(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034977
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】リモートノードデバイス、光ネットワークユニット、ならびにそのシステムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
H04B 10/291 20130101AFI20161121BHJP
H04B 10/272 20130101ALI20161121BHJP
H04L 12/44 20060101ALI20161121BHJP
H04J 14/00 20060101ALI20161121BHJP
H04J 14/02 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
H04B9/00 291
H04B9/00 272
H04L12/44 200
H04B9/00 E
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-542373(P2015-542373)
(86)(22)【出願日】2013年11月12日
(65)【公表番号】特表2016-504813(P2016-504813A)
(43)【公表日】2016年2月12日
(86)【国際出願番号】IB2013002807
(87)【国際公開番号】WO2014076565
(87)【国際公開日】20140522
【審査請求日】2015年6月23日
(31)【優先権主張番号】201210457731.X
(32)【優先日】2012年11月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ジェンセン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チンジアン
(72)【発明者】
【氏名】グイ,リン
(72)【発明者】
【氏名】ムウ,ホンチエン
(72)【発明者】
【氏名】シヤオ,スーミヤオ
【審査官】
前田 典之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−151841(JP,A)
【文献】
Wolfgang Kiess et al.,Protection scheme for passive optical networks shared between a fixed and a mobile operator,Optical Fiber Communication Conference and Exposition (OFC/NFOEC), 2012 and the National Fiber Optic,米国,IEEE,2012年 3月 4日,pages.1-3
【文献】
Lei Zong et al.,A Novel Protection Scheme for WDM-PONs Using Waveband Filters,European Conference on Optical Communications, 2006. ECOC 2006.,米国,IEEE,2006年 9月24日,pages.1-2
【文献】
Frank J. Effenberger et al.,Next-generation PON-part II: Candidate systems for next-generation PON,IEEE Communications Magazine,IEEE,2009年11月,Vol.47, Issue.11,pages.50-57
【文献】
Qiguang Zhao, Chun-Kit Chan,A Wavelength-Division-Multiplexed Passive Optical Network With Flexible Optical Network Unit Internetworking Capability,IEEE Journal of Lightwave Technology,米国,IEEE,2007年 8月,Vol.25, Issue.8,pages.1970-1977
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/291
H04B 10/272
H04J 14/00
H04J 14/02
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のためのリモートノードデバイス(320)であって、受動光ネットワークが、光回線終端装置と、リモートノードデバイスと、光ネットワークユニットとを備え、リモートノードデバイスが、
光ネットワークユニットのうちの1つのアップストリーム光信号を受信し、それを第1の光信号として出力するように構成されたN×Nアレイ導波路回折格子(321)であって、第1の光信号が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の第1の部分、および/または光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の第2の部分を含み、第1の帯域が、第2の帯域と異なる、N×Nアレイ導波路回折格子(321)と、
帯域ごとに、第1の光信号を第1の部分に分離し、第1の部分を光回線終端装置に送信する、および/または第1の光信号を第2の部分に分離し、第2の部分を第2の光信号として出力するように構成された1×2波長分割多重化装置(322)と、
第2の光信号を、第1の光信号が出力される端子を除くN×Nアレイ導波路回折格子の(N−1)個の端子、および光ネットワークユニットとの接続のための端子に送信し、第2の光信号を、対応する光ネットワークユニットにN×Nアレイ導波路回折格子を通じて送信するように構成された1×(N−1)パワー分配器(323)と
を備える、リモートノードデバイス(320)。
【請求項2】
受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットであって、受動光ネットワークが、光回線終端装置と、光回線終端装置に接続されたリモートノードデバイスと、光ネットワークユニットとを備え、光ネットワークユニットが、
光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の第1の光信号および光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の第2の光信号を含む、入力端子でリモートノードデバイスから受信される光信号を、第1の出力端子から出力される第1の光信号および第2の出力端子から出力される第2の光信号に分離するように構成された、入力端子ならびに第1の出力端子および第2の出力端子を有する波長分割多重化装置(341)と、
第1の光信号を、第3の光信号および第3の光信号と同じ情報を含む第4の光信号に分離するように構成された、第1の出力端子と接続された入力端子を有する光分配器(342)と、
光分配器から第3の光信号を受信し、第3の光信号のダウンストリームデータを受信するように構成された、光分配器と接続された第1の受信器(343)と、
第4の光信号を反射し変調して、第1の帯域のアップストリームデータを送信するように構成された、光分配器と接続された変調デバイス(344)と、
光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の光信号を、波長分割多重化装置(341)の第2の出力端子を介し、波長分割多重化装置を通じて、リモートデバイスへ送信するように構成された送信器(346)と、
波長分割多重化装置の第2の出力端子から出力された第2の光信号を受信し、第2の光信号のダウンストリームデータを受信するように構成された第2の受信器(345)とを備え、
第1の帯域が、第2の帯域と異なる、光ネットワークユニット。
【請求項3】
変調デバイスが、第4の光信号を反射し変調して、第1の帯域のアップストリームデータを送信するように構成された送信変調器である、請求項2に記載の光ネットワークユニット。
【請求項4】
光ネットワークユニットが、無線通信ネットワークの基地局である、請求項2に記載の光ネットワークユニット。
【請求項5】
受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワーク伝送システムであって、請求項1に記載のリモートノードデバイスと、請求項2から4のいずれか一項に記載の複数の光ネットワークユニットと、リモートノードデバイスと接続された光回線終端装置とを備える、光ネットワーク伝送システム。
【請求項6】
光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットのそれぞれが、第1の帯域における固有の波長および第2の帯域における固有の波長を有する、請求項5に記載の光ネットワーク伝送システム。
【請求項7】
光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットのそれぞれが、2つの固有の波長間に100GHzの間隔のある、第1の帯域における固有の波長および第2の帯域における固有の波長を有する、請求項6に記載の光ネットワーク伝送システム。
【請求項8】
受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための方法であって、受動光ネットワークが、光回線終端装置と、リモートノードデバイスと、光ネットワークユニットとを備え、
a.リモートノードデバイスにおけるN×Nアレイ導波路回折格子が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の第1の部分および光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の第2の部分を含む光信号を、N×Nアレイ導波路回折格子と接続された最大N個の光ネットワークユニットのうちの1つ以上から受信し、前記光信号を、リモートノードデバイスの波長分割多重化装置に送信するステップと、
b.波長分割多重化装置が、光信号を第1の部分と第2の部分に分離し、第1の部分を、リモートノードデバイスと接続された光回線終端装置に、第2の部分を、リモートノードデバイスのパワー分配器に送信するステップと、
c.パワー分配器が、第2の部分を、同じコンテンツを有する(N−1)個の部分に均等に分割し、(N−1)個の部分をそれぞれN×Nアレイ導波路回折格子に送信するステップと、
d.N×Nアレイ導波路回折格子が、第2の部分を、対応する光ネットワークユニットに分配するステップとを含み、
第1の帯域が、第2の帯域と異なる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、受動光ネットワークに関し、より詳細には、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のためのリモートノードデバイス、光ネットワークユニット、ならびにそのシステムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
受動光ネットワーク(PON)が、ブロードバンド光アクセスネットワークへの非常に有望な解決策として提案されている。近年、TDM−PON、WDM−PON、OCDM/OFDM−PONなどの様々なPONの解決策が、提案されている。具体的には、TDM−PONテクノロジに基づくEPONおよび10GPONは、標準化され、現在、多くの国で配備されており、これらの解決策は、最大10Gbit/sのデータ伝送速度を提供することができる一方で、急速に発展するインターネットサービスおよび絶えず増大する帯域要求が存在し、長期の視点から、現在のPONシステムとの互換性を維持できるとともに、10Gbit/sをはるかに超える帯域を提供する、次世代PON(NGPON)アクセスシステムを定義することが望ましい。
【0003】
OCDM/OFDM−PONは依然として揺籃期にあるが、WDM−PONは、40Gbit/sを超えるデータ速度を提供できる比較的成熟した代替の解決策である。WDM−PONでは、各ONUは、専用の波長とともに割り当てられ、WDM−PONには、大容量、従来の(legacy)PONとの互換性などの多数の利点がある。いくつかの波長がスタックされると、幹線系光ファイバ当たりの合計容量は、容易に40Gbit/sを超え、100Gbit/sにさえ達する可能性がある。
【0004】
しかし、WDM−PONにおける光回線終端装置(OLT)と各光ネットワークユニット(ONU)との間のダウンストリーム/アップストリーム信号に対する帯域要求を満たす必要のほかに、ユーザは超高速および低遅延で別のONUとデータを共有できるという理由で、異なるONU間の相互通信が不可欠になっている。そうした応用シナリオの例において、大学および企業は、異なるキャンパス間もしくは支店間の大量のデータを伝達する必要があり、すなわち異なる基地局は、協調的に相互に動作する必要がある。しかし、従来のWDM−PONアーキテクチャでは、光回線終端装置と各光ネットワークユニットとの間のアップストリーム伝送リンクおよびダウンストリーム伝送リンクだけが使用できるので、直接の相互通信は、異なる光ネットワークユニット間で可能ではなく、したがって、ネットワークの柔軟性および効率性を大幅に限定する。
【0005】
異なる光ネットワークユニット間の通信を可能にするために、
図1(a)および
図1(b)に示されているような従来の解決策がある。
図1(a)では、異なる光ネットワークユニットが光ファイバ接続されており、このことが、異なる光ネットワークユニット間の直接通信を可能にしているが、大量の配線手段は、高額な配線コストと困難なネットワーク保守の両方を伴うことになる。さらに、
図1(b)に示されているような別の解決策があり、そこでは、異なる光ネットワークユニットが、リモートノードを介し光回線終端装置に至る、光ネットワークユニットの通信リンクを通じて相互に通信するが、そうした通信は、光−電気−光(O−E−O)という2つの変換を受けなければならず、さらに一般には、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間は、通常、数十キロメートルという遠距離であり、そのため、そうした伝送距離と光−電気−光変換処理の両者が、必然的に、光ネットワークユニット間の通信においてさらなる遅延を引き起こすことになり、また光回線終端装置における処理労力を大きくし、システムの複雑さを増すことにもなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術、および上記のように確認されているその技術的な問題を考えると、低コストでの光ネットワークユニット間の相互通信の方法ならびにその対応するデバイスおよびシステムを提供することが可能であれば、それは非常に有益なものになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のためのリモートノードデバイスであって、受動光ネットワークが、光回線終端装置と、リモートノードデバイスと、光ネットワークユニットとを備え、リモートノードデバイスが、
光ネットワークユニットのうちの1つのアップストリーム光信号を受信し、それを第1の光信号として出力するように構成されたN×Nアレイ導波路回折格子であって、第1の光信号が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の第1の部分、および/または光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の第2の部分を含み、第1の帯域が、第2の帯域と異なる、N×Nアレイ導波路回折格子と、
帯域ごとに、第1の光信号を第1の部分に分離し、第1の部分を光回線終端装置に送信する、および/または第1の光信号を第2の部分に分離し、第2の部分を第2の光信号として出力するように構成された1×2波長分割多重化装置と、
第2の光信号を、第1の光信号が出力される端子を除くN×Nアレイ導波路回折格子の(N−1)個の端子、および光ネットワークユニットとの接続のための端子に送信し、第2の光信号を、対応する光ネットワークユニットにN×Nアレイ導波路回折格子を通じて送信するように構成された1×(N−1)
パワー分配器(power distributor)と
を備える、リモートノードデバイスが提案される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットであって、
第1の帯域の第1の光信号および第2の帯域の第2の光信号を含む、入力端子から受信される光信号を、第1の出力端子から出力される第1の光信号および第2の出力端子から出力される第2の光信号に分離するように構成された、入力端子ならびに第1の出力端子および第2の出力端子を有する波長分割多重化装置と、
第1の光信号を、第3の光信号および第3の光信号と同じ情報を含む第4の光信号に分離するように構成された、第1の出力端子と接続された入力端子を有する光分配器(optical distributor)と、
光分配器から第3の光信号を受信し、第3の光信号のダウンストリームデータを受信するように構成された、光分配器と接続された第1の受信器と、
第4の光信号を反射し変調して、第1の帯域のアップストリームデータを送信するように構成された、変調デバイスと、
光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の光信号を波長分割多重化装置を通じて送信するように構成された送信器と、
波長分割多重化装置から第2の光信号を受信し、第2の光信号のダウンストリームデータを受信するように構成された第2の受信器とを備え、
第1の帯域が、第2の帯域と異なる、光ネットワークユニットが提案される。
【0009】
一実施形態では、変調デバイスが、第4の光信号を反射し変調して、第1の帯域のアップストリームデータを送信するように構成された送信変調器である。
【0010】
一実施形態では、光ネットワークユニットが、無線通信ネットワークの基地局である。
【0011】
本発明の第3の態様によれば、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワーク伝送システムであって、第1の態様に記載のリモートノードデバイスと、第2の態様に記載の複数の光ネットワークユニットと、リモートノードデバイスと接続された光回線終端装置とを備える、光ネットワーク伝送システムが対置される。
【0012】
一実施形態では、光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットのそれぞれが、第1の帯域における固有の波長および第2の帯域における固有の波長を有する。
【0013】
一実施形態では、光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットのそれぞれが、2つの固有の波長間に100GHzの間隔のある、第1の帯域における固有の波長および第2の帯域における固有の波長を有する。
【0014】
本発明の解決策では、光ネットワークユニット間の相互通信は、従来の光回線終端装置を修正することなく、単にリモートノードデバイスおよび光ネットワークユニットを構造的に修正することにより、リモートノードデバイスだけを通じて実現することができ、その一方で、通信のための光信号は、光−電気−光変換処理を受けないことになり、すなわち、異なる光通信ユニット間の通信が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信リンクなしで、リモートノードを通じて実行でき、それによって数十キロメートルという伝送距離がもたらす遅延を回避でき、その上、信号は、通信プロセス全体を通じて、光−電気変換およびその後の電気−光変換なしで光学的に存在することになる。これら2つの態様は、一緒に動作することで通信の遅延を大幅に低減することができる。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための方法であって、
a.リモートノードデバイスにおけるN×Nアレイ導波路回折格子が、第1の帯域の第1の部分および第2の帯域の第2の部分を含む光信号を、N×Nアレイ導波路回折格子と接続された最大N個の光ネットワークユニットのうちの1つ以上から受信し、光信号を、リモートノードデバイスの波長分割多重化装置に送信するステップと、
b.波長分割多重化装置が、光信号を第1の部分と第2の部分に分離し、第1の部分を、リモートノードデバイスと接続された光回線終端装置に、第2の部分を、リモートノードデバイスの
パワー分配器に送信するステップと、
c.
パワー分配器が、第2の部分を、同じコンテンツを有する(N−1)個の部分に均等に分割し、(N−1)個の部分をそれぞれN×Nアレイ導波路回折格子に送信するステップと、
d.N×Nアレイ導波路回折格子が、第2の部分を、対応する光ネットワークユニットに分配するステップとを含み、
第1の帯域が、第2の帯域と異なる、方法が提供される。
【0016】
本発明のほかの機能、目的、および利点は、以下の図面を参照しながら取り上げられる、非限定的な実施形態に関する以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1(a)】従来技術における光ネットワークユニット間の相互通信の概略図である。
【
図1(b)】従来技術における光ネットワークユニット間の相互通信の概略図である。
【
図2】光ネットワークユニット間の発明の概念の概略図である。
【
図3】
図2に示されている概念に従う、特定のリモートノードデバイスおよび光ネットワークユニットの概略構造図である。
【
図4】本発明による第1の帯域「C」および第2の帯域「L」の分配の概略図である。
【
図5】それぞれの光ネットワークユニットによって使用されている波長のリストを示す図である。
【
図6】本発明によるN×Nアレイ導波路回折格子の構成の概略図である。
【
図7】信号を他の光ネットワークユニットにブロードキャストしている光ネットワークユニットONU1の一実施形態の概略図である。
【
図8】
図3のそれぞれの場所での波長の組合せの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
同一もしくは同様のデバイス(モジュール)またはステップは、図面を通じて、同一または同様の参照番号によって示される。
【0019】
好ましい実施形態に関する以下の特定の説明は、本発明の一部を構成する図面を参照しながら行われる。図面は、例として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。例示的実施形態は、本発明のすべての実施形態を網羅することを意図するものではない。他の実施形態が可能であり得るか、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的な修正または論理的な修正が実施され得ることが理解できよう。したがって、以下の詳細な説明は限定的であることを意図するものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で示すように定義されることになる。
【0020】
図1(a)および
図1(b)は、従来技術における光ネットワークユニット間の相互通信の概略図を示しており、またこれら2つの図は「背景技術」の節で説明されたため、その説明の繰り返しは本明細書では省略される。
【0021】
従来の解決策の欠点、すなわち、
図1(a)および
図1(b)に示されている欠点を克服するために、本発明は、
図2に示されているような解決策を提案する。
図2は、光ネットワークユニット間の発明の概念の概略図を示す。この図では、ある光ネットワークユニットと別の光ネットワークユニットとの間の通信は、光信号が、光回線終端装置に送信され、次いで光回線終端装置から送り返される必要はなく、また追加の光ファイバが、異なる光ネットワークユニット間に必ずしもさらに配備されることはない。代わりに光ネットワークユニットは、光ネットワークユニットとリモートノードデバイスとの間の既存の回線を通じて通信でき、さらに光信号は、リモートノードデバイスに送信された後、光回線終端装置に送信されることなく、対応する光ネットワークユニットに返されることになり、それによって光信号の光−電気−光変換を回避し、したがって信号の伝送遅延を大幅に低減する。
【0022】
図2に示されている発明の概念を実現するために、本発明は、対応する解決策をハードウェアにおける改良されたリモートノードデバイスおよび光ネットワークユニットに提案する。
図3は、
図2に示されている概念に従う、特定のリモートノードデバイスおよび光ネットワークユニットの概略構造図を示す。この図から明らかなように、本発明による、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のためのリモートノードデバイス320があり、そこでは、受動光ネットワークが、光回線終端装置と、リモートノードデバイスと、光ネットワークユニットとを備え、リモートノードデバイスが、光ネットワークユニットのうちの1つのアップストリーム光信号を受信し、それを第1の光信号として出力するように構成されたN×Nアレイ導波路回折格子321であって、第1の光信号が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の第1の部分、および/または光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の第2の部分を含み、第1の帯域が、第2の帯域と異なる、N×Nアレイ導波路回折格子321と、帯域ごとに、第1の光信号を第1の部分に分離し、第1の部分を光回線終端装置に送信する、および/または第1の光信号を第2の部分に分離し、第2の部分を第2の光信号として出力するように構成された1×2波長分割多重化装置322と、第2の光信号を、第1の光信号が出力される端子を除くN×Nアレイ導波路回折格子の(N−1)個の端子、および光ネットワークユニットとの接続のための端子に送信し、第2の光信号を、対応する光ネットワークユニットにN×Nアレイ導波路回折格子を通じて送信するように構成された1×(N−1)
パワー分配器323とを備える。
【0023】
さらに、示されているように、本発明による、受動光ネットワークにおける光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットは、
第1の帯域の第1の光信号および第2の帯域の第2の光信号を含む、入力端子から受信される光信号を、第1の出力端子から出力される第1の光信号および第2の出力端子から出力される第2の光信号に分離するように構成された、入力端子ならびに第1の出力端子および第2の出力端子を有する波長分割多重化装置341と、
第1の光信号を、第3の光信号および第3の光信号と同じ情報を含む第4の光信号に分離するように構成された、第1の出力端子と接続された入力端子を有する光分配器342と、
光分配器から第3の光信号を受信し、第3の光ネットワークユニットのダウンストリームデータを受信するように構成された、光分配器と接続された第1の受信器343と、
第1の帯域のアップストリームデータを送信できるよう、第4の光信号を反射し変調するように構成された、光分配器と接続された変調デバイス344と、
光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の光信号を波長分割多重化装置を通じて送信するように構成された送信器346と、
波長分割多重化装置から第2の光信号を受信し、第2の光信号のダウンストリームデータを受信するように構成された第2の受信器345とを備え、第1の帯域が、第2の帯域と異なる。
【0024】
特に、光ネットワークユニットは、無線通信ネットワークの基地局となることができ、また本発明によって構成された基地局は、相互に通信し、それによって協調的に動作することができる。
【0025】
特に伝送プロセスでは、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信のための第1の帯域の光信号、および光ネットワークユニット間の相互通信のための第2の帯域の光信号は、相互に区別できるよう、異なる帯域で構成される。
図4は、波長分割多重化装置341および321による光分割の基準でもある、本発明による第1の帯域「C」および第2の帯域「L」の分配の概略図を示し、これにより相互に区別された2つの信号を有することができる。
図4に示されているように、これら2つの帯域Lおよび帯域Cは、重なることのない帯域である。単一の帯域では、異なる光ネットワークユニットに対して様々な波長も存在し、また光ネットワークユニット間の相互通信のための光ネットワークユニットのそれぞれは、2つの固有の波長間に100GHzの間隔のある、第1の帯域「C」における固有の波長および第2の帯域「L」における固有の波長を有する。
図5は、それぞれの光ネットワークユニットによって使用されている波長のリストを示す。
図5に示されているように、各光ネットワークユニットは、光ネットワークユニットと対応する光回線終端装置との間の通信に対して同じアップストリームおよびダウンストリームの波長を有し、また光ネットワークユニット間の相互通信に対しても同じアップストリームおよびダウンストリームの波長を有する。
【0026】
図6は、本発明によるN×Nアレイ導波路回折格子の構成の概略図を示す。本発明によるリモートノードデバイスにおけるN×Nアレイ導波路回折格子は、光ネットワークユニットのうちの1つと他の光ネットワークユニットとの間の通信をブロードキャスト方式で実現するように構成されている。具体的には、N×Nアレイ導波路回折格子は、循環的なN×Nアレイ導波路回折格子であり、ここで「循環的」とは、光ネットワークユニットから送信された光信号が、波長分割多重化装置を通じて
パワー分配器に送信された後、ブロードキャストされることにより、光信号を送信している光ネットワークユニット以外の光ネットワークユニットに送信され得ることを意味する。
【0027】
図7は、信号を他の光ネットワークユニットにブロードキャストしている光ネットワークユニットONU1の一実施形態の概略図を示す。信号を他の光ネットワークユニットにブロードキャストしている光ネットワークユニットONU1を説明の例にとれば、光ネットワークユニット1は、λ1およびλ1−intを含む光信号を、N×Nアレイ導波路回折格子を通じて波長分割多重化装置(WDM)に送信し、波長分割多重化装置は、波長λ1の光信号を出力し、また波長λ1−intの光信号を
パワー分配器1×(N−1)SCを通じてN×Nアレイ導波路回折格子のI2−IN入力端子に送信する。
図6に示されている配列では、光信号は、光ネットワークユニットONU1以外のすべての光ネットワークユニットに送信されることになり、それによって光ネットワークユニット1は、信号をブロードキャストすることにより、信号を他の光ネットワークユニットに伝達できるようになる。
【0028】
他の光ネットワークユニットもそれぞれ、信号を別の光ネットワークユニットに同じように送信し、またこのことが、異なる光ネットワークユニットによって同時に実行され得ることが、当業者には理解されよう。
【0029】
図8は、
図3のそれぞれの場所での波長の組合せの概略図を示す。第一に、ダウンストリームを図の説明の例にとれば、ダウンストリームでは、(a)において、波長λ
1−λ
Nの光信号が存在し、この光信号は、第一に、波長分割多重化装置321を通じて、いかなる変更もなく(b)に、次いでI1端子を介して、N×Nアレイ導波路回折格子に送信されることになり、その後、それぞれの波長の光信号は、波長に対応する光ネットワークユニットに送信される。アップストリームでは、光信号は、第一に、光ネットワークユニットによって生成され、光ネットワークユニットはそれぞれ、λ
i−λ
i−intの光信号を(ここでは、iは光ネットワークユニットの通し番号を表す)N×Nアレイ導波路回折格子の出力端子O1−ONに送信し、次にそれらは集められ、次いでI1端子から波長分割多重化装置WDM321に出力され、波長分割多重化装置WDM321において、第1の帯域のそれぞれの長さの光信号は、(a)から出力されることになり、第2の帯域「L」のそれぞれの波長の光信号は、(d)から出力されることになり、次いで光信号は、
パワー分配器1×(N−1)SCを通じて、N×Nアレイ導波路回折格子の(N−1)個の入力端子I2−INに送信されることになる。
図6に示されている配列では、光信号は、光信号を送信している光ネットワークユニット以外のすべての光ネットワークユニットに送信されることになり、それによって光ネットワークユニット間の相互通信が可能になる。
【0030】
本発明の解決策では、光ネットワークユニット間の相互通信は、従来の光回線終端装置を修正することなく、単にリモートノードデバイスおよび光ネットワークユニットを構造的に修正することにより、リモートノードデバイスだけを通じて実現することができ、その一方で、通信のための光信号は、光−電気−光変換処理を受けないことになり、すなわち、異なる光通信ユニット間の通信が、光ネットワークユニットと光回線終端装置との間の通信リンクなしで、リモートノードを通じて実行でき、それによって数十キロメートルという伝送距離がもたらす遅延を回避でき、その上、信号は、通信プロセス全体を通じて、光−電気変換およびその後の電気−光変換なしで光学的に存在することになる。これら2つの態様は、一緒に動作することで通信の遅延を大幅に低減することができる。
【0031】
本発明は、明らかであろうが、前述の例示的実施形態に限定されるものではなく、本発明の精神または本質から逸脱することなく、他の特定の形で具体化され得ることが、当業者には理解されよう。したがって実施形態は、いずれにしても例示的、また非限定的なものとみなされるべきである。さらに、明らかであろうが、「備える、含む(comprising)」という用語は、別の要素またはステップを排除するものではなく、「a」または「an」という用語は、複数を排除するものではない。装置の請求項で明言される複数の要素は、代替方法として、単数の要素として具体化することができる。「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、何らかの特定の順序を提示するのではなく、名前を指定することが意図されている。