(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035243
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】大量輸送機関トンネルを有する流体力学的配列
(51)【国際特許分類】
E02B 9/08 20060101AFI20161121BHJP
F03B 7/00 20060101ALI20161121BHJP
E01D 19/02 20060101ALI20161121BHJP
F03B 13/26 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
E02B9/08
F03B7/00
E01D19/02
F03B13/26
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-535222(P2013-535222)
(86)(22)【出願日】2011年10月26日
(65)【公表番号】特表2014-502320(P2014-502320A)
(43)【公表日】2014年1月30日
(86)【国際出願番号】CA2011050670
(87)【国際公開番号】WO2012055042
(87)【国際公開日】20120503
【審査請求日】2014年10月24日
(31)【優先権主張番号】61/406,923
(32)【優先日】2010年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512053015
【氏名又は名称】ブルー エナジー カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーガー, マーチン
【審査官】
神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−502383(JP,A)
【文献】
特開平07−166513(JP,A)
【文献】
特表2010−501749(JP,A)
【文献】
特開2005−214142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 9/08
E01D 19/02
F03B 7/00
F03B 13/26
E01D 1/00−18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体力学的に電気を産生するためのシステムであって、
該システムは、
大量輸送機関トンネルを含む高架橋と、
ネスト化された機械チャンバを含む流体力学的配列であって、該流体力学的配列は、底板ブロックおよび潮汐変調器を含み、該潮汐変調器は、該高架橋を支持するように構成され、さらに、海洋潮流または河川流の動き、および該流体力学的配列に作用する力から電気を生成するように構成され、該潮汐変調器は、該ネスト化された機械チャンバから該底板ブロックまで突出するトルクドライブシャフトに結合して該海洋潮流または河川流を変調するように構成される、流体力学的配列と
を備える、システム。
【請求項2】
前記高架橋は、複数の対の車道スパンから形成され、各車道スパンは、ガードレール、擁壁、クレーンレール、設備レールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記流体力学的配列は、複数の流体力学的要素から形成され、第1の流体力学的要素は、第1の4本組の柱を含み、第1の対の車道スパンは、該第1の対の車道スパンの第1の側から該第1の対の車道スパンの第2の側まで該第1の4本組の柱によって支持されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の4本組の柱のうちの2本の柱は、2本の付加的柱とともに、第2の4本組の柱を形成し、第2の対の車道スパンは、該第2の対の車道スパンの第1の側から該第2の対の車道スパンの第2の側まで該第2の4本組の柱により支持されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体力学的要素は、前記ネスト化された機械チャンバを含み、該ネスト化された機械チャンバの上部は、中央スパンを画定する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記底板ブロックは、前記第1の4本組の柱の脚を収容するための4つの溝を有する、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記大量輸送機関トンネルは、車道トンネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記大量輸送機関トンネルは、鉄道トンネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記大量輸送機関トンネルは、トラックトンネルを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記潮汐変調器は、1対の蝶形弁および1つの中心弁を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国仮特許出願第61/406923号(2010年10月26日出願)の利益を主張し、この出願は、参照することによって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
大量輸送機関は、公衆による使用に対して利用可能である共用旅客輸送サービスである。大量輸送機関は、バス、トロリー、列車、および船を含む。高速鉄道ネットワーク等の現代の都市間公共交通機関が開発されつつある。潮汐エネルギー等の再生可能エネルギーの出現は、海や川から電力を得るための大規模なインフラストラクチャを必要とする。そのような大規模なインフラストラクチャは、大量輸送機関を支持するように企図されることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の開示は、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明される簡略化された形態の概念の選択を紹介するために提供される。本発明の開示は、請求される主題の重要な特徴を識別することを意図しておらず、そしてまた、請求される主題の範囲を決定する補助として使用されることも意図していない。
【0004】
本主題の一側面は、流体力学的に電気を産生するためのシステムを含む。システムは、大量輸送機関トンネルを含む高架橋を備える。システムは、高架橋を支持するように構成され、海洋潮流または河川流の動き、および流体力学的配列に作用する力から、電気を生成するようにさらに構成される潮汐変調器を含む流体力学的配列を備える。潮汐変調器は、海洋潮流または河川流を変調するように構成される。
本明細書は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
流体力学的に電気を産生するためのシステムであって、
該システムは、
大量輸送機関トンネルを含む高架橋と、
潮汐変調器を含む流体力学的配列であって、該潮汐変調器は、該高架橋を支持するように構成され、さらに、海洋潮流または河川流の動き、および該流体力学的配列に作用する力から電気を生成するように構成され、該潮汐変調器は、該海洋潮流または河川流を変調するように構成される、流体力学的配列と
を備える、システム。
(項目2)
前記高架橋は、複数の対の車道スパンから形成され、各車道スパンは、ガードレール、擁壁、クレーンレール、設備レールを含む、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記流体力学的配列は、複数の流体力学的要素から形成され、第1の流体力学的要素は、第1の対の車道スパンを緯度方向に支持する第1の4本組の柱を含む、項目1に記載のシステム。
(項目4)
前記第1の4本組の柱のうちの2本の柱は、2本の付加的柱とともに、第2の対の車道スパンを緯度方向に支持する第2の4本組の柱を形成する、項目3に記載のシステム。
(項目5)
前記流体力学的要素は、ネスト化された機械チャンバを含み、該ネスト化された機械チャンバの上部は、中央スパンを画定する、項目4に記載のシステム。
(項目6)
底板ブロックをさらに備え、該底板ブロックは、前記第1の4本組の柱の脚を収容するための4つの溝を有する、項目3に記載のシステム。
(項目7)
前記大量輸送機関トンネルは、車道トンネルを含む、項目1に記載のシステム。
(項目8)
前記大量輸送機関トンネルは、鉄道トンネルを含む、項目1に記載のシステム。
(項目9)
前記大量輸送機関トンネルは、トラックトンネルを含む、項目1に記載のシステム。
(項目10)
前記潮汐変調器は、1対の蝶形弁および1つの中心弁を含む、項目1に記載のシステム。
【0005】
本発明の前述の側面および付帯利点の多くは、添付の図面と関連して検討されるとき、以下の発明を実施するための形態を参照することによって、より理解が深まることによって、より容易に認識されることになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、流体力学的配列の一般的部分の上部における、一般的高架橋の部分の、断面組立式等角図である。
【
図2】
図2は、流体力学的配列の一般的部分の上部における、一般的高架橋の部分の正面図である。
【
図3】
図3は、流体力学的配列の一般的部分の上部における、一般的高架橋の一部の背面図である。
【
図4】
図4は、流体力学的配列の一般的部分の上部における、一般的高架橋の一部の側面図である。
【
図5】
図5は、流体力学的配列の一般的部分の上部における、一般的高架橋の一部の別の側面図である。
【
図6】
図6は、一般的高架橋の一部の上部の平面図である。
【
図7】
図7は、一般的流体力学的配列の一部の底部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本主題の種々の実施形態は、流体力学的配列を対象とし、この流体力学的配列は、海洋潮流からだけでなく、河川流からも電気を産生するように構成される。流体力学的配列の上部に位置しているものは、好ましくは、自動車輸送のため、また、その構造、機械、電気、および電子支援機器を含む、流体力学的配列の部品の構築、組立、分解、架設、除去、および維持管理のための両方のために構成される高架橋である。高架橋の下方であるが、流体力学的配列の上または側面に沿って位置しているものは、1つ以上の大量輸送機関トンネルである。流体力学的配列の各要素は、海峡、通路、河口、運河、峡谷、または川を横断する多孔性の流体力学的配列を形成するために、別の要素等と相互接続されることができる。
【0008】
図1は、高架橋100の一部を図示し、この高架橋は、中央分離帯140によって分離される短い高架式車道スパン138a、138bを備えている。高架橋100は、中央スパンと相互接続され、流体力学的配列200の柱によって支持される一連の短い車道スパンから構成される。より具体的には、高架橋100は、高架橋要素の配列である。各高架橋要素は、2つの対応する車道スパン138a、138bと、2つの対応する下方車道トンネル101a、101bと、2つの対応する下方鉄道トンネル104a、104bと、2つの対応する下方トラックトンネル106a、106bとを含む一組の部材である。各対応する車道スパン138a、138bは、中央スパン(中央スパン140a等)と相互接続される。各高架橋要素は、高架橋100を形成するために、ラッチまたは他の締結構造を介して他の高架橋要素と相互接続される。高架橋100は、複数の組の車道スパンから形成されるので、当業者は、議論が高架橋100から形成される他の組の車道スパンにも関連していることを理解するであろう。例えば、3車線道路が2車線道路に隣接しているが、必ずしもそうである必要はなく、他の好適な車道構成が使用されることができる。同様に、車道トンネル101a、101bは、2車線道路に隣接している3車線道路を図示しているが、他の構成も好適である。
【0009】
流体力学的配列200は、流体力学的要素の配列である。各流体力学的要素は、一組の部材であり、高架橋要素を支持する4本の柱(柱122a、122b、122c、および122d等)を含む。4本の柱122a、122b、122c、および122dは、底板ブロック132の上部に穿穴された4つの溝126に載っている。4本の柱122a、122b、122c、122d、および底板ブロック132の他に、流体力学的要素はまた、ネスト化された機械チャンバ118と、ローターアセンブリ204a、204bと、潮汐変調器308とを含む。一実施形態では、流体力学的要素は、海洋潮流または河川流からエネルギーを産生するための垂直軸油圧タービンを形成する機械、電気、および電子部材を含む。各流体力学的要素は、流体力学的配列200を形成するために、ラッチまたは他の構築締結具を介して他の流体力学的要素と相互接続される。
【0010】
車道スパン138a、138bは、自動車および人間が高架橋100を横断するときに、自動車および人間を危険から保護するためのガードレールを含む。一実施形態では、各ガードレールは、車道スパン138a、138bの縁、および中央スパン140aの縁に沿って設置される、鋼製ケーブル等の好適な材料から構成される障壁である。各車道スパン138a、138bは、一組の車線を別の組の車線から分離するコンクリート隔離板を含む。各車道スパン101a、101bは、粗鋼から製造され、クレーンレールによって支持される昇降装置を用いて、流体力学的要素の上昇、移動、または下降部材のためのクレーンを運ぶ、車輪付き自動車のためのトラックを形成する、その上に、ガードレールが、クレーンレールに隣接して搭載されるプラットホームを格納する。クレーンレールに隣接しているのは、種々の機械を運ぶための、車輪付き自動車のためのトラックを形成するための設備レールである。中央スパン140は、ネスト化された機械チャンバ118の上部である。
【0011】
122a、122b、122c、および122d等の各柱は、1つ以上の柱部材から形成され、それらの各々が、上部に長手方向のほぞ穴を有する。長手方向のほぞ穴は、柱部材の両端で終端する。各柱部材の底部は、長手方向のほぞ内で終わる。1つの柱部材の各長手方向のほぞは、所望の高さを得るために、柱の部材をともに連結するように、同一柱の別の柱部材の別の長手方向のほぞ穴と相互接続される。
【0012】
一実施形態では、122a、122b、122c、および122dの4本組の柱の配列は、各々、楕円形または他の好適な断面形状を有する鉄筋海洋コンクリートから各厚くできている。一実施形態では、4本組の柱122a、122b、122c、および122dは、潮汐流が調整されることができるように、1つ以上の蝶形弁および中心弁を備える
潮汐変調器308を通して潮汐流を導く。流体の流れが、4本組の柱122a、122b、122c、および122dによって生み出された流体通路を開放する、閉鎖する、または部分的に遮断する可動および/または固定弁によって開始、停止、または調整され得ることの効果を促進するために、蝶形弁の関係が相互に制御される。各蝶形弁は、潮汐ブリッジのローター区画内に所望の潮汐流を達成するように作動させられることにより、潮汐ブリッジがより広い範囲の潮汐電力を得ることを可能にし、および潮汐ブリッジを通る流速を減少させる高潮または洪水状態からの容積測定退出を可能にする。
【0013】
別の実施形態では、各楕円形または他の好適な断面形状を有する鉄筋海洋コンクリートから厚く作られる4本組の柱122a、122b、122c、および122dの配列は、海底に搭載される底板ブロック132によって支持される。そのような配列は、流体力学的要素の他の部材の安定のための基盤を形成する。一実施形態では、4本組の柱122a、122b、122c、および122dは、付加的電力が、水中翼タービンを横断する水流の変動する方向から、および1つのタービンダクトから別のタービンダクトまで得られるように、垂直軸水中翼タービンを通して水流を導く。この効果を促進するために、タービン翼の関係は、相互に同期化される。各タービンは、その近隣するタービンに対して反対の回転方向に回転し、その後者は、別の4本組の柱によって支持されている。この柱の配列は、トルク変動またはダクト壁またはタービン翼のいずれかの疲労の可能性を引き起こし得、電力の最終的な結果の損失または構造破損を伴うタービン翼とダクト壁との間の相互作用効果を制限または減少させる。
【0014】
当業者によって理解されるように、高架橋100は、陸地境界を接続するために水路を横断して延在させられることができ、暴露される車道スパン138a、138b、または車道トンネル101a、101b、鉄道トンネル104a、104b、またはトラックトンネル106a、106b内の下部のいずれかを介して、乗客を運ぶ自動車および水路をわたって操縦するための流体力学的要素の部材を運ぶ車両を促進する。以前に議論したように、高架橋100は、複数の車道スパン(車道スパン138a、138b等)、複数の中央スパン(中央スパン104等)、およびラッチ等の構築締結具と相互接続される他の高架橋要素を備える。高架橋100の下方にあるのは、流体力学的配列200であって、そのうち、流体力学的要素は、一対の車道スパン、単一の中央スパン、および他の高架橋要素を支持する4本の柱(柱122a、122b、122c、および122d等)の間に配列される。流体力学的配列200の各流体力学的要素は、底板ブロック132上に着座している4本組の柱によって支持される1つ以上のローターアセンブリを備え、電気を生成するために各流体力学的要素に対して作用する海洋潮流または河川流の動きを受け取るように構成される。4本組の柱は、上部、中心、底部プラットホームのための構造支柱としての役割を果たし、これらのプラットフォームは、軸受アセンブリをも格納し、いくつかの実施形態では、水中翼アスペクト比を増大させる。以前に議論したように、4本組の柱は、ネスト化された機械チャンバ118を支持し、これは、ローターアセンブリと機械的に連結するように構成されるジャーナルおよびスラスト軸受を格納する。
【0015】
高架橋100は、流体力学的配列200を備える多くの流体力学的要素の1つである流体力学的要素の部材である柱122a、122b、122c、および122d等の柱によって支持される。以前に議論したように、高架橋100は、車道スパン138a、138b等、車道スパンを備える。各車道スパン138a、138bは、相互に平行であり、その上にガードレールが搭載される擁壁を備え、その下方に車道トンネル101a、101bのための擁壁を形成する。各車道スパン138a、138bは、その上にガードレールが搭載され、クレーンレールが設置され、設備レールが位置し、車輪付き自動車が中央分離帯140に沿った種々の場所に機器を運ぶためのトラックを形成するプラットホームを格納する。ネスト化された機械チャンバ118から求基的に突出するのは、
潮汐変調器308およびローターアセンブリ204a、204bに連結されるトルクドライブシャフトである。
【0016】
当業者によって理解されるように、4本組の柱の2つの部材は、4本組の柱の他の2本の残りの部材に平行である。例えば、柱122a、122bは、柱122c、122dに対して平行の位置にある。好ましくは、ローターアセンブリ204aに隣接する他のローターアセンブリは、ローターアセンブリ204bの方向から反対方向に回転する。下側ローターアセンブリ204bは、下側ローターアセンブリ204bが、その隣接した隣のローターアセンブリに対して回転する方向と反対の方向を図示するための隣接するローターアセンブリと、45度だけ位相がずれている。
【0017】
例示的実施形態が例示および説明されたが、種々の変化が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細で行うことができることを理解されるであろう。
【0018】
排他的な特性または権利が請求される本発明の実施形態は、以下に定義される。