特許第6035214号(P6035214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6035214-ナースコールシステム 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035214
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】ナースコールシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   H04M9/00 H
   H04M9/00 F
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-156924(P2013-156924)
(22)【出願日】2013年7月29日
(65)【公開番号】特開2015-27048(P2015-27048A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2015年12月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
【審査官】 松平 英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−227789(JP,A)
【文献】 特開2007−36977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G9/00−15/12
99/00
H04M 1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、前記ナースコール子機からの呼出信号を中継すると共に呼出発生を病室出入口で通知動作する廊下灯と、患者からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、機器間の通信を制御する制御機と、看護師が携行して前記ナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末とを備えて、前記廊下灯と前記ナースコール親機と前記制御機との間がLAN接続されて成るナースコールシステムであって、
前記ナースコール子機から前記携帯端末に送信される呼出信号は前記制御機を介して送信される一方、前記ナースコール子機と前記携帯端末との間の通話信号はピアツーピアで実施され、
前記制御機は、通話中の前記携帯端末に対して新たな呼び出しが発生したら、前記携帯端末と通話路形成中の前記ナースコール子機に向けて通知信号を送信する呼出発生通知部を具備する一方、
前記ナースコール子機及び前記廊下灯のうち何れか一方に、前記通知信号を受けたら通知音を生成する通知音生成部、及び生成した通知音を通話音に割り込ませて通話先の前記携帯端末へ送信する通知音送信部が設けられ、
前記ナースコール子機と通話路形成中の前記携帯端末に新たなナースコール子機の呼び出しが発生したら、前記呼出発生通知部が通話路形成中の前記ナースコール子機に向けて通知信号を送信し、前記通知信号を受けた前記通知音送信部が前記通知音生成部により生成された通知音を通話音に割り込ませて通話先の前記携帯端末へ送信することを特徴とするナースコールシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナースコールシステムに関し、詳しくは看護師が呼び出しに応答するための携帯端末を携行し、各機器がLAN接続されて成るナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ナースコール子機が接続される廊下灯とナースコール親機との間をLAN回線を介して接続したナースコールシステムがある。このようなナースコールシステムでは、インターネットプロトコル(IP)が適用され、看護師が携行する携帯端末に呼び出しを通知できるシステムでは、交換機にIP交換機が使用される(例えば、特許文献1参照)。
そして、ナースコール子機からの呼び出しを受けて、ナースコール親機でも呼び出しを実施するのに加えて、担当看護師或いは担当する看護師チームに関連付けられている複数の携帯端末にも呼び出しが掛かり、何れかで応答することでスムーズな対応を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−200021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のLAN接続されたナースコールシステムでは、ナースコール子機からの呼び出しに携帯端末で応答した場合、ナースコール子機と携帯端末との通信はピアツーピア(Peer to Peer)で実施される。この場合、通話中に他のナースコール子機から新たな呼び出しが発生しても、割込信号を送信してそれを通知できなかったため、携帯端末で応答中の看護師は新たな呼び出しが発生していることを認識できない問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、ピアツーピアで呼び出しに応答する携帯端末を具備しても、通話中の携帯端末に対して新たな呼び出しが発生したら、それを通話中の携帯端末で認識できるナースコールシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、患者が看護師を呼び出すためにベッド毎に設置されたナースコール子機と、ナースコール子機からの呼出信号を中継すると共に呼出発生を病室出入口で通知動作する廊下灯と、患者からの呼び出しに応答するためのナースコール親機と、機器間の通信を制御する制御機と、看護師が携行してナースコール子機からの呼び出しに応答するための携帯端末とを備えて、廊下灯とナースコール親機と制御機との間がLAN接続されて成るナースコールシステムであって、ナースコール子機から携帯端末に送信される呼出信号は制御機を介して送信される一方、ナースコール子機と携帯端末との間の通話信号はピアツーピアで実施され、制御機は、通話中の携帯端末に対して新たな呼び出しが発生したら、携帯端末と通話路形成中のナースコール子機に向けて通知信号を送信する呼出発生通知部を具備する一方、ナースコール子機及び廊下灯のうち何れか一方に、通知信号を受けたら通知音を生成する通知音生成部、及び生成した通知音を通話音に割り込ませて通話先の携帯端末へ送信する通知音送信部が設けられ、ナースコール子機と通話路形成中の携帯端末に新たなナースコール子機の呼び出しが発生したら、呼出発生通知部が通話路形成中のナースコール子機に向けて通知信号を送信し、通知信号を受けた通知音送信部が通知音生成部により生成された通知音を通話音に割り込ませて通話先の携帯端末へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、呼出操作されたナースコール子機の呼出信号送信先の携帯端末が、他のナースコール子機とピアツーピアで通話中であっても、通話中のナースコール子機から通話先の携帯端末に対して通知音が送信される。よって、ピアツーピアで通話がなされても、通話中の看護師は新たな呼び出しが発生したことを認識でき、応答待ちの患者に対してスムーズな対応が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図である。
図2】プレート子機の回路ブロック図である。
図3】制御機の回路ブロック図えある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るナースコールシステムの一例を示す構成図であり、1はベッド毎に設置されて患者が看護師を呼び出すためのナースコール子機、2は病室毎にその出入口に設置されて呼出発生を通知する廊下灯、3はナースステーションに設置されてナースコール子機1からの呼び出しに応答するためのナースコール親機、4は機器間の通信を制御する制御機、5は看護師が携行する携帯端末、6は携帯端末5の通信を管理する交換機、7は携帯端末5と通信するために適宜箇所に設置された基地局である。
【0010】
廊下灯2、ナースコール親機3、制御機4、及び交換機6は互いにLAN接続され、ナースコール子機1は廊下灯2に伝送線L1を介して接続されている。尚、8はLAN、9は機器をLAN接続するためのHUBを示し、各機器間はインターネットプロトコルにより通信を実施し、交換機6はIP−PBXが使用される。
【0011】
ナースコール子機1は、患者が呼出操作する呼出握りボタン1aと、壁面に設置されて呼出握りボタン1aが接続されるプレート子機1bとを備えている。
図2はプレート子機1bの回路ブロック図を示し、プレート子機1bは呼出握りボタン1aを接続する握りボタン接続部11、通話するためのマイク12及びスピーカ13、通話回路14、後述する通知音を生成する通知音生成部15、呼出信号のリセット等を行う復旧ボタン16、プレート子機1bを制御する子機CPU17、廊下灯2と接続する子機IF18等を備えている。
【0012】
廊下灯2は、病室内の患者からナースコール子機1による呼び出しが発生したら発光して周囲に通知する発光通知部21、病室の患者情報を表示する患者情報表示部22、通知動作等をリセットする復旧ボタン23等を備えている。
【0013】
ナースコール親機3は、呼び出しに応答するためのハンドセット31と、入院患者一覧を表示した患者一覧表示部32とを備えたボード型親機3a、及び患者の詳細情報や設定情報を表示するためのディスプレイ33が接続された管理用パーソナルコンピュータ3bとを備えている。
【0014】
制御機4は、図3の回路ブロック図に示すように構成され、ナースコール子機1毎の呼出先携帯端末5を記憶する呼出先テーブル記憶部41、通話中の携帯端末5を記憶する話中端末記憶部42、呼出制御を行うと共に制御機4を制御する制御機CPU43、LAN8を介して廊下灯2及びナースコール親機3と通信する第1通信IF44、交換機6と通信する第2通信IF45等を備えている。
【0015】
上記の如く構成されたナースコールシステムの動作を以下説明する。但し、呼出動作を中心に説明する。
呼び出しの無い待受状態で何れかのナースコール子機(以下、「第1子機」と称する。)1の呼出握りボタン1aが呼出操作されると、第1子機1のプレート子機1bから呼出信号が廊下灯2に送出される。呼出信号を受信した廊下灯2は、子機ID及び廊下灯ID等を付与した呼出信号をHUB9を介して制御機4に送信する。
この呼出信号を受信した制御機4は、制御機CPU43の制御によりナースコール親機3及び携帯端末5に呼出信号を送信する。尚、携帯端末5の呼び出しは、第1子機1に関連付けられている携帯端末5を呼出先テーブル記憶部41から読み取り、その携帯端末5に対して呼出信号が送信される。
呼出信号は交換機6に送信され、交換機6から基地局7を介して携帯端末5に送信される。こうして、ナースコール親機3及び、携帯端末5で呼出音が報音される。
【0016】
呼出音により呼出発生を認識した看護師が携帯端末5を応答操作すると、応答信号が交換機6を介して制御機4に送信される。応答信号を受信した制御機4は、制御機CPU43の制御により、交換機6を介して携帯端末5と第1子機1との間がピアツーピアで接続されて通話が可能となる。このとき、制御機CPU43は通話中となった携帯端末5の情報を話中端末記憶部42に記憶する。
このように、呼出信号は制御機4を介して携帯端末5に送信されるが、応答操作後は制御機4を介さずLAN8を介して第1子機1と携帯端末5がピアツーピアで接続され通話が実施される。
【0017】
この状態において、通話中の携帯端末5が関連付けられている他のナースコール子機(以下、「第2子機」と称する。)1から呼び出しが発生すると、現在応答中の携帯端末5に対して以下の様な制御を実施す。
第2子機1から送信された呼出信号は、上記と同様の経路を介して制御機4で受信される。この呼出信号を受けた制御機CPU43は、呼出先テーブル記憶部41の情報から呼出信号を送信する携帯端末5を把握するが、同時にこの携帯端末5が第1子機1と通話中であることを話中端末記憶部42の情報から認識する。この結果、制御機CPU43は、第2子機1から呼び出しがあったことを通知するための通知信号を生成して第1子機1に送信する。
【0018】
尚、携帯端末5と第1子機1間はピアツーピアで接続されていることから、制御機4から応答中の携帯端末5に対して新たな呼び出しが発生したことを知らせる通知音を送信することはできない。
【0019】
通知信号を受信した第1子機1は、子機CPU17の制御により通知音生成部15が「ピピッ」等の通知音を作成し、子機CPU17が通話先の携帯端末5への送話音信号に通知音を割り込ませて送信する。この通知音は送話音声信号と共に、廊下灯2、HUB9、交換機6、基地局7を介して携帯端末5に送信され、第1子機1との通話中の携帯端末5において「ピピッ」等の通知音が流れる。これにより、看護師は第1子機1との通話中に新たな呼び出しが発生したことを認識することができる。
【0020】
このように、呼出操作されたナースコール子機1の呼出信号送信先の携帯端末5が、他のナースコール子機1とピアツーピアで通話中であっても、あたかも割込信号が送信されるように通話中のナースコール子機1から通話先の携帯端末5に対して通知音が送信される。よって、ピアツーピアで通話がなされても、通話中の看護師は新たな呼び出しが発生したことを認識でき、応答待ちの患者に対してスムーズな対応が可能となる。
【0021】
尚、上記実施形態では、ナースコール子機1に通知音生成部15を設けて、ナースコール子機1から通話先の携帯端末5に通知音を送信する構成となっているが、信号を中継する廊下灯2に通知音生成部15を設けて、廊下灯2から携帯端末5に対して通知音を送信しても良い。廊下灯2に設ければ、個々のナースコール子機1に設ける必要が無くなるため、回路を削減できる。
【符号の説明】
【0022】
1・・ナースコール子機、1a・・呼出握りボタン、1b・・プレート子機、2・・廊下灯、3・・ナースコール親機、4・・制御機、5・・携帯端末、6・・交換機、9・・HUB、15・・通知音生成部、17・・子機CPU(通知音送信部)、42・・話中端末記憶部、43・・制御機CPU(呼出発生通知部)。
図1
図2
図3