特許第6035178号(P6035178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6035178凍結保存試料用解凍装置、及び凍結保存試料の解凍方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035178
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】凍結保存試料用解凍装置、及び凍結保存試料の解凍方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 1/02 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   A01N1/02
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-64469(P2013-64469)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189501(P2014-189501A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2015年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231235
【氏名又は名称】大陽日酸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】青田 周樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 英俊
(72)【発明者】
【氏名】米倉 正浩
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−272457(JP,A)
【文献】 特開2013−009815(JP,A)
【文献】 特開2013−116068(JP,A)
【文献】 特開2001−263929(JP,A)
【文献】 特開2009−047337(JP,A)
【文献】 特開平03−140787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を収容すると共に、該容器の外周面と接触する形状とされた容器収容部、及び該容器収容部に収容された前記容器の底面を露出する開口部を有するブロックと、
前記ブロックに設けられ、該ブロックを介して、前記容器内に収容された凍結保存試料を加温することで、前記凍結保存試料を解凍する加熱部と、
前記開口部の下方に配置され、前記開口部を介して、前記容器の底面の温度を測定する放射温度計と、
を有することを特徴とする凍結保存試料用解凍装置。
【請求項2】
前記ブロックは、前記容器収容部の深さ方向に対して平行な面方向において、複数に分割されていることを特徴とする請求項1記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項3】
前記ブロックは、開閉可能な一対の半割体を有し、
前記一対の半割体が閉じることで、前記容器収容部及び前記開口部が形成されることを特徴とする請求項2記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項4】
前記容器の底部を支持すると共に、該容器の底面の一部を露出する貫通穴を有する容器支持部材を含み、
前記放射温度計は、前記貫通穴を介して、前記容器の底面の温度を測定することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項5】
前記放射温度計と電気的に接続され、該放射温度計が測定する前記容器の底面の温度が所定の温度に到達した際、前記凍結保存試料の解凍処理が終了したと判定する判定部を有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項6】
前記判定部及び前記加熱部と電気的に接続されており、前記判定部により前記解凍処理が終了したと判定された際、前記解凍処理を終了させる制御部と、
を有することを特徴とする請求項5記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記凍結保存試料を解凍する時間が所定の時間に到達した際、前記放射温度計が測定する前記容器の底面の温度が前記所定の温度に到達していない場合でも前記解凍処理を終了させることを特徴とする請求項6記載の凍結保存試料用解凍装置。
【請求項8】
ブロック内に、外周面が該ブロックと接触するように、凍結保存試料が収容された容器を配置させる工程と、
加温された前記ブロックにより、前記容器を加温しながら、前記容器の底面を露出する前記ブロックの開口部を介して、前記容器の底面の温度を測定する工程と、
を有することを特徴とする凍結保存試料の解凍方法。
【請求項9】
前記容器の底面の温度が所定の温度に到達したか否か判定する工程と、
前記容器の底面の温度が所定の温度に到達した際、前記容器の加温を停止させて、前記凍結保存試料の解凍処理を終了させる工程と、
を有することを特徴とする請求項8記載の凍結保存試料の解凍方法。
【請求項10】
前記凍結保存試料を解凍する時間が所定の時間に到達した際、前記容器の底面の温度が前記所定の温度に到達していない場合でも前記解凍処理を終了させることを特徴とする請求項9記載の凍結保存試料の解凍方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬・バイオ分野において、容器内に収容された凍結保存試料を解凍する凍結保存試料用解凍装置、及び凍結保存試料の解凍方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイオメディカル基礎研究、医療、製薬、畜産等の分野において、動物の精子、受精卵、細胞などの生体試料を長期間保存する場合、通常、耐寒性材料からなる容器内に収容し、液体窒素式凍結保存装置内で凍結保存する方法がとられている。凍結保存した生体試料を再び使用する場合には、使用に先立ち解凍処理が必要となる。
【0003】
容器内に収容された凍結保存試料の解凍方法としては、37℃の温水に容器を浸す方法が一般的である。
特許文献1には、動物細胞が凍結用培養液とともに凍結保存されている培養器を温水中に浸漬させる動物細胞の解凍方法が開示されている。
【0004】
他の凍結保存試料の解凍方法としては、温風を利用したものがある。
特許文献2には、温風を利用した凍結血漿用解凍装置が開示されている。また、特許文献2には、約38℃の温風を凍結血漿パックに吹き付けることが開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されるように温水を利用する場合、容器本体(凍結保存試料が収容される部分)と容器キャップとの隙間から容器内に温水が侵入して、凍結保存試料が汚染されてしまう可能性があった。
【0006】
また、特許文献2に開示されるように温風を利用する場合、凍結保存試料が汚染される懸念はないものの、温水を利用した場合と比較して解凍速度が遅く、解凍処理時間が長くなってしまう。凍結保存試料が生体試料の場合、解凍処理時間が長くなると、生体試料の生存率が低下し、結果的に培養効率の低下を招いてしまうという問題があった。
【0007】
上記特許文献1,2の問題を解決可能な技術として、例えば、特許文献3がある。
特許文献3には、試料容器の保持孔を多数形成したアルミブロックを交換可能に収容した恒温器において、恒温槽の底部に、温度センサを立設するとともに、アルミブロックに温度センサを挿通する挿通孔を形成した恒温器が開示され、アルミブロックの上面に設けられた保持孔に容器を差し込むことで、容器内に収容された試料を解凍することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−253206号公報
【特許文献2】特開2001−218817号公報
【特許文献3】特開平8−272457号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献3に開示された恒温器では、アルミブロックに形成された挿通孔に温度センサを配置させていたため、解凍中の容器の温度(言い換えれば、容器内の凍結保存試料の温度)を正確に把握することが困難であった。
このため、凍結保存試料が生体試料の場合、容器内の凍結保存試料が過昇温されることにより、生体試料の生存率が低下する恐れがあった。
【0010】
そこで、本発明は、容器内の凍結保存試料が過昇温されることを抑制可能な凍結保存試料用解凍装置、及び凍結保存試料の解凍方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、容器を収容すると共に、該容器の外周面と接触する形状とされた容器収容部、及び該容器収容部に収容された前記容器の底面を露出する開口部を有するブロックと、前記ブロックに設けられ、該ブロックを介して、前記容器内に収容された凍結保存試料を加温することで、前記凍結保存試料を解凍する加熱部と、前記開口部の下方に配置され、前記開口部を介して、前記容器の底面の温度を測定する放射温度計と、を有することを特徴とする凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0012】
また、請求項2に係る発明によれば、前記ブロックは、前記容器収容部の深さ方向に対して平行な面方向において、複数に分割されていることを特徴とする請求項1記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0013】
また、請求項3に係る発明によれば、前記ブロックは、開閉可能な一対の半割体を有し、前記一対の半割体が閉じることで、前記容器収容部及び前記開口部が形成されることを特徴とする請求項2記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0014】
また、請求項4に係る発明によれば、前記容器の底部を支持すると共に、該容器の底面の一部を露出する貫通穴を有する容器支持部材を含み、前記放射温度計は、前記貫通穴を介して、前記容器の底面の温度を測定することを特徴とする請求項1ないし3のうち、いずれか1項記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0015】
また、請求項5に係る発明によれば、前記放射温度計と電気的に接続され、該放射温度計が測定する前記容器の底面の温度が所定の温度に到達した際、前記凍結保存試料の解凍処理が終了したと判定する判定部を有することを特徴とする請求項1ないし4のうち、いずれか1項記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0016】
また、請求項6に係る発明によれば、前記判定部及び前記加熱部と電気的に接続されており、前記判定部により前記解凍処理が終了したと判定された際、前記解凍処理を終了させる制御部と、を有することを特徴とする請求項5記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0017】
また、請求項7に係る発明によれば、前記制御部は、前記凍結保存試料を解凍する時間が所定の時間に到達した際、前記放射温度計が測定する前記容器の底面の温度が前記所定の温度に到達していない場合でも前記解凍処理を終了させることを特徴とする請求項6記載の凍結保存試料用解凍装置が提供される。
【0018】
また、請求項8に係る発明によれば、ブロック内に、外周面が該ブロックと接触するように、凍結保存試料が収容された容器を配置させる工程と、加温された前記ブロックにより、前記容器を加温しながら、前記容器の底面を露出する前記ブロックの開口部を介して、前記容器の底面の温度を測定する工程と、を有することを特徴とする凍結保存試料の解凍方法が提供される。
【0019】
また、請求項9に係る発明によれば、前記容器の底面の温度が所定の温度に到達したか否か判定する工程と、前記容器の底面の温度が所定の温度に到達した際、前記容器の加温を停止させて、前記凍結保存試料の解凍処理を終了させる工程と、を有することを特徴とする請求項8記載の凍結保存試料の解凍方法が提供される。
【0020】
また、請求項10に係る発明によれば、前記凍結保存試料を解凍する時間が所定の時間に到達した際、前記容器の底面の温度が前記所定の温度に到達していない場合でも前記解凍処理を終了させることを特徴とする請求項9記載の凍結保存試料の解凍方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の凍結保存試料用解凍装置によれば、容器の底面を露出する開口部を有するブロックと、開口部を介して、容器の底面の温度を測定する放射温度計と、を有することにより、容器本体の底面の温度を測定することで、容器本体の底面の温度を把握することが可能となるので、容器内に収容された凍結保存試料の過昇温を抑制できる。
【0022】
また、ブロックに容器の外周面と接触する形状とされた容器収容部を設けることにより、容器の外周面と加熱部に加熱されたブロックとが接触するため、容器に対してブロックの熱を効率良く伝導させること(加温させること)が可能となる。
これにより、比較的短い時間で、凍結保存試料の解凍を終了させることが可能となるため、凍結保存試料として生体試料を用いる場合、生体試料の生存率の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が閉じて、ブロックの容器収容部に容器が収容された状態を示す図である。
図2図1に示す凍結保存試料用解凍装置のA−A線方向の断面図である。
図3】本実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が離間してブロックが開くと共に、容器支持部材上に容器が載置される前の状態を示す図である。
図4図3に示す凍結保存試料用解凍装置のB−B線方向の断面図である。
図5】本発明の実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置を用いた凍結保存試料の解凍方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図6】本実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が離間してブロックが開くと共に、容器支持部材上に容器が載置された状態を示す図である。
図7図6に示す凍結保存試料用解凍装置のC−C線方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の凍結保存試料用解凍装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0025】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が閉じて、ブロックの容器収容部に容器が収容された状態を示す図である。
図1において、X方向は第1及び第2の半割体支持体11,12の移動方向、Y方向は、X方向及びZ方向と直交する方向、Z方向はブロック27に設けられた容器収容部36の深さ方向(温度計支持部材16の移動方向でもある)を示している。
図2は、図1に示す凍結保存試料用解凍装置のA−A線方向の断面図である。図2では、説明の便宜上、凍結保存試料用解凍装置10の構成要素であって、A−A線を通過しない制御装置33を図示する。また、図2において、図1に示す構造体と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0026】
図1及び図2を参照するに、本実施の形態の凍結保存試料用解凍装置10は、第1の半割体支持体11と、第2の半割体支持体12と、容器支持部材14と、支持体15と、温度計支持部材16と、放射温度計17と、容器キャップ支持アーム19と、ブロック27と、加熱部28と、赤外線センサ31と、制御装置33と、を有する。
【0027】
第1及び第2の半割体支持体11,12は、温度計支持部材16を介して、対向するように配置されている。第1及び第2の半割体支持体11,12は、図示していない駆動装置によりX方向に移動可能な構成とされている。
【0028】
容器支持部材14は容器23を載置するための部材である。なお、容器23は、有底円筒状に形成され容量が1〜5mlの容器本体22と、容器本体22の開口を閉塞する容器キャップ21とで構成される。容器23は、耐寒性に優れた例えばポリプロピレンのような合成樹脂やガラスで構成される。
容器支持部材14は、ブロック27を構成する後述する第1及び第2の半割体27−1,27−2(一対の半割体)が閉じることで形成される開口部38(容器23が収容される容器収容部36と一体とされた空間)に配置されている。
【0029】
容器支持部材14は、凹部14Aと、貫通穴14Bと、を有する。凹部14Aは、容器支持部材14の上部側に設けられている。凹部14Aは、容器23の底部23A(具体的には、凍結保存試料25が収容された容器本体22の底部22A)を収容可能な形状とされている。
このような形状とされた凹部14Aを容器支持部材14の上部側に設けることにより、容器23の下端の位置を規制することができる。
【0030】
貫通穴14Bは、凹部14Aの中央部を貫通するように設けられている。これにより、貫通穴14Bは、凹部14Aに容器23の底部23Aが収容された際、容器23の底面23a(具体的には、凍結保存試料25が収容された容器本体22の底面22b)の一部を露出する。
【0031】
貫通穴14Bの開口径は、放射温度計17の検出距離及び視野径に応じて設定する。具体的には、貫通穴14Bの開口径は、視野径よりも大きくなるように設定するとよい。
このように、貫通穴14Bの開口径を放射温度計17の視野径よりも大きくすることで、容器本体22の底面22bの温度を測定する際、容器支持部材14の熱の影響を受けにくくなるため、正確な容器本体22の底面22bの温度を測定できる。
【0032】
支持体15は、Y方向に延在しており、その一端が容器支持部材14と接続されている。支持体15は、容器支持部材14を支持するための部材である。
【0033】
温度計支持部材16は、容器支持部材14の下方に配置されている。温度計支持部材16は、放射温度計17を固定するための台である。温度計支持部材16は、放射温度計17の焦点距離等を手動調整できるよう、Z方向に移動可能な構成とされている。
これにより、容器本体22の底面22bと放射温度計17との距離を、使用する放射温度計17の特性や測定対象物の放射率に応じた適切な距離にすることが可能となるので、容器本体22の底面22bの温度を正確に測定できる。
【0034】
放射温度計17は、貫通穴14Bを介して、容器本体22の底面22bの温度が測定可能なように、温度計支持部材16の上端に固定されている。
放射温度計17は、凍結保存試料25の解凍処理中における容器本体22の底面22bの温度を連続して計測(測定)するための温度計である。放射温度計17は、制御装置33と電気的に接続されている。
解凍処理中において、放射温度計17は、測定した容器本体22の底面22bの温度に関する温度データSをリアルタイムで制御装置33に送信する。
【0035】
容器キャップ支持アーム19は、キャップ保持部19Aと、支持部19Bと、を有する。キャップ保持部19Aは平面視C字状の部材からなり、後述する容器搬送用アーム42により水平方向から容器を押し込むことによって、容器のキャップ部分を保持する。
支持部19Bは、その一端がキャップ保持部19Aと接続されている。支持部19Bは、キャップ保持部19Aを支持するための部材である。
【0036】
図3は、本実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が離間してブロックが開くと共に、容器支持部材上に容器が載置される前の状態を示す図である。図4は、図3に示す凍結保存試料用解凍装置のB−B線方向の断面図である。
図3及び図4において、図1及び図2に示す本実施の形態の凍結保存試料用解凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図3では、本実施の形態の凍結保存試料用解凍装置10を構成する赤外線センサ31及び制御装置33の図示を省略する。
【0037】
図1図4を参照するに、ブロック27は、一対の半割体である第1及び第2の半割体27−1,27−2と、容器収容部36と、開口部38と、を有する。
第1の半割体27−1は、第1の半円柱部材35−1と、第1の容器収容部36−1と、第1の切り欠き部38−1と、を有する。
第1の半円柱部材35−1は、円柱の部材(例えば、アルミニウムよりなる円柱の部材)を縦方向(具体的には、Z方向に対して平行な面方向)に2分割させることで構成されている。
【0038】
第1の容器収容部36−1は、第1の半円柱部材35−1のうち、第2の半割体27−2と対向する部分に、容器本体2の外周面に沿う形状の凹溝として設けられている。
このような形状とされることにより、ブロック27の容器収容部36に容器23が収容された際、容器本体22の外周面が、第1の容器収容部36−1を構成する第1の半円柱部材35−1と接触する。
【0039】
第1の切り欠き部38−1は、第1の容器収容部36−1の下方に位置する第1の半円柱部材35−1に設けられている。第1の切り欠き部38−1は、容器支持部材14の外周部の一部を収容可能な形状とされている。第1の切り欠き部38−1は、第1の容器収容部36−1と一体とされた空間である。
【0040】
第2の半割体27−2は、第2の半円柱部材35−2と、第2の容器収容部36−2と、第2の切り欠き部38−2と、を有する。
第2の半円柱部材35−2は、先に説明した第1の半円柱部材35−1と同様な構成(材質及び形状が同じ)とされている。
【0041】
第2の容器収容部36−2は、第1の容器収容部36−1と対向する第2の半円柱部材35−2に設けられている。第2の容器収容部36−2は、第1の容器収容部36−1と同様な形状(例えば、Z方向に延在する半円柱形状)とされている。
【0042】
容器収容部36は、第1及び第2の半割体27−1,27−2が閉じた際に、第1及び第2の容器収容部36−1,36−2で構成されるZ方向に延在する空間である。
容器収容部36は、容器本体22の外形に対応する形状とされている。容器収容部36には、凍結保存試料25を解凍する際に、凍結保存試料25が収容された容器23が収容される。このとき、容器収容部36に収容された容器本体22の外周面22aは、第1及び第2の半割体27−1,27−2と接触する。
【0043】
このように、容器収容部36の形状を容器本体22の外周面22aと接触する形状とすることにより、容器本体22の外周面22aと加熱部28に加温されたブロック27とが接触するため、容器本体22に対してブロック27の熱を効率良く伝導させることが可能となる。
これにより、比較的短い時間で、凍結保存試料25の解凍を終了させることが可能となるため、凍結保存試料25として生体試料を用いる場合、生体試料の生存率の低下を抑制できる。
【0044】
第2の切り欠き部38−2は、第2の容器収容部36−2の下方に配置されており、第1の切り欠き部38−1と対向する第2の半円柱部材35−2に設けられている。第2の切り欠き部38−2は、第2の容器収容部36−2と一体とされた空間である。第2の切り欠き部38−2は、第1の切り欠き部38−1と同様な形状とされており、容器支持部材14の外周部の一部を収容する。
【0045】
開口部38は、第1の切り欠き部38−1と、第2の切り欠き部38−2と、第1及び第2の半割体27−1,27−2が閉じた状態(図2に示す状態)において、第1及び第2の切り欠き部38−1,38−2間に配置される空間38−3と、で構成される空間である。
開口部38は、容器収容部36の下方に配置されており、容器収容部36と一体とされた空間である。
【0046】
加熱部28は、第1の加熱部28−1と、第2の加熱部28−2と、を有する。第1の加熱部28−1は、第1の半割体27−1の外周面27−1aを覆うように設けられている。第2の加熱部28−2は、第2の半割体27−2の外周面27−2aを覆うように設けられている。
第1及び第2の加熱部28−1,28−2は、第1及び第2の半割体27−1,27−2を所望の温度(例えば、37℃)に加温することで、第1及び第2の半割体27−1,27−2を介して、間接的に容器本体22を加温する。
【0047】
第1及び第2の加熱部28−1,28−2は、制御装置33と電気的に接続されている。これにより、第1及び第2の加熱部28−1,28−2は、制御装置33により制御可能な構成とされている。
第1及び第2の加熱部28−1,28−2としては、例えば、シート状のヒーターを用いることができるが、所望の温度となるように、第1及び第2の半割体27−1,27−2を加温させることが可能なヒーターであればよく、シート状のヒーターに限定されない。
【0048】
なお、上記説明したブロック27及び加熱部28は、容器23の容量(凍結保存試料25を含む)、凍結保存試料25の解凍開始温度、及び凍結保存試料25の解凍終了温度(言い換えれば、先に説明した所定の温度T1)等に応じて、適宜選定することができる。
【0049】
具体的には、ブロック27の容量は、例えば、容器23(凍結保存試料25を含む)を−180℃の温度から0℃の温度まで解凍するために必要な熱量の50%程度の蓄熱分のみで、容器23を加温可能な容量とすることができる。この場合、加熱部28としては、残りの熱量を補うことの可能なものを選定する。
【0050】
例えば、容器23の容量が1.8cc(凍結保存試料25を含む)の場合、約1500kcalの熱量を有する。この場合、ブロック27の容器収容部36に容器23を収容させると、37℃に加温されたブロック27の温度が27℃まで下がる。したがって、この場合、加熱部23としては、例えば、400〜600calの熱を3分以内に加えることが可能なものを用いるとよい。
【0051】
赤外線センサ31は、容器キャップ支持アーム19に保持された容器キャップ21の上方に配置されている。赤外線センサ31は、制御装置33と電気的に接続されている。赤外線センサ31は、赤外線を照射することで、容器23の有無を検知する。
【0052】
制御装置33は、記憶部33−1と、判定部33−2と、制御部33−3と、表示部33−4と、を有する。記憶部33−1、判定部33−2、制御部33−3、及び表示部33−4は、それぞれ電気的に接続されている。
記憶部33−1には、凍結保存試料用解凍装置10の制御を行うためのプログラム、凍結保存試料25の解凍の終了を判定するための第1の閾値となる所定の温度T1に関するデータ、及び第2の閾値となる所定の時間t1(凍結保存試料25を解凍する際の上限の処理時間)に関するデータ等が格納されている。
【0053】
判定部33−2は、容器本体22内に収容された凍結保存試料25の解凍処理を行う際、放射温度計17から連続して送信される容器本体22の底面22bの温度に関する温度データSと、記憶部33−1に格納された所定の温度T1と、を比較し、解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達したか否かの判定を行う。
【0054】
ここで、解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達していないと判定された場合、凍結保存試料25の解凍処理を継続するための第1の信号U1を制御部33−3に送信する。
一方、解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達したと判定された場合、凍結保存試料25の解凍処理を終了するための第2の信号U2を制御部33に送信する。
【0055】
制御部33−3は、凍結保存試料用解凍装置10の制御全般を行う。具体的には、制御部33−3は、第1及び第2の半割体27−1,27−2の開閉(言い換えれば、第1及び第2の半割体支持体11,12の駆動)、容器搬送用アーム42の動作、第1及び第2の加熱部28−1,及び28−2の温度調整及びオンオフの動作等の制御を行う。
【0056】
また、制御部33−3は、判定部33−2から第1の信号U1(解凍処理の継続を要求する信号)を受信した際、第1及び第2の半割体27−1,27−2が所望の温度(例えば、37℃)になるように、第1及び第2の加熱部28−1,28−2を制御しながら、凍結保存試料25の解凍処理を継続させる。
【0057】
一方、制御部33−3は、判定部33−2から第2の信号U2(解凍処理の終了を要求する信号)を受信した際、第1及び第2の半割体27−1,27−2を離間させた後、第1及び第2の加熱部28−1,28−2の電源をオフする。
【0058】
表示部33−4は、凍結保存試料25の解凍処理開始から経過した時間、及び解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度等を表示する。このような表示部33−4を有することにより、凍結保存試料25の解凍処理開始から経過した時間、及び解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度等を作業者が認識することができる。
【0059】
本実施の形態の凍結保存試料用解凍装置によれば、容器本体22Aの底面22bを露出する開口部38を有するブロック27と、開口部38の下方に配置され、かつ開口部38に収容された容器支持部材14の貫通穴14Bを介して、容器本体22の底面22bの温度を連続的に測定する放射温度計17と、を有することにより、容器本体22の底面22bの温度を連続的に測定することで、容器本体22の底面22bの温度を把握することが可能となるので、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を抑制できる。
【0060】
また、ブロック27に容器本体22の外周面22aと接触可能な形状とされた容器収容部36を設けることにより、容器本体22の外周面22aと加熱部28に加熱されたブロック27とが接触するため、容器本体22に対してブロック27の熱を効率良く伝導させること(容器本体22を効率良く加温させること)が可能となる。
【0061】
これにより、比較的短い時間で、容器23内の凍結保存試料25の解凍を終了させることが可能となるため、凍結保存試料25として生体試料を用いる場合、生体試料の生存率の低下を抑制できる。
【0062】
また、放射温度計17と電気的に接続され、放射温度計17が測定する温度が所定の温度T1に到達した際、凍結保存試料25の解凍処理が終了したと判定する判定部33−2を有することにより、凍結保存試料25の解凍処理の終点を精度良く検知することが可能となる。
【0063】
また、判定部33−2及び加熱部28と電気的に接続されており、判定部33−2により解凍処理が終了したと判定された際、凍結保存試料25の解凍処理を終了させる制御部33−3を有することで、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を精度良く抑制できる。
【0064】
さらに、凍結保存試料25を解凍する時間が所定の時間t1に到達した際、放射温度計17が測定する温度が所定の温度T1に到達していない場合でも、制御部33−3により、凍結保存試料25の解凍処理を終了させることで、例えば、放射温度計17が故障している場合でも、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を抑制できる。
【0065】
なお、本実施の形態の凍結保存試料用解凍装置10では、一例として、駆動装置(図示せず)を用いて、第1及び第2の半割体27−1,27−2を支持する第1及び第2の半割体支持体11,12を動作させ、自動で第1及び第2の半割体27−1,27−2を開閉させる場合を例に挙げて説明したが、例えば、手動により第1及び第2の半割体支持体11,12を動作させることで、第1及び第2の半割体27−1,27−2の開閉を行ってもよい。
【0066】
なお、上記説明した凍結保存試料用解凍装置10,50では、ブロック27,51の一例として、ブロック27,51を容器収容部36,53の深さ方向(Z方向)に対して平行な面方向において、2つに分割した場合を例に挙げて説明したが、容器収容部36,53の深さ方向(Z方向)に対して平行な面方向において、ブロック27,51を分割する数は、2つ以上であればよく、2つに限定されない。
【0067】
図5は、本発明の実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置を用いた凍結保存試料の解凍方法を説明するためのフローチャートを示す図である。
図6は、本実施の形態に係る凍結保存試料用解凍装置の概略構成を示す平面図であり、第1及び第2の半割体が離間してブロックが開くと共に、容器支持部材上に容器が載置された状態を示す図である。図7は、図6に示す凍結保存試料用解凍装置のC−C線方向の断面図である。
図6及び図7において、図1図4に示す凍結保存試料用解凍装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。また、図6では、凍結保存試料用解凍装置10を構成する赤外線センサ31及び制御装置33の図示を省略する。
【0068】
次に、主に図5を参照して、先に説明した凍結保存試料用解凍装置10を用いた場合の本実施の形態の凍結保存試料の解凍方法について説明する。ここでは、一例として、液体窒素の凍結保存容器(図示せず)内で気相保存された容器23(凍結保存試料25を含む)を解凍処理する場合を例に挙げて以下の説明を行う。
【0069】
始めに、図5に示す処理が開始されると、STEP1では、連結保存試料25の解凍処理を終了させる所定の温度T1(第1の閾値)、及び解凍処理時間の上限である所定の時間t1(第2の閾値)に関するデータを記憶部33−1に入力する(図2参照)。
上記所定の温度T1及び所定の時間t1は、解凍する連結保存試料25に最適な値を入力するとよい。ただし、同種類又は解凍条件が同じである生体試料を連続して解凍することを考慮し、一度入力した所定の温度T1及び所定の時間t1は再入力するまで記憶し続ける。
【0070】
続く、STEP2では、図3及び図4に示すように、第1及び第2の半割体27−1,27−2を離間させた状態で、加熱部28により、第1及び第2の半割体27−1,27−2(ブロック27)の温度が所望の温度(例えば、37℃)となるように加熱する。
【0071】
続く、STEP3では、図3及び図4に示すように、容器搬送用アーム42により容器23の下部外周面をX方向から把持し、次いで、図6及び図7に示すように、容器搬送用アーム42から容器キャップ支持アーム19に容器23を受け渡し、容器キャップ支持アーム19で容器キャップ21を保持するとともに、容器支持部材14の凹部14Aに容器本体22の底部22Aを収容させる。
【0072】
これにより、容器支持部材14上に容器23がセットされる。このとき、赤外線センサ31が、容器支持部材14の凹部14Aに容器23が載置されたことを検知し、制御部33に第1の半割体27−1と第2の半割体27−2とで、容器23を挟み込むように指示する信号を送信する。
【0073】
続く、STEP4では、赤外線センサ31からの信号を制御装置33が受信すると、図1及び図2に示すように、第1の半割体27−1と第2の半割体27−2とで、容器23を挟み込むことで、ブロック27の容器収容部36に容器本体22を収容する。これにより、容器本体22内の連結保存試料25の解凍処理を開始する。
このとき、解凍処理時間の計測、及び放射温度計17(図2参照)による容器本体22の底面22bの温度の計測も開始する。
【0074】
続く、STEP5では、所望の温度(例えば、37℃)に加温されたブロック27により容器23を加温することで、容器23内に収容された連結保存試料25の解凍処理を行う。
このとき、容器本体22の底面22bの温度を連続的に計測する放射温度計17は、容器本体22の底面22bの温度に関する温度データSをリアルタイムで制御装置33に送信する(図2参照)。
【0075】
また、制御装置33は、表示部33−4に、解凍処理時間、及び容器本体22の底面22bの温度を表示させる(図2参照)。
なお、一般的に放射温度計17は、低温領域での測定精度が悪いという特性がある。このため、予め設定した温度、例えば、容器本体22の底面22bの温度が−50℃に到達するまでは、容器本体22の底面22bの温度を表示部33−4に表示させず、これよりも高い温度になった際に表示部33−4に温度を表示させるとよい。
【0076】
続く、STEP6では、図2に示す判定部33−2において、放射温度計17が計測する容器本体22の底面22bの温度(温度データS)が記憶部33−1に格納された所定の温度T1に到達したか否かの判定が行われる。
STEP6において、放射温度計17が計測する容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達していないと判定(Noと判定)されると、処理はSTEP7に進む。
【0077】
STEP6において、放射温度計17が計測する容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達した判定(Yesと判定)されると、処理はSTEP8へと進む。
STEP6において、Yesと判定されると、判定部33−2は、制御部33−3に、解凍処理を終了させるための信号を送信する。
【0078】
続く、STEP7では、図2に示す判定部33−2において、解凍処理時間が記憶部33−1に格納された所定の時間t1に到達したか否かの判定が行われる。
STEP7において、解凍処理時間が所定の時間t1に到達していないと判定(Noと判定)されると、処理はSTEP5へと戻り、解凍処理が継続される。このとき、判定部33−2から制御部33−3に第1の信号Uが送信される。
【0079】
一方、STEP7において、解凍処理時間が所定の時間t1に到達したと判定(Yesと判定)されると、処理はSTEP8へと進む。
STEP7において、Yesと判定されると、判定部33−2は、制御部33−3に、解凍処理を終了させるための第2の信号U2を送信する。
【0080】
続く、STEP8では、判定部33−2から送信された第2の信号U2(解凍処理を終了させる信号)を制御部33−3が受信すると、制御部33−3は、駆動装置(図示せず)により、第1及び第2の半割体27−1,27−2が開く方向に第1及び第2の半割体支持体11,12を移動させて、第1及び第2の半割体27−1,27−2と容器本体22の外周面22aとを離間させて、凍結保存試料25の解凍処理を終了させる。その後、処理は、STEP9へと進む。
【0081】
続く、STEP9では、図3に示す容器搬送用アーム42により解凍処理後の容器23を回収する。これにより、図5に示す処理が終了する。
【0082】
本実施の形態の凍結保存試料の解凍方法によれば、第1及び第2の半割体27−1,27−2を有するブロック27内に、容器本体22の外周面22aがブロック27と接触するように、凍結保存試料25が収容された容器23を配置させる工程と、容器23を加温されたブロック27により加温しながら、容器本体22の底面22bを露出する貫通穴14B(開口部38に配置された容器支持部材14の構成要素のうちの1つ)を介して、容器本体22の底面22bの温度を連続的に測定する工程と、を有することで、解凍処理中の容器本体22の底面22bの温度を把握することが可能となるので、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を抑制できる。
【0083】
また、容器本体22の外周面22aがブロック27と接触するように、凍結保存試料25が収容された容器23を配置させることにより、容器本体22に対してブロック27の熱を効率良く伝導させること(容器本体22を効率良く加温させること)が可能となる。
これにより、比較的短い時間で、容器23内の凍結保存試料25の解凍を終了させることが可能となるため、凍結保存試料25として生体試料を用いる場合、生体試料の生存率の低下を抑制できる。
【0084】
また、容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達したか否か判定する工程と、容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達した際、容器23の加温を停止させて凍結保存試料25の解凍処理を終了させる工程と、を有することにより、凍結保存試料25の解凍処理の終点を検知することができると共に、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を精度良く抑制することができる。
【0085】
さらに、凍結保存試料25を解凍する時間が所定の時間t1に到達した際、放射温度計17が測定する容器本体22の底面22bの温度が所定の温度T1に到達していない場合でも解凍処理を終了させることにより、例えば、放射温度計17が故障している場合でも、容器23内に収容された凍結保存試料25の過昇温を抑制することができる。
【0086】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、放射温度計19による温度測定は、連続的に限らず断続的であっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明は、容器内の凍結保存試料が過昇温されることを抑制可能な凍結保存試料用解凍装置、及び凍結保存試料の解凍方法に適用できる。
【符号の説明】
【0088】
10,50…凍結保存試料用解凍装置、11…第1の半割体支持体、12…第2の半割体支持体、14…容器支持部材、14A…凹部、14B…貫通穴、15…支持体、16…温度計支持部材、17…放射温度計、19…容器キャップ支持アーム、19A,42A…キャップ保持部、19B,42B…支持部、21…容器キャップ、22…容器本体、22a,27−1a,27−2a,51−1a,51−2a…外周面、22b,23a…底面、22A,23A…底部、23…容器、25…凍結保存試料、27,51…ブロック、27−1,51−1…第1の半割体、27−2,51−2…第2の半割体、28…加熱部、28−1…第1の加熱部、28−2…第2の加熱部、31…赤外線センサ、33…制御装置、33−1…記憶部、33−2…判定部、33−3…制御部、33−4…表示部、35−1…第1の半円柱部材、35−2…第2の半円柱部材、36,53…容器収容部、36−1…第1の容器収容部、36−2…第2の容器収容部、38…開口部、38−1…第1の切り欠き部、38−2…第2の切り欠き部、38−3…空間、42…容器搬送用アーム、51−1b,51−2b…傾斜面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7