【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る蓄電素子は、
正極板と負極板とが積層された電極体であって、該電極体は、正極板及び負極板の両電極板のうちの少なくとも一方の電極板が積層状態で突出した突出部を有し、該突出部は、該突出部の先端側を束ねて形成された拘束部と、突出部の基端側から拘束部に向かって傾斜する傾斜部とを有する、電極体と、
拘束部の一面及び他面の両表面のうちの少なくとも一方の表面に対向して配置される当て部材と、
拘束部の一面及び他面の両表面のうちの少なくとも他方の表面に対向して配置される接続片を有する集電体と、
電極体、当て部材及び集電体を収容するケースであって、該ケース内で電極体が集電体によって支持される、ケースとを備え、
当て部材は、拘束部の表面に沿う基部と、該基部から傾斜部の表面に沿って突出部の基端側に延びるスカート部と
、突出部が突出する第1方向と電極板の面内において交差する第2方向における基部の端部とスカート部の端部とに連結される補強片と、を有する。
【0017】
かかる構成によれば、当て部材のスカート部が基部から傾斜部の表面に沿って突出部の基端側に延びている。そのため、当て部材のエッジが傾斜部にこすれたり、突き当たる等して、傾斜部が損傷する、という事態が生じない。
【0019】
また、かかる構成によれば、基部に対するスカート部の剛性を高めることができ、当て部材の強度を向上することができる。
【0020】
この場合、
拘束部は
、第2方向において、突出部の一部領域に形成され、
突出部は、第2方向において、拘束部に向かって傾斜する第2の傾斜部を有し、
補強片は、当て部材の端部に設けられ、第2の傾斜部の表面に沿っている
ようにすることができる。
【0021】
かかる構成によれば、当て部材の補強片が当て部材の端部から第2の傾斜部の表面に沿って延びている。そのため、第2方向において、振動により当て部材と突出部との間に相対変位が生じても、当て部材の補強片のエッジが第2の傾斜部にこすれたり、突き当たる等して、第2の傾斜部が損傷する、という事態が生じない。また、機械的強度が弱い第2の傾斜部の広い範囲を当て部材の補強片で支えることができる。そのため、振動等で第2の傾斜部に皺が寄ることがなくなり、皺に起因する第2の傾斜部の損傷等も起こりにくくなる。即ち、補強片は、第2方向におけるスカート部を構成している。
【0022】
また、本発明に係る蓄電素子の他態様として、
当て部材は、拘束部の一面及び他面の両表面のうちの他方の表面側にも、基部とスカート部とを有する
ようにすることができる。
【0023】
かかる構成によれば、当て部材がクリップ形状となっている。即ち、電極体の突出部は、当て部材の一対の基部と、一対のスカート部とで拘束されている。そのため、傾斜部の一面及び他面の両表面において、当て部材のエッジが傾斜部にこすれたり、突き当たる等して、傾斜部が損傷する、という事態が生じない。
【0024】
また、本発明に係る蓄電素子の別の態様として、
突出部は、第1の突出部と、該第1の突出部と間隔を有して対向する第2の突出部とを含み、
当て部材は、第1の突出部の外面に配置される第1の当て部材と、第2の突出部の外面に配置される第2の当て部材とを含み、
第1の当て部材は、第1の突出部の内面側にも、基部とスカート部とを有し、
第2の当て部材は、第2の突出部の内面側にも、基部とスカート部とを有する
ようにすることができる。
【0025】
かかる構成によれば、第1の当て部材も第2の当て部材もクリップ形状となっている。即ち、第1の突出部は、第1の当て部材の一対の基部と、一対のスカート部とで拘束され、第2の突出部は、第2の当て部材の一対の基部と、一対のスカート部とで拘束されている。そのため、傾斜部の外面及び内面のそれぞれにおいて、当て部材のエッジが傾斜部にこすれたり、突き当たる等して、傾斜部が損傷する、という事態が生じない。
【0026】
この場合、
第1の当て部材のスカート部のうちの第2の当て部材側に位置するスカート部の先端と、第2の当て部材のスカート部のうちの第1の当て部材側に位置するスカート部の先端とが連結されている
ようにすることができる。
【0027】
かかる構成によれば、第1の当て部材と第2の当て部材とが一体化され、当て部材としての強度を高めることができるのみならず、電極体の突出部(第1及び第2の突出部)に対する当て部材の結合強度を高めることができる。
【0028】
また、本発明に係る蓄電素子のさらに別の態様として、
突出部は、第1の突出部と、該第1の突出部と間隔を有して対向する第2の突出部とを含み、
当て部材は、第1の突出部の内面に配置される第1の当て部材と、第2の突出部の内面に配置される第2の当て部材とを含む
ようにすることができる。
【0029】
かかる構成によれば、第1の突出部における傾斜部の内面が第1の当て部材のスカート部によって保護され、第2の突出部における傾斜部の内面が第2の当て部材のスカート部によって保護される。
【0030】
この場合、
第1の当て部材のスカート部の先端と、第2の当て部材のスカート部の先端とが連結されている
ようにすることができる。
【0031】
かかる構成によれば、第1の当て部材と第2の当て部材とが一体化され、当て部材としての強度を高めることができるのみならず、電極体の突出部(第1及び第2の突出部)に対する当て部材の結合強度を高めることができる。
【0032】
さらに、この場合、
当て部材は
、第2方向において、第1の当て部材の側縁と第2の当て部材の側縁とを連結する連結片をさらに有する
ようにすることができる。
【0033】
かかる構成によれば、当て部材が3次元的な立体構造となるため、高い機械的強度を実現することができる。従って、当て部材を例えば板材を成形して形成するような場合、薄肉の板材を用いて軽量化することができる。
【0034】
さらに、この場合、
連結片は、第1の当て部材の側縁と第2の当て部材の側縁とで構成される側方開放部を塞ぐ
ようにすることができる。
【0035】
かかる構成によれば、当て部材がカップ状となるため、高い機械的強度を実現することができる。従って、当て部材を例えば板材を成形して形成するような場合、薄肉の板材を用いて軽量化することができる。
【0036】
また、本発明に係る蓄電素子の別の態様として、
電極板は、集電基材と、該集電基材の一端部を除いた表面に形成された活物質層とを含み、
集電基材の一端部は、活物質層が形成されていない活物質層非形成部であり、
突出部は、活物質層非形成部によって形成される
ようにすることができる。
【0037】
かかる構成によれば、突出部における傾斜部では、隣り合う活物質層非形成部間に間隙が形成されやすくなる。そのため、傾斜部は、拘束部から受ける力に対して比較的圧縮変形されやすくなっている。しかしながら、上記した当て部材の構成により、傾斜部の損傷等を好適に防止することができる。
【0038】
また、本発明に係る蓄電素子のさらに別の態様として、
電極体は、正極板と負極板とが互いに絶縁された状態で巻回された扁平状の電極体であって、巻回中心軸を挟んで対向する一対の折り返し部と、該一対の折り返し部間に位置する平坦部とを有する電極体であり、
突出部は、巻回中心軸方向における電極体の端部に形成され、
拘束部は、電極体の端部のうちの平坦部に形成され、
第2の傾斜部が電極体の端部に形成され、
当て部材は、電極体の端部の外面に配置され、補強片が第2の傾斜部の外面に沿っている
ようにすることができる。
【0039】
かかる構成によれば、当て部材の補強片が当て部材の端部から第2の傾斜部の表面に沿って延びている。そのため、第2方向において、振動により当て部材と突出部との間に相対変位が生じても、当て部材の補強片のエッジが第2の傾斜部にこすれたり、突き当たる等して、第2の傾斜部が損傷する、という事態が生じない。また、機械的強度が弱い第2の傾斜部の広い範囲を当て部材の補強片で支えることができる。そのため、振動等で第2の傾斜部に皺が寄ることがなくなり、皺に起因する第2の傾斜部の損傷等も起こりにくくなる。即ち、補強片は、第2方向におけるスカート部を構成している。
【0040】
また、本発明に係る蓄電素子のさらに別の態様として、
スカート部は、突出部の基端まで延びる
ようにすることができる。
【0041】
かかる構成によれば、機械的強度が最も弱い傾斜部を当て部材のスカート部全体で支えることができる。そのため、振動等で傾斜部に皺が寄ることがなくなり、皺に起因する傾斜部の損傷等も起こりにくくなる。