(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035307
(24)【登録日】2016年11月4日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】可変トレーニング情報による移動体装置へのマルチメディア・ストリームの送信
(51)【国際特許分類】
H04H 20/57 20080101AFI20161121BHJP
H04H 60/66 20080101ALI20161121BHJP
H04H 60/40 20080101ALI20161121BHJP
H04J 11/00 20060101ALI20161121BHJP
H04B 7/005 20060101ALI20161121BHJP
H04B 3/10 20060101ALI20161121BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20161121BHJP
H04W 4/06 20090101ALI20161121BHJP
【FI】
H04H20/57
H04H60/66
H04H60/40
H04J11/00 Z
H04B7/005
H04B3/10 C
H04W72/04 136
H04W4/06
【請求項の数】17
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-221853(P2014-221853)
(22)【出願日】2014年10月30日
(62)【分割の表示】特願2013-92056(P2013-92056)の分割
【原出願日】2009年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-73278(P2015-73278A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2014年10月30日
(31)【優先権主張番号】61/130,344
(32)【優先日】2008年5月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】12/167,708
(32)【優先日】2008年7月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505000815
【氏名又は名称】コーヒレント・ロジックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】シェルビー,ケビン・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ナイセン,ピータ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ドーア,マイケル・ビイ
【審査官】
倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−306474(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/138283(WO,A1)
【文献】
O. Simeone and U. Spagnolini,Adaptive pilot pattern for OFDM systems,Communications, 2004 IEEE International Conference on,2004年 6月20日,pp.978-982
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00−99/00
H04H 20/00−20/95
H04H 40/00−40/90
H04H 60/00−60/98
H04J 11/00
H04B 3/10
H04B 7/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信機を含む複数の移動体装置へ視聴覚情報を無線で放送する方法であって、
トレーニング情報をメモリに記憶するステップと、
複数のパケットを生成するステップと、を含み、前記複数のパケットの第1の部分が前記トレーニング情報を含み、前記トレーニング情報の量は一日の時間帯に依存し、より多くの受信機が移動している時間中には、前記量が多く、
前記複数のパケットの少なくとも1つが、複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを識別する第1の情報を含み、前記第1のトレーニング・パターンが、前記複数のパケット内の前記トレーニング情報の1又はそれ以上の場所を指定し、前記複数のパケットが視聴覚情報をさらに含み、前記第1の情報を前記受信機が使用して、前記複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを決定することができ、
前記複数のパケットを、周波数領域において変調された信号で、無線で送信するステップをさらに含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記一日の時間帯に依存する量の前記トレーニング情報を含む前記複数のパケットを生成することは、前記周波数領域において変調された信号におけるトレーニングシンボルの量を変更することを含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の考えられるトレーニング・パターンの各々が、異なる量のトレーニング情報を指定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の考えられるトレーニング・パターンの各々が、トレーニングシンボルとして、前記周波数領域で変調された前記信号の複数のシンボルの異なるサブセットを指定する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のパケットのサブセットが制御情報を含み、前記第1の情報が、前記制御情報を含む前記複数のパケットの前記サブセット内に存在する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
複数の移動体装置へコンテンツを無線で放送するためのシステムであって、前記システムは送信論理回路を含み、
前記送信論理回路は、
複数のパケットを生成し、前記複数のパケットの第1の部分がトレーニング情報を含み、前記トレーニング情報の量は一日の時間帯に依存し、より多くの移動体装置が移動している時間中には、前記量が多く、
前記複数のパケットの少なくとも1つが、複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを識別する第1の情報を含み、前記第1のトレーニング・パターンが、前記複数のパケット内の前記トレーニング情報の1又はそれ以上の場所を指定し、前記複数のパケットがコンテンツをさらに含み、前記第1の情報を前記移動体装置が使用して、前記複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを決定することができ、
前記複数のパケットを、周波数領域において変調された信号で、無線で送信する、
ように構成されている、ことを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記考えられるトレーニング・パターンの各々が、前記周波数領域で変調された信号のトレーニングシンボルの異なる量を含む、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記考えられるトレーニング・パターンの各々が、トレーニングシンボルとして、前記周波数領域で変調された信号の複数のシンボルの異なるサブセットを指定する、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記システムはさらに、前記送信論理回路に結合された送信機であって、前記複数のパケットを、前記周波数領域で変調された信号を使用して無線で送信するように構成された送信機を含むこと、を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記コンテンツは視聴覚情報を含むこと、を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
前記コンテンツは文字情報を含むこと、を特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項12】
前記トレーニング・パターンの前記指示は、直交ゴールド・コードを含み、複数の直交ゴールド・コードの各々が、前記複数の考えられるトレーニング・パターンの各々に対応する、ことを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項13】
1つまたは複数の受信機へコンテンツを無線で送信するためのパケットを生成するためのプログラム命令を記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記プログラム命令が、複数のパケットを生成するように実行可能であり、前記複数のパケットの第1の部分がトレーニング情報を含み、前記トレーニング情報の量は一日の時間帯に依存し、より多くの受信機が移動している時間中には、前記量が多く、
前記複数のパケットの少なくとも1つが、複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを識別する第1の情報を含み、前記第1のトレーニング・パターンが、前記複数のパケット内の前記トレーニング情報の1又はそれ以上の場所を指定し、
前記複数のパケットがコンテンツ情報をさらに含み、
前記第1の情報を前記1つまたは複数の受信機が使用して、前記複数の考えられるトレーニング・パターンのうちの第1のトレーニング・パターンを決定することができ、
前記複数のパケットが、前記1つまたは複数の受信機へ周波数領域で変調された信号を使用して無線で送信されるように構成される、ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項14】
前記一日の時間帯に依存する量の前記トレーニング情報を含む前記複数のパケットを生成することは、前記周波数領域において変調された信号におけるトレーニングシンボルの量を変更することを含む、こと特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項15】
前記複数の考えられるトレーニング・パターンの各々が、異なる量のトレーニング情報を指定する、ことを特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項16】
前記複数の考えられるトレーニング・パターンの各々が、トレーニングシンボルとして、前記周波数領域において変調された前記信号の複数のシンボルの異なるサブセットを指定する、ことを特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。
【請求項17】
前記コンテンツは視聴覚情報を含み、
前記複数のパケットは、デジタルテレビ放送規格に従って、周波数領域で変調された信号を使用して無線で前記1つまたは複数の受信機に送信されるように構成されている、ことを特徴とする請求項13に記載の記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動体テレビジョン放送システムに関し、より詳細には、1つの実施形態では、移動体装置及びハンドヘルド装置に対する移動体サービスのための現行のATSCデジタルTV放送システムの強化に関する。
【背景技術】
【0002】
ATSC(Advanced Television Systems Commitee)規格は、アナログNTSCテレビジョン・システムに取って代わるデジタル・テレビジョン・フォーマットに関する規格である。ATSC規格は、以前のNTSC規格の表示解像度の6倍を超える最大1920×1080画素のサイズの標準的な4:3の画像又はワイドスクリーンの16:9の画像を生成する高繊細度テレビの規格である。ATSC規格は、単一の6MHzTVチャンネル上で複数の標準画質の「仮想チャンネル」放送を転送することに備えている。ATSC規格はまた、ドルビー・デジタルAC−3フォーマットを使用して5.1チャンネル・サラウンド・サウンドを提供する「シアター品質」音響も含む。ATSC規格はまた、数多くの補助的なデータ放送サービスも提供する。
【0003】
ATSC規格は、データのカプセル化(転送)にMPEG−2システム仕様を使用する。より詳細には、ATSCは、データを搬送するために188バイトのMPEGトランスポート・ストリーム・パケットを使用する。MPEG−2は、「トランスポート・ストリーム」、「MPEG−TS」、又は単に「TS」とも呼ばれる。受信機側において、音声及びビデオを復号する前に、受信機が信号を復調してエラー訂正を適用する。その後、トランスポート・ストリームをその成分ストリームに逆多重化(デマルチプレクス操作)することができる。ビデオの符号化及び復号には、MPEG−2、H.264、VC−1などのビデオ・コーデックが特定の制約に従って使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以前は、ATSC規格を使用して送信されたデジタルテレビ局の移動体受信は困難ないし不可能であった。例えば、自動車の速度で移動しているときにデジタル・テレビ局を移動体受信することは非常に困難である。従って、移動体受信を向上させるためのデジタル・テレビジョン信号を送信及び/受信するためのシステム及び方法を改善することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
視聴覚情報を無線で送信するためのシステム及び方法の様々な実施形態を示す。1つの実施形態の組は、視聴覚情報を移動体装置へ無線で送信するためのシステム及び方法に関する。別の実施形態の組は、視聴覚情報を移動体装置により無線で受信するためのシステム及び方法に関する。この視聴覚情報は、8−VSB変調などを使用して、ATSC(Advanced Television Standards Committee)規格に従ってパケット化することができる。
【0006】
以下で説明する方法は、可変量のトレーニング情報を含むマルチメディア・ストリームを移動体装置へ送信し及び/又はこれを移動体装置により受信することに使用することができる。可変量のトレーニング情報を可能にするシステムを使用することにより、トレーニング情報対(視聴覚情報などの)ペイロード情報の帯域幅割り当てを様々な因子に応じて動的に調整することができる。例えば、イコライザ技術が進歩するにつれ、トレーニング情報の量が、移動受信状態に同じ利益をもたらすために現在必要なトレーニング情報の量よりも少なくて済むようになり、現在トレーニング情報に割かれている帯域幅の一部又は全てを視聴覚情報に再割り当てすることができる。従って、技術の発達などにつれて、より長い期間にわたって動的調整を行うことができる。或いは、より短い時間スパンで動的調整を行うこともでき、例えば、一日のうちのより多くの受信機が移動している(一般的な通勤時間中などの)時間中には、一日のうちの固定受信が一般的である(「ゴールデンタイム」又は昼間などの)時間よりも多くの帯域幅をトレーニング情報に割り当てることができる。
【0007】
視聴覚情報を移動体装置へ送信する方法は、トレーニング情報をメモリに記憶するステップを含むことができる。複数のパケットを生成することができ、その第1の部分はトレーニング情報を含むことができる。複数のパケットは、視聴覚情報を含むこともできる。複数のパケットのうちの少なくとも1つのパケットは、複数の考えられるトレーニング・パターンの第1のトレーニング・パターンを識別できる第1の情報を含むことができる。1つの実施形態では、この第1の情報を直交ゴールド・コードとすることができ、複数の直交ゴールド・コードの各々が、複数の考えられるトレーニング・パターンの各々に対応する。
【0008】
第1のトレーニング・パターンは、複数のパケットに含まれるトレーニング情報の1又はそれ以上の場所を指定することができる。第1のトレーニング・パターンは、例えばトレーニング情報の一部のみが送信中である場合、どのトレーニング情報が送信中であるか、及びどのトレーニング情報が複数パケット内のどの場所にあるかを指定することもできる。例えば、考えられるトレーニング・パターンの各々は、複数のパケット内の異なる量及び/又は数のトレーニング情報の場所を指定することができる。1つの実施形態では、(第1のトレーニング・パターンなどの)トレーニング・パターンの1つが、複数のパケット内にトレーニング情報が存在しないことを指定することができる。
【0009】
第1の情報を受信機が使用して、複数の考えられるトレーニング・パターンの第1のトレーニング・パターンを決定することができる。第1の情報を、複数のパケットのための制御情報とともに含めることができる。1つの実施形態では、制御情報が、独自の複数のパケットのサブセットを構築することができる。例えば、制御情報は、視聴覚情報及び/又はトレーニング情報とは別のパケット内に存在することができる。
【0010】
第1のトレーニング・パターンにより、トレーニング情報のために使用できる複数のパケット内の場所が全てトレーニング情報を含むものとして指定されているわけではない場合、これらの場所をトレーニング情報の代わりに視聴覚情報のために使用することができる。換言すれば、複数の考えられるトレーニング・パターンの少なくとも1つが、複数のパケット内のトレーニング情報の第1の場所を指定し、第1のトレーニング・パターンが、この第1の場所がトレーニング情報を含まないことを指定する場合、この複数のパケット内の第1の場所は視聴覚情報を含むことができる。
【0011】
複数のパケットは、無線で送信することができる。従って、例えば受信機を含む移動体装置へパケットを送信することができる。例えばアンテナを含む送信機により、複数のパケットを送信することができる。
【0012】
視聴覚情報を移動体装置へ無線で送信する方法は、トレーニング情報を記憶するためのメモリ、このメモリに結合され、パケットを生成するように構成された送信論理回路、及び複数のパケットを送信するための送信機、のうちの一部又は全てを様々な実施形態において含むことができるシステムにより部分的に又は完全に実施することができる。
【0013】
視聴覚情報を移動体装置により無線で受信して提示するための方法は、トレーニング情報をメモリに記憶するステップを含むことができる。トレーニング情報の送信バージョンを含む複数のパケットを無線で受信することができる。複数のパケットは、視聴覚情報を含むこともできる。複数のパケットは、複数のパケットのうちの少なくとも1つのパケットから決定できる第1の情報をさらに含むことができる。この第1の情報は直交ゴールド・コードとすることができ、複数の直交ゴールド・コードの各々は、複数の考えられるトレーニング・パターンの各々に対応する。第1の情報は、複数の考えられるトレーニング・パターンの第1のトレーニング・パターンを識別することができる。
【0014】
第1のトレーニング・パターンは、複数のパケットに含まれるトレーニング情報の1又はそれ以上の場所を指定することができる。第1のトレーニング・パターンは、どのトレーニング情報が複数のパケットに含まれるか、例えば、トレーニング情報の一部だけが含まれるかどうか、及びどのトレーニング情報が複数のパケットのどの場所にあるかを指定することもできる。例えば、考えられるトレーニング・パターンの各々は、複数のパケット内の異なる量及び/又は数のトレーニング情報の場所を指定することができる。1つの実施形態では、(第1のトレーニング・パターンなどの)トレーニング・パターンの1つが、複数のパケット内にトレーニング情報が存在しないことを指定することができる。
【0015】
移動体装置は、第1のトレーニング・パターンを第1の情報に基づいて決定することができる。これにより、移動体装置は、複数のパケット内のトレーニング情報の送信バージョンの1又はそれ以上の場所を判定することができる。
【0016】
第1の情報を、複数のパケットのための制御情報とともに含めることができる。1つの実施形態では、制御情報が、独自の複数のパケットのサブセットを構成することができる。例えば、制御情報は、視聴覚情報及び/又はトレーニング情報とは別のパケット内に存在することができる。
【0017】
第1のトレーニング・パターンにより、トレーニング情報のために使用できる複数のパケット内の場所が全てトレーニング情報を含むものとして指定されているわけではない場合、これらの場所をトレーニング情報の代わりに視聴覚情報のために使用することができる。従って、複数の考えられるトレーニング・パターンの少なくとも1つが、複数のパケット内のトレーニング情報の第1の場所を指定し、第1のトレーニング・パターンが、この第1の場所がトレーニング情報を含まないことを指定する場合、移動体装置は、この複数のパケット内の第1の場所が視聴覚情報を含むと判断することができる。
【0018】
移動体装置は、トレーニング情報の送信バージョン及びトレーニング情報の記憶バージョンを使用して受信機をトレーニングすることができる。換言すれば、移動体装置は、トレーニング情報の送信バージョンと記憶バージョンの比較に基づいてイコライザを更新することができ、この比較は、移動中の受信状態を追跡する際に有益となることができ、ひいては受信機の視聴覚情報を処理して移動体装置上に提示するための能力を改善することができる。
【0019】
視聴覚情報の少なくとも一部を、移動体装置上に提示することができる。この処理は、ビデオ情報をディスプレイ上に提示(例えば表示)するステップ、及び/又は音声情報を1又はそれ以上のスピーカ上に提示(例えば再生)するステップを含むことができる。
【0020】
移動体装置は、視聴覚情報を移動体装置により無線で受信する方法を実施することができる。移動体装置は、パケットを無線で受信するためのアンテナと、使用するトレーニング情報を決定し、視聴覚情報を処理し、処理した視聴覚情報を提示するための、アンテナに結合された受信機論理回路と、実際に視聴覚情報を提示できるディスプレイ及び/又は1又はそれ以上のスピーカとを含むことができる。
【0021】
以下の好ましい実施形態の詳細な説明を以下の図面と併せて検討すれば、本発明をより完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】1つの実施形態によるデジタル・テレビジョン放送システムを示す図である。
【
図2】1つの実施形態による、視聴覚情報を移動体装置へ無線で送信する方法を示すフロー図である。
【
図3】移動体装置が視聴覚情報を無線で受信して提示する方法を示すフロー図である。
【
図4】1つの実施形態による16ビット直交ゴールド・コードの表である。
【
図5】1つの実施形態による、
図26に示すゴールド・コードをトレーニング・シーケンスパターンにマップした表である。
【
図6】バイト・インターリービング後に見られるM/Hフレーム・フォーマットの1つの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、様々な修正及び代替の形態が可能であるが、図面には本発明の特定の実施形態を一例として示し、本明細書ではこれらについて詳細に説明する。しかしながら、図面及びこれらの詳細な説明は、開示する特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲により定められる本発明の思想及び範囲内にある全ての修正、同等物及び代替手段を含むことを意図するものであると理解されたい。
【0024】
図1−デジタル・テレビジョン放送システム
図1は、本発明の1つの実施形態による例示的な放送システム100を示している。1つの実施形態では、この放送システムをデジタル・テレビジョン放送システムとすることができる。本明細書で説明する放送システム100を、本明細書で説明する様々な方法を含めて使用して、視聴覚情報及びその他のデータを含む様々な種類のデータのいずれかを放送することができる。
【0025】
本明細書で使用する「視聴覚情報」という用語は、ビデオデータ及び/又は音声データを含む様々な種類の情報又はデータのいずれかを含む。「ビデオデータ」という用語は、(テレビ、映画、ストリーミングビデオ、その他、及びJPEGなどの画像データのような)動画ビデオを含む。「視聴覚情報」という用語は、実行時に装置に(ディスプレイ上に)ビデオデータを、及び/又は(スピーカ上に)音声データを提示させる様々な種類の情報又はプログラム命令のいずれかをさらに含む。例えば、「視聴覚情報」という用語は、提示装置上に(画像、ビデオ、及び/又は音声などの)ゲームコンテンツを提示するために利用及び/又は実行できる(プログラム命令及び/又はデータを含む)様々な種類のゲームコンテンツのいずれかを含む。
【0026】
本出願では、本明細書で説明する放送システム100及び様々な方法について、視聴覚情報を送信して特定のデジタル・テレビジョンにおいて受信機装置により提示するという状況で説明する。しかしながら、本明細書で説明する放送システム100及び様々な方法を使用して、(視聴覚情報、電子メール、ファイル、テキスト文書、地震データ、測定データ、気象データなどの)様々な種類のデータのいずれかを送信/受信することもでき、視聴覚情報は1つの代表例にすぎない。
【0027】
1つの実施形態の組では、放送システムが、8−VSB変調などを使用してATSC(Advanced Television Standards Committee)規格に基づいて動作することができる。或いは、この放送システムは、ATSC規格の修正版に基づいて、或いは別の規格に基づいて動作することができる。例えば、移動中の受信機に視聴覚情報を送信するためには、ATSC規格のMobile/Handheld(M/H)修正版が使用される。現行のM/Hシステムは、E−VSBサービス多重化のために定められた方法に従うNULLパケットにカプセル化されたメイン・サービス・ストリームと同時にM/Hサービスをバーストの形で転送する。本システムは、さらなるロバスト性のために直列連結畳み込み符号化(SCCC)を使用する。M/H受信を援助するために、既存のM/Hシステムは、基本の8VSB転送に移動体パケット・データで多重化された追加のトレーニングを加えて補い、送信時にトレーニング・データが連続バイト(トレーニング当たり2フルセグメント)で出現するようにしている。従って、利用可能な場合、受信機は、高速で移動するチャンネル状態を追跡するために、この追加のトレーニング情報を利用して受信機のイコライザを更新することができる。本明細書に開示する実施形態の具体例は、ATSC規格のM/H修正版の一部に基づくこと、又はこれを含むことができ、M/H及びATSC規格のさらなる変形版及び修正版を含むこともできる。しかしながら、本明細書に開示する視聴覚情報の送信に関する実施形態は、必ずしもATSC又はM/Hシステムとの使用に限定されるものではなく、DVB−T/H、ISDB−T、DMB−T/Hなどの他の規格及び/又は修正スキームに基づく視聴覚情報の送信にも等しく適用することができる。
【0028】
図示のように、システム100は、送信システム(又は送信システム)102と、(移動体装置112A〜112Dなどの)1又はそれ以上の移動体装置112と、少なくとも1つの固定装置114とを含む。上述したように
図1は例示にすぎず、例えば例示的なシステムは、1又はそれ以上の送信システム102と、複数の移動体装置112と、複数の固定装置114とを含むことができる。
【0029】
送信システム102は、視聴覚情報を1又はそれ以上の移動体装置112へ無線で送信するように構成される。より詳細には、送信システム102を、デジタル・テレビジョン信号/チャンネルを移動体装置112へ送信するように構成することができる。移動体装置112は、視聴覚情報を受信して提示することができ、例えばデジタル・テレビジョン信号/チャンネルを受信して提示することができる。送信システム102はまた、視聴覚情報を(固定テレビなどの)固定装置114へ無線で送信するように構成することもできる。送信システム102を、視聴覚情報をテレビなどの1又はそれ以上の固定装置114へ送信するように構成することもできる。
【0030】
便宜上、本明細書では、本発明の実施形態を移動体装置112による受信に関して説明する。また一方、当然ながら本明細書で説明する本発明の様々な実施形態を固定装置による受信に使用することもできる。従って、本明細書で説明する様々な方法のいずれかを、移動体装置112又は固定装置114、又はこれらの両方とともに望む通りに利用することができる。
【0031】
送信システム102は、送信機106と、この送信機106に結合された送信論理回路104とを含む。送信論理回路104は、(付属のソフトウェアを含む)1又はそれ以上のコンピュータシステム、デジタル論理回路、アナログ論理回路、プログラマブルゲートアレイなどの様々な種類の論理回路のいずれか、又はこれらの組み合わせを含むことができる。送信論理回路104は、(テレビデータなどの)視聴覚情報を受信及び/又は記憶して、この視聴覚情報を含むパケットを生成するようにされる。送信論理回路104は、8−VSB変調などを使用して、ATSC(Advanced Television Standards Committee)規格などの様々な規格のいずれかに基づいてパケットを生成することができる。送信システム102は、DVB−T/H、ISDB−T、DMB−T/Hなどの他の変調手法を使用することもできる。送信論理回路を、エラー訂正符号化情報を生成するようにすることもできる。例えば、送信論理回路を、(以下に限定されるわけではないが、)(トレリス符号化などの)畳み込み符号化、(リードソロモン符号化などの)ブロック符号化、又はその他のエラー訂正技術を含む様々な種類のエラー訂正技術のいずれかを使用してデータを符号化するように構成することができる。送信論理回路を、2以上のエラー訂正技術を使用してデータを符号化するように構成することができる。送信論理回路104を、制御情報を含むパケットを生成するように構成することもできる。1つの実施形態では、デジタル・テレビジョン・チャンネルの1又はそれ以上が、テレビなどの固定受信機向けに企図される。デジタル・テレビジョン・チャンネルの1又はそれ以上を、移動体及び/又はハンドヘルド(M/H)(本明細書ではまとめて「移動体」と呼ぶ)装置112向けに企図することもできる。1つの実施形態では、デジタル・テレビジョン・チャンネルの1又はそれ以上を、固定受信機又は移動体装置のいずれかに向けて企図することができる。
【0032】
移動体装置112向けに企図されたデジタル・テレビジョン・チャンネルの場合(そして場合によっては固定装置114及び/又は移動体装置112向けに企図されたチャンネルなどの全てのチャンネルの場合)、送信論理回路104を、エラー訂正符号化情報を含むパケットを生成するように構成することができる。例えば、送信論理回路104は、視聴覚情報のためのエラー訂正符号化情報を生成することができ、またエラー訂正符号化情報を視聴覚情報とは別の(1又は複数の)パケットに含めて、エラー訂正符号化情報を視聴覚情報に関連付けるための制御情報を含む別の(1又は複数の)パケットとともに送信することができる。従って、エラー訂正符号化情報を使用する必要がない、又は使用するように構成されていない(固定受信機などの)受信機は、エラー訂正符号化情報パケットを無視して、視聴覚情報を通常の視聴覚ストリームとして単純に受信できるのに対し、追加のエラー訂正符号化情報を必要とし、このエラー訂正符号化情報を使用するように構成されている(移動体装置などの)受信機は、(制御情報などに基づいて)エラー訂正符号化情報を視聴覚情報に関連付けることにより、よりロバストなシステムを実現することができる。さらに、送信論理回路104が制御情報を使用して、受信機が使用できる新たな種類のエラー訂正符号化を生成して送信することができる。
【0033】
送信論理回路104は、高速で移動中のチャンネル状態を追跡するために受信機のイコライザを更新するためなどのトレーニング情報を含むパケットを生成するように構成することができる。例えば、送信論理回路104(又は、送信論理回路104に結合されたメモリ)は、いくつかの予め定めたトレーニング・シーケンスを記憶することができる。移動体装置はまた、予め定めた同じトレーニング・シーケンスをメモリなどに記憶することもできる。送信論理回路104は、トレーニング・シーケンスの1又はそれ以上を、生成したパケット内の予め定めた場所に含めることができる。送信論理回路104はまた、どのトレーニング・シーケンスがパケットに含まれているか、及びパケットのどこでトレーニング・シーケンスを発見できるかを移動体装置に示す制御情報を含むこともできる。従って、移動体装置は、送信/受信した(単複の)トレーニング・シーケンスを、記憶した(単複の)トレーニング・シーケンスと比較することができる。例えば、移動体装置がイコライザを含む場合、受信したトレーニング・シーケンスと記憶した(基準)トレーニング・シーケンスとの間のあらゆる差異によってイコライザを現在の受信状態に適応できるようにすることができ、これによりパケット内の視聴覚情報の受信(ひいては提示)が改善される。
【0034】
移動体装置112は、ポータブルコンピュータシステム(ラップトップ)112A、(Blackberry、iPhoneなどの)無線電話機112B、携帯情報端末112C、車載型テレビ装置112D、及び受信した視聴覚情報を表示できるその他の種類の携帯機器などの様々な種類の装置のいずれであってもよい。
【0035】
移動体装置112は、送信機106により送信されたパケットを(アンテナなどを使用して)無線で受信するように構成される。それぞれの移動体装置112は、受信した視聴覚情報を処理するための受信機論理回路、及びビデオ情報を提示するためのディスプレイと音声情報を提示するための1又はそれ以上のスピーカとを含むこともできる。従って、移動体装置112の各々は、本明細書で説明するような受信したテレビ・チャンネルを提示するためのテレビのような能力を含むことができる。
【0036】
固定装置114は、液晶ディスプレイ(LCDディスプレイ)、プラズマ・ディプレイなどの従来のテレビのような、固定位置に設置されることを意図された(固定式又は「非モバイル」と呼ぶ)様々な種類の装置のいずれであってもよい。
【0037】
図2−送信フロー図
図2は、視聴覚情報を送信するための方法を示すフロー図である。この方法は、上述したような及び
図1に示すような、送信論理回路及び送信機を含むシステムなどの送信システムにより実施することができる。視聴覚情報は、移動体装置が受信するためのものであってもよく、或いは、この視聴覚情報は、固定装置が、又は移動体装置及び固定装置の両方が受信するためのものであってもよい。なお、様々な実施形態によれば、ステップのうちの1又はそれ以上を省略し、反復し、或いは
図2に示し以下で説明するものとは異なる順序で実施することができる。
【0038】
この方法は、可変量のトレーニング情報を視聴覚情報とともに送信できるようにする。移動中の受信状態を調整するために、受信機内のイコライザがトレーニング情報を使用することができる。移動中の受信機の受信状態は絶えず変化し得るので、トレーニング情報を定期的に一定周期で送信することができる。イコライザが有効であるためには、所与のイコライザに一定量のトレーニングが必要である。しかしながら、イコライザ技術が向上するにつれ、イコライザが移動受信状態に適応するという満足のいく仕事を行うのに必要なトレーニング情報の量が低減され、又は無くなる(例えば、イコライザが実際のデータを「トレーニング」することができる)ようになることが期待できる。従って、場合によっては、トレーニング情報のために指定されていた帯域幅の一部又は全てを視聴覚情報に再割り当てすることが望ましい。換言すれば、後述するように、可変量のトレーニング情報を送信できるようにするシステムを実現することが望ましい。
【0039】
202において、トレーニング情報をメモリに記憶することができる。1つの実施形態では、トレーニング情報をいくつかのトレーニング・シーケンスの形とすることができる。個々のトレーニング・シーケンスは、他のトレーニング・シーケンスと同じ長さ、例えば1又はそれ以上のフィールドセグメントにわたるものであってもよい。1つの実施形態では、6個のトレーニング・シーケンスが存在することができる。受信機がトレーニング情報を使用して受信機のイコライザをトレーニングできるようにするために、トレーニング情報を受信するように構成された移動体装置などのいずれかの対象とする受信機に同一のトレーニング情報を記憶することもできる。
【0040】
204において、視聴覚情報と、トレーニング情報と、トレーニング情報の場所を指定する第1のトレーニング・パターンを識別する第1の情報とを含む複数のパケットを生成することができる。1つの実施形態では、(テレビなどの)固定受信機向けに企図された1又はそれ以上のデジタル・テレビジョン・チャンネルを含むATSC(Advanced Television Standards Committee)DTV(デジタル・テレビジョン)規格に基づいてパケットを生成することができ、これとは別に或いはこれに加えて、パケットは、移動体/ハンドヘルド(M/H)受信機向けに企図された1又はそれ以上のデジタル・テレビジョン・チャンネルを含むことができる。
【0041】
視聴覚情報を含むパケットの生成は、(MPEG−2符号化などを使用して)音声及びビデオデータを符号化するステップ、順方向エラー訂正を適用するステップ、適当なパケットヘッダ及び制御情報を生成するステップなどの様々なステップを含むことができる。順方向エラー訂正は、リードソロモン(RS)符号化、トレリス符号化、巡回冗長コード(CRC)を含むあらゆる数の形、又は複数の方法の組み合わせを含む他のあらゆるエラー訂正符号化の形をとることができる。
【0042】
トレーニング情報は、パケット内の特定の場所に存在することができる。例えば、特定のトレーニング・シーケンスの使用及びこれらのパケット内における場所を定義する、送信機及び受信機の両方が知っているいくつかのトレーニング・パターンが存在してもよい。従って、6個のトレーニング・シーケンスを含むシステムが存在することができ、6個のトレーニング・シーケンスを全て使用するトレーニング・パターンがパケット内に存在することができる。4個のトレーニング・シーケンスのみを使用するトレーニング・パターンが存在してもよく、或いはパケット内にトレーニング・シーケンスを含まないトレーニング・パターンが存在してもよい。同様に、パケット内のトレーニング・シーケンスと場所の様々な考えられる組み合わせのいずれかを使用するあらゆる数のトレーニング・パターンを定義することもできる。
【0043】
あらゆる数のトレーニング・パターンが考えられるが、いくつかの実施形態では、(3個、4個、6個などの)わずかなトレーニング・パターンを定義すれば十分である。例えば、6個のトレーニング・シーケンスが存在する場合、各々がパケット内の特定の場所に存在する6個のシーケンスを使用する1つのパターンが存在することができる。4個、3個、及びゼロ個のトレーニング・シーケンスを使用するパターンも存在することができ、個々のパターンは、使用するトレーニング・シーケンスのためにパケット内の同じ場所を使用する。他のトレーニング・パターンの組も考えられる。
【0044】
なお、考えられるトレーニング・シーケンスが全てパケット内に含まれるわけではないことを指定するトレーニング・パターンを使用する場合、トレーニング・シーケンスのために使用されていない(例えば、別のトレーニング・パターンのトレーニング・シーケンスに使用できたであろう)場所を視聴覚情報のために使用することができる。換言すれば、含んでいるトレーニング情報が別のトレーニング・パターンよりも少ない(例えば、少ないトレーニング・シーケンス)トレーニング・パターンを使用することにより、トレーニング情報のために使用されたであろうはずの(単複の)場所が解放され、代わりにさらなる視聴覚情報のために使用できるようになる。別の言い方をすれば、使用するトレーニング情報の量を減少させることによってさらなる視聴覚情報を送信できるようになり、トレーニング情報に割かれる帯域幅オーバーヘッドが効果的に縮小され、ペイロード(視聴覚情報)に割かれる帯域幅が増加するようになる。逆に、さらなるトレーニング情報が望ましい場合、たとえペイロードのための帯域幅が縮小され、帯域幅オーバーヘッドが増加したとしても、(さらなるトレーニング・シーケンスなどの)より多くのトレーニング情報を含むトレーニング・パターンを選択することができる。
【0045】
パケット内には、どのトレーニング・パターンが使用されているかを示す第1の情報が存在することができる。この第1の情報は、いくつかの形のうちのあらゆる形を望む通りにとることができる。ATSC M/Hシステムでは、どのトレーニング・パターンが使用されているかをシグナリングする1つの考えられる方法は、フィールド同期の終わりに直交ゴールド・コードを挿入すること(例えば、この直交ゴールド・コードの組の各々が、特定のトレーニング・パターンを示すように定義されている場合)である。ATSC M/Hシステムにおいてこの方法を実施することに関するさらなる詳細を、以下
図4及び
図5に関して示す。一般に、第1の情報は、特定のトレーニング・パターンがどのように実施されるかに関わらず、この特定のトレーニング・パターンが使用されていることを受信機に示すように定義することができる。
【0046】
第1の情報は、制御情報を含む複数のパケットのサブセットの一部として複数のパケットに含めることができる。例えば「クロス・ストリーム・アソシエーションによる移動体装置へのマルチメディア・ストリームの送信」という名称の出願番号第12/472,892号に記載されるように、異なる視聴覚ストリームをともに関連付けるための、及び/又はエラー訂正符号化情報を1又はそれ以上の視聴覚ストリームに関連付けるための制御情報が存在してもよく、上記特許出願は本明細書に十分かつ完全に示されるかのようにその全体が引用により本明細書に組み入れられる。これとは別に、或いはこれに加えて、例えば「非符号化トランスポート・トンネリングによる移動体装置へのマルチメディア・ストリームの送信」という名称の出願番号第12/474,595号に記載するように、視聴覚情報の一部が非符号化トランスポート・トンネルの一部であることを示す制御情報が存在してもよく、上記特許出願は本明細書に十分かつ完全に示されるかのようにその全体が引用により本明細書に組み入れられる。このような制御情報に加え、或いはこの代わりに、様々なその他の制御情報も考えられる。制御情報は、視聴覚情報とは別のパケット内に存在することができるが、いくつかの実施形態では、制御情報の一部又は全てを視聴覚情報と同じパケットに含めることもできる。
【0047】
206において、複数のパケットを送信することができる。複数のパケットの送信は、異なるパケットのサブセットを多重化するステップを含むことができ、例えば、制御ストリームを構成する(制御情報を含むような)パケットを、視聴覚情報を構成する(視聴覚情報を含むような)パケットとともに多重化することができる。これらの異なるパケット又はストリームを多重化するステップは、それぞれの複数のパケット(又はストリーム)の相対的帯域幅割り当ての比率に基づいて実施することができる。連続モードに対応する1つの実施形態では、これらの異なるパケットストリームを多重化するステップが、これらの相対的帯域幅に基づいてパケットを均一に分散させるようにこれらを順序付けるステップを含む。バーストモードに対応する別の実施形態では、(固有のバーストに集約された)制御情報が残りのバーストの開始位置を示すことにより、異なるパケットストリームが先行する別のバーストに集約される。多重化により、送信オーバーヘッドを低減することができる。1つの実施形態では、この送信方法により、様々なパケット・ストリームの帯域幅割り当てに関するサイズ情報が送信され、このサイズ情報を受信機側で使用して、受信したパケット・ストリームを逆多重化することができる。
【0048】
図3−受信フロー図
図3は、視聴覚情報を受信して提示するための方法を示すフロー図である。この方法は、ポータブルコンピュータシステム(ラップトップ)、(Blackberry、iPhoneなどの)無線電話機、携帯情報端末、車載型テレビ装置、及び受信した視聴覚情報を表示できるその他の種類の携帯機器などの、上述した
図1に示すような移動体装置により実施することができる。或いは、いくつかの実施形態では、この方法を、液晶ディスプレイ(LCDディスプレイ)テレビ、プラズマディスプレイテレビなどの従来のテレビのような、
図1に示し上述したような固定装置により実施することができる。なお、様々な実施形態によれば、ステップのうちの1又はそれ以上を省略し、反復し、或いは
図2に示し以下で説明するものとは異なる順序で実施することができる。
【0049】
この方法により、受信装置が、視聴覚情報を含む可変量のトレーニング情報を受信できるようになる。受信装置は、例えば移動受信状態を調整するために、トレーニング情報を使用して受信装置のイコライザを更新することができる。移動受信機の受信状態が絶えず変化している場合、トレーニング情報を定期的に一定周期で送信することができる。イコライザが有効であるためには、所与のイコライザに一定量のトレーニングが必要である。しかしながら、イコライザ技術が向上するにつれ、イコライザが移動受信状態に適応するという満足のいく仕事を行うのに必要なトレーニング情報の量が低減され、又は無くなる(例えば、イコライザが実際のデータを「トレーニング」することができる)ようになることが期待できる。従って、場合によっては、トレーニング情報のために指定されていた帯域幅の一部又は全てを視聴覚情報に再割り当てすることが望ましい。換言すれば、後述するように、可変量のトレーニング情報を受信できるようにするシステムを実現することが望ましい。
【0050】
なお、
図3に関して以下で説明する方法は、上述した
図2のフロー図によって示す方法と組み合わせて(例えば、送信システムにより)使用することができる。従って、様々な実施形態によれば、
図3に関して以下で説明する要素の多くは、
図2に関して上述した要素の多くに対応することができる。
【0051】
302において、トレーニング情報をメモリに記憶することができる。202において、トレーニング情報をメモリに記憶することができる。1つの実施形態では、トレーニング情報をいくつかのトレーニング・シーケンスの形とすることができる。個々のトレーニングシーケンスは、他のトレーニング・シーケンスと同じ長さ、例えば1又はそれ以上のフィールドセグメントにわたるものであってもよい。1つの実施形態では、6個のトレーニング・シーケンスが存在することができる。受信機がトレーニング情報を使用して受信機のイコライザをトレーニングできるようにするために、トレーニング情報を受信するように構成された移動体装置などのいずれかの対象とする受信機に同一のトレーニング情報を記憶することもできる。
【0052】
304において、複数のパケットを受信することができる。複数のパケットは、視聴覚情報と、トレーニング情報の送信バージョンとを含むことができる。複数のパケットはまた、複数のパケット内のトレーニング情報の場所を指定する第1のトレーニング・パターンを識別する第1の情報を含むこともできる。パケットは、移動体装置及び/又は固定装置向けに企図された1又はそれ以上のコンテンツストリームを含むことができる。1つの実施形態では、(テレビなどの)固定受信機向けに企図された1又はそれ以上のデジタル・テレビジョン・チャンネルを含むATSC(Advanced Television Standards Committee)DTV(デジタル・テレビジョン)規格に基づいてパケットを生成することができ、これとは別に或いはこれに加えて、パケットは、移動体/ハンドヘルド(M/H)受信機向けに企図された1又はそれ以上のデジタル・テレビジョン・チャンネルを含むことができる。視聴覚情報を含むパケットは、順方向エラー訂正などのエラー訂正符号化を含むこともでき、これは、以下に限定されるわけではないが、RS符号化、トレリス符号化、CRCを含むあらゆる数の形、又は複数の方法の組み合わせを含む他のあらゆるエラー訂正符号化の形をとることができる。
【0053】
トレーニング情報は、パケット内の特定の場所に存在することができる。例えば、特定のトレーニング・シーケンスの使用及びこれらのパケット内における場所を定義する、送信機及び受信機の両方が知っているいくつかのトレーニング・パターンが存在してもよい。従って、6個のトレーニング・シーケンスを含むシステムが存在することができ、6個のトレーニング・シーケンスを全て使用するトレーニング・パターンがパケット内に存在することができる。4個のトレーニング・シーケンスのみを使用するトレーニング・パターンが存在してもよく、或いはパケット内にトレーニング・シーケンスを含まないトレーニング・パターンが存在してもよい。同様に、パケット内のトレーニング・シーケンスと場所の様々な考えられる組み合わせのいずれかを使用するあらゆる数のトレーニング・パターンを定義することもできる。
【0054】
あらゆる数のトレーニング・パターンが考えられるが、いくつかの実施形態では、(3個、4個、6個などの)わずかなトレーニング・パターンを定義すれば十分である。例えば、6個のトレーニング・シーケンスが存在する場合、各々がパケット内の特定の場所に存在する6個のシーケンスを使用する1つのパターンが存在することができる。4個、3個、及びゼロ個のトレーニング・シーケンスを使用するパターンも存在することができ、個々のパターンは、使用するトレーニング・シーケンスのためにパケット内の同じ場所を使用する。他のトレーニング・パターンの組も考えられる。
【0055】
306において、複数のパケットから第1の情報を決定することができる。第1の情報は、制御情報を含む複数のパケットのサブセットの一部として複数のパケットに含めることができる。例えば、引用により組み入れられる「クロスストリームアソシエーションによる移動体装置へのマルチメディア・ストリームの送信」という名称の出願番号第12/472,892号に記載するように、異なる視聴覚ストリームをともに関連付けるための、及び/又はエラー訂正符号化情報を1又はそれ以上の視聴覚ストリームに関連付けるための制御情報が存在してもよい。これとは別に、或いはこれに加えて、例えば、引用により組み入れられる「非符号化トランスポートトンネリングによる移動体装置へのマルチメディア・ストリームの送信」という名称の出願番号第12/474,595号に記載するように、視聴覚情報の一部が非符号化トランスポートトンネルの一部であることを示す制御情報が存在してもよい。このような制御情報に加え、或いはこの代わりに、様々なその他の制御情報も考えられる。制御情報は、視聴覚情報とは別のパケット内に存在することができるが、いくつかの実施形態では、制御情報の一部又は全てを視聴覚情報と同じパケットに含めることもできる。
【0056】
上述したように、第1の情報は、複数の考えられるトレーニング・パターンの1つとすることができる第1のトレーニング・パターンを識別することができる。換言すれば、パケット内の第1の情報は、どのトレーニング・パターンが使用されているかを示すことができる。この第1の情報は、いくつかの形のうちのいずれかの形を望む通りにとることができる。ATSC M/Hシステムでは、どのトレーニング・パターンが使用されているかをシグナリングする1つの考えられる方法は、フィールド同期の終わりに直交ゴールド・コードを挿入すること(例えば、この直交ゴールド・コードの組の各々が、特定のトレーニング・パターンを示すように定義されている場合)である。ATSC M/Hシステムにおいてこの方法を実施することに関するさらなる詳細は、以下
図4及び
図5に関して示す。一般に、第1の情報は、特定のトレーニング・パターンがどのように実施されるかに関わらず、この特定のトレーニング・パターンが使用されていることを受信機に示すように定義することができる。すなわち、第1の情報により、受信機がステップ308などにおいて第1のトレーニング・パターンを決定できるようになる。
【0057】
308において、第1の情報に基づいて第1のトレーニング・パターンを決定することができる。上述したように、第1のトレーニング・パターンは、多くの考えられるトレーニング・パターンの1つとすることができる。トレーニング・パターンは、トレーニング情報を構成する1又はそれ以上のトレーニング・シーケンス、及び複数のパケット内のトレーニング・シーケンスの場所を指定することができる。従って、ステップ310などにおいて、受信機は、(送信されたトレーニング・シーケンスなどの)送信されたトレーニング情報を識別して(記憶したトレーニング・シーケンスなどの)記憶したトレーニング情報と比較することができる。
【0058】
なお、考えられるトレーニング・シーケンスが全てパケット内に含まれるわけではないことを指定するトレーニング・パターンを使用する場合、トレーニング・シーケンスのために使用されていない(例えば、別のトレーニング・パターンのトレーニング・シーケンスに使用できる)場所を視聴覚情報のために使用することができる。換言すれば、含んでいるトレーニング情報が別のトレーニング・パターンよりも少ない(例えば、トレーニング・シーケンスが少ない)トレーニング・パターンを使用することにより、トレーニング情報のために使用されたであろうはずの(単複の)場所が解放され、代わりにさらなる視聴覚情報のために使用できるようになる。別の言い方をすれば、より少ない量のトレーニング情報を受信した場合、対応するさらなる量の視聴覚情報が受信され、トレーニング情報に割かれる帯域幅オーバーヘッドが効果的に縮小され、ペイロード(視聴覚情報)に割かれる帯域幅が増加するようになる。逆に、さらなるトレーニング情報が望ましい場合、たとえペイロードのための帯域幅が縮小され、帯域幅オーバーヘッドが増加したとしても、(さらなるトレーニング・シーケンスなどの)より多くのトレーニング情報を含むトレーニング・パターンを選択することができる。
【0059】
310において、受信機をトレーニングすることができ、このステップは、トレーニング情報の送信バージョンを、記憶したトレーニング情報と比較するステップを含むことができる。受信機は、受信機が困難な受信状態で受信した視聴覚情報を処理するのに役立つことができる(適応イコライザなどの)イコライザを含むことができる。例えば、イコライザはトレーニング情報を利用して、受信した信号の(信号対ノイズ比などの)品質を改善することができる、受信した信号に対して処理中に行うべき調整を決定することができる。様々な実施形態によれば、使用するイコライザはいずれの種類のイコライザであってもよく、トレーニング情報を使用する特定の技術は、当業で公知のいずれのイコライザ技術であってもよい。
【0060】
312において、視聴覚情報の少なくとも一部を提示することができる。移動体装置(レガシーモデル又は最新モデルなど)及び放送システム(チャンネル/サービスの数及びチャンネル/サービスのタイプ/バージョンなど)に応じて、視聴覚情報の少なくとも一部を移動体装置における提示に適したものにすることができる。いくつかの実施形態では、提示する前に視聴覚情報の一部(提示に適した視聴覚情報など)又は全てを処理することもできる。視聴覚情報を処理するステップは、例えばデータを逆多重化するステップ、あらゆるエラー訂正情報を復号するステップ、音声及びビデオデータを復号するステップなどの、送信のためにデータを準備する際に及び/又はデータをパケット化する際に行われるあらゆるステップの逆を実施するステップを含むことができる。視聴覚情報を提示するステップは、ディスプレイ上にビデオ情報を提示するステップ及び/又は1又はそれ以上のスピーカ上に音声情報を提示するステップを含むことができる。
【0061】
図4−16ビット直交ゴールド・コード
図4は、(poly=031,027)に基づく16ビット直交ゴールド・コードの組をリストした表である。
図2及び
図3に関して上述したように、いくつかの実施形態では、直交ゴールド・コードを使用して、どのトレーニング・パターンが使用されているかをシグナリングすることができ、例えば第1の情報を直交ゴールド・コードとすることができる。特に、これらの実施形態はATSC M/Hシステムに適したものであるが、これらを部分的又は全体的に他のシステムに適用することもできる。
【0062】
1つの実施形態では、可変長のトレーニング・パターンをシグナリングする方法が、フィールド同期において直交ゴールド・コード(長さ16)を使用することができる。これらが、
図4に示す直交ゴールド・コードである。MPH規格においてPN127を配置する場合、これらのコードを82個の確保した記号のうちの最後の16個の記号として配置することができる。PN511に近いことにより、このシグナリングの信頼性を最大にすることができる。しかも、シーケンスを平均化して、ロバスト性をさらに向上させることができる。いくつかの実施形態によれば、例えば、M/Hシステムにより指定される方法に準拠するために、奇数フィールド期間にはコードが逆になると仮定することができる。この方法により、トレーニング・シーケンスの16個の異なる状態を検出できるようになる。部分的なPN127シーケンスを82個から66個の記号に削減しても、フィールド状態(奇数/偶数)を検出する性能にはわずかな影響しか与えない。
【0063】
ATSC M/Hシステムにおいて
図2及び3に関して上述した方法を実施するためには、システムに他の修正を加えることが必要になる。例えば、トレーニング情報を含むことができたはずの場所に視聴覚情報を配置するためには、グループ・フォーマッタ内のM/Hグループ・フォーマット・オーガナイザに修正を加えること、例えば、トレーニング場所をM/Hデータ場所として再割り当てすることが必要になる。このようにして、ブロック処理をこれらの新たに利用できるセグメントに拡張することができる。
【0064】
また、使用するトレーニング・パターンに応じて、所望のブロックに追加の記号を加えるためにSOBL値を再定義することができる。これにより、グループごとのSCCCペイロードバイトの数(PL)を再定義することもできる。MPHシステムは、可変ブロックサイズに適合する方法を既に含んでいるので、PLの値への追加はブロック符号器の変更を必要とせず、まさにPL及びSOBLサイズを計算するだけよい。
【0065】
図4の太字のエントリは、自己相関特性の弱いコードを示しており、トレーニング・パターンをシグナリングするために使用する際にはこれらを避けることが好ましい。検出閾値が低く自己相関特性が弱いという理由で16長コードを使用することにより記号間干渉の影響を低減させることができるが、その他の長さのコードを望む通りに使用することもできる。この実施形態では、16個のコードが可能であるが、さらなるロバスト性のために5個のコード(すなわち、太字のエントリ)を省いて11個のコードを残すことができる。
【0066】
図5−ゴールド・コードのトレーニング・シーケンス・パターンへのマッピング
図5は、
図26に示すゴールド・コードを1つの実施形態によるいくつかの考えられるトレーニング・シーケンスパターンにマップした例をリストした表である。この例示的な実施形態では、コード0、1、4、11、及び15は、
図4に関して上述したように自己相関特性が弱いため使用しない。コード2は、標準的なM/Hトレーニングのような、6つのトレーニング・シーケンスを全て使用できることを示す。コード3は、2つ(第3及び第5)のトレーニング・シーケンスを除去できることを示す。コード5は、3つ(第3、第4、及び第5)のトレーニング・シーケンスを除去できることを示す。コード6は、トレーニング・シーケンスを全て除去できること、すなわちトレーニング情報を複数のパケットに含めることができないことを示す。コードの残りは、将来的な時点で定義できる追加のトレーニング・パターンなどのその他の用途のために確保することができる。従って、複数のトレーニング・パターンの各々は異なるトレーニング情報の量を示すことができ、(第1の情報などの)複数の直交ゴールド・コードの各々を、複数のトレーニング・パターンのうちの特定のトレーニング・パターンを示すように定義することができる。
【0067】
なおこの場合も、
図2及び
図3に関して説明した方法を実施する上述した例示的な実施形態が、特にATSC M/Hシステムに関連することができ、これらをあらゆる数の他のシステムで同様に使用することもできる。同様に、
図2及び
図3に関して上述した方法を
図4及び
図5に関して説明したように実施することができるが、これらをあらゆる数のその他の方法で同様に又は別様に実行することもでき、これらの例示的な実施構成に限定されると解釈すべきではない。
【0068】
図6は、バイト・インターリービング後に見られるM/Hフレーム・フォーマットの1つの実施形態を示している。フィールドセグメントは、視聴覚情報、順方向エラー訂正符号化、既知のトレーニング記号又は「ヌル」データを含むことができる。M/Hシステムは、トレーニング情報を複数のフィールドセグメントに分配する。標準的なトレーニングは、フィールドごとに6個のトレーニング・シーケンスを指定し、各々が1又はそれ以上のフィールドセグメントにわたる。変更したトレーニング・パターンによりグループ内のシーケンスが除去されて、フィールド内の残りのトレーニング・シーケンス間の均等な分配が保持される。
【0069】
上記の実施形態についてかなり詳細に説明したが、当業者には、上記の開示を十分に理解した時点で数多くの変形及び修正が明らかになるであろう。以下の特許請求の範囲は、全てのこのような変形及び修正を含むと解釈すべきであることが意図される。