特許第6034988号(P6034988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6034988
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】発信対象情報生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20161121BHJP
【FI】
   G06Q50/10
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-114689(P2016-114689)
(22)【出願日】2016年6月8日
【審査請求日】2016年6月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510336185
【氏名又は名称】株式会社アセンド
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博
【審査官】 田付 徳雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−134694(JP,A)
【文献】 特開2015−079386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成システムが行う発信対象情報生成方法であって、
発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成処理と、
前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出処理と、を備え、
前記母集団データ生成処理は、所定の範囲の論理番号を生成する処理と、
論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する処理と、
回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する処理と、を有し、
前記抽出処理は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする発信対象情報生成方法。
【請求項2】
前記母集団データ生成処理は、電話帳情報に基づいて、法人利用の電話番号を判断する処理を有することを特徴とする請求項1に記載の発信対象情報生成方法。
【請求項3】
前記母集団データ生成処理は、前記回線種別の判断処理時に、接続された電話番号が非利用番号か否かを判断する処理を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発信対象情報生成方法。
【請求項4】
前記母集団データ生成処理は、電話帳情報に基づいて、前記母集団データに含まれる電話番号の属する調査グループを判断する処理を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の発信対象情報生成方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の発信対象情報生成方法により発信対象情報を抽出する処理と、
発信対象に自動的に発信する処理と、
自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理と、
発信対象からの回答を受け付け、記憶する処理と、を電話システムが行うことを特徴とする電話方法。
【請求項6】
前記自動音声情報は、接続された対象の年齢を確認する為の年齢確認用の自動音声情報を含み、
記憶した回答に基づいて、年齢別の有効回答数を集計し、基準回答数と比較する処理と、
比較結果に基づいて、回答が必要な1又は2以上の年齢層を決定する処理と、
接続された対象が決定した年齢層でない場合に決定した年齢層に対して電話の取次ぎを行わせる為の取次依頼用の自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理を有することを特徴とする請求項5に記載の電話方法。
【請求項7】
前記取次依頼用の自動音声情報は、算出した年齢層のうち、最も高い年齢層を含む1又は2以上の年齢層に対して電話の取次ぎを行わせる為のものであることを特徴とする請求項6に記載の電話方法。
【請求項8】
前記基準回答数と比較する処理は調査グループごとに行われ、
前記取次依頼用の自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理は、調査グループごとに行われることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の電話方法。
【請求項9】
アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成システムであって、
発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成手段と、
前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出手段と、を備え、
前記母集団データ生成手段は、所定の範囲の論理番号を生成する論理番号生成手段と、
論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する回線種別判断手段と、
回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する年齢層推定手段と、を有し、
前記抽出手段は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする発信対象情報生成システム
【請求項10】
アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成プログラムであって、
コンピュータを、発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成手段と、
前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出手段と、として機能させ、
前記母集団データ生成手段は、所定の範囲の論理番号を生成する論理番号生成手段と、
論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する回線種別判断手段と、
回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する年齢層推定手段と、を有し、
前記抽出手段は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする発信対象情報生成プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP電話を用いて対象に自動発信し、アンケート調査を実施する為の電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電話を用いてアンケートや調査等の情報収集が行われている。従来行われる電話を用いた情報収集は、収集する情報の内容に応じて対象者を決定し、オペレータが直接電話をかけること実施されていた。
【0003】
また、より効率的に情報収集を実施する為に、オペレータに替えて、自動音声により情報収集を実施する技術が知られている。例えば、IP電話を自動発信することで対象に自動で架電し、アンケートを自動音声により実施した後、オペレータに接続する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、統計的検定の有意水準を登録しておき、電話の調査結果を逐次統計的に検定して有意水準を満たすまでサンプリングを行い、統計的検定で有意水準を満たす調査結果が得られた時点で、調査を自動的に終了する調査システムが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特願2005−217617号公報
【特許文献2】特願2005−267072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した従来の技術には、つぎのような改善すべき問題点が残されており、効果的に電話を利用した情報収集を行うことはできない。
【0007】
特許文献1に記載の技術では、アンケート調査によって得られた標本数に不足があるような場合、調査結果の精度が低下してしまうが、調査精度を高めるための処理は実施されていない。
【0008】
また、特許文献2においては、調査結果の内容が統計的に有意であるか否かの判断を行うことで、調査結果の精度を高める工夫がなされている。一方で、年齢層別に調査を実施したい場合には、各年齢層からの回答が有意水準を満たすまで電話を行う必要があるが、生成した論理番号に対して電話を行ってアンケート調査を実施する場合には、調査対象の年齢が分からない為、調査に時間がかかってしまう。
【0009】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、年齢別のアンケート調査を効率的に実施する為の発信対象情報生成方法を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成システムが行う発信対象情報生成方法であって、発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成処理と、前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出処理と、を備え、前記母集団データ生成処理は、所定の範囲の論理番号を生成する処理と、論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する処理と、回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する処理と、を有し、前記抽出処理は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることによって、生成した論理番号の回線種別に応じて対象の年齢を推定し、年齢別の回答を収集するアンケート調査を効率的に実施することができる。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記母集団データ生成処理は、電話帳情報に基づいて、法人利用の電話番号を判断する処理を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、生成した論理番号から法人利用の番号を除外し、一般家庭向けのアンケート調査を効率的に実施することができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記母集団データ生成処理は、前記回線種別の判断処理時に、接続された電話番号が非利用番号か否かを判断する処理を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、アンケート調査を効率的に実施することができる。
【0014】
本発明の好ましい形態では、前記母集団データ生成処理は、電話帳情報に基づいて、前記母集団データに含まれる電話番号の属する調査グループを判断する処理を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、電話帳情報に含まれる住所の情報に基づいて、地域ごとの調査グループを設定してアンケート調査を実施することができる。
【0015】
本発明は電話方法であって、前記発信対象情報生成方法により発信対象情報を抽出する処理と、発信対象に自動的に発信する処理と、自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理と、発信対象からの回答を受け付け、記憶する処理と、を電話システムが行うことを特徴とする。
このような構成とすることで、効率的にアンケート調査を実施する為の電話システムを
提供することができる。
【0016】
本発明の好ましい形態では、前記自動音声情報は、接続された対象の年齢を確認する為の年齢確認用の自動音声情報を含み、記憶した回答に基づいて、年齢別の有効回答数を集計し、基準回答数と比較する処理と、比較結果に基づいて、回答が必要な1又は2以上の年齢層を決定する処理と、接続された対象が決定した年齢層でない場合に決定した年齢層に対して電話の取次ぎを行わせる為の取次依頼用の自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、必要回答数を満たした年齢層以外の年齢層に対してのみアンケート調査を実施することができ、効率的にアンケート調査を実施することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、前記取次依頼用の自動音声情報は、算出した年齢層のうち、最も高い年齢層を含む1又は2以上の年齢層に対して電話の取次ぎを行わせる為のものであることを特徴とする。
一般的に固定電話への電話調査は、年齢層の高い対象からの回答が先に集まる傾向がある。このような構成とすることで、年齢層の高い対象からの回答を先に収集し、効率的にアンケート調査を実施することができる。
【0018】
本発明の好ましい形態では、前記基準回答数と比較する処理は調査グループごとに行われ、前記取次依頼用の自動音声情報を用いて、接続された発信対象に自動音声を流す処理は、調査グループごとに行われることを特徴とする。
このような構成とすることで、調査グループごとに取次依頼の自動音声を流すことができ、効率的に調査グループごとにアンケート調査を実施することができる。
【0019】
本発明は、アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成システムであって、発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成手段と、前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出手段と、を備え、前記母集団データ生成手段は、所定の範囲の論理番号を生成する論理番号生成手段と、論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する回線種別判断手段と、回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する年齢層推定手段と、を有し、前記抽出手段は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする。
【0020】
本発明は、アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成プログラムであって、コンピュータを、発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成手段と、前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出手段と、として機能させ、前記母集団データ生成手段は、所定の範囲の論理番号を生成する論理番号生成手段と、論理番号に対して発信を行い、発呼後のレスポンスから発信先の回線種別を判断し、論理番号及び回線種別を紐づけて記憶する回線種別判断手段と、回線種別及び推定される利用者の年齢層が紐づけられた回線種別判断情報を用いて、前記回線種別の判断結果から発信対象の年齢層推定する年齢層推定手段と、を有し、前記抽出手段は、前記推定の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、年齢別のアンケート調査を効率的に実施する為の発信対象情報生成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に関る電話システムの概要を示す図である。
図2】本発明の実施形態に関る発信対象情報生成装置のハードウェア構成を示す図である。
図3】本発明の実施形態に関る自動架電装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】本発明の実施形態に関る電話システムの機能ブロック図である。
図5】本発明の実施形態に関る調査グループごとの発信対象番号の母集団を示す概念図である。
図6】本発明の実施形態に関る回線種別判断情報テーブル及び、判断結果を紐付けた論理番号テーブルの一例を示す図である。である。
図7】本発明の実施形態に関る自動音声を流すためのスクリプトの一例を示す図である。
図8】本発明の実施形態に関る発信対象情報を生成する際の処理フローチャートである。
図9】本発明の実施形態に関る自動発信によりアンケート調査を行う際の処理フローチャートである。
図10】本発明の実施形態に関る年齢確認スクリプトを挿入する際の処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態に関る電話システムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0024】
例えば、本実施形態では電話システムの構成、動作などについて説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータプログラム、記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。また、プログラムは、記録媒体に記憶させてもよい。この記録媒体を用いれば、例えばコンピュータに前記プログラムをインストールすることができる。ここで、前記プログラムを記憶した記録媒体は、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体であっても良い。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に関る電話システムの概要を示す図である。本実施形態に関る電話システム1は、発信対象情報生成装置2と、記憶部3と、自動電話装置4と、回答受付装置5と、を備えている。電話システム1は、音声データをIP(Internet Protocol)パケットに入れて伝送する。電話システム1及び電話機6は、IPネットワークN、トランキング装置7、電話回線Pを介して通話可能に接続されている。なお、電話回線Pは、公衆電話網のみを指すのではなく、その他IP電話網等が含まれる。
【0026】
図2は、実施形態に係る発信対象情報生成装置2のハードウェア構成を示す図である。発信対象情報生成装置2は、演算装置(CPU201)と、主記憶装置(RAM202)と、HDDやSSD、フラッシュメモリなどの補助記憶装置(記録部203)と、外部の装置とネットワークを介して通信を行うためのインタフェースである通信部204と、入力部205と、出力部206と、を備えている。また、記録部203は、オペレーティングシステム207と、オペレーティングシステム207と協調してその機能を発揮する発信対象情報生成プログラム208等が記録されている。
【0027】
記憶部3には、発信対象情報生成装置2によって生成された発信対象情報と、回線種別判断を行う為の回線種別判断情報と、電話帳情報と、自動音声で流すスクリプト情報と、対象から受け付けたアンケートへの回答情報と、が記憶される。
【0028】
なお、図示例では、記憶部3が発信対象情報生成装置2、自動電話装置4、回答受付装置5の外部に設けられているが、発信対象情報生成装置2、自動電話装置4、回答受付装置5は、1又は複数の記憶部3を備えてもよい。また、発信対象情報生成装置2、自動電話装置4、回答受付装置5の後述する各機能構成が、図示例より少ない又は多い、一又は複数のサーバ装置によって実現可能に成されていてもよい。
【0029】
図3は、実施形態に係る自動電話装置4のハードウェア構成を示す図である。自動電話装置4は、演算装置(CPU401)と、主記憶装置(RAM402)と、HDDやSSD、フラッシュメモリなどの補助記憶装置(記録部403)と、外部の装置とネットワークを介して通信を行うためのインタフェースである通信部404と、入力部405と、出力部406と、を備えている。また、記録部403は、オペレーティングシステム407と、オペレーティングシステム407と協調してその機能を発揮する電話プログラム408等が記録されている。
【0030】
また、回答受付装置5は、図示しない演算装置と、主記憶装置と、補助記憶装置と、通信部と、入力部と、出力部と、を備えている。また、記憶部には、オペレーティングシステムと、オペレーティングシステムと協調してその機能を発揮する回答受付プログラム等が記録されている。
【0031】
図4は、電話システム1の機能ブロックの例を示す図である。記憶部3には、回線判断種別情報と、電話帳情報と、スクリプト情報と、発信対象情報と、が記憶されている。
【0032】
発信対象情報生成装置2は、母集団データ生成手段21と、抽出手段22と、を備えている。
【0033】
母集団データ生成手段21は、発信対象となる電話番号の母集団を生成する為の論理番号生成手段23と、架電した電話番号の回線種別を判断する回線種別判断手段24と、回線種別判断手段24で判断した回線種別に基づいて当該電話番号を利用する対象の年齢層を推定する年齢層推定手段25と、所定の番号を除外する所定番号除外手段26と、を備えている。
【0034】
図5は、生成された調査グループごとの論理番号を示す概念図である。論理番号生成手段23は、調査方法、調査地域に応じて、論理番号を生成する。本例では、図5(a)に示すように、アンケートを実施する地域の市内局番ごとに、加入者番号の論理番号を生成する。図示例では、市内局番が100~109までの10地域において調査を行う場合、10X-0000~9999までの1万通りの論理番号を、10の調査グループ(X=0、1、2、・・・9)ごとに(合計10万通り)生成する。図5(b)は、生成した論理番号テーブルの一例である。
【0035】
なお、本例では調査対象の調査グループが市内局番によって分類されているため、発信対象情報の生成段階で論理番号の調査グループ化を行っているが、後述する電話帳情報に基づいて母集団に含まれる電話番号を調査グループ化するようにしてもかまわない。
【0036】
図5(c)は、アンケート調査に際してあらかじめ設定される、調査グループごとの必要回答数テーブルの一例である。必要回答数は、統計的な手法に基づいて設定され、本例では、調査グループの人口と年齢比率に基づいて、年齢層別の必要回答数を定めたものである。
【0037】
回線種別判断手段24は、論理番号生成手段23において生成された論理番号に対して、自動電話装置4を介して発信し、回線種別の判断を行う。具体的には、後述の電話番号入力手段41を介してVoIP発呼手段42に電話番号を入力して発信を行わせ、回線種別の判断を行う。
【0038】
後述の呼制御手段43が発呼の為にネットワークNに、発信、相互通話開始、保留などをコントロールする呼制御信号であるVoIP信号を送信し、当該VoIP信号に対する応答のVoIP信号を受信する。回線種別判断手段24は、受け取ったVoIP信号に基づいて発信した回線の回線種別(キャリア)を判断している。
【0039】
VoIP用の装置には、その通信プロトコルとして、SIP(Session Initiation Protocol)のものとH.323のものがあるが、本実施形態では、SIPの場合について説明する。発呼後のレスポンスとして、180、18x(x=0、1、・・・9) w/SDP又は網の音声信号のいずれかが呼制御手段43に受信される。
【0040】
受け取ったレスポンスに基づいて、自動電話装置4が発呼を行ったキャリアと、架電を行った電話番号のキャリアとが自キャリア/他キャリアを判断することができる。発呼を行うキャリアを変え当該処理を繰り返すことで、発呼を行った電話番号がどの回線種別(キャリア)なのかを判断することができる。回線種別判断手段24により回線種別が判断されると、電話番号(論理番号)とキャリアとが紐づけて記憶される。
【0041】
ここで、使用されていない電話番号(非利用番号)か否かを併せて判断している。企業が利用していると推定される電話番号を企業利用推定番号として判断してもよい。例えば、音声認識等の処理によりダイヤル時に相手側から流れてくる音を判断し、自動音声などが流れた際には、企業利用番号と推定することができる。
【0042】
回線種別判断情報として、各キャリアは利用率の高い所定の年齢層とあらかじめ対応付けられて記憶されている。図6(a)は、回線種別判断情報テーブルの一例である。回線種別判断情報は、回線種別と、回線種別によって推定される対象の年齢層と、が紐づけられている。年齢層推定手段25は、この回線判断種別情報に基づいて、回線種別判断手段24によって判断された電話番号ごとの回線種別をもとに、電話番号ごとの発信対象の年齢層を推定する。
【0043】
所定番号除外手段26は、生成した論理番号から、電話帳情報に基づいて除外対象となる所定の電話番号が含まれているか否かを判断する。電話帳情報には、電話番号と、当該電話番号を使用している企業名、住所等が記憶されており、前記母集団から企業使用番号を除外する。
【0044】
本例では、論理番号生成手段23によって生成された電話番号に対する回線種別判断手段24による回線種別(年齢層)の対応付けや、所定番号除外手段26による企業利用、未利用の対応付けを、アンケートの実施に際して処理している。一方で、事前に論理番号生成手段23により論理番号を生成し、自動電話装置4を利用して電話番号の生死調査などを行う際に、回線種別の判断を併せて実施し、生死調査情報として記憶されたものを利用してもかまわない。
【0045】
また、回線種別判断手段24による回線種別の判断(年齢層推定手段25による対象の年齢層推定)および所定番号除外手段26による除外対象の判断等は、どのような順番で行われてもかまわない。
【0046】
本例では、市内局番に基づいて発信対象情報の調査グループ分けを実施しているが、電話帳情報を利用して論理番号を調査グループ(例えば住所)ごとに分類するように構成してもかまわない。図6(b)は、回線種別(対象の年齢層)と、法人推定番号または未利用番号であるか否かの情報を紐づけた論理番号テーブルの一例である。
【0047】
抽出手段22は、これらの電話番号(発信対象情報の母集団)から、地域ごとにアンケートに必要な件数の電話番号を、年齢層別に無作為抽出し、発信対象情報とする。抽出の方法は、単純無作為抽出法、多段抽出法等、任意の方法で実施してよい。抽出された発信対象情報は、記憶部3に記憶される。
【0048】
自動電話装置4は、電話番号入力手段41と、VoIP発呼手段42と、呼制御手段43と、音声スクリプト選択手段44と、挿入判断手段45と、を備えている。
【0049】
電話番号入力手段41は、記憶部3に記憶された発信対象情報に基づいて、発信を行う電話番号をVoIP発呼手段42に入力する。
【0050】
電話番号を受け取ったVoIP発呼手段42は、呼制御手段43に発呼を指示し、呼制御手段43は入力された電話番号に発信する。呼制御手段43は、発呼、通話、接続解除のためにIPネットワークへVoIP信号の送信及びVoIP信号の受信を行う。
【0051】
呼制御手段43によって発信対象と接続されると、音声スクリプト選択手段44によってアンケートのための音声スクリプトが所定の順序で入力される。呼制御手段43は、入力された音声スクリプトに基づいて、自動音声を流す。
【0052】
図7は、自動音声を流すためのスクリプトの一例を示す図である。図7(a)はアンケートの開始時に流す自動音声の為の開始時スクリプトの一例を示す図である。図7(b)はアンケートの設問として流す自動音声の為のアンケートスクリプトの一例を示し、図7(c)は対象の年齢確認の為に流す自動音声の為のアンケートスクリプトの一例を示す図である。図7(d)はアンケートの終了時に流す自動音声の為の終了時スクリプトの一例を示す図である。実際は、これらスクリプトはVoiceXML等の言語で記述される。
【0053】
対象は、アンケートに設問に応じて電話機のキーを操作することで、回答の入力を行う。図7(b)、図7(c)に示すように、設問への選択枝(回答)がダイヤル番号と対応付けられており、対象が所定番号のダイヤルを操作することで回答が行われる。入力された回答は、呼制御手段43を介して、回答受付装置5の回答受付手段51に入力される。回答情報は、図7(c)のような年齢確認要のアンケートスクリプトによって取得された年齢を有している。
【0054】
回答受付手段51は、アンケートの回答を判断する。本例では、ダイヤルトーン(FTMF)又はダイヤルパルスによってアンケートの回答が受け付けられる。音声認識や特定周波数の検出によって回答の受け付けを行ってもよいし、これら複数の検出方法を組み合わせ、対象による回答入力の制限を無くし、設問への回答の自由度を高めるように構成してもかまわない。
【0055】
回答受付手段51で処理された回答は、集計出力手段52により、記憶部3に回答情報として記憶される。
【0056】
挿入判断手段45は、集計された回答情報と、必要回答数テーブルに記載の年齢層別の必要回答数と、に基づいて、挿入するスクリプトの選択と、挿入タイミングの決定と、を行い、音声スクリプト選択手段44にスクリプトの入力を指示する。図7(e)は、スクリプトの挿入条件時に挿入する年齢確認スクリプトの一例を示す図である。
【0057】
予め、年齢層推定手段25によって発信先の対象の年齢層が推定されているが、推定した年齢層の対象が電話を取り、回答するとは限らない。また、実際上、高い年齢層の対象からの回答が早期に集まる傾向が有り、若年層による回答は不足しがちである。必要回答数を満足した年齢層の対象にはそれ以上アンケートを行う必要はない。
【0058】
そのため、何れかの年齢層の回答数が、必要回答数を満足した場合等、所定の条件に応じて年齢確認スクリプトを追加して、回答集計の効率化を図る。
【0059】
本例では、何れかの年齢層の回答数が必要回答数を満足したことを条件として、回答数を満足していない年齢層の内、最も高い年齢層に回答してもらう(電話を取り次いでもらう)ためのスクリプトを挿入している。なお、新たに他の年齢層が必要回答数を満足した場合には、その時に回答数を満足していない年齢層の内、最も高い年齢層に回答してもらう為のスクリプトを挿入する。
【0060】
年齢確認スクリプトは、必ずしも最も高い年齢層に回答してもらう為のものではなくてよい。例えば、任意の年齢層や、任意の年齢層以上(又は以下)の対象に取り次いでもらうようなスクリプトであってもよい。また、全ての発信対象情報(電話番号)にスクリプトが挿入されてもよいし、必要回答数を満足した年齢層として年齢層推定手段25により推定されていた発信対象情報への架電時のみ、挿入するようにしてもよい。
【0061】
図8は、発信対象情報を生成する際の処理フローチャートである。図8(a)は、発信対象情報を生成する際の全体の処理フローチャートを示している。ステップS1では、論理番号生成手段23により、発信対象情報の母集団(論理番号)が生成される。生成された論理番号は、回線種別判断手段24によって回線種別が判断され、年齢層推定手段25により、電話番号を利用する対象の年齢層が推定可能となる。ステップS2では、電話番号の市内局番に基づいて、調査地域ごとの調査グループに分類される。
【0062】
ステップS3では、回線種別判断手段24を用いて生成した論理番号の回線種別を判断する。
【0063】
ここで、ステップS3における回線種別判断手段による処理について細述する。図8(b)は、回線種別判断手段による処理フローチャートを示している。回線種別判断手段24は、まず、対象の電話番号が法人利用推定番号か否かを判断する(ステップS11)。
【0064】
電話接続の際に音声認識処理を行い、自動音声が流れるなどした場合には、法人利用番号と推定する。対象の論理番号が法人推定番号の場合(ステップS11でYes(Y))には、法人推定番号を除外する(ステップS12)。
【0065】
ステップS13では、架電の際に受け取ったVoIP信号に基づいて、対象の電話番号が未利用番号か否かを判断する。対象の論理番号が未利用番号の場合(ステップS13でYes(Y))には、未利用番号を除外する(ステップS14)。
【0066】
受け取ったVoIP信号に基づいて、回線種別の判断が行われる(ステップS15)。回線種別の判断が行われたならば、判断情報に基づいて年齢層ごとに電話番号を分類して記憶する(ステップS16)。
【0067】
ステップS3で回線種別の判断処理が行われたならば、電話帳情報に基づいて法人利用番号を決定する(ステップS4)。対象の論理番号が法人利用番号の場合(ステップS4でYes(Y))は、法人利用番号を除外する(ステップS5)。
【0068】
候補番号は、抽出手段22によって、所定の年齢層比率で無作為に電話番号が抽出され、発信対象情報として記憶される(ステップS6)。
【0069】
図9は、自動発信によるアンケート調査を行う際の処理フローチャートである。図9(a)は、アンケート調査する際の全体の処理フローチャートを示している。ステップS21では、電話番号入力手段41により、発信対象の電話番号がVoIP発呼手段42に入力される。電話番号を入力されたVoIP発呼手段42は、当該電話番号に対する発呼を呼制御手段43に指示し、発信させる(ステップS22)。
【0070】
ステップS23では、アンケート処理が実施される。なお、対象との通話接続が所定時間できなかった場合や、接続が途中で切断された場合には、ステップS24に進む。
【0071】
図9(b)は、アンケート処理の処理フローチャートを示している。ステップS41は、まずアンケートの開始時に流す開始時スクリプトが入力される。開始時スクリプトは、例えば図7(a)に示すような内容を自動音声で流す為のものであり、アンケートの目的や概要等の説明を行うものである。開始時スクリプトによって自動音声が流された後、スクリプト挿入条件の場合(ステップS32でYes(Y))には、年齢確認スクリプトを挿入する(ステップS33)。
【0072】
図10は、年齢確認スクリプトを挿入する際の処理フローチャートである。ステップS41では、記憶部3に記憶された回答情報に基づいて、調査グループごとの年齢層別の有効回答数と、必要回答数テーブルで設定される必要回答数とが比較される。この比較は、調査グループごとに判断される。
【0073】
必要回答数に達した年齢層がある調査グループでは(ステップS42でYes(Y))、呼制御手段43に年齢確認スクリプトが選択される(ステップS43)。
【0074】
年齢確認スクリプトは、例えば、図7(e)に示すような内容が自動音声で流すためのものであり、この年齢確認スクリプトに基づいて、電話を取った人物の年齢確認並びに所望の年齢層の人物への取次ぎを依頼する為の自動音声が流される。年齢確認スクリプトは、予め年齢層別に複数用意されていてもよいし、図7(e)の空欄部分に、挿入判断手段45に基づいて決定される所望の年齢層を入力することで、動的に生成されてもよい。
【0075】
本例では、必要回答数を満たした年齢層を有する調査グループに分類された電話番号に対してアンケートを行う際に、必要回答数を満たしていない年齢層のうち最も高い年齢層の人物に回答してもらう為のスクリプトが、開始時スクリプトの後に入力される(ステップS44)。開始時スクリプトの前等、年齢確認スクリプトの挿入タイミングは任意に決定してかまわない。
【0076】
年齢確認スクリプトによって自動音声が流された後、新たに必要回答数を満足した年齢層が現れた場合には、必要に応じて年齢確認スクリプトの内容を変更することができる。
【0077】
年齢確認スクリプトの挿入後又は挿入しなかった場合には、アンケートスクリプトが入力され、アンケートの設問に関する自動音声が流される(ステップS34)。対象からはダイヤルトーンによって回答が入力され、回答受付手段51によって回答が受け付けられる(ステップS35)。回答受付手段51で内容が判断された回答は、集計出力手段52によって回答情報として記憶部3に記憶される(ステップS36)。
【0078】
設問が残っている場合(ステップS37でNo(N))には、ステップS34に戻って新たなアンケートスクリプトの入力を行い、アンケートを続ける。すべての設問が終了した場合(ステップS37でYes(Y))には、アンケートの終了時に流す終了時スクリプトが入力され、アンケート終了時の自動音声が流される(ステップS38)。
【0079】
新たな発信対象に電話をかけ、アンケートを継続する場合(ステップS24でNo(N))には、S21に戻り、新たな電話番号に電話をかけてアンケートを続ける。
【0080】
本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0081】
1 電話システム
2 発信対象情報生成装置
201 CPU
202 RAM
203 記録部
204 通信部
205 入力部
206 出力部
207 オペレーティングシステム
208 発信対象情報生成プログラム
21 母集団データ生成手段
22 抽出手段
23 論理番号生成手段
24 回線種別判断手段
25 年齢層推定手段
26 所定番号除外手段
3 記憶部
4 自動電話装置
401 CPU
402 RAM
403 記録部
404 通信部
405 入力部
406 出力部
407 オペレーティングシステム
408 電話プログラム
41 電話番号入力手段
42 VoIP発呼手段
43 呼制御手段
44 音声スクリプト選択手段
45 挿入判断手段
5 回答受付装置
51 回答受付手段
52 集計出力手段
6 電話機
7 トランキング装置
N IPネットワーク
P 公衆交換電話網
【要約】
【課題】年齢別のアンケート調査を効率的に実施する為の発信対象情報生成方法を提供することを課題とする。
【解決手段】アンケート調査に際して対象に発信する為の発信対象情報を生成する発信対象情報生成方法であって、発信対象情報の母集団データを生成する母集団データ生成処理と、前記母集団データから発信対象情報を抽出する抽出処理と、を備え、前記母集団データ生成処理は、所定の範囲の論理番号を生成する処理と、論理番号に対して発信を行い、発信対象の年齢を推定する為に、回線種別判断情報を用いて発信対象情報の回線種別を判断する処理と、を有し、前記抽出処理は、前記判断の結果に基づいて、生成された母集団データからアンケート調査に利用する発信対象情報を決定することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10