(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の移動経路を含む仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を複数の第1の変数として含みかつ前記複数の第1の変数にそれぞれ対応する複数の第1の係数を含む第1の関数が設定されるとともに、前記仮想的な地形における複数の移動経路の目的地までの価値を一または複数の第2の変数として含みかつ前記一または複数の第2の変数にそれぞれ対応する一または複数の第2の係数を含む第2の関数が設定され、前記第1の関数の値と前記第2の関数の値との相関が最大となるように前記複数の第1の係数の値および前記一または複数の第2の係数の値が決定され、
前記重み情報は、前記決定された複数の第1の係数の値を前記複数の重み係数として含む、請求項1記載のナビゲーション装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非特許文献1の自律移動ロボットは、障害物等の事前情報が一切与えられていなくても、自己位置推定および地図構築を利用して経路計画を行う。しかしながら、移動経路の事前情報がない場合には、非特許文献1の自律移動ロボットは移動経路上の行き止まりに遭遇する可能性が高い。この場合、自律移動ロボットは引き返さなければならず、ゴール地点まで効率よく移動することができない。
【0005】
本発明の目的は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置、それを備えた移動装置およびナビゲーション方法を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成可能なシミュレーション装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係るナビゲーション装置は、移動装置に搭載されるナビゲーション装置であって、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を検出する移動経路検出部と、移動装置を基準とした目的地の位置に関する情報を目的地位置情報として取得する目的地位置情報取得部と、移動装置の周囲の地形の特徴に関する情報を地形特徴情報として取得する地形特徴情報取得部と、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含
む重み情報を予め記憶する記憶部と、記憶部に記憶された重み情報に基づいて、目的地位置情報取得部により取得された目的地位置情報および地形特徴情報取得部により取得された地形特徴情報から、移動経路検出部により検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報を算出し、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定する価値推定部とを備え
、重み情報における複数の重み係数は、複数の移動経路を含む仮想的な地形において、任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報、任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報、および複数の移動経路の予め取得した価値を用いて、正準相関分析により算出されるものである。
【0008】
このナビゲーション装置においては、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路が検出される。また、移動装置を基準とした目的地の位置に関する目的地位置情報が取得される。移動装置の周囲の地形の特徴に関する地形特徴情報が取得される。
【0009】
目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が予め記憶されている。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
【0010】
記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
【0011】
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
【0012】
また、重み情報における複数の重み係数は、複数の移動経路を含む仮想的な地形において、任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報、任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報、および複数の移動経路の予め取得した価値を用いて、正準相関分析により算出され
る。
【0013】
この場合、複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値は、複数の移動経路を含む仮想的な地形を用いて取得される。これにより、任意の地形の複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値を容易に取得することができるとともに、任意の地形の重み係数を容易に算出することができる。
【0014】
(
2)複数の移動経路を含む仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を複数の第1の変数として含みかつ複数の第1の変数にそれぞれ対応する複数の第1の係数を含む第1の関数が設定されるとともに、仮想的な地形における複数の移動経路の目的地までの価値を一または複数の第2の変数として含みかつ一または複数の第2の変数にそれぞれ対応する一または複数の第2の係数を含む第2の関数が設定され、第1の関数の値と第2の関数の値との相関が最大となるように複数の第1の係数の値および一または複数の第2の係数の値が決定され、重み情報は、決定された複数の第1の係数の値を複数の重み係数として含んでもよい。
【0015】
この場合、決定された第1の係数を用いることにより、実際の移動経路における目的地位置情報および地形特徴情報から算出される一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報の信頼性が向上する。これにより、推定される一または複数の移動経路の目的地までの価値の信頼性を向上させることができる。
【0016】
(
3)ナビゲーション装置は、価値推定部により推定された価値のうち、最も高い価値を有する移動経路を選択する経路選択部をさらに備えてもよい。
【0017】
この場合、移動装置は、最も高い価値を有すると推定された移動経路を移動する。それにより、移動装置は最良の移動経路を通って目的地に到達することができる。その結果、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地までより効率よく移動させることが可能になる。
【0018】
(
4)ナビゲーション装置は、目的地の位置を指定するために使用者により操作される操作部と、全地球測位システムから移動装置の測位情報を受信する位置姿勢センサとをさらに備え、目的地位置情報取得部は、操作部により指定された目的地の位置と、位置姿勢センサにより受信された移動装置の測位情報とに基づいて目的地位置情報を取得してもよい。この場合、目的地位置情報を容易かつ正確に取得することができる。
【0019】
(
5)ナビゲーション装置は、移動装置の周囲における第1の数の地点を測量する環境認識センサをさらに備え、移動経路検出部は、環境認識センサによる第1の数の地点にそれぞれ対応する第1の数の測量の情報に基づいて移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を検出し、地形特徴情報取得部は、第1の数の測量の情報から一または複数の移動経路上における第1の数よりも少ない第2の数の測量の情報を地形特徴情報として抽出してもよい。
【0020】
この場合、複数の地形特徴情報の数が第1の数から第2の数に低次元化される。これにより、信頼性を大きく低下させることなく一または複数の移動経路の目的地までの価値を高速に推定することができる。
【0021】
(
6)環境認識センサはレーザレンジファインダを含んでもよい。この場合、簡単な構成で第1の数の地点を測量することができる。
【0022】
(
7)移動経路の目的地までの価値の高さは、移動装置が移動経路を移動する際の移動時間の短さを含んでもよい。この場合、ナビゲーション装置は、移動装置を目的地まで短時間で移動させることが可能になる。
【0023】
(
8)移動経路の目的地までの価値の高さは、移動装置が移動経路を移動する際の消費エネルギーの少なさを含んでもよい。この場合、ナビゲーション装置は、移動装置を目的地まで少ない消費エネルギーで移動させることが可能になる。
【0024】
(
9)第2の発明に係るシミュレーション装置は、第1の発明に係るナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成するシミュレーション装置であって、複数の移動経路を含む仮想的な地形を示す地形データを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された地形データにより示される仮想的な地形における複数の移動経路を走行可能な仮想的な移動装置と、仮想的な地形における任意の地点から任意の目的地まで移動装置を移動させることにより複数の移動経路の価値を取得し、取得された複数の移動経路の価値に基づいて、任意の目的地までの最適な移動経路の価値を算出する価値算出部と、仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を取得する情報取得部と、価値算出部により複数の目的地の各々について算出された最適な移動経路の価値ならびに情報取得部により取得された複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報を正準相関分析により算出する重み情報算出部とを備え、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含むものである。
【0025】
このシミュレーション装置においては、複数の移動経路を含む仮想的な地形を示す地形データが記憶される。仮想的な移動装置が、記憶された地形データにより示される仮想的な地形における複数の移動経路を走行可能である。仮想的な地形における任意の地点から任意の目的地まで移動装置を移動させることにより複数の移動経路の価値が取得され、取得された複数の移動経路の価値に基づいて、任意の目的地までの最適な移動経路の価値が算出される。仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報が取得される。
【0026】
複数の目的地の各々について算出された最適な移動経路の価値ならびに取得された複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が正準相関分析により算出される。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
【0027】
ナビゲーション装置においては、シミュレーション装置により算出された重み情報が記憶される。記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
【0028】
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
【0029】
また、シミュレーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成することができる。
【0030】
(
10)第3の発明に係る自律移動装置は、移動可能に構成される本体部と、本体部に搭載される第1の発明に係るナビゲーション装置と、ナビゲーション装置により推定された各移動経路の目的地までの価値に基づいて本体部の移動を制御する制御部とを備えたものである。
【0031】
この自律移動装置においては、本体部に上記のナビゲーション装置が搭載される。ナビゲーション装置により推定された各移動経路の目的地までの価値に基づいて本体部が移動する。この構成によれば、自律移動装置は、上記のナビゲーション装置を含むので、移動経路の事前情報がない場合でも、目的地まで効率よく移動することが可能になる。
【0032】
(
11)第4の発明に係るナビゲーション方法は、移動装置をナビゲートするナビゲーション方法であって、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含
む重み情報を予め
記憶部により記憶するステップと、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を
移動経路検出部により検出するステップと、移動装置を基準とした目的地の位置に関する情報を目的地位置情報として
目的地位置情報取得部により取得するステップと、移動装置の周囲の地形の特徴に関する情報を地形特徴情報として
地形特徴情報取得部により取得するステップと、
記憶部に記憶された重み情報に基づいて、
目的地位置情報取得部により取得された目的地位置情報および
地形特徴情報取得部により取得された地形特徴情報から、
移動経路検出部により検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報を算出し、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値を
価値推定部により推定するステップと
を含
み、重み情報における複数の重み係数は、複数の移動経路を含む仮想的な地形において、任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報、任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報、および複数の移動経路の予め取得した価値を用いて、正準相関分析により算出されるものである。
【0033】
このナビゲーション方法においては、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路が検出される。また、移動装置を基準とした目的地の位置に関する目的地位置情報が取得される。移動装置の周囲の地形の特徴に関する地形特徴情報が取得される。
【0034】
目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が予め記憶されている。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
【0035】
記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
【0036】
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション方法は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
また、重み情報における複数の重み係数は、複数の移動経路を含む仮想的な地形において、任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報、任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報、および複数の移動経路の予め取得した価値を用いて、正準相関分析により算出される。
この場合、複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値は、複数の移動経路を含む仮想的な地形を用いて取得される。これにより、任意の地形の複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値を容易に取得することができるとともに、任意の地形の重み係数を容易に算出することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。また、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(1)ナビゲーション装置および移動装置の全体構成
以下、本発明の一実施の形態に係るナビゲーション装置および移動装置について図面を参照しつつ説明する。移動装置は、農作業場または災害現場等において用いられる運転手による運転および操作を必要としない自律式の移動装置である。
【0040】
図1は、本発明の一実施の形態に係る移動装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2は、移動装置の外観を示す模式図である。
図2(a)は移動装置の平面図を示し、
図2(b)は移動装置の側面図を示す。
図1に示すように、移動装置200は、ナビゲーション装置100、制御部210、アクチュエータ部220、移動機構部230、車体240および車輪250(
図2)を含む。
図2(a)に示すように、本実施の形態においては、移動装置200は4つの車輪250を含むUGV(無人陸上車両)である。
【0041】
ナビゲーション装置100は、センサ部110、操作部120および記憶部130を含む。また、ナビゲーション装置100は、目的地位置情報取得部140、移動経路検出部150、地形特徴情報取得部160、価値推定部170および経路選択部180を含む。目的地位置情報取得部140、移動経路検出部150、地形特徴情報取得部160、価値推定部170および経路選択部180は、例えばCPU(中央演算処理装置)およびコンピュータプログラムにより実現される。
【0042】
センサ部110は、位置姿勢センサ111および環境認識センサ112を含む。位置姿勢センサ111は、GPS(全地球測位システム)、INS(慣性航法装置)およびIMU(慣性姿勢計測装置)から移動装置200の測位情報および姿勢情報を受信する。測位情報は、移動装置200の位置、速度および加速度を含む。また、姿勢情報は、車体240の向きを含む。位置姿勢センサ111は、受信した移動装置200の測位情報および姿勢情報を目的地位置情報取得部140に与える。
【0043】
環境認識センサ112は、例えばLRF(レーザレンジファインダ)である。
図2(b)に示すように、環境認識センサ112は、所定の角度間隔で移動装置200の上下方向に複数本(本例では32本)のレーザ光を順次出射する。この状態で、
図2(a)に示すように、環境認識センサ112は車体240の上下方向を軸に回転する。これにより、環境認識センサ112は、所定の角度間隔で車体240の周囲に複数本のレーザ光を順次出射する。
【0044】
環境認識センサ112は、周囲の物体により反射された光を検出することにより、移動装置200の周囲における複数の地点を測量する。本例においては、環境認識センサ112は、毎秒約64000本のレーザ光を車体240の周囲に出射する。したがって、環境認識センサ112は、移動装置200の周囲における64000箇所の地点を測量する。環境認識センサ112は、複数の地点の測量情報を移動経路検出部150に与える。
【0045】
図1の操作部120は、ユーザインタフェースを含む。使用者は、操作部120を操作することにより目的地の位置を指定することができる。操作部120は、使用者により指定された目的地の位置を目的地位置情報取得部140に与える。
【0046】
目的地位置情報取得部140は、移動装置200の測位情報および姿勢情報に基づいて、移動装置200の位置および姿勢を推定する。また、目的地位置情報取得部140は、推定された移動装置200の位置および指定された目的地の位置に基づいて、移動装置200を基準とした目的地の位置を目的地位置情報として取得する。目的地位置情報は3次元を有する。目的地位置情報取得部140は、目的地位置情報を価値推定部170に与える。
【0047】
移動経路検出部150は、環境認識センサ112による複数の地点の測量情報に基づいて移動装置200が移動可能な一または複数の移動経路を検出する。移動経路検出部150は、検出した移動経路を地形特徴情報取得部160に与える。
【0048】
地形特徴情報取得部160は、環境認識センサ112による複数の地点の測量情報から移動経路上の測量情報を選択して地形特徴情報として抽出する。地形特徴情報は、移動装置200の周囲の地形の特徴を示す。本例においては、64000箇所の地点の測量情報から移動経路上の16箇所の地形特徴情報が抽出される。すなわち、地形特徴情報は16次元を有する。地形特徴情報取得部160は、地形特徴情報を価値推定部170に与える。
【0049】
記憶部130は、例えばハードディスクである。記憶部130には、重み情報が予め記憶されている。重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報と移動経路の目的地までの価値に相関する重み相関情報とを関連付ける情報である。価値推定部170は、記憶部130に記憶された重み情報を取得する。
【0050】
ここで、移動経路の目的地までの価値は、移動時間であってもよいし、消費エネルギーであってもよい。移動経路の目的地までの価値が移動時間である場合、移動装置200が移動経路を移動する際の移動時間が短いほど移動経路の目的地までの価値が高い。したがって、ナビゲーション装置100は、高い価値を有する移動経路を選択することにより、移動装置200を目的地まで短時間で移動させることが可能になる。
【0051】
移動経路の目的地までの価値が消費エネルギーである場合、移動装置200が移動経路を移動する際の消費エネルギーが少ないほど移動経路の目的地までの価値が高い。したがって、ナビゲーション装置100は、高い価値を有する移動経路を選択することにより、移動装置200を目的地まで少ない消費エネルギーで移動させることが可能になる。
【0052】
価値推定部170は、重み情報に基づいて、目的地位置情報および地形特徴情報から、一または複数の移動経路についての目的地までの価値に相関する情報を価値相関情報として算出する。また、価値推定部170は、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定する。価値推定部170は、一または複数の移動経路の目的地までの価値を経路選択部180に与える。
【0053】
経路選択部180は、価値推定部170により推定された価値のうち、最も高い価値を有する移動経路を選択する。経路選択部180は、選択した移動経路を示す情報を制御部210に与える。
【0054】
制御部210は、例えばECU(電子制御ユニット)である。アクチュエータ部220は、駆動系アクチュエータ221および操舵系アクチュエータ222を含む。移動機構部230は、駆動機構231および操舵機構232を含む。駆動機構231は、例えばスロットル弁およびブレーキを含む。また、操舵機構232は、例えばステアリングを含む。駆動系アクチュエータ221および操舵系アクチュエータ222は、それぞれ駆動機構231および操舵機構232に接続される。
【0055】
制御部210は、移動装置200が経路選択部180により選択された移動経路を移動するように駆動系アクチュエータ221および操舵系アクチュエータ222を制御する。駆動系アクチュエータ221は、制御部210による制御に基づいて、例えば駆動機構231のスロットル弁の開度およびブレーキの操作量を調整する。また、操舵系アクチュエータ222は、例えば操舵機構232のステアリングを操作する。これにより、移動装置200は、経路選択部180により選択された移動経路を通って目的地に移動することができる。
【0056】
この場合、移動装置200は、最も高い価値を有すると推定された移動経路を移動する。それにより、移動装置200は最良の移動経路を通って目的地に到達することができる。その結果、ナビゲーション装置100は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置200を目的地までより効率よく移動させることが可能になる。
【0057】
(2)シミュレーション装置の基本構成
図1の記憶部130に記憶される重み情報は、シミュレーション装置により算出される。
図3は、本発明の一実施の形態に係るシミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、シミュレーション装置300は、操作部310、表示部320、記憶部330、経路設定部340、価値算出部350、情報取得部360および重み情報算出部370を含む。経路設定部340、価値算出部350、情報取得部360および重み情報算出部370は、例えばCPUおよびコンピュータプログラムにより実現される。
【0058】
操作部310は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。使用者は、操作部310を操作することにより、経路設定部340に各種指示を与えることができる。表示部320は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイパネルである。
【0059】
記憶部330は、例えばハードディスクである。記憶部330には、地形データおよび移動装置データが予め記憶されている。また、記憶部330には、経路設定プログラム、価値算出プログラム、目的地位置情報取得プログラム地形特徴情報取得プログラムおよび重み情報算出プログラムが予め記憶されている。
【0060】
地形データは、複数の移動経路ならびに草木および岩石等の障害物を含む仮想的な地形(以下、仮想地形と呼ぶ)を表示部320に表示するためのデータである。地形データとして、実際に移動装置200が走行する地形に類似する仮想地形を有する地形データが用いられることが好ましい。移動装置データは、
図1の移動装置200に対応する仮想的な移動装置(以下、仮想移動装置と呼ぶ)を表示部320に表示するためのデータである。
【0061】
経路設定部340は、使用者による操作部310の操作に基づいて、仮想移動装置および仮想地形を表示部320に表示させる。移動装置データは、
図1のセンサ部110、アクチュエータ部220、移動機構部230および車体240ならびに
図2の車輪250にそれぞれ対応する仮想的なセンサ部、アクチュエータ部、移動機構部、車体および車輪を表示部320に表示するためのデータからなる。仮想移動装置は、仮想的なアクチュエータ部および移動機構部を駆動することにより、仮想地形における複数の移動経路を走行可能である。
【0062】
また、経路設定部340は、後述する経路設定処理を実行することにより、仮想移動装置が移動する仮想地形における複数の移動経路の組み合わせを設定する。経路設定部340は、設定した移動経路の組み合わせを記憶部330に記憶する。
【0063】
価値算出部350は、地形データおよび移動装置データに基づいて、後述する価値算出処理を実行することにより、仮想地形における任意の地点から任意の目的地まで仮想移動装置を移動させる。これにより、価値算出部350は、複数の移動経路の価値を取得する。また、価値算出部350は、取得した複数の移動経路の価値に基づいて、任意の目的地までの最適な移動経路の価値を算出する。価値算出部350は、複数の目的地の各々について算出した最適な移動経路の価値を記憶部330に記憶する。
【0064】
情報取得部360は、地形データおよび移動装置データに基づいて、後述する目的地位置情報取得処理を実行することにより、仮想地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報を取得する。また、情報取得部360は、地形データおよび移動装置データに基づいて、後述する地形特徴情報取得処理を実行することにより、仮想地形における任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を取得する。情報取得部360は、取得した複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報を記憶部330に記憶する。
【0065】
重み情報算出部370は、後述する重み情報算出処理を実行することにより、複数の移動経路の目的地までの価値、複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、重み情報を算出する。重み情報は移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための情報であり、重み情報の算出は正準相関分析により行われる。重み情報算出部370は、算出した重み情報を記憶部330に記憶する。記憶部330に記憶された重み情報は、移動装置200の記憶部130に記憶される。
【0066】
(3)シミュレーション装置の動作
(a)経路設定処理
図4は、経路設定処理に用いられる仮想地形を示す図である。
図4に示すように、仮想地形10は、仮想移動装置が移動可能な複数の仮想的な移動経路11および仮想移動装置が移動不可能な草木および岩石等の仮想的な障害物12を含む。以下、仮想的な移動経路11および仮想的な障害物12をそれぞれ仮想移動経路11および仮想障害物12と呼ぶ。
図4においては、仮想移動経路11が白抜きにより示され、仮想障害物12上がドットパターンにより示されている。
図4においては、仮想地形10の高低差の図示は省略する。
【0067】
図5は、経路設定処理を示すフローチャートである。経路設定処理は、シミュレーション装置300のCPUが経路設定プログラムを実行することにより行われる。経路設定処理において、使用者は、操作部310を操作して記憶部330に記憶された地形データを選択する。経路設定部340は、選択された地形データに基づいて仮想地形10を表示部320に表示させる(ステップS1)。次に、経路設定部340は、仮想移動経路11上の複数の部分にそれぞれ複数のノード13を設定する(ステップS2)。設定されるノード13の数をN個とする。
【0068】
続いて、経路設定部340は、設定した任意のノード13間をリンクすることにより、仮想移動装置が移動する仮想移動経路11の組み合わせを設定する(ステップS3)。その後、経路設定部340は、設定した複数のノードおよび仮想移動経路11の組み合わせを記憶部330に記憶する(ステップS4)。
【0069】
本例においては、ステップS2で83個のノード13が設定される。ここで、一のノード13から目的地とした他のノード13までの仮想移動経路11の組み合わせの数はN×(N−1)である。ノード13間のリンクを任意に設定することにより、任意の数の仮想移動経路11の組み合わせを設定することができる。
【0070】
本例においては、ステップS3で9378種類の仮想移動経路11の組み合わせが設定される。経路設定処理の後、価値算出処理、目的地位置情報取得処理および地形特徴情報取得処理の各々が続行される。
【0071】
(b)価値算出処理
価値算出部350は、経路設定処理の終了後、価値算出処理を実行する。
図6は、価値算出部350による価値算出処理を示すフローチャートである。価値算出処理は、シミュレーション装置300のCPUが価値算出プログラムを実行することにより行われる。
【0072】
価値算出部350は、仮想移動装置を全てのノード13間を走行させることにより、全てのノード13間の価値を取得する(ステップS11)。本例においては、各ノード13間の価値は、各ノード13間を移動する際の仮想移動装置の移動時間である。各ノード13間の価値は、各ノード13間を移動する際の仮想移動装置の燃料消費率であってもよい。
【0073】
次に、価値算出部350は、任意のノード13を目的地として設定する(ステップS12)。続いて、価値算出部350は、目的地以外のノード13から目的地までの最適な仮想移動経路11の価値を算出する(ステップS13)。価値の算出は、DP法(動的計画法)により行われる。その後、価値算出部350は、取得した全てのノード13間の価値および算出した価値を記憶部330に記憶する(ステップS14)。
【0074】
次に、価値算出部350は、全てのノード13が目的地として設定されたか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において、全てのノード13が目的地として設定されていない場合、価値算出部350は、ステップS12の処理に戻る。これにより、ステップS12〜S15の処理が繰り返される。一方、ステップS15において、全てのノード13が目的地として設定された場合、価値算出部350は、価値算出処理を終了する。
【0075】
ステップS11において、ノード13間の価値は、仮想移動装置の移動速度に基づいて取得される。例えば、あるノード13間の凹凸が大きい場合、仮想移動装置の移動速度が低下する。そのため、そのノード13間の価値は低くなる。
【0076】
また、ノード13間の価値の取得においては、仮想移動装置の姿勢が考慮される。一方のノード13から他方のノード13への勾配が上りである場合、一方のノード13から他方のノード13へ移動する際には仮想移動装置の移動速度が低下する。これに対し、他方のノード13から一方のノード13へ移動する際には仮想移動装置の移動速度が上昇する。そのため、一方のノード13から他方のノード13へ移動する場合のノード13間の価値は低くなり、他方のノード13から一方のノード13へ移動する場合のノード13間の価値は高くなる。
【0077】
(c)目的地位置情報取得処理
情報取得部360は、経路設定処理の終了後、目的地位置情報取得処理を実行する。
図7は、情報取得部360による目的地位置情報取得処理を示すフローチャートである。目的地位置情報取得処理は、シミュレーション装置300のCPUが目的地位置情報取得プログラムを実行することにより行われる。
【0078】
情報取得部360は、任意のノード13を目的地として設定する(ステップS21)。次に、情報取得部360は、目的地以外のノード13における目的地位置情報を算出する(ステップS22)。目的地位置情報は、仮想移動装置のセンサ部の位置姿勢センサによる測位情報に基づいて算出される。目的地位置情報は、3個の成分(後述するr成分、h成分およびθ成分)からなる。すなわち、目的地位置情報は3次元を有する。
【0079】
続いて、情報取得部360は、算出した目的地位置情報を記憶部330に記憶する(ステップS23)。その後、情報取得部360は、目的地以外の全てのノード13における目的地位置情報が記憶部330に記憶されたか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24において、目的地以外の全てのノード13における目的地位置情報が記憶部330に記憶されていない場合、情報取得部360は、ステップS22の処理に戻る。これにより、ステップS22〜S24の処理が繰り返される。
【0080】
一方、ステップS24において、目的地以外の全てのノード13における目的地位置情報が記憶部330に記憶された場合、情報取得部360は、全てのノード13が目的地として設定されたか否かを判定する(ステップS25)。ステップS25において、全てのノード13が目的地として設定されていない場合、情報取得部360は、ステップS21の処理に戻る。これにより、ステップS21〜S25の処理が繰り返される。一方、ステップS25において、全てのノード13が目的地として設定された場合、情報取得部360は、目的地位置情報取得処理を終了する。
【0081】
図8は、目的地位置情報のr成分、h成分およびθ成分を説明するための図である。
図8(a)は仮想地形10の一部の側面図を示し、
図8(b)は仮想地形10の一部の平面図を示す。
図8(a),(b)においては、ノード13Gが目的地として設定される。ノード13G以外のノード13としてノード13Aに注目する。
【0082】
この場合、
図8(a)に示すように、ノード13Aを基準としたノード13Gまでの水平方向の距離が、ノード13Aにおける目的地位置情報のr成分となる。また、ノード13Aを基準としたノード13Gまでの垂直方向の距離が、ノード13Aにおける目的地位置情報のh成分となる。
【0083】
さらに、ノード13Aから目的地以外の他のノード13に向かう線分とノード13Aからノード13Gに向かう線分とのなす角度が、ノード13Aにおける目的地位置情報のθ成分となる。
図8(b)の例においては、ノード13Aに隣接するノード13としてノード13B,13Cが設定される。ノード13Aからノード13Bに向かう線分とノード13Aからノード13Gに向かう線分とのなす角度はθ1であり、ノード13Aからノード13Cに向かう線分とノード13Aからノード13Gに向かう線分とのなす角度はθ2である。
【0084】
したがって、仮想移動装置がノード13Aからノード13Bに移動する場合には、角度θ1がノード13Aにおける目的地位置情報のθ成分となる。一方、仮想移動装置がノード13Aからノード13Cに移動する場合には、角度θ2がノード13Aにおける目的地位置情報のθ成分となる。このように、仮想移動装置の移動経路によって、各ノード13の目的地位置情報のθ成分は異なる。
【0085】
(d)地形特徴情報取得処理
情報取得部360は、経路設定処理の終了後、地形特徴情報取得処理を実行する。
図9は、情報取得部360による地形特徴情報取得処理を示すフローチャートである。地形特徴情報取得処理は、シミュレーション装置300のCPUが地形特徴情報取得プログラムを実行することにより行われる。
【0086】
情報取得部360は、任意のノード13における地形特徴情報を算出する(ステップS31)。地形特徴情報は、16個の成分(後述するf1〜f16成分)からなる。すなわち、
地形特徴情報は16次元を有する。
【0087】
次に、情報取得部360は、算出した地形特徴情報を記憶部330に記憶する(ステップS32)。続いて、情報取得部360は、全てのノード13における地形特徴情報が記憶部330に記憶されたか否かを判定する(ステップS33)。ステップS33において、全てのノード13における地形特徴情報が記憶部330に記憶されていない場合、情報取得部360は、ステップS31の処理に戻る。これにより、ステップS31〜S33の処理が繰り返される。一方、ステップS33において、全てのノード13における地形特徴情報が記憶部330に記憶された場合、情報取得部360は、地形特徴情報取得処理を終了する。
【0088】
図10は、地形特徴情報のf1〜f16成分を説明するための図である。
図10(a)は仮想地形10の一部の平面図を示し、
図10(b)は仮想地形10の一部の側面図を示す。
図10(a),(b)においては、任意のノード13としてノード13Aに注目する。仮想移動装置1が進行方向を向いた姿勢でノード13Aに配置される。
【0089】
図10(a),(b)に示すように、仮想移動装置1の正面の180°の範囲で、仮想移動装置1のセンサ部の環境認識センサからレーザ光が出射される。また、仮想移動装置1の周囲の物体により反射されたレーザ光が環境認識センサにより検出される。ここで、物体とは、地面ならびに草木および岩石等の障害物を含む。
【0090】
検出されたレーザ光を反射した複数の物体の位置のうち、仮想移動装置1に最も近い位置をP1とし、仮想移動装置1から最も遠い位置をP2とする。位置P1,P2間の距離を15等分する16個の位置の物体によりそれぞれ反射されたレーザ光L1〜L16が抽出される。レーザ光L1〜L16により測量された物体までの距離は、それぞれd1〜d16である。
【0091】
次に、距離d1付近の複数の物体によりそれぞれ反射された複数のレーザ光が検出される。これらの複数のレーザ光により測量された複数の物体までの距離の平均値が地形特徴情報のf1成分となる。距離d2付近の複数の物体によりそれぞれ反射された複数のレーザ光が検出される。これらの複数のレーザ光により測量された複数の物体までの距離の平均値が地形特徴情報のf2成分となる。
【0092】
距離d3付近の複数の物体によりそれぞれ反射された複数のレーザ光が検出される。これらの複数のレーザ光により測量された複数の物体までの距離の平均値が地形特徴情報のf3成分となる。同様に、距離d4〜d16付近の複数の物体によりそれぞれ反射された複数のレーザ光が検出される。距離d4〜d16に対応する複数のレーザ光により測量された複数の物体までの距離の平均値が、それぞれ地形特徴情報のf4〜f16成分となる。
【0093】
上記の処理により、ステップS31において、仮想移動装置1が一の姿勢である場合のノード13Aにおける16個の成分を有する地形特徴情報が算出される。すなわち、多数(本例においては64000個)の成分を有する地形特徴情報が16個の成分を有する地形特徴情報に低次元化される。
【0094】
なお、本例においては、仮想移動経路11を移動する仮想移動装置1の姿勢は2つに限定されているので、各ノード13において仮想移動装置1の姿勢に応じて2の地形特徴情報が算出される。したがって、仮想移動装置1が他の姿勢(
図10(a),(b)の進行方向とは反対方向を向いた姿勢)である場合において、上記の処理が繰り返される。これにより、ステップS31において、仮想移動装置1が他の姿勢である場合のノード13Aにおける地形特徴情報が算出される。
【0095】
(e)重み情報算出処理
重み情報算出部370は、価値算出処理、目的地位置情報取得処理および地形特徴情報取得処理の終了後、重み情報算出処理を実行する。
図11は、重み情報算出部370による重み情報算出処理を示すフローチャートである。重み情報算出処理は、シミュレーション装置300のCPUが重み情報算出プログラムを実行することにより行われる。
【0096】
重み情報算出部370は、経路設定部340により設定された複数の仮想移動経路11における第1の関数を設定する(ステップS41)。第1の関数は、複数の第1の変数および複数の第1の係数を含む。複数の第1の変数は、複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報を含む。複数の第1の係数は、複数の第1の変数にそれぞれ対応する。
【0097】
ここで、第1の関数xは、下記式(1)で与えられる。
【0099】
式(1)に示すように、第1の関数xは、第1の係数行列aと第1の変数行列Xとの積である。第1の係数行列aは1行×p列のデータ行列である。第1の係数行列aはp個の第1の係数を含む。pは2以上の整数である。本実施の形態では、第1の係数行列aは19個の第1の係数a1,a2,a3,…,a19を含む。第1の変数行列Xは、p行×n列のデータ行列である。pは第1の係数の数を示す整数であり、nは仮想移動経路11の組み合わせの数を示す整数である。本例においては、pは19であり、nは9378である。
【0100】
第1の変数行列Xの各列は、p個の第1の変数を含む。本例では、各列がp個の第1の変数r
(i),h
(i),θ
(i),f1
(i)〜f16
(i)を含む。ここで、iは1〜nの整数である。本実施の形態では、i番目の仮想移動経路11に対応する目的地位置情報のr成分、h成分およびθ成分ならびに地形特徴情報のf1〜f16成分がp個の第1の変数r
(i),h
(i),θ
(i),f1
(i)〜f16
(i)に相当する。
【0101】
このように、第1の係数行列aの複数の第1の係数a1,a2,a3,…,a19は、第1の変数行列Xの各列の複数の第1の変数r
(i),h
(i),θ
(i),f1
(i)〜f16
(i)にそれぞれ対応する。
【0102】
また、重み情報算出部370は、経路設定部340により設定された複数の仮想移動経路11における第2の関数を設定する(ステップS42)。第2の関数は、一または複数の第2の変数および一または複数の第2の係数を含む。一または複数の第2の変数は、目的地までの最適な仮想移動経路11の価値を含む。一または複数の第2の係数は、一または複数の第2の変数にそれぞれ対応する。
【0103】
ここで、第2の関数yは、下記式(2)で与えられる。
【0105】
式(2)に示すように、第2の関数yは、第2の係数行列bと第2の変数行列Yとの積である。第2の係数行列bは1行×q列のデータ行列である。本例では、qは1である。したがって、第2の係数行列bは1個の第2の係数のみを含み、第2の係数行列bは第2の係数bに等しい。第2の変数行列Yは、q行×n列のデータ行列である。上記のように、nは仮想移動経路11の組み合わせの数を示す整数である。本例においては、qは1であり、nは9378である。
【0106】
第2の変数行列Yの各行(本例では1行)は、n個の第2の変数を含む。本例では、各行がn個の第2の変数v
(1),v
(2),v
(3),…,v
(n)を含む。本実施の形態では、i番目の仮想移動経路11に対応する価値vが第2の変数v
(i)に相当する。ここで、iは1〜nの整数である。
【0107】
次に、重み情報算出部370は、第1の関数xと第2の関数yとの相関が最大となるように複数の第1の係数の値および一または複数の第2の係数の値を決定する(ステップS43)。
【0108】
ステップS43においては、以下の手順により複数の第1の係数行列aの第1の係数a1,a2,a3,…,a19の値および第2の係数行列bの値(第2の係数bの値)を決定する。まず、下記式(3),(4)および(5)で与えられる共分散行列S
XX,S
YY,S
YXを算出する。上付きの添え字「T」は転置行列を表わす。
【0112】
ここで、Xσは、第1の変数行列Xの行方向の各成分から第1の変数行列Xの行方向の成分の平均値を減算することにより得られる平均偏差行列である。Yσは、第2の変数行列Yの行方向の各成分から第2の変数行列Yの行方向の成分の平均値を減算することにより得られる平均偏差行列である。次に、下記式(6)で与えられる関数r(a,b)を算出する。
【0114】
ここで、関数r(a,b)は、第1の係数行列a、第2の係数行列b、第1の変数行列Xおよび第2の変数行列Yを一次結合した相関関数である。関数r(a,b)を最大化する第1の係数行列aおよび第2の係数行列bが第1正準相関ベクトルであり、それぞれAおよびBで表わす。
【0115】
以上の方法により、下記式(7)および(8)のように、最大の相関を有する第1および第2の関数x
m,y
mが求められる。
【0118】
上式(7)の第1正準相関ベクトルAは、p個の第1の重み係数A1,A2,A3,…,A19を含む。上式の第1の変数行列X
mは、p個の第1の変数r,h,θ,f1〜f16を含む。第1の変数r,h,θは,目的地位置情報のr成分、h成分およびθ成分に相当し、第1の変数f1〜f16は地形特徴情報のf1〜f16成分に相当する。
【0119】
上式(8)において、第1正準相関ベクトルBは、q個(本例では1個)の第2の重み係数Bを含む。上式の第1の変数行列Y
mは、q個(本例では1個)の第2の変数vを含む。第2の変数vは価値vに相当する。
【0120】
上式(7)の第1の関数x
mと上式(8)の第2の関数y
mとの相関は最大となっている。したがって、式(7)の第1の変数r,h,θ,f1,…,f16に値を代入した場合の第1の関数x
mの値が価値vの高さを表わしている。この場合、第1の関数x
mの値が目的地までの価値相関情報に相当する。
【0121】
図1の経路選択部180は、式(7)に基づいて第1の関数xの値が最大となる移動経路を選択することにより、最も高い価値を有する移動経路を選択することができる。
【0122】
重み情報算出部370は、決定した複数の第1の係数の値を上記の複数の重み係数A1〜A19として記憶部330に記憶する(ステップS44)。決定した複数の第1の係数(複数の重み係数A1〜A19)の値が重み情報となる。これにより、地形特徴情報取得処理を終了する。
【0123】
このように、複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値は、複数の移動経路を含む仮想地形10を用いて取得される。これにより、任意の地形の複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値を容易に取得することができるとともに、任意の地形の重み係数を容易に算出することができる。
【0124】
(4)ナビゲーション装置の動作
図12および
図13は、ナビゲーション装置100によるナビゲーション処理を示すフローチャートである。ナビゲーション処理は、ナビゲーション装置100のCPUがナビゲーションプログラムを実行することにより行われる。移動装置200は、実際に使用する農作業場または災害現場に配置される。記憶部130には、重み情報算出処理のステップS44で算出された重み情報が記憶されている。
【0125】
使用者は、操作部120を操作して予め目的地の位置を指定する。目的地位置情報取得部140は、指定された目的地の位置を設定する(ステップS51)。ここで、移動装置200の制御部210は、アクチュエータ部220を制御することにより移動機構部230を駆動する。これにより、移動装置200の移動が開始する。
【0126】
次に、目的地位置情報取得部140は、位置姿勢センサ111からの測位情報および姿勢情報を取得する(ステップS52)。目的地位置情報取得部140は、取得した測位情報および姿勢情報に基づいて、移動装置200の位置および姿勢を推定する(ステップS53)。また、目的地位置情報取得部140は、移動装置200の位置および目的地の位置に基づいて、移動装置200を基準とした目的地の位置に関する目的地位置情報(r成分、h成分およびθ成分)を取得する(ステップS54)。
【0127】
移動経路検出部150は、環境認識センサ112から複数の地点の測量情報を取得する(ステップS55)。移動経路検出部150は、取得した複数の地点の測量情報に基づいて、移動装置200が移動可能な移動経路を検出する(ステップS56)。
【0128】
地形特徴情報取得部160は、環境認識センサ112による複数の地点の測量情報から地形特徴情報(f1〜f16成分)を抽出する(ステップS57)。ステップS54において取得された目的地位置情報の3個の成分(r成分、h成分およびθ成分)およびステップS57において抽出された地形特徴情報の16個の成分(f1〜f16成分)が式(7)の第1の変数行列X
mとなる。
【0129】
地形特徴情報の抽出の手順は、
図10(a),(b)における64000個の成分を有する地形特徴情報から16個の地形特徴情報のf1〜f16成分を抽出する手順と同様である。これにより、ステップS58において、価値推定部170は、信頼性を大きく低下させることなく一または複数の移動経路の目的地までの価値を高速に推定することができる。
【0130】
価値推定部170は、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定する(ステップS58)。移動経路の目的地までの価値の推定は、記憶部130に記憶された重み情報に基づいて、目的地位置情報および地形特徴情報から、一または複数の移動経路についての目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出することにより行われる。ここで、記憶部130に記憶された重み情報が式(7)の第1正準相関ベクトルA(複数の重み係数A1〜A19)であり、目的地までの価値相関情報が式(7)の第1の関数x
mである。したがって、式(7)に基づいて、一または複数の移動経路について、第1正準相関ベクトルAおよび第1の変数行列X
mから第1の関数x
mの値が算出されることにより、移動経路の目的地までの価値vが推定される。
【0131】
経路選択部180は、価値推定部170により推定された価値のうち、最も高い価値を有する移動経路を選択する(ステップS59)。
移動装置200は、経路選択部180により指定された移動経路を移動する。ここで、目的地位置情報取得部140は、移動装置200の位置が目的地の位置であるか否かを判定する(ステップS60)。
【0132】
ステップS60において、移動装置200の位置が目的地の位置でない場合、CPUは、ステップS52の処理に戻る。これにより、ステップS52〜S60の処理が繰り返される。一方、ステップS60において、移動装置200の位置が目的地の位置である場合、CPUは、ナビゲーション処理を終了する。
【0133】
(5)効果
本実施の形態に係るナビゲーション装置100においては、一または複数の移動経路が移動経路検出部150により検出される。目的地位置情報(r成分、h成分およびθ成分)が目的地位置情報取得部140により取得される。地形特徴情報(f1〜f16成分)が地形特徴情報取得部160により取得される。記憶部130に重み情報(複数の重み係数A1〜A19を含む第1正準相関ベクトルA)が予め記憶されている。
【0134】
記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報(r成分、h成分およびθ成分)および地形特徴情
報(f1〜f16成分)から、上式(7)に基づいて、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報(第1の関数x
mの値)が価値推定部170により算出される。また、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値vが価値推定部170により推定される。
【0135】
これにより、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置200は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。その結果、ナビゲーション装置100は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置200を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
【0136】
また、本実施の形態に係るシミュレーション装置300においては、仮想地形10における複数の目的地の各々についての最適な移動経路の価値が価値算出部350により算出される。仮想地形10における複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報が情報取得部360により取得される。取得された複数の移動経路の目的地までの価値ならびに取得された複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、重み情報が重み情報算出部370により算出される。
【0137】
これにより、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置200を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置100において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成することができる。
【0138】
(6)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、移動経路の目的地までの価値は、移動時間または消費エネルギーであるが、これに限定されない。移動経路の目的地までの価値は、移動時間および消費エネルギーであってもよい。この場合、移動装置200が移動経路を移動する際の移動時間が短くかつ消費エネルギーが少ないほど移動経路の目的地までの価値が高い。したがって、ナビゲーション装置100は、高い価値を有する移動経路を選択することにより、移動装置200を目的地まで短時間でかつ少ない消費エネルギーで移動させることが可能になる。
【0139】
このように、移動経路の目的地までの価値が複数の要素を含む場合、重み情報算出処理においてシミュレーション装置300の重み情報算出部370により設定される第2の関数yは、式(2)に代えて下記式(9)で与えられる。また、式(7)の第1の関数x
mと最大の相関を有する第2の関数y
mは、式(8)に代えて下記式(10)で与えられる。ここで、v1,v2は、それぞれ移動時間および消費エネルギーに相当する目的地までの最適な仮想移動経路の価値である。
【0142】
(b)上記実施の形態において、経路選択部180は、価値推定部170により推定された価値のうち、最も高い価値を有する移動経路を選択するが、これに限定されない。選択された移動経路が行き止まりであった場合には、移動装置200は、直前の移動経路の分岐点に戻る。ここで、経路選択部180は、価値推定部170により推定された価値のうち、最も高い価値以外の価値(例えば2番目に高い価値)を有する移動経路を選択してもよい。
【0143】
(c)上記実施の形態において、地形特徴情報の多数の成分が16個の成分に低次元化されるが、これに限定されない。地形特徴情報の多数の成分は15個以下の成分に低次元化されてもよい。この場合、価値推定部170は、一または複数の移動経路の目的地までの価値をより高速に推定することができる。あるいは、地形特徴情報の多数の成分は17個以上の成分に低次元化されてもよい。この場合、価値推定部170は、一または複数の移動経路の目的地までの価値をより正確に推定することができる。
【0144】
(d)上記実施の形態において、移動装置200は四輪車両であるが、これに限定されない。移動装置200は二輪車両、三輪車両、船舶または歩行ロボット等の他の移動装置であってもよい。
【0145】
(7)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0146】
上記実施の形態においては、移動装置200が移動装置または自律移動装置の例であり、ナビゲーション装置100がナビゲーション装置の例であり、移動経路検出部150が移動経路検出部の例である。目的地位置情報取得部140が目的地位置情報取得部の例であり、地形特徴情報取得部160が地形特徴情報取得部の例であり、記憶部130がナビゲーション装置の記憶部の例であり、価値推定部170が価値推定部の例である。
【0147】
第1の変数行列Xの列方向の成分が第1の変数の例であり、第1の係数行列aの行方向の成分が第1の係数の例であり、第1の関数xが第1の関数の例である。第2の変数行列Yの列方向の成分が第2の変数の例であり、第2の係数行列bの行方向の成分が第2の係数の例であり、第2の関数
yが第2の関数の例である。
【0148】
経路選択部180が経路選択部の例であり、操作部120が操作部の例であり、位置姿勢センサ111が位置姿勢センサの例であり、環境認識センサ112が環境認識センサの例である。記憶部330がシミュレーション装置の記憶部の例であり、仮想移動装置1が仮想的な移動装置の例であり、価値算出部350が価値算出部の例であり、情報取得部360が情報取得部の例である。重み情報算出部370が重み情報算出部の例であり、車体240が本体部の例であり、制御部210が制御部の例である。
【0149】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(8)参考形態
(8−1)第1の参考形態に係るナビゲーション装置は、移動装置に搭載されるナビゲーション装置であって、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を検出する移動経路検出部と、移動装置を基準とした目的地の位置に関する情報を目的地位置情報として取得する目的地位置情報取得部と、移動装置の周囲の地形の特徴に関する情報を地形特徴情報として取得する地形特徴情報取得部と、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含み目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する情報を価値相関情報として算出するための重み情報を予め記憶する記憶部と、記憶部に記憶された重み情報に基づいて、目的地位置情報取得部により取得された目的地位置情報および地形特徴情報取得部により取得された地形特徴情報から、移動経路検出部により検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報を算出し、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定する価値推定部とを備えるものである。
このナビゲーション装置においては、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路が検出される。また、移動装置を基準とした目的地の位置に関する目的地位置情報が取得される。移動装置の周囲の地形の特徴に関する地形特徴情報が取得される。
目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が予め記憶されている。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
(8−2)重み情報における複数の重み係数は、複数の移動経路を含む仮想的な地形において、任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報、任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報、および複数の移動経路の予め取得した価値を用いて、正準相関分析により算出されてもよい。
この場合、複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値は、複数の移動経路を含む仮想的な地形を用いて取得される。これにより、任意の地形の複数の目的地位置情報、複数の地形特徴情報および複数の移動経路の目的地までの価値を容易に取得することができるとともに、任意の地形の重み係数を容易に算出することができる。
(8−3)複数の移動経路を含む仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を複数の第1の変数として含みかつ複数の第1の変数にそれぞれ対応する複数の第1の係数を含む第1の関数が設定されるとともに、仮想的な地形における複数の移動経路の目的地までの価値を一または複数の第2の変数として含みかつ一または複数の第2の変数にそれぞれ対応する一または複数の第2の係数を含む第2の関数が設定され、第1の関数の値と第2の関数の値との相関が最大となるように複数の第1の係数の値および一または複数の第2の係数の値が決定され、重み情報は、決定された複数の第1の係数の値を複数の重み係数として含んでもよい。
この場合、決定された第1の係数を用いることにより、実際の移動経路における目的地位置情報および地形特徴情報から算出される一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報の信頼性が向上する。これにより、推定される一または複数の移動経路の目的地までの価値の信頼性を向上させることができる。
(8−4)ナビゲーション装置は、価値推定部により推定された価値のうち、最も高い価値を有する移動経路を選択する経路選択部をさらに備えてもよい。
この場合、移動装置は、最も高い価値を有すると推定された移動経路を移動する。それにより、移動装置は最良の移動経路を通って目的地に到達することができる。その結果、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地までより効率よく移動させることが可能になる。
(8−5)ナビゲーション装置は、目的地の位置を指定するために使用者により操作される操作部と、全地球測位システムから移動装置の測位情報を受信する位置姿勢センサとをさらに備え、目的地位置情報取得部は、操作部により指定された目的地の位置と、位置姿勢センサにより受信された移動装置の測位情報とに基づいて目的地位置情報を取得してもよい。この場合、目的地位置情報を容易かつ正確に取得することができる。
(8−6)ナビゲーション装置は、移動装置の周囲における第1の数の地点を測量する環境認識センサをさらに備え、移動経路検出部は、環境認識センサによる第1の数の地点にそれぞれ対応する第1の数の測量の情報に基づいて移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を検出し、地形特徴情報取得部は、第1の数の測量の情報から一または複数の移動経路上における第1の数よりも少ない第2の数の測量の情報を地形特徴情報として抽出してもよい。
この場合、複数の地形特徴情報の数が第1の数から第2の数に低次元化される。これにより、信頼性を大きく低下させることなく一または複数の移動経路の目的地までの価値を高速に推定することができる。
(8−7)環境認識センサはレーザレンジファインダを含んでもよい。この場合、簡単な構成で第1の数の地点を測量することができる。
(8−8)移動経路の目的地までの価値の高さは、移動装置が移動経路を移動する際の移動時間の短さを含んでもよい。この場合、ナビゲーション装置は、移動装置を目的地まで短時間で移動させることが可能になる。
(8−9)移動経路の目的地までの価値の高さは、移動装置が移動経路を移動する際の消費エネルギーの少なさを含んでもよい。この場合、ナビゲーション装置は、移動装置を目的地まで少ない消費エネルギーで移動させることが可能になる。
(8−10)第2の参考形態に係るシミュレーション装置は、第1の参考形態に係るナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成するシミュレーション装置であって、複数の移動経路を含む仮想的な地形を示す地形データを記憶する記憶部と、記憶部に記憶された地形データにより示される仮想的な地形における複数の移動経路を走行可能な仮想的な移動装置と、仮想的な地形における任意の地点から任意の目的地まで移動装置を移動させることにより複数の移動経路の価値を取得し、取得された複数の移動経路の価値に基づいて、任意の目的地までの最適な移動経路の価値を算出する価値算出部と、仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報を取得する情報取得部と、価値算出部により複数の目的地の各々について算出された最適な移動経路の価値ならびに情報取得部により取得された複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報を正準相関分析により算出する重み情報算出部とを備え、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含むものである。
このシミュレーション装置においては、複数の移動経路を含む仮想的な地形を示す地形データが記憶される。仮想的な移動装置が、記憶された地形データにより示される仮想的な地形における複数の移動経路を走行可能である。仮想的な地形における任意の地点から任意の目的地まで移動装置を移動させることにより複数の移動経路の価値が取得され、取得された複数の移動経路の価値に基づいて、任意の目的地までの最適な移動経路の価値が算出される。仮想的な地形における任意の地点を基準とした任意の目的地の位置に関する複数の目的地位置情報および任意の地点の周囲の地形の特徴に関する複数の地形特徴情報が取得される。
複数の目的地の各々について算出された最適な移動経路の価値ならびに取得された複数の目的地位置情報および複数の地形特徴情報に基づいて、移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が正準相関分析により算出される。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
ナビゲーション装置においては、シミュレーション装置により算出された重み情報が記憶される。記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。
また、シミュレーション装置は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能なナビゲーション装置において移動経路の目的地までの価値を推定するために用いられる重み情報を作成することができる。
(8−11)第3の参考形態に係る自律移動装置は、移動可能に構成される本体部と、本体部に搭載される第1の参考形態に係るナビゲーション装置と、ナビゲーション装置により推定された各移動経路の目的地までの価値に基づいて本体部の移動を制御する制御部とを備えたものである。
この自律移動装置においては、本体部に上記のナビゲーション装置が搭載される。ナビゲーション装置により推定された各移動経路の目的地までの価値に基づいて本体部が移動する。この構成によれば、自律移動装置は、上記のナビゲーション装置を含むので、移動経路の事前情報がない場合でも、目的地まで効率よく移動することが可能になる。
(8−12)第4の参考形態に係るナビゲーション方法は、移動装置をナビゲートするナビゲーション方法であって、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含み、目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する情報を価値相関情報として算出するための重み情報を予め記憶するステップと、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路を検出するステップと、移動装置を基準とした目的地の位置に関する情報を目的地位置情報として取得するステップと、移動装置の周囲の地形の特徴に関する情報を地形特徴情報として取得するステップと、記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および取得された地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報を算出し、算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定するステップとを含むものである。
このナビゲーション方法においては、移動装置が移動可能な一または複数の移動経路が検出される。また、移動装置を基準とした目的地の位置に関する目的地位置情報が取得される。移動装置の周囲の地形の特徴に関する地形特徴情報が取得される。
目的地位置情報および地形特徴情報から移動経路の目的地までの価値に相関する価値相関情報を算出するための重み情報が予め記憶されている。ここで、重み情報は、目的地位置情報および地形特徴情報にそれぞれ対応する複数の重み係数を含む。
記憶された重み情報に基づいて、取得された目的地位置情報および地形特徴情報から、検出された一または複数の移動経路についての目的地までの価値相関情報が算出される。算出された価値相関情報に基づいて一または複数の移動経路の目的地までの価値が推定される。
この構成によれば、移動経路の事前情報がない場合でも、一または複数の移動経路の目的地までの価値を推定することができる。移動装置は、高い価値を有すると推定された移動経路を移動することにより、高い確率で目的地に到達することができる。それにより、ナビゲーション方法は、移動経路の事前情報がない場合でも、移動装置を目的地まで効率よく移動させることが可能になる。