(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧力境界が、前記ガスタービンにおいて、圧縮機吐出ケース(12)により形成されるプレナム(24)と前方ホイールスペース(28)との間、又は内側ボックスプレナム(90)と前記前方ホイールスペース(28)との間に位置付けられる、
前記請求項の何れかに記載のシステム。
前記複数の温度作動バルブ(78、80、82)の各々が、最初に閉鎖位置にあり、前記複数の温度作動バルブ(78、80、82)の各々における局所温度に基づいて開放位置に恒久的に作動する、
請求項1に記載のシステム。
前記複数の温度作動バルブの各々は、各々の前記通路(72、74、76)内に直接装着されたハウジングを備え、該ハウジングは、第1のチャンバ及び該第1のチャンバから隔てられた第2のチャンバを含む、請求項6に記載のシステム。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、発電の商用運転において広く使用されている。従来のガスタービンは、エンジン軸線を中心として環状アレイの周りに配置された複数の燃焼器を含む。圧縮機は、各燃焼器に加圧空気を供給し、ここで加圧空気と燃料が混合されて燃焼する。燃焼の高温ガスが各燃焼器からエンジンのタービンセクションに流れ、ここで燃焼ガスからエネルギーが抽出されて仕事を生成する。
【0003】
ガスタービンの熱量効率は、作動温度、すなわち燃焼ガス温度が上昇するにつれて向上する。燃焼ガスがより高温であるほど、より多くのエネルギーが含まれており、燃焼ガスがタービンで膨張するとより多くの仕事を生成する。しかしながら、ガスタービンの効率を向上させるために温度が上昇すると、タービン構成要素に冷却空気を提供して、このような構成要素の温度を許容可能レベルに維持することが必要となる。従って、作動条件温度が高くなる程、必要な冷却空気の量が相対的に大きくなる。対照的に、作動条件の温度がより低いほど、特定のタービン構成要素に必要な冷却空気が少なくなる。更に、必要な冷却量は、例えば、第1段バケット漏出、高温ガス吸込み、又は周囲環境条件に起因してエンジン毎に変わる可能性がある。
【0004】
これらの異なる作動条件及びエンジン毎の変動にも関わらず、従来技術では、一般に、タービン構成要素に送給される空気の流れを調整するシステムを提供していなかった。結果として、エンジンは、最大温度作動を提供するよう設計する必要があるので、過剰な量の冷却空気が低温作動中に供給され、このような作動期間中のエンジン効率が低下する傾向になる。
【0005】
従って、例えば、高温作動中など、必要なときにのみ冷却空気をタービン構成要素に提供するガスタービンシステムに対する必要性がある。このようなシステムは、高温作動中のタービン構成要素を損なうことなく、低温作動中の効率の改善及び出力増大をもたらす。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図を参照した本明細書において、当業者に対してなしたその最良の形態を含む本主題の完全且つ有効な開示を説明する。各実施例は、本主題の限定ではなく、説明の目的で提供される。実際に、本主題の範囲又は技術的思想から逸脱することなく、種々の修正形態及び変形形態を本主題において実施できることは、当業者であれば理解されるであろう。例えば、一実施形態の一部として例示され又は説明される特徴は、別の実施形態と共に使用して更に別の実施形態を得ることができる。従って、本主題は、そのような修正及び変形を特許請求の範囲及びその均等物の技術的範囲内に属するものとして保護することを意図している。
【0013】
ガスタービンの一部の断面図が
図1に示される。圧縮機セクション10から吐出される加圧空気は、圧縮機吐出ケース12により形成されるプレナムを通って燃焼セクション14に流入し、該燃焼セクションは、一般に、エンジン軸線を中心とした環状アレイの周りに配置される複数の燃焼器16(
図1にはその1つだけが示されている)により特徴付けられる。一般的に理解されるように、圧縮機吐出空気は、ガスタービン内に流れる最も高い圧力の空気を構成する。加圧空気は、各燃焼器16内で燃料と混合されて燃焼する。高温の燃焼ガスが燃焼セクション14からタービンセクション18に流れて、タービンを駆動し、発電を行う。タービンセクション18は、タービンロータを備えた複数のロータホイール20を含み、各ロータホイール20は、共に回転するためにロータシャフトに装着される。
【0014】
ガスタービンの様々なセクション内に多数の圧力境界が存在する。本明細書で使用される用語「圧力境界」は、固定構造体の一方にかかる圧力がこの構造体の対向する側部にかかる圧力よりも大きい何れかの場所を指す。また、これらの圧力境界は通常、有意な温度変動が存在する場所を定義する。その結果、通路又は孔(希釈孔又はボアホールなど)をこのような圧力境界に沿って位置付けて、低温の高圧空気が高温の低圧区域に流れて急冷することを可能にすることが一般的である。
【0015】
例えば、
図1に示すように、プレナム24内に流れる加圧空気は、プレナム24と前方ホイールスペース28との間の圧縮機吐出ケース12により定められる圧力境界を生成する。ボアホール(図示せず)は、多くの場合、この圧力境界上に(例えば位置Aに)設けられ、一定流量の高圧低温の圧縮機吐出空気が前方ホイールスペース28に入って高温を軽減し、タービン構成要素を冷却する。しかしながら、前方ホイールスペース28内の作動温度は、異なる作動条件温度、及び第1段バケット漏出又は高温ガス吸込みの量など、エンジン毎の予測される変動の結果として有意に変わる可能性がある。従って、ボアホールは、最大作動温度の間は十分な冷却空気を提供するよう構成しなければならない。このことは、低温作動温度の間に前方ホイールスペース28に流入する冷却空気の過剰な量を生じさせ、結果としてエンジン出力が低下する。この問題に対処するために、以下でより詳細に説明するシステムがこのような圧力境界に沿って実装され、低温作動温度の間にエンジン出力を維持するために必要なときのみ冷却空気を提供することができる。
【0016】
本主題の1つの態様によれば、
図2は、ガスタービンの圧力境界を通って供給される冷却空気の量を調整するためのシステムの一実施形態を示している。システムは、ガスタービンの圧力境界に位置付けられる熱バルブ通路30を含む。本明細書で使用される用語「通路」は、圧力境界の一方側から他方側に延びた何れかの貫通孔を指す。従って、例えば、用語「通路」は、圧力境界を貫通して穴開けされたボアホール、或いは、圧力境界を通って形成される予組み立て孔を含む。
【0017】
図示のように、通路30は、圧縮機吐出ケース12により定められる圧力境界上の位置A(
図1)に位置付けられる。しかしながら、当業者であれば、このような圧力境界に沿った、又はガスタービン内の他の何れかの圧力境界上の何れかの箇所に通路30を位置付けることができる点は理解されたい。加えて、圧力境界上に位置付けられる多数の熱バルブ通路が存在し得る点を理解されたい。
【0018】
システムはまた、通路30内に装着される温度作動熱バルブ32を含む。熱バルブ32は、何れかの方法で通路30内に装着することができる。例えば、熱バルブ32は、通路30に圧入することができ、或いは、熱バルブ32及び通路30の両方にネジ山を付け、熱バルブ32を通路30内に装着できるようにしてもよい。
【0019】
以下でより詳細に検討するように、熱バルブ32は、通常閉鎖位置にあることができ、熱バルブ32における局所温度に基づいて所定の温度閾値で開放位置に作動するよう構成することができる。開放時には、熱バルブ32は、通路30を介して冷却空気を高温域に流すことができる。従って、図示の実施形態では、熱バルブ32は、位置A付近の前方ホイールスペース28の温度が所定の温度閾値に達したときに開放位置に作動するよう構成することができる。これにより、圧縮機10から引き出される高圧低温の空気が通路30を流れ、ホイールスペース温度を急冷し、タービン構成要素を冷却することが可能になる。
【0020】
熱バルブ32が作動するよう構成される所定の温度閾値点は、多数の要因に応じて変わる点は容易に理解されるはずである。温度閾値は、特定のタービンエンジンの推定作動条件温度、特定の圧力境界で一般に予期される温度範囲、又は他の様々なエンジン条件に依存することができる。図示の実施形態において、例えば、所定の温度閾値は、上述の要因に加えて、前方ホイールスペース28内の高温ガスの吸込み量、及びロータホイール20(
図1)などの隣接するタービン構成要素を製造する際に使用される材料特性に依存することができる。適切な温度閾値が算出されると、熱バルブ32は、当該温度閾値にて作動し開放するよう構成することができる。
【0021】
また、熱バルブ32は、当該技術分野で一般的に知られている何れかのタイプの温度作動バルブとすることができる点を理解されたい。本明細書で使用される用語「温度作動バルブ」は、バルブ内に位置付けられた温度作動素子により作動又は起動する何れかのバルブを指す。すなわち、温度作動バルブは、その固有の内部素子によって作動する。従って、用語「温度作動バルブ」は、外部(バルブの外)で検知された温度又はセンサもしくは検知デバイスからの他のパラメータによって作動又は起動するセンサ又は他の検知デバイスに接続されたバルブを含まない。
【0022】
図3及び4に示す一実施形態において、温度作動熱バルブ32は、バイメタル素子バルブである。このようなバルブは、蒸気産業で一般的に使用されており、例えば、米国特許第4427149号(Adachi)に記載されている。
図3及び
図4を参照すると、熱バルブ32は、上部チャンバ38及び下部チャンバ36を有するハウジング34を含む。上部チャンバ38は、出口ポート40と、バルブシート44により定められるオリフィス42とを含む。下部チャンバ36は、バイメタル部材50の対向するペア46、48を収容し、局所空気が下部チャンバ36に流入することができる開口52を含む。バルブヘッド54は、バルブステム56に取り付けられ、熱バルブ32が閉鎖位置(
図3)にあるときにバルブヘッド54がバルブシート44とシール係合するように構成される。
【0023】
バイメタル部材50の対向するペア46、48は、下部チャンバ36のバルブステム56に沿って位置付けられ、当該技術分野で一般に知られる何れかの締結機構により固定することができる。バイメタル部材50の各ペアの対向する内側側部60は、熱膨張係数が外側側部62よりも小さく、部材50は、特定の温度閾値を下回る温度に曝されたときにある配置を有し、この温度閾値以上に加熱されたときに第2の配置になるようにする。より具体的には、対向するペア46、48は、下部チャンバ36内の空気の温度が所定の温度閾値に到達するか、又はこれを上回ると、ほぼ水平の配置から作動して弓形形状になるように構成することができ、各ペア46、48の部材50は、対面する円弧状側部で配置される。
【0024】
この構成の結果として、バルブヘッド54はバルブシート44から開放位置(
図4)に引き離され、加圧冷却空気が、オリフィス42に入り出口ポート40を流れることにより通路30(図示せず)を通過できる。バイメタル部材50の局所温度が所定の温度閾値を下回ると、熱バルブ32は閉鎖位置(
図3)に戻り、冷却空気がバルブ32を通って流れるのを阻止する。勿論、バイメタル部材50は金属の異なる組み合わせから構成され、従って、異なる温度で作動して、所望の温度閾値で熱バルブ32が確実に作動するようにすることができる点は理解されたい。
【0025】
温度作動熱バルブ32の別の実施形態が
図5及び
図6に示されており、ここでは熱バルブ32は液体充填ベローズバルブである。上述のバイメタル素子バルブと同様に、液体充填ベローズバルブは、蒸気産業において一般的に使用されている。このようなバルブは、例えば、米国特許第4560105号(Jiandani)に記載されている。
【0026】
図5及び
図6を参照すると、熱バルブ32は、上部チャンバ38及び下部チャンバ36を有するハウジング34を含む。上部チャンバ38は、出口ポート40と、バルブシート44により定められるオリフィス42とを含む。下部チャンバ36は、液体充填ベローズ64を収容し、空気が下部チャンバ36に流入することができる開口52を含む。バルブヘッド54は、バルブステム56に取り付けられ、熱バルブ32が閉鎖位置(
図5)にあるときにバルブヘッド54がバルブシート44とシール係合するように構成される。バルブステム56は、アコーディオン形側壁70により接続される対向端部66、68を有するベローズ64の一方端部66に装着される。
【0027】
ベローズ64は、飽和温度が所定の温度閾値に相当する液体を収容し、このような温度閾値においてベローズ64内部の液体が気体状態に変化し、ベローズが膨張して熱バルブ32を開放位置に作動させるようにする。ベローズが膨張すると、バルブヘッド54がバルブシート44から離れて開放位置(
図6)に移動し、加圧冷却空気が、オリフィス42に入り出口ポート40を流れることにより通路30(図示せず)を通過できる。ベローズ64付近の局所温度が所定の温度閾値を下回ると、熱バルブ32は閉鎖位置(
図5)に戻り、バルブを通って冷却空気が流れるのを阻止する。バイメタル部材50における金属の異なる組み合わせと同様に、液体の異なる混合物をベローズ64内に収容し、所望の温度閾値で熱バルブ50が確実に作動するようにすることができる点は理解されたい。
【0028】
上記に示すように、熱バルブは、通常は閉鎖位置(
図3及び
図5)にあるように設計することができる。すなわち、熱バルブ32における局所温度が温度閾値を下回ると、熱バルブは閉鎖したままであり、冷却空気は熱バルブ通路30を通過して供給されない。これは、例えば、バネなどの簡単な付勢機構を熱バルブ32に組み込み、温度作動素子が非作動であるときにバルブヘッド54がバルブシート44とシール係合を確実に保持することにより達成することができる。
【0029】
更に、温度作動熱バルブ32は、熱バルブ32における局所温度に基づいて予防的又は応答的に開放位置に作動させるように構成することができる点は理解されたい。具体的には、熱バルブは、圧力境界における温度が確実に許容可能レベルに維持されるよう予防的に作動するよう構成することができる。例えば、内部ホイールキャビティ内の構成要素は、燃焼生成物の流れに直接曝される構成要素と同じ温度レベルに耐えるようには設計されていないので、熱バルブ32は、ホイールキャビティ内の構成要素が確実に損なわれないように予防的に作動させることができる。対照的に、熱バルブは、維持された場合にタービン構成要素を損なう温度など、圧力境界における超過温度に応答して応答的に作動するよう構成することができる。
【0030】
加えて、熱バルブ32は、即時的に又は漸次的に開放位置まで作動するよう構成することができる。例えば、熱バルブ32は、局所温度が所定の温度閾値に達したときに温度作動熱バルブ32が作動して僅かに開放し、次いで、局所温度が連続して上昇するにつれて漸次的に完全開放位置にまで開くよう構成することができる。
【0031】
上述のような熱バルブ32は、ガスタービン内の何れかの圧力境界に沿って利用することができる。更なる例証として、熱バルブ通路30は、熱バルブ32を装着できる位置B(
図1)における圧力境界上に位置付けることができる。
図1に示すように、位置Bは、結合ジョイント92を超えて延びる前方ホイールスペース28の前方位置から内側ボックスプレナム90を分離するケーシングに沿って形成された圧力境界上に位置付けられる。通常、圧縮機吐出空気は、圧縮機セクション100から内側ボックスプレナム90にブリードされる。この圧力境界に沿って組み込まれた熱バルブ32は、位置B付近の温度が所定の温度閾値に達するか又はこれを上回ると、熱バルブ32は開放され、冷却空気が内側ボックスプレナム90から前方ホイールスペース28に流れて結合ジョイント92及びその付近の区域を冷却できるように構成することができる。
【0032】
また、温度作動熱バルブ32は、高圧冷却空気が低圧高温区域に流すことができるように配向され、或いは他の何れかの方法で構成することができ、
図2から6に示すような厳密な構成又は配向を有する必要がない点は理解されたい。例えば、バルブ32は、温度作動素子が圧力境界の高圧低温側に位置付けられるよう配向することができる。例えば、図示の実施形態では、バルブの配向は、温度作動素子が圧縮機吐出ケース12により形成される圧力境界のプレナム24側に位置付けられるよう反対にしてもよい。このような実施形態では、バルブ32の温度作動素子は、圧縮機吐出ケース12上に装着されたバルブハウジング(図示せず)内に位置付けることができる。バルブハウジングは、圧縮機吐出ケース12を貫通して形成された開口(図示せず)により前方ホイールスペースに接続することができ、該開口により前方ホイールスペースからの高温空気がハウジング内に流入してバルブ32を作動させることが可能になる。バルブ32が作動して開放すると、圧縮機10からの冷却空気は、別の開口又は通路を通って前方ホイールスペース28に流れ、高温を急冷することができる。
【0033】
本主題の別の態様によれば、ガスタービンのタービンセクション18内の構成要素の過熱は、高温ガスの吸込みにより引き起こされることが多い。これは一般に、燃焼セクション10から出てタービンセクション18を流れる高温燃焼ガスは、前方ホイールスペース28のような内部タービンホイールキャビティ内の圧力よりも高い圧力になることに起因する。この圧力差は、タービンホイールキャビティへの高温ガスの吸込みを引き起こし、多くの場合、タービン構成要素の許容可能な作動範囲を超えた温度をもたらす結果となる。
【0034】
従って、本主題の1つの態様によれば、
図7は、ガスタービンにおいて圧力境界を通って供給される吸込み防止空気の量を調整するシステムの実施形態を示している。本システムは、ガスタービンの圧力境界上に位置付けられた複数の吸込み防止バルブ通路72、74、76を含む。図示のように、通路72、74、76は、圧縮機吐出ケース12により定められる圧力境界上の位置C(
図1)に位置付けられる。しかしながら、通路72、74、76は、このような圧力境界の何れかの箇所に、或いは、ガスタービン内の何れかの他の圧力境界上に位置付けることができる点は理解されたい。加えて、
図7に示すよりも少ない又は多い通路の量を本システムで利用できる点は容易に理解されるはずである。
【0035】
本システムはまた、通路72、74、76内に装着された複数の温度作動吸込み防止バルブ78、80、82を含む。吸込み防止バルブ78、80、82は、何れかの方法により通路72、74、76内に装着することができる。例えば、吸込み防止バルブ78は、通路72に圧入することができ、或いは、吸込み防止バルブ78及び通路72の両方にネジ山を付け、吸込み防止バルブ78を通路72内に装着できるようにしてもよい。
【0036】
以下で検討するように、吸込み防止バルブ78、80、82は、最初に閉鎖位置にあることができ、吸込み防止バルブ78、80、82における局所温度に基づいて増大する所定の温度閾値で開放位置に恒久的に作動するよう構成することができる。開放時には、吸込み防止バルブ78、80、82は、通路72を介して一定流量の吸込み防止空気を提供する。従って、図示の実施形態では、吸込み防止バルブ78、80、82は、位置C付近の前方ホイールスペース28の温度が特定の増大する温度閾値に達したとき又はこれを上回ったときに開放位置に作動することができる。これにより、吸込み防止空気が前方ホイールスペース28に連続的に流れることが可能になる。結果として、前方ホイールスペース28内部の圧力が上昇し、これによりホイールキャビティ内への高温ガスの吸込み量が減少する。しかしながら、吸込み防止空気は、内部ホイールキャビティ内の圧力を高めるのに用いられるのに加えて、タービン構成要素用の冷却空気としても使用できる点は理解されたい。
【0037】
温度作動吸込み防止バルブ78、80、82は、恒久的に作動し開放するよう構成することができる。換言すると、このような実施形態では、吸込み防止バルブは、特定の温度閾値で作動して開放すると、一定量の吸込み防止空気が圧力境界を通過できるよう開放位置に保持される。
【0038】
図8は、吸込み防止バルブ78の一実施形態を示している。図示のように、吸込み防止バルブ78は、上記で詳細に説明されたようにバイメタル素子バルブである。しかしながら、吸込み防止バルブ78はまた、対応する所定の温度閾値を下回る温度でバルブ78が再閉鎖するのを防止するロック機構84を含む。ロック機構84は、例えば、バルブ78が開放位置に移動するときにバルブステム56に取り付けられた対応する突起86が通ることができるが、バルブ78付近の局所温度が低温になるとこの突起86が通るのが阻止される、バネ付勢部材を含むことができる。しかしながら、ロック機構84は、圧力境界における局所温度が特定の所定の温度閾値を下回って低温になるときに吸込み防止バルブ78が再閉鎖するのを阻止するどのような構成を有してもよい点は理解されたい。更に、吸込み防止バルブ78は、必ずしもバイメタル素子バルブである必要はないが、上述の液体充填ベローズバルブを含む何れかのタイプの温度作動バルブとすることができる点は理解されたい。
【0039】
同様に、吸込み防止バルブ78、80、82は、必ずしも
図7及び8に示す配向を有する必要はないが、全体的には、加圧冷却空気が低圧高温区域に流入可能な何れかの配向を有することができる。例えば、温度作動熱バルブ32に関して上記で説明したように、吸込み防止バルブ78、80、82は、温度作動素子が圧力境界の高圧低温側にあるように配向することができる。
【0040】
本主題の一実施形態において、吸込み防止バルブ78、80、82は、増大する所定の温度で恒久的に作動し開放するよう構成することができる。このような増大する温度閾値は、勿論、限定ではないが、作動条件温度及び標準的なエンジン間の変動を含む、多数の要因に応じて変わる。一例として、
図7を参照すると、吸込み防止バルブ78は、予想作動条件温度及び前方ホイールスペース28内の高温ガス吸込みの予想レベルに基づいて所定の温度閾値における開放位置に恒久的に作動するよう構成することができる。ホイールスペース28内の温度がこのような温度閾値に達するか又はこれを上回ると、吸込み防止バルブ78が恒久的に作動して開放し、一定流量の吸込み防止空気がホイールスペース28内に流入可能になる。バルブ付近の局所温度が上昇し続ける場合、高い温度閾値で作動するよう構成することができる吸込み防止バルブ80が作動して開放され、追加の吸込み防止空気がホイールスペース28内に流入可能になる。同様に、吸込み防止バルブ82が更に高い温度閾値で作動し開放されて、連続して温度が上昇したときに更なる防止空気がホイールスペース28内に流入可能になるよう構成することができる。このパターンは、追加の吸込み防止バルブの導入により拡張することができる点は容易に理解されるはずである。
【0041】
更に、吸込み防止バルブ78、80、82は、バルブ開放時に実質的に同じ量の吸込み防止空気が通路72、74、76に流れることができるように、等しい区域又はサイズのオリフィス42を含むことができる。逆に、吸込み防止バルブ78、80、82は、流量調整された吸込み防止空気が通路72、74、76を流れることができるように異なるサイズのオリフィスを有することができる。例えば、吸込み防止バルブ78、80、82は各々、吸込み防止バルブ78、80、82の増大する所定の温度閾値に対応した増大サイズのオリフィス42を有することができる。従って、上記の実施例に関して、最も低い温度閾値で作動するよう構成された吸込み防止バルブ78は、最も小さいオリフィスサイズを有することができ、吸込み防止バルブ80はより大きなオリフィスサイズを有し、吸込み防止バルブ82は、更に大きなオリフィスサイズを有する。同様に、吸込み防止バルブ78、80、82は各々、増大する所定の温度閾値に対応した減少するサイズのオリフィス42を有することができる。このような実施形態において、最も低い温度閾値で作動するよう構成されたバルブは、最も大きなオリフィスサイズを有することになり、これに続く高い温度閾値のバルブは、より小さなオリフィスサイズを有する。
【0042】
更にまた、吸込み防止バルブ78、80、82は、
図7に全体的に示すように、特定の圧力境界に沿って互いに隣接して位置付けることができ、或いは、圧力境界上で有意に離間して配置することができる。例えば、吸込み防止バルブ78は、位置A(
図1)に位置付けることができ、吸込み防止バルブ80及び82は、位置Cに位置付けたままにすることができる。更に、吸込み防止バルブ78、80、82は、上記で検討した熱バルブ32と同様に、各バルブの特定の機能に応じて予防的又は応答的の何れかで開放位置まで作動するよう構成することができる点は理解されたい。
【0043】
本主題はまた、ガスタービンにおける圧力境界を通って供給される冷却空気の量及び吸込み防止空気の量の両方を調整するシステムを包含する。本システムは、少なくとも1つの熱バルブ通路30と少なくとも1つの温度作動熱バルブ32を含み、その両方が、本明細書で例示され上記で説明されたように構成、設計、又は適合させることができる。本システムはまた、複数の吸込み防止バルブ通路72、74、76と、複数の温度作動吸込み防止バルブ78、80、82を含み、その両方がまた、本明細書で例示され上記で説明されたように構成、設計、又は適合させることができる。
図9に示すように、本システムは、圧縮機吐出ケース12により定められる圧力境界上に組み込まれ、冷却空気及び吸込み防止空気の両方が前方ホイールスペース28内に流入できる。しかしながら、システムはガスタービン内の何れかの圧力境界上に組み込むことができる点は理解されたい。
【0044】
本明細書は、最良の形態を含む実施例を用いて本発明を開示し、更に、あらゆる当業者があらゆるデバイス又はシステムを実施及び利用すること並びにあらゆる包含の方法を実施することを含む本発明を実施することを可能にする。本発明の特許保護される範囲は、請求項によって定義され、当業者であれば想起される他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、請求項の文言と差違のない構造要素を有する場合、或いは、請求項の文言と僅かな差違を有する均等な構造要素を含む場合には、本発明の範囲内にあるものとする。