(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1制御部は、前記第1条件として前記画像形成部の内部または周囲の温度または湿度が所定の閾値を超えた場合に、前記振動の振幅を増大させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記第1制御部は、前記第2条件として前記トナー画像の印字率が所定の閾値を超えた場合に、前記振動の振幅を増大させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記第1制御部は、前記第3条件として前記シートの印字枚数が所定の閾値を超えた場合に、前記振動の振幅を増大させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
前記第1制御部は、前記第4条件として前記トナー画像の画像濃度が所定の閾値を上回った場合に、前記振動の振幅を増大させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能とを備えたフルカラー複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよい。また、画像形成装置は、モノクロ機であってもよい。
【0030】
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40(シート収容部)と、シートを給紙部40又は給紙トレイ46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
【0031】
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像をシートに形成する画像形成動作(印字動作)を実行する。画像形成部30は、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
【0032】
各画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkは、感光体ドラム321(像担持体)と、この感光体ドラム321の周囲に配置された、帯電器322、露光器323、現像装置324、一次転写ローラー325及びクリーニング装置326とを含む。
【0033】
感光体ドラム321は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像を担持する。感光体ドラム321としては、アモルファスシリコン(a−Si)系材料を用いた感光体ドラムを用いることができる。帯電器322は、感光体ドラム321の表面を均一に帯電する。露光器323は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム321の周面に、原稿画像の画像データに基づく光を照射して、静電潜像を形成する。感光体ドラム321は、像担持体として機能する。
【0034】
現像装置324は、内部にトナーを収容し、感光体ドラム321上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。現像装置324は、2成分現像剤用のものであり、スクリューフィーダー、磁気ローラー、及び現像ローラーを含む。
図1に示されるように、各色の現像装置324は水平方向(左右方向)に隣接して配置される。
【0035】
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33に備えられている中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321とニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。クリーニング装置326は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム321の周面を清掃する。
【0036】
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される。中間転写ベルト331は
図1では反時計回りに回転される。中間転写ベルト331は、像担持体として機能する。
【0037】
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35(転写部)が配置されている。二次転写ローラー35は、中間転写ベルト331からトナー像をシートに転写させる。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートに転写する二次転写部となる。駆動ローラー332又は二次転写ローラー35のいずれか一方のローラーに、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、他方のローラーは接地される。また、駆動ローラー332よりも、中間転写ベルト331の回転方向上流側の位置には、中間転写ベルト331の周面に対向する位置に、濃度センサー35Aが対向配置されている。濃度センサー35Aは、中間転写ベルト331上に形成されたトナー画像の濃度に応じた電気信号を出力する。
【0038】
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応する画像形成ユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
【0039】
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートを収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。給紙部40は、二次転写ローラー35に向かって搬送されるシートを収容する。給紙部40は、前述の現像装置324よりも下方に配置される。
【0040】
定着部60は、シートにトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートが定着ニップ部を通過することで、シートに転写されたトナー像が当該シートに定着される。
【0041】
画像形成装置1は、更に、回収ダクト7およびトナー回収ユニット8(トナー回収装置)を備える。
図2は、本実施形態に係る現像装置324、回収ダクト7およびトナー回収ユニット8の斜視図である。また、
図3は、本発明の他の実施形態として、不図示のモノクロ複合機(画像形成装置)に装着された回収ダクト7Aの一部及びトナー回収ユニット8Aの斜視図である。
【0042】
図2を参照して、回収ダクト7は、隣接して配置される各色の現像装置324(324Y、324M、324C、324Bk)の後方に配置される。回収ダクト7は、画像形成部30の現像装置324の内部において発生した飛散トナー(不要トナー)を空気流とともに回収し、後記のトナー回収ユニット8の流入口800に流入させる。回収ダクト7は、現像装置324から前記トナーを略水平方向に搬送する。なお、他の実施形態において、回収ダクト7は、現像装置324の周辺や画像形成部30の他の部分の周辺に飛散したトナーを回収するダクトであってもよい。回収ダクト7は、メインダクト70と、イエローダクト71と、マゼンタダクト72と、シアンダクト73と、ブラックダクト74と、を備える。メインダクト70は、現像装置324の後方において、左右方向に延設されるダクトである。メインダクト70の内部には、各色の現像装置324から回収されたトナーが搬送される排気風路が配設される。イエローダクト71、マゼンタダクト72、シアンダクト73およびブラックダクト74に、各色の現像装置324の内部から回収したトナーが、空気流とともに流入する。更に、これらの各ダクトは、前記トナーおよび空気流をメインダクト70の前記排気風路に流入させる。なお、このように本実施形態では、現像装置324の内部から飛散トナー(不要トナー)が直接回収される。この結果、画像形成部30の周辺の機内汚染が確実に防止される。更に、帯電器322周辺から空気流とともに飛散トナーを回収する場合と比較して、後記の第1フィルター811などのオゾン破壊が防止される。
【0043】
図3を参照して、回収ダクト7Aのブラックダクト74は、ハウジングダクト74Aと、屈曲ダクト部74Bと、湾曲部74Pとを備える。
【0044】
ハウジングダクト74Aは、前記モノクロ複合機の不図示のブラック色の現像装置の上方部分に連設されるダクト部分である。ハウジングダクト74Aは、前後方向に延設され、前記現像装置の内部と連通されている。トナー回収ユニット8Aの後記のファン83(
図4参照)の回転に伴って、前記現像装置の内部の飛散トナーが、空気流とともにハウジングダクト74Aに流入される。屈曲ダクト部74Bは、ハウジングダクト74Aの後端部に連設されるダクト部である。
図3に示すように、屈曲ダクト部74Bは、ハウジングダクト74Aの後端部から上方かつ左方に向かって延設された後、後方に向かって屈曲される。湾曲部74Pは、ハウジングダクト74Aと屈曲ダクト部74Bとが連通される湾曲したダクト部分である。
【0045】
また、メインダクト70は、メインダクト流入部70Aと、メインダクト排気部70Bとを備える。
【0046】
メインダクト流入部70Aは、メインダクト70の右端部に配置される。メインダクト流入部70Aは、屈曲ダクト部74Bの後端部に連設される。ハウジングダクト74Aから屈曲ダクト部74Bに流入した前記空気流は、メインダクト流入部70Aからメインダクト70の内部に流入する。メインダクト排気部70Bは、メインダクト70の左端部に配置される。メインダクト70に流入した前記空気流は、メインダクト排気部70Bから後記のハウジング80の流入口800を通じて、ハウジング80の内部に流入する。
【0047】
図3を参照して、トナー回収ユニット8Aは、メインダクト70の左端部分に連結される。トナー回収ユニット8Aは、ハウジング80と、排気部85とを備える。排気部85は、排気流入部850と、排気フィルター851とを備える。ハウジング80は、回収ダクト7に連通され、前記現像装置から回収された飛散トナーを空気流とともに最終的に回収する機能を備える。このため、ハウジング80の内部には空気流の流れの経路が形成されている。排気部85は、空気流の流れの経路において、ハウジング80の下流側に配置される。排気部85は、前記空気流を画像形成装置の機外に排気する機能を備える。排気部85は、排気流入部850と排気フィルター851とを備える。ハウジング80の内部を循環した前記空気流は、排気流入部850から排気部85に流入する。排気フィルター851は、排気部85の中の空気流の流れの経路上に配置されるフィルターである。排気フィルター851は、排気部85から画像形成装置の機外に排気される空気流から、塵や埃、あるいは微量に残存したトナーを捕集する。
【0048】
<ハウジング80の構造について>
次に、
図4および
図5を参照して、トナー回収ユニット8および8Aのハウジング80の構造について詳述する。なお、
図2および
図3に示すトナー回収ユニット8および8Aは、同様の構成からなるハウジング80を備えるため、以下では、
図3のハウジング80の構造について説明する。
図4は、ハウジング80の内部の斜視図である。
図5は、ハウジング80内の第1フィルター81部の斜視図である。
【0049】
図4を参照して、トナー回収ユニット8(8A)は、前述のハウジング80と、第1フィルター部81(フィルター)と、第2フィルター部82と、ファン83(空気流発生部)と、ハウジング排気口84と、を有する。
【0050】
ハウジング80は、略直方体形状からなる。ハウジング80は、メインダクト70よりも下方に配置される。ハウジング80は、排気部85とともにトナー回収ユニット8の外観を画定するとともに、内部に第1フィルター部81、第2フィルター部82、ファン83を収容する。また、ハウジング80の内部には、空気流が案内される複数のダクト部が配置される。前記ダクト部が空気流の流れの経路として機能をする。ハウジング80は、流入口800と、上部ダクト801と、ダクト下降部802と、ダクト上昇部80Uと、底部80Tとを有する。底部80Tは、ハウジング80の底部であり、後記の下部ダクト803の底面を画定する。また、ハウジング80は、第1フィルター部81、第2フィルター部82およびファン83を支持する。
【0051】
流入口800は、ハウジング80に開口され、空気流とともにトナーが流入する。流入口800はメインダクト70に連通されている。流入口800は、ハウジング80の前面部のうち右端部かつ上端部において、前方に向かって開口される開口部である。飛散トナーを含んだ空気流が、前述のメインダクト70のメインダクト排気部70Bから流入口800を介してハウジング80に流入する。
【0052】
上部ダクト801は、ハウジング80の右端部かつ上端部に形成された空間部である。上部ダクト801は、流入口800に対向して配置される。また、上部ダクト801は、ダクト下降部802に連通される。
【0053】
ダクト下降部802は、上部ダクト801の下端部に連通される。すなわち、ダクト下降部802は、ハウジング80の内部において、上部ダクト801を介して流入口800に連通して配置される。ダクト下降部802は、前記空気流を下方に向かってハウジング80の底部80T側に誘導する。ダクト下降部802は、ハウジング80の右端部において、上下方向に延設されるダクト部である。
【0054】
ダクト上昇部80Uは、ハウジング80の内部において、ダクト下降部802に水平方向において隣接して配置される。ダクト上昇部80Uは、底部80T側においてダクト下降部802に連通され、前記空気流を上方に誘導する。ダクト上昇部80Uは、底部80Tからファン83が配置される領域まで、上下方向に延設される。ダクト上昇部80Uは、下部ダクト803(誘導ダクト部)を備える。下部ダクト803は、前記空気流の流れの経路上において流入口800とファン83との間に配置され、前記空気流を下方から上方に向かって誘導する。下部ダクト803は、ダクト上昇部80Uの下方部分に配置される。また、前述のように、底部80Tは、下部ダクト803の下方に配置されるとともに、下部ダクト803の底面を画定する。底部80Tには、後記の振動部81Aの振動によって第1フィルター811から重力によって落下したトナーが堆積する。
【0055】
ダクト下降部802と、ダクト上昇部80Uの下部ダクト803とは、導入部802Tによって連通される。換言すれば、導入部802Tは、流入口800から流入した前記空気流を、下部ダクト803の側方部分(右側部分)から下部ダクト803に流入させる。
【0056】
第1フィルター部81は、ハウジング80の内部で、前記空気流の流れの経路上においてファン83よりも上流側に配置される。また、第1フィルター部81は、下部ダクト803の上方において、空気流が進入する進入面が下方に面するように配置される。第1フィルター部81は、空気流とともに流入口800から流入したトナーを捕集し、かつ、前記空気流を通過させる。第1フィルター部81は、ダクト上昇部80Uの下方部分に配置される。第1フィルター部81は、上下方向に所定の厚さを備えた直方体形状からなる。
【0057】
第2フィルター部82は、前記空気流の流れの経路上においてファン83と第1フィルター部81との間に配置される。第2フィルター部82は、第1フィルター部81によって捕集しきれなかったトナーを捕集し、かつ、前記空気流を通過させる。第2フィルター部82は、上下方向に所定の厚さを備えた直方体形状からなる。
【0058】
ファン83(空気流発生部)は、ハウジング80の内部に配置され、流入口800から流入した空気流を吸気するとともに、ハウジング80の外部に排気する。ファン83は、下方から流入した空気流を前方に向かって排気する。ファン83は、ダクト上昇部80Uの上方部分に配置される。換言すれば、ファン83は、前記空気流の流れの経路において、第1フィルター部81および第2フィルター部82よりも下流側に配置される。ファン83は、後記のファン制御部92によって回転され、流入口800から第1フィルター部81に向かう空気流を発生する吸気動作を実行する。
【0059】
ハウジング排気口84は、ファン83に対向して、ハウジング80の前面部に開口される開口部である。ファン83から排気された空気流は、ハウジング排気口84を介して、排気部85に流入する。
【0060】
図5を参照して、前述の第1フィルター部81は、振動部81Aと、第1フィルター811と、を備える。振動部81Aは、フレーム810(枠体)と、振動モーター812とを備える。振動部81Aは、第1フィルター811を振動させる振動動作を実行する。フレーム810は、ハウジング80に支持され、第1フィルター811を包持する。フレーム810は、第1フィルター811のうち水平方向に面する四面を囲むように配置される。第1フィルター811には、公知の粉塵用フィルターが採用可能である。本実施形態では、第1フィルター811は、所定の密度を備えた不図示の濾紙を含む。該濾紙は、直径1〜10μmのガラス繊維からなる。前記ガラス繊維の充填率は約10%程度であり、繊維間の空隙は10〜50μmに設定される。振動モーター812は、フレーム810の前側の側壁の上端面に固定され、フレーム810を介して第1フィルター811を振動させる。振動モーター812は、不図示の回転シャフトの先端に偏心して配置された不図示の錘を含む。前記錘の回転によって、振動モーター812から回転振動が発生する。
【0061】
第2フィルター部82も同様に、不図示のフレームが、第2フィルター(不図示)を包持することで形成される。また、前記第2フィルターおよび排気フィルター851(
図3)も、第1フィルター811と同様の粉塵用フィルターからなる。
【0062】
振動部81Aが第1フィルター811を振動させることによって、トナーによる第1フィルター811の目詰まりが防止される。本実施形態では、前述のように、ハウジング80および排気部85には、空気流の経路に沿って複数のフィルターが配置されている。そして、振動部81Aは、複数のフィルターのうち、ハウジング80内の空気流の経路において流入口800に最も近い第1フィルター811を振動させる。このため、複数のフィルターのうち、最もトナーが捕集される第1フィルター811が振動されることによって、第1フィルター811の目詰まりが防止されるとともに、トナー回収ユニット8の回収性能が安定して維持される。
【0063】
次に、画像形成装置1の電気的な構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る画像形成装置1が備える制御部90の電気的なブロック図である。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、前述の現像装置324を含む画像形成部30、ファン83、振動モーター812および濃度センサー35Aが電気的に接続されている。更に、制御部90には、環境センサー95(
図1、
図6)と、画像メモリー961およびI/F962(
図6)とが電気的に接続されている。なお、前述の他の実施形態に係るモノクロ複合機も同様の電気的な構成を備える。
【0064】
環境センサー95は、装置本体10の内部において画像形成部30の下方に配置されている。環境センサー95は、画像形成部30の周辺の温度および相対湿度を検出する。
【0065】
画像メモリー961は、当該画像形成装置1がプリンターとして機能する場合に、例えばパーソナルコンピューターなどの外部機器から与えられる印刷用画像データを一時的に記憶する。また、画像メモリー961は、画像形成装置1が複写機として機能する場合には、読取ユニット25により光学的に読み取られた画像データを一時的に記憶する。
【0066】
I/F962は、外部機器とのデータ通信を実現させるためのインターフェイス回路であり、例えば画像形成装置1と外部機器とを接続するネットワークの通信プロトコルに従った通信信号を作成すると共に、ネットワーク側からの通信信号を画像形成装置1が処理可能な形式のデータに変換する。パーソナルコンピューター等から送信される印刷指示信号はI/F962を介して制御部90に与えられ、また画像データはI/F962を介して画像メモリー961に記憶される。
【0067】
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、画像形成制御部91、ファン制御部92(第2制御部)、振動制御部93(第1制御部)および記憶部94を備えるように機能する。
【0068】
画像形成制御部91は、不図示の駆動手段を制御して、後記のタイミングに基づいて画像形成部30の各部材を駆動制御する。また、画像形成制御部91は、不図示のバイアス印加部を制御して、画像形成部30の各部材に所定のバイアスを印加する。
【0069】
ファン制御部92は、ファン83の前記吸気動作を制御する。本実施形態では、ファン制御部92は、画像形成部30において印字動作が実行される印字動作時に対応して、ファン83を回転駆動させることでファン83に吸気動作を実行させる。また、ファン制御部92は、画像形成部30において印字動作が実行されていない非印字動作時に対応して、前記吸気動作を停止させる。なお、他の実施形態において、ファン制御部92は、非印字動作時に、ファン83の回転数を低下させることで、印字動作時よりもファン83が発生する空気流の風量を低下させてもよい。
【0070】
振動制御部93は、振動部81Aの振動動作を制御する。詳しくは、振動制御部93は、画像形成部30において印字動作が実行されていない非印字動作時に、振動部81Aに振動動作を実行させる。また、振動制御部93は、画像形成部30において印字動作が実行される印字動作時に、振動部81Aの振動動作を停止させる。また、振動制御部93は、後記の各設定条件に応じて、振動部81Aの振動動作の動作条件を制御する。
【0071】
記憶部94は、振動部81Aの振動動作が実行されるための各設定条件となる情報を格納している。また。記憶部94は、振動部81Aの振動動作の動作条件となる情報を格納している。これらの設定条件(第1〜第4の条件)および動作条件については後記で詳述する。
【0072】
次に、トナー回収ユニット8の周辺における空気流およびトナーの流れについて説明する。
図7は、画像形成装置1の画像形成部30における画像形成動作(印字動作)、ファン83の吸気動作(回転動作)および振動部81Aの振動動作の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0073】
画像形成装置1の電源がオンされた後、シートへの印字動作(画像形成動作)が開始されると、画像形成制御部91の指示によって、現像装置324の現像ローラーおよびスクリュー(不図示)が回転される。この際、ファン制御部92は、ファン83を正回転させ吸気動作を実行する。この結果、現像装置324から回収ダクト7を介してトナー回収ユニット8に、トナーを含む空気流がもたらされる。流入口800からハウジング80に流入した空気流(
図4の矢印D40、D41)は、上部ダクト801からダクト下降部802に流入する。前記空気流は、ダクト下降部802において一旦下降された後(
図4の矢印D42)、導入部802Tを介して、下部ダクト803の側方部分から下部ダクト803に流入する(
図4の矢印D43)。下部ダクト803は、前記空気流を下方から上方に向かって誘導する(
図4の矢印D44)。そして、下部ダクト803の上方に配置された第1フィルター部81の第1フィルター811を前記空気流が通過する際に、トナーが第1フィルター811に捕集される。また、第1フィルター811を通過した空気流は、第2フィルター部82を通過する。この際、第1フィルター811によって捕集しきれなかったトナーが、第2フィルター部82によって捕集される。
【0074】
第2フィルター部82を通過した空気流は、ファン83に流入する(
図4の矢印D45)。そして、前記空気流は、ファン83によって前方に向かって排出される。その後、前記空気流は、排気部85(
図3)に流入し、排気フィルター851を通過して、トナー回収ユニット8(画像形成装置1)の外部に排気される(
図3の矢印参照)。ファン83の回転に基づく飛散トナーの回収および空気流の排気動作は、画像形成装置1の印字動作中にわたって行われる(
図7参照)。
【0075】
このように、本実施形態では、空気流とともにハウジング80の内部に流入したトナーが、ファン83の上流側に配置された第1フィルター部81によって捕集される。更に、空気流の流れの経路上において、ファン83の上流側および下流側には、第2フィルター部82および排気フィルター851が配置される。このため、前記トナーが確実に回収され、トナー回収ユニット8の外部にトナーが排出されることが、一層抑止される。したがって、画像形成装置1の内部または外部において、飛散トナーによる汚染が好適に抑止される。
【0076】
トナー回収ユニット8の使用に伴って、空気流の流れの経路上の中で最も上流に配置される第1フィルター部81の第1フィルター811には、多くのトナーが捕集される。第1フィルター811が目詰まりを起こすと、空気流の流れが妨げられ、トナーの回収性能が低下してしまう。このため、本実施形態では、振動制御部93が振動モーター812を駆動させる。詳しくは、
図7を参照して、振動制御部93は、画像形成装置1の印字動作後に、振動モーター812を駆動させる。
【0077】
なお、振動モーター812の駆動中に、ファン83が正回転されると、振動モーター812の振動によって第1フィルター811の上面部に浮き上がったトナーがファン83によって吸気されてしまう。このため、ファン83の正回転動作と振動モーター812の駆動動作とが別のタイミングで実行されることによって、上記の不具合が抑止される。なお、他の実施形態において、振動モーター812が振動動作を実行する際に、上記の浮き上がったトナーがファン83によって吸気されない程度にファン83が低速で回転される態様でもよい。この際、第1フィルター811からトナーが舞い上がることを防止するためには、ファン83が発生する空気流の風量の変化が少ない状態において、前記振動動作が実行されることが好ましい。特に、前記風量の変化が10%以下である場合が望ましく、5%以下である場合は更に望ましい。換言すれば、ファン制御部92によってファン83の回転停止が制御された後、ファン83の惰性回転が完全に停止した後に、振動部81Aの振動動作が開始されることが望ましい。同様に、画像形成装置1の印字動作およびファン83の回転が開始されるよりも所定時間前に振動部81Aの振動動作が停止されることが望ましい。
【0078】
振動モーター812の駆動によって、フレーム810(
図5)を介して、第1フィルター811が振動する。この結果、第1フィルター811の特に下面に付着したトナーが、振動によって下方に落下する。このように、本実施形態によれば、フレーム810の振動によって、第1フィルター811に確実に振動を伝達することが可能となる。
【0079】
また、第1フィルター811は空気流が進入する進入面が下方に面するように配置されているため、前記落下したトナーが第1フィルター811に再付着することが抑止される。この結果、第1フィルター811の目詰まりが可及的に防止されるとともに、トナーを安定して回収することが可能となる。更に、前述のように、導入部802Tは、流入口800から流入した空気流を、下部ダクト803の側方部分から下部ダクト803に流入させる。そして、振動モーター812の振動によって第1フィルター811から落下したトナーは、底部80Tに貯留される(堆積する)。このため、底部80Tに貯留されたトナーが下部ダクト803への空気流の流れを妨げることが可及的に抑止される。
【0080】
なお、画像形成装置1におけるトナー回収ユニット8の配置について付言すると、
図1乃至
図4を参照して、ハウジング80のダクト下降部802とダクト上昇部80Uとは、ハウジング80の内部において水平方向において隣接して配置される。そして、流入口800から流入した空気流は、ダクト下降部802において一旦下降された後、ダクト上昇部80Uにおいて上昇される。したがって、前記空気流を確実に上昇気流とすることができる。また、ハウジング80の内部に、ダクト下降部802とダクト上昇部80Uが隣接して配置され、ハウジング80の省スペース化が実現される。
【0081】
更に、画像形成装置1の給紙部40は、現像装置324よりも下方に配置される。また、トナー回収ユニット8の流入口800は、鉛直方向において現像装置324と略同じ高さに配置される。また、トナー回収ユニット8のダクト下降部802およびダクト上昇部80Uは、水平方向において給紙部40に対向して配置される。このため、現像装置324の後方において、画像形成装置1の給紙部40の高さを利用して、流入口800から流入した空気流を確実に上昇気流とすることができる。
【0082】
次に、振動制御部93による振動部81Aの振動動作の制御について説明する。画像形成装置1において印刷動作が終了した後、振動制御部93が振動部81Aの振動動作を実行した場合、次の印刷動作が実行されるまでの待機時間が発生してしまう。このため、振動部81Aの振動動作は、所定の回数の印刷動作(印刷ジョブ)が繰り返された後に実行されることが好ましい。しかしながら、画像形成装置1の使用条件や環境条件によって、現像装置324内で発生する飛散トナーの発生量が変動しやすい。このため、常に同じ実行間隔で前記振動動作が実行されると、第1フィルター811の目詰まりが生じる場合や、回収ダクト7に流入した飛散トナーが回収ダクト7の排気風路を塞いでしまう場合がある。
【0083】
このような課題を解決するために、本実施形態では、振動制御部93が画像形成部30の内部または周辺の環境に関する第1条件、および前記シートに形成されるトナー画像の印字率に関する第2条件のうちの少なくとも一つの設定条件に応じて、振動部81Aの振動動作の動作条件を制御する。
【0084】
図8は、本実施形態において振動部81Aの振動動作が制御されるための設定条件を示すグラフである。
図8(A)は、環境センサー95によって検出される相対湿度が変化した場合に、振動制御部93が制御する振動部81Aの振動動作の実行間隔を示すグラフである。同様に、
図8(B)は、シートに印字されるトナー像の印字率が変化した場合に、振動制御部93が制御する振動部81Aの振動動作の実行間隔を示すグラフである。なお、印字率とは、シートにおいて画像形成が可能な領域全体の面積に対して、実際にトナー像が形成された印字面積の割合を意味する。
図8(A)、
図8(B)のグラフに対応するテーブル値が、予め記憶部94に格納されている。前記テーブル値(情報)は振動制御部93によって参照される。
【0085】
本実施形態では、振動部81Aの振動動作の実行間隔、すなわち、一の振動動作と前記一の振動動作の次に実行される他の振動動作との間の実行間隔として、シートの印字枚数500枚が標準的に設定されている(
図7のΔT2)。換言すれば、所定のタイミングで振動部81Aの振動動作が実行された後、500枚分の印字動作が実行されると、次の振動部81Aの振動動作が実行される。なお、本実施形態では、前述のように振動制御部93による振動部81Aの振動動作は、非印字動作時に実行される。したがって、前回の振動動作後の印字枚数が500枚に至った際に、画像形成装置1が印字動作中(ジョブ中)であった場合には、前記印字動作が終了した後(ジョブ後)に、振動動作が実行される。画像形成装置1において平均的な印字率が5%であり、画像形成部30の周囲の温湿度が常温(24度/55%)の場合、前記500枚分の実行間隔において振動動作が実行されることで、第1フィルター811の目詰まりが安定して防止される。
【0086】
一方、
図8(A)を参照して、環境センサー95によって検出された画像形成部30の周囲の湿度が60%を越えた場合、現像装置324の内部のトナーの帯電性が低下するため、現像装置324の内部で飛散トナーの量が増大しやすくなる。この場合、振動制御部93は、記憶部94に格納された
図8(A)に対応するテーブル値を参照する。そして、振動制御部93は、振動動作の標準的な実行間隔500枚に係数0.5を乗じ、実行間隔を250枚に設定する。したがって、多量の飛散トナーがトナー回収ユニット8の第1フィルター811によって捕集された場合であっても、振動部81Aによる第1フィルター811の振動動作の頻度が増すことによって、第1フィルター811の目詰まりが防止される。なお、振動制御部93は、前回の振動動作後の印字動作において、湿度60%以上での印字動作が全体の印字動作の2分の1を超えた場合に、実行間隔を250枚に設定してもよい。
【0087】
同様に、
図8(B)を参照して、シート上に形成されるトナー像の印字率が20%を越えた場合、トナー像におけるトナー消費に追従するために、トナー補給部34(
図1)から現像装置324に多量のトナーが補給される。この結果、現像装置324内でのトナーの入れ替わりが促進され、個々のトナーの帯電量が低下しやすくなる。この結果、現像装置324の内部で飛散トナーの量が増大しやすくなる。この場合、振動制御部93は、記憶部94に格納された
図8(B)に対応するテーブル値を参照する。そして、振動制御部93は、振動動作の標準的な実行間隔500枚に係数0.5を乗じ、実行間隔を250枚に設定する。なお、振動制御部93によって参照されるトナー像の印字率として、1枚のシート上に形成されるトナー像の印字率が参照されてもよいし、また、過去印字された複数枚(100枚など)の印字率の平均値が参照されてもよい。更に、参照されるトナー像の印字率は、複数色の現像装置324の各色分の印字率が累積して算出されてもよいし、単色分の印字率が参照されてもよい。
【0088】
また、
図8(A)において、画像形成部30の周辺の相対湿度が60%を越え、かつ、
図8(B)において、トナー画像の印字率が20%を越えた場合には、飛散トナーの発生が更に顕著となりやすい。この場合、振動制御部93は、振動部81Aの振動動作の実行間隔を500枚間隔から125枚間隔(500枚×0.5係数×0.5係数)に変更する。すなわち、第1の条件および第2の条件(複数の設定条件)が重畳的に参照され、振動部81Aの振動動作の動作条件(実行間隔)が制御される。換言すれば、振動制御部93は、トナーの帯電性が低下しやすく、飛散トナーが発生しやすい条件(第1条件、第2条件)に対応して、振動部81Aの振動動作の動作条件を制御する。特に、本実施形態では、現像装置324の内部から飛散トナーを直接回収するため、トナーの帯電性によって回収される飛散トナーの量が変動し易い。このような場合であっても、上記の制御によって、第1フィルター811の目詰まりが防止され、トナー回収ユニット8の回収性能が安定して維持される。この結果、画像形成装置1の機内外がトナーで汚れることが防止される。
【0089】
以上、本発明の実施形態に係る回収ダクト7(7A)、トナー回収ユニット8(8A)およびこれらを備える画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
【0090】
(1)上記の実施形態では、振動制御部93が振動部81Aの振動動作の動作条件を制御するための設定条件として、画像形成部30の内部または周辺の環境(温湿度)に関する第1条件、またはシートに形成されるトナー画像の印字率に関する第2条件を用いて説明した。本発明はこれに限定されるものではない。振動制御部93は、前記設定条件として、シートの印字枚数に関する第3条件、または前記トナー画像の画像濃度に関する第4条件に応じて、振動部81Aの振動動作の動作条件を制御しても良い。
図9(A)は、現像装置324に収容される現像剤の寿命を基準として、画像形成装置1の総印字枚数と振動部81Aの振動動作の実行間隔との関係を示すグラフである。同様に、
図9(B)は、トナー像の画像濃度が変化した場合に、振動制御部93が制御する振動部81Aの振動動作の実行間隔を示すグラフである。いずれも、先の実施形態と同様に、記憶部94に格納され、振動制御部93によって参照される。
【0091】
図9(A)を参照して、本変形実施形態では、現像装置324内に収容される現像剤の寿命が、画像形成装置1の総印字枚数換算で600K枚(600×1000枚)である。したがって、
図9(A)の横軸において、50%とは、画像形成装置1の総印字枚数が300K枚に達したことを意味する。画像形成装置1の総印字枚数が、
図9(A)の横軸において、0から徐々に増大され、300K枚に至ると、振動制御部93は振動動作の実行間隔を500枚間隔から250枚間隔(500枚×0.5係数)に変更する。この結果、現像剤の劣化に伴い、トナーの帯電性が低下し、飛散トナーが増すことがあっても、第1フィルター811の目詰まりが防止される。
【0092】
また、
図1および
図9(B)を参照して、前述の濃度センサー35Aは中間転写ベルト331上に形成されたトナー画像の濃度を検出する。トナーの帯電性が低下しすぎると、現像装置324から感光体ドラム321に過剰な量のトナーが現像ざれ、トナー画像の濃度が上昇する。そして、予め設定されたトナー画像の目標濃度を100%とした場合、濃度センサー35Aが検出するトナー画像の濃度が110%を上回ると、トナーの帯電性が低下したことがトナー濃度の変化として検出される。なお、本変形実施形態では、目標濃度100%とは、シート上に0.5mg/cm
2のトナー画像が形成された状態であり、画像濃度110%とは、シート上に0.6mg/cm
2のトナー画像が形成された状態である。濃度センサー35Aが検出するトナー画像の濃度が110%を上回ると、振動制御部93は振動動作の実行間隔を500枚間隔から250枚間隔(500枚×0.5係数)に変更する。従って、前記トナーの帯電性が低下し、飛散トナーが増しやすい場合であっても、第1フィルター811の目詰まりが防止される。
【0093】
(2)更に、振動制御部93は、上記の第1から第4条件からいずれか複数以上の条件を組み合わせた上で、振動部81Aの振動動作の動作条件を制御してもよい。一例として、
図8(A)において、画像形成部30の周辺の相対湿度が60%を越え、かつ、
図9(B)において、トナー画像の画像濃度が110%を上回った場合には、飛散トナーの発生がより顕著となりやすい。このため、振動制御部93は、振動部81Aの振動動作の実行間隔を500枚間隔から125枚間隔(500枚×0.5係数×0.5係数)に変更する。
【0094】
(3)また、上記の実施形態では、振動制御部93が、振動部81Aの振動動作の動作条件として、一の前記振動動作と前記一の振動動作の次に実行される他の前記振動動作との間の実行間隔を制御する態様にて説明した。本発明は、これに限定されるものではない。上記の第1条件から第4条件までの設定条件に応じて、振動制御部93が第1フィルター811の振動の大きさ、または前記振動動作の実行時間を制御する態様であってもよい。
【0095】
第1フィルター811の振動の大きさは、振動モーター812に印加される印加電圧または電流値が変化されることによって制御される。第1フィルター811の振動の大きさが大きく設定(増大)されることで、多量の飛散トナーがトナー回収ユニット8に回収される場合であっても、第1フィルター811から前記トナーがより脱離され、第1フィルター811の目詰まりが防止される。
【0096】
また、振動動作の実行時間は、
図7の時間ΔT1に相当する。各振動動作の実行時間が長く設定(増大)されることで、同様に、多量の飛散トナーがトナー回収ユニット8に回収される場合であっても、第1フィルター811から前記トナーが脱離され、第1フィルター811の目詰まりが防止される。
【0097】
このように、振動制御部93は、前記第1条件として画像形成部30の内部または周囲の温度または湿度が所定の閾値を超えた場合に、前記振動動作の実行間隔を短くする、または、振動部81Aによる第1フィルター811の振動の大きさまたは前記振動の実行時間を増大させてもよい。同様に、振動制御部93は、前記第2条件として前記トナー画像の印字率が所定の閾値を超えた場合に、前記振動動作の実行間隔を短くする、または、前記振動の大きさまたは前記振動の実行時間を増大させてもよい。更に、振動制御部93は、第3条件としてシートの印字枚数が所定の閾値を超えた場合に、前記振動動作の実行間隔を短くする、または、前記振動の大きさまたは前記振動の実行時間を増大させてもよい。また、振動制御部93は、第4条件としてトナー画像の画像濃度が所定の閾値を上回った場合に、前記振動動作の実行間隔を短くする、または、前記振動の大きさまたは前記振動の実行時間を増大させてもよい。
【0098】
(4)また、上記の実施形態では、振動部81Aの振動動作の実行間隔が、シートの印字枚数を基準に制御される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。振動制御部93は、前記振動動作の実行間隔を画像形成部30において消費されるトナー消費量を基準に制御してもよい。この場合、トナー補給部34(
図1)から現像装置324に補給されるトナー量によって、前記トナー消費量が算出されてもよく、また、前記シート上の印字率に応じて前記トナー消費量が算出されてもよい。一例として、
図8(A)において、画像形成部30の周辺の相対湿度が60%を越え、かつ、
図9(B)において、トナー画像の画像濃度が110%を上回った場合には、飛散トナーの発生が顕著となりやすい。このため、振動制御部93は、振動部81Aの振動動作の実行間隔をトナー消費量500g間隔から125g間隔(500g×0.5係数×0.5係数)に変更する。すなわち、少ないトナー消費量であっても、画像形成部30の周囲の環境や濃度低下に伴って、飛散トナーの発生が増える場合に対応して、振動動作の実行間隔が狭く設定される。
【0099】
(5)また、上記の実施形態では、第1フィルター811を振動させる振動部が振動モーター812を備える態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。振動部として、第1フィルター811またはフレーム810に当接するカム部材や、ソレノイドなどが配置される態様であってもよい。
【実施例】
【0100】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の実施形態につき更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0101】
<実験1>
表1に実験1の各実験条件および評価結果を示す。いずれの実験も、トナー像の印字率10%の画像を1日あたり15K枚印刷して行った。また、画像形成部30の周辺の印字環境は24度、相対湿度55%である。実施例1では、印字枚数500枚おきに非印字動作時において、振動部81Aの振動動作を15秒間実施した。
【0102】
【表1】
【0103】
表1に示すように、比較例1および比較例2と比較して、本発明の振動動作が適用された実施例1では、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することがなく、安定した印字動作が継続して実現された。
【0104】
<実験2>
表2に、実験2の各実験条件および評価結果を示す。本実験では、飛散トナーが発生しやすい条件としてトナー画像の印字率を変化させた上で、評価を行った。なお、表2において、回収量とは、底部80Tを含めハウジング80に回収されたトナー量を示す。
【0105】
【表2】
【0106】
先の実施例1と比較して、実施例2では印字率5%、また、実施例3および4、比較例3では、印字率25%で実験を行った。実施例2では、実施例1と同様に500枚間隔で実行される振動動作によって、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することがなく、安定した印字動作が継続して実現された。一方、比較例3では、印字率が25%に増大されたため、500枚の実行間隔で実行された振動動作では、420K枚において第1フィルター811の目詰まりが発生した。これに対して、実施例3では、印字率が25%の条件であっても、振動動作の間隔が250枚に設定されることによって、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。更に、実施例4では、振動動作の間隔が500枚のままであっても、各振動動作の実行時間が30秒に設定されることによって、同様に、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。加えて、実施例3および4では、高い印字率(25%)に対応して、ハウジング80内により多くのトナーが確実に回収されている(16g)。
【0107】
<実験3>
表3に、実験3の各実験条件および評価結果を示す。本実験では、飛散トナーが発生しやすい条件として画像形成部30の周囲の温湿度および前記印字率を変化させた上で、評価を行った。なお、表3においても、同様に、回収量とは底部80Tを含めハウジング80に回収されたトナー量を示す。
【0108】
【表3】
【0109】
比較例4では、温湿度の上昇により、500枚の実行間隔で実行された振動動作では、450K枚において第1フィルター811の目詰まりが発生した。これに対して、実施例5では、上記の温湿度の条件であっても、振動動作の間隔が250枚に設定されることによって、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。更に、実施例6では、振動動作の間隔が500枚のままであっても、各振動動作の実行時間が30秒に設定されることによって、同様に、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。加えて、実施例5および6では、高い温湿度環境(28度/75%)に対応して、ハウジング80内により多くのトナーが確実に回収されている(18.5g)。
【0110】
更に、実施例7では、高い温湿度環境(28度/75%)の下で、画像形成装置1における印字枚数の推移に応じて、振動動作の実行間隔を変化させた上で実験を行った。すなわち、印字枚数が300K枚までは実行間隔は500枚に設定され、印字枚数が300K枚以降では実行間隔は250枚に設定された。この場合であっても、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。なお、トナー回収ユニット8におけるトナー回収量の推移は、0〜150K枚までは3g、150K枚〜300K枚までは4g、300K枚〜450K枚までは5gであり、450K枚〜600K枚までは6.5gであった。このように、実行間隔が変化された場合であっても、安定してトナーの回収が実現された。更に、実施例8では、実施例1の環境条件を変化させ、低い温湿度環境(10度/20%)の下で実験を行った。このような温湿度環境においては、トナーの帯電性が低下しにくいため、実施例1と同様に、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。
【0111】
また、比較例5、実施例9〜12では、高い温湿度環境(28度/75%)に加え、印字率25%の下で実験を行った。すなわち、これらの条件は、飛散トナーが発生しやすい条件が重なったストレス条件に相当する。比較例5を参照して、標準的な実行間隔500枚の下で行った振動動作では、印字枚数340K枚において第1フィルター811の目詰まりが発生した。一方、実施例9では、250枚の実行間隔の下で行った振動動作において、600K枚には至らないが540K枚まで、第1フィルター811の目詰まりが抑止された。更に、実施例10では、高い温湿度環境および高い印字率に対応して、振動動作の実行間隔が500枚から125枚に変更されたことによって、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。また、実施例11では、振動動作の実行間隔250枚と実行時間30秒との組み合わせによって、同様に、600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。更に、実施例12では、前述の変形実施形態に対応して、第1フィルター811の振動の大きさ(振幅)を0.6mmから1.2mmに変更して実験を行った結果、実行時間7.5秒でも600K枚までトナーが画像形成装置1の機内に飛散することが抑止された。加えて、実施例9乃至12では、高い温湿度環境(28度/75%)および印字率(25%)に対応して、ハウジング80内に多くのトナーが確実に回収されている(18g)。このように、振動制御部93が、振動部81Aの振動動作の動作条件として、実行間隔、第1フィルター811の振動の大きさ、および振動動作の実行時間のうちの少なくとも一つを制御することで、トナー回収ユニット8のトナー回収性能が安定して維持される結果となった。