(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は本発明の導光板の一実施例を示す斜視図である。
図2は
図1の導光板を示す側面図である。
図3は
図2の部分的な拡大図である。該導光板1は薄膜基部11と少なくとも1つの微構造体12とを含む。本実施例では、前記導光板1が複数の微構造体12を含む。前記薄膜基部11は、第1の側面111及び第2の側面112を備え、且つ該第2の側面112が前記第1の側面111に対向する。
【0009】
前記微構造体12は、前記薄膜基部11の前記第1の側面111又は第2の側面112に位置する。本実施例では、前記微構造体12が前記薄膜基部11の前記第2の側面112に位置し、且つ該微構造体12が第1の表面121及び第2の表面122を含む。該第2の表面122は前記第1の表面121の上部に位置する。基準面20は、前記薄膜基部11の前記第1の側面111又は前記第2の側面112に垂直な仮想面と定義される。すなわち、前記導光板1が垂直に直立する場合、前記基準面20は仮想水平面となる。前記第1の表面121と前記基準面20との間に第1の夾角θ
1を備える。前記第2の表面122と前記基準面20との間に第2の夾角θ
2を備える。
【0010】
本実施例では、前記第1の夾角θ
1の値は25度〜60度の間にあり、且つ前記第2の夾角θ
2の値は0度〜15度の間にある。前記第1の表面121と前記第2の表面122の間の夾角(即ち、前記第1の夾角θ
1と前記第2の夾角θ
2との合計)の値は25度〜75度の間にある。好ましくは、前記第1の夾角θ
1の値は第2の夾角θ
2の値と異なり、前記第1の夾角θ
1の値は30度〜55度の間にあり、前記第2の夾角θ
2の値は5度〜10度であり、且つ前記第1の表面121と前記第2の表面122の間の夾角(即ち、前記第1の夾角θ
1と前記第2の夾角θ
2との合計)の値は35度〜65度の間にある。本実施例では、前記微構造体12の断面は略三角形を呈し、且つ前記第1の表面121と第2の表面122とは相交わる。
【0011】
前記薄膜基部11の材料は前記微構造体12の材料と異なるものであってもよい。前記薄膜基部11と前記微構造体12は透光性材料で製造され、たとえば、ポリメタクリル酸メチル(Polymethyl Methacrylate:PMMA)、アクリル系ポリマー(Acrylic−based Polymer)、ポリカーボネート(Polycarbonate:PC)、ポリエチレンテルフタレート(Polyethylene Terephthalate:PET)、ポリスチレン(Polystyrene:PS)、又はそれらの共重合体(Copolymer)であり、前記薄膜基部11の材料が前記微構造体12の材料と異なってもよいことは理解できる。上述した透光性材料の屈折率は1.35〜1.65の間にあることが好ましく、光透過率は0.75〜0.95の間にあることが好ましい。
【0012】
実際の使用において、複数の入射光ビーム30が前記導光板1を通過後、複数の出射光ビーム31となる。本実施例では、前記複数の入射光ビーム30は太陽光であり、且つ前記微構造体12は前記複数の入射光ビーム30に対向する。他の実施例では、前記微構造体12の裏面は前記複数の入射光ビーム30に対向し、言い換えると、前記複数の入射光ビーム30は前記薄膜基部11の前記第1の側面111を照射する。
【0013】
図2に示すように、前記出射光ビーム31と前記導光板1との間の角度を出射角度θ
3と定義する。当該出射光ビーム(即ち、前記出射光ビーム32)が下向きで且つ前記導光板1と平行である場合、該出射角度θ
3を0度と定義する。前記出射光ビーム(即ち、前記出射光ビーム33)が水平で且つ前記基準面20と平行である場合、該出射角度θ
3を90度と定義する。前記出射光ビーム(即ち、前記出射光ビーム34)が上向きで且つ前記導光板1と平行である場合、該出射角度θ
3を180度と定義する。
【0014】
前記入射光ビーム30と前記基準面20との間の角度を入射角度θ
4と定義する。前記入射光ビーム30が下向きである場合、該入射角度θ
4を正値と定義する。前記入射光ビーム(図示せず)が水平で且つ前記基準面20と平行である場合、該入射角度θ
4を0度と定義し、且つ前記入射光ビーム(図示せず)が上向きである場合、該入射角度θ
4を負値と定義する。
【0015】
図3に示すように、前記複数の入射光ビーム30は、前記微構造体12の第2の表面122を通過して屈折され、前記微構造体12に進入し、且つ前記微構造体12の第1の表面121で反射される。そして、反射された前記複数の入射光ビーム30は前記薄膜基部11を通過して前記複数の出射光ビーム31となる。前記第1の夾角θ
1と前記第2の夾角θ
2の特別な設計により、前記複数の入射光ビーム30が前記第1の表面121で反射されることに特に注意すべきである。また、前記複数の出射光ビーム31が前記出射角度θ
3の特定範囲に集中される。すなわち、前記出射角度の特定範囲内の前記複数の出射光ビーム31の総光束は、前記出射角度のその他の範囲の他の出射光ビーム31と比較すると、ピーク値である。
【0016】
本実施例では、前記複数の入射光ビーム30の入射角度θ
4は10度〜80度の間にあり、且つ出射角度が70度〜110度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束は、出射角度が0度〜180度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束の40%より大きく、好ましくは50%、60%又は70%より大きい。
【0017】
図4は本発明の導光板の他の態様を示す。前記微構造体12はさらに曲面の面取り面(curved chamfer)123を含む。該曲面の面取り面123は前記第1の表面121と前記第2の表面122の間に位置し、且つ前記第1の表面121と前記第2の表面122に隣接する。また、他の実施例では、前記曲面の面取り面123は2つの微構造体12の間に隣接することもできる。
【0018】
図5は測定機器を利用して本発明の導光板を測定する説明図である。該測定機器は8つの光源61、62、63、64、65、66、67、68と37つの受光器69を含む。前記導光板1は前記測定機器6の中部に位置し、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68は前記導光板1の左側に位置し、且つ前記複数の受光器69は前記導光板1の右側に位置する。前記複数の受光器69は前記導光板1を取り囲んで半円形を形成し、且つ前記複数の受光器69の間隔は等しい。よって、前記複数の受光器69は、前記複数の出射光ビーム31の0度から180度までの5度ごとの光束(例えば、ルーメン(Lumen))を測定することができる。
【0019】
前記光源61は入射角度が10度である入射光ビームを発生し、前記光源62は入射角度が20度である入射光ビームを発生し、前記光源63は入射角度が30度である入射光ビームを発生し、前記光源64は入射角度が40度である入射光ビームを発生し、前記光源65は入射角度が50度である入射光ビームを発生し、前記光源66は入射角度が60度である入射光ビームを発生し、前記光源67は入射角度が70度である入射光ビームを発生し、且つ前記光源68は入射角度が80度である入射光ビームを発生する。前記複数の光源61〜68が同時にオンされる。
【0020】
下記の表1は前記導光板1の第1の態様の測定結果を示す。前記導光板1の第1の態様では、前記第1の夾角θ
1が30度であり、且つ前記第2の夾角θ
2が10度である。表1において、出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比(84.23%)は、前記複数の受光器69により測定された出射角度が0度〜180度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束の、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68により提供された総光束に対する比を示す。出射角度θ
tが60度〜120度の間である光束比(77.19%)は、前記複数の受光器69により測定された出射角度が60度〜120度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束の、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68により提供された総光束に対する比を示す。出射角度θ
tが70度〜110度の間である光束比(63.97%)は、前記複数の受光器69により測定された出射角度が70度〜110度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束の、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68により提供された総光束に対する比を示す。出射角度θ
tが80度〜100度の間である光束比(42.72%)は、前記複数の受光器69により測定された出射角度が80度〜100度の間である前記複数の出射光ビーム31の総光束の、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68により提供された総光束に対する比を示す。
【0021】
出射角度θ
tが70度〜110度の間/出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比(75.95%)は、出射角度θ
tが70度〜110度の間である光束比(63.97%)と出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比(84.23%)との比を示す。
【0023】
表1に示すように、本発明の前記第1の夾角θ
1(30度)と前記第2の夾角θ
2(10度)の特別な設計により、出射角度θ
tが70度〜110度の間/出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比は75.95%であり、75.95%の前記複数の出射光ビーム31が70度〜110度の間の出射角度に導かれることを示す。前記70度〜110度の間の出射角度が好ましい範囲であり、前記導光板1が前記複数の入射光ビーム30を該導光板1と垂直に導光して出射させることができることを示し、即ち正面方向(normal direction)の放射機能に優れることを示す。
【0024】
図6は
図5の測定機器を利用した比較例を示す説明図である。該比較例と
図5の相違点は、前記比較例に測定対象物がないことである。その他、
図6の測定条件が
図5の測定条件と同様である。下記の表2は前記比較例の測定結果を示す。
【0026】
表2に示すように、前記比較例が導光板を有していないので、導光効果を有しておらず、25.00%のみの前記複数の出射光ビーム31が70度〜110度の間の出射角度となる。
【0027】
下記の表3は前記導光板1の第2の態様の測定結果を示す。前記導光板1の第2の態様では、前記第1の夾角θ
1は30度であり、且つ前記第2の夾角θ
2は5度である。その他の測定条件は第1の態様の測定条件と同様である。
【0029】
表3に示すように、本発明の前記第1の夾角θ
1(30度)と前記第2の夾角θ
2(5度)の特別な設計により、出射角度θ
tが70度〜110度の間/出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比は83.61%であり、83.61%の前記複数の出射光ビーム31が70度〜110度の間の出射角度に導かれることを示す。前記70度〜110度の間の出射角度が好ましい範囲であり、前記導光板1が前記複数の入射光ビーム30を該導光板1と垂直に導光して出射させることができることを示し、即ち正面方向の放射機能に優れることを示す。
【0030】
図7は
図5の測定機器を利用して本発明の導光板の第3の態様を測定する説明図である。前記導光板1の第3の態様では、前記第1の夾角θ
1は35度であり、且つ前記第2の夾角θ
2は10度である。また、前記微構造体12の裏面は前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68に対向し、言い換えると、前記複数の光源61、62、63、64、65、66、67、68は前記薄膜基部11の前記第1の側面111を照射する。その他の測定条件は第1の態様の測定条件と同様である。下記の表4は前記導光板1の第3の態様の測定結果を示す。
【0032】
表4に示すように、出射角度θ
tが70度〜110度の間/出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比は57.75%であり、57.75%の前記複数の出射光ビーム31が70度〜110度の間の出射角度に導かれることを示す。よって、前記導光板1の第3の態様も正面方向の放射機能に優れる。
【0033】
下記の表5は前記導光板1の第4の態様の測定結果を示す。前記導光板1の第4の態様では、前記第1の夾角θ
1は55度であり、且つ前記第2の夾角θ
2は10度である。その他の測定条件は第3の態様の測定条件と同様である。
【0035】
表5に示すように、出射角度θ
tが70度〜110度の間/出射角度θ
tが0度〜180度の間である光束比は58.82%であり、58.82%の前記複数の出射光ビーム31が70度〜110度の間の出射角度に導かれることを示す。よって、前記導光板1の第4の態様も正面方向の放射機能に優れる。
【0036】
図8は本発明の発電モジュールの一実施例を示す側面図である。前記発電モジュール4は導光板1及び少なくとも1つの光電変換素子41を含む。前記導光板1は
図1〜4に示した前記導光板1と同様又は相似であり、導光板1は薄膜基部11と少なくとも1つの微構造体12とを含む。前記光電変換素子41は前記薄膜基部11の第1の側面111又は前記第2の側面112に隣接して設置されて、前記導光板1からの前記複数の出射光ビーム31を受光する。前記光電変換素子41は光線を受光する受光面411を備え、且つ前記受光面411が前記薄膜基部11と略平行である。本実施例では、前記導光板1が上述した第2の態様であり、即ち前記第1の夾角θ
1が30度であり、且つ前記第2の夾角θ
2が5度である。但し、前記導光板1を上述した第1の態様の導光板1に変更することができることは理解できる。本実施例では、前記微構造体12が前記複数の入射光ビーム30に対向するように、導光板1がその第1の側面111を利用して前記光電変換素子41に貼り付けている。好ましくは、前記複数の入射光ビーム30が太陽光ビームであり、且つ前記光電変換素子41が太陽光を電気エネルギーに変換する。
【0037】
図9は
図8の発電モジュールと比較例の発電モジュールの発電効率の比較図であり、該比較例の発電モジュールは上述した前記微構造体12を有していない薄膜基部11が直接前記光電変換素子41に貼り付けられている。図での曲線71は
図8の発電モジュール4が異なる入射光ビームの入射角度における発電効率を示し、且つ曲線72は比較例の発電モジュールが異なる入射光ビームの入射角度における発電効率を示す。曲線72からわかるように、比較例の発電モジュールは入射光ビームの入射角度が0度である時、発電効率が最大であり、入射光ビームの入射角度が大きくなるに伴い、その発電効率が急に漸減する。
図8の発電モジュール4を参照すると、曲線71からわかるように、その発電効率は入射光ビームの入射角度が10度〜80度である時、すべてかなり高い発電効率を維持することができる。これは前記導光板1が正面方向の放射機能を有するので、即ち入射光ビームの入射角度が10度〜80度の間(好ましくは30度〜80度の間)である時、前記導光板1が大多数の光を70度〜110度の間の出射角度に導光して放射させて、前記光電変換素子41に正面方向に投射されて、かなり高い発電効率を維持する。前記入射光ビーム30が太陽光ビームであり、且つ前記発電モジュール4を垂直型ウィンドウセットに組み立てる場合、本発明の導光板1の特別な設計により、かなり高い発電効率を維持することができ、このようにすると、垂直型ウィンドウセットは設置スペースを節約することができ、且つ従来の太陽光追尾システムを搭載する必要がないので、構造が簡単で、製造コストが低い。
【0038】
図10は本発明の発電モジュールのもう一つの実施例を示す側面図である。前記電モジュール5は導光板1及び少なくとも1つの光電変換素子41を含む。前記導光板1は
図1〜4に示した前記導光板1と同様であり、薄膜基部11と少なくとも1つの微構造体12とを含む。前記光電変換素子41は前記導光板1からの前記複数の出射光ビーム31を受光する。前記光電変換素子41は光線を受光する受光面411を備え、且つ、前記受光面411は前記薄膜基部11と略平行である。本実施例では、前記導光板1は上述した第3の態様であり、即ち前記第1の夾角θ
1は35度であり、且つ前記第2の夾角θ
2は10度である。但し、前記導光板1を上述した第4の態様の導光板1に変更することができることは理解できる。本実施例では、前記第1の側面111が前記複数の入射光ビーム30に対向するように、導光板1をその第2の側面112を利用して前記光電変換素子41に貼り付けている。好ましくは、前記複数の入射光ビーム30が太陽光ビームであり、且つ前記光電変換素子41が太陽光を電気エネルギーに変換する。
【0039】
上述した実施例は、本発明の原理およびその効果を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。したがって、当業者が上述した実施例に対して行った修正及び変更も本発明の構想から離脱するものではない。本発明の権利の範囲は後述する特許請求の範囲に記載されたとおりである。