【文献】
British Journal of Nutrition,2008.7.11, Vol.101, pp.709-715
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ドコサペンタエン酸(DPA)をさらに含み、前記DPAは、前記鶏または七面鳥の胸肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.2%である、請求項1に記載の鶏または七面鳥の胸肉。
エイコサテトラエン酸(ETA)をさらに含み、前記ETAは、前記鶏または七面鳥の胸肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.01%である、請求項1に記載の鶏または七面鳥の胸肉。
γ−リノレン酸(GLA)をさらに含み、前記GLAの濃度は、前記鶏または七面鳥の胸肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.5%である、請求項1に記載の鶏または七面鳥の胸肉。
アルファリノレン酸(ALA)をさらに含み、前記ALAの濃度は、前記鶏または七面鳥の胸肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.1%である、請求項1に記載の鶏または七面鳥の胸肉。
エイコサテトラエン酸(ETA)をさらに含み、前記ETAは、前記鶏または七面鳥の腿または脚肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.03%である、請求項8に記載の鶏または七面鳥の腿または脚肉。
γ−リノレン酸(GLA)をさらに含み、前記GLAは、前記鶏または七面鳥の腿または脚肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.10%である、請求項8に記載の鶏または七面鳥の腿または脚肉。
アルファリノレン酸(ALA)をさらに含み、前記ALAの濃度は、前記鶏または七面鳥の腿または脚肉の全脂肪酸含有量の少なくとも0.1%である、請求項8に記載の鶏または七面鳥の腿または脚肉。
【背景技術】
【0002】
本開示は、植物由来のステアリドン酸(「SDA」)またはSDA油を動物飼料に使用することによって、家禽組織、またはそれから生産される肉および卵を改良するための方法を対象とする。具体的に、発明者らは、家禽由来の製品の栄養価または動物自体の生産性を改良する飼料製品における、遺伝子導入植物由来のSDA組成物の使用のための技術および方法を提供する。
【0003】
多くの研究が、食物脂肪と肥満およびアテローム性動脈硬化等の病理とを生理学的に関連付けている。時に、脂肪摂取は、医療機関によって推奨されない。最近になって、食物脂肪とそれらの健康への有益性との間の性質上の違いが認識されてきている。
【0004】
最近の研究は、相対的に単純な生物学的構造にもかかわらず、いくつかの点で身体機能を改良すると見られ、実際に、いくつかの生理学的過程に必要不可欠であり得る、いくつかの脂肪の型があることを確認している。そのより広範な分類の脂肪分子には、脂肪酸、イソプレノール、ステロイド、他の脂質、および油溶性ビタミンが挙げられる。これらの中に、脂肪酸がある。脂肪酸は、カルボン酸であり、それらの「主鎖」に、2〜26個の炭素原子を有し、それらの糖鎖構造に全くないか、わずかの不飽和部位を含む。それらは一般的に約4.5の解離定数(pKa)を有し、正常な身体状態(7.4の生理学的pH)で、圧倒的多数が解離型であることを示唆している。
【0005】
実験が継続され、当業者は、食事における脂肪、特に脂肪酸の栄養的必要性を理解し始めている。この理由によって、食品産業における多数が、食品生産のための新しい焦点として、修飾した飼料を消費する動物およびヒトの消費のためのこれらの動物に由来する製品に結果として生じる利益を持つ、脂肪酸および脂質の技術に焦点をあて始めている。この焦点は、特に、オメガ3脂肪酸の生産および食餌への組み込みに集中している。オメガ3脂肪酸は、分子のメチル末端から3番目の炭素原子で始まる第1の二重結合(「不飽和」)を含む、長鎖ポリ不飽和の脂肪酸(18〜22炭素原子の鎖長)である。それらは、それらの分子が、それらの炭水化物鎖で2つ以上の二重結合「不飽和」を有するために、「ポリ不飽和」と呼ばれる。それらは、それらの炭素主鎖が少なくとも18個の炭素原子を有するため、「長鎖」脂肪酸と称される。ステアリドン酸「SDA」に加えて、脂肪酸のオメガ3族には、アルファリノレン酸(「ALA」)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(「EPA」)、ドコサペンタエン酸(DPA)、およびドコサヘキサエン酸(「DHA」)が含まれる。ALAは、EPAおよびDHAが、SDAの生産を含む一連の酵素反応によって身体内で形成されることから、「基本的」オメガ3脂肪酸と見なすことができる。多くの栄養学者は、DHAおよびEPAが、オメガ3脂肪酸の中で最も有益な効果を有し、生理学的に最も重要であると指摘する。しかしながら、SDAもまた、有意な健康への有益性を有すると示される。例えば、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第7,163,960号を参照されたい。
【0006】
ALAからの合成過程は、それぞれ、「伸長」(すなわち、分子が、新しい炭素原子を組み込むことによって長くなる)、および「不飽和」(すなわち、新しい二重結合が生成される)と呼ばれる。天然では、ALAは、主に一定の植物の葉および種(例えば、亜麻)に見られるが、EPAおよびDHAは、たいてい、冷水の補食魚(例えば、マグロ、マス、イワシ、およびサケ)の組織、およびそれらが食べるいくらかの海藻または微生物中で生じる。
【0007】
健康な人の食事における重要な構成要素として必須油脂を開発し、提供する食品会社の動きにともない、政府は、食事へのPUFAの取り入れを奨励するための規定の作成を開始している。これらの需要を満たすことの難しさは、市場の需要の増加に十分見合うオメガ3油の大量供給を発達させることができないことにある。すでに述べたように、オメガ3脂肪酸は商業的に高価なものと見なされ、海洋源で提供されるEPAおよびDHAもまた、非常に速い時間で化学的に酸化され、商業的可用性を制限する。重要なことに、EPAおよびDHAの急速な分解過程の間に、これらの長鎖脂肪酸は、腐敗臭と、ひどく不満足な感覚的特性(例えば、魚臭および味)を発生させ、商業的採用の観点から、多くの食料品へのそれらの含有が困難になるか、あるいは不可能になる。さらに、典型的な家禽製品が、少なくとも1回、より頻繁には少なくとも2回調理される(すなわち、初めに製造者によって、次に消費者によって再加熱される)ことで、EPAおよびDHAの酸化がさらに増加し、結果として、さらに感覚的に不満足な製品が生じる。
【0008】
加えて、オメガ3脂肪酸の需要が増加する一方、すでに激減する世界的な魚資源は、将来の人間のオメガ3の栄養的必要性のいかなる有意な成長も満たすことができないという認識に至る。供給、安定性および調達上のこれらの制限は、費用を大きく増加させ、それに対応して、食事性オメガ3の入手可能性を制限する。
【0009】
準最適栄養および成長は、動物の生産性における制限要因である。一般的な商業用家禽を含む、農業的に重要な動物において、これらの過程についての基本情報が欠けている。これらの領域の新しい知識が、動物の生産を改良し、筋肉、成長、生殖能力および代謝を調整することが必要である。食事性栄養物の入手可能性を増加させ、より多いタンパク質及びより少ない脂肪に向けた栄養物分配を指示し、動物製品での栄養物の組成を強化し、老廃物としての栄養物の排泄を最小限にするために、生理学的機構を特定する調査も必要である。特定の飼料が、動物の生産性の強化において有用であるか否かを判定できるシステムを発達させることも望ましい。好適な評価基準の例は、動物の体重増加基準の単位あたりの飼料費用、動物の生産率基準(例えば、動物の体重増加の割合、または乳や卵等の動物製品の生産割合に基づく)、および動物の体重増加基準の単位あたりの飼料の量を含む。
【0010】
いくつかの脂肪酸等の代謝修飾因子は、食餌内に提供された場合、特定に指示された方法で、動物の代謝を修飾する化合物の群である。代謝修飾因子は、一般的に、生産の効率性(例えば、飼料単位あたりの乳産出量)を向上させ、成長中の動物における屠体成分(例えば、肉と脂肪との比率)を向上させ、泌乳動物の乳産出量を増加させ、動物の排泄を減少させる全体的な効果を有する。事前調査は、代謝修飾因子として作用する、いくつかの食餌性脂肪酸の添加は動物の生産性を強化し得るということを示唆した(Calder(2002)、Klasing(2000)、およびMattos(2000))。
【0011】
したがって、家畜動物の栄養価および生産性、ならびにそれらから生産される製品を強化するための必要性が存在する。当開示のSDA組成物は、家禽を含む、特定の動物種のために必要とされる食物脂肪を提供するだけでなく、動物の生産性の増加と同様に、動物の商業生産のための他の食餌改良も提供する。当開示の飼料組成は、本開示のSDA組成物を含有する、家禽のために強化した飼料を生産することにおいて使用され得る、SDA組成物を含む。
【0012】
加えて、消費者にEPAおよびDHAを提供する許容可能な手段または商業的に許容可能な方法で、食品配合に重要な前駆体を提供するための必要性が存在する。当開示は、有益なオメガ3脂肪酸を含む、家禽肉および卵の形での魚または微生物が供給するオメガ3脂肪酸の代替品を提供し、そのため、改良した費用効果のある生産および遺伝子導入植物に由来するように豊富な供給を与える源として、比較的化学的に安定したオメガ3脂肪酸、SDAの使用をも提供する。
【0013】
当開示の実施形態に従って、合理的に需要を供給するために修飾され得る好ましい植物種は、大豆、トウモロコシ、およびキャノーラであるが、他の多くの植物も、必要な際および科学的に実践可能である際は含まれ得る。一度生産されると、本開示のSDAは、多種多様の食品の健康特性を改良するために使用され得る。この生産はまた、それぞれ国際漁業法への圧力を緩和する、野生の魚資源を収穫する必要性を減じることおよび水産養殖業務に必須脂肪酸(FA)構成要素を提供することの双方のために、必要な際には高められ得る。
【0014】
家禽内の有益な脂肪酸の濃度を増加させるための先の試みは、ALA、EPA、またはDHAを家禽の食餌に添加することを含んだ。オメガ3脂肪酸は、ブタおよび家禽の性能および肉質を改良するための潜在的な方法として調査されている。参考文献において、いくつかの試験は、肯定反応を示唆し、その他は、オメガ3FAの成長反応で、否定反応があるということを示唆した。成長性能反応の相違は、オメガ3FAの源および与えられる他の食餌性のFAの違いに大きく起因する。先の調査の再考察において、極度の免疫圧下で、オメガ3FAに対する肯定的成長反応の可能性が増加されたということは明白であった。免疫データは、バランスのとれたオメガ3およびオメガ6FAの食餌は、最善の免疫機能を提供するということを提案したが、最も適切なバランスは、特定されていない。
【0015】
家禽製品へのオメガ3脂肪酸の組み込みでのいくつかの試みが、当技術分野で説明されている。しかしながら、既存の方法は、あまり安定しておらず、取得することまたはアルファリノレン酸(ALA)等の従来のオメガ3脂肪酸の組み込みがより難しく、実際に行うために十分効果的である有益な形へ変換されない、非常に不安定なEPAまたはDHAの付加を含む。栄養学的研究は、SDAは、ALAに比べて、インビボで3〜4倍より効果的に、ヒトのEPAに変換されるということを示した(Ursin,2003)。
【0016】
驚くべきことに、発明者らは、遺伝子導入植物源からの家禽SDA組成物を与えることは、SDAのオメガ3脂肪酸レベル(18:4)、ETAのオメガ3脂肪酸レベル(オメガ3、20:4)、EPA(エイコサペンタエン酸)のオメガ3脂肪酸レベル、DPA(ドコサペンタエン酸)のオメガ3脂肪酸レベル、DHA(ドコサヘキサエン酸)のオメガ3脂肪酸レベルの増加に非常に高い効果があり、ARA(アラキドン酸)のオメガ6脂肪酸レベルおよびドコサテトラエン酸のオメガ6脂肪酸レベル(DTA、オメガ6、22:4)を減少させ、それによって、オメガ6とオメガ3との脂肪酸の比率は改良されるということを発見した。さらに、大豆油等の植物源は、製品へより安定した脂肪酸を提供することが発見されている。具体的に、SDAの大豆油は、過酸化物価およびアニシジン価によって測定されるように、安定性試験での魚油と比較して、酸化するために5〜10倍長い時間がかかるということが示される。
【0017】
先の調査は、ヒトにおいてSDAの組み込みがわずかか全くないことを示した。例えば、Jamesら(2003),Harrisら(2007)、およびMilesら(2004)を参照されたい。
【0018】
さらに、SDA大豆油を使用する際に、SDAエチルエステルの使用と比較して、家禽肉へのSDAのより大量の組み込みがあった。より具体的には、膵リパーゼ抵抗性(すなわち、膵リパーゼ加水分解への抵抗性)は、ヒトで、脂肪酸のより低い吸収をもたらすことが発見されている。全ての脂肪酸エチルエステルは、膵リパーゼの加水分解に抵抗するように見えるということがさらに報告されている(Lawson,1998)。したがって、リパーゼの抵抗性は、SDAエチルエステルを使用する際、SDA大豆油に比較して、家禽へのSDAのより低い吸収をもたらすと考えられる。
【0019】
さらに、発明者らは、皮付きおよび皮なしの、胸および腿肉の双方で、18:1(オレイン酸)および(C、18:2)の予期せぬ減少を発見した。全体として、発明者らは、これは、SDAを有するニワトリの飼料中の脂肪酸プロファイルのより健康な組成を構成すると考える。
【0020】
さらに、発明者らは、第6,716,460号等の方法を使用して先に説明されたように、おいしさ、風味、柔らかさ、または全体の消費者の受容性において有意な相違を発見しなかった。加えて、本発明の開示は、濃縮源からのSDAの処理を必要としない。
【0021】
ブロイラーでのオメガ3脂肪酸の改良した比率は、DHAを含む、魚油を与えることによっても到達できる。しかしながら、参考文献は、そのような鶏肉は、安定性および味ならびに臭いの性質等の望ましくない副影響を伴うことを説明する。味、臭い、および安定性の悪さは、本発明の方法および製品に見られなかった。自然食品を含む、SDA飼料は、参考文献で共通して説明されるオメガ3脂肪酸と違って、健康的で安定した家禽製品を産出する飼料組成に、比類なく好適である。
【0022】
アルファリノレン酸(ALA)よりも、SDAを与えることのさらなる利点は、SDAは、デルタ6デサチュラーゼの制限反応を回避し、故に、長鎖PUFAのEPA、DPA、およびDHAによりいっそう効果的に変換される。
【発明の概要】
【0023】
本発明の開示は、家禽の脂肪酸プロファイル、それらに由来する家禽製品、および/または末端消費者の健康を改良するために家禽飼料への使用に有意な量のステアリドン酸(18:4ω3)を含有するように設計される遺伝子導入植物からの油の組み込みを包含する。有意な量のステアリドン酸(SDA)濃縮大豆は、栄養のあるSDA構成要素を備える大豆および大豆油の供給を可能にするために栽培されている。当開示の実施形態に従って、本開示のSDA大豆は、亜麻仁等の従来のオメガ3の代替品に比較して、強化した栄養価を提供し、魚油に関連する不味および低い安定特性がない。故に、本開示の好ましい実施形態は、SDA、EPA、DPA、およびDHA等の有益なポリ不飽和脂肪酸の増加したレベルを有する家禽製品を含む。驚くべきことに、有意な量のSDAは、SDAを添加した飼料によって、家禽肉および卵に組み込まれた。
【0024】
また当開示に従って、ステアリドン酸を含む家禽の食餌の試験が試験も行われ、植物由来のSDA使用は、結果として生じた家禽製品の脂肪酸プロファイルを実質的に改良した。故に、当開示の好ましい実施形態は、家禽飼料の生産で遺伝子導入植物によって生産されるSDA油の使用法である。
【0025】
本開示の付加的な実施形態において、SDAおよびDHAを含む家禽製品は、家禽肉および卵を含んで開示される。さらに、そのような製品を作製する方法が開示される。
【0026】
本開示の付加的な実施形態において、SDA、EPA、およびDHAを含む家禽製品が開示される。さらに、そのような製品を作製する方法が開示される。これらの方法は、ステアリドン酸(SDA)を含む、ステアリドン酸源を提供すること、付加的な飼料成分を提供すること、上記ステアリドン酸源を、添加飼料を作製するために、上記飼料成分に接触させること、複数の家禽動物に上記添加飼料を与えること、および上記家禽動物から、ヒトが消費するための少なくとも1つの可食製品を1つ収穫することを含み、上記ステアリドン酸源は、遺伝子導入植物源を含み、上記SDAの少なくの少なくとも一部が、上記可食製品に組み込まれる。
【0027】
例示的なステアリドン酸源は、遺伝子組み換え大豆、遺伝子組み換え大豆油、遺伝子組み換え大豆タンパク質、遺伝子組み換えトウモロコシ、および遺伝子組み換えキャノーラを含み得る。付加的なステアリドン酸源は、大豆、ベニバナ、キャノーラ、およびトウモロコシを含み得る。
【0028】
少なくとも1つの実施形態において、SDAは、ステアリドン酸源に約30%未満の全脂肪酸を含む。さらに、ステアリドン酸源は、約2:1より大きい、オメガ3とオメガ6との脂肪酸比率を含む。
【0029】
加えて、ステアリドン酸源は、6−シス、9−シス、12−シス、15−トランス−オクタデカテトラエン酸を含み得る。別の実施形態において、ステアリドン酸源は、9−シス、12−シス、15−トランスアルファリノレン酸を含み得る。さらに別の実施形態において、ステアリドン酸源は、6,9−オクタデカジエン酸を含み得る。
【0030】
本開示の付加的な実施形態において、SDA、EPA、およびDHAを含み、減じたオメガ6の含有量を有する製品が開示される。さらに、そのような製品を作製する方法が開示される。
【0031】
本開示のいくつかの実施形態において、特定の脂肪酸の最小限のレベルは、家禽肉および卵に見られる。有益な脂肪酸の濃度は、特定される様々なニワトリの組織における下記の範囲を含む。
SDA(エチルエステル)
胸肉(mg/100gの脂肪酸):500〜3000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜2000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜3000mgのDPA/100gの脂肪酸、および400〜2000mgのDHA/100gの脂肪酸、
腿/脚肉(mg/100gの脂肪酸):500〜4,000mgのSDA/100gの脂肪酸、50〜1000mgのEPA/100gの脂肪酸、150〜1200mgのDPA/100gの脂肪酸、および50〜400mgのDHA/100gの脂肪酸、および
卵(mg/100gの卵):10〜25mgのSDA/100g、10〜25mgのEPA/100g、35〜60mg/100gのDPA/100gおよび150〜185mgのDHA/100g。
SDA(SDA大豆油)
胸肉(mg/100gの脂肪酸):1000〜20000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜4000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜4000mgのDPA/100gの脂肪酸および400〜2000mgのDHA/100gの脂肪酸、
腿/脚肉(mg/100gの脂肪酸):500〜4,000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜3000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜4000mgのDPA/100gの脂肪酸、および100〜1500mgのDHA/100gの脂肪酸。
【0032】
本開示の好ましい実施形態に従って、最小限の濃度の脂肪酸を含む家禽製品が説明され、提供される。好ましくは、家禽肉製品は、家禽製品の全脂肪酸含有量の、少なくとも約0.5%であるSDA濃度、少なくとも約0.15%であるEPA濃度、および少なくとも約0.10%であるDHA濃度を含む。好ましくは、SDA濃度は、少なくとも約0.70であり、より好ましくは、家禽肉製品の全脂肪酸含有量の5.0%である。
【0033】
本開示の好ましい実施形態に従って、最小濃度の脂肪酸を含む家禽白身肉製品が提供される。好ましくは、家禽白身肉製品は、家禽製品の全脂肪酸含有量の、少なくとも約0.50%であるSDA濃度、少なくとも約0.2%であるEPA濃度、および少なくとも約0.2%であるDHA濃度を含む。好ましくは、SDA濃度は、家禽肉製品の全脂肪酸含有量の少なくとも約0.3%であり、より好ましくは、少なくとも約0.5%であり、さらに好ましくは、少なくとも約0.8%であり、さらに好ましくは、少なくとも約5.0%であり、さらにいっそう好ましくは、少なくとも約10%である。さらに、家禽白身肉製品は、少なくとも約0.2%、より好ましくは少なくとも約0.3%の脂肪酸含有量の濃度のDPAおよび少なくとも約0.2%、より好ましくは少なくとも約0.3%の脂肪酸含有量の濃度のEPAを含み得る。好ましくは、家禽白身肉製品は、GLAをさらに含み、GLA濃度は、全脂肪酸含有量の少なくとも約0.2%であり、より好ましくは、少なくとも約0.5%、少なくとも約1.0%、および少なくとも約2.5%である。好ましくは、家禽白身肉製品は、脂肪酸含有量の少なくとも約0.1%の濃度のALAをさらに含む。好ましくは、家禽白身肉製品は、鶏肉または七面鳥肉を含む。最も好ましくは、家禽白身肉製品は鶏胸肉を含む。
【0034】
本開示の好ましい実施形態に従って、比類のない脂肪酸比率を含む家禽白身肉製品を提供する。好ましくは、SDA/ALAの比率は少なくとも約1.0であり、SDA/DHAの比率は少なくとも約1.0であり、より好ましくは、2.5であり、DHA/ALAの比率は少なくとも約0.05であり、DHA/ALAの比率は約3.0未満であり、DHA/EPAの比率は少なくとも約0.1であり、より好ましくは、少なくとも約1.0であり、DHA/EPAの比率は少なくとも約3.0であり、SDA/18:2の比率は、少なくとも約0.03である。好ましくは、白身肉は、少なくとも約10ppmのトコクロマノール、より好ましくは、少なくとも約10ppmのトコフェロールである、トコールも含む。より好ましくは、白身肉は、トコフェロールを含む。さらに、ETA濃度は、好ましくは、脂肪酸含有量の少なくとも約0.01%であり、より好ましくは少なくとも約0.05%である。
【0035】
本開示の別の好ましい実施形態に従って、最小限の濃度の脂肪酸を含む家禽赤身肉製品を提供する。好ましくは、家禽赤身肉製品は、家禽製品の全脂肪酸含有量の少なくとも約0.3%であるSDA濃度、少なくとも約0.1%であるEPA濃度、および少なくとも約0.1%であるDHA濃度を含む。好ましくは、家禽肉製品の全脂肪酸含有量のSDA濃度は、少なくとも約0.90%であり、より好ましくは5.0%であり、さらにいっそう好ましくは、10.0%である。さらに、家禽赤身肉製品は、脂肪酸含有量の少なくとも約0.2%の濃度のDPAを含み得る。好ましくは、家禽赤身肉製品はGLAをさらに含み、GLA濃度は、全脂肪酸含有量の少なくとも約0.10%であり、より好ましくは少なくとも約0.15%、少なくとも約0.5%、少なくとも約2.0%、および少なくとも約2.5%である。好ましくは、家禽赤身肉製品は、脂肪酸含有量の少なくとも約0.1%の濃度のALAをさらに含む。好ましくは、家禽赤身肉製品は、鶏肉、七面長肉、カモ肉、またはガチョウ肉を含む。最も好ましくは、家禽赤身肉製品は、鶏腿肉を含む。
【0036】
本開示の付加的な好ましい実施形態に従って、比類のない脂肪酸比率を含む家禽赤身肉製品を説明する。好ましくは、SDA/ALAの比率は少なくとも約1.0であり、SDA/DHAの比率は少なくとも約1.0であり、SDA/GLAの比率は少なくとも約1.3であり、DHA/ALAの比率は少なくとも約0.05であり、DHA/ALAの比率は少なくとも約3.0未満であり、DHA/EPAの比率は少なくとも約0.1であり、より好ましくは、少なくとも約0.3であり、さらに好ましくは、少なくとも約1.0であり、DHA/EPAの比率は少なくとも約3.0未満であり、DHA/EPAの比率は少なくとも約3.0未満であり、SDA/18:2の比率は、少なくとも約0.03である。好ましくは、赤身肉はトコールも含む。より好ましくは、赤身肉は、少なくとも約10ppmのトコクロマノールを含み、より好ましくは、少なくとも約10ppmのトコフェロールを含む。さらに、ETAの濃度は、好ましくは少なくとも約0.03%である。
【0037】
本開示の別の好ましい実施形態に従って、最小限の濃度の脂肪酸を含む家禽卵製品が提供される。好ましくは、家禽卵製品は、SDA、EPA、およびDHAを含む。より好ましくは、家禽卵製品は、卵製品の、少なくとも約0.01%、より好ましくは少なくとも約0.05%、さらにいっそう好ましくは少なくとも0.10%のSDA濃度、少なくとも0.01%であるEPA濃度、および少なくとも約0.15%であるDHA濃度を含む。好ましくは、家禽卵製品は、少なくとも約0.35%のDPAをさらに含む。好ましくは、家禽卵製品はALAをさらに含む。好ましくは、家禽卵製品は、鶏卵である。
【0038】
本開示の他の実施形態に従って、比類のない比率の脂肪酸を有するSDA、EPA、およびDHAを含む家禽卵製品を説明する。好ましくは、SDA/ALAの比率は、少なくとも約0.1であり、SDA/DHAの比率は、約0.05未満であり、DHA/ALAの比率は、少なくとも約2.0である。好ましくは、卵は少なくとも約0.35%のDPAも含む。好ましくは、卵は、トコールも含み、好ましくは、少なくとも約10ppmのトコクロマノール、より好ましくは、少なくとも約10ppmのトコフェロールを含む。
【0039】
本開示の付加的な実施形態は、ステアリドン酸(SDA)を含む、ステアリドン酸源を提供すること、付加的な飼料成分を提供すること、上記ステアリドン酸源を、添加飼料を作製するために、飼料成分に接触させること、複数の家禽動物に上記添加飼料を与えること、および上記家禽動物から、ヒトが消費するための少なくとも1つの可食製品を収穫することを含む、ヒトが消費するための家禽製品を生産する方法を含み、上記ステアリドン酸源は、遺伝子導入植物源を含み、上記SDAの少なくとも一部が、上記可食製品に組み込まれる。
【0040】
付加的な実施形態において、SDA、GLA、および付加的な飼料成分を含む家禽飼料が説明される。好ましくは、家禽飼料は、少なくとも約0.3%のSDA、より好ましくは、少なくとも約0.5%のSDA、および少なくとも0.05%、より好ましくは、少なくとも0.1%のGLAを含む。1つの実施形態において、飼料中の全脂肪酸のSDA濃度は、約35%未満であり、より好ましくは、約25%未満、約15%未満、および約5%未満である。さらに別の実施形態において、家禽飼料はSDAおよびGLAを含み、SDA/GLAの比率は、少なくとも約1.3であり、いくつかの実施形態において、少なくとも約1.5である。好ましい実施形態において、家禽飼料は、遺伝子組み換えの大豆、遺伝子組み換えの大豆油、遺伝子組み換えの大豆タンパク質、遺伝子組み換えのトウモロコシ、および遺伝子組み換えのキャノーラからなる群から選択される、遺伝子導入植物製品を含む。本開示の代替の実施形態において、家禽飼料は、ALAおよびエイコセン酸をさらに含む。本開示の好ましい実施形態において、ALA濃度は約25%未満であり、SDA/ALAの比率は、少なくとも約0.5%である。本開示のさらに好ましい実施形態において、エイコセン酸濃度は、約0.7%未満であり、SDA/エイコセン酸の比率は、少なくとも約20である。
【0041】
本開示の付加的な実施形態において、ヒトが消費するための食品は、SDA、EPA、ETA、およびDHAを含む、家禽製品を含む。
【0042】
本開示の他の特徴および利点が、添付の図面を参照して、本開示の好ましい実施形態の次の詳細な説明から明白となるだろう。
定義
【0043】
次の定義は、当業者が本開示の全範囲をより容易に理解することを助けるために提供される。しかしながら、下記に提供される定義で示すように、提供される定義は、そのように示されない限り、排他的であることを意図しない。むしろ、それらは当業者が本開示の様々な描写的な実施形態に焦点を合わせるために提供される、好ましい定義である。
【0044】
本明細書で使用される用語「家禽製品」は、家禽動物の肉または卵を含む、食品を指す。
【0045】
本明細書で使用される用語「家禽肉製品」は、家禽動物からの肉の一部を含む、食品を指す。
【0046】
本明細書で使用される用語「家禽白身肉」は、減じたミオグロビン含有量を有する、鶏肉および七面鳥の胸肉等の、家禽赤身肉と比べて、より軽めの肉を指す。家禽白身肉は、主な筋組織である皮骨なしの家禽食肉について説明する。
【0047】
本明細書で使用される用語「家禽赤身肉」は、一般的に家禽白身肉より高いミオグロビン含有量を有する、鶏肉または七面鳥の腿および脚肉ならびにガチョウまたはカモ等のより赤身の家禽肉を指す。家禽白身肉と違って、家禽赤身肉は、本産業で共通して実施されるように、付着した皮を含有し得る。
【0048】
本明細書で使用される用語「家禽卵製品」は、少なくとも一部の家禽卵含む、食品を指す。
【0049】
「家禽」または「家禽動物」は、食用のために食品源として使用される、いずれの鳥種をも指す。例示的な家禽は、ニワトリ、七面鳥、コーニッシュゲームヘン、キジ、ウズラ、カモ、ガチョウ、およびハトを含む。好ましくは、家禽は、ニワトリおよび七面鳥からなる群から選択され、より好ましくは、ブロイラーニワトリからなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0050】
SDAの生産:
本発明は、ヒトの健康を改良することを目的とする、ステアリドン酸の植物を基盤とする生産のための改良した方法のための手順ならびにヒトおよび家畜の食事へのその組み込みに関する。本生産は、食品への商業用の組み込みを可能にするような、十分に高い産出量でSDAを生産するように設計される遺伝子導入植物の利用によって可能になる。当開示の目的のため、酸および塩の形の脂肪酸、例えば、酪酸および酪酸塩、アラキドン酸およびアラキドン酸塩は、置き換え可能な化学的形態であると見なされる。
【0051】
全ての高等植物は、主要18炭素PUFAのLAおよびALA、ならびにいくつかの場合SDA(C18:4n3、SDA)を合成する能力を有するが、少数は、アラキドン酸(AA)、EPAまたはDHAを生産するため、さらに伸長し、これらを不飽和にすることが可能である。高等植物でのEPAおよび/またはDHAの合成は、故に、LAをAA、またはALAをEPAおよびDHAに変換させることを必要とされる全ての生合成酵素をコードする、いくつかの遺伝子の導入を必要とする。ヒトの健康におけるPUFAの重要性を考慮しながら、当開示に従う、遺伝子組み換えの油種でのPUFAの成功した生産(特にn−3分類)は、次に食事性の使用のためのこれらの必須脂肪酸の持続可能な源を提供し得る。ほとんどのPUFA合成真核生物で機能する「従来型の」好気性経路は、γ−リノレン酸(GLA、18:3n6)およびSDAを産出するためにLAおよびALA双方のΔ6の不飽和化から始まる。
【0052】
表1を見ると、当開示の油組成物に相対する油組成物の「標準」範囲を構成する基準を提供することが重要である。主として有意な可食油および脂肪のための基本組成基準を規定するために使用されるデータの重要な源は、英国のLeatherhead Food Research Association機関にある、農漁食糧省(MAFF)およびthe Federation of Oils,Seeds and Fats Associations(FOSFA)である。
【0053】
有意義な基準を規定するためには、十分な試料をそれらの油が純正である典型的地理的起源から採取することが必須である。MAFF/FOSFAの研究作業において、600個を越える、一般的に10個の異なる地理的起源である、起源および経歴が知られている植物油種の信頼のおける商業試料は、11種の植物油のそれぞれのために研究された。抽出した油は、それらの全体の脂肪酸組成(「FAC」)を判定するために分析された。適宜、トリグリセリド、ステロールおよびトコフェロール組成の2位のFAC、トリグリセリド炭素数およびヨウ素価、油中のタンパク価、融点、ならびに固体脂肪含有量が判定される。
【0054】
1981年より前に、FACデータは、十分な質のデータが得られなかったため、公開基準に含まれなかった。1981年、必須組成基準として、FACの範囲を含む基準が承認された。MAFF/FOSFAの研究作業は、これらの範囲に後の改正のための基準を提供した。
【0055】
一般的に、より多くのデータが得られたために、はるかに狭く、その結果として、1981年に承認されたそれらのものよりもより具体的な脂肪酸の範囲を打ち出すことが可能となった。表1は、1981年にCodex Alimentarius Commission(CAC)によって承認された油のFACおよび1993年に開かれたCodex Committee on Fats and Oils(CCFO)会議で得られた同油のための範囲の例を与える。
【表1】
源:Codex Alimentarius Commission,1983年および1993年。
【0056】
最近になって、遺伝子導入植物からの油が作成されている。本開示のいくつかの実施形態は、遺伝子組み換え大豆油等の遺伝子導入植物製品を組み込み得る。遺伝子導入植物等を生成するための遺伝子導入植物および方法は、参考文献で見ることが可能である。例えば、国際公開公報第WO/2005/021761A1号を参照されたい。表2に示されるように、遺伝子組み換えの大豆油の組成は、受容された基準のものと比べて実質的に異なる。
【表2】
【0057】
上記を踏まえ、また当開示に従って、組換え型の油種の植物で生産されるSDA豊富な大豆は、これまで飼料製造業者に入手不可能であった組成物を提供する。それは、当開示前には典型的な飼料中に大量に存在しなかった、比類のない脂肪酸プロファイルを有する家禽飼料への種の組み込みを提供する。加えて、本飼料の使用は、DHAを含む油が、魚または藻類から供給される際に、安定性に関する従来の懸念をなくすことを可能にする。そのような遺伝子導入植物種を組み込む飼料は、強化された栄養含有量を有する家禽製品を含む、食品の生産のために、さらに使用され得る。
【0058】
本開示において、ステアリドン酸の好ましい源は、高レベルのステアリドン酸を生産するような設計である遺伝子組み換えの大豆である。大豆は、油処理施設で処理され得、米国特許出願第2006/0111578A1号、第2006/0110521A1号、および第2006/0111254A1号に説明される方法に一致する方法で抽出され得る。
【0059】
家禽に餌を与える方法:
したがって、本開示の実施形態において、ステアリドン酸が飼料の0.2%を越える量、飼料の0.5%を越える量、飼料の0.8%を越える量、飼料の1.5%を越える量で、上記家畜飼料に加えられる場合、本方法は、オメガ3脂肪酸のレベルを増加させることを含む。いくつかの実施形態において、SDAの濃度は、5%か、10%もの量で家畜飼料に加えられ得る。加えられたステアリドン酸源は、合成または天然であり得る。天然ステアリドン酸は、穀物もしくは水産油から調達されるか、ヤシ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、綿実油、キャノーラ油、トウモロコシ油、大豆油、および亜麻油からなる群から調達される。穀物または油種中の天然ステアリドン酸は、そのような穀物または油での上昇したレベルへ、自然穀物または油に見られるステアリドン酸のレベルに比較して、遺伝子を修飾される。
【0060】
SDAは、まるごとの種、抽出油、トリグリセリド、またはエチルエステルの形で、食餌に組み込まれ得る。SDAの形は、粉末、砕いた状態または小粒で食餌に組み込まれ、与えられ得る。SDAは、穀物(すなわち、トウモロコシ、小麦、大麦)、油種の粉末(大豆粉末、綿実粉末、亜麻粉末、キャノーラ粉末)、副産物(すなわち、全ミドリング粉、全ふすま、米ぬか、トウモロコシジスチラースドライドグレイン、ビールかす、トウモロコシグルテン粉末、トウモロコシグルテン飼料、糖蜜、精米の副産物)、油(すなわち、トウモロコシ油、亜麻油、ヤシ油、動物脂肪、家禽脂肪、レストランから出た油脂、およびその混合)、ビタミンおよびミネラル、アミノ酸、抗酸化物質、トコクロマノール、トコフェロール、コクシジウム抑制薬等に組み合わされ得る。
【0061】
家禽飼料における特に好ましい使用は、飼料内の脂肪酸の安定性をさらに改良する抗酸化物質である。例示的な抗酸化物質は、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンC塩(例えば、L−ナトリウム、L−アスコルビン酸カルシウム)、ビタミンCエステル(例えば、アスコルビル−5,6−ジアセタート、アスコルビル−6−パルミタート)、エトキシキン、クエン酸、クエン酸カルシウム、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、第3級ブチルヒドロキノン(THBQ)および天然抗酸化物質(例えばローズマリー抽出物)等、ならびにその組み合わせを含む。
【0062】
家禽飼料に加えられる抗酸化物質の量は、典型的に、加えられる抗酸化物質、さらには飼料中の他の構成要素次第である。例示的な抗酸化物質の加えられる量は、約1ppm〜約200ppmを含む。より好ましくは、抗酸化物質は、約10ppm〜約150ppmの量で加えられ、さらに好ましくは、約10ppm〜約50ppmで加えられる。1つの特定の好ましい実施形態において、抗酸化物質は、トコフェロールであり、家禽飼料は、10ppmのトコフェロールを含む。
【0063】
改良された家禽製品:
本方法が、家禽飼料に少なくとも飼料の約0.2%、飼料の約0.5%、飼料の約0.8%、飼料の約1.5%またはそれ以上のステアリドン酸を加えることを含む場合、本開示の好ましい実施形態は、家禽の肉および卵中のオメガ3脂肪酸のレベルを増加させる方法を含む。有益な脂肪酸の濃度は、例えば、次のものを含む。食餌中のステアリドン酸の含有の結果として、胸肉中に(mg/100gの脂肪酸):500〜3000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜2000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜3000gのDPA/100gの脂肪酸ならびに400〜2000mgのDHA/100gの脂肪酸、腿/脚肉中に(mg/100gの脂肪酸):500〜4000mgのSDA/100gの脂肪酸、50〜1000mgのEPA/100gの脂肪酸、150〜1200mgのDPA/100gの脂肪酸ならびに50〜400mgのDHA/100gの脂肪酸、および卵において、(mg/100gの卵):10〜25mgのSDA/100g、10〜25mgのEPA/100g、35〜60mg/100gのDPA/100g、ならびに150〜185mgのDHA/100gのSDAエチルエステルを与えること。胸肉中に、(mg/100gの脂肪酸):1000〜20,000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜4000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜4000gのDPA/100gの脂肪酸ならびに400〜2000mgのDHA/100gの脂肪酸、腿/脚肉中に(mg/100gの脂肪酸):500〜4000mgのSDA/100gの脂肪酸、200〜3000mgのEPA/100gの脂肪酸、500〜4000mgのDPA/100gの脂肪酸、および100〜1500mgのDHA/100gのSDA大豆油を与えること。
【0064】
改良された動物の生産性:
食品生産、具体的に牛乳、牛肉、豚肉、卵、鶏肉、魚等の動物製品を生産することにおいて、生産の効率性を改良する必要がある。生産の効率性、すなわち、これらの製品のための生産の時間および費用を最小限化する一方で、動物製品の最大限の量を生産することは、競争的な経済的利点を維持する上で重要である。そのような産業において、生産者(例えば、農業経営者または牧場経営者)は、一般的に、最大限の動物の生産性を達成するために、できる限り少ない飼料に付随する費用を保ちながら、生産される動物製品の量(牛乳のガロン、牛肉または産み出された卵のポンド)を最大限にしたい。最大限化された動物製品の量は、生産者にとって最小限の費用で生産されるべきである。生産者への費用は、動物製品を生産するために必要とされる飼料の費用、ならびに、動物のための、関連する設備および居住施設の費用を含む。重要なことに、費用に関連する生産性の増加を最大限化するために、そのような増加は、好ましくは、最小限の時間で生産されるべきである。
【0065】
生産者は、継続的に、これらの生産の効率性を増加しようとしている。生産の効率性を増加させる1つの方法は、動物に与える飼料を変更することによる。例えば、いくらかの量の栄養物を有する飼料は、迅速に、動物を成長させるか、動物製品を生産し、および/または望ましい製品の生産をよりよく行うのに対して、異なる量の栄養物を有する異なる飼料は、より費用効果的な基準で、動物を成長させるか、動物製品を生産する(Calder(2002)、Klasing(2000)、およびMattos(2000))。
【0066】
本開示の1つの実施形態は、日常的な食餌の一部になり得、そこから動物の生殖能力、体重増加および全体の生産性を強化するように、低費用の植物を基盤とするオメガ3脂肪酸を提供することによって、動物の生産性を改良するための方法を提供する(Calder(2002)、Klasing(2000)、およびMattos(2000))。
本開示の実施形態
【0067】
下記の実施例は、本開示の一般的な実施形態を示すために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本開示の実践において良好に機能することが発明者らによって見出された技術に相当し、それ故に、その実践のために好ましい様式を構成すると見なされ得るということが当業者に理解されるはずである。しかしながら、本開示を踏まえて、開示される特定の実施形態において、多くの変更がなされ得、本開示から逸脱することなしに同等または類似の結果を取得し得るということが、当業者には理解されるはずである。
【0068】
本明細書で開示され、特許請求される全ての組成物および方法は、本開示を踏まえて、過度の実験なしに、なされ、遂行され得る。本開示の組成および方法が、好ましい実施形態の観点から説明されているが、本開示の概念および範囲から逸脱することなしに変更が加えられ得るということが当業者には明白となるだろう。
【0069】
下記の例において、SDAエチルエステルは、実施例1、2および4において、特定の脂肪酸を単離し、異なる用量を可能にするために、従来の油の代わりに使用された。実施例3において、SDAを含有する、遺伝子組み換えの大豆油が使用された。類似の結果は、トウモロコシまたはキャノーラ等の他の遺伝子導入植物に由来する油を与えた際に取得された。脂肪酸のエチルエステルの適用は、栄養学において共通の実践である。例えば、Krokhanら,1993、Arachchigeら,2006、Martinezら,2000、Limら,2000、およびAllenら,1998の実施例を参照されたい。ニワトリが、遺伝子組み換えの大豆から生産されるSDAを与えられた際、SDAエチルエステルを与えることに比べて、家禽肉でより大きいSDAの組み込みを見ることは予期されなかった。
【0070】
実施例1:家禽肉製品−21日間研究(SDAエチルエステル)
21日間研究は、SDAを含有する食餌を与えられたブロイラーニワトリが、EPAおよびDHAを含むオメガ3脂肪酸の上昇したレベルを有する肉を生産し得るか否かを判定するために行われた。
【0071】
1つの囲いあたり4羽の鳥類で、50個の囲いが使用された。25個の囲いはオスのものであり、25個の囲いはメスのものであった。5個の囲いのオスおよび5個の囲いのメスが、21日齢から42日齢まで、5つの処置食餌のうちの1つをそれぞれ与えられた。21日目の前に、全ての鳥類は、NRC(1994)栄養物必要条件を満たすように配合された基準の22%のタンパク質のスターター食餌を与えられた(表16に「S」食餌として示される)。調製された飼料は、砕いた状態の飼料として与えられた。
【0072】
食餌性処置は、表3に示される。
【表3】
割合レベルは、グラム基準あたりのグラムでの全飼料組成物のDHAまたはSDAエチルエステルの割合を指す。
【0073】
DHAおよびSDAエチルエステルは、KD Pharma Bexbach GmbH(Bexbach,Germany)から購入された。
【0074】
試験食餌は、調製され、すりつぶした形で与えられた。全てのブロイラーは、21日間の研究の持続期間に、飼料および水へ自由にアクセスをした。食餌の組成(表4)およびプレミックス(表5)は、下記に提供される。
【表4】
1トウモロコシ(61.91%)、48%の皮を剥いたSBM(29.47%)、塩(0.44%)、リン酸カルシウム(1.12%)、第2リン酸カルシウム(1.79%)、微量元素PMX(0.10%)、獣脂(4.51%)、コリンCL−60(0.03%)、DL−メチオニン(0.20%)、L−リジン(0.05%)、ビタミンPMX(0.10%)、ビタミン/微量元素PMX(0.00%)。
【表5】
【0075】
脂肪酸の酸化を防ぐことを助けるために、0.05%のエトキシキン(Rendox)を、それぞれのプレミックスに加えた。プレミックスは、エチルエステルの到着の3日以内に製造された。保存に伴う酸化を制限するために、食餌は、一度製造され、研究の持続期間の間中、4℃で冷蔵機能を備えるクーラー内に保存された。
【0076】
試験施設は、それぞれが5つの囲いである10ブロックに分けられた。性別は、ブロックに無作為に選ばれた。処置は、それぞれのブロック内で、無作為に選ばれたブロック計画を使用して、囲いに割り当てられた。性別の範囲内の鳥類は、無作為に囲いに割り振られた。1回の処置あたりに10個の囲い(5個のオスの囲いおよび5個のメスの囲い)で、1つの囲いあたり4羽の鳥類であった。
【0077】
鳥類は、コンクリートの床の囲い(約5フィート×3フィート)の環境的に制御された施設で飼われた。全囲いは、新しい寝床を作る材料(松材の削りくず)を含有した。照明は、白熱灯および商業的な照明計画を用いた。24時間毎の照明時間は、表6に示される。
【表6】
【0078】
鳥類のための環境的な状況(例えば、床のスペース、鳥類の密度、温度、照明、給餌器、および水のスペース)は全ての処置群において類似していた。
【0079】
鳥類は、マレックおよびニューキャッスル感染性気管支炎のために孵化場で予防接種を行った。他の予防接種、または処置(被験物質および抗コクシジウム剤以外)は、研究の間投与されなかった。
【0080】
与えられた試験食餌の量は、冷たい温度での食餌の保存を可能にするため、約1週間で鳥類が消費するであろう量に制限(しかし不断給餌は常に可能にする)された。付加的な飼料は、1週間の基準でそれぞれの囲いのために重量を量った。加えられ、取り除かれた全飼料は重量を量られ、記録された。
【0081】
41日目の後に、体重および飼料の量り直しが行われ、給餌器内の残りの飼料は囲いに戻された。食肉解体の約12時間に、給餌器は囲いから取り除かれた。給餌器に残っている飼料は、重量を量られ、記録された。
【0082】
試験施設、囲い、および鳥類は、全体的な群れの状態、照明、水、飼料、換気、および不測の事態を、少なくとも1日に2回観察された。
【0083】
死亡した状態で発見されたか屠殺されたいずれの鳥類も、重量を量られ、剖検された。重量、推定の死亡の要因および剖検の結果分かったことが、記録された。30日目に、いずれの性別の誤りは取り除かれ、重量を量られ、記録された。
【0084】
鳥類は、0日目、20日目、および41日目に重量を量られた。それぞれの体重期間に、囲いに残っている飼料は、重量を量られ、記録された。
【0085】
最後の鳥類重量計測の翌日に、鳥類は屠殺され、組織が収集された。
【0086】
オスの囲いのみについて、5分の4の囲いが無作為に選ばれた。これらの囲いのそれぞれからの2羽の鳥類が無作為に選ばれた(一回の処置あたり8羽の鳥類)。これらの40羽の鳥類からの左右の腿および左右の胸を袋に入れ、ラベルを貼り、凍らせた。右の胸および腿の飼料は、保存可能期間の安定性のために分析され、これらの同一の鳥類からの左の皮なしの胸および左の骨なし、皮なしの腿は、脂肪酸組成のために分析された。
【0087】
胸肉および腿肉の長鎖脂肪酸の組成は、表7および8にそれぞれ掲示される。
【表7】
それぞれの値は、平均を4に、mg/100gの組織を表す、ND=検出不可。
【表8】
それぞれの値は、平均を4に、mg/100gの組織を表す、ND=検出不可。
【0088】
飼料摂取または体重増加の相違は、処置群の中で観察されなかった。
【0089】
食肉処理の前にブロイラーへSDAを21日間与えることは、対照と比較して、胸肉および腿肉でのオメガ3脂肪酸濃縮の有意な増加をもたらした。胸肉において、SDA、EPA、DHAおよびDPAは、投与量依存方式で濃縮された。SDAの添加は、胸肉で、対照またはDHAの添加のものよりも、高いレベルのSDA、EPA、DHAおよびDPAの濃縮をもたらした。全オメガ3脂肪酸での増加は、DHAでのものと比べて、SDAの食餌性濃度の約3倍を得た。SDAの添加は、DHAを添加された鳥類からの胸肉と比較して、類似のオメガ6とオメガ3との比率を有する胸肉をもたらし、双方とも対照よりも優れていた。
【0090】
当開示およびその好ましい実施形態に従って、SDAの添加は、胸肉と比較して、腿肉でのオメガ3の濃縮により大きな影響を有した。DHAを添加された鳥類では2倍であったことと比較して、SDAを添加された鳥類の腿肉中の全オメガ3脂肪酸は、胸肉中のものの4.5〜5倍であった。この相違の有意な部分は、付着した皮による腿肉試料中の付加的な脂肪含有量の結果である可能性が高い。SDA、DHA、およびDPAは、SDAの添加を有する、投与量依存方式で、腿肉中で濃縮された。腿肉において、DHAはまた、SDAを添加された鳥類における対照レベルの2倍であった。オメガ6とオメガ3との比率は、DHAの群に比較して、SDAを添加した群で2倍優れていた。このデータに基づいて、SDAは、腿肉で全オメガ3脂肪酸の同レベルを提供することにおいて、食餌性濃度基準上で、殆どDHAと同等であった。
【0091】
SDAを与えられた鳥類の胸および腿肉の試料において、TBAアッセイによって測定される酸化の悪臭は、対照と比較して、その間に相違は観察されなかった。SDAを与えられた鳥類からの酸化の悪臭は、DHA処置を与えられた鳥類の酸化の悪臭値よりも低かった。
【0092】
実施例2: 家禽肉製品−42日間研究(SDAエチルエステル)
42日間研究は、SDAを含有する食餌を与えられたブロイラーニワトリが、DHAおよび魚油を含有する食餌を与えられたニワトリと比較して、オメガ3脂肪酸の上昇したレベルを有する肉を生産し得るか否かを判定するために行われた。
【0093】
1つの囲いあたり、25羽のオスの鳥類(Ross x Ross308)で、56個の囲いが使用された。1日齢の鳥類が取得され、(使用済みの)松材の削りくず、吊り下げ式の管の給餌器および吸引式の給水器またはプラッソンを含有する床式の囲いに速やかに配置された。8個の囲いは、7つのうちの1つの処置食餌をそれぞれ42日間与えられた。実験は、4つの成長期に分けられた(0〜7日齢、7〜21日齢、および21〜35日齢)。実験的な食餌は、最初の2期(0〜21日齢)に砕いて与えられ、その後小粒で与えられた。
【0094】
食餌性処置は表9に示される。
【表9】
割合レベルは、飼料中のDHAまたはSDAの割合を指す。
【0095】
DHAエチルエステル(90%のDHA)およびSDAエチルエステル(1〜2期に75%のSDAおよび3〜4期に65%のSDA)は、KD Pharma Bexbach GmbH,Bexbach,Germanyから購入された。
【0096】
全ブロイラーは、42日間の研究の持続期間に、飼料および水の不断のアクセスを有した。
【0097】
食餌は、93%のベースミックス塩基混合物(表10)および7%の試験油ミックス(表11)からなった。食餌は、プレスターター期、スターター期、成長期、および肥育期で、それぞれ、3008、3083、および3208kcal/kgの代謝エネルギーを供給した。
【表10】
エトキシキンは、脂肪酸の酸化を減じるために加えられた。
【表11】
【0098】
無作為の区割り計画が使用された。処置は、7つの処置のそれぞれが、8回反復されるように、無作為に囲いに割り当てられた(それぞれに25羽の鳥類を含有する、8個の囲い。)。
【0099】
幼鳥は、実験の開始時に重量を量られ(囲いごとに)、食餌が切り替わる際(それぞれ、7日目、21日目、および35日目)および、実験の終了時(42日齢)に、幼鳥および飼料の重量が、量られた。
【0100】
42日目に、10時間の飼料使用中止期間に続いて、1つの囲いあたりに8羽の鳥類(64鳥類/処置、7つの処置、合計448鳥類)が、無作為に選択され、商業的処理手順を使用して処理された。屠体は、4時間の死体解剖で、細かく切断され、骨を取られた。屠体および部分産出量が、算出され、肉の品質、脂肪酸分析、および感覚的評価のために、肉試料(胸および腿)が採取された。
【0101】
本開示の手法に従って、データは、完全に無作為の試験計画として、生成され、分析された。
【0102】
鳥類の体重は、SDAの含有有りおよびなしで、極めて類似していた。
【0103】
屠体の産出量にわずかな変化があったが、屠体または部分産出量での商業的影響は、ごくわずかであった。同様に、肉の品質の特質にわずかな変化(例えば、視覚的な色およびミノルタカラー、肉汁損失、調理損失)があったが、肉に品質上でのSDAの商業的な影響はごくわずかであった。
【0104】
当開示に従って、魚の異臭を検出するように訓練された試験専門家団によって、感覚的評価が行われた。専門家団によって検出されたものはなく、それ故に、データは表内に含まれなかった。全体として、本開示のSDA組成物を有する試験油の添加は、時間をかけて、感覚的経験のいくつかの測定に影響し得ると思われる。しかしながら、これらの相違は、商業的に大きいわけでも、訓練されていないプレートに検出可能であるわけでもない。
【0105】
胸肉および腿の長鎖脂肪酸の組成は表12A、12B、および13Aならびに13Bにそれぞれ提示される。
【表12】
1ND=検出不可
【表13】
【表14】
1ND=検出不可
【表15】
【0106】
胸肉よりも腿肉に、より多くの脂肪酸が蓄積した。双方の組織で、双方の組織で、SDA、EPA、DPA、およびDHA蓄積での一次増加は、飼料のSDA含有量を増加することで存在した。ARAの蓄積での一次減少(P>0.001)は、飼料のSDA含有量を増加することで存在した。
【0107】
本研究は、30%の変換割合と仮定して、最高レベルのSDAの添加が、組織内のEPA/DHA蓄積の当量レベルを与えるように計画された。双方の組織において、0.27%のDHA処置と比較して、最高レベルのSDAの添加(0.80%)は、当量レベルのEPA、DPAおよびDHAの組み合わせをもたらした。胸肉内のSDAの蓄積は、合計EPA、DPAおよびDHAレベルの50%であったのに対して、腿肉では、合計EPA、DPAおよびDHA濃度の2倍であった。胸肉での合計SDA、EPA、DPAおよびDHA濃度(脂肪酸の%)は、0.27%、0.54%および0.80%のSDA処置において、それぞれ2.7%、3.9%、および4.8%であったのに比較して、0.27%のDHA処置で4.00%であった。腿肉中の合計SDA、EPA、DPAおよびDHA濃度は、0.27%、0.54%、および0.80%のSDA処置において、それぞれ1.7%、2.6%、および3.7であったの比較して、0.27%のDHA処置で1.2%であった。これは、SDAのEPA、DPA、およびDHAの変換効率性が、腿肉中よりも胸組織中でより効率的であったということを提案する。SDAの添加を有する胸肉中でC18:2の有意な減少があった。胸肉よりもはるかに高い脂肪の含有量を含有する、腿肉において、SDAの添加でのC16:0、C18:1、およびC18:2の有意な減少が認められた。これは、DHAの添加で見られなかったことから、予期されなかった。
【0108】
上記のデータは、SDAの添加で、肉組織の成長性能、屠体産出量、肉質、感覚的特性上の否定的な商業効果は、認められなかったということを示唆した。さらに、結果的にもたらされた脂肪酸プロファイルは、摂取するためにヒトの食事用の家禽製品へ組み込まれる際に、有意な健康への有益性を有することが期待される。
【0109】
実施例3:家禽肉製品−50日間研究(SDA大豆油)
n−3脂肪酸堆積のあるブロイラーにステアリドン酸修飾大豆油を含有する食餌を与えることの効果。
【0110】
本研究の目的は、鳥類が、ステアリドン酸(SDA)修飾大豆油、従来の大豆油または魚油のいずれか1つを含有する食餌を与えられた際に、オメガ脂肪酸が、どの程度鶏肉中で濃縮されたかを判定することであった。
【0111】
大豆油は、精製され、漂白され、臭気を取り除かれ、120mg/kgのTBHQおよび60mg/kgのクエン酸で安定化された。油の脂肪酸組成は表14に示される。
【表16】
【0112】
1つの囲いにつき5羽のオスの鳥類(Ross308)で、24個の囲いが使用された。スターター期で、鳥類は、一羽用の囲いで飼われ、共通の食餌を与えられた。鳥類は、15日目の、それらが、成長期へ移行する際に、処置へ無作為に割り当てられた。鳥類は、重量を量られ、24個の囲い(硬い床を有する)のうちの1つに、1つの囲いあたりに5羽の鳥類および1つの処置あたりに8つの囲いで、無作為に割り振られた。囲いは、小屋内で3つの群に区割りされ、それぞれの区割り内で、囲いは3つの処置のうちの1つに無作為に割り振られた。15日目〜28日にかけて、鳥類は、それぞれの成長食餌を与えられた(GSDA、GCONまたはGFISH)。29日目から51日目にかけて、それぞれの肥育食餌を与えられた(FSDA、FCONまたはFFFISH)。
【0114】
食餌S:CONを含有する、スターター食餌
【0115】
食餌GSDA:SDAを含有する、成長食餌
【0116】
食餌GCON:CONを含有する成長食餌
【0117】
食餌GFISH:FISHを含有する成長食餌
【0118】
食餌FSDA:SDAを含有する肥育食餌
【0119】
食餌FCON:CONを含有する肥育食餌
【0120】
食餌FISH:FISHを含有する、肥育食餌
【0121】
スターター食餌は、すりつぶした状態の食餌として調製され、成長期および肥育食餌は、4mmの金型を使用して小粒にされた。小粒にする温度は、50℃と60℃との間に保たれた。表16は、食餌の原料配合を含有する。
【0122】
SDA大豆油、対照の大豆油および魚油は、4.5%の含有レベルで成長食餌に、5.0%の含有レベルで肥育食餌に加えられた。
【表17】
【0123】
表17は、ビタミン/ミネラル添加物の組成を含有する。
【表18】
【0124】
表18は、食餌の化学物質および脂肪酸の組成を示す。油のSDA濃度(24%)に基づいて、成長食餌は、1.08%のSDAを含有するように配合され、肥育食餌は、1.2%のSDAを含有するように配合された。魚油の食餌は約0.07%のSDAを提供した。
【表19】
1方法Bは、酸加水分解されたエーテル抽出物。
【0125】
15日目に、鳥類は、24個の床の囲いの1つに無作為に割り当てられた(一回の処置あたり8個の囲い)。鳥類は、無作為に捕えられ、重量を量られ、次にコンピュータ(マイクロソフト社、エクセル)乱数発生器で、それらが割り当てられた囲いへと配置された。囲いは、小屋の周りで3つに区割りされた。囲いは、木の削りくずの寝床を備える硬い床を有した。15日目〜50日目に、鳥類は、一羽の鳥あたり、約0.2m
2を提供しながら(給餌器および水のスペースを除く)、制御された囲いの施設内で飼われた。照明は、蛍光灯によって、23時間の継続的な照明を、24時間ごとに提供された。床のスペース、温度、照明、鳥類の密度、給餌器および水のスペースの環境的な状況は、全ての処置群で類似していた。
【0126】
鳥類は、孵化場で感染性気管支炎のために予防接種を行った。他の予防接種は、本研究の間投与されなかった。
【0127】
本発明を通して、水は自動給水器を通じて、不断に提供された。
【0128】
本研究を通して、飼料は、ホッパーを通じて、不断に提供された(Super Feeder Hopper3kg,07400,Stockshop,Exeter,UK)。孵化場から到着した後の初めの数日間、鳥類が、ホッパーで飼料を与えることが可能になるまで鶏卵箱に分配された。15日目に、鳥類は、それらのそれぞれの処置食餌を行われた。それらは、1日目〜14日目に、共通のスターター食餌、15日目〜28日目に、共通の成長食餌および29〜50日目に共通の肥育食餌を与えられた。囲いに加えられた試料および囲いから取り除かれた飼料は、重量を量られ、記録された。食餌の変更は、全ての囲いに同じ回数で行われた。
【0129】
鳥類は、15日齢(囲いに割り振られた際)および41日齢で個々に重量を量られた。15日目〜41日目に囲いあたりに消費された飼料の量は、囲いのうち、囲いに重量を加えた飼料の合計量のから、重量を量られた飼料を減算することによって、算出された。
【0130】
性能データは、41日齢の、1羽の鳥あたりの平均の体重増加によって算出され、集約された。平均の飼料:15日齢〜41日齢での増加は、その囲いに生存している鳥類の合計の体重増加で、合計の飼料摂取を割ることによって算出された。調整した飼料:生存している鳥類の体重増加に死亡した鳥類の体重増加を加えた数で、合計の飼料摂取を割ることによって算出された。死亡した鳥が、重量を量られていなかった場合、この囲いからのデータ(囲い6)は、欠損値として扱われた。
【0131】
区割り1および2の鳥類は、41日目に食肉処理され、区割り3および4の鳥類は、43日目に、区割り5および6の鳥類は、48日目に、区割り7および8の鳥類は、50日目に食肉処理された。鳥類が食肉処理された際、それらはまず個々に重量を量られ、次に人道的に殺された。ラミネート加工のラベルはそれらの脚に結ばれ、鳥類は、毛をむしられ、内蔵を取り除かれ、それらの頭を取り除かれた。鳥類は次に、一晩冷蔵で吊り下げられる前に再度重量を量られた。翌日、屠体は再度重量を量られた。胸の皮は、取り除かれ、重量を量られた。胸肉が次に取り除かれ、重量を量られた。脚は、屠体から取り除かれ、重量を量られた。脚の皮が次に取り除かれ、重量を量られ、脚肉が次に取り除かれ、重量を量られた。
【0132】
脂肪酸分析のための肉および皮の試料は、囲いごとに混合された。感覚的分析のための皮なし肉の試料は、処置ごとに混合された。皮(脚から取られた)ならびに皮なしの胸および脚肉は、それぞれの囲いの全ての鳥類から取られた(合計の試料の大きさは、約300g、1つの囲いあたりにそれぞれの組織型の1つの混合試料)。
【0133】
試料は、手持ち式のブレンダー(Braun MR 4000 Solo Hand Blender)を使用して均質化された。皮試料は、ブレンダーを使用して均質化される前に、まずSpong mincerを通して、細かく刻まれた。これらの試料は次に、ポリエチレンの袋に真空包装され、脂肪酸分析のために保管された。脚の皮ならびに皮なしの胸および脚肉の第2の試料は、同じ方法で取得されたが、均質化されなかった。これらの試料は、ポリエチレンの袋に真空包装され、保持試料として保管された。
【0134】
胸の皮の2つの混合した試料(囲いごとに)は、ポリエチレンの袋に保持された。これらの袋は全て、研究番号、囲い番号および組織型を有するラベルを貼られ、試料は約−20℃で保存された。残りの皮なしの胸および脚肉は、ポリエチレンの袋に真空包装され、研究番号、囲い番号および組織型を有するラベルを貼られた。これらも感覚的分析のための使用まで、約−20℃で保存された。
【0135】
胸および脚肉の試料は、感覚的分析のために提出された。胸肉は、新たに調理された際に評価され、脚肉は、新たに調理された際に評価され、調理された際に、冷蔵され、再加熱された(すなわち2回調理された)。これは脚肉の高脂質含有量がそれを酸化変質しやすくする可能性が高く、肉の再加熱は、肉の酸化安定性における、いずれの相違をも検出する可能性を増加するように、より大きな酸化的ストレスを提供するためである。
【0136】
訓練された審査員団(10)が、製品間を良好に区別した鍵となる記述的特質を特定し、定義するための討論および訓練セッションに参加した。続く格付けセッションで、審査団は、それぞれの特質の把握した強度を格付けするために、口頭によるアンカーを用いる、100点の非構造化ラインスケールを使用した。それぞれのパネリストは、6日間にわたってそれぞれの試料の3つの再現を評価した。味のついていないクラッカーおよびミネラルウォーターが、試料の間の口直しとして使用された。試料は、味見され、噛まれ、次に飲み込まれずに、吐き出された。試料の後味が、口から試料が取り除かれて1分後に、判定された。
【0137】
胸肉について示された感覚的特質および定義は、以下であった。
【0138】
いくつかの付加的な記述語が使用されたが、脚肉の感覚的特質および定義は、胸肉で生産されたこれらのものと類似していた。これは、香り、風味、および後味についての「魚臭さ」についての記述語を含んだ。感覚に関する用語を発展させた際に、魚臭い特質が検出されなかったため、これは、胸肉の試料の分析には含まれなかった。脚肉の特質は、下記のように定義された。
【0139】
結果:
給餌の開示および終了期に製造業者で取得された食餌試料は、脂肪酸成分でわずかな変化を示した。期内で、乾燥物質の基準を検討した際に、食餌の化学組成は類似であった。
【0140】
15日齢の鳥類の平均の重量は、表19に提示される。最初の鳥の生重量で、処置の間に相違はなく、囲い間に有意な相違はなかった(P=0.865)。15日齢〜41日齢からの平均の試料の摂取量、体重の増加および試料の増加データ(合計、および囲いからの死亡した鳥類のために調整された)は、表19に掲示される。平均は、共変量として、15日目の重量に調整された。給餌の基準上で、試料の摂取量は、CONでのものよりもFISHでのものの方が低かったが、乾燥物質の摂取量で有意な相違はなく、鳥類の性能上で、食餌性油の他の有意な効果はなかった。SDAの鳥類の飼料摂取量は、CONまたはFISHに相違はなかった。
【表20】
a、b列内で、異なる上付き文字を有する値は、有意に異なる(P<0.05)。
【0141】
鳥類の肉の産出量における、食肉処理の齢、食餌性油および食肉処理の齢と食餌性油との相互関係は、表20に集約された。分析は、共変量として15日目の生重量を配慮した(平均は、これに調整された)。食肉処理の齢と食餌との間に有意な相互関係はなかった。食肉処理され、切り分けられ、死亡して冷たくなったFISHを与えられた鳥の屠体の重量は、FISHを与えられた鳥類のより低い飼料摂取量により、大豆を与えられた鳥類よりも低かった。FISHを与えられた鳥類は、胸肉をもより少なく生産し、合計の肉および胸肉の産出量は、CONまたはSDAを与えられた鳥類のものよりも低かった。胸および脚での皮の割合は、食餌に影響されなかった。全てのパラメータにおいて、SDA鳥類とCON鳥類との相違はなかった。SDAを与えられた鳥類は、魚油の食餌を与えられた鳥類に比べて、より良い胸肉および合計の肉の産出量をもたらした。
【0142】
全体として鳥類の性能を見た際に、SDAは、FISHよりも優れたオメガ3源であった。
【表21】
a、b列内で、異なる上付き文字を有する値は、有意に異なる(P<0.05)。
【0143】
皮なしの胸肉(表21)、皮なしの脚肉(表22)、および皮付きの胸(表23)ならびに皮付きの脚肉(表24)の脂肪酸組成は、DPA、EPA、およびDHAの増加を除いては、食餌の脂肪酸組成を反映した。
【0144】
SDAは、EPAに変換されるが、DHAに変換されないことが参考文献(James et al,2003)に示されている。本研究で観察されるDHAの増加は、予期されなかった。皮なしの胸肉、皮なしの脚肉、皮付きの胸肉および皮付きの脚肉において、DHAレベル(mg/100g組織)は、SDA大豆油を消費する鳥類の組織で、従来型の大豆油を消費するものと比べて、それぞれ、2.0、2.6、2.1、および2.0倍高かった。
【0145】
EPAおよびDPAは、従来型の大豆油を与えられた鳥類の組織に比べて、組織に有意に濃縮されていた。この濃縮は、SDAからEPAの変換およびEPAからDPAの変換によるものであった。
【0146】
SDAを与えられた鳥類のGLAは、従来型の大豆油を与えられた鳥類の組織で発見されたものの約10倍上昇した。これは、SDA大豆油中の高レベルのGLAによるものであった。
【0147】
全ての組織において、n−6:N−3の比率は、SDA大豆油を消費する鳥類と魚油を消費する鳥類との間で相違はなかったが、それらは従来型の大豆油を消費する鳥類よりも有意に優れていた。
【0148】
全n−3脂肪酸(mg/100g組織)は、従来型の大豆油および魚油を与えられた鳥類に比べて、SDA大豆油を与えられた鳥類の組織で、有意に高かった。家禽肉(100g)の給仕におけるこれらのレベルは、ヒトの一日の所要量に有意な貢献を提供する。
【0149】
異なる食餌における、摂取量(成長期および肥育期にわたる)および脂肪酸の組織貯留の大きさは、表25に集約される。FISHを与えられた鳥類は、それらが消費したC18:4、C20:5、C22:5、C22:6およびLC n−3PUFAで、それぞれ、23、19、37、23および24%を蓄積した(それらの可食組織で)。CONを与えられた鳥類は、それらの食餌にこれらの脂肪酸の検出可能な量を有さないにも関わらず、いくらかのSDAおよびLC n−3PUFを蓄積した。
【0150】
脂肪酸は食餌性C18:3の不飽和および伸長からのものであると仮定して、CONの鳥類の可食組織でのC18:4、C20:5、C22:5、C22:6およびLC n−3PUFAの堆積は、消費された食餌性C18:3の、それぞれ、1.3、0.9、1.3、0.8および3%の割合を占めた。SDAを与えられた鳥類によって消費されたC18:3n3が同様に変換され、他のいずれの堆積したC18:4およびLC n−3PUFAも食餌性C18:4に由来した場合、その結果、食餌性C18:4は、C18:4、C20:5、C22:5、C22:6およびLC n−3PUFAにおいて、それぞれ、9388、799、871、273および1840mgの堆積の割合を占めた。この堆積は、消費されたSDAの18、1.6、1.7、0.5および3.6%のSDAを示す。SDAを与えられた鳥類によるC18:4およびLC n−3PUFAの堆積は、故に、消費されたC18:4の21.6%の割合を占めた。
【0151】
このLC n−3PUFAの堆積は、SDA食餌とともに予め配合されたLC n−3PUFAのごくわずかな摂取量のため、C18:4n3のそれよりも長い鎖の不飽和類自体への変換に起因するに違いない。
【0152】
Jamesら(2003)は、3gのC18:4は、1gのC20:5と同等であると提案した。この基準で、SDAを与えられた鳥類の胸および脚肉(皮付き)に蓄積したC18:4は、付加的な170および279mgのLC n−3PUFAのそれぞれの当量を供給した。合計のLC n−3PUFA当量の供給は、その結果、311および498mg/肉に同等である。皮なしの胸肉および脚肉のあまり脂質が豊富でない組織でさえも、SDAを与えられた鳥類からのC18:4からの潜在的な貢献は、164および288mg/100gの肉のそれぞれの当量を提供する。LC n−3PUFA当量の濃度が、検討された際、皮なしの胸肉におけるLC n−3PUFAの当量の濃度は、FISHまたはSDAのどちらか一方を与えられた鳥類のものに類似していた。他の組織においても、LC n−3PUFA当量の供給は、CONを与えられたものに比べて、SDAを与えられた鳥類でより多かった。
【0153】
脂肪酸が組織内の脂肪酸の割合に表される場合、SDA大豆油を与えられた鳥類からの皮なしの胸肉は、従来型の大豆油を与えられた鳥類からの脂肪酸の0.14%のSDA、0.57%のEPA、0.57%のDPAおよび0.33%のDHAに比べて、10.76%のSDA、1.30%のEPA、2.10%のDPAおよび0.65%のDHAを含有した。SDA大豆油を与えられた鳥類からの皮なしの脚肉は、従来型の大豆油を与えられた鳥類からの脂肪酸の0.24%のSDA、0.12%のEPA、0.39%のDPAおよび0.20%のDHAに比べて、10.89%のSDA、1.31%のEPA、1.65%のDPAおよび0.52%のDHAを含有した。SDA大豆油を与えられた鳥類からの皮は、従来型の大豆油を与えられた鳥類からの脂肪酸の0.29%のSDA、0.08%のEPA、0.12%のDPAおよび0.05%のDHAに比べて、11.51%のSDA、0.09%のEPA、0.89%のDPAおよび0.24%のDHAを含有した。
【表22】
1飽和脂肪酸
2一価不飽和脂肪酸
3ポリ不飽和脂肪酸
4全n−3脂肪酸
5全n−6脂肪酸s
6n−6:n−3の脂肪酸の比率
7全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸
8全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸を足した(C18:4/3)として算出された
a、b、c異なる上付き文字を有する列内の平均は、有意に異なる(P<0.05)
【表23】
1飽和脂肪酸
2一価不飽和脂肪酸
3ポリ不飽和脂肪酸
4全n−3脂肪酸
5全n−6脂肪酸s
6n−6:n−3の脂肪酸の比率
7全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸
8全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸を足した(C18:4/3)として算出された
a、b、c異なる上付き文字を有する列内の平均は、有意に異なる(P<0.05)
【表24】
1飽和脂肪酸
2一価不飽和脂肪酸
3ポリ不飽和脂肪酸
4全n−3脂肪酸
5全n−6脂肪酸s
6n−6:n−3の脂肪酸の比率
7全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸
8全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸を足した(C18:4/3)として算出された
a、b、c異なる上付き文字を有する列内の平均は、有意に異なる(P<0.05)
【表25】
1飽和脂肪酸
2一価不飽和脂肪酸
3ポリ不飽和脂肪酸
4全n−3脂肪酸
5全n−6脂肪酸s
6n−6:n−3の脂肪酸の比率
7全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸
8全長鎖n−3ポリ不飽和脂肪酸を足した(C18:4/3)として算出された
a、b、c異なる上付き文字を有する列内の平均は、有意に異なる(P<0.05)
【表26】
a、b、cデータセット内で、共通の上付き文字なしの列内の平均は、有意に異なる(P<0.05)
【0154】
感覚的分析の結果は、表26および表27に集約される。
【0155】
胸肉において、把握された相違は、肉の触感および外見に関連するが、風味、香り、後味に関連しなかった。これらの相違は、CONを与えられた鳥類に、より関係するが、把握した触感によるものである。これは、食餌的戦略の結果であったわけではなく、試料中の天然の変化の現れ、調理過程の加工品の結果である可能性が高い。
【0156】
しかしながら、より脂質が豊富な脚肉の感覚的特質は、鳥類が与えられていた食餌に有意に影響した(表27)。有意な魚の香り、風味および後味が、新たに調理された肉および再加熱された肉の双方で把握され、これらは、FISHを与えられた鳥類からの肉で最も目立った。これあの魚の特質は、SDAを与えられた鳥類からの肉でも検出されたが、スコアは低かった。
【0157】
新たに調理されたSDAの肉において、魚のスコアは、CONの肉と有意に相違しなかった。再加熱したSDAの肉は、加熱したCONの肉より、魚の香りおよび風味を有し(しかし、新たに調理されたSDA肉と有意に相違しなかった)、その魚の後味は、新たに調理されたCONの肉に有意に相違しなかった。再加熱したFISHの肉は一方で、すべての3つの魚の特質(香り、風味および後味)で有意に高いスコアを有した。
【0158】
C18:4として(LC n−3PUFAとしてよりはむしろ)食餌性C18:4を蓄積する鳥類の主な有益性は、故に、肉に与えられるより大きな酸化の安定性であり得る。
【表27】
a、b、列内で、共通の上付き文字なしの値は、有意に異なる(P<0.05)
【表28】
a、b、c、d列内で、共通の上付き文字なしの値は、有意に異なる(P<0.05)
【0159】
結論:ブロイラーに、SDA濃縮大豆油を与えることは、それらの性能または屠体組成に効果がなかったが、C18:4で組織の有意な濃縮および長鎖n−3PUFAのC20:5およびC22:5の蓄積をもたらした。この方法でこの肉を消費するヒトに供給され得る、LC n−3PUFAの当量は、皮なしの胸肉、皮なしの脚、胸(皮付き)および脚(皮付き)肉のそれぞれ、約164、288、311および498mg/100gの肉であった。SDA濃縮大豆油を鳥類に与えることは、鳥類に魚油を与えることで達成された肉でのLC n−3PUFAの濃縮と同じ程度の結果をもたらさなかったが、SDAを与えられた鳥類の感覚的特質は、SDAの肉で把握されている有意に低い魚の雰囲気をともなって、秀でていた。家禽の食餌でのSDA濃縮大豆油の使用は、故に、魚油が使用される際に直面する肉の費用、供給の安全性および乏しい感覚的特質に関連するいくつかの問題なしに、LC n−3PUFA濃縮肉を生産する手段を与える。
【0160】
実施例4:家禽卵製品(SDAエチルエステル)
ニワトリによるN−3脂肪酸の豊富な卵およびSDA濃縮食餌製品の生産。
【0161】
研究は、ステアリドン酸を濃縮した食餌を与えられた産卵鶏が、EPAおよびDHAを含む、有益なオメガ3脂肪酸の上昇したレベルを有する卵を生産可能か否かを判定するために行われた。
【0162】
成体の産卵鶏(128)は、無作為に7つの食餌性処置(16羽の産卵鶏/処置)に割り当てられ、表28に説明されるように、n−3脂肪酸の次のレベルを含有する食餌を4週間与えられた。
【表29】
【0163】
DHA、SDA、およびALAエチルエステルの割合は、そのような構成要素によって作製された食餌の割合を指す。DHA、SDA、およびALAエチルエステルは、KD Pharma Bexbach GmbH,BexBbach,Germanyから購入された。
【0164】
16羽の鳥類は各処置を与えられた。16羽のうち、処置あたり4羽の鳥類が、脂肪酸組成のために4週間目の間、卵を取得するために、無作為に選択された。試験力は、P=0.05での全オメガ3での0.2%の相違を検出するために十分であった。産卵鶏は、飼料および水に不断のアクセスを有した。食餌の組成(表29)および、プレミックス(表30)成は下記に提供される。
【表30】
1トウモロコシ(48.2%)、48%の皮を剥いたSBM(23.10%)、全ミドリング粉(12.20%)、塩(0.60%)、リン酸カルシウム(11.30%)、第2リン酸カルシウム(2.07%)、微量元素PMX(0.00%)。
【表31】
【0165】
脂肪酸の酸化を防ぐために、0.05%のエトキシキン(Rendox)を、それぞれのプレミックスに加えた。プレミックスは、エチルエステルの到着の3日以内に製造された。保存に伴う酸化を制限するために、食餌は、一度製造され、研究の持続機関の間中、4℃で冷蔵機能を備えるクーラー内に保存された。
【0166】
49週目(22日目〜28日目)に採取された卵は、その週のための全ての卵が採取されるまで、冷蔵状態で維持された。卵は、雌鳥および処置ごとに保管された。一回の処置あたり、4羽の雌鳥で、1羽の雌鳥あたり2つの卵が得られた。2つの卵は、個々に重量を量られ、欠けた部分および殻は重量を量られた。生卵と殻との相違は、液状卵の重量を表し、さらなる算出のための基準の役目を果たした。1羽の雌鳥あたり2つの卵のそれぞれからの液体分率は、試料カップ内で組み合わされ、均質化された。試料は、ガスクロマトグラフィーによって脂肪酸を分析された。卵の長鎖脂肪酸の組成は、表31に提示される。
【表32】
それぞれの値は、平均を4に、mg/100gの組織を表す、ND=検出不可。
【0167】
当開示の好ましい実施形態に従って、SDAの食餌添加は、ALAよりも卵中の効果的なDHA/EPAレベルを増加させることにおいて、約4.5倍効果的であった。単位あたりで、SDAは、卵中のEPA、DPAおよびDHAを増加させることにおいて、ALAよりも効果的であった。ALAを濃縮した卵中のSDAまたはDPAの有意な蓄積はなかった。しかしながら、産卵鶏の食餌におけるSDAの摂取は、それらが生産した卵中にSDA、EPA、DPAおよびDHAの濃縮をもたらした。
【0168】
当開示はまた、いずれの認識される否定的な商業効果のない、これらのオメガ3を提供した。すなわち、SDAを濃縮した処置からの卵の保持期限は標準であった。SDA処置からの60日目の卵は、チオバルビツール酸(TBA)アッセイによって測定された対照からの酸敗臭で相違を示さなかった。68日目の、SDA処置からの卵の酸敗臭と、DHA処置からの卵の酸敗臭との間の統計上の相違はなかった。
参考文献
前記および後記の本願に引用された参考文献を、特にここに出典明示して本明細書の一部とみなす。
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