い位置に配置されている。本実施の形態では、投光器56aおよび受光器56bは床面に載置されている。ライトカーテン装置57は、ライトカーテン装置56と同様の構造を有する。ライトカーテン装置57は、矢印97に示すように投光器57aが発した光を受光器57bで受光するように形成されている。
【0062】
図6および図3を参照して、投光器56aと受光器56bとの間の領域に人が侵入した場合には、複数本の光のうち少なくとも一部の光が遮断される。ライトカーテン装置56は、少なくとも一部の光が遮断されたことを検出する。この場合に、侵入判定部46は、投光器56aと受光器56bとの間の領域に人が侵入したと判別する。すなわち、侵入判定部46は、停止領域93に人が居ると判別する。ライトカーテン装置57についても同様に、少なくとも一部の光が遮断されたことを検出する。そして、侵入判定部46は、停止領域93に人が居ると判別する。
【0063】
図6に示す例では、3つのライトカーテン装置56,57によって停止領域93に人が侵入したことを検出している。速度制限領域94を設ける場合にも、停止領域93に配置されたライトカーテン装置と同様の構成を採用することができる。
【0064】
図7に、本実施の形態における第4のロボットシステムの概略斜視図を示す。図8に、本実施の形態の第4のロボットシステムのブロック図を示す。図7および図8を参照して、第4のロボットシステムは、設置台4が移動可能に形成されている。第4のロボットシステムは、設置台4を移動させる移動装置61を備える。動作制御部43は、移動装置駆動部62を介して移動装置61を駆動する。
【0065】
移動装置61は、設置台4の内部に配置されている移動モータとレール8とを含む。設置台4は、レール8の表面に配置され、レール8に沿って移動可能である。移動装置61が駆動することにより、矢印98に示すように、設置台4はレール8の延びる方向に移動する。設置台4の背面には、ワーク作業台5が配置されている。第4のロボットシステムにおいては、設置台4に載置されたワークWをワーク作業台5の複数の位置に配置する作業を行う。
【0066】
侵入検知器としては、第1のロボットシステムにて採用されているレーザスキャナ装置51a〜51cが採用されている。監視領域95は、ロボット1からの距離に基づいて設定することが好ましい。第4のロボットシステムでは、設置台4が移動するとロボット1の位置も移動する。レーザスキャナ装置51a〜51cは、設置台4に固定されているために設置台4と共に移動する。そして、移動した位置にてロボット1を基準にした監視領域95に人が侵入しているか否かを判別することができる。すなわち、監視領域95を矢印98に示す方向に移動させることができる。
【0067】
このように、第4のロボットシステムにおいては、監視領域95を設置台4と共に移動させることができる。設置台4が移動しても、ロボット1の位置を基準にした監視領域95にて人の侵入を検知することができる。
【0068】
本実施の形態のロボットの運転は、動作プログラムに基づいてロボットが自動的に動作しているが、この形態に限られず、作業者が操作盤を操作することによりロボットを手動にて動かす場合にも適用することができる。
【0069】
上述のそれぞれの制御においては、機能および作用が変更されない範囲において適宜ステップの順序を変更することができる。上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0070】
1 ロボット
2 制御装置
3 ロボットシステム
4 設置台
4a〜4c 側面
8 レール
43 動作制御部
44 アーム駆動部
45 ハンド駆動部
46 侵入判定部
47 発光制御部
51 侵入検知器
51a〜51c レーザスキャナ装置
52,53 発光装置
52a LEDライト
53a 照射ライト
55a,55b マットスイッチ装置
56,57 ライトカーテン装置
61 移動装置
93 停止領域
94 速度制限領域
95 監視領域
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8