特許第6035174号(P6035174)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035174
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】バリ除去装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/00 20060101AFI20161121BHJP
   B21D 28/36 20060101ALN20161121BHJP
【FI】
   B21D28/00 A
   !B21D28/36 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-53115(P2013-53115)
(22)【出願日】2013年3月15日
(65)【公開番号】特開2014-87844(P2014-87844A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2015年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-221845(P2012-221845)
(32)【優先日】2012年10月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大塚 保之
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 茂
【審査官】 福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−011231(JP,A)
【文献】 特開2012−96241(JP,A)
【文献】 特開2013−59787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材加工機によって加工されたワークの下面に生じたバリを除去するためのバリ除去装置であって、前記板材加工機におけるワークテーブル又はダイホルダに対して着脱可能なベース部材に、打撃子ホルダを上下動自在に備え、前記バリを下側から打圧する打撃子を、前記打撃子ホルダに上下動自在に、かつ上方向へ付勢して備えていることを特徴とするバリ除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバリ除去装置において、前記打撃子は、前記打撃子ホルダに備えた上下方向の筒状部内に上下動自在に備えられており、かつ前記筒状部に上側から着脱可能に螺着した環状のナット部材によって上方向への抜け出しを規制された構成であり、さらに前記筒状部に対する前記ナット部材の回転を規制するための回転規制手段を備えていることを特徴とするバリ除去装置。
【請求項3】
請求項2に記載のバリ除去装置において、前記ベース部材上に、前記打撃子ホルダを上下動自在に支持する支持ベースを備え、前記筒状部を上下動自在に挿通した貫通孔の内周面に、前記ナット部材の外周面に備えた回転規制面及び前記筒状部の外周面に形成した回転規制面に上下動自在に摺接する回転規制摺接面を備えていることを特徴とするバリ除去装置。
【請求項4】
請求項1,2又は3に記載のバリ除去装置において、前記打撃子ホルダの上下動は、アクチュエータによって回転されるカムによって行われる構成であることを特徴とするバリ除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばパンチプレスなどの板材加工機によって打抜き加工、切断加工などの加工を行ったときに、加工縁の下部に生じたバリを除去するためのバリ除去装置に係り、さらに詳細には、打撃子によってバリを下側から打圧し、バリを押し潰すときの押圧力を常にほぼ一定に保持することのできるバリ除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、例えばパンチプレスなどの板材加工機によって板状のワークの打抜き加工や切断加工などを行うと、ワークにおける加工縁の下部にバリを生じるものである。そこで、前記板材加工機にバリ除去装置を備えて、生じたバリの除去が行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−96241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載のバリ除去装置の構成は、図3に示すとおりである。すなわち、バリ除去装置1は、板材加工機の1例としてのパンチプレスに備えられている。パンチプレスは、周知のように、例えば上部タレットなどのごとき上型ホルダ(パンチホルダ)3を備えると共に、下部タレットなどのごとき下型ホルダ(ダイホルダ)5を備えている。前記上型ホルダ3は、ワークテーブル(図示省略)上にX,Y軸方向へ水平に移動自在に支持された板状のワークWの打抜き加工又は切断加工された加工縁WE付近の上面を押さえるワーク押え手段7が備えられている。
【0005】
上記ワーク押え手段7は、前記上型ホルダ3に上下動自在に支持された昇降部材9を備えている。この昇降部材9はリフタースプリング11によって常に上方向へ付勢されており、上端部には、パンチプレスに上下動自在に備えたストライカ(ラム)13によって押圧されるヘッド部材15を備えている。そして、前記昇降部材9の下部には、前記ワークWの上面を押圧して回転自在な鋼球やローラなどのごとき回転部材17を回転自在に備えた回転体ホルダ19を上下動自在に備えた押圧ユニット21が備えられている。前記回転体ホルダ19は、押圧ユニット21内に備えたコイルスプリングなどのごとき弾性部材23によって常に下方向へ押圧付勢されている。
【0006】
前記下型ホルダ5の上面において前記ワーク押圧手段7に対応する位置には基台25が備えられており、この基台25上には、複数の取付ボルトなどのごとき取付具(図示省略)を介してベース部材27が着脱可能に取付けてある。そして、このベース部材27に形成した工具装着孔29内には、前記ワークWにおける加工縁WEの下部に生じたバリを除去するためのバリ除去ユニット31が着脱可能に備えられている。
【0007】
より詳細には、前記ベース部材27の前記工具装着孔29内には、板状の前記ワークWを下側から水平に移動自在に支持する支持ベース33が取付ボルトなどのごとき適宜の固定具(図示省略)を介して着脱可能に取付けてある。そして、当該支持ベース33の下面中央に形成した凹部33C内には打撃子35が上下動自在に備えられていると共に、支持ベース33と打撃子35との間に弾装したコイルスプリングなどのごとき弾性部材37によって、前記打撃子35は常に下方向へ付勢されている。
【0008】
前記打撃子35は、前記支持ベース33の前記凹部33Cに連通した上下方向の貫通孔33Hを上下動自在に貫通してある。そして、この打撃子35の上面には、前記ワークWの前記加工縁の下部に生じたバリを下側から打撃(打圧)する円錐形状又は凸曲面状などのごとき適宜形状のバリ打圧部39が備えられている。
【0009】
前記打撃子35を上下動するために、前記ベース部材27には、例えばエアーモータなどのごとき回転用アクチュエータ41が備えられている。そして、前記打撃子35の下側には軸受43を介して回転カム45が回転自在に支持されており、この回転カム45の軸45Sと前記回転用アクチュエータ41の回転軸41Sは適宜に連動連結してある。そして、前記回転軸41Sの回転数に対して前記打撃子35の上下動回数をより多く倍増するために、前記回転カム45は多角形状に形成してある。
【0010】
前記構成において、パンチプレスにおけるワーク位置決め装置(図示省略)に備えたワーククランプ装置によってワークWをクランプし、パンチプレスにおける加工位置に対してワークWをX,Y軸方向へ移動位置決めして打抜き加工や追抜き加工などを行うと、ワークWの加工縁WEの下部にバリを生じる。ワークWの加工縁WEに生じたバリを除去するために、パンチプレスにおける前記ワーク押え手段7及びバリ除去ユニット37を前記加工位置に位置決めする。
【0011】
その後、前記ワーク位置決め装置によってワークWのバリ取りを行うべき加工縁WEをバリ除去ユニット31における打撃子35に対応した位置に位置決めする。そして、パンチプレスにおけるストライカ13を下降し、ワーク押え手段7を下降すると、ワーク押え手段7における回転部材17がワークWの上面に当接し、前記加工縁WEの上部又は加工縁WE付近の上面を移動自在に押えることになる。
【0012】
上述のように、ワーク押え手段7によってワークWの上面を相対的に移動自在に押圧した状態にあるときに、回転用アクチュエータ41を回転駆動すると、回転カム45が回転される。したがって、弾性部材37によって常に下方向へ押圧されて、下面が前記回転カム45に摺接(当接)した状態にある打撃子35は、回転カム45の回転に対応して上下動されることになる。そして、打撃子35が弾性部材37の付勢力に抗して上動されるときに、打撃子35の上部に備えたバリ打圧部39が、ワークWにおける加工縁WEの下部に生じているバリを打圧(打撃)し、前記バリを押し潰すと共にバリの一部を破砕してバリを除去することになる。
【0013】
そして、前記打撃子35が前記弾性部材37の付勢力によって下降されると、前記打撃子35のバリ打圧部39が前記支持ベース33の上面から没入してワークWから離れるので、前記支持ベース33に対してワークWをX,Y方向へ移動することが容易なものである。
【0014】
すなわち、打撃子35の上下動が高速で行われるので、打撃子35がワークWのバリを打圧してバリ除去を行うことと、打撃子35がワークWから離れてワークWを開放することとが高速で繰り返されるものである。したがって、ワークWのX,Y方向への微動は、打撃子35がワークWを開放した状態にあるときに行なわれることになる。よって、ワークWの移動を円滑に行うことができ、ワークWが薄板である場合や、加工した後の棧幅が小さい場合であっても、ワークWに変形を付与することなくバリ除去を行うことができるものである。
【0015】
前記構成においては、打撃子35は回転カム45の回転によって上下動されて、当該打撃子35の上部に備えたバリ打圧部39がワークにおける加工縁WEの下部に生じたバリを直接打圧(打撃)するものである。したがって、前記打圧部39がバリを打圧するときの大きな負荷が打撃子35を介して回転カム45へ直接伝達される。よって、回転カム45の摩耗を早期に発生し易いと共に、回転カム45の回転系等に摩耗、損傷を生じ易いものである。
【0016】
また、打撃子35によってバリを押し潰すときの過負荷を抑制するために、打撃子35がワークに直接接触してワークを押し潰す量(ラップ量)を小さく抑制すると、バリの押し潰し量がワークの材質によって異なり、バリの押し潰し部分に凹凸のバラ付きが発生して外観の向上を図る上において問題がある。したがって、従来の構成において、さらなる改良が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前述のごとき問題に鑑みてなされたもので、板材加工機によって加工されたワークの下面に生じたバリを除去するためのバリ除去装置であって、前記板材加工機におけるワークテーブル又はダイホルダに対して着脱可能なベース部材に、打撃子ホルダを上下動自在に備え、前記バリを下側から打圧する打撃子を、前記打撃子ホルダに上下動自在に、かつ上方向へ付勢して備えていることを特徴とするものである。
【0018】
また、前記バリ除去装置において、前記打撃子は、前記打撃子ホルダに備えた上下方向の筒状部内に上下動自在に備えられており、かつ前記筒状部に上側から着脱可能に螺着した環状のナット部材によって上方向への抜け出しを規制された構成であり、さらに前記筒状部に対する前記ナット部材の回転を規制するための回転規制手段を備えていることを特徴とするものである。
【0019】
また、前記バリ除去装置において、前記ベース部材上に、前記打撃子ホルダを上下動自在に支持する支持ベースを備え、前記筒状部を上下動自在に挿通した貫通孔の内周面に、前記ナット部材の外周面に備えた回転規制面及び前記筒状部の外周面に形成した回転規制面に上下動自在に摺接する回転規制摺接面を備えていることを特徴とするものである。
【0020】
また、前記バリ除去装置において、前記打撃子ホルダの上下動は、アクチュエータによって回転されるカムによって行われる構成であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カムの回転によって上下動される打撃子ホルダに、打撃子を上下動自在に備えると共に上方向へ付勢して備えた構成であるから、打撃子がワークのバリを打圧して押し潰すとき衝撃は付勢手段によって吸収されることとなり、前述したごとき問題を解消し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1の実施形態に係るバリ除去装置の構成を示す断面説明図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るバリ除去装置の構成を示す断面説明図である。
図3】従来のバリ除去装置の構成を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るバリ除去装置について説明するに、前述した従来の構成と同一の機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0024】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係るバリ除去装置は、前述した従来のバリ除去装置1と同様に、板材加工機における下型ホルダ(図1には図示省略)に装着して使用されるものであって、前記ベース部材27に相当するベース部材27Aを備えている。そして、このベース部材27Aには、前記回転用アクチュエータ41に相当する上下動用のアクチュエータ(図1には図示省略)が備えられている。
【0025】
また、前記ベース部材27Aの上部には前記支持ベース33に相当する支持ベース33Aがボルト等のごとき取付具(図示省略)によって一体的に取付けてあると共に、前記上下動用のアクチュエータによって回転されるカム45Aが回転自在に備えられている。そして、前記支持ベース33A内には、前記カム45Aの回転によって上下動される打撃子ホルダ47が上下動自在に備えられている。この打撃子ホルダ47と前記支持ベース33Aとの間には、前記打撃子ホルダ47を常に下方向へ付勢するコイルスプリング等のごとき弾性部材49が弾装してある。
【0026】
前記打撃子ホルダ47には、前記支持ベース33Aに形成した上下方向の貫通孔33H内に挿通した筒状部47Tが備えられている。そして、この筒状部47T内に、前記ワークWにおける加工縁の下面に生じたバリを下側から打圧して押し潰すためのボール状などのごとき適宜形状の打撃子51が上下動自在に内装されている。前記筒状部47Tからの前記打撃子51の抜け出しを規制するために、前記筒状部47Tには、環状のナット部材53が上側から着脱可能に螺着してある。
【0027】
前記ナット部材53の上部の外形は正六角形に形成してあり、下部には、前記打撃子ホルダ47の前記筒状部47内に螺入した筒状部を備えている。そして、ナット部材53における前記筒状部内には前記打撃子51が上下動自在に備えられている。この打撃子51の下側に備えたスプリング座55と前記打撃子ホルダ47との間には、前記打撃子51を常に上方向へ押圧付勢するコイルスプリング等のごとき弾性部材57が弾装してある。
【0028】
したがって、前記打撃子51は、前記弾性部材57の付勢力によって常に上方向へ押圧付勢された状態にあり、前記ナット部材53の上端面よりも常に上方に突出した状態にある。そして、前記打撃子51の上部は、前記カム45Aの作用によって前記打撃子ホルダ47が上方向に移動されるとき、前記支持ベース33Aの上面に支持されているワークWの下面を打圧する作用をなすものである。
【0029】
前記構成において、図1に示すように、ワークWの加工縁が前記打撃子51に対応した上側にあるとき、アクチュエータによってカム45Aを回転すると、カム45Aの回転によって打撃子ホルダ47は、下部に備えたロール47Rを介して上下動される。したがって、打撃子ホルダ47に備えたナット部材53が一体的に上下動すると共に打撃子51が上下動することになる。前記打撃子51が上動するとき、打撃子51は、ワークWにおける加工縁の下部に生じているバリを打圧し、バリを押し潰し除去することになる。
【0030】
なお、前記打撃子ホルダ47を上下動するための上下駆動機構の構成としては、回転するカムに限ることなく往復動するカムとすることも可能である。また、上下動する小型の上下動用アクチュエータによって前記打撃子ホルダ47を上下動する構成とすることも可能である。
【0031】
前述のごとく、打撃子51がバリを打圧するとき、打撃子51がバリに当接して上動を停止し、打撃子ホルダ47が相対的に上動するときには、弾性部材57が圧縮されて、打圧時の過大な衝撃を吸収することになる。したがって、例えばバリの高さが種々異なる場合であっても、打撃子51がバリを打圧するときの打圧力はほぼ一定になるものであって、バリを押し潰してワークWの加工縁の下部に面取りを施すような場合、面取り量がほぼ一定になるものである。
【0032】
換言すれば、前記構成によれば、打撃子51とワークとのラップ量を大きくした場合であっても、打撃子51がワークを打圧するときの衝撃は弾性部材57によって吸収される。したがって、打撃子51によるバリの押し潰し量が一定となり、外観の品質が向上することになる。また、カム45Aの摩耗が抑制されると共に、カム45Aの回転系の負荷の軽減が図られることになり、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
【0033】
なお、打撃子ホルダ47に対してナット部材53を上側から螺着固定した構成であるから、前記打撃子ホルダ47からナット部材53を容易に取り外すことができる。したがって、ワークWの材質に対応して弾性部材57や打撃子51等を着脱交換することができ、ワークが例えばAlなどのようなとき、打圧力が過大になることを防止することができるものである。
【0034】
また、打撃子ホルダ47に対してナット部材53を上下に調節することが可能であり、打撃子51の上下ストローク位置を調節可能である。
【0035】
なお、弾性部材57の付勢力を調節するような場合、前記ナット部材53を長い円筒形状に構成し、このナット部材53内に調節ねじを位置調節自在に螺入し、この調節ねじによって前記弾性部材57の圧縮率を調節する構成とすることも可能である。
【0036】
ところで、前述した従来のワーク押え手段7に相当するワーク押え手段7Aの構成について説明すると、本実施形態に係るワーク押え手段7Aは、上型ホルダ3に上下動自在に支持される筒状のガイド部材61を備えている。なお、前記ガイド部材61は、リフタースプリング(図1には図示省略)によって常に上方向へ付勢支持されているものである。
【0037】
前記ガイド部材61の上部にはリテーナカラー63が螺合してあり、このリテーナカラー63を上下動自在に貫通したパンチドライバ65の上端部にはパンチヘッド67が螺着固定してある。そして、このパンチヘッド67と前記リテーナカラー63との間には、強力なスプリングのごとき弾性部材69が弾装してある。
【0038】
前記ガイド部材61内の下部には、前述した回転部材17に相当する回転部材17Aを回転自在に備えた回転体ホルダ19Aが上下動自在に内装されている。そして、前記ガイド部材61内における前記パンチドライバ65の下面と前記回転体ホルダ19Aとの間には、例えばコイルスプリング等のごとき弾性部材71が弾装してある。
【0039】
したがって、前記構成によれば、ストライカ13の下降位置を調節することにより、前記弾性部材71の圧縮率を調節できることとなり、前記回転部材17AによってワークWを押圧するときの押圧力を調節することができるものである。よって、前記回転部材17AによるワークWの押圧力を常に適正な押圧力に調節可能なものである。
【0040】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るバリ除去装置の構成を示すもので、前述した実施形態における構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして、重複した説明は省略する。
【0041】
前述のごとく、例えばエアーモータなどのごとき回転用アクチュエータによってカム45Aを高速回転すると、前記打撃子ホルダ47が高速で上下動されるものである。このように、打撃子ホルダ47が高速で上下動すると、高速の上下動に起因する振動によって、前記ナット部材53に緩みを生じることがある。そこで、この第2の実施形態においては、前記打撃子ホルダ47の前記筒状部47Tに対して前記ナット部材53が回転することを規制する回転規制手段(回転防止手段)73を備えた構成である。
【0042】
上記回転規制手段73の構成としては、前記筒状部47Tに対するナット部材53の回転を規制すればよいものであるから、種々の構成を採用することができる。例えば、上部外形が正六角形(正多角形)の前記ナット部材53における各辺又は角角部に当接又は係合自在なピンなどのごとき規制部材を、前記筒状部47Tの上面に対して出没自在かつ突出する方向に付勢して備えた構成とすることも可能である。
【0043】
すなわち、上記構成においては、前記規制部材を前記筒状部47Tの上面から没入した状態において、前記筒状部47Tにナット部材53を適宜に螺入(螺合)した後、前記規制部材を筒状部47Tの上面から突出させて、前記ナット部材53の適宜の辺又は角部に干渉させることにより、ナット部材53の回転を規制するものである。
【0044】
本実施形態においての回転規制手段73は次のように構成してある。すなわち、前記ナット部材53は、上方から見ると、上部は例えば正六角形などの正多角形に形成してある。そして、前記ナット部材53における上部外周面は、多角形を形成する垂直な平面に形成してあり、この垂直な平面は一例としての回転規制面53Fを構成するものである。なお、上記回転規制面53Fは垂直であれば、水平方向に適宜に湾曲した曲面であってもよいものである。
【0045】
前記打撃子ホルダ47における前記筒状部47Tの外周面の一部には、前記ナット部材53の前記回転規制面53Fに上下方向に整合する回転規制面47Fが形成してある。この回転規制面47Fは、前記ナット部材53の前記回転規制面53Fと同様に垂直であれば、垂直な平面であっても、水平方向の曲面であってもよいものである。
【0046】
前記支持ベース33Aにおいて、前記打撃子ホルダ47の前記筒状部47Tを上下動自在に挿通した前記貫通孔33Hの内周面には、回転規制面33Fが形成してある。この回転規制面33Fは、前記ナット部材53の前記回転規制面53F及び前記筒状部47Tの前記回転規制面47Fに対応した規制面であって、上下に摺動自在に摺接してある。
【0047】
したがって、前記支持ベース33Aに対して前記打撃子ホルダ47が上下動するとき、前記ナット部材53の回転は規制された状態にある。よって、打撃子ホルダ47が高速で上下動するときの振動によってナット部材53に緩みを生じるようなことはないものである。
【符号の説明】
【0048】
W ワーク
5 ダイホルダ
27A ベース部材
47 打撃子ホルダ
51 打撃子
53 ナット部材
55 スプリング座
57 弾性部材
図1
図2
図3