(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スライダーカバー(50,60,70,80)が前記スライダー(10)に取り付けられた状態において、前記上部材(51,61,71,81)の上面と前記上翼板(21)の上面とが同一高さにあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記カバー側フランジ(55,65)の下端縁が、前記上翼板(21)の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるスライダー側フランジ(24a)の下端縁よりも下方に配置されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記下部材(52,62,72)には、前記スライダー(10)の下翼板(22)の一部を収容する凹部(52a,62a,72a)が形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記上部材(51)と前記下部材(52)との間であって、且つ前記連結柱(53)の両側に形成され、スライドファスナー(30)のファスナーエレメント列(31)を案内する左右一対のエレメント通路(56)を更に備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記上部材(51)及び前記下部材(52)の少なくとも一方には、その左右両側縁に沿って前記ファスナーエレメント列(31)を案内するフランジがそれぞれ形成されることを特徴とする請求項8に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記エレメント通路(56)の軸線(L1)に対する前記エレメント通路(56)の入口縁部(56a)の角度(θ)が90°±20°に設定されることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記下部材(52,72,82)は、前記連結柱(53,73,83)から幅方向外側に延びる左右一対の第1下板(52c,72c,82c)と、前記第1下板から延出し、前記第1下板の上面よりも下方に向けて低く形成された上面からなる第2下板(52d,72d,82d)からなり、
前記第1下板の内面と前記第2下板の内面との間には、前記下翼板(22)の側壁(22a)に接触可能な段差部(52e,72e,82e)が形成されることを特徴とする請求項7に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記下部材(82)には、前記スライダー(10)の前記下翼板(22)の肩口(25)側端部から後口(26)側端部までを収容する凹部(82a)が形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
前記スライダーカバー(60,70,80)は、少なくとも前記上部材からなる第1部材(61,71,81)と、少なくとも前記下部材からなる第2部材(62,72,82)とが係合することで形成されており、
前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも一方に形成される係合凸部(63b,73a,83a)と、前記第1部材及び前記第2部材の少なくとも他方に形成される係合凹部(62b,77,87)とにより連結可能であることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
一対のファスナーテープ(32)と、前記一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部にそれぞれ取り付けられる一対のファスナーエレメント列(31)と、前記一対のファスナーエレメント列に挿通されるスライダー(10)と、前記スライダーが前記一対のファスナーエレメント列に挿通された状態で、前記スライダーに脱着可能なスライダーカバー(50,60,70,80)と、を備え、
前記スライダーは、上下方向に離間して並行に配置される上翼板(21)及び下翼板(22)と、前記上翼板及び前記下翼板を前端部において連結する案内柱(23)と、前記上翼板上に設けられる引手取付部(20a)と、を備える胴体(20)と、前記引手取付部に取り付けられる引手(11)と、を備え、
前記スライダーカバーは、請求項1〜16のいずれか1項に記載のスライダーカバーであることを特徴とするスライダーカバー付きスライドファスナー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記特許文献1、3に記載のスライダーでは、別機能を有する側板や標板がスライダーの胴体に一体的に形成されているため、汎用性が低かった。また、上記特許文献2、4に記載のジッパーガード付きスライダーや冷感防止機能付きスライダーでは、別途に支持部材を案内柱に取り付けたり、スライダーの胴体の一部に樹脂カバーを取り付けるための係合部を予め加工したりする必要があるため、汎用性が低かった。
【0009】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、スライダーに加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、スライダーに別機能を付加することができるスライドファスナーのスライダーカバー及びスライダーカバー付きスライドファスナーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1)上下方向に離間して並行に配置される上部材及び下部材と、上部材及び下部材を連結する連結柱と、を備え、上部材は、スライダーの上翼板の少なくとも一部を収容する収容部を有
し、収容部は、上部材の上下面を貫通した孔部であり、収容部は、孔部を形成するための内側面を有し、内側面の少なくとも一部は、上翼板の側壁の少なくとも一部と接触するように、上翼板を収納し、収納部の幅方向両側に、カバー側フランジが設けられ、カバー側フランジは、上部材の幅方向両側縁に沿って下方に向けて突出することを特徴とするスライドファスナーのスライダーカバー。
(2)収容部は、上翼板の全周を収容することを特徴とする(1)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(3)収容部は、上翼板よりも大きく形成されており、スライダーカバーがスライダーに取り付けられた状態において、収容部の内側面と上翼板の側壁との間に隙間が形成されることを特徴とする
(1)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(4)スライダーカバーがスライダーに取り付けられた状態において、上部材の上面と上翼板の上面とが同一高さにあることを特徴とする(1)〜
(3)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(5)スライダーは、上翼板の上面に設けられる引手取付部と、引手取付部に取り付けられる引手と、を備え、引手取付部及び引手は、上部材よりも上側に配置されることを特徴する(1)〜
(3)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(6)カバー側フランジの下端縁が、上翼板の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるスライダー側フランジの下端縁よりも下方に配置されることを特徴とする
(1)〜(5)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(7)下部材には、スライダーの下翼板の一部を収容する凹部が形成されることを特徴とする(1)〜
(6)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(8)上部材と下部材との間であって、且つ連結柱の両側に形成され、スライドファスナーのファスナーエレメント列を案内する左右一対のエレメント通路を更に備えることを特徴とする(1)〜
(7)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(9)上部材及び下部材の少なくとも一方には、その左右両側縁に沿ってファスナーエレメント列を案内するフランジがそれぞれ形成されることを特徴とする
(8)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(10)下部材の下面には、左右一対のエレメント通路に沿って左右一対の凹溝が形成されることを特徴とする
(8)又は
(9)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(11)エレメント通路の軸線に対するエレメント通路の入口縁部の角度が90°±20°に設定されることを特徴とする
(8)〜
(10)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(12)下部材は、連結柱から幅方向外側に延びる左右一対の第1下板と、第1下板から延出し、第1下板の上面よりも下方に向けて低く形成された上面からなる第2下板からなり、第1下板の内面と第2下板の内面との間には、下翼板の側壁に接触可能な段差部が形成されることを特徴とする
(7)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(13)左右一対の第1下板の少なくとも一方は、上部材よりも前方側に延出していることを特徴とする
(12)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(14)第1下板の内面は、その内面の後端部から前方に向けて下り傾斜する傾斜面を有することを特徴とする
(13)に記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(15)下部材には、スライダーの下翼板の肩口側端部から後口側端部までを収容する凹部が形成されることを特徴とする(1)〜
(6)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(16)スライダーカバーは、少なくとも上部材からなる第1部材と、少なくとも下部材からなる第2部材とが係合することで形成されており、第1部材及び第2部材の少なくとも一方に形成される係合凸部と、第1部材及び第2部材の少なくとも他方に形成される係合凹部とにより連結可能であることを特徴とする(1)〜
(15)のいずれか1つに記載のスライドファスナーのスライダーカバー。
(17)一対のファスナーテープと、一対のファスナーテープの対向するテープ側縁部にそれぞれ取り付けられる一対のファスナーエレメント列と、一対のファスナーエレメント列に挿通されるスライダーと、スライダーが一対のファスナーエレメント列に挿通された状態で、スライダーに脱着可能なスライダーカバーと、を備え、スライダーは、上下方向に離間して並行に配置される上翼板及び下翼板と、上翼板及び下翼板を前端部において連結する案内柱と、上翼板上に設けられる引手取付部と、を備える胴体と、引手取付部に取り付けられる引手と、を備え、スライダーカバーは、(1)〜
(16)のいずれか1つに記載のスライダーカバーであることを特徴とするスライダーカバー付きスライドファスナー。
【発明の効果】
【0011】
本発明のスライドファスナーのスライダーカバーによれば、上下方向に離間して並行に配置される上部材及び下部材と、上部材及び下部材を連結する連結柱と、を備え、上部材が、スライダーの上翼板の少なくとも一部を収容する収容部を有するため、スライダーに加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、スライダーに別機能を付加することができる。
また、本発明のスライドファスナーのスライダーカバーによれば、収容部は、上部材の上下面を貫通した孔部であり、収容部は、孔部を形成するための内側面を有し、内側面の少なくとも一部は、上翼板の側壁の少なくとも一部と接触するように、上翼板を収納するため、上翼板の側壁が収容部の内側面により囲まれ、スライダーカバーがスライダーに保持される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るスライドファスナーのスライダーカバーの各実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以後の説明において、スライドファスナーに関しては、表側とは
図1の紙面に対して手前側、裏側とは
図1の紙面に対して奥側、上側とは
図1の紙面に対して上側、下側とは
図1の紙面に対して下側、左側とは
図1の紙面に対して左側、右側とは
図1の紙面に対して右側とする。スライダーとスライダーカバーに関しては、上側とは
図1の紙面に対して手前側、下側とは
図1の紙面に対して奥側、前側とは
図1の紙面に対して上側、後側とは
図1の紙面に対して下側、右側とは
図1の紙面に対して右側、左側とは
図1の紙面に対して左側とする。また、スライドファスナー、スライダー、及びスライダーカバーの左右方向は幅方向ともいう。
【0014】
(第1実施形態)
まず、
図1〜
図12を参照して、本発明に係るスライドファスナーのスライダーカバーの第1実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態のスライダーカバー50は、
図1〜
図3に示すスライドファスナー用スライダー10に脱着可能に取り付けられるものである。好ましくは、スライダーカバー50は、特にスライダー10がファスナーエレメント列に挿通された状態で、脱着可能に取り付けられるものである。
【0016】
このスライダー10は、自動停止機能付きのスライダーであって、胴体20と、胴体20の後述する上翼板21上の引手取付部20aに取り付けられる引手11と、を備える。また、スライダー10は、合成樹脂や金属などによって成形されている。
【0017】
胴体20は、
図3、
図7、及び
図8に示すように、上下方向に離間して並行に配置される上翼板21及び下翼板22と、上翼板21及び下翼板22を前端部において連結する案内柱23と、上翼板21の左右両側縁に沿って下方に向けて突設される上側フランジ(スライダー側フランジ)24aと、下翼板22の左右両側縁に沿って上方に向けて突設される下側フランジ24bと、を備える。これにより、胴体20の前部には案内柱23により分離された左右の肩口25が形成され、胴体20の後部には後口26が形成される。そして、上翼板21と下翼板22との間には、左右の肩口25と後口26とを連通する略Y字状のエレメント案内路27が形成され、このエレメント案内路27は、スライドファスナー30のファスナーエレメント列31を挿通させる通路を構成する。
【0018】
スライドファスナー30は、左右一対のファスナーテープ32と、左右一対のファスナーテープ32の対向するテープ側縁部にそれぞれ取り付けられる左右一対のコイル状のファスナーエレメント列31と、左右一対のファスナーエレメント列31に挿通されるスライダー10と、を備えており、スライダー10を摺動することにより、左右一対のファスナーエレメント列31を噛合・分離することが可能である。なお、ファスナーエレメント列は、上記したコイル状のファスナーエレメント列だけではなく、例えば、合成樹脂や金属をファスナーテープのテープ側縁部に直接射出したタイプや、金属エレメントをファスナーテープのテープ側縁部にかしめ固定したタイプであってもよい。
【0019】
スライダーカバー50は、
図3〜
図8に示すように、上下方向に離間して並行に配置される上板(上部材)51及び下板(下部材)52と、上板51及び下板52を連結する連結柱53と、を備える。そして、上板51は、スライダー10の上翼板21を収容する収容部54を有する。また、上板51、下板52、及び連結柱53は一体に成形されている。また、スライダーカバー50は、エラストマーや合成樹脂により形成されている。また、連結柱53は、断面円形状に形成されている。
【0020】
上板51は、上面と下面を有し、収容部54は、上板51の上下面を貫通した上面視楕円形状の孔部であり、上翼板21の全周を収容するように形成されている。また、収容部54は、孔部を形成するための内側面54aを有し、この内側面54aの一部は、上翼板21の側壁21aの一部と接触するように、上翼板21を収容する。このため、
図2に示すように、上翼板21の側壁21aが収容部54の内側面54aにより囲まれ、スライダーカバー50がスライダー10に保持される。
【0021】
また、スライダーカバー50がスライダー10に保持された状態において、上板51の上面と上翼板21の上面とが略同一高さにある。このため、上翼板21の上面に設けられる引手取付部20a及び引手取付部20aに取り付けられる引手11は、上板51よりも上側に配置されており、引手11は上板51上で操作可能である。従って、スライダー10を摺動させる場合、引手11を操作するだけで、スライダーカバー50の収容部54の内側面54aが上翼板21の側壁21aに接触するので、スライダー10の動きに合わせてスライダーカバー50を移動させることができる。
【0022】
また、収容部54は、上翼板21よりも大きく形成されており、
図1に示すように、スライダーカバー50がスライダー10に取り付けられた状態において、収容部54の内側面54aと上翼板21の側壁21aとの間に隙間Sが形成されている。また、隙間Sは、特にスライダー10の幅方向に大きく形成されているので、スライダー10をスライダーカバー50の収容部54に収納させやすい。
【0023】
また、スライダーカバー50は、上板51の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるカバー側フランジ55を備える。より具体的に説明すれば、カバー側フランジ55は、収容部54の幅方向両側に設けられており、上板51の下面から下板52に向けて延出されている。また、カバー側フランジ55の内側面は、収容部54の内側面54aと同一面であり、カバー側フランジ55は、上板51の前端から後端にかけて形成されている。そして、
図7に示すように、スライダーカバー50がスライダー10に保持された状態において、カバー側フランジ55の下端縁は、スライダー10の上側フランジ24aの下端縁よりも下方に配置されている。
【0024】
また、スライダーカバー50は、上板51と下板52との間であって、且つ連結柱53の両側に形成され、スライドファスナー30のファスナーエレメント列31を案内する左右一対のエレメント通路56を備える。より具体的に説明すれば、エレメント通路56は、上板51の下面、下板52の上面、左右のカバー側フランジ55、及び連結柱53の側面によって区画された部分である。また、エレメント通路56は、スライダーカバー50がスライダー10に保持された状態において、スライダー10のエレメント案内路27に連続するように形成されている。
【0025】
そして、
図8に示すように、エレメント通路56の軸線L1に対するエレメント通路56の入口縁部56aの角度θが90°±20°に設定されている。なお、ここで軸線L1は、カバー側フランジ55の内側面が延びる方向に沿って延びる延長線として規定される。そして、角度θを90°±20°内に設定することによって、生地の噛み込みを低減することができる。なお、角度θを70°より小さく設定すると、生地がエレメント通路56内に誘い込まれやすくなり、生地がスライダー10又はスライダーカバー50に噛み込まれやすくなる。逆に角度θを110°より大きく設定するとスライダーの摺動性が悪くなってしまう。また、
図8では、軸線L1は、右側のエレメント通路56を基準としているが、左側のエレメント通路56を基準とする軸線は、軸線L1と左右対称である。
【0026】
また、
図7に示すように、連結柱53の後端側には、前後方向における連結柱53の肉厚が薄くなるように凹部53aが形成されており、この凹部53aは、上板51と下板52の間に形成されている。そして、この凹部53aによって、スライダーカバー50をスライダー10に取り付ける際に、
図9に示すように、上板51及び下板52間の隙間を広げやすくすることができる。
【0027】
また、
図5に示すように、下板52の上面には、スライダー10の下翼板22の前部を収容する凹部52aが形成されている。また、
図6に示すように、下板52の下面には、左右一対のエレメント通路56に沿って左右一対の凹溝52bが形成されている。
【0028】
また、
図3、
図5、及び
図7に示すように、下板52は、連結柱53から幅方向外側に延びる左右一対の第1下板52cと、左右一対の第1下板52cから延出し、左右一対の第1下板52cの上面よりも下方に向けて低く形成された上面からなる第2下板52dからなり、第1下板52cの内面と第2下板52dの内面との間には、下翼板22の側壁22aに接触可能な段差部52eが形成されている。
【0029】
次に、スライダーカバー50のスライダー10への取り付け方法としては、
図9及び
図10に示すように、スライダーカバー50の上板51及び下板52間の隙間を広げて、この広げた隙間にスライダー10が入り込むように、スライダー10の前方からスライダーカバー50を取り付ける。また、別の取り付け方法としては、スライドファスナー30の組み立て時において、スライダーカバー50の収容部54にスライダー10を上方から嵌め込んだ後(
図2参照)、スライダーカバー50をスライダー10と共にスライドファスナー30に組み付ける。
【0030】
このように構成されたスライダーカバー50では、スライダー10の摺動時において、スライダーカバー50の上板51の側面及び下板52の側面によって、スライダー10の周辺の生地がスライダーカバー50の左右に分けられる。これにより、スライダー10の周辺の生地がスライダー10のエレメント案内路27に入り込むことを防止して、スライダー10による生地の噛み込みが防止される。
【0031】
以上説明したように、本実施形態のスライダーカバー50によれば、上下方向に離間して並行に配置される上板51及び下板52と、上板51及び下板52を連結する連結柱53と、を備え、上板51が、スライダー10の上翼板21を収容する収容部54を有するため、スライダーカバー50をスライダー10に加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、スライダー10の周辺の生地がスライダー10に噛み込まれるのを防止することができる。
【0032】
また、本実施形態のスライダーカバー50によれば、スライダーカバー50のカバー側フランジ55の下端縁が、スライダー10の上側フランジ24aの下端縁よりも下方に配置されるため、スライダー10の上側及び下側フランジ24a,24b間の隙間を狭くして、スライダー10の周辺の生地がスライダー10に噛み込まれるのを更に防止することができる。
【0033】
また、本実施形態のスライダーカバー50によれば、下板52の上面に、スライダー10の下翼板22の前部を収容する凹部52aが形成されるため、スライダー10の保持をより確実に行うことができる。また、凹部52aにより下板52の板厚が減少されるので、スライダーカバー50をスライダー10に取り付ける際において、下板52を容易に変形することができ、スライダーカバー50をスライダー10に更に簡単に取り付けることができる。
【0034】
また、本実施形態のスライダーカバー50によれば、下板52の下面に、左右一対の凹溝52bが形成されるため、下板52の板厚が減少される。これにより、スライダーカバー50をスライダー10に取り付ける際において、下板52を容易に変形することができ、スライダーカバー50をスライダー10に更に簡単に取り付けることができる。
【0035】
また、本実施形態のスライダーカバー50によれば、エレメント通路56の軸線L1に対するエレメント通路56の入口縁部56aの角度θが90°±20°に設定されるため、エレメント通路56の入口を必要最低限の広さにすることができる。これにより、スライダー10の周辺の生地がエレメント通路56に入り込み難くなるので、スライダー10による生地の噛み込みを更に防止することができる。
【0036】
なお、本実施形態の第1変形例として、
図11に示すように、スライダーカバー50の連結柱53を上下に2分割して、スライダーカバー50をスライダー10に取り付ける際に、上下の連結柱53を接着や溶着などにより結合するようにしてもよい。この場合、スライダーカバー50が硬質の合成樹脂製であったとしても、組み立て後のスライドファスナー30のスライダー10にスライダーカバー50を容易に取り付けることが可能となる。また、本変形例では、分割された上側の連結柱53の下面に凹部53aが形成され、分割された下側の連結柱53の上面に凹部53aに嵌合する凸部53bが形成される。なお、凹部53a及び凸部53bは上下逆であってもよい。また、上下の連結柱53を結合する方法としては、上記した接着や溶着以外にも、例えば、後述する第2〜第4実施形態に示すように、一方に係合凸部と設けると共に他方に係合凹部を設けて、それらをスナップ係合するようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施形態の第2変形例として、
図12に示すように、上板51の収容部54に加えて、下板52を後方に延ばし、下板52に、スライダー10の下翼板22を収容する収容部57を形成してもよい。この収容部57は、上記収容部54と同様に、上面視楕円形状であり、下翼板22の全周を収容するように形成されている。本変形例によれば、上板51及び下板52に収容部54,57がそれぞれ形成されるため、スライダー10の保持をより確実に行うことができる。
【0038】
なお、本実施形態のスライダーカバー50は、上翼板21にフランジ24aが形成されたスライダー10以外にも使用することができる。例えば、ファスナーエレメント列がファスナーテープの裏面に取り付けられるタイプのスライドファスナーのスライダー、即ち、下翼板にフランジが形成されるスライダーにも使用することができる。この場合、スライダーカバー50に形成されるカバー側フランジ55は、上板51には形成されず、下板52に形成される。即ち、エレメント通路56は、上板51の下面、下板52の上面、下板52から延出する左右のカバー側フランジ55、及び連結柱53の側面によって区画された部分となる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、
図13〜
図15を参照して、本発明に係るスライドファスナーのスライダーカバーの第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0040】
本実施形態のスライダーカバー60は、
図13〜
図15に示すように、上下方向に離間して並行に配置される上板(上部材、第1部材)61及び下板(下部材、第2部材)62と、上板61及び下板62を連結する連結柱63と、を備える。そして、上板61は、スライダー10の上翼板21を収容する収容部64を有する。また、連結柱63は、上板61の前端部から下方に延び、下板62と連結するように形成されている。また、スライダーカバー60は、エラストマーや合成樹脂により形成されている。なお、本実施形態のスライダー10は、自動停止機能のないスライダーである。
【0041】
上板61は、上面と下面を有し、収容部64は、上板61の上下面を貫通した孔部であり、上翼板21の全周を収容するように形成されている。また、収容部64は、孔部を形成するための内側面64aを有し、この内側面64aは、上翼板21の側壁21aの全周と接触するように、上翼板21を収容する。このため、
図13及び
図15に示すように、上翼板21の側壁21aの全周が収容部64の内側面64aにより囲まれ、スライダーカバー60がスライダー10に保持される。
【0042】
また、スライダーカバー60がスライダー10に保持された状態において、上板61の上面と上翼板21の上面とが略同一高さにある。このため、上翼板21の上面に設けられる引手取付部20a及び引手取付部20aに取り付けられる引手11は、上板61よりも上側に配置されており、引手11は上板61上で操作可能である。従って、スライダー10を摺動させる場合、引手11を操作するだけで、スライダーカバー60の収容部64の内側面64aが上翼板21の側壁21aに接触するので、スライダー10の動きに合わせてスライダーカバー60を移動させることができる。
【0043】
また、収容部64の前端部には、スライダー10の上翼板21の上面に接触する左右一対の板部61aが上板61と一体に形成されている。そして、この左右一対の板部61a間には、スライダー10の引手取付部20aの基部を嵌合させる凹部61bが形成されている。
【0044】
下板62は、略舟状に形成されるものであり、その上面には、スライダー10の下翼板22を収容する凹部62aが形成されている。また、下板62には、連結柱63を連結させる上面視略長方形状の連結穴(係合凹部)62bが形成されている。
【0045】
連結柱63は、下板62の連結穴62bに挿入可能な断面略長方形状に形成されている。そして、
図15に示すように、連結柱63の下端前部には、下板62の連結穴62bに挿入され、上板61及び下板62の相対回転を規制する規制部63aが形成されている。また、連結柱63の下端後部には、下板62の連結穴62bに挿入され、下板62の連結穴62bにスナップ係合する係合部(係合凸部)63bが形成されている。
【0046】
また、下板62の下面には、規制部63a及び係合部63bを収容する収容凹部62cが形成されている。そして、この収容凹部62cにより、規制部63a及び係合部63bは、下板62の下面よりも下方に突出しないようになっている。
【0047】
また、スライダーカバー60は、上板61の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるカバー側フランジ65を備える。そして、
図15に示すように、カバー側フランジ65の下端縁は、スライダー10の上側フランジ24aの下端縁よりも下方に配置されている。
【0048】
次に、スライダーカバー60のスライダー10への取り付け方法としては、
図14に示すように、スライダー10を挟んで上板61及び下板62を上下に配置した後、上板61の連結柱63を下板62の連結穴62bに挿入し、連結柱63の係合部63bを連結穴62bにスナップ係合させることによって、スライダー10にスライダーカバー60を取り付ける。
【0049】
このように構成されたスライダーカバー60では、スライダー10の摺動時において、スライダーカバー60の上板61の側面及び下板62の側面によって、スライダー10の周辺の生地がスライダーカバー60の左右に分けられる。これにより、スライダー10の周辺の生地がスライダー10のエレメント案内路27に入り込むことを防止して、スライダー10による生地の噛み込みが防止される。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のスライダーカバー60によれば、上下方向に離間して並行に配置される上板61及び下板62と、上板61及び下板62を連結する連結柱63と、を備え、上板61が、スライダー10の上翼板21を収容する収容部64を有するため、スライダーカバー60をスライダー10に加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、スライダー10の周辺の生地がスライダー10に噛み込まれるのを防止することができる。
【0051】
また、本実施形態のスライダーカバー60によれば、スライダーカバー60のカバー側フランジ65の下端縁が、スライダー10の上側フランジ24aの下端縁よりも下方に配置されるため、スライダー10の上側及び下側フランジ24a,24b間の隙間を狭くして、スライダー10の周辺の生地がスライダー10に噛み込まれるのを更に防止することができる。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0052】
以上、第1実施形態及び第2実施形態として、スライダー10に別機能を付与するために、生地の噛み込みを防止する機能を備えたスライダーカバー50について説明した。なお、第2実施形態は、噛み込み防止機能だけではなく、後述する冷感防止機能も備える。特にスライダー10が金属製で、スライドファスナーを衣服の前立て等に使用した場合、金属製のスライダー10の裏面が人の肌にあたることによって使用者が冷感を感じてしまうことがあった。しかし、スライダーカバー50が、スライダー10の案内柱23や下翼板22の一部又は全てを覆うようにスライダー10に取り付けられることによって、スライダー10の金属部分が人の肌に直接触れてしまうのを防止することができる。
【0053】
(第3実施形態)
次に、
図16〜
図22を参照して、本発明に係るスライドファスナーのスライダーカバーの第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0054】
本実施形態のスライダーカバー70は、
図16〜
図19に示すように、上下方向に離間して並行に配置される上板(上部材、第1部材)71及び下板(下部材、第2部材)72と、上板71及び下板72を連結する連結柱73と、を備える。そして、上板71は、スライダー10の上翼板21を収容する収容部74を有する。また、連結柱73は、上板71の前端部から下方に延び、下板72と連結するように形成されている。また、スライダーカバー70は、エラストマーや合成樹脂により形成されている。
【0055】
なお、スライダーカバー70は、
図16に示すような開離嵌挿具付きスライドファスナー30Aに使用される。このスライドファスナー30Aの開離嵌挿具34は、一方のファスナーエレメント列31の端部に取り付けられる箱棒34a及び箱体34bと、他方のファスナーエレメント列31の端部に取り付けられる蝶棒34cと、を備える。そして、蝶棒34cは箱体34bに挿入可能であり、蝶棒34cを箱体34bに挿入状態でスライダー10を引き上げることによって、左右のファスナーエレメント列31が互いに噛合する。また、左右のファスナーテープ32の開離嵌挿具34の両側には、補強フィルム33が固着されている。
【0056】
上板71は、上面と下面を有し、収容部74は、上板71の上下面を貫通した上面視楕円形状の孔部であり、上翼板21の全周を収容するように形成されている。また、収容部74は、孔部を形成するための内側面74aを有し、この内側面74aの一部は、上翼板21の側壁21aの一部と接触するように、上翼板21を収容する。このため、
図16に示すように、上翼板21の側壁21aが収容部74の内側面74aにより囲まれ、スライダーカバー70がスライダー10に保持される。
【0057】
また、スライダーカバー70がスライダー10に保持された状態において、上板71の上面と上翼板21の上面とが略同一高さにある。このため、上翼板21の上面に設けられる引手取付部20a及び引手取付部20aに取り付けられる引手11は、上板71よりも上側に配置されており、引手11は上板71上で操作可能である。従って、スライダー10を摺動させる場合、引手11を操作するだけで、スライダーカバー70の収容部74の内側面74aが上翼板21の側壁21aに接触するので、スライダー10の動きに合わせてスライダーカバー70を移動させることができる。
【0058】
また、収容部74は、上翼板21よりも大きく形成されており、
図16に示すように、スライダーカバー70がスライダー10に取り付けられた状態において、収容部74の内側面74aと上翼板21の側壁21aとの間に隙間Sが形成されている。また、隙間Sは、特にスライダー10の幅方向に大きく形成されているので、スライダー10をスライダーカバー70の収容部74に収納させやすい。
【0059】
また、スライダーカバー70は、
図18及び
図19に示すように、上板71の前部に連結柱53を挟んで左右に形成される左右一対の切欠部71aと、上板71の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるカバー側フランジ75と、を備える。より具体的に説明すれば、カバー側フランジ75は、収容部74の幅方向両側に設けられており、上板71の下面から下板72に向けて延出されている。また、カバー側フランジ75の内側面は、収容部74の内側面74aと同一面であり、カバー側フランジ75は、上板71の前端から後端にかけて形成されている。
【0060】
また、
図18に示すように、下板72の上面には、スライダー10の下翼板22の一部を収容する凹部72aが形成されている。また、下板72の前端部には、連結柱73を連結させる連結穴(係合凹部)77を有する連結部76が形成されている。
【0061】
また、
図18に示すように、下板72は、連結柱73から幅方向外側に延びる左右一対の第1下板72cと、左右一対の第1下板72cから延出し、左右一対の第1下板72cの上面よりも下方に向けて低く形成された上面からなる第2下板72dからなり、第1下板72cの内面と第2下板72dの内面との間には、下翼板22の側壁22aに接触可能な段差部72eが形成されている。
【0062】
また、
図19に示すように、左右一対の第1下板72cは、上板71よりも前方側にそれぞれ延出するように形成されている。即ち、第1下板72cの前端は、上板71の前端よりも前方側に位置している。さらに、
図18に示すように、左右一対の第1下板72cの内面は、その内面の後端部から前方に向けて下り傾斜する傾斜面72fを有する。
【0063】
連結柱73は、断面略楕円形状であり、
図17及び
図18に示すように、連結柱73の下端には、連結部76の連結穴77に挿入され、連結穴77内の前後の係合突起77aとそれぞれスナップ係合する前後一対の係合部(係合凸部)73aが形成されている。
【0064】
次に、スライダーカバー70のスライダー10への取り付け方法としては、
図20に示すように、スライダー10を挟んで上板71及び下板72を上下に配置した後、上板71の連結柱73の係合部73aを下板72の連結穴77の係合突起77aにスナップ係合させることによって、スライダー10にスライダーカバー70を取り付ける。
【0065】
ここで、スライダーカバー70のスライダー10への取り付けは、一対のファスナーエレメント列31にスライダー10を挿通する前でもよいが、好ましくは、一対のファスナーエレメント列31にスライダー10を挿通した後、更に好ましくは、スライドファスナー30Aを洋服などの被着体に取り付けた後である。これにより、スライダーカバー70がスライダー挿通時又は被着体への取り付け時の邪魔とはならない。なお、この効果は、本発明の全ての実施形態についても同じことが言える。
【0066】
このように構成されたスライダーカバー70では、
図21及び
図22に示すように、開離嵌挿具34の蝶棒34cを箱体34bに挿入する時において、スライダーカバー70の下板72の左側の第1下板72cの傾斜面72fによって、蝶棒34cがスライダー10のエレメント案内路27内に誘い込まれる。これにより、開離嵌挿具34の蝶棒34cが箱体34bに容易に挿入される。
【0067】
ここで、第1下板72cの上板71よりも前方側に延出した部分の配色を、スライドファスナー30Aや、延出した第1下板72c以外のスライダーカバー70の配色と異なる色、好ましくは蛍光色などのより鮮やかな色にしてもよい。これにより、高齢者や目の不自由な方でも、容易に蝶棒34cをスライダー10のエレメント案内路27内に誘い込ませることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のスライダーカバー70によれば、上下方向に離間して並行に配置される上板71及び下板72と、上板71及び下板72を連結する連結柱73と、を備え、上板71が、スライダー10の上翼板21を収容する収容部74を有するため、スライダーカバー70をスライダー10に加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、開離嵌挿具34の蝶棒34cを箱体34bに容易に挿入することができる。
【0069】
なお、本実施形態では、下板72に左右一対の第1下板72cを設けたが、これに限定されず、蝶棒34cが挿入される側が決まっているのであれば、第1下板72cは、左右どちらか一方であってもよい。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0070】
以上、第3実施形態として、スライダー10に別機能を付与するために、蝶棒の誘い込み機能を備えたスライダーカバー70について説明した。なお、第3実施形態は、第1実施形態と同様に、蝶棒の誘い込み機能だけではなく、後述する冷感防止機能も備える。
【0071】
(第4実施形態)
次に、
図23〜
図25を参照して、本発明に係るスライドファスナーのスライダーカバーの第4実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等部分については、図面に同一符号を付してその説明を省略或いは簡略化する。
【0072】
本実施形態のスライダーカバー80は、
図23〜
図25に示すように、上下方向に離間して並行に配置される上板(上部材、第1部材)81及び下板(下部材、第2部材)82と、上板81及び下板82を連結する連結柱83と、を備える。そして、上板81は、スライダー10の上翼板21を収容する収容部84を有する。また、連結柱83は、上板81の前端部から下方に延び、下板82と連結するように形成されている。また、スライダーカバー80は、エラストマーや合成樹脂により形成されている。また、本実施形態では、スライダー10は金属製である。
【0073】
上板81は、上面と下面を有し、収容部84は、上板81の上下面を貫通した上面視楕円形状の孔部であり、上翼板21の全周を収容するように形成されている。また、収容部84は、孔部を形成するための内側面84aを有し、この内側面84aの一部は、上翼板21の側壁21aの一部と接触するように、上翼板21を収容する。このため、
図23に示すように、上翼板21の側壁21aが収容部84の内側面84aにより囲まれ、スライダーカバー80がスライダー10に保持される。
【0074】
また、スライダーカバー80がスライダー10に保持された状態において、上板81の上面と上翼板21の上面とが略同一高さにある。このため、上翼板21の上面に設けられる引手取付部20a及び引手取付部20aに取り付けられる引手11は、上板81よりも上側に配置されており、引手11は上板81上で操作可能である。従って、スライダー10を摺動させる場合、引手11を操作するだけで、スライダーカバー80の収容部84の内側面84aが上翼板21の側壁21aに接触するので、スライダー10の動きに合わせてスライダーカバー80を移動させることができる。
【0075】
また、収容部84は、上翼板21よりも大きく形成されており、
図23に示すように、スライダーカバー80がスライダー10に取り付けられた状態において、収容部84の内側面84aと上翼板21の側壁21aとの間に隙間Sが形成されている。また、隙間Sは、特にスライダー10の幅方向に大きく形成されているので、スライダー10をスライダーカバー80の収容部84に収納させやすい。
【0076】
また、スライダーカバー80は、
図25に示すように、上板81の左右両側縁に沿って下方に向けて突設されるカバー側フランジ85を備える。より具体的に説明すれば、カバー側フランジ85は、収容部84の幅方向両側に設けられており、上板81の下面から下板82に向けて延出されている。また、カバー側フランジ85の内側面は、収容部84の内側面84aと同一面であり、カバー側フランジ85は、上板81の前端から後端にかけて形成されている。
【0077】
また、
図24及び
図25に示すように、下板82の上面には、スライダー10の下翼板22の肩口25側端部から後口26側端部までを収容する凹部82aが形成されている。これにより、スライダー10の下翼板22の下面は下板82により覆われる。また、下板82の前端部には、連結柱83を連結させる連結穴(係合凹部)87を有する連結部86が形成されている。
【0078】
また、
図25に示すように、下板82は、連結柱83から幅方向外側に延びる左右一対の第1下板82cと、左右一対の第1下板82cから延出し、左右一対の第1下板82cの上面よりも下方に向けて低く形成された上面からなる第2下板82dからなり、第1下板82cの内面と第2下板82dの内面との間には、下翼板22の側壁22aに接触可能な段差部82eが形成されている。
【0079】
連結柱83は、断面略楕円形状であり、
図24及び
図25に示すように、連結柱83の下端には、連結部86の連結穴87に挿入され、連結穴87内の前後の係合突起87aとそれぞれスナップ係合する前後一対の係合部(係合凸部)83aが形成されている。
【0080】
次に、スライダーカバー80のスライダー10への取り付け方法としては、スライダー10を挟んで上板81及び下板82を上下に配置した後、上板81の連結柱83の係合部83aを下板82の連結穴87の係合突起87aにスナップ係合させることによって、スライダー10にスライダーカバー80を取り付ける。
【0081】
このように構成されたスライダーカバー80では、スライダー10の下翼板22の下面が合成樹脂製のスライダーカバー80の下板82で覆われているので、下翼板22が使用者に接触することがなく、使用者に下翼板22による冷感を与えてしまうことが防止される。なお、冷感を与えてしまうことを防止する機能とすれば、必ずしも下翼板22の全てを下板82で覆う必要はなく、例えば、第1実施形態及び第3実施形態に説明したように、下翼板22の少なくとも一部を覆っていてもよい。そして、下翼板22の少なくとも一部が覆われていれば、スライダー10が使用者の肌に直接触れる可能性が低減される。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のスライダーカバー80によれば、上下方向に離間して並行に配置される上板81及び下板82と、上板81及び下板82を連結する連結柱83と、を備え、上板81が、スライダー10の上翼板21を収容する収容部84を有するため、スライダーカバー80をスライダー10に加工を施すことなく簡単に取り付けることができ、下翼板22が使用者に冷感を与えてしまうのを防止することができる。
【0083】
なお、本実施形態では、下翼板22の下面の全面をスライダーカバー80の下板82で覆っているが、これに限定されず、下翼板22が使用者に接触しないように、下板82に下方に突出する突部を設けるようにしてもよく、この場合、下翼板22の下面の全面を下板82で覆わなくてもよい。
その他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0084】
以上、第3実施形態として、スライダー10に別機能を付与するために、冷感防止機能を備えたスライダーカバー80について説明した。
【0085】
以上、上記第1〜第4実施形態で使用されるスライダーは、特別な機能を付加していないスライダーであるにもかかわらず、本発明であるスライダーカバーを使用することで、様々な機能を有するスライドファスナーを提供することができる。このため、従来のように機能ごとにスライダーの在庫を管理する必要性がなく、汎用性の高いスライドファスナーを提供することができる。
【0086】
なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。