(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記周辺装置の存在が検出された時点を基準として、前記通信装置からランダムシーケンスを送信するように前記送信するエネルギーの量を制御することを特徴とする請求項1に記載の近接場通信セキュリティ装置。
前記制御部は、前記周辺装置の存在が検出された時点の後に、前記ターゲット共振器からランダムバイナリビットシーケンスを送信するように前記ターゲット共振器から送信するエネルギーの量を制御することを特徴とする請求項1に記載の近接場通信セキュリティ装置。
前記制御部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間で全二重通信を行う場合、前記ソース共振器に供給されたエネルギーのレベルを量子化し、前記ターゲット共振器に格納された初期エネルギーのレベルを量子化することを特徴とする請求項6に記載の近接場通信セキュリティ装置。
前記制御部は、前記ソース共振器と前記ターゲット共振器との間で半二重通信を行う場合、前記周辺装置の存在が検出された時点の後に、前記ターゲット共振器からジャミング信号を送信するように前記ターゲット共振器から送信するエネルギー量を制御することを特徴とする請求項6に記載の近接場通信セキュリティ装置。
前記通信装置から送信するエネルギーの量を制御するステップは、前記周辺装置のアクセスが検出された時点を基準として、前記通信装置からランダムシーケンスを送信するように前記送信するエネルギーの量を制御することを特徴とする請求項10に記載の近接場通信セキュリティ方法。
前記通信装置から送信するエネルギーの量を制御するステップは、前記ソース共振器に供給されたエネルギーのレベルを量子化し、前記ターゲット共振器に格納された初期エネルギーのレベルを量子化することを特徴とする請求項12に記載の近接場通信セキュリティ方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係る近接場通信セキュリティ方法及びその装置を実施するための形態の具体例を図面を参照しながら説明する。
【0019】
遠距離場(Far field)における無線通信技術は、進行波(traveling wave)の物理的特性を用いる。
遠距離場では、送信機器と受信機器との間の通信で機器相互間の影響は無視される。
言い換えれば、送信機器が信号を送信するとき、送信機器は受信機器の存在有無を物理的に検出できない。
送信機器は信号を送出しようとする媒体(例えば、自由空間)に送出し、遠距離場に存在する受信機器は媒体を介して伝えられる信号を受信する。
【0020】
上記のような遠距離場のチャネル環境では送信機器又は受信機器で同一のチャネルに第3の通信機器が存在し、送信機器が送出する信号を検出しているかを判断することのできる物理的な方法が存在しない。
したがって、遠距離場における無線通信システムは、物理的階層でのセキュリティ技術よりも上位階層で論理的な方法を用いる暗号化方式によってセキュリティが確保され得る。
【0021】
近接場(Near field)チャネルでは、近接場内の機器の位置変化による場の変化を個別機器が検出し得る。
例えば、送信機器は受信機器が近接場内に存在するか、信号の送出によって検出することができる。
したがって、第3の機器が近接場内に存在するか否かも判断することができる。
【0022】
本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置は、近接磁場チャネルを用いる通信システムに適用される。
例えば、NFC(Near Field Communication)システム、RFID(Radio Frequency IDentification)などに用いられてもよい。
また、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置は、無線電力を用いる通信システムに適用される。
【0023】
以下では、無線電力を用いる通信システムを中心に近接場通信セキュリティ装置について説明する。
まず、無線電力を用いる通信システムについて説明すれば、無線電力を用いる通信システムは、電源ソースのない情報格納装置の遠隔制御に応用され得る。無線電力を用いる通信システムは、情報格納装置に遠隔で装置を駆動することのできる電力を供給すると同時に、無線で格納装置に格納された情報を呼び出すシステムに応用され得る。
【0024】
無線電力を用いる通信システムは、信号発生のために電源供給装置からエネルギーをソース共振器に格納し、電源供給装置とソース共振器を電気的に接続するスイッチをオフさせることでソース共振器の自己共振を誘導する。
自己共振するソース共振器と相互共振するほど十分に近い距離にソース共振器の共振周波数と同一の共振周波数を有するターゲット共振器が存在する場合、ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振の現象が発生する。
相互共振の現象によってソース共振器からターゲット共振器に無線で電力が供給され、ターゲット共振器が無線で充填(充電)される。
【0025】
以下の説明において、例えば、ソース共振器は、電源供給装置からエネルギーが供給される共振器を意味し、ターゲット共振器は相互共振の現象によって無線でエネルギーが伝達される共振器を意味する。
例えば、ターゲット共振器は、端末、モバイルフォン、コンピュータ、RFID、NFCデバイス、センサ、電子製品などに含まれてもよい。ソース共振器はターゲット共振器へ電力を供給し、ターゲット共振器を含むデバイスがケーブルを用いて電源への接続がなくてもバッテリを充電できる。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す回路図である。
図1で、電力入力部110と電力送信部120は、キャパシタとスイッチによって物理的に分離される。
受信部140と電力出力部150もキャパシタとスイッチによって物理的に分離される。
【0027】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットから構成されるソース−ターゲット構造である。
無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力送信装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備える。
【0028】
無線電力送信装置は、電力入力部110、電力送信部120及びスイッチ部130を備える。
電力入力部110は、電源供給装置を用いてキャパシタにエネルギーを格納する。
スイッチ部130は、キャパシタにエネルギーが格納される間に電力入力部110にキャパシタを接続し、キャパシタに格納されたエネルギーを放電する間に電力入力部110に接続されたキャパシタを電力送信部120に接続する。
スイッチ部130は、キャパシタが同時に電力入力部110及び電力送信部120に接続されないようにする。
【0029】
電力送信部120は、電磁気(electromagnetic)エネルギーを受信部140に伝達(transferring)する。
より具体的には、電力送信部120の送信コイルL
1は、受信部130の受信コイルL
2との相互共振によって電力を伝達する。
送信コイルL
1と受信コイルL
2との間に発生する相互共振の程度は、相互インダクタンスMの影響を受ける。
【0030】
電力送信部120は、キャパシタに格納されたエネルギーをシンボル単位ごとに量子化して送信してもよい。
すなわち、電力送信部120は、シンボル単位ごとに送信されるエネルギー量を異ならせて制御することで情報を送信してもよい。ここで、シンボル単位は、ソースとターゲットとの間に1つのビット情報が伝えられる単位であり、スイッチ部130の動作によってキャパシタにエネルギーが一回充填されて放電される期間を意味する。
【0031】
電力入力部110は、入力電圧V
DC、内部抵抗R
in、及びキャパシタC
1に、電力送信部120は電力送信部120に対応する物理的な性質を反映して、基礎回路素子(R
1、L
1、C
1)に、スイッチ部130は複数のスイッチにモデリングされる。
スイッチとして、オン/オフ機能を行うことのできる能動素子が用いられてもよい。Rは抵抗成分、Lはインダクター成分、Cはキャパシタ成分を意味する。入力電圧V
DCのうちキャパシタC
1に負荷される電圧はV
inのように表示される。
【0032】
無線電力受信装置は、受信部140、電力出力部150、及びスイッチ部160を備える。
受信部140は、電力送信部120から電磁気エネルギーを受信する。受信部140は、受信した電磁気エネルギーを接続されたキャパシタに格納する。
スイッチ部160は、キャパシタにエネルギーが格納される間に受信部140にキャパシタを接続し、キャパシタに格納されたエネルギーを負荷に伝達する間に受信部140に接続されたキャパシタを電力出力部150に接続する。スイッチ部160は、キャパシタが同時に受信部140及び電力出力部150に接続されないようにする。
【0033】
具体的には、受信部140の受信コイルL
2は、電力送信部120の送信コイルL
1との相互共振によって電力を受信する。
受信された電力によって受信コイルL
2と接続されたキャパシタが充填される。
電力出力部150はキャパシタに充填された電力をバッテリに伝達する。
電力出力部150はバッテリの代わりに、負荷又はターゲットデバイスに電力を伝達してもよい。
【0034】
受信部140は、電力送信部120からシンボル単位でエネルギーを受信し、受信したエネルギー量に応じてソースで送信された情報を復調する。
受信部140は、受信部140に対応する物理的な性質を基礎回路素子(R
2、L
2、C
2)に、電力出力部150は接続されるキャパシタC
2及びバッテリに、スイッチ部160は複数のスイッチにモデリングされる。受信コイルL
2で受信されるエネルギーのうち、キャパシタC
2に負荷される電圧はV
outのように表示される。
【0035】
上記のように電力入力部110と電力送信部120、受信部140と電力出力部150とを物理的に分離して電力を送信する、いわゆるRI(Resonator Isolation)システムは、インピーダンスマッチングを用いた従来の方式に比べて様々な長所を有する。
第1に、DC電源からソース共振器に直接電力を供給することが可能であるため電力増幅器を使用しなくてもよい。
第2に、受信端のキャパシタに充填された電力でエネルギーをキャプチャー(capture)するため、整流器を通した整流作業を必要としない。
第3に、インピーダンスマッチングを行う必要がないことから、送信効率が送信端と受信端との間の距離変化に敏感ではない。また、複数の送信端及び複数の受信端を備える無線電力送信システムにおける拡張が容易である。
【0036】
図2は、本発明の一実施形態に係る電力充填部と送信部、充填部と電力出力部がスイッチによって物理的に分離する無線電力を用いる通信システムの等価回路を示す回路図である。
【0037】
図2を参照すると、無線電力を用いる通信システムは、ソースとターゲットから構成されるソース−ターゲット構造である。
すなわち、無線電力を用いる通信システムは、ソースに該当する無線電力伝送装置とターゲットに該当する無線電力受信装置を備えている。
【0038】
無線電力伝送装置は、電力充填部210、制御部220、及び送信部230を備えている。
電力充填部210は、電源供給装置V
inと抵抗R
inから構成される。
送信部230に含まれるソース共振器は、キャパシタC
1とインダクターL
1から構成される。送信部230は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってソース共振器に格納されたエネルギーを送信する。
【0039】
制御部220は、電力充填部210からソース共振器に電力を供給するためにスイッチをオン(on)する。電源供給装置V
inからキャパシタC
1に電圧が印加され、インダクターL
1に電流が印加される。正常状態になると、キャパシタC
1に印加される電圧は0になり、インダクターL
1に流れる電流はV
in/R
inの値を有するようになる。正常状態においてインダクターL
1には印加される電流によって電力が充填される。
【0040】
制御部220は、正常状態でソース共振器に充填された電力が所定値に達すれば、スイッチをオフ(off)する。所定値に関する情報は制御部220に設定されてもよい。電力充填部210と送信部230は分離され、ここで、ソース共振器は、キャパシタC
1とインダクターL
1との間に自己共振を始める。
相互インダクタンスM270を考慮するソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によってソース共振器に格納されたエネルギーはターゲット共振器に伝えられる。
【0041】
ここで、ソース共振器の共振周波数f
1とターゲット共振器の共振周波数f
2は同一である。
【0042】
送信部230は、ソース共振器に格納されたエネルギーをシンボル単位ごとに量子化して送信する。
すなわち、送信部230は、シンボル単位ごとに送信されるエネルギー量を相異して制御することによって情報を送信してもよい。ここで、シンボル単位はソースとターゲットとの間に1つのビット情報が伝えられる単位であり、制御部220の動作によってキャパシタにエネルギーが一回充電されて放電される期間を意味する。
【0043】
無線電力受信装置は、充填部240、制御部250及び電力出力部260を備える。
充填部240に含まれるターゲット共振器は、キャパシタC
2とインダクターL
2から構成される。
ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振するとき、ソース共振器は電源供給装置V
inと分離され、ターゲット共振器は負荷(LOAD)及びキャパシタC
Lと分離される。
ターゲット共振器のキャパシタC
2とインダクターL
2は相互共振によって電力を充填する。
制御部250は、ターゲット共振器に電力を充填するためにスイッチをオフ(off)してもよい。スイッチがオフの間に、ターゲット共振器の共振周波数とソース共振器の共振周波数は一致して相互共振が発生する。
制御部250は、ターゲット共振器に充填された電力が所定値に達すると、スイッチをオン(on)する。所定値に関する情報は制御部250に設定されてもよい。
【0044】
スイッチがオンされれば、キャパシタ
CLが接続されてターゲット共振器の共振周波数は変更される。
【0045】
したがって、ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振が終了する。
より詳しくは、ターゲット共振器のQを考慮してf2’がf2よりも小さければ、相互共振チャネルは消滅することがある。
また、電力出力部260は、キャパシタC
2とインダクターL
2に充填された電力を負荷(LOAD)に伝達してもよい。電力出力部260は負荷(LOAD)の必要に適する方式に基づいて電力を伝達する。
【0046】
制御部250は、ターゲット共振器に充填された電力が所定の値未満であれば、スイッチをオフ(off)する。
充填部240は、ソース共振器とターゲット共振器との間の相互共振によって再びターゲット共振器に電力を充填する。
【0047】
充填部240は、送信部230からシンボル単位でエネルギーを受信し、受信したエネルギー量に応じてソースで送信された情報を復調する。
ソース共振器とターゲット共振器との間に相互共振が発生するときにスイッチが接続されない。
したがって、スイッチの接続による送信効率の減少を予防することができる。
【0048】
図1に示す場合と比較して、キャパシタに充填されたエネルギーを伝達する方式に比べてターゲット共振器に格納されたエネルギーのキャプチャー(capture)時点を制御することがより容易である。
キャパシタに充填されたエネルギーを伝達する方式はキャパシタに充填されたエネルギーのみキャプチャーできるが、共振周波数を変更してエネルギーをキャプチャーする方式は、ターゲット共振器のインダクター及びキャパシタに格納されたエネルギーをキャプチャーするため、エネルギーのキャプチャー時点に対する自由度が向上する。
【0049】
RI(Resonator Isolation)システムの送信端は、電力あるいはデータ送信のためにスイッチ接続によってソース共振器にエネルギーの充填と放電の工程を繰り返す。
このような一回のエネルギーの充填と放電の工程を1つのシンボルと定義する。
【0050】
図3(a)及び(b)は、共振器の数による近接場の変化を示す図である。
図3(a)を参照すると、自由空間(Free space)に位置する単一共振器311は、初期に保有するエネルギーによって共振器311の周辺に指数的に減少する静的磁場(static magnetic field)310を形成する。
ここで、共振器311はキャパシタとインダクターを基本構成要素とするマグネチック共振器を意味する。
【0051】
もし、十分に近い距離に共振周波数が同一の複数共振器が存在する場合、それぞれの共振器に格納されているエネルギーは相互共振によって共振器間を移動することになる。
また、相互共振過程において各共振器は近接磁場を形成し、複数の共振器が存在する場合、既存の単一共振器によって形成された磁場は変化する。
【0052】
図3(b)はこのような磁場の変化を示す。
図3(a)に示す単一共振器によって形成された近接磁場310は、
図3(b)で第2共振器323が近接することによって従来の共振器321に格納されていたエネルギーが相互共振の現象によって第2共振器323と共有され、近接磁場310が変化して新しい近接磁場320が形成される。
ここで、近接磁場は近接場と同じ意味であり、近接場は予め設定された所定の距離まで影響が及ぶ磁場を意味する。したがって、近接場は、無線通信システムの種類に応じて影響を及ぼす距離が様々に決定されてもよい。
【0053】
図4は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置が動作する環境で周辺装置が近接場に存在する場合に磁場の変化を示す図である。
複数の共振器によって形成される近接場で、共振器間の相互共振の現象を用いてエネルギー及び情報が送信される。
【0054】
第1共振器410に初期エネルギーが格納された状態で、第2共振器420を第1共振器410に近接させれば、相互共振によって共振器間でエネルギーの送受信が発生する。
このようなエネルギーの送受信の間に第2共振器420でエネルギーをキャプチャリング(capturing)すれば、第1共振器410から第2共振器420へのエネルギーが伝達される。
【0055】
また、第1共振器410で送信するエネルギー量の調整及び第2共振器420に伝えられるエネルギー量のセンシングによって、第1共振器410で送信する情報が変調及び復調される。
このような情報伝達方法をIE(Induced Energy)モジュレーションと定義する。
【0056】
2つの共振器間にエネルギーが伝えられるシステムは、リニアシステムである。
言い換えれば、第1共振器410及び第2共振器420それぞれに初期エネルギーが注入されている状態で、第1共振器410に初期格納されたエネルギーが第2共振器420に伝えられる方向と、第2共振器420に初期格納されたエネルギーが第1共振器410に伝えられる方向は互いに直交する。
【0057】
2つの共振器間でエネルギーを用いて情報伝達することにおいて、全二重(full duplex)通信が可能である。全二重通信で、2つの共振器は同時にエネルギーを送信して受信し得る。全二重通信の間に2つの共振器間でエネルギー伝達の同期(synchronization)が行われれば、エネルギー伝達の開始後の任意の時点で2つの共振器それぞれは相手共振器で伝えられたエネルギー量を予測することができる。
【0058】
図4を参照すると、第1共振器410と第2共振器420が相互共振によって初期エネルギーを共有して近接場を形成している状況で、第1共振器410及び第2共振器420と同じ共振周波数を有する第3共振器430が近接場に存在するとき近接場に変化が発生する。
【0059】
図5は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置の構成を示すブロック図である。
図5を参照すると、近接場通信セキュリティ装置は、検出部510、制御部520、通信装置530を備える。
【0060】
検出部510は、近接場の磁場の変化に基づいて信号の送受信が相互約束された通信装置ではない周辺装置の存在を検出する。
検出部510は、相互約束された通信装置が通信を開始した後に動作してもよい。検出部510は相互約束された通信装置が通信を開始すれば、通信装置周辺に形成された近接場を検出する。
検出部510は、近接場に予め設定された基準以上の変化が発生すれば、周辺装置が存在すると判断する。ここで、周辺装置は相互約束された通信装置とは他の不特定通信装置を意味する。検出部510は、通信装置530に格納されたエネルギーの変化率に基づいて近接場の変化を判断する。
【0061】
制御部520は、検出部510で周辺装置の存在を検出すると、周辺装置で通信装置530間で送受信する信号の解読ができないように、通信装置530で送信するエネルギー量を制御する。
【0062】
通信装置530間には相互に交換するエネルギー量を約束された基準に対応する情報で認識することによって情報を交換する。
または、通信装置530は、相互に交換するエネルギーに対して電力推定(power estimation)して情報を認識する。
周辺装置が通信装置530間に交換するエネルギーを中間で受信する場合、送信装置からもエネルギーを受信し、受信装置からもエネルギーを受信するため、重なるエネルギーの受信によって送信装置と受信装置の信号を正しく解読することができない。
【0063】
制御部520は、通信装置530間のエネルギー量を調整し、周辺装置が受信するエネルギーに基づいて歪曲された情報を取得する。
【0064】
通信装置530は、ソース共振器を含む送信部であってもよく、ターゲット共振器を含む受信部であってもよい。
ソース共振器はエネルギーを供給する共振器を意味し、ターゲット共振器はソース共振器からエネルギーを受信する共振器を意味する。
ソース共振器を含む送信部が通信装置530として用いられる場合、制御部520はソース共振器に初期格納されたエネルギーを量子化し、ソース共振器が情報とマッチングされる量子化されたエネルギーを送信する。ターゲット共振器は量子化されたエネルギーを受信し、エネルギー量に応じてマッチングされた情報を解釈して情報を認識する。
【0065】
ソース共振器のみ情報を送信する半二重(half duplex)方式によってソース共振器は直流電源から供給されたエネルギーを相互共振によって送信し、ターゲット共振器は相互共振によってエネルギーを受信してもよい。
【0066】
検出部510は、ソース共振器又はターゲット共振器に格納されるエネルギーの変化率に基づいて周辺装置が近接場に存在するか否かを検出する。
検出部510は、ソース共振器とターゲット共振器のみで信号を交換するときのエネルギー変化率と、周辺装置が近接場に存在するときのエネルギー変化率とに差があることを用いる。例えば、検出部510は、ソース共振器とターゲット共振器のみで信号を交換するときのエネルギー変化率と比較して、エネルギー変化率が所定の基準よりも大きくなれば、周辺装置が近接場に存在するものと検出する。
【0067】
制御部520は、周辺装置の存在が検出された時点を基準にして、通信装置530からランダムシーケンスを送信するように送信エネルギー量を制御する。
ランダムシーケンスは任意のビットシーケンスを意味する。周辺装置はランダムシーケンスを受信し、歪曲された情報を取得する。
【0068】
制御部520は、周辺装置の存在が検出された時点の後に、ターゲット共振器からランダムバイナリビットシーケンス(random binary bit sequence)を送信するようにターゲット共振器で送信するエネルギー量を制御する。制御部520は、周辺装置の存在が検出される前にはターゲット共振器でエネルギー送信を行わないようにし、周辺装置の存在が検出された後、ターゲット共振器からジャミング(jamming)信号を送信するようにエネルギー量を制御する。
【0069】
全二重方式によってソース共振器は、相互共振によって直流電源から供給されたエネルギーを送信し、ターゲット共振器からエネルギーを受信する。
また、ターゲット共振器は、相互共振によってソース共振器からエネルギーを受信し、外部電源から供給された初期格納エネルギーを送信する。
全二重方式であるため、ソース共振器及びターゲット共振器は同時に情報交換を行うことができる。
【0070】
ソース共振器に格納されたエネルギーを相互共振によってターゲット共振器に伝達する方向と、ターゲット共振器に格納されたエネルギーを相互共振によってソース共振器に伝達する方向は、エネルギー送信のリニア結合特性に対応して直交する。
ソース共振器は、ターゲット共振器から伝えられたエネルギー量を分析してターゲット共振器で送信した情報を復調し、ターゲット共振器はソース共振器から伝えられたエネルギー量を分析してソース共振器で送信した情報を復調する。
【0071】
制御部520は、周辺装置の存在を検出すると、通信装置のエネルギー送信を中止してもよい。
制御部520は周辺装置の存在を検出すると、エネルギー送信を中止して周辺装置がハッキングする情報を提供しないようにする。
【0072】
制御部520は、近接場通信セキュリティ装置の全般的な制御を担当し、検出部510の機能を行ってもよい。
図5に示す実施形態において、これらを別個に構成して示すのは各機能を区別して説明するためである。したがって、実際に製品を具現する場合に、これら全てを制御部520で処理するように構成してもよく、一部だけを制御部520で処理するように構成してもよい。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に近接場通信セキュリティシステムのの構成を示すブロック図である。
図6を参照すると、近接場通信セキュリティシステムは送信端及び受信端を備える。
送信端は検出部610、制御部620、及びソース共振器630を備え、受信端はターゲット共振器640、制御部650、及び検出部660を備える。
【0074】
近接場は、相互共振するソース共振器630とターゲット共振器640との間に形成される。例えば、検出部610又は送信端は、近接場の変化に基づいて近接場内に周辺装置670の存在を検出する。
また、受信端の検出部660は、近接場の変化に基づいて周辺装置670の存在を検出する。
【0075】
検出部610は、算出部611及び決定部613を備える。
算出部611は、ソース共振器630又はターゲット共振器640に格納されるエネルギーの変化率を算出し、決定部613は、算出部611で算出されたエネルギーの変化率に基づいて周辺装置670の存在有無を決定する。
近接場の変化は、ソース共振器630又はターゲット共振器640に格納されるエネルギーの変化率の算出によって検出される。
【0076】
制御部620は、周辺装置670の存在を検出すると、周辺装置670が受信するエネルギーによってソース共振器630とターゲット共振器640との間で送受信する信号を解読することができないように、ソース共振器630で送信するエネルギー量を制御する。制御部620は、ソース共振器630で送信するエネルギー量を調整することで、周辺装置670が受信するエネルギー量に基づいて歪曲された情報を取得する。
【0077】
制御部620は、ソース共振器630とターゲット共振器640との間に全二重方式の通信を行う場合、ソース共振器630に供給されたエネルギーのレベルを量子化してもよい。
量子化されたエネルギーのレベルには情報がマッチングされる。
【0078】
検出部660は、相互共振するソース共振器630とターゲット共振器640と間に形成された近接場の変化に基づいて近接場内に周辺装置670の存在を検出する。近接場の変化は、ソース共振器630又はターゲット共振器640に格納されるエネルギーの変化率に基づいて判断される。
【0079】
制御部650は、周辺装置670の存在を検出すると、周辺装置670が受信するエネルギーによってソース共振器630とターゲット共振器640との間で送受信する信号を解読することができないように、ターゲット共振器640で送信するエネルギー量を制御する。
【0080】
制御部650は、ソース共振器630とターゲット共振器640との間に全二重方式の通信を行う場合、ターゲット共振器640に格納された初期エネルギーのレベルを量子化してもよい。
【0081】
制御部650は、ソース共振器630とターゲット共振器640との間に半二重方式の通信を行う場合、周辺装置670の存在が検出された時点の後に、ターゲット共振器640からジャミング(jamming)信号を送信するようターゲット共振器640から送信するエネルギー量を制御してもよい。
【0082】
半二重方式通信の場合、ターゲット共振器640は、ソース共振器630で送信するエネルギーを受信して情報を復調する。
ターゲット共振器640は、エネルギーの受信と同時にソース共振器630にエネルギーを送信しない。ただし、周辺装置670の存在が検出された時点の後に、ターゲット共振器640はジャミング信号を送信してもよい。ジャミング信号は、バイナリランダムシーケンスであってもよい。ジャミング信号は、量子化されたエネルギーの形態でターゲット共振器640から送信されてもよい。
【0083】
図7(a)及び(b)は、周辺装置が近接場に存在する場合、TX共振器とRX共振器に格納されるエネルギーの変化を示すグラフであり、(a)は周辺装置が近接場に進入したときTX共振器に格納されるエネルギーの変化を示し、(b)はRX共振器に格納されるエネルギーの変化を示す。
TX共振器は、初期エネルギーが注入された共振器にIEモジュレーションによって情報を送信する共振器であり、RX共振器は初期エネルギーのない共振器に情報を受信する共振器である。
【0084】
周辺装置の存在有無に対応して時間による格納エネルギーの波形が変化する。
格納エネルギーの波形が変化することは、近接場変化に対応してTX共振器とRX共振器でエネルギー送受信に変化が発生したためである。
図7(a)、(b)における実線は、周辺装置がない場合にTX共振器とRX共振器に格納されるエネルギーの波形を示し、点線は周辺装置が進入する場合にTX共振器とRX共振器に格納されるエネルギーの波形を示す。
【0085】
すなわち、周辺装置がない場合には、TX共振器に格納された初期エネルギーをTX共振器とRX共振器間で相互交換した場合、周辺装置が進入しながら3つの共振器間でエネルギーの交換が発生する。
これによって、それぞれの共振器に格納されるエネルギーに変化が発生する。
【0086】
このようなエネルギー変化は、各共振器で独立的にセンシング可能である。
したがって、2つの共振器間で情報交換するとき、第3共振器が近接場に存在すれば、第3共振器の存在有無は、近接場の変化又は各共振器の格納エネルギーの変化率を分析することによって把握することができる。
第3共振器のセンシングによって近接場における通信セキュリティを確保することができる。
最も簡単な実施形態としてはTX共振器で第3共振器の存在を把握すれば、情報送信を中断することである。
【0087】
図8は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置で通信装置が全二重方式(full duplex)通信を行う場合にセキュリティが確保される概念を示す図である。
図8は、第1共振器810が第2共振器820に情報を送信する状況で第3共振器が近接場に存在する状況を仮定したものである。このような状況で、第3共振器830で情報の解釈を不可能にするために第1共振器810と第2共振器820とでIEモジュレーション方法によってエネルギーを送信する。
【0088】
共振器間でのエネルギー送信のリニア結合性のために、第1共振器810と第2共振器820間の情報伝達は全二重方式で通信が行われる。
すなわち、第2共振器820のエネルギー送信は第2共振器820の情報受信に影響を及ぼさない。
一方、第3共振器830では第2共振器820で送信されたエネルギーと第1共振器810で送信されたエネルギーとが重なって第3共振器830が情報の解釈を不可能にする。
【0089】
図9は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置でジャミング信号を送信する場合と送信しない場合での追加共振器に格納されるエネルギーの変化を示すグラフである。
図9は、近接場に進入した追加共振器に格納されるエネルギーの変化を示す。
実線は近接場通信セキュリティ装置からジャミング信号を送信しない場合での追加共振器に格納されるエネルギーの波形を示し、点線は近接場通信セキュリティ装置からジャミング信号を送信する場合での追加共振器に格納されるエネルギーの波形を示す。近接場通信セキュリティ装置は、RX共振器を用いてジャミング信号を送信してもよい。
【0090】
近接場通信セキュリティ装置は、半二重方式で動作するRX共振器が追加共振器を検出すれば、ジャミング信号を送信するようにする。
近接場通信セキュリティ装置からジャミング信号を送信する場合、追加共振器に誘導されるエネルギー量は、ジャミング信号を送信しない場合よりも大きくなり、追加共振器はTX共振器からRX共振器に送信する情報を解釈することが困難である。
その理由は、ジャミング信号によって追加的に誘導されたエネルギー量だけ追加共振器は情報を歪曲して解釈するためである。
【0091】
図10は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ装置でランダムシーケンスを送信する場合、追加共振器が受信するシーケンスを示す図である。
図10を参照すると、TX共振器は、RX共振器でバイナリシーケンスの情報1010を送信する。
【0092】
「Coming point」は、追加共振器がTX共振器とRX共振器間とで通信中である近接場に存在した時点である。
追加共振器が近接場に存在しない場合、すなわち、「Coming point」以前にRX共振器はエネルギーを送信しない。追加共振器が存在すると判断された時点後に、すなわち「Coming point」の後にRX共振器はバイナリランダムシーケンス(binary random sequence)1020に基づいたエネルギー送信によって追加共振器でTX共振器が送信する情報1010を解釈することを妨害する。追加共振器は歪曲された情報1030を取得する。
【0093】
例えば、「Coming point」のすぐ次に送信されるTX共振器の「1」はRX共振器のランダムシーケンス「1」と重なって追加共振器では「2」と解釈される。「Coming point」後のTX共振器で送信する情報「1010111010」はRX共振器に送信するランダムシーケンス「1101011001」とシンボル単位に重なる。追加共振器は、重なるシーケンスを「2111122011」と解釈し、最善の場合には「1XXXX110XX」と解釈してもよい。ここで、Xは追加共振器によって解釈されないビット値を意味する。
【0094】
図11は、本発明の一実施形態に係る近接場通信セキュリティ方法を説明するためのフローチャートである。
ステップS1110において、受信機器は送信機器から信号を受信したか否かを判断する。
無線電力伝送システムでは、信号はエネルギーの形態で受信してもよい。すなわち、あるシンボル期間の間受信されるエネルギー量に対応して互いに異なる情報が伝えられてもよい。例えば、エネルギー量に対応して「1」又は「0」のビットが区別される。
【0095】
ステップS1120において、受信機器は送信機器から信号を受信したと判断すれば、近接場の変化に基づいて周辺装置が近接場に存在するか否かを判断する。
受信機器は、送信機器と形成した近接場に変化が発生すれば、周辺装置が存在したと判断する。または、受信機器はターゲット共振器によってエネルギーを受信するが、ターゲット共振器に格納されるエネルギーの波形を分析し、波形の変化率が所定の基準よりも大きくなる場合、周辺装置が存在したと判断する。
【0096】
ステップ1130において、受信機器は周辺装置が近接場に存在するものと判断すれば、ジャミング(jamming)信号を送信する。
ジャミング信号は、ランダムシーケンスでターゲット共振器に格納されたエネルギー量をシンボル単位で相異するよう制御することによって生成されてもよい。周辺装置は、送信機器が送信する信号及び受信機器が送信するジャミング信号を重複して解釈するため、歪曲された情報を取得する。
【0097】
ステップS1140において、受信機器は、送信機器から受信した信号を復調する。
受信機器は、ジャミング信号を送信すると同時に受信信号を復調する。
【0098】
上述した方法は、多様なコンピュータ手段を介して様々な処理を実行することができるプログラム命令の形態で実現され、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録されてもよい。
コンピュータ読取可能な媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などの単独又は組み合わせたものを含んでもよい。媒体に記録されるプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知のものであり使用可能なものであってもよい。
【0099】
尚、本発明は、上述の実施形態に限られるものではない。本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。