(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記グレンタンク(5)の後方と後方カバー(1c)との間に制御部(47)を取付けると共に、該制御部(47)を開口部(1e)の近傍にアクセス可能に配置することを特徴とする請求項1記載のコンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示されるようなコンバインは、揺動選別機構の選別調節部側と制御部側とを一本の制御線によって接続する配線作業を、グレンタンクとの間で脱穀部の右側壁から引き出される制御線を、排藁処理装置等を回転駆動するベルト伝動部の下方に這わせて引廻し操縦部近隣の制御部に接続して配線するようにしている。そのため、上記揺動選別機構の清掃や修理を必要としたり、脱穀物の種類等に対応して選別構造の異なる別タイプの揺動選別機構に交換する場合には、脱穀部の排塵口に対設されている排藁処理装置を取外し又は側方に回動退避させると共に、グレンタンクを側方に回動させて脱穀部の側方を大きく露出させた状態で、制御線を制御部側のコネクタから外し揺動選別機構を制御線と共に排塵口から機体外部に引き出して、清掃或いは交換等の各作業を行ったのち、再び揺動選別機構及び制御線を脱穀部内に再装着する等の一連のメンテナンス作業が行われるものである。従って、このようなメンテナンス作業を行なう場合に、グレンタンクを側方に回動させて脱穀部の側方を大きく露出させねばならないため、メンテナンス作業が非能率になる等の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明のコンバインは、第1に、走行装置2aを有する機体フレーム2の前部に刈取部9と、後部の左右に揺動選別機構21を備える
脱穀部8と選別された穀粒を貯留するグレンタンク6を配設し、
該脱穀部8の後方に藁屑を処理する排藁処理装置7を配設し、該脱穀部8とグレンタンク6との間で脱穀部8の右側壁8dに沿って2番物を揚送して脱穀部8内に還元する2番還元装置33を立設すると共に、上記揺動選別機構21に設置されて
選別性能を調節する選別調節部40側と機体側に設置される制御部47側とを接続する制御線42を、上記右側壁8dに形成した取付孔部43を通過させて引き出して配線するコンバインAにおいて、
前記制御線42を選別調節部40側の制御線42aと制御部
47側に配線する制御線47aとに分割し、各線端部に設けるコネクタ42bとコネクタ47bとを接続分離自在に構成すると共に、前記2番還元装置33の後側面の下部に取付支持し、且つグレンタンク
6の後方を覆う後方カバー1cと脱穀部8の右側壁8dとの間に、上記2番還元装置33の後側面の下部を後方から開放する開口部1eを形成し、
前記脱穀部8の右側壁8dに設置される駆動プーリ71から前記排藁処理装置7の右側に設置される入力プーリ72にベルト73を張設してベルト伝動部を構成し、前記開口部1eを覆うための開閉自在な開口部カバー1aでもって、前記ベルト伝動部を後方から覆ったことを特徴としている。
第2に、前記グレンタンク5の後方と後方カバー1cとの間に制御部47を取付けると共に、該制御部47を開口部1eの近傍にアクセス可能に配置することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、制御線を選別調節部側の制御線と制御部側に配線する制御線とに分割し、各線端部に設けるコネクタとコネクタとを接続分離自在に構成すると共に、前記2番還元装置の後側面の下部に取付支持し、且つグレンタンクの後方を覆う後方カバーと脱穀部の右側壁との間に、上記2番還元装置の後側面の下部を後方から開放する開口部を形成し、
前記脱穀部の右側壁に設置される駆動プーリから前記排藁処理装置の右側に設置される入力プーリにベルトを張設してベルト伝動部を構成し、前記開口部を覆うための開閉自在な開口部カバーでもって、前記ベルト伝動部を後方から覆ったことにより、選別調節部側の制御線と制御部側の制御線との各線端部に設ける各コネクタを2番還元装置を利用しての制御線と制御部側の制御線との各線端部に設ける各コネクタを2番還元装置を利用して取付けるので、特別な取付部材を要することなく2番還元装置の後方に形成される開口部に臨ませた簡潔で安価な配線構造にすることができる。また揺動選別機構側並びに制御部側のメンテナンス作業を行なうとき、大型の後部カバーを外したりグレンタンクを側方回動させる等の煩雑な作業を行なうことなく、小型の開口部カバーの開閉動作によって開放される開口部から、各コネクタを介し各制御線の分離及び接続を簡単に行うことができ、メンテナンス作業を能率よく行うことができる。
請求項2の発明によれば、グレンタンクの後方と後方カバーとの間に制御部を取付けると共に、該制御部を開口部の近傍にアクセス可能に配置することにより、制御部のマイコン書き換え等のメンテナンス作業を行なう場合に、後部カバーを外すことなく開口部を利用して制御部に簡単にアクセスすることができるので、制御部のメンテナンス作業を能率よく行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜
図3において符号Aは本発明に係る機体の後方カバー構造1を備える汎用コンバインであり、このコンバインAは、左右一対のクローラ式の走行装置2aを備える機体フレーム2の右側前部位置に、操縦部3とエンジンが搭載される原動機部4と、穀粒排出オーガ装置5を備える穀粒貯留部としてのグレンタンク6とを前後方向に配設している。また機体フレーム2の左側位置には、後部にチョッパー型の排藁処理装置7を備えるスレッシャー型の脱穀部8を配設している。
【0009】
そして、脱穀部8の前方に刈取部9と搬送部10等を作物の刈高さ調節を行うように昇降自在に設置している。これによりコンバインAはコンバイン作業時に、圃場に植立する作物を刈取部9で刈取り、刈取られた作物を搬送部10を介し脱穀部8に搬送し、脱穀部8によって脱穀選別された穀粒(精粒)をグレンタンク6に供給して貯留し、且つ脱穀部8から排出される藁屑を排藁処理装置7によって粉砕して後方に排出し、一連のコンバイン作業を行なう。
【0010】
以下、コンバインAの各部の構成及び作用について説明する。刈取部9は、プラットホーム11の前端部に左右一対の分草体12を取付け、該分草体12,12間の後方位置に刈刃13を設け、該刈刃13の後方位置にプラットホームオーガ14を設け、プラットホーム11の後端上部に左右一対のリール支持アーム15の基端を取付け、両リール支持アーム15間に掻込リール16を回転自在に軸支している。これにより刈取部9は、掻込リール16の下向き矢印方向回転によって、植立穀稈をプラットホーム11内に掻き込み、掻き込まれながら刈刃13によって刈取られた作物(穀稈)を、プラットホームオーガ14から搬送部10に集合して脱穀部8に搬送供給し脱穀選別作業を受けさせる。
【0011】
脱穀部8は
図1,
図5〜
図7で示すように、搬送部10の直後方位置に扱胴17を前後方向に軸支回転する扱室19を形成し、脱穀された脱穀物を扱室19の下方に選別室20を形成するように、扱胴17を軸支する前側壁8aと後側壁8bと両者を接合する左機壁8cと右側壁8dとにより脱穀フレーム8eを構成し、且つ扱室4を上部カバー8fで覆っている。そして、脱穀フレーム8eの選別室20内には、脱穀物を受けて揺動選別する揺動選別機構21を前後方向に揺動自在に装架し、該揺動選別機構21の下方に穀粒等の1番物を回収する1番樋22、枝梗付き穀粒や混入する屑類等からなる2番物を揺動選別機構21に還元する2番樋23を設け、1番樋22及び揺動選別機構21の前方に選別風を揺動選別機構21に送る唐箕ファン等からなる風選別機構25を設置している。
【0012】
上記揺動選別機構21は、扱室19に張設される受網26の直下位置に臨むチャフシーブ27と下方の選別網28を介し、受網26から漏下した脱穀物を選別方向上流側で受けて選別し、穀粒を1番樋22に供給し、且つ屑類を選別方向下流側に移送し受網26の終端部直下で上下段に設置されたストローラック29で篩選別をする。また上記ストローラック29は、受網26の終端部から漏下した脱穀物もストローラック29で受けて篩選別し、屑類を排塵口30を介して排藁処理装置7に送る。
【0013】
そして、揺動選別機構21によって1番樋22に供給された1番物(穀粒)は、1番揚穀装置31を介してグレンタンク6に収容され、2番樋23に供給された2番物は、該2番樋23内に横設される螺旋体32の終端から、2番還元装置33を介して扱室19の前部側又は揺動選別機構21のチャフシーブ27に供給還元して再選別される。上記2番還元装置33は
図6〜
図8で後述するように、無端チェン35に複数のバケット36を取付けたバケットコンベア式の揚送体37を、
右側壁8dに沿って立設した揚送ケース39内に張設している。
【0014】
そして、実施形態の揺動選別機構21は
図6,
図7に示すように、その前後方向の適所に従来のものと同様な構成によって、チャフシーブ27の各シーブ(フィン)の間隔(目合い)を調節する選別調節部40を備えている。この選別調節部40は、アクチュエータとしてのモータ41及びポテンショメータ並びにシーブ作動機構等からなり、後述する制御線42aと制御線47aとからなる制御線42を介して、制御部47の制御指令を入力して制御駆動することにより各シーブの目合いを調節する構成となっている。上記構成において選別調節部40のモータ41に接続される制御線42aは、耐振動性及び可撓性を備えた配線手段によって、揺動選別機構21の後部側から延長されて、脱穀部8の右側壁8dに形成した取付孔部43に挿入支持して機外に引き出した状態で、揚送ケース39の後面下部に至る長さにしている。そして、制御線42aの端部に設けるコネクタ42bを、揚送ケース39の後面(背面)に対し、上記取付孔部43より下方に位置させて設けるコネクタ部45に、接続分離自在(係脱自在)に取付けるようにしている。
【0015】
これにより揺動選別機構21側の制御線42aは、1本の制御線によって配線することなく分割して長さを可及的に短くした状態で、後述する排藁処理装置7へのベルト伝動部の下方において、接触防止用の配線カバーを不要とした簡潔で安価な配線構造にしながら、2番還元装置33の後方に形成される広いスペースに臨ませるコネクタ部45によって制御部47に接続することができる。尚、取付孔部43は従来手段と同様に、制御線42aを挿入したゴム製のブッシュを右側壁8dに穿設した取付孔内に係脱自在に挿入する構成にしている。
【0016】
上記コネクタ部45は、揚送ケース39に突設されるフック状の取付部材46と、制御部47側から延長配線される制御線47aの端部に設けられたコネクタ47b等からなり、該コネクタ47bにコネクタ42bを接続分離自在(抜き差し自在)に接続する構成としている。またコネクタ47bは取付部材46のフックに係脱自在に取付けるようにしている。そして、実施形態の制御部47はCPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)を用いて構成されており、
図5に示すように機体フレーム2の後部から立設されるカバー支柱48の上方と、脱穀部8の右側壁8dとを連結する連結板49の前面側に取付けている。
【0017】
これにより制御部47は、コネクタ部45の後方近傍において配線距離を短くした状態で設置すると共に、後述する中間カバー1cが取外された場合でも、連結板49によって後方を覆って保護することができる。またコネクタ部45は、右側壁8dの側方に沿って立設される揚送ケース39の背面下部を利用して設けているため、後方から容易に手を差し入れることができ、コネクタ部45のコネクタ47bから、コネクタ42bを上方に向けて引き抜いて簡単に分離することができる。またコネクタ47bは、制御部47を取外すことなく取付部材46に対する係脱を容易に行うことができる。
【0018】
また上記構成において揺動選別機構21が有する選別調節部40は、脱穀物(選別物)の層厚の大小変化に応動する図示しないセンサの角度変化等に基づく信号によってモータを回転制御し、これに連繋する各シーブの開度を可変させることにより、チャフシーブ27上の層厚を一定に保持することによって選別自動制御を行う。これにより揺動選別機構21は、予め制御部47のマイコンにプログラム設定されているところの、稲麦や豆類等材料の種別或いは雨水や露によって濡れた材料等の脱穀材料に応じた選別モードに基づいて、脱穀物を適正に濾過選別するチャフシーブ27のシーブ間隔(目合い)の大きさを調節することにより、屑類と穀粒を精度よく濾過選別をする。
【0019】
即ち、上記適正な目合い調節は、制御部47に予め設定された材料状況毎に応じてプログラムされた目合いモードによって、選別調節部40のモータ41を正逆回転させて各シーブを濾過調節作動させることができる。またモータ41は、操縦部3側に設置される図示しない操作スイッチを操作することにより、脱穀物の選別状態に基づく手動操作も行うことができる。また上記選別モードの設定は必要に応じ、後述する後方カバー構造1が備える開口部カバー1aを開放した状態でアクセス可能に設置されている制御部47に、変更プログラムを入力することにより簡単に行うことができる。
【0020】
また前記2番還元装置33は
図6〜
図8で示すように、揚送ケース39内に沿って上下方向に張設される無端チェン35を、前記2番樋23の横送り終端で、螺旋体32の螺旋部32aを有する軸部32bの軸端側に設けたスプロケット50に巻き掛けて回転駆動するようにしている。上記構成において螺旋部32aとスプロケット50との間の軸部32bには2番物案内体51を設けており、2番樋23から送り出される2番物を揚送体37に向けて穀粒の損傷を防止しながらスムーズに継送するようにしている。
【0021】
上記2番物案内体51は
図9に示すように、軸部32bに両側から取付けられる対称形状で対をなす案内部材52からなり、該案内部材52は軸部32bに嵌合させる半円形状の軸筒部52aと、該軸筒部52aの両端に取付孔52bを有する羽根板部52cを一体形成し、中途部のスプロケット50側寄りに半ドーナツ板状の仕切壁52dを突設している。これにより対をなす各案内部材52は軸部32bに両側から取付けた状態で取付孔52bにボルトを挿入して位置決め固定することができる。
【0022】
これにより螺旋体32と共に揚送体37が回転するとき、2番物案内体51の羽根板部52cが2番物を解しながらバケット36への供給を促進し、且つリング板状をなす仕切壁52dが2番物のスプロケット50側への移動を規制するため、2番物のスプロケット50と無端チェン35間への2番物の侵入を防止する。従って、2番樋23から揚送体37への2番物の継送を詰まり等のトラブルを防止しながら、2番物継送時に穀粒の圧潰し等の損傷を防止した2番物の還元揚送をスムーズにする。尚、上記仕切壁52dはバケット36の外側に近接させて設けてもよく、この場合には仕切壁52dの外形を大きくして軸筒部52aの外側寄りに形成する。
【0023】
次に、
図12を参照しグレンタンク6の後部に設置される穀粒排出オーガ装置5について説明する。この穀粒排出オーガ装置5は、在来のものと同様にグレンタンク6の低部に沿って前後方向に設置される穀粒排出螺旋体(図示せず)の後端に接続される縦送オーガ部55と、該縦送オーガ部55の上部に設けられる中継オーガ部56と、該中継オーガ部56を介して略水平方向の格納姿勢から穀粒を任意角度及び左右方向に旋回自在に取付けられて穀粒を排出する排出オーガ部57とからなり、縦送オーガ部55をグレンタンク5の後部に沿って立設している。
【0024】
この縦送オーガ部55は、機体フレーム2側に固設される旋回モータ58を有する支持ケース59の上部に、縦送オーガ筒60の下部を内部の螺旋体の軸心を中心に回動可能に支持すると共に、中途部を脱穀部8側からホルダ61を介して支持し、旋回モータ58のピニオンギヤを縦送オーガ筒60の下部に設けたリングギヤ62に噛合させて旋回駆動するようにしている。そして、縦送オーガ筒60の外周には穀粒中の枝梗や塵埃等を濾過排出する網目を有する濾過網63を張設していると共に、該濾過網63とリングギヤ62との間にスカート状の防塵カバー65を設置し、濾過排出される塵埃等が上記ギヤ部への堆積を防止するようにしている。
【0025】
即ち、実施形態の防塵カバー65は、可撓性を有するシートの上部を縦送オーガ筒60の外周に巻付けてバンド66によって取付けると共に、下部側をスカート状に広げてギヤ部及び支持ケース59の上部を覆うように設けている。これにより縦送オーガ筒60の旋回時に一体回動する防塵カバー65は、縦送オーガ筒60の旋回時に撓むため旋回モータ58や支持ケース59に支障されることなく、縦送オーガ筒60と防塵カバー65をスムーズに回動させる。尚、防塵カバー65は必要により旋回モータ58を共に覆ってもよい。
【0026】
次に、排藁処理装置7について
図1〜
図6を参照し説明する。この排藁処理装置7は、脱穀部8の後部に着脱自在に装着することができ、内部に複数の破砕歯(図示せず)を突設して横軸回転する排藁処理体を内装する処理本体部7aと、該処理本体部7aの後部に取付けられる排出案内カバー7b等からなる。これにより脱穀部8から排出される排藁を、処理本体部7aの排藁処理体によって破砕処理し、処理排藁を排出案内カバー7bを介して後方に向け拡散させながら排出する。実施形態の排藁処理装置7は、脱穀部の左機壁8cと右側壁8dに、処理本体部7aの両側に固設している左右の取付フレーム70を着脱及び側方回動自在に取付ける取付手段によって排塵口30に連通させている。
【0027】
即ち、排藁処理装置7の取付手段は、上記左機壁8cの後部に設けた回動支点部(取付部材)に対し、左側の取付フレーム70に設けた図示しない軸部材を回動及び係脱自在に挿入係合させると共に、右側壁8dに設けた固定フックを右側の取付フレーム70に設けた係合部材に固定及び固定解除自在の係合させる構成にしている。これにより排藁処理装置7は、上記固定フックを係合部材から外した係合解除状態にすると、回動支点部を中心に側方回動させて排塵口30を開放することができるので、揺動選別機構21の引き出し及び再装着を排塵口30から簡単に行うことができるようにしている。そして、脱穀部8の右側壁8dの上部側に設置される駆動プーリ71から、処理本体部7aの右側に設置される入力プーリ72にベルト73を張設することにより、排藁処理体を回転駆動するようにしている。上記排藁処理装置7のベルト伝動部側は、後述する後方カバー構造1の開口部カバー1aによって開閉自在に覆うことにより、配線部やベルト伝動部のメンテナンス作業を行い易くしている。
【0028】
次に、後方カバー構造1について
図1〜
図5を参照し説明する。図示する後方カバー構造1は機体左側から、脱穀部の後部に設けられる脱穀後部カバー1bと、該脱穀後部カバー1bの右側下方に形成される配線後部空間を覆う前記開口部カバー1aと、中間後部カバー1cと、右コーナ部カバー1dとからなり、各後方カバーは左右方向に連ならせて機体に対し着脱自在に装着される。先ず脱穀後部カバー1bは、脱穀部8の後部で排塵口30の上方及び右側方を覆う大きさとし、上面を上部カバー8fに連なる形状となして、左機壁8cと右側壁8dの後端部に取付けている。
【0029】
中間後部カバー1cは、脱穀後部カバー1bの左側に連なる高さで機体フレーム2の後部に載置される燃料タンク75及び前記カバー支柱48等を後方から覆うように、該カバー支柱48に取付けている。右コーナ部カバー1dは、前記穀粒排出オーガ装置5の縦送オーガ部55を覆うと共に、中間後部カバー1cとグレンタンク6の側壁に連なるようにL字状に屈曲させてカバー支柱48等に取付けている。これにより上記3つの各後方カバーは後部壁面を一連に構成している。
【0030】
そして、開口部カバー1aは
図3,
図4に示すように、断面L字状をなすカバー本体76の上下端に方形状の蓋面77と底面78を設けて立方体状に形成し、蓋面77に取付孔77aを穿設し且つ底面78に取付ピン79を下向きに突設している。一方、排藁処理装置7の取付フレーム70の上部にはノブボルト80を螺挿するネジ孔81を形成し、且つ下部側に前記取付ピン79を上方から挿入自在な取付孔82を穿設している。
【0031】
この構成により開口部カバー1aは、先ず取付フレーム70の下部側の取付孔82に上記取付ピン79を上方から挿入した状態で前記取付孔77aを上部のネジ孔81に位置決めし、両者にノブボルト80を挿入して締着することにより取付けを行う。これにより開口部カバー1aは、脱穀後部カバー1bと、中間後部カバー1cと、排藁処理装置7の側部と、機体フレーム2とにより形成される開口部1eを塞ぐことができ、前記配線空間部及びベルト伝動部を後方から覆うことができる。
【0032】
また脱穀部8の後部に排藁処理装置7が装着される場合には、側面視において脱穀後部カバー1bから後方に突出している排藁処理装置7の取付フレーム70を利用して、開口部カバー1aを取付けることができるため、当該開口部カバー1aの着脱作業が容易になり、メンテナンス作業を能率よく行うことができる等の特長がある。尚、脱穀部8の後部に排藁処理装置7を装着しない場合には、脱穀部の後部には排塵口30の上部及び左右を後方に向けて囲う図示しない排塵口カバーが装着されるため、この場合の開口部カバー1aは図示例の形状に限定することなく、平板状のカバー構造によって開口部1eを着脱自在に塞ぐことができる。
【0033】
以上のように構成されるコンバインAは、刈取部9で刈取った圃場の作物を搬送部10を介し脱穀部8に供給し、脱穀部8によって脱穀選別された1番物(穀粒)をグレンタンク6に供給して貯留する。また脱穀部8から排出される藁屑は排藁処理装置7によって粉砕された状態で後方に排出する。このようなコンバイン作業において、排藁処理装置7のベルト伝動部のベルト調整或いは揺動選別機構21の修理や交換或いは制御部47の選別モードの設定変更やユニット交換等のメンテナンス作業を行なう場合には、先ず、開口部カバー1aを外して開口部1eを開くと、中間カバー1c等を装着したまま2番還元装置33の後方に広いスペースを有して形成される前記配線空間部を大きく開放することができ、必要箇所のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0034】
即ち、開口された上記開口部1eは、駆動プーリ71と排藁処理装置7の入力プーリ72に巻き掛けられるベルト73を露出させるので、ベルト73の緩み調整及び交換等を行うことができる。
また揺動選別機構21を脱穀部8から外して排塵口30から外部に引き出してメンテナンス作業を行なう際には、予めコネクタ部45のコネクタ47bから制御線42aのコネクタ42bを引き抜いて外すと共に、取付孔部43において右側壁8dの取付孔からブッシュを内側に外して制御線42aをフリーにしておく。これにより揺動選別機構21は、前記排藁処理装置7を側方回動又は取外すことにより解放された排塵口30から、後方に向けて制御線42aと共にスムーズに機外に引き出すことができる。
【0035】
次いで、揺動選別機構21を再セットする場合は、上記とは逆順の動作によって揺動選別機構21を脱穀部8内に挿入し取付けたのちに、コネクタ42bを制御線42aと共に
前記左機壁8cの取付孔に挿入して外方に引き出すと共に、ブッシュを取付孔に挿入係合して取付け、次いで、コネクタ42bをコネクタ部45のコネクタ47bに差し込み固定することにより、揺動選別機構21の一連のメンテナンス作業を完了する。
【0036】
一方、制御部47を取外す場合には、先ず、コネクタ部45のコネクタ47bからコネクタ42bを外した状態で、該コネクタ47aを取付部材46のフックから外したのち、連結板49から制御部47を取外す。次いで、当該制御部47の設定変更をしたもの又は新たな制御部47を逆順の動作によって連結板49に取付けたのち、コネクタ47aを取付部材46に取付け、当該コネクタ47aにコネクタ42bを再接続することにより、制御部47の一連のメンテナンス作業を完了する。そして、こののち開口部カバー1aを再セットして開口部1eを閉じる。
【0037】
以上のようにコンバインAの脱穀部8は、選別調節部40と制御部47とを接続する制御線42を、選別調節部40側の制御線42aと制御部47側に接続配線する制御線47aとに分割し、各線端部に設けるコネクタ42bとコネクタ47bとを接続分離自在に構成すると共に、前記2番還元装置33の後側面の下部に取付支持しているため、特に揺動選別機構21側の制御線42aの配線長さを短くして前記したようなメンテナンス作業を行い易くしている。また制御線42aとベルト伝動部との接触防止用のカバーを不要とする簡潔で安価な配線構造にすることができる。さらに、2番還元装置33の後方に形成される広いスペースに臨むコネクタ部45を介して、揺動選別機構21と制御部47とを接続する配線作業を簡単にすることができる。また制御線42aはコネクタ部45を介し分離及び接続を容易にできるので、各制御線42a及び制御線47aに支障されることなく、配線やメンテナンス作業を能率よく容易に行うことができる。
【0038】
そして、前記グレンタンク5の後方に制御部47を設けてグレンタンク5の後方に設けられる後方カバー1cによって覆うと共に、該後部カバー1cと脱穀部8の右側壁8dとの間にコネクタ部45を開放する開口部1eを形成し、該開口部1eを開口部カバー1aによって開閉自在に覆うようにしたことにより、コネクタ部45と制御部47を機体後部に纏めて設置し、揺動選別機構21と制御部47との配線長さを可及的に短くした配線構造にすると共に、制御部47を後部カバー1cで覆い且つコネクタ部45を開口部カバー1aで個別に覆うため、小型で軽量な開口部カバー1aのみの開閉動作によって開口部1eを開放して、各制御線42a,47aのコネクタ42b,47bの分離及び接続を能率よく簡単に行うことができる。
【0039】
また制御部47は開口部1eの近傍において、グレンタンク5の後方と後方カバー1cとの間にアクセス可能に配置されているため、例えば制御部47内のマイコンにプログラム設定された既定の選別モードを別の選別モードに書き換える等のメンテナンス作業を行なう必要がある場合に、パソコン等のプログラム書き換え装置の接続線を、上記開口部1eから挿入し上記制御部47のマイコン端子に簡単に接続することができる。
【0040】
従って、上記のようなメンテナンス作業を行なうとき、大型形状の後部カバー1cを外したりグレンタンク5を側方回動させる等の煩雑な作業を行なうことなく開口部1eから、制御部47のメンテナンス作業を簡単且つ速やかに行うことができる。また上記実施形態では、揺動選別機構21に設置される選別調節部40の制御部(47)について説明したが、これに限ることなくコンバインAの走行制御装置や刈取高さ制御装置等各所作業部が有する制御部を、同様な配置構成によって設けてもよく、この場合にも当該制御部が必要とするメンテナンス作業を容易に行うことができるものである。