(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
当量300〜3000のポリオールが、ポリエーテル、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、またはポリエーテルとヒドロキシル末端ポリブタジエンとの混合物である、請求項1に記載の構造用接着剤。
潜在触媒が、ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックス中に組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、またはノボラック樹脂中へ配合された2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、請求項9に記載の構造用接着剤。
硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン錯体、三フッ化ホウ素/アミン錯体、ジシアンジアミド、メラミン、ジアリルメラミン、アセトグアナミンおよびベンゾグアナミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、ならびにジアミノジフェニルスルホンのうち1種または複数を含む、請求項1から10のいずれかに記載の構造用接着剤。
炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、カーボンブラック、紡織繊維、ガラス粒子もしくはガラス繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、ケイ酸塩鉱物、雲母、粉末石英、酸化アルミニウム水和物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、ポリ尿素化合物、ポリアミド化合物、またはアルミニウム粉、鉄粉、もしくは200ミクロンまでの平均粒径および0.2g/ccまでの密度を有するマイクロバルーンのうち1種または複数をさらに含む、請求項1から11のいずれかに記載の構造用接着剤。
請求項1から13のいずれかに記載の構造用接着剤を2つの部材の表面へ塗布すること、および前記構造用接着剤を硬化して、2つの部材間の接着結合を形成することを含む、方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
当該強化剤は、イソシアネート末端プレポリマーを形成するステップと、当該プレポリマーを鎖延長するステップと、次いで当該鎖延長化プレポリマーをキャップするステップとを含む方法で作製する。
【0011】
当該プレポリマーは、イソシアネート末端プレポリマーを形成するために、ポリイソシアネートの過剰量を、当量300〜3000のポリオールと、または当量300〜3000のポリオールと分枝剤との混合物とを、反応させることにより形成する。
【0012】
当量300〜3000のポリオールは、好ましくは、ポリエーテルのポリオール、またはヒドロキシル末端ブタジエンのホモポリマーもしくはコポリマーである。当該ポリオールは、好ましくは1分子当たり2〜3個、より好ましくは2個のヒドロキシル基を有する。
【0013】
分枝剤は、本発明の目的では、分子量を599まで、好ましくは50〜500有し、1分子当たり少なくとも3個の、ヒドロキシル基、第一級アミノおよび/または第二級アミノ基を有する、ポリオールまたはポリアミンの化合物である。少しでも使用する場合、分枝剤は、分枝剤と当量300〜3000のポリオールとを合わせた重量の10%未満、好ましくは5%未満、さらにより好ましくは2%未満を一般に構成する。分枝剤の例には、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、スクロース、ソルビトール、ペンタエリトリトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなど、ならびに分子量が599まで、特に500までのこれらのアルコキシレートなどのポリオールが挙げられる。
【0014】
ポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートであってもよいが、それは好ましくはイソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化されたトルエンジイソシアネート、水素化されたメチレンジフェニルイソシアネート(H
12MDI)などの脂肪族ポリイソシアネートである。
【0015】
ポリイソシアネート化合物は、当量300〜3000のポリオールと分枝剤(使用する場合)からなるイソシアネート反応性基の実質的に全てが消費され、生成したプレポリマーがイソシアネート基の末端となるように、過剰に使用される。イソシアネート反応性材料(すなわち分子量300〜3000のポリオール、および使用する場合は分枝剤)1当量当たり少なくとも1.5当量のポリイソシアネートを組み合わせることが一般に好ましく、それは、こうした比が、分子量が増加した材料の形成を最小限に抑えるからである。イソシアネート反応性材料1当量当たり1.5〜2.5当量のポリイソシアネートを供給することが、より好ましい。
【0016】
プレポリマー形成反応は、出発材料を混合してそれらを加熱することによって行い、好ましくはイソシアネート基をヒドロキシル基と反応させるための触媒の存在下で行う。反応性混合物は、典型的には60〜120℃になり、この反応は、一定のイソシアネート含量が得られるまで、つまり出発材料中のイソシアネート反応性基が全て消費されるまで、継続する。
【0017】
生成したプレポリマーは、好ましくはイソシアネート含量が0.5〜7重量%であり、より好ましくは1〜6重量%、さらにより好ましくは1.5〜5重量%である。イソシアネート当量については、好ましい範囲は700〜8400、より好ましい範囲は840〜4200、さらにより好ましい範囲は1050〜2800である。当該プレポリマーは、好適には、イソシアネート基を、1分子当たり平均約1.5個から、好ましくは約2.0個から、約4個まで、好ましくは約3個まで、より好ましくは約2.5個まで含有する。
【0018】
当該プレポリマーを、次いで鎖延長剤と反応させ、鎖延長化したイソシアネート末端プレポリマーを生成する。鎖延長剤(chain extender)は、本発明の目的では、分子量を749まで、好ましくは50〜500有し、1分子当たり2個の、ヒドロキシル基、第一級アミノおよび/または第二級アミノ基を有する、ポリオールまたはポリアミンの化合物である。好適な鎖延長剤の例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオール;エチレンジアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどの脂肪族または芳香族のジアミン、ならびにレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールM、テトラメチルバイフェノールおよびo,o’−ジアリルビスフェノールAなどの2個のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物などが挙げられる。これらの中で、2個のフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が好ましい。
【0019】
鎖延長化反応は、プレポリマー形成反応と同じ一般的な方法で行う。プレポリマーは、鎖延長剤によって付与されるイソシアネート反応性基1当量当たり少なくとも2当量のイソシアネート基を供給するのに十分に、鎖延長剤と混合される。鎖延長剤によって付与されるイソシアネート反応性基1当量当たり4当量以上まで、好ましくは3当量まで、より好ましくは2.5当量までのイソシアネート基を供給してもよい。特に好ましい量は、鎖延長剤によって付与されるイソシアネート反応性基1当量当たり2〜2.25当量のイソシアネート基である。前記のように、当該反応は、一定のイソシアネート含量が達成される(イソシアネート反応性基が全て消費されたことを示す)まで、好ましくは昇温下(60〜120℃など)で行う。
【0020】
鎖延長化プレポリマーは、イソシアネート基が末端となっている。鎖延長化プレポリマーは、出発プレポリマーと鎖延長剤との結合に対応する分子を含むことになる。鎖延長剤1当量当たり2当量を超えるプレポリマーを反応させる場合、鎖延長化プレポリマーはまた、いくらかの量の、延長していないプレポリマー分子も含有することになる。鎖延長化プレポリマーはまた、少量の、分子量がより高い反応生成物を含有していることもある。鎖延長化プレポリマーのイソシアネート含量は、好ましくは0.25〜3重量%、より好ましくは0.5〜2.5重量%、さらにより好ましくは0.75〜2重量%である。イソシアネート当量については、好ましい範囲は1400〜17,000、より好ましい範囲は1680〜8500、さらにより好ましい範囲は2100〜5700である。鎖延長化プレポリマーは、好適には、イソシアネート基を、1分子当たり平均約1.5個から、好ましくは約2.0個から、約6個まで、好ましくは約4個まで、より好ましくは約3個まで、さらにより好ましくは約2.5個まで含有する。イソシアネート基を、1分子当たり平均1.9〜2.2個含有するプレポリマーが特に好ましい。
【0021】
鎖延長化プレポリマーのイソシアネート基の少なくとも90%は、次いでモノフェノール、ポリフェノールまたはアミノフェノールと反応させることでキャップして、強化剤を形成する。好適なモノフェノール化合物の例には、例えばフェノール、それぞれが1〜30個の炭素原子を含有していることもある1個または複数のアルキル基を含有するアルキルフェノール、ナフトール、またはハロゲン化されたフェノールもしくはナフトールが挙げられる。好適なポリフェノールは、1分子当たり2個以上、好ましくは2個の、フェノール性ヒドロキシル基を含有する。好適なポリフェノールの例には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールM、テトラメチルバイフェノールおよびo,o’−ジアリル−ビスフェノールA、ならびにハロゲン化されたこれらの誘導体が挙げられる。好適なアミノフェノールは、少なくとも1個の第一級または第二級アミノ基、および少なくとも1個のフェノール性ヒドロキシル基を含有する化合物である。アミノ基は、好ましくは芳香環の炭素原子に結合している。好適なアミノフェノールの例には、2−アミノフェノール、4−アミノフェノール、各種アミノナフトールなどが挙げられる。
【0022】
鎖延長化プレポリマーのイソシアネート基の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%、100%までをキャップするのに十分な量のフェノール、ポリフェノールまたはアミノフェノールの化合物を供給する。フェノール、ポリフェノールまたはアミノフェノールの化合物と、10モル%までの、モノアミン、ケトオキシム、エポキシ官能性を有する化合物などの別のキャッピング剤との混合物を使用することができる。しかし、こうした他のキャッピング剤は、用いないことが好ましい。
【0023】
キャッピング反応は、場合によっては、プレポリマー形成反応および鎖延長化反応に関してすでに説明した一般条件下で行うことが可能であり、それはすなわち、記載した比で材料を混合して60〜120℃に加熱し、任意選択でイソシアネート基とフェノール基および/またはアミノ基との反応用触媒の存在下で行うことである。当該反応は、イソシアネート含量が一定値に減るまで続け、それは、好ましくは0.1重量%未満である。
【0024】
生成した強化剤は、好適には、数平均分子量を少なくとも3000から、好ましくは少なくとも4,000から、約35,000まで、好ましくは約20,000まで、より好ましくは約15,000まで有し、これは、分子量1000以上を示すピークのみを考慮に入れる、GPCによる測定である。
【0025】
多分散度(数平均分子量に対する量平均分子量の比)は、好適には約1〜約4、好ましくは約1.5〜2.5である。当該強化剤は、好適には、キャップされたイソシアネート基を、1分子当たり平均約1.5個から、好ましくは約2.0個から、約6個まで、好ましくは約4個まで、より好ましくは約3個まで、さらにより好ましくは約2.5個まで含有する。特に好ましいプレポリマーは、キャップされたイソシアネート基を、1分子当たり平均1.9〜2.2個含有する。
【0026】
当該強化剤は、接着剤組成物の少なくとも5重量%を構成するべきである。より良好な結果は、典型的には、強化剤の量が少なくとも8重量%、または少なくとも10重量%である場合に見られる。強化剤は、その45重量%まで、好ましくは30重量%まで、より好ましくは25重量%までを構成してもよい。任意の特定の接着剤組成物において、良好な特性、とりわけ良好な低温特性を付与するために必要とされる強化剤の量は、いくぶんかは当該組成物の他の成分によることがあり、いくぶんかは強化剤の分子量によることがある。
【0027】
構造用接着剤は、少なくとも1種のエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂の少なくとも一部はゴムで変性されていないことが好ましく、これは、詳細には、エポキシ樹脂がゴムに化学的に結合していないことを意味する。非ゴム変性エポキシ樹脂を、別の成分、すなわちゴム変性エポキシ樹脂生成物の成分以外のものとして、または以下で説明するようなコアシェルゴムの分散体の一部として、構造用接着剤に加えてもよい。本発明のいくつかの実施形態では、コアシェルゴム生成物を使用し、これは、ある量のエポキシ樹脂中に分散させてもよい。ある量の非ゴム変性エポキシ樹脂を、このようにして構造用接着剤中へ配合してもよい。他の実施形態では、構造用接着剤の成分として用いるゴム変性エポキシ樹脂生成物は、ゴムとは反応しない(したがってゴム変性していない)エポキシ樹脂を、一定量含有してもよい。ある程度の非ゴム変性エポキシ樹脂も、このようにして接着剤中へ配合してもよい。
【0028】
広範なエポキシ樹脂が、非ゴム変性エポキシ樹脂として使用可能であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,734,332号の2欄66行〜4欄24行に記載のものが挙げられる。エポキシ樹脂は、エポキシ基を、1分子当たり少なくとも平均2.0個有するべきである。
【0029】
好適なエポキシ樹脂には、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、バイフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1−ビス(4−ヒドロキシルフェニル)−1−フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールKおよびテトラメチルバイフェノールなどの多価フェノール化合物のジグリシジルエーテル;C
2〜24アルキレングリコールとポリ(エチレン酸化物)またはポリ(プロピレン酸化物)グリコールとのジグリシジルエーテルなどの、脂肪族グリコールとポリエーテルグリコールとのジグリシジルエーテル;フェノール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂(エポキシノボラック樹脂)、アルキル置換フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノールーヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール−ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂およびジシクロペンタジエン置換フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル;ならびにこれらの2つ以上の任意の組合せが挙げられる。
【0030】
好適なエポキシ樹脂には、Dow Chemical製の、D.E.R.(登録商標)330、D.E.R.(登録商標)331、D.E.R.(登録商標)332、D.E.R.(登録商標)383、D.E.R.(登録商標)661およびD.E.R.(登録商標)662樹脂の名称で販売されているものなどのビスフェノールA樹脂のジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0031】
有用な市販のポリグリコールのジグリシジルエーテルには、Dow Chemical製のD.E.R.(登録商標)732およびD.E.R.(登録商標)736として販売されているものが挙げられる。
【0032】
エポキシノボラック樹脂を使用することができる。こうした樹脂は、Dow Chemical製のD.E.N.(登録商標)354、D.E.N.(登録商標)431、D.E.N.(登録商標)438およびD.E.N.(登録商標)439として市販されている。
【0033】
他の好適な非ゴム変性エポキシ樹脂には、脂環式エポキシドがある。脂環式エポキシドには、以下の構造式IIIで説明されている、炭素環中の2個の近接する原子に結合したエポキシ酸素を有する飽和炭素環が挙げられる。
【0034】
【化1】
(式中、Rは脂肪族、脂環式および/または芳香族の基であり、nは1〜10、好ましくは2〜4の数である。)nが1の場合、脂環式エポキシドはモノエポキシドである。nが2以上の場合には、ジまたはポリエポキシドが形成される。モノ、ジおよび/またはポリエポキシドの混合物が使用可能である。参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,686,359号に記載の脂環式エポキシ樹脂を、本発明で使用してもよい。特に関心の高い脂環式エポキシ樹脂は、(3,4−エポキシシクロヘキシル−メチル)−3,4−エポキシ−シクロヘキサンカルボン酸塩、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジピン酸塩、ビニルシクロヘキサン一酸化物、およびこれらの混合物である。
【0035】
他の好適なエポキシ樹脂としては、米国特許第5,112,932号に記載されているオキサゾリドン含有化合物が挙げられる。さらに、D.E.R.592およびD.E.R.6508(Dow Chemical)として市販されているものなどの高度なエポキシ−イソシアネートコポリマーも使用可能である。
【0036】
非ゴム変性エポキシ樹脂は、好ましくは、ビスフェノールのタイプのエポキシ樹脂であるか、または、これと10重量%までの別のタイプのエポキシ樹脂との混合物である。最も好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノール−A系エポキシ樹脂およびビスフェノール−F系エポキシ樹脂である。これらは、平均エポキシ当量を、約170から600以上、好ましくは225〜400有することができる。
【0037】
特に好ましい非ゴム変性エポキシ樹脂は、少なくとも1種の、エポキシ当量が170〜299、特に170〜225である多価フェノール、好ましくはビスフェノール−Aまたはビスフェノール−Fのジグリシジルエーテルと、少なくとも1種の、エポキシ当量が少なくとも300、好ましくは310〜600である多価フェノール、好ましくは再びビスフェノール−Aまたはビスフェノール−Fの第2のジグリシジルエーテルとの、混合物である。これらの樹脂の割合は、これらの混合物の平均エポキシ当量が225〜400となる割合が好ましい。混合物は、任意選択で、1種または複数の、他の非ゴム変性エポキシ樹脂を20%まで、好ましくは10%までさらに含有してもよい。
【0038】
非ゴム変性エポキシ樹脂は、好ましくは、構造用接着剤の少なくとも約25重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%、さらにより好ましくは少なくとも約35部重量%を構成することになる。非ゴム変性エポキシ樹脂は、構造用接着剤の約70重量%まで、より好ましくは約50重量%までを構成してもよい。このような量には、例えば希釈用または過剰の未反応試薬などのエポキシ樹脂を含有する他の成分と共に、組成物中へ配合されることがある任意の非ゴム変性エポキシ樹脂の量も含まれる。
【0039】
構造用接着剤はまた、硬化剤も含有する。硬化剤は、接着剤が、温度80℃以上、好ましくは140℃以上に加熱されると急速に硬化するが、室温(約22℃)および少なくとも50℃までの温度では硬化するとしても非常にゆっくりとなるよう、任意の触媒と共に選択する。好適な硬化剤には、三塩化ホウ素/アミン錯体および三フッ化ホウ素/アミン錯体、ジシアンジアミド、メラミン、ジアリルメラミンなどの材料、アセトグアナミンおよびベンゾグアナミンなどのグアナミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールなどのアミノトリアゾール、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミドなどのヒドラジド、ならびにジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミンが挙げられる。ジシアンジアミド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドおよび/または4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを用いることが、特に好ましい。
【0040】
硬化剤は、組成物を硬化させるのに十分な量で使用する。典型的には、組成物中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分な硬化剤を供給する。エポキシド基を全て消費するのに必要な量を超える大過剰量は、通常必要ない。好ましくは、硬化剤は、構造用接着剤の少なくとも約1.5重量%、より好ましくは少なくとも約2.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも3.0重量%を構成する。硬化剤は、好ましくは、構造用接着剤組成物の約15重量%まで、より好ましくは約10重量%まで、最も好ましくは約8重量%までを構成する。
【0041】
構造用接着剤は、多くの場合、接着剤の硬化、すなわちエポキシ基と、硬化剤および接着剤の他の成分上のエポキシド反応性基との反応、を促進するための触媒を含有することになろう。触媒は、好ましくは、封入されており、さもなければ、昇温(elevated temperature)に曝露されたときのみ活性化する潜在タイプである。好ましいエポキシ触媒の中では、p−クロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Monuron)、3−フェニル−1,1−ジメチル尿素(Phenuron)、3,4−ジクロロフェニル−N,N−ジメチル尿素(Diuron)、N−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N’,N’−ジメチル尿素(Chlortoluron)などの尿素類、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ピペリジンまたはこれらの誘導体のようなtert−アクリルアミンまたはアルキレンアミン、EP1916272に記載されている各種脂肪族尿素化合物、2−エチル−2−メチルイミダゾールまたはN−ブチルイミダゾールなどのC
1〜C
12アルキレンイミダゾールまたはN−アリールイミダゾール、および6−カプロラクタムが挙げられる。好ましい触媒は、ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックス中へ組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(欧州特許EP0197892に記載されている)、またはUS4,701,378に記載のものを含む、ノボラック樹脂中へ組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである。
【0042】
好ましくは、触媒は、構造用接着剤の少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.5重量%の量で存在する。好ましくは、触媒は、構造用接着剤の約4重量%まで、より好ましくは約1.5重量%まで、最も好ましくは約0.9重量%までを構成する。
【0043】
本発明の構造用接着剤は、少なくとも1種の液状ゴム変性エポキシ樹脂を含んでいてもよい。ゴム変性エポキシ樹脂は、本発明の目的では、エポキシ樹脂と、アミノ基または好ましくはカルボキシル基などのエポキシド反応性基を有する少なくとも1種の液状ゴムとの反応生成物である。生成した付加物は、構造用接着剤が硬化するときに付加物をさらに反応させ得る反応性エポキシド基を有する。液状ゴムの少なくとも一部が、ガラス転移温度(T
g)が−40℃以下、特に−50℃以下であると好ましい。好ましくは、各ゴム(複数用いる場合)のガラス転移温度は、−25℃以下である。ゴムのT
gは、−100℃程度に低くてもよく、またはさらに低くてもよい。
【0044】
液状ゴムは、好ましくは、共役ジエンのホモポリマーまたはコポリマーであり、特にジエン/ニトリルコポリマーである。共役ジエンゴムは、好ましくは、ブタジエンまたはイソプレンであり、ブタジエンが特に好ましい。好ましいニトリルモノマーは、アクリロニトリルである。好ましいコポリマーは、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーである。ゴムは、好ましくは、総計で30重量%未満の重合不飽和ニトリルモノマー、好ましくは約26重量%未満の重合ニトリルモノマーを含有する。
【0045】
当該ゴムは、好ましくは、エポキシド反応性末端基を、1分子当たり平均約1.5個から、より好ましくは約1.8個から、約2.5個まで、より好ましくは約2.2個まで含有する。カルボキシル末端ゴムが好ましい。ゴムの分子量(M
n)は、好適には約2000〜約6000、より好ましくは約3000〜約5000である。
【0046】
好適な、カルボキシル官能性を有するブタジエンおよびブタジエン/アクリロニトリルのゴムは、Noveonから、Hycar(登録商標)2000X162カルボキシル末端ブタジエンホモポリマー、Hycar(登録商標)1300X31、Hycar(登録商標)1300X8、Hycar(登録商標)1300X13、Hycar(登録商標)1300X9およびHycar(登録商標)1300X18カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーの商品名で市販されている。好適なアミン末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーは、Hycar(登録商標)1300X21の商品名で販売されている。
【0047】
他の好適なゴム材には、アミン末端ポリエーテル、脂肪酸(二量体化、またはオリゴマー化されていてもよい)、およびエラストマー型ポリエステルが挙げられる。
【0048】
ゴムは、過剰量のエポキシ樹脂との反応により、エポキシ末端付加物へと形成される。このエポキシ樹脂は、ゴム上の実質上全てのエポキシド反応性基と反応し、しかも生成した付加物を高分子量種を形成するようにさほど促進することなく、付加物上に遊離のエポキシド基をもたらすのに十分に供給される。ゴム上のエポキシ反応性基1当量当たり少なくとも2当量のエポキシ樹脂の比率が好ましい。より好ましくは該エポキシ樹脂は、得られる生成物が付加物とある程度の遊離のエポキシ樹脂との混合物となるのに十分に使用される。こうした遊離のエポキシ樹脂はいずれも、接着剤の非ゴム変性エポキシ樹脂の含量に加算される。付加物を形成するために、典型的には、ゴムおよび過剰量のポリエポキシドを、重合触媒と一緒に混合し、約100〜約250℃の温度に加熱する。好適な触媒には、上述のものが挙げられる。ゴム変性エポキシ樹脂を形成するために好ましい触媒には、フェニルジメチル尿素およびトリフェニルホスフィンが挙げられる。
【0049】
上述したいずれのものも含む多種多様なエポキシ樹脂を用いて、ゴム変性エポキシ樹脂を作製することができる。エポキシ樹脂は、ゴム変性エポキシ樹脂を調製するために用いたものと同一であっても、異なっていてもよい。好ましいポリエポキシドは、ビスフェノールAまたはビスフェノールFなどのビスフェノールの、液状または固体状グリシジルエーテルである。所望であれば、ハロゲン化された、特に臭素化された樹脂を、難燃性を付与するために用いることができる。液状エポキシ樹脂(The Dow Chemical Companyから入手可能な、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルであるDER(商標)330およびDER(商標)331樹脂など)が、取り扱いが容易なため、特に好ましい。
【0050】
ゴム変性エポキシ樹脂(複数可)は、存在する場合、構造用接着剤の約1重量%以上、好ましくは少なくとも約2重量%を構成し得る。ゴム変性エポキシ樹脂は、構造用接着剤の約25重量%まで、より好ましくは約20重量%まで、さらにより好ましくは約15重量%までを構成し得る。
【0051】
本発明の構造用接着剤は、1種または複数のコアシェルゴムを含有してもよい。コアシェルゴムは、ゴム状のコアを有する粒子状の材料である。ゴム状コアは、好ましくはT
gが−20℃未満、より好ましくは−50℃未満、さらにより好ましくは−70℃未満である。ゴム状コアのT
gは、−100℃を十分に下回ってもよい。コアシェルゴムはまた、好ましくはT
gが少なくとも50℃である少なくとも1つのシェル部も有する。「コア」とは、コアシェルゴムの内側部分を意味する。コアは、コアシェル粒子の中心部、またはコアシェルゴムの内部シェルもしくは内部ドメインを形成することができる。シェルは、コアシェルゴムの、ゴム状コアの外側にある部分である。シェル部(複数可)は、典型的には、コアシェルゴム粒子の最も外側の部分を形成する。シェル材は、好ましくは、コア上にグラフト化されるか、架橋されるか、またはその双方である。ゴム状コアは、コアシェルゴム粒子の重量の50〜95%、特に60〜90%を構成することができる。
【0052】
コアシェルゴムのコアは、ブタジエンなどの共役ジエン、またはn−ブチル−、エチル−、イソブチル−もしくは2−エチルヘキシルアクリレートなどの低級アルキルアクリレートの、ポリマーまたはコポリマーであってもよい。コアポリマーは、さらに、20重量%までの、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メチルメタクリレートなどの他の共重合モノ不飽和モノマーを含有することができる。コアポリマーは、任意選択で、架橋されることもある。コアポリマーは、任意選択で、反応性部位の少なくとも1つが非共役であるジアリルマレエート、モノアリルフマレート、アリルメタクリレートなどの、反応性の異なる不飽和部位を2か所以上有する共重合グラフト結合性モノマーを、5%まで含有する。
【0053】
コアポリマーはまた、シリコーンゴムであってもよい。これらの材料は、多くの場合、ガラス転移温度が−100℃を下回る。シリコーンゴムのコアを有するコアシェルゴムには、ドイツ、ミュンヘンのWacker ChemieからGenioperl(商標)の商品名で市販されているものが挙げられる。
【0054】
任意選択でゴムのコアに化学的にグラフトまたは架橋しているシェルポリマーは、好ましくは、少なくとも1種の、メチル、エチルまたはt−ブチルメタクリレートなどの低級アルキルメタクリレートから重合される。このようなメタクリレートモノマーのホモポリマーが、使用可能である。さらに、シェルポリマーの40重量%までを、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどの他のモノビニリデンモノマーから形成することも可能である。グラフト化シェルポリマーの分子量は、通常20,000から500,000の間である。
【0055】
好ましいタイプのコアシェルゴムは、シェルポリマー中に、エポキシ樹脂またはエポキシ樹脂硬化剤と反応することができる反応性基を有する。グリシジルメタクリレートなどのモノマーによってもたらされるようなグリシジル基が、好適である。
【0056】
特に好ましいタイプのコアシェルゴムは、EP1632533A1に記載されているタイプのものである。EP1632533A1に記載されているコアシェルゴムの粒子には、多くの場合にブタジエンの架橋コポリマーである架橋ゴムのコア、および好ましくはスチレン、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレートの、および任意選択でアクリロニトリルのコポリマーであるシェルが含まれる。コアシェルゴムは、これもまたEP1632533A1に記載されているように、好ましくはポリマー中またはエポキシ樹脂中に分散されている。
【0057】
好ましいコアシェルゴムには、Kaneka Corporation製の、Kaneka Kane Aceの名称で販売されているものが挙げられ、Kaneka Kane Ace MX156およびKaneka Kane Ace MX120コアシェルゴム分散体を含む。当該製品は、エポキシ樹脂中に予め分散させたコアシェルゴムの粒子を、約25%濃度で含有している。このような製品に含有されるエポキシ樹脂は、本発明の構造用接着剤の非ゴム変性エポキシ樹脂成分の全てまたは一部を形成することになる。
【0058】
コアシェルゴムの粒子は、構造用接着剤の0〜15重量%を構成することができる。
【0059】
本発明の構造用接着剤の総ゴム含量は、少なくて0重量%から多くて30重量%までが、可能である。耐衝撃性接着剤にとって好ましいゴム含量は、1重量%から多くて20重量%、好ましくは2〜15重量%、より好ましくは4〜15重量%である。
【0060】
総ゴム含量は、本発明の目的では、コアシェルゴムの重量(使用する場合)+任意のゴム変性エポキシ樹脂を使用する場合にはその液状ゴム部分によって付与される重量、を求めることで計算する。エラストマー型強化剤の部分は、総ゴム含量を計算する際には考慮に入れない。いずれの場合も、未反応の(非ゴム変性の)エポキシ樹脂、および/または他の担体、希釈剤、分散剤、またはコアシェルゴム製品もしくはゴム変性エポキシ樹脂に含有されていることもある他の成分の重量は含まれない。コアシェルゴムのシェル部の重量は、本発明の目的では、総ゴム含量の一部としてカウントする。
【0061】
本発明の構造用接着剤は、他にも各種の任意成分を含有してもよい。
【0062】
硬化の速度および選択性は、モノマー性またはオリゴマー性の付加重合可能なエチレン性不飽和材料を構造用接着剤へ組み入れることによって、増強し調整することができる。本材料は、分子量が約1500未満となるべきである。本材料は、例えばアクリレートもしくはメタクリレート化合物、不飽和ポリエステル、ビニルエステル樹脂、または不飽和ポリエステル樹脂のエポキシ付加物であってもよい。フリーラジカル開始剤も同様に、フリーラジカル源を供給して本材料を重合するために、構造用接着剤に含めることができる。このタイプのエチレン性不飽和材料を含めることで、エチレン性不飽和の選択的な重合を通じて、構造用接着剤の部分硬化の達成が可能となる。
【0063】
少なくとも1種の充填剤、レオロジー調整剤および/または顔料が、構造用接着剤中に存在することが好ましい。これらは、(1)接着剤のレオロジーを望ましく調整し、(2)単位重量当たりの総コストを削減し、(3)接着剤から、または接着剤を塗布する基板から水分または油分を吸収し、および/または(4)接着の破壊よりもまとまりのある破壊を促進する、などのいくつかの機能を果たすことができる。これらの材料の例には、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、カーボンブラック、紡織繊維、ガラス粒子またはガラス繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、ケイ酸塩鉱物、雲母、粉末石英、酸化アルミニウム水和物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、ポリ尿素化合物、ポリアミド化合物、またはアルミニウム粉もしくは鉄粉などの金属粉が挙げられる。特に関心の高いもう1つの充填剤は、200ミクロンまでの平均粒径、および0.2g/ccまでの密度を有するマイクロバルーンである。粒径は、好ましくは約25〜150ミクロンであり、密度は、好ましくは約0.05〜約0.15g/ccである。密度を減らすのに適した熱膨張性マイクロバルーンには、Dualite CorporationからDualite(商標)の商品名で市販されているもの、およびAkzo NobelからExpancel(商標)の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0064】
充填剤、顔料およびレオロジー調整剤は、好ましくは、接着剤組成物100部当たり約2部以上、より好ましくは接着剤組成物100部当たり約5部以上の総量で使用する。これらは、好ましくは、構造用接着剤の約25重量%まで、より好ましくは約20重量%まで、最も好ましくは約15重量%までの量で存在する。
【0065】
構造用接着剤は、二量化脂肪酸、希釈剤、可塑剤、増量剤、顔料および色素、難燃剤、チキソトロープ剤、膨張剤、流量調整剤、定着剤、ならびに酸化防止剤などの他の添加剤をさらに含有することができる。好適な膨張剤には、物理的および化学的双方のタイプの剤が含まれる。接着剤はまた、WO2005/118734に記載されているように、ポリビニルブチラールまたはポリエステルポリオールなどの熱可塑性粉末を含有してもよい。
【0066】
本発明の接着剤組成物は、驚くほど貯蔵安定である。配合したばかりの接着剤組成物の粘度は、強化剤が鎖延長されていない場合に見られる粘度よりも、通常、いくぶんか高い。しかしながら、本発明の接着剤組成物は、その後、貯蔵中に、著しくゆっくりとした速度で粘度を増加させる。粘土増加の速度は、多くの場合、貯蔵から数週間後に、本発明の接着剤の粘度が、鎖延長していない強化剤を含有する従来技術の接着剤の粘度と等しいか、さらに低いほどである。本発明の接着剤が、古くなっているがまだ使用可能である時間量は、一般に、鎖延長されていない強化剤を含有している接着剤のこうした時間量を超えることになる。フェノール、ポリフェノールまたはアミノフェノールでキャップした強化剤を含有する接着剤は貯蔵安定性に欠けるという傾向(例えばEP1498441およびWO2007/003650に記載)が公知であるにもかかわらず、こうした利点が見られる。
【0067】
接着剤組成物は、任意の簡便な技術によって塗布することができる。低温で塗布することも、所望であれば加温して塗布することもできる。ロボットからビーズ状に基板上へ押出したり、コーキングガンなどの機械的な塗布方法、または任意の他の手動塗布手段を用いたり、また、スチーム法やスワール技術などのジェットスプレー法を用いて塗布することもできる。スワール技術は、ポンプ、制御システム、供給ガンアセンブリ、遠隔供給装置および塗布ガンなどの、当業者に周知の装置を用いて適用される。好ましくは、接着剤は、ジェットスプレー法またはストリーミング法を用いて基板へ塗布する。一般に、接着剤は、一方または双方の基板へ塗布する。一緒に接合されることになる基板間に接着剤が配置されるように、基板同士を接触させる。
【0068】
塗布後、構造用接着剤を、硬化剤がエポキシ樹脂組成物の硬化を開始する温度まで加熱することによって硬化させる。通常、この温度は、約80℃以上、好ましくは約140℃以上である。好ましくは、この温度は約220℃以下、より好ましくは約180℃以下である。
【0069】
本発明の接着剤を使用して、木材、金属、被覆金属、アルミニウム、各種プラスチックおよび充填プラスチックの基板、ガラス繊維などを含む様々な基板同士を接合することができる。好ましい一実施態様では、当該接着剤を、自動車の部品同士の接合、または自動車部品の自動車への接合に使用する。こうした部品としては、鋼、被覆鋼、亜鉛メッキ鋼、アルミニウム、被覆アルミニウム、プラスチックおよび充填プラスチックの基板が可能である。
【0070】
特に関心の高い用途は、自動車のフレーム構成材を、互いに、または他の構成材と接合することである。フレーム構成材は、多くの場合、冷間圧延鋼、亜鉛メッキ金属またはアルミニウムなどの金属である。フレーム構成材と接合される構成材は、前記のような金属も可能であり、または他の金属、プラスチック、複合材料なども可能である。
【0071】
組み立てられた自動車のフレーム部材は、通常、焼付け硬化が必要なコーティング材で被覆されている。コーティングは、典型的には、140℃から200℃以上の範囲であり得る温度で焼付ける。このような場合、構造用接着剤をフレーム構成材へ塗布し、次いでコーティングを塗布し、コーティングを焼付けして硬化するのと同時に接着剤を硬化させると簡便であることが多い。
【0072】
一旦硬化した後の接着剤組成物は、好ましくは、DIN EN ISO 527−1に従って測定した場合、ヤング率が、23℃で、約1000MPaである。好ましくは、ヤング率は、約1200MPa以上、より好ましくは少なくとも1500MPaである。好ましくは、硬化済み接着剤の引張強度は、23℃で、約20MPa以上、より好ましくは約25MPa以上、最も好ましくは約35MPa以上を示す。好ましくは、冷間圧延鋼(CRS)および亜鉛メッキ被覆鋼上で硬化させた1.5mm厚の接着剤層の重ね剪断強度は、DIN EN 1465に従って測定すると、約15MPa以上、より好ましくは約20MPa以上、最も好ましくは約25MPa以上である。これらの基材上の23℃での衝撃剥離強度は、ISO 11343楔衝撃法に従って測定すると、好ましくは少なくとも20N/mm、より好ましくは少なくとも30N/mm、さらにより好ましくは少なくとも40N/mmである。
【0073】
本発明の硬化済み接着剤は、卓越した接着剤特性(重ね剪断強度および衝撃剥離強度など)を示す。
【0074】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供するものであって、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。特に明記しない限り、全ての部およびパーセントは、重量基準による。
【0075】
実施例1および比較サンプルA
71.5部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、8.3部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと60℃で混合することによって、強化剤1を調製する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.6%である。
【0076】
当該プレポリマーを、次いで3.8部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、再び窒素下で、85℃で40分間反応させて、イソシアネート含量が1.2%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0077】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで16.3部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤1)を、真空下で脱気する。強化剤1の数平均分子量(M
n)は10,200、量平均分子量(M
w)は24,000である。
【0078】
72.8部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、7.6部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと60℃で混合することによって、強化剤Aを調製する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.0%である。
【0079】
当該プレポリマーを、次いで19.6部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと窒素下で混合する。混合物を85℃で20分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。強化剤AのM
nは8700、M
wは17,500である。
【0080】
接着剤の実施例1および比較サンプルAを、表1に示したとおりに成分をブレンドすることによって調製する。
【0082】
接着剤の実施例1および比較サンプルAそれぞれの二枚合わせのサンプルを、密封した容器中、窒素下で、多様な期間、約40℃〜60℃の多様な温度で貯蔵することにより、貯蔵安定性を評価する。試験開始時および貯蔵後に、特定の温度、所定期間で粘度の測定を行う。Bohlin CS−50レオメータ、および4°/20mmプレート/コーンシステム上で、試験を行う。サンプルは、45℃で5分間、条件付けをする。この温度でサンプルを保持する間に、剪断速度は、5分間で0.1/秒から20/秒に増し、次いで同じ速度で0.1/秒に戻る。上向線上の10/秒の剪断速度において、粘度を測定する。結果を表2に示す。
【0084】
表2のデータが示すように、本発明の接着剤は、比較サンプルAよりも初期粘度がいくぶんか高いものの、試験した各温度において、はるかに貯蔵安定である。全ての例で、比較サンプルAの粘度は、実施例1の粘度よりもはるかに速い速度で増し、全ての例で、試験期間終了時に到達する絶対値が、より高い。これらの結果は、接着剤の実施例1が、比較サンプルAよりも、初期粘度が高いにもかかわらず、広範囲の温度において保存寿命がより長いことを示している。
【0085】
実施例2および比較サンプルB
82.2部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、9.5部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと60℃で混合することによって、強化剤2を調製する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.6%である。
【0086】
当該プレポリマーを、次いで4.4部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、85℃で40分間、再び窒素下で反応させ、イソシアネート含量が1.2%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0087】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで3.8部のo−アリルフェノールと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤2)を、真空下で脱気する。強化剤2のM
nは9800、M
wは22,800である。
【0088】
85.2部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、8.7部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと60℃で混合することによって、強化剤Bを調製する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.0%である。
【0089】
当該プレポリマーを、次いで6.1部のo−アリルフェノールと窒素下で混合する。混合物を、85℃で20分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。強化剤BのM
nは7100、M
wは13,500である。
【0090】
一液型の加熱活性化接着剤配合物を、強化剤2および強化剤Bそれぞれから調製する。実施例2のための配合は、実施例1のために表1で示したものと同じであるが、ただし、強化剤1を等量の強化剤2に置き換えている。比較サンプルBは、比較サンプルAと同じであるが、ただし強化剤Aを等量の強化剤Bに置き換えている。
【0091】
実施例2および比較サンプルBの貯蔵安定性を、前に説明したのと同じ方法で評価し、その結果を表3に示す。
【0093】
試験した各温度において、実施例2は、比較サンプルBよりも、粘度増加が遅い。
【0094】
実施例3および比較サンプルC
67.6部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、0.4部のトリメチロールプロパンと、均質になるまで混合することによって、強化剤3を調製する。60℃で、9.3部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを添加する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、3.0%である。
【0095】
当該プレポリマーを、次いで4.3部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、85℃で40分間、再び窒素下で反応させ、イソシアネート含量が1.4%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0096】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで18.4部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤3)を、真空下で脱気する。強化剤3のM
nは10,900、M
wは30,750である。
【0097】
70.9部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、0.5部のトリメチロールプロパンと、均質になるまで混合することによって、強化剤Cを調製する。60℃で、8.2部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを添加する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.0%である。
【0098】
当該プレポリマーを、次いで20.3部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと窒素下で混合する。混合物を、85℃で20分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。強化剤CのM
nは9700、M
wは27,200である。
【0099】
一液型の加熱活性化接着剤配合物を、強化剤3および強化剤Cそれぞれから調製する。実施例3のための配合は、実施例1のために表1で示したものと同じであるが、ただし、強化剤1を等量の強化剤3に置き換えている。比較サンプルCは、比較サンプルAと同じであるが、ただし強化剤Aを等量の強化剤Cに置き換えている。
【0100】
実施例3および比較サンプルCについて、前と同じように貯蔵安定性を評価し、結果を表4に示す。
【0102】
表4のデータが示すように、本発明の接着剤は、いくぶんか初期粘度がより高いものの、試験した各温度において貯蔵安定性がはるかに高い。全ての例で、比較接着剤の粘度は、実施例3の粘度よりもはるかに速い速度で増し、全ての例で、試験期間終了時に到達する絶対値が、より高い。
【0103】
実施例4および比較サンプルD
79.2部の分子量2900のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、0.5部のトリメチロールプロパンと、均質になるまで混合することによって、強化剤4を調製する。60℃で、10.9部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを添加する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、3.0%である。
【0104】
当該プレポリマーを、次いで5.0部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、85℃で40分間、再び窒素下で反応させ、イソシアネート含量が3.0%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0105】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで4.4部のo−アリルフェノールと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤4)を、真空下で脱気する。強化剤4のM
nは8700、M
wは27,100である。
【0106】
83.6部のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、0.6部のトリメチロールプロパンと、均質になるまで混合することによって、強化剤Dを調製する。60℃で、9.7部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを添加する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、2.0%である。
【0107】
当該プレポリマーを、次いで6.1部のo−アリルフェノールと、窒素下で混合する。混合物を、85℃で20分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。
【0108】
一液型の加熱活性化接着剤配合物を、強化剤4および強化剤Dそれぞれから調製する。実施例4のための配合は、実施例1のために表1で示したものと同じであるが、ただし、強化剤1を等量の強化剤4に置き換えている。比較サンプルDは、比較サンプルAと同じであるが、ただし強化剤Aを等量の強化剤Dに置き換えている。強化剤DのM
nは7600、M
wは19,700である。
【0109】
実施例4および比較サンプルDについて、貯蔵安定性を、前と同じように評価し、結果を表5に示す。
【0111】
表6のデータに示すように、本発明の接着剤は、いくぶんか初期粘度がより高いものの、試験した各温度において、はるかに貯蔵安定である。全ての例で、比較接着剤Dの粘度は、実施例4の粘度よりもはるかに速い速度で増し、全ての例で、試験期間終了時に到達する絶対値が、より高い。
【0112】
実施例5〜7
76.1部の分子量2000のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、12.8部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと60℃で混合することによって、強化剤5を調製する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、3.6%である。
【0113】
当該プレポリマーを、次いで5.9部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、85℃で40分間、再び窒素下で反応させ、イソシアネート含量が1.7%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0114】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで5.2部のo−アリルフェノールと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤5)を、真空下で脱気する。強化剤5のM
nは7600、M
wは18,200である。
【0115】
強化剤6を、強化剤5と同様に作製し、鎖延長するステップにおいて63.4部のポリオール、10.7部のイソシアネート、0.06部の触媒、4.9部のo,o’−ジアリルビスフェノールAを用い、キャッピングするステップにおいて21.0部のo,o’−ジアリルビスフェノールAを用いる。強化剤6のM
nは5900、M
wは13,700である。
【0116】
60.1部の分子量2000のポリテトラヒドロフランを、窒素下で60℃に加熱し、当該加熱ポリオールを、0.4部のトリメチロールプロパンと、均質になるまで混合することによって、強化剤7を調製する。60℃で、11.6部の1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを添加する。2分間混合した後、0.06部のジブチル錫ジラウレートを添加し、混合物を、窒素下で、85℃で45分間反応させる。生成したプレポリマーのイソシアネート含量は、4.0%である。強化剤7のM
nは7200、M
wは23,800である。
【0117】
当該プレポリマーを、次いで5.3部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと混合し、85℃で40分間、再び窒素下で反応させて、イソシアネート含量が1.9%の鎖延長化プレポリマーを形成する。
【0118】
当該鎖延長化プレポリマーを、次いで22.6部のo,o’−ジアリルビスフェノールAと窒素下で混合する。混合物を、85℃で25分間撹拌させ、鎖延長化プレポリマー上に残っているイソシアネート基をキャップする。イソシアネート含量は、ゼロまで減る。生成した強化剤(強化剤7)を、真空下で脱気する。
【0119】
一液型の加熱活性化接着剤配合物を、強化剤5〜7それぞれから調製する。実施例5〜7のための配合率は、実施例1のために表1で示したものと同じであるが、ただし、強化剤1をそれぞれ等量の強化剤5〜7に置き換えている。
【0120】
実施例5〜7の貯蔵安定性を、前と同じように評価し、結果を表6に示す。
【0122】
表6のデータは、貯蔵安定性が向上したことによる利益が、各種強化剤組成物の全般にわたって見られることを示す。
【0123】
衝撃剥離試験を、接着剤の実施例1〜7について、および構造用接着剤の2つの市販製品(比較接着剤EおよびF)について行う。基板は、1.5mmの1403鋼とする。ISO 11343楔衝撃法に従って、衝撃剥離試験を行う。2m/秒の操作速度で試験を行う。23℃で衝撃剥離試験を行い、強度をN/mmで測定する。
【0124】
衝撃剥離試験用の試験片は、90mm×20mmとし、接合領域を30×20mmとする。サンプルは、アセトンで拭って調製する。テフロンテープを試験片へ貼り付けて、接合領域を画定する。次いで、構造用接着剤を、1つの試験片の接合領域へ塗布し、他方の試験片上へ押し付けて各試験体を調製する。接着剤層を0.2mm厚とする。二枚合わせのサンプルを、180℃で30分間硬化する。
【0125】
二枚合わせの試験片を調製し、DIN ISO 1465に従って重ね剪断強度について評価する。基材は、BCO4等級の1.0mmの冷間圧延鋼とする。10mm/分の試験速度で、試験を行う。23℃で試験を行う。試験サンプルは、各接着剤を用いて調製する。いずれの例の接合領域も25×10mmとする。接着剤層を0.2mm厚とする。二枚合わせの試験体を、180℃で30分間硬化する。
【0126】
硬化済み接着剤サンプルのガラス転移温度を、DSCにより測定する。ガラス転移温度(T
g)、ならびに衝撃剥離および重ね剪断試験の結果は、表7に示すとおりである。
【0128】
表7のデータは、本発明による接着剤が、硬化したとき、市販の接着剤に匹敵するか、またはそれを上回る特性を有することを示している。特に、多くの例で、重ね剪断および衝撃剥離強度が著しく高くなっている。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
A)少なくとも1種のエポキシ樹脂、
B)キャップされたイソシアネート基を含有する反応性エラストマー型強化剤、および
C)1種または複数のエポキシ硬化剤
を含み、前記エラストマー型強化剤が、
a)ポリイソシアネートの過剰量を、当量300〜3000のポリオールと、または当量300〜3000のポリオールと分枝剤との混合物と、反応させて、イソシアネート末端プレポリマーを形成するステップ、
b)前記イソシアネート末端プレポリマーを、鎖延長剤と反応させて、鎖延長化イソシアネート末端プレポリマーを生成するステップ、および
c)前記鎖延長化イソシアネート末端プレポリマーの末端イソシアネート基の少なくとも90%を、モノフェノール、ポリフェノールまたはアミノフェノールから選択されるキャッピング剤でキャップするステップ
によって形成される、一液型構造用接着剤。
[2]
当量300〜3000のポリオールが、ポリエーテル、ヒドロキシル末端ポリブタジエン、またはポリエーテルとヒドロキシル末端ポリブタジエンとの混合物である、[1]に記載の構造用接着剤。
[3]
鎖延長剤が、2個のフェノール性ヒドロキシル基を含有する、[1]または[2]に記載の構造用接着剤。
[4]
キャッピング剤が、モノフェノールである、[1]から[3]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[5]
キャッピング剤が、ポリフェノールである、[1]から[3]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[6]
キャッピング剤が、アミノフェノールである、[1]から[3]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[7]
エポキシ樹脂が、多価フェノールのジグリシジルエーテルを少なくとも1種含む、[1]から[6]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[8]
少なくとも1種のエポキシド末端液状ゴムを含有する、[1]から[7]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[9]
昇温に曝露されたときのみ活性化する潜在触媒をさらに含む、[1]から[8]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[10]
潜在触媒が、ポリ(p−ビニルフェノール)マトリックス中に組み込まれた2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、またはノボラック樹脂中へ配合された2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールである、請求項9に記載の構造用接着剤。
[11]
硬化剤が、三塩化ホウ素/アミン錯体、三フッ化ホウ素/アミン錯体、ジシアンジアミド、メラミン、ジアリルメラミン、アセトグアナミンおよびベンゾグアナミン、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、セミカルバジド、シアノアセトアミド、ならびにジアミノジフェニルスルホンのうち1種または複数を含む、[1]から[10]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[12]
炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、カーボンブラック、紡織繊維、ガラス粒子もしくはガラス繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、ケイ酸塩鉱物、雲母、粉末石英、酸化アルミニウム水和物、ベントナイト、珪灰石、カオリン、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、ポリ尿素化合物、ポリアミド化合物、またはアルミニウム粉、鉄粉、もしくは200ミクロンまでの平均粒径および0.2g/ccまでの密度を有するマイクロバルーンのうち1種または複数をさらに含む、[1]から[11]のいずれかに記載の構造用接着剤。
[13]
[1]から[12]のいずれかに記載の構造用接着剤を2つの部材の表面へ塗布すること、および前記構造用接着剤を硬化して、2つの部材間の接着結合を形成することを含む、方法。