(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6034981
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ジスルホニルアミド塩の顆粒または粉末、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 21/086 20060101AFI20161121BHJP
C07C 311/48 20060101ALI20161121BHJP
C07C 303/44 20060101ALI20161121BHJP
B01D 9/02 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
C01B21/086
C07C311/48
C07C303/44
B01D9/02 601G
B01D9/02 602E
B01D9/02 604
B01D9/02 608A
B01D9/02 615A
B01D9/02 615Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-547730(P2015-547730)
(86)(22)【出願日】2014年10月31日
(86)【国際出願番号】JP2014079054
(87)【国際公開番号】WO2015072353
(87)【国際公開日】20150521
【審査請求日】2016年1月29日
(31)【優先権主張番号】特願2013-237991(P2013-237991)
(32)【優先日】2013年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004307
【氏名又は名称】日本曹達株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】坪倉 史朗
(72)【発明者】
【氏名】相浦 恭幸
【審査官】
佐溝 茂良
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−182410(JP,A)
【文献】
特開2013−089365(JP,A)
【文献】
特開2013−087019(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/118063(WO,A1)
【文献】
国際公開第2011/149095(WO,A1)
【文献】
米国特許第05874616(US,A)
【文献】
特開2004−269491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 21/086
B01D 9/02
C07C 303/44
C07C 311/48
JSTPlus(JDreamIII)
CAplus(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式〔I〕で表される化合物からなり、モード径が80μm以下、メディアン径が45μm以下、または、(モード径)/(メディアン径)の比が1.7以下である、顆粒または粉末の製造方法であって、
前記式〔I〕で表される化合物を含むエステル系溶媒溶液を、ハロゲン化炭化水素系溶媒に添加することによる晶析工程を含む、顆粒または粉末の製造方法。
【化1】
式〔I〕中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基またはフッ素原子を示し、Y
+はアルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンを示す。
【請求項2】
前記のエステル系溶媒溶液は、前記式〔I〕で表される化合物の濃度が20質量%以上90質量%以下である、請求項1に記載の顆粒または粉末の製造方法。
【請求項3】
前記式〔I〕中、R1およびR2はともにフッ素原子を示す、請求項1または2に記載の顆粒または粉末の製造方法。
【請求項4】
前記式〔I〕中、Y+はリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、またはカリウムカチオンを示す、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末の製造方法。
【請求項5】
前記顆粒または粉末のメディアン径が5μm以上45μm以下である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末の製造方法。
【請求項6】
前記顆粒または粉末のモード径が5μm以上80μm以下である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジスルホニルアミド塩の顆粒または粉末、およびその製造方法に関する。より詳細に、本発明は、電解質などに好適なジスルホニルアミドアルカリ金属塩やジスルホニルアミドアンモニウム塩などのジスルホニルアミド塩の顆粒または粉末、およびその製造方法に関する。
本願は、2013年11月18日に日本に出願された特願2013−237991号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ビス(フルオロスルホニル)アミドアルカリ金属塩(M
+[(FSO
2)
2N]
-)などのジスルホニルアミド塩は、イオン性伝導材料として、または二次電池などに用いられる電解質や添加剤として有用である(特許文献1、特許文献2)。この化合物を電解質として使用する場合、化合物中に含まれる水、灰分、SO
42-、残留溶媒などの不純物が少ないほど好ましいことが報告されている(非特許文献1、特許文献3)。
【0003】
ビス(フルオロスルホニル)アミド塩を製造する方法としては、様々な方法が知られている。例えば、非特許文献2では、スルファミン酸と塩化チオニルとクロロスルホン酸を反応させて得られる化合物を、フッ化カリウムと反応させることにより、ビス(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩を製造している。非特許文献2では、前記反応後の反応液を分液操作等して得られる濃縮液に、塩化メチレンを滴下し、析出した結晶を濾別することでビス(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−210331号公報
【特許文献2】特表2001−527505号公報
【特許文献3】WO2011/149095
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】松田義晴ほか、リチウム二次電池の負極充放電特性に及ぼす電解液中のイミド塩純度の影響、電気化学会第68回大会講演要旨集、2001年3月25日、第232頁
【非特許文献2】Z.Anorg.Allg.Chem.2005、631、55−59
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池特性を劣化させる溶媒などの不純物の含有量が低いジスルホニルアミド塩を提供することが要求されている。
本発明の目的は、このような要求に応え得る、電解質などに好適なジスルホニルアミド塩の顆粒または粉末、およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を包含する。
〔1〕式〔I〕で表される化合物からなる、モード径が80μm以下である、顆粒または粉末。
【0008】
【化1】
【0009】
式〔I〕中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基またはフッ素原子を示し、Y
+はアルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンを示す。
〔2〕モード径が5μm以上80μm以下である〔1〕に記載の顆粒または粉末。
〔3〕式〔I〕で表される化合物からなる、メディアン径が45μm以下である、顆粒または粉末。
〔4〕メディアン径が5μm以上45μm以下である〔3〕に記載の顆粒または粉末。
〔5〕式〔I〕で表される化合物からなる、(モード径)/(メディアン径)の比が1.7以下である、顆粒または粉末。
〔6〕残留溶媒が1500ppm以下である〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末。
〔7〕残留溶媒が800ppm以下である〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末。
〔8〕R
1およびR
2がフッ素原子である〔1〕〜〔7〕のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末。
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末を溶解してなる電解液。
〔10〕式〔I〕で表される化合物を含むエステル系溶媒溶液を、ハロゲン化炭化水素系溶媒に添加することによる晶析工程を含む、〔1〕〜〔8〕のいずれかひとつに記載の顆粒または粉末の製造方法。
〔11〕前記のエステル系溶媒溶液は、式〔I〕で表される化合物の濃度が20質量%以上90質量%以下である、〔10〕に記載の顆粒または粉末の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る顆粒または粉末は、溶媒に素早く均一に溶解させることができ、二次電池、太陽電池などに用いられる電解液の製造の高効率化に資する。また、本発明に係る顆粒または粉末は、溶媒、金属イオンなどの不純物の含有量が低いので、電池特性を劣化させ難い。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る顆粒または粉末は、式〔I〕で表される化合物からなるものである。
【0013】
式〔I〕中、R
1およびR
2はそれぞれ独立して1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基またはフッ素原子を示し、Y
+はアルカリ金属カチオンまたはアンモニウムカチオンを示す。
【0014】
R
1およびR
2における1〜6個の炭素原子を有するフッ化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基などが挙げられる。フッ化アルキル基はアルキル基のすべての水素原子がフッ素原子で置換されているものが好ましい。これらのうちR
1およびR
2はともにフッ素原子であることが好ましい。
【0015】
Y
+におけるアルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンなどが挙げられる。
【0016】
式〔I〕で表わされる化合物は公知の方法によって製造することができる。式〔I〕で表わされる化合物の製造方法としては、例えば、スルファミン酸と塩化チオニルとクロロスルホン酸を反応させて得られる化合物を、フッ化カリウムと反応させることを含む方法、有機溶媒中で、ビス(フルオロスルホニル)アミンアンモニウム塩を、カチオン交換反応させて、ビス(フルオロスルホニル)アミンリチウム塩に転化させることを含む方法、ビス(クロロスルホニル)アミンアンモニウム塩とフッ化水素とを反応させることを含む方法などが挙げられる。
【0017】
本発明の一実施形態に係る顆粒または粉末は、モード径が、好ましくは80μm以下、より好ましくは5μm以上80μm以下である。モード径は、個数基準粒度分布における最頻度粒子径である。本発明におけるモード径は、レーザー回折法によって測定される値である。具体的には、測定対象の顆粒または粉末をジクロロメタンに分散させ、その分散液をレーザー回折式粒度分布測定装置〔島津製作所社製、SALD−2200〕にセットして測定する。該モード径が大きくなりすぎると、電池特性を劣化させる恐れのある溶媒などの不純物の量が多くなる傾向がある。
【0018】
本発明の一実施形態に係る顆粒または粉末は、メディアン径が、好ましくは45μm以下、より好ましくは5μm以上45μm以下である。メディアン径は、個数基準累積粒度分布における50%粒子径である。本発明におけるメディアン径は、レーザー回折法によって測定される値である。具体的には、測定対象の顆粒または粉末をジクロロメタンに分散させ、その分散液をレーザー回折式粒度分布測定装置〔島津製作所社製、SALD−2200)にセットして測定する。該メディアン径が大きくなりすぎると、電池特性を劣化させる恐れのある溶媒などの不純物の量が多くなる傾向がある。
【0019】
本発明の一実施形態に係る顆粒または粉末は、(モード径)/(メディアン径)の比が、好ましくは1.7以下、より好ましくは1.5以下である。(モード径)/(メディアン径)の比が1に近いほど粒度分布が狭いことを意味する。また、(モード径)/(メディアン径)が小さいほど微細な顆粒または粉末が多いことを意味する。モード径およびメディアン径は前述した方法で決定することができる。(モード径)/(メディアン径)の比が大きくなると、大粒径領域の顆粒または粉末に溶媒などの不純物が除去しきれずに残り易くなる。
【0020】
本発明の好ましい実施形態に係る顆粒または粉末は、残留溶媒の量が好ましくは1500ppm以下、より好ましくは800ppm以下である。ここで残留溶媒の量は、エステル系溶媒およびハロゲン化炭化水素系溶媒の合計量である。残留溶媒の量が多すぎると電池特性を劣化させる恐れが高くなる。残留溶媒の量は、測定対象の顆粒または粉末50mgを水5mL及びメタノール1μLに添加して密閉して測定用の溶液を得、この液を、ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析システムを用いて下記の条件にて分析することによって決定できる。
【0021】
〈分析条件〉
装置: 島津製作所社製 GCMS−QP2010 plus、GC−2010、パーキンエルマ社製 Turbo Matrix40
カラム: HP−5(長さ:30m、カラム内径:0.53mm、膜厚:0.25μm)(アジレント社製)
カラム温度条件: 50℃(0分保持)、5℃/分で100℃まで昇温(0分保持)
ヘッドスペース条件: バイアル温度70℃(20分保持)、ニードル温度100℃、トランスファライン温度150℃
キャリアガス: ヘリウム、80kPa
インターフェース温度: 230℃
イオン源: EI
イオン源温度: 200℃
測定モード: SIM(ターゲットイオンm/z72、確認イオンm/z71)
【0022】
本発明に係る顆粒または粉末は、その調製方法によって、特に限定されない。調製方法としては、例えば、析出または晶析を含む方法、噴霧乾燥を含む方法、凍結乾燥を含む方法、粉砕、造粒および/または分級を含む方法などが挙げられる。これらのうち、本発明では析出または晶析を含む方法で顆粒または粉末を調製するのが好ましい。析出または晶析を含む方法には、蒸発晶析法、冷却晶析法、貧溶媒晶析法などが有るが、貧溶媒晶析法が好ましい。
【0023】
貧溶媒晶析法は、溶液に貧溶媒を添加することによって行う方法と、貧溶媒に溶液を添加することによって行う方法があるが、本発明においては後者の方法が好ましい。前者の方法は貧溶媒を添加する条件(添加速度、添加位置など)が晶析の状態に影響し、例えば、粒径の大きい顆粒または粉末の割合が多くなることがある。
【0024】
本発明に係る顆粒または粉末の製造に好適な方法は、式〔I〕で表される化合物を含むエステル系溶媒溶液を、ハロゲン化炭化水素系溶媒に添加することによる晶析工程を含むものである。
【0025】
エステル系溶媒は式〔I〕で表される化合物の溶解度が高いものであれば特に限定されない。本発明に用いることができるエステル系溶媒としては、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸セロソルブ、酢酸アミル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸イソプロピル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチルなどが挙げられ、酢酸ブチルが好ましく使用される。
【0026】
式〔I〕で表される化合物を含むエステル系溶媒溶液は、エステル系溶媒に式〔I〕で表される化合物を添加溶解させることによって得ることができる。また、エステル系溶媒中にて式〔I〕で表される化合物を前述したような反応で合成することによっても得ることができる。前記エステル系溶媒溶液は、式〔I〕で表される化合物の濃度が、好ましくは20質量%以上90質量%以下、より好ましくは30質量%以上75質量%以下、より更に好ましくは30質量%以上50質量%以下である。濃度が低すぎると生産性が低下し、濃度が高すぎると溶液の粘度が高くなって扱いが不便となる傾向にある。
【0027】
ハロゲン化炭化水素系溶媒は、式〔I〕で表される化合物の溶解度が小さいもの、すなわち貧溶媒であれば特に限定されない。本発明に用いることができるハロゲン化炭化水素系溶媒としては、ジクロロメタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン、3,3−ジクロロ−1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、ブロモプロパン、クロロホルムなどが挙げられ、ジクロロメタンが好ましく使用される。ハロゲン化炭化水素系溶媒の使用量(体積)は、特に制限されないが、前記エステル系溶媒溶液の体積よりも多いことが好ましい。
【0028】
ハロゲン化炭化水素系溶媒の添加の条件は、特に制限されない。晶析時の温度も特に制限されない。例えば、室温付近にて、好ましくは0〜50℃にて、晶析を行うことができる。
【0029】
次に、晶析によって得られた顆粒または粉末を母液から分離する。分離方法として、化学工学における通常の固液分離操作を採用することができる。例えば、沈降法、遠心分離法などが挙げられる。なお、分離された母液は、エステル系溶媒とハロゲン化炭化水素系溶媒とに液液分離して、式〔I〕で表される化合物の合成工程、式〔I〕で表される化合物の晶析工程などにおいて再使用することができる。液液分離は蒸留法などの公知の方法で行うことができる。
【0030】
母液から分離された顆粒または粉末は、公知の方法によって乾燥させる。乾燥は、真空乾燥法、熱風乾燥法、赤外線乾燥法、マイクロ波乾燥法などの方法で行うことができる。これらのうち、真空乾燥法が好ましく、不活性ガスを循環させての真空乾燥法がより好ましい。乾燥温度は、好ましくは20〜70℃、より好ましくは30〜65℃である。乾燥温度が高すぎると式〔I〕で表される化合物の分解反応が起きることがある。乾燥温度が低すぎると残留溶媒の量が多くなることがある。
【0031】
このようにして得られる本発明の顆粒または粉末は、二次電池などにおいて用いられる電解質に好適である。
【0032】
本発明の実施形態に係る電解液は、本発明の顆粒または粉末を溶解してなるものである。電解液に用いられる溶媒は、用途に応じて適切なものを選択することができる。溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、ビニレンカーボネート;イミダゾリウム塩イオン液体、ピロリジニウム塩イオン液体、ピペリジニウム塩イオン液体、ピリジニウム塩イオン液体、脂肪族系イオン液体、ホスホニウム塩イオン液体、スルホニウム塩イオン液体、アンモニウム塩イオン液体、よう素系イオン液体などの非水系溶媒が挙げられる。リチウムイオン電池に用いられる電解液には、本発明の顆粒または粉末以外の、リチウム塩が含まれていてもよい。リチウム塩としては、LiClO
4、LiPF
6、LiAsF
6、LiBF
4、LiSO
3CF
3、CH
3SO
3Li、CF
3SO
3Liなどが挙げられる。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜に変更を加えて実施することが勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0034】
合成例1
(ジ(クロロスルホニル)アミドの合成)
攪拌器、温度計および還流管を取り付けた反応容器に、クロロスルホン酸123.9質量部、およびクロロスルホニルイソシアネート98.1質量部を仕込んだ。この混合液を撹拌しながら、2.5時間かけて130℃まで昇温し、次いで130℃で9時間反応させた。その後、減圧蒸留を行って98.5℃〜101℃/4.2torrの留分を分取した。ジ(クロロスルホニル)アミドが無色透明な液状物として77.9質量部得られた。
【0035】
合成例2
(ジ(フルオロスルホニル)アミドアンモニウム塩の合成)
フッ素樹脂製反応容器に、合成例1で得られたジ(クロロスルホニル)アミド1.07質量部を仕込んだ。これにアセトニトリル7.9質量部およびフッ化アンモニウム0.89質量部を添加し、80〜84℃で4時間還流して反応させた。その後、室温に冷却し、不溶物を濾し取り、アセトニトリル7.9質量部で洗浄した。次いで、溶媒を減圧下で留去して、ジ(フルオロスルホニル)アミドアンモニウム塩0.95質量部を得た。
【0036】
実施例1
反応容器に、ジ(フルオロスルホニル)アミドアンモニウム塩33.4質量部、酢酸ブチル69.5質量部、および水酸化カリウム102.5質量部の20%水溶液を仕込み、100torrの減圧下、40℃で1時間撹拌した。反応液を25℃に冷却した。その後、分液し、水相を酢酸ブチル81.1質量部で2回抽出した。各抽出操作において得られた有機相を混ぜ合わせ、水4.6質量部で2回洗浄した。得られた有機相を減圧下で溶媒留去して39.1質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液91.2質量部を得た。収率は97%であった。
【0037】
ジクロロメタン244.1質量部に、39.1質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液91.2質量部を16〜24℃で52分間かけて滴下した。1時間かけて10℃まで冷却した。その後、7〜10℃で42分間撹拌した。得られたスラリー液を濾過し、ジクロロメタン74.0質量部で洗浄した。得られた固形物を、6torrの真空下、60℃で13.4時間乾燥させて顆粒35.1質量部を得た。収率はジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩仕込み量に対し98%であった。顆粒は、メディアン径が34.563μm、モード径が26.121μm、残留溶媒の量が370ppm(ジクロロメタン210ppm、酢酸ブチル160ppm)であった。
【0038】
実施例2
実施例1と同じ方法で38.0質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液71.7質量部を得た。
ジクロロメタン167.6質量部に、38.0質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液71.7質量部を19〜20℃で30分間かけて滴下した。1時間かけて10℃まで冷却した。その後、10℃で30分間撹拌した。得られたスラリー液を濾過し、ジクロロメタン50.3質量部で洗浄した。得られた固形物を、2torrの真空下、40℃で1時間乾燥させ、次いで0.5torrの真空下、60℃で2時間乾燥させて顆粒25.8質量部を得た。収率はジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩仕込み量に対し98%であった。顆粒は、メディアン径が35.313μm、モード径が39.619μm、残留溶媒の量が640ppm(ジクロロメタン550ppm、酢酸ブチル90ppm)であった。
【0039】
実施例3
実施例1と同じ方法で36.5質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液73.2質量部を得た。
ジクロロメタン162.4質量部に、36.5質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液73.2質量部を24〜32℃で29分間かけて滴下した。2.1時間かけて12℃まで冷却した。得られたスラリー液を濾過し、ジクロロメタン48.8質量部で洗浄した。得られた固形物を8〜10torrの真空下、60℃で18.1時間乾燥させて顆粒25.3質量部を得た。収率はジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩仕込み量に対し95%であった。顆粒は、メディアン径が39.658μm、モード径が39.619μm、残留溶媒の量が790ppm(ジクロロメタン430ppm、酢酸ブチル360ppm)であった。
【0040】
実施例4
実施例1と同じ方法で37.3質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液82.0質量部を得た。
ジクロロメタン188.1質量部に、37.3質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液82.0質量部を17〜19℃で30分間かけて滴下した。32分間かけて10℃まで冷却した。その後、5〜10℃で1.2時間撹拌した。得られたスラリー液を濾過し、ジクロロメタン56.1質量部で洗浄した。得られた固形物を11torrの真空下、60℃で18.1時間乾燥させて顆粒15.5質量部を得た。収率はジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩仕込み量に対し98%であった。顆粒は、メディアン径が34.420μm、モード径が39.619μm、残留溶媒の量が1160ppm(ジクロロメタン800ppm、酢酸ブチル360ppm)であった。
【0041】
比較例1
実施例1と同じ方法で38.8質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液81.5質量部を得た。
38.8質量%のジ(フルオロスルホニル)アミドカリウム塩/酢酸ブチル溶液81.5質量部に、ジクロロメタン194.2質量部を4〜5℃で39分間かけて滴下した。滴下終了後、4〜5℃で1.4時間撹拌した。得られたスラリー液を濾過し、ジクロロメタン57.9質量部で洗浄した。得られた固形物を5torrの真空下、60℃で12.3時間乾燥させ、4torrの真空下、60℃で20.5時間乾燥させ、次いで、6torrの真空下、60℃で18.9時間乾燥させて顆粒30.9質量部を得た。収率はジ(フルオロスルホニル)イミドカリウム塩仕込み量に対し98%であった。顆粒は、メディアン径が51.796μm、モード径が91.146μm、残留溶媒の量が5100ppm(ジクロロメタン2300ppm、酢酸ブチル2800ppm)であった。メディアン径が45μmよりも大きく、モード径が80μmよりも大きく、且つモード径/メディアン径の比が1.7よりも大きい顆粒は長時間の乾燥を行っても残留溶媒の量が減らなかった。
【0042】
以上の結果は、本発明に従って、メディアン径を45μm以下に、モード径を80μm以下におよび/またはモード径/メディアン径の比を1.7以下に調整した顆粒または粉末は、残留溶媒の量が少ないので、二次電池、太陽電池などに用いられる電解液用の電解質として有用であることを証している。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る顆粒または粉末は、溶媒に素早く均一に溶解させることができ、二次電池、太陽電池などに用いられる電解液の製造の高効率化に資する。また、本発明に係る顆粒または粉末は、溶媒、金属イオンなどの不純物の含有量が低いので、電池特性を劣化させ難い。