(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送部材の破壊トルクの最小値よりも小さい付勢力を有する付勢部材によって前記搬送部材を軸方向に沿った搬送方向へと付勢した状態で、駆動部の駆動力によって前記搬送部材を回転させて現像剤を前記搬送方向へと搬送する工程と、
前記搬送方向とは逆方向への前記搬送部材の移動を検知する検知部によって、前記付勢部材の付勢力に抗した前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知したときに、前記現像剤の搬送に異常があったことを検出する工程と、を備え、
前記現像剤の搬送に異常があったことを検出したときに、前記駆動部の駆動力を小さくし、その後、前記検知部が前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知していれば、前記駆動部を停止することを特徴とする現像剤搬送異常検出方法。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、感光体ドラムに形成された静電潜像を、現像器がトナー(現像剤)で現像することにより、感光体ドラム上にトナー像を形成する。現像器は、トナーを収容するトナーコンテナに接続されていて、現像器内のトナー量が不十分であれば、トナーコンテナからトナーを補給している。また、トナーコンテナと現像器との間には、現像器へと供給されるトナー量を調整するためにトナー搬送部を備えることがある。トナーをトナーコンテナから現像器まで供給するためには、トナー搬送部やトナーコンテナ、現像器に、搬送スクリュー等からなるトナー搬送機構(現像剤搬送機構)を備える必要がある。
【0003】
トナー搬送機構では、長時間の不使用等が原因でトナー詰まりやトナーの固着等の異常が発生することがある。このような異常が発生したトナー搬送機構では、搬送し難いトナーによって搬送スクリューに負荷が掛かるため、この負荷が搬送スクリューの破壊トルクを超えると、搬送スクリューやその支持部品が破壊され、即ちトナー搬送機構が破壊されるおそれがある。また、トナー搬送機構が破壊されると、破壊された部品やトナーが飛び散って、画像形成装置内を汚したり、他の部品の故障を併発させたりするおそれがある。そのため、トナー搬送機構は、トナー詰まりやトナーの固着等の異常が原因となる破壊を回避するように構成される必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1に記載の廃トナー回収容器では、クリーニング装置により回収された廃トナーがクリーニング装置から投入されて滞留される回収容器本体と、回収容器本体内に設けられ、回収容器本体内に投入された廃トナーを水平方向に搬送し、回収容器本体内の長手方向に沿って搬送させる搬送手段と、搬送手段(搬送スクリュー)の破損を検知する異常検知手段とを備えている。
【0005】
また、特許文献2に記載の画像形成装置では、駆動源と、駆動源からの駆動力によって駆動される被駆動部材と、駆動源から被駆動部材へ伝達される駆動力を制限する駆動力制限手段とを、備えている。そして、駆動力が回転トルクであり、被駆動部材が回転されるものである場合に、駆動力制限手段としてトルクリミッタを用いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のように搬送スクリューの破損を検知する異常検知手段をトナー搬送機構に備えた構成では、搬送スクリューの破壊、即ちトナー搬送機構の破壊を防止することができない。そのため、破壊された搬送スクリュー及び支持部品の交換や、トナー搬送機構の破壊により飛び散った部品及びトナーの清掃をする必要があり、コストの上昇や作業負担の増加が懸念される。
【0008】
また、回転トルクを制限するトルクリミッタをトナー搬送機構に備えた構成では、トルクリミッタが高価であるためにコストが上昇する懸念がある。このトルクリミッタを備えていても、駆動源における駆動トルクの増大を回避することができないので、駆動源やその制御回路が故障する可能性が高まる。
【0009】
更に、トナー搬送機構でトナー詰まりやトナー固着が発生して搬送スクリューの回転が妨げられると、搬送スクリューを駆動するモーターがロックし、これによりモーターやその制御回路に過電流が流れて故障する懸念がある。
【0010】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、現像剤搬送において、コストを上昇させずに、トナー詰まり等の異常を検出して搬送部材の破壊を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の現像剤搬送機構は、現像剤を軸方向に沿った搬送方向へと搬送する回転可能な搬送部材と、前記搬送部材の回転を駆動する駆動部と、前記搬送部材の破壊トルクの最小値よりも小さい付勢力を有し、前記搬送部材を前記搬送方向へと付勢する付勢部材と、前記搬送方向とは逆方向への前記搬送部材の移動を検知する検知部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
このような構成を採用することで、現像剤搬送機構でトナー詰まり等の異常が発生した場合でも、駆動部の駆動力によって搬送部材に掛かる負荷が破壊トルクに達する前に、搬送部材が軸方向における他方向に移動して検知部に検知されるので、現像剤の搬送異常を検出することができる。また、現像剤搬送機構は、付勢部材や検知部等の低コストの部品によって現像剤搬送の異常検出を実現することができる。即ち、本発明の現像剤搬送機構は、現像剤搬送において、コストを上昇させずに、トナー詰まり等の異常を検出して搬送部材の破壊を防止することが可能となる。
【0013】
また、現像剤搬送機構では、前記検知部が前記付勢部材の付勢力に抗した前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知したときに、前記駆動部を停止するとよい。
【0014】
このような構成を採用することで、搬送部材が逆方向に移動したときに、駆動部が停止する。そのため、現像剤搬送に異常があった場合には、搬送部材を破壊することなく、即ち現像剤搬送機構を破壊することなく、現像剤搬送を停止することができ、搬送部材の破壊を確実に防止する。
【0015】
あるいは、現像剤搬送機構では、前記検知部が前記付勢部材の付勢力に抗した前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知したときに、前記駆動部の駆動力を小さくし、その後、前記検知部が前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知していれば、前記駆動部を停止するとよい。
【0016】
このような構成を採用することで、駆動部の駆動力を小さくすることで搬送部材が再び回転すれば、付勢部材の付勢力によって搬送部材が搬送方向に移動して正常な動作に移行するため、一時的なトナー詰まり等による不必要な駆動部の停止を回避することが可能となる。
【0017】
上記の現像剤搬送機構は、トナー詰まり等の異常が発生しても、搬送部材やその支持部品などの現像剤搬送機構の部品を破壊しないので、現像剤搬送機構の部品や現像剤が飛び散ることはなく、現像剤の搬送路を清掃すれば再利用可能となる。また、トナー詰まり等の異常が発生したとき、駆動部が停止されるため、駆動部やその制御回路に過電流が流れて故障することを防止することができる。
【0018】
また、現像剤搬送機構では、前記駆動部は、駆動力を前記搬送部材へと伝達する駆動ギアを備え、前記搬送部材は、前記軸方向において前記駆動ギアよりも長い形状を有するシャフトギアを前記搬送方向側の端部に備え、該シャフトギアは、前記搬送部材の周方向に複数の歯を設けて形成され、前記駆動ギアに対して前記軸方向に摺動可能に噛合されるとよい。
【0019】
このような構成を採用することで、シャフトギアが駆動ギアから外れることなく、搬送部材を搬送方向とは逆方向に摺動させることができる。
【0020】
また、現像剤搬送機構では、前記検知部は、前記搬送部材の前記逆方向側の周囲で対向配置された発光部と受光部とを備え、前記搬送部材は、前記搬送部材からその径方向に離間した位置で前記発光部と前記受光部との間の光路断面積よりも広い面積を有する被検知部を前記逆方向側の端部に備え、前記被検知部は、前記搬送部材が前記付勢部材の付勢力に抗して前記逆方向に移動するとき、前記搬送部材に従って前記逆方向に移動して前記発光部と前記受光部との間に進入するとよい。
【0021】
このような構成を採用することで、検知部を、発光部及び受光部で構成される光学センサーを用いて構成することができるため、簡易で安価な構成で現像剤搬送の異常検出を実現することができる。
【0022】
また、現像剤搬送機構では、前記検知部は、前記搬送部材からその径方向に離間した位置で、且つ前記搬送部材よりも前記逆方向側に配置され、前記搬送方向側からの接触を検知するように構成され、前記搬送部材は、前記搬送部材から前記径方向に離間した位置で前記検知部と対向する被検知部を前記逆方向側の端部に備え、前記被検知部は、前記搬送部材が前記付勢部材の付勢力に抗して前記逆方向に移動するとき、前記搬送部材に従って前記逆方向に移動して前記検知部に接触するとよい。
【0023】
このような構成を採用することで、現像剤搬送機構を、様々な接触式検知部を用いて構成することができるため、現像剤搬送機構が適用される機器毎に合わせた適切な構成で現像剤搬送の異常検出を実現することができる。
【0024】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの現像剤搬送機構を現像剤容器に備えていることを特徴とする。
【0025】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの現像剤搬送機構を現像器に備えていることを特徴とする。
【0026】
本発明の画像形成装置は、上記したいずれかの現像剤搬送機構を、現像剤容器から現像器へと前記現像剤を搬送する現像剤搬送部に備えていることを特徴とする。
【0027】
本発明の現像剤搬送異常検出方法は、搬送部材の破壊トルクの最小値よりも小さい付勢力を有する付勢部材によって前記搬送部材を軸方向に沿った搬送方向へと付勢した状態で、駆動部の駆動力によって前記搬送部材を回転させて現像剤を前記搬送方向へと搬送する工程と、前記搬送方向とは逆方向への前記搬送部材の移動を検知する検知部によって、前記付勢部材の付勢力に抗した前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知したときに、前記現像剤の搬送に異常があったことを検出する工程と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、現像剤搬送異常検出方法では、前記現像剤の搬送に異常があったことを検出したときに、前記駆動部を停止するとよい。
【0029】
あるいは、現像剤搬送異常検出方法では、前記現像剤の搬送に異常があったことを検出したときに、前記駆動部の駆動力を小さくし、その後、前記検知部が前記搬送部材の前記逆方向への移動を検知していれば、前記駆動部を停止するとよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、現像剤搬送において、コストを上昇させずに、トナー詰まり等の異常を検出して搬送部材の破壊を防止することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
まず、
図1を用いて、画像形成装置としてのプリンター1の全体の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプリンターの概略を示す模式図である。以下、
図1における紙面左側を、プリンター1の正面側(前側)とし、各図の矢印Frは、プリンター1の正面側を示している。
【0033】
図1に示されるように、プリンター1は、箱型形状のプリンター本体2を備え、プリンター本体2の下部には用紙(図示せず)を収納する給紙カセット3が収容され、プリンター本体2の上面には排紙トレイ4が設けられる。
【0034】
プリンター本体2の前部には、レーザー・スキャニング・ユニット(LSU)で構成される露光器5が配置され、プリンター本体2の後部には、画像形成部6が設けられている。画像形成部6には、像担持体である感光体ドラム7が回転可能に設けられ、感光体ドラム7の周囲には、帯電器8と、トナーコンテナ(現像剤容器)9にトナー搬送部(現像剤搬送部)10を介して接続された現像器11と、転写ローラー12と、クリーニング装置13とが、感光体ドラム7の回転方向(
図1の矢印X参照)に沿って配置されている。トナーコンテナ9には、現像剤(トナーのみから成る一成分現像剤又はトナーとキャリアから成る二成分現像剤。以下、単に「トナー」という)が収容されている。本実施形態では、本発明の現像剤搬送機構をトナー搬送部に備えている。
【0035】
プリンター本体2の後部には、下方から上方に向かって用紙の搬送経路14が設けられる。搬送経路14において、上流端には給紙部15が設けられ、中流部には感光体ドラム7と転写ローラー12とで構成される転写部16が設けられ、下流部には定着部17が設けられる。また、搬送経路14の後方には、両面印刷用の反転経路18が設けられる。
【0036】
次に、このような構成を備えたプリンター1の画像形成動作について説明する。
【0037】
プリンター1に電源が投入されると、各種パラメーターが初期化され、定着部17の温度設定等の初期設定が実行される。そして、プリンター1に接続されたコンピューター等から画像データが入力され、印刷開始の指示がなされると、以下のようにして画像形成動作が実行される。
【0038】
まず、帯電器8によって感光体ドラム7の表面が帯電された後、露光器5からのレーザー光(
図1の矢印P参照)により感光体ドラム7に対して画像データに対応した露光が行われ、感光体ドラム7の表面に静電潜像が形成される。次に、トナーコンテナ9からトナー搬送部10を介して現像器11へと供給されるトナーによって、現像器11が感光体ドラム7における静電潜像をトナー像に現像する。
【0039】
一方、給紙部15によって給紙カセット3から取り出された用紙は、上記した画像形成動作とタイミングを合わせて転写部16へと搬送され、転写部16において感光体ドラム7上のトナー像が用紙に転写される。トナー像を転写された用紙は、搬送経路14を下流側へと搬送されて定着部17に進入し、この定着部17において用紙にトナー像が定着される。トナー像が定着された用紙は、搬送経路14の下流端から排紙トレイ4に排出される。なお、感光体ドラム7上に残留したトナーは、クリーニング装置13によって回収される。
【0040】
次に、
図2を用いて、トナーコンテナ9について説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおけるトナーコンテナの断面図である。
【0041】
トナーコンテナ9は、例えば、プリンター本体2に対して着脱可能に設けられる。
図2に示されるように、トナーコンテナ9は、容器本体20と、容器本体20の上面を覆う蓋体21とを備えている。
【0042】
容器本体20は、左右方向に長い形状を有し、上面が開口された略箱型形状で形成される。容器本体20の上端外周には、本体側フランジ部22が設けられ、本体側フランジ部22が蓋体21に設けられた蓋体側フランジ部23と結合されることにより、容器本体20の上面の開口部が閉塞される。容器本体20の下面後部には、トナー排出部24が開口されていて、トナー排出部24を介して容器本体20内部がトナー搬送部10と連通する。
【0043】
容器本体20の内部には、左右方向に長い形状を有する攪拌パドル等の攪拌部材25が回転可能に設けられる。また、容器本体20の内部には、攪拌部材25の後方に、搬送スクリュー等の搬送部材26がトナー排出部24の近傍で回転可能に設けられる。
【0044】
次に、
図3を用いて、現像器11について詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおける現像器の断面図である。
【0045】
図3に示されるように、現像器11は、略箱型形状の現像器本体27を備え、現像器本体27の後上部には、開口部28が設けられる。現像器11は、開口部28が感光体ドラム7に対向するように配置される(
図1参照)。現像器本体27の上面前部には、トナー導入口29が開口されていて、トナー導入口29を介して現像器本体27の内部がトナー搬送部10と連通する。
【0046】
また、現像器11は、現像器本体27の内部に、隔壁30と、一対の攪拌部材31、32と、現像ローラー33と、トナーセンサー34とを備える。隔壁30は、現像器本体27の底部の略中央で前後を仕切るように左右方向に長い形状を有して形成される。攪拌部材31、32は、例えば、左右方向に長い形状を有する撹拌スクリューであり、現像器本体27の底部においてそれぞれ隔壁30の前後に回転可能に配置される。現像ローラー33は、左右方向に長い形状を有していて、後側の攪拌部材32の後上方で感光体ドラム7と対向するように回転可能に配置される。そして、トナーコンテナ9(
図1参照)から導入したトナーが攪拌部材31、32によって攪拌された後、現像ローラー33によって感光体ドラム7に供給されるようになっている。トナーセンサー34は、現像器本体27の内壁面に設けられ、現像器本体27内に十分なトナー量があるか否かを検知する。
【0047】
次に、
図4〜
図6を用いて、トナー搬送部10の現像剤搬送機構について詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、搬送部材が正常な位置にあるトナー搬送部の断面図である。
図5は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおけるトナー搬送部の内部の斜視図である。
図6は、本発明の一実施形態に係るプリンターにおいて、搬送部材が前方に移動したトナー搬送部の断面図である。
【0048】
図4及び
図6に示されるように、トナー搬送部10は、前後方向に長い形状を有する箱型形状の筐体35と、後述する搬送部材40を駆動するための駆動部36とを備えている。
【0049】
筐体35では、上面前部にトナー導入口37が開口され、下面後部にトナー排出口38が開口されている。筐体35のトナー導入口37及びトナー排出口38は、それぞれトナーコンテナ9のトナー排出口24及び現像器11のトナー導入口29に連結される。また、筐体35の後端面には、後述の搬送シャフト43を挿通するための挿通口39が設けられている。挿通口39や筐体35の前部には、搬送シャフト43を軸支するベアリング(図示せず)が設けられ、ベアリングは、搬送シャフト43が周方向(
図4、
図6の矢印Y参照)に回転でき、且つ軸方向に移動できるように構成される。
【0050】
筐体35の内部には、搬送部材40と、付勢部材41と、検知部42とが備えられる。
【0051】
搬送部材40は、前後方向(軸方向)に長い形状を有する搬送スクリュー等であり、トナー搬送部10内で回転可能に取り付けられ、その軸方向に沿って後方を搬送方向としてトナーを搬送するように構成される。搬送部材40は、軸方向に長い形状の搬送シャフト43と、該搬送シャフト43に周設される搬送フィン44とを備える。搬送部材40は、搬送シャフト43の後部が挿通口39を介して筐体35の外部に突出するように筐体35に取り付けられる。搬送フィン44は、筐体35のトナー導入口37からトナー排出口38に亘って配置され、トナー導入口37から導入したトナーをトナー排出口38へと搬送できるような向きの螺旋形状を有する。
【0052】
また、搬送部材40では、搬送シャフト43の前端に被検知部45が設けられ、後端にシャフトギア46が設けられる。
【0053】
被検知部45は、搬送部材40からその径方向に離間した位置で、検知部42の後述する発光部47と受光部48との光路断面積よりも広い面積を有するように構成され、例えば、搬送シャフト43より大きな直径の円柱状に形成される(
図5参照)。なお、被検知部45の前端部には、付勢部材41の後端部が取り付けられる。
【0054】
シャフトギア46は、軸方向において後述する駆動ギア49よりも長い形状を有すると共に、搬送部材40の周方向に複数の歯を設けて形成され、駆動ギア49に対して軸方向に摺動可能に噛合される。
【0055】
付勢部材41は、搬送部材40の破壊トルクの最小値よりも小さい付勢力を有する巻きばね等で構成される。付勢部材41は、前端部が筐体35の前側の内壁面に取り付けられると共に、後端部が搬送部材40の前端部に取り付けられていて、搬送部材40を後方(搬送方向、
図4の矢印Z参照)へと付勢する。
【0056】
検知部42は、搬送部材40の前方(搬送方向と逆方向)への移動を検知するもので、例えば、検知光を照射する発光部47と、検知光を受光する受光部48とからなる光学センサーで構成され、発光部47及び受光部8は、搬送部材40の前方の周囲で対向配置される。
【0057】
また、トナー搬送部10の駆動部36は、所定の駆動力を搬送部材40へと供給するモーター等で構成され、駆動力を搬送部材40へと伝達する駆動ギア49を備える。駆動ギア49は、例えば、軸方向において搬送部材40のシャフトギア46よりも短い形状で形成される。
【0058】
次に、このような構成を備えたプリンター1のトナー搬送部10における動作について
図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0059】
プリンター1では、画像形成処理中又はその準備処理中において、現像器11のトナーセンサー34によって、現像器本体27内のトナー量が十分であるか否かが判定される(ステップS1)。
【0060】
現像器本体27内のトナー量が十分である場合には(ステップS1:YES)、画像形成処理又はその準備処理がそのまま継続され、現像器11ではトナーセンサー34によるトナー量の検知が繰り返される(ステップS1)。
【0061】
他方、現像器本体27内のトナー量が不十分である場合には(ステップS1:NO)、例えば、プリンター1を制御するCPU等の制御部(図示せず)によって、トナー搬送部10の駆動部36を作動させる(ステップS2)。そして、駆動部36の駆動力が駆動ギア49を介して搬送部材40のシャフトギア46に伝達して、シャフトギア46及びこれに接続された搬送シャフト43を回転させ、即ち、搬送部材40を回転させる。
【0062】
搬送部材40が回転すると、トナーコンテナ9からトナー搬送部10の筐体35内に導入されたトナーが、搬送シャフト43に周設された搬送フィン44によって後方へと搬送される。
【0063】
このとき、トナー搬送部10では、検知部42によって搬送部材40が前方に移動したか否かを検知している(ステップS3)。そして、筐体35内でトナー詰まり等の異常が発生していない場合には、
図4に示すように、搬送部材40が前方に移動することはなく、検知部42は被検知部45を検知しない(ステップS3:NO)。従って、検知部42がトナー搬送部10における現像剤搬送に異常がないことを検出するため、トナー搬送部10は、現像器11に十分な量のトナーを補給することができ、その後、プリンター1は、画像形成処理等を継続する(ステップS4)。
【0064】
他方、トナー搬送部10の筐体35内でトナー詰まり等の異常が発生すると、搬送部材40の搬送フィン44の後方面が、詰まっているトナーからの負荷を受けるため、搬送シャフト43に前方への推進力が発生する。そのため、搬送部材40は付勢部材41の付勢力に抗して前方へと移動する。なお、搬送部材40のシャフトギア46は、駆動部36の駆動ギア49よりも軸方向に十分な長さを有しているので、相互の噛合が外れることなく、駆動ギア49上を前方に摺動する。
【0065】
このように、搬送部材40が前方に移動すると、被検知部45が検知部42の発光部47と受光部48との間に進入して発光部47から受光部48に照射される検知光を遮断する。これにより、検知部42は、被検知部45を検知して搬送部材40の前方への移動を検知する(ステップS3:YES)。従って、検知部42は、トナー搬送部10における現像剤搬送に異常があったことを検出する。
【0066】
検知部42が搬送部材40の前方への移動を検知すると、例えば、制御部(図示せず)によって、トナー搬送部10の駆動部36を停止させると共に(ステップS5)、プリンター1のディスプレイ(図示せず)にトナー詰まり等のエラーを表示する(ステップS6)。
【0067】
本実施形態によれば、上述のように、トナー搬送部10の現像剤搬送機構は、トナーを軸方向に沿って後方を搬送方向として搬送する回転可能な搬送部材40と、搬送部材40の回転を駆動する駆動部36とを備える。また、この現像剤搬送機構は、搬送部材40の破壊トルクの最小値よりも小さい付勢力を有し、搬送部材40を後方へと付勢する付勢部材41と、搬送方向とは逆方向の前方への搬送部材40の移動を検知する検知部42と、を備える。そして、検知部42が、付勢部材41の付勢力に抗した搬送部材40の前方への移動を検知したときに、駆動部36を停止する。
【0068】
これにより、トナー搬送部10の筐体35内でトナー詰まり等の異常が発生した場合でも、駆動部36の駆動力によって搬送部材40に掛かる負荷が破壊トルクに達する前に、搬送部材40が前方に移動して検知部42に検知され、駆動部36が停止する。そのため、現像剤搬送に異常があった場合には、搬送部材40を破壊することなく、即ち現像剤搬送機構を破壊することなく、現像剤搬送を停止することができる。また、上記の現像剤搬送機構は、付勢部材41や検知部42等の低コストの部品によって現像剤搬送の異常検出を実現することができる。即ち、本発明の現像剤搬送機構は、現像剤搬送において、コストを上昇させずに、トナー詰まり等の異常を検出して搬送部材40の破壊を防止することが可能となる。
【0069】
また、上記したように、トナー搬送部10は、トナー詰まり等の異常が発生しても、搬送部材40やその支持部品などの現像剤搬送機構の部品を破壊しないので、現像剤搬送機構の部品やトナーがプリンター1内で飛び散ることはなく、筐体35の内部、即ち現像剤の搬送路を清掃すればトナー搬送部10が再利用可能となる。
【0070】
更に、トナー搬送部10は、トナー詰まり等の異常が発生したとき、駆動部36が停止されるため、駆動部36やその制御回路(図示せず)に過電流が流れて故障することを防止することができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、トナー搬送部10の現像剤搬送機構では、駆動部36は、駆動力を搬送部材40へと伝達する駆動ギア49を備え、搬送部材40は、後端にシャフトギア46を備える。そして、シャフトギア46は、軸方向において駆動ギア49よりも長い形状を有すると共に、搬送部材40の周方向に複数の歯を設けて形成され、駆動ギア49に対して軸方向に摺動可能に噛合される。これにより、シャフトギア46が駆動ギア49から外れることなく、搬送部材40を前方に摺動させることができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、トナー搬送部10の現像剤搬送機構では、検知部42は、搬送部材40の前方の周囲で対向配置された発光部47と受光部48とを備え、搬送部材40は、搬送部材40からその径方向に離間した位置で発光部47と受光部8との間の光路断面積よりも広い面積を有する被検知部45を前端に備える。そして、被検知部45は、搬送部材40が付勢部材41の付勢力に抗して前方に移動するとき、搬送部材40に従って前方に移動して発光部47と受光部8との間に進入する。これにより、現像剤搬送機構の検知部42を、発光部47及び受光部48で構成される光学センサーを用いて構成することができるため、簡易で安価な構成で現像剤搬送の異常検出を実現することができる。
【0073】
本実施形態では、発光部47及び受光部48からなる検知部42の構成について説明したが、検知部42は、搬送部材40が付勢部材41の付勢力に抗して前方へ移動したことを検知できる構成であれば、これに限定されない。例えば、他の実施形態では、検知部は、後方からの接触を検知する、プッシュスイッチや接触式センサー等の接触式検知部50で構成されてもよい。接触式検知部50は、
図8に示されるように、搬送部材40からその径方向に離間した位置で、且つ搬送部材40よりも前方に配置され、例えば、トナー搬送部10の筐体35の前方の内壁面に取り付けられる。
【0074】
この接触式検知部50を適用する場合、搬送部材40側の被検知部45は、搬送部材40の前端に取り付けられ、搬送部材40から径方向に離間した位置で接触式検知部50と対向するように構成される。被検知部45は、搬送部材40が付勢部材41の付勢力に抗して前方に移動するとき、搬送部材40に従って前方に移動して接触式検知部50に接触する。
【0075】
これにより、現像剤搬送機構を、様々な接触式検知部50を用いて構成することができるため、現像剤搬送機構が適用される機器毎に合わせた適切な構成で現像剤搬送の異常検出を実現することができる。
【0076】
本実施形態では、検知部42が搬送部材40の前方への移動を検知したときに、駆動部36を停止する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、他の実施形態では、検知部42が搬送部材40の前方への移動を検知したときに、駆動部36の駆動力を小さくし、例えば徐々に小さくしていき、その後、所定時間経過後に、検知部42が搬送部材40の前方への移動を検知していれば、駆動部36を停止するように構成されてもよい。また、駆動部36の駆動力を小さくした後、所定時間経過後に、検知部42が搬送部材40の前方への移動を検知していなければ、駆動部36の駆動力を戻すように構成されてもよい。これにより、駆動部36の駆動力を小さくすることで搬送部材40が再び回転すれば、付勢部材41の付勢力によって搬送部材40が後方に移動して正常な動作に移行するため、一時的なトナー詰まり等による不必要な駆動部36の停止を回避することが可能となる。
【0077】
本実施形態では、現像剤搬送機構をトナーコンテナ9から現像器11へとトナーを搬送するトナー搬送部10に備える構成について説明したが、これに限定されない。例えば、他の実施形態では、トナーコンテナ9に備わる搬送部材26や、現像器11に備わる搬送部材(図示せず)による現像剤搬送の異常検出を実現するために本発明の現像剤搬送機構を適用することが可能である。また、他の実施形態では、プリンター1に備わるトナー回収装置(図示せず)やその他の現像剤を搬送する装置において現像剤搬送の異常検出を実現するために本発明の現像剤搬送機構を適用することが可能である。
【0078】
本実施形態では、プリンター1に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、複写機、ファクシミリ、複合機等の画像形成装置に本発明の構成を適用してもよい。