(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ネットワークを介して少なくとも1つのクライアント端末と接続され、複数の商品パターンのうちの少なくとも1つの契約をしている既契約顧客及び該複数の商品パターンのいずれも契約していない新規顧客の各々について、それぞれの顧客と一意に関連し、顧客属性、顧客契約状況、及び顧客嗜好を格納する顧客アカウントと、該クライアント端末の機器識別子と一意に関連している識別子を割り当てられた営業担当者の各々と一意に関連し、該営業担当者の担当者活動履歴を格納する担当者アカウントと、該営業担当者用のメッセージを格納するメッセージテーブルとを格納するデータベースと、モデル生成部と、メッセージ決定部とを含む営業支援システムを用いて、該複数の商品パターンについての営業戦略を生成する営業支援方法であって、
該モデル生成部が、該顧客アカウントの顧客属性及び顧客契約状況に基づいて、該複数の商品パターンの各々について、該既契約顧客及び該新規顧客による該商品パターンの予測契約確率を算出する確率モデルを生成し、該確率モデルを用いて、該既契約顧客及び該新規顧客の各々について、各商品パターンの該予測契約確率を算出するステップと、
メッセージ決定部が、該顧客アカウントの該顧客嗜好と該顧客属性と該顧客契約状況とに基づいて決定される優先順位と、該担当者アカウントの該担当者活動履歴と、該予測契約確率に基づいて、該少なくとも1人の営業担当者の各々について、該メッセージテーブルから複数のメッセージを選択するステップとを含む、営業支援方法。
コンピュータによって実行されて、通信ネットワークを介して少なくとも1つのクライアント端末と接続され、複数の商品パターンのうちの少なくとも1つの契約をしている既契約顧客及び該複数の商品パターンのいずれも契約していない新規顧客の各々について、それぞれの顧客と一意に関連し、顧客属性、顧客契約状況、及び顧客嗜好を格納する顧客アカウントと、該クライアント端末の機器識別子と一意に関連している識別子を割り当てられた営業担当者の各々と一意に関連し、該営業担当者の担当者活動履歴を格納する担当者アカウントと、該営業担当者用のメッセージを格納するメッセージテーブルとを格納するデータベースと、モデル生成部と、メッセージ決定部とを含む営業支援システムに、該複数の商品パターンについての営業戦略を生成する営業支援方法を実行させるソフトウェアプログラムであって、該方法は、
該モデル生成部が、該顧客アカウントの顧客属性及び顧客契約状況に基づいて、該複数の商品パターンの各々について、該既契約顧客及び該新規顧客による該商品パターンの予測契約確率を算出する確率モデルを生成し、該確率モデルを用いて、該既契約顧客及び該新規顧客の各々について、各商品パターンの該予測契約確率を算出するステップと、
メッセージ決定部が、該顧客アカウントの該顧客嗜好と該顧客属性と該顧客契約状況とに基づいて決定される優先順位と、該担当者アカウントの該担当者活動履歴と、該予測契約確率に基づいて、該少なくとも1人の営業担当者の各々について、該メッセージテーブルから複数のメッセージを選択するステップとを含む、ソフトウェアプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は様々な変更形態及び代替形態が可能であるが、本発明の一例としての実施形態が実施例として図面に示されており、本明細書で詳細に説明される。しかし、一例としての実施形態の本明細書における説明は、開示された特定の形態に本発明を限定することを意図するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によって規定された本発明の趣旨及び範囲に入る全ての変更形態、同等形態、及び代替形態を含む。
【0020】
以下では、一例として、生命保険会社における顧客関係管理(CRM)を支援するシステムに適用する事例を例に挙げて、本発明の実施形態に係る営業支援システムを説明する。但し、本発明の営業支援システムは、生命保険会社における顧客関係管理のみに限定されず、証券会社における顧客関係管理、銀行における顧客関係管理、及びユーザが受信する医療機関における顧客関係管理にも適用することが可能である。顧客(ユーザ)は、既にその生命保険会社及び他の生命保険会社の保険商品の契約をしている既契約の顧客と、現在いかなる保険商品も契約していないが将来的にその生命保険会社の保険商品の契約をする可能性がある潜在的な新規顧客とを含む。
【0021】
(1) ネットワークの全体構成
図1は、本発明に従った保険営業支援システムのネットワーク構成を示す図である。
【0022】
保険営業支援システム100は、複数のクライアント端末114−j(j=1,…,N
ag)と、通信ネットワーク112と、中央管理センタ102とを含む。中央管理センタ102は、ファイアウォール104と、ウェブサーバ106と、アプリケーションサーバ108と、データベースサーバ110とを含む。複数のクライアント端末114−jは、営業担当者が所有し、アプリケーションサーバ108及びデータベースサーバ110からの、営業方針を示す訪問準備データの受信のために使用されるものである。ここで、クライアント端末のインデックスj(j=1,…,N
ag)は、営業担当者の担当者IDに対応している。
【0023】
通信ネットワーク112は、公衆交換電話ネットワーク(PSTN)等の回線交換ネットワーク又はインターネット等のパケット・ベース・ネットワークである。通信ネットワーク112は、少なくともその一部分に、無線信号を介してデータ通信を提供する任意のネットワークを含む。任意のネットワークは、例えば、WiFi/WiMax通信を使用する無線ローカル・エリア・ネットワーク(WLAN)を含む。通信ネットワーク112の内部ネットワーキングは、3GPPで説明されているIMSアーキテクチャ等の技術を使用しても良い。任意のネットワークの例示的実装は、会社もしくはキャンパスの企業ネットワークとして、又は空港、喫茶店、その他等の一般的な公共の場の「ホット・スポット」としてであっても良い。通信ネットワーク112は、通常、データ通信に対して使用されるが、VoIP呼等の音声通信を転送することができるネットワークであっても良い。通信ネットワーク112は、さらに、複数のクライアント端末114−jへの無線接続を提供する1つ又は複数のアクセスポイントを含む。アクセスポイントには、基地局、基地局ルータ、アクセス・ネットワークが含まれる。
【0024】
クライアント端末114−jは、スマートフォン、タブレット端末、セルラ電話、携帯情報端末、テキスト・メッセージング装置、ページャ、ネットワーク・インターフェース・カード、ノートブックコンピュータ、デスクトップコンピュータ、及びパーソナル・ディジタル・アシスタント(PDA)であっても良い。クライアント端末114−jは、トラフィック・チャネル、シグナリング・チャネル、ページング・チャネル等、いくつかのチャネルを含むエア・インターフェース(又は無線通信リンク)を介して情報を交換することによって通信することができる。
【0025】
エア・インターフェースのチャネルは、無線通信システム112によって使用される1つ又は複数の無線通信プロトコルに従って定義される。例えば、符号分割多元接続(CDMA)に従って動作するエア・インターフェースのチャネルは、情報を、エア・インターフェースを介して送信するために使用される無線信号を変調する直交符号によって定義される。エア・インターフェースのチャネルは、また、エア・インターフェースを介して情報を送信するために使用される搬送波の周波数によって決定されてもよい。例えば、直交周波数分割多重接続(OFDMA)では、1つ又は複数のクライアント端末114−jが複数の直交周波数、又はトーンを共用しても良い。
【0026】
中央管理センタ102は、生命保険会社のサーバ室であっても良い。ファイアウォール104は、IPの上位プロトコルであるトランスポート層で動作し、Webの閲覧、メールの送受信、ファイル転送等のためのウィンドウ制御、再送制御、輻輳制御を行う信頼性を要求される通信に使用されるコネクション型プロトコルであるTCP(Transmission Control Protocol)と、同じく、IPの上位プロトコルであるトランスポート層で動作し、音声通話や、Videoストリーミング、マルチキャスト通信、ブロードキャスト通信、少量のデータ転送等のリアルタイムの通信に使用されるコネクションレス型プロトコルであるUDP(User Datagram Protocol)の条件に基づいて、通信の許可又は不許可を判断するように構成される。Webサーバ106は、クライアント端末114−jのWebブラウザからHTTPリクエストを受信しその応答を返却する。アプリケーションサーバ108は、Webサーバ106からの処理要求に対して、ビジネスロジックを実行し、必要であればデータベースサーバ110に対してデータの参照や更新要求を行う。データベースサーバ110は、主にデータの管理を行い、アプリケーションサーバ108からのデータの参照や更新処理の要求を実行し結果を返却する。
【0027】
クライアント端末114−jのブラウザから最初に要求を受けたとき、アプリケーションサーバは、そのブラウザを一意に識別するための識別子を生成し、Webサーバ106上のWebアプリケーションにその識別子を渡す。その後、アプリケーションサーバは、その識別子をキーとして、そのWebブラウザに関する情報を、データベースサーバ110との間で共有可能で永続性のある外部リソースに保持する。Webサーバ106は、アプリケーションサーバ108から受け取った識別子を、クライアント端末114−jのブラウザに渡す。例えば、cookieを利用する場合、Webサーバ106とアプリケーションサーバ108の呼び出しにおいて、cookieを引数として渡すことによりアプリケーションサーバ108でcookieに識別子を設定できる。再度、クライアント端末114−jのブラウザから要求を行った場合には、アプリケーションサーバ108で設定された識別子を元に外部リソースを参照し情報を取得することができる。
【0028】
(2) クライアント端末
図2は、クライアント端末のハードウェア構成を示す図である。
【0029】
クライアント端末200は、CPU202、メモリ204、記憶装置206、入力部208、表示部210、及び送受信インターフェイス212を含む。CPU202は、記憶装置206に記憶されているプログラムをメモリ204に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。メモリ204は、例えば、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)及び/又は読取り専用メモリ(ROM:read only memory)を含む。記憶装置206は、テープ・ドライブ、フロッピー(登録商標)・ドライブ、ハードディスク・ドライブ又はコンパクト・ディスク・ドライブを含む。入力部208は、データの入力を受け付ける、例えば、キーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォン等を含む。表示部210は、データを出力する、例えば、ディスプレイやスピーカ等を含む。クライアント端末は、送受信インターフェイス212を外部のプリンタ等に接続することにより、アプリケーションサーバ108及びデータベースサーバ110からの、営業方針を示す訪問準備データを訪問準備シートとしてプリントアウトすることができる。
【0030】
送受信インターフェイス212は、通信ネットワーク112を介してWebサーバ106にアクセスし、Webサーバ106にHTTPリクエストを送信する。また、送受信インターフェイス212は、Webサーバ106からのHTTPリクエストに対する応答に対して、表示部210上に表示されたWebブラウザ上で入力された担当者ID、パスワード等の担当者情報をWebサーバ106に送信する。これにより、担当者による営業支援システムへのログインが完了する。
【0031】
(3) ファイアウォール、Webサーバ
図3は、ファイアウォール104及びWebサーバ106のハードウェア構成を示す図である。
【0032】
ファイアウォール104及びWebサーバ106は、CPU302、メモリ304、記憶装置306、入力部308、出力部310、及び送受信インターフェイス312を含む。記憶装置306は、各種のデータやプログラムを記憶する、ハードディスク・ドライブやソリッドステート・ドライブ、フラッシュメモリ等であってもよい。CPU302は、記憶装置306に記憶されているプログラムをメモリ304に読み出して実行することにより各種の機能を実現する。送受信インターフェイス312は、通信ネットワーク114に接続するためのインターフェイスであり、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム等である。入力部308は、データの入力を受け付ける、キーボードやマウス、トラックボール、タッチパネル、マイクロフォン等であってもよい。出力部310は、データを出力する、ディスプレイやプリンタ、スピーカなどであってもよい。
【0033】
(4) アプリケーションサーバ
図4は、アプリケーションサーバ108のハードウェア構成を示す図である。
【0034】
アプリケーションサーバ108は、CPU402、メモリ404、記憶装置406、入力部408、出力部410、送受信インターフェイス412、モデル生成部414、及びメッセージ決定部416とからなる。CPU302、メモリ304、記憶装置306、入力部308、出力部310、及び送受信インターフェイス312は、上記のファイアウォール104及びWebサーバ106のものと同様である。
【0035】
モデル生成部414は、後述のデータベースサーバ110の既契約顧客データベース502内に、“顧客ID”i(i=1,…,N
c)ごとに格納されている顧客アカウントの中の顧客属性、及び契約状態データベース504内に“顧客ID”iごとに格納されている顧客アカウントの中の顧客契約状況に基づいて、顧客iの各々について各商品パターンy
inの予測契約確率を算出することはできるモデルを生成する。顧客属性F
iは、その顧客の年齢、性別、住所、配偶者の有無、職業、年収、勤務先、勤務地、世帯構成等を含む。顧客契約状況CS
iは、商品別加入状況(生保、がん保険、一時払い終身、据置年金、損保、自動車保険、他社生保)、保険金(日額、月額、年額)、保険満期期間、支払期間、保険料等を含む。商品パターンy
inは、1つの保険商品からなっても良いし、複数の保険商品からなるものであっても良い。例えば、死亡保障に、三大疾病保障等の特約が付く場合が考えられる。
【0036】
予測契約確率は、既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504の顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iを学習サンプルSとして取得し、その学習サンプルSを使用して、統計的アルゴリズムにより予測モデルを生成することにより求められる。ここでは、顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iをまとめてx
i=[F
i,CS
i]で表す。統計的アルゴリズムは、主成分分析、回帰分析、クラスタリング、決定木(decision tree)アルゴリズム等を含む。予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)を出力する確率モデルは、決定木、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル等を含む。学習サンプルSを用いた学習によって生成された確率モデルは、既契約顧客及び新規顧客の双方に適用され、契約確率の最も高い商品パターンy
inを予測する。
【0037】
メッセージ決定部416は、訪問準備データの一部として出力され、訪問準備画面及び訪問準備シートに表示される複数のメッセージを選択する。複数のメッセージは、上記の確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好(preference)、及び担当者活動履歴H
jに基づいて選択される。メッセージ選択のおおよその考え方を、
図12に示す。
【0038】
新規顧客について、顧客嗜好が「基本型」の場合には、典型的なモデルプランに沿ったメッセージを表示する。新規顧客について、顧客嗜好が「重病及び介護ニーズ」又は「医療ニーズ」の場合には、新商品の訴求するメッセージを最も高い優先順位で表示するべく選択し、生前給付パーツを訴求するメッセージを2番目に高い優先順位で表示するべく選択し、3番目に高い優先順位で、該当セグメントに必要となる死亡保障や貯蓄パーツも合わせて訴求するメッセージを表示するべく選択する。新規顧客について、顧客嗜好が「死亡ニーズ」の場合には、保障性商品訴求するメッセージを最も高い優先順位で表示するべく選択し、生前給付パーツを訴求するメッセージを、2番目に高い優先順位で表示するべく選択し、3番目に高い優先順位で、新商品を訴求するメッセージを表示するべく選択する。訴求する保障性商品がない場合に、終身、年金、マイステ等の貯蓄性商品を訴求するメッセージを表示するべく選択する。新規顧客について、顧客嗜好が「資産および老後ニーズ」である場合には、貯蓄性商品訴求するメッセージを最も高い優先順位で表示するべく選択し、その他貯蓄性がある商品を訴求するメッセージを2番目に高い優先順位で表示するべく選択し、新商品を訴求するメッセージを3番目に高い優先順位で表示するべく選択する。既契約顧客の場合には、顧客嗜好が、「基本型」、「重病及び介護ニーズ」又は「医療ニーズ」、「死亡ニーズ」、「資産および老後ニーズ」の別にかかわりなく、すでに加入済の商品についてはメッセージを表示しないこととし、対象となる保険会社及び他社で加入していない場合に、その他商品を訴求するメッセージを新規のメッセージとして最も高い優先順位で表示するべく選択し、既契約の3大疾病保障が900万未満の場合には、2番目に高い優先順位で不足額訴求メッセージを表示するべく選択し、既契約の3大疾病保障が900万以上の場合には、新商品への保障見直しを訴求するメッセージを表示するべく選択し、3番目に高い優先順位で、子どもが1人いる顧客に対しては教育費を考慮し2500万以上の保障を訴求するメッセージ、子どもが2人以上の顧客には3000万以上の保障を訴求するメッセージを表示するべく選択する。
【0039】
この時、選択した複数のメッセージについて、データベースサーバ110の活動履歴データベース512に格納されている、該当する“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)の担当者アカウントを参照する。ここで、注意するべきなのは、担当者jが既に実行済みのメッセージは、表示対象から除外され、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージが繰り上がって表示されるということである。一方で、ある時間期間t−1において表示されているメッセージのうち、担当者jがその後に実行したメッセージについては、担当者jが実行したという事実がデータベースサーバ110の活動履歴データベース512に反映され、契約状態データベース504内の顧客iの顧客アカウントに反映される。そうすると、時間期間tにおいて訪問準備データが更新される際に、その実行されたメッセージは削除され、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージが繰り上がって表示される。
【0040】
(5) データベースサーバ
図5は、データベースサーバ110のハードウェア構成を示す図である。
【0041】
データベースサーバ110は、既契約顧客データベース502、契約状態データベース504、新規顧客データベース506、世帯情報データベース508、担当者データベース510、活動履歴データベース512、メッセージデータベース514、及び予測モデルデータベース516とからなる。既契約顧客データベース502、契約状態データベース504、新規顧客データベース506、及び世帯情報データベース508は、顧客情報エリアを形成し、“顧客ID”i(i=1,…,N
c)と関連付けて各顧客のアカウントを格納している。担当者データベース510及び活動履歴データベース512は、営業担当者エリアを形成し、“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)と関連付けて各担当者のアカウントを格納している。
【0042】
既契約顧客データベース502の顧客iのアカウントには、例えば、顧客を識別する顧客ID、顧客の世帯を示す世帯番号、アカウントの記載内容が既契約顧客データベース502に記録された年月日、顧客iの連絡先の有無等が含まれる。顧客iのアカウントは、Webページ等のオンラインのサービスを経由して当該検索情報が登録されたか否か等、検索情報に関する情報を含むことも可能である。また、連絡先有無は、自宅電話番号の有無、携帯電話番号の有無、勤務先電話番号の有無、メールアドレスの有無などを含むことが可能である。他にも、顧客iのアカウントは、その顧客iの年齢、性別、住所、配偶者の有無、職業、年収、勤務先、勤務地、世帯構成等を含む。これらは、顧客属性と呼ばれ、変数F
iで表される。
【0043】
契約状態データベース504の顧客iのアカウントには、例えば、顧客iが既に契約済の保険商品に関する情報が含まれる。顧客iのアカウントは、例えば、顧客iが契約当事者となっている保険契約の有無、顧客iが被保険者とされている保険契約の有無、顧客iが契約者となっている養老保険や年金型商品に関する契約の有無、顧客iが被保険者として設定されている養老保険又は年金型商品に関する契約の有無、顧客iが契約者又は被保険者となっているその他の保険商品に関する契約の有無を含むことが可能である。また、顧客iのアカウントは、例えば、変額型商品や据置型商品、支払い開始後年金などについての見込客が契約者又は被保険者となっている契約の有無、契約者が法人であり見込客が被保険者となっている契約の有無など、既に契約済の商品の属性に関する情報を含むことも可能である。これらは、顧客契約状況と呼ばれ、変数CS
iで表される。
【0044】
契約状態データベース504の顧客iのアカウントは、例えば、契約済の顧客iに対して提供されるアフターサービスに関する情報を含むことが可能である。契約状態データベース504の顧客iのアカウントは、例えば、顧客iからプレゼントに対する申込があった年月日(プレゼント申込年月日)、契約期間や保険内容などに応じて発行されるポイントやマイル(使用可能マイル)、ポイントやマイルの有効期間の開始日(マイル商品有効開始年月日)等を含むことができる。
【0045】
契約状態データベース504の顧客iのアカウントは、また、顧客iに関するイベントを示す情報を格納することが可能である。契約状態データベース504の顧客iのアカウントは、例えば、顧客iの年齢を算出するための生年月日、顧客iが契約中の他社の損害保険が更改される年月日(他社損保更改年月日)、顧客iが契約中の自社の損害保険が更改される年月日(自社損保更改年月日)等を含むことが可能である。
【0046】
新規顧客データベース506の顧客iのアカウントは、まだ契約に至っていない潜在的な顧客iの情報を格納している。新規顧客データベース504の顧客iのアカウントは、“顧客ID”iと、その顧客iの世帯を示す世帯番号、当該情報が新規顧客データベース504の顧客iのアカウントに記録された年月日、顧客iの連絡先の有無を格納している。新規顧客データベース504の顧客iのアカウントは、他にも、その顧客を識別する“顧客ID”iと関連付けて、Webページ等のオンラインのサービスを経由して当該情報が登録されたか否か等、検索情報に関する情報を含むことが可能である。また、連絡先有無は、自宅電話番号の有無、携帯電話番号の有無、勤務先電話番号の有無、メールアドレスの有無などを含むことができる。
【0047】
世帯情報データベース508は、既契約顧客と新規顧客の双方について、その顧客の“顧客ID”iと、その顧客の世帯に関する情報を記憶する。世帯情報には世帯を識別する世帯番号、世帯主の氏名、生年月日、性別、電話番号等が含まれる。それら以外にも、例えば、家族の氏名や生年月日など、世帯に関する各種の情報を含めるようにしてもよい。
【0048】
担当者データベース510の担当者jのアカウントは、担当者ID、その担当者jが担当する地域を識別するコード、担当者が携帯している端末の機器識別子等が格納されている。
【0049】
活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、営業担当者jから顧客i(i=1,…,N
c)に対する働きかけに関する情報を格納している。活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、例えば、営業担当者jが顧客iに対して直近に行ったコンタクトの年月日、営業担当者jが顧客iと直近に面談した年月日(最新面談年月日2)、最新面談年月日2から1つ前に面談した年月日(最新面談年月日1)、営業担当者が見込客に対して直近に行った確認活動の年月日(直近個人確認活動年月日)を含むことが可能である。活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、その他にも、営業担当者jから顧客iに対する働きかけに関する各種の情報を含むことができる。
【0050】
活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、また、担当者jによる情報収集に関する情報を格納することができる。活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、例えば、営業担当者jが直近に情報収集を行った年月日(最新情報収集活動年月日)等を含んでも良い。また、活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、顧客iが本人であるか家族であるか、独身であるか、他社の生命保険に加入しているか、他社の損害保険に加入しているかといった、顧客iに関する情報を含むことが可能である。さらに、活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、情報収集の対価としてポイントやマイル等が付与されたか否かを示す情報を含むことができる。
【0051】
活動履歴データベース512の担当者jのアカウントは、営業担当者jが顧客iに提案書を持参する予定の年月日(次回訪問予定年月日)、営業担当者jが顧客iに対して直近に保険商品の提案を行った年月日(最新提案活動年月日)、営業担当者jが直近に提案書を作成した年月日(提案書作成年月日2)、提案書作成年月日2より1つ前に提案書を作成した年月日(提案書作成年月日1)、直近の提案に対する顧客iの反応(直近提案時顧客反応生保)を含むことができる。直近提案時顧客反応生保は、その提案内容で保険に加入したい旨を示す「成約」、別の商品の提案や保障内容の変更、保険料の変更、その他の要求を求める旨を示す「訪問」、改めて検討を行いたい旨を示す「検討」、保険に加入しない旨を示す「断り」のいずれかを含むことができる。
【0052】
予測モデルデータベース516は、アプリケーションサーバ108のモデル生成部414によって生成され、顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iをまとめたx
i=[F
i,CS
i]に基づいて商品パターンy
inについての予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)を出力する確率モデルを格納している。確率モデルは、決定木、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル等であっても良い。例えば、決定木モデルの場合には、決定木の数k(k=1,…,N
T)、木の深さD
k、分岐ノード(Split Node)についての分岐関数f(v)、特徴量F
iの閾値A
TH、末端ノード(Leaf Node)Lのデータd
sが各クラスc
uに属する確率p(c
u|L)を、パラメータとして格納している。ニューラルネットワークの場合には、入力層のユニット数、出力層のユニット数、中間層の層の数及び各中間層のユニット数、各層のユニット間の結合係数等をパラメータとして格納している。連続分布の隠れマルコフモデルの場合には、状態数、各状態についての出力シンボル確率の平均及び分散、各状態についての状態遷移確率の平均及び分散等を、パラメータとして格納している。
【0053】
メッセージデータベース514は、各メッセージを、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、及び顧客嗜好と関連させて、優先順位を割り当てて格納している。メッセージは、「アポイント及び保全の切り口」、「ヒアリングすべき事項」、及び「提案の切り口」のカテゴリーに分類される。例えば、
図20が、「アポイント及び保全の切り口」に分類されるメッセージを示し、
図21が、「ヒアリングすべき事項」に分類されるメッセージを示し、
図22が、「提案の切り口」に分類されるメッセージを示している。
【0054】
(6) 予測モデル生成及び訪問準備データ生成
図6は、商品パターンy
inについての予測契約確率を出力する確率モデルの生成の概念図である。
【0055】
確率モデルは、教師データのサンプルSを取得し、そのサンプルSを使用して学習することにより生成される。その教師データのサンプルSは、既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504の中の顧客i(i=1,…,N
c)の顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iを対象とする。最初に、ある時間期間t−1の既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504の顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iを学習サンプルSとして取得し、その学習サンプルSを使用して、統計的アルゴリズムにより学習を行い、予測モデルを生成する。ここで、tの期間は、1時間であっても良く、1日であっても良く、1年であっても良い。次に、時間期間tにおいて、既契約顧客データベース502、契約状態データベース504、新規顧客データベース506、及び世帯情報データベース508に格納されている既契約顧客及び新規顧客を含むすべての顧客のアカウントの顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iを対象として、生成した確率モデルを用いて、顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iをまとめたx
i=[F
i,CS
i]についての、商品パターンy
inの予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)を算出する。予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)を出力する確率モデルは、決定木、ニューラルネットワーク、隠れマルコフモデル等を含む。すなわち、学習サンプルSを用いた学習によって生成された確率モデルは、既契約顧客及び新規顧客の双方に適用され、契約確率の最も高い商品パターンy
inを予測する。顧客属性F
iは、その顧客の年齢、性別、住所、配偶者の有無、職業、年収、勤務先、勤務地、世帯構成等を含む。顧客契約状況CS
iは、商品別加入状況(生保、がん保険、一時払い終身、据置年金、損保、自動車保険、他社生保)、保険金(日額、月額、年額)、保険満期期間、支払期間、保険料等を含む。商品パターンy
inは、1つの保険商品からなっても良いし、複数の保険商品からなるものであっても良い。
【0056】
本実施形態においては、決定木アルゴリズムを例に挙げて確率モデルの学習及び生成を説明する。
【0057】
図7は、決定木モデルを示す図である。
【0058】
決定木は、サンプルSの特徴量F
iとしきい値A
THによってサンプルを分割する分岐ノード(Split node)と各クラスの出現確率が保存された末端ノード(Leaf node)とにより構成される。N
T個の決定木は、k(k=1,…,N
T)番目の各決定木について分岐ノードを繰り返し作成し、一定の基準により分岐が不可能になった際に、末端ノードを作成することにより構築される。分岐ノードは、ある1次元の特徴量F
iと閾値A
THの大小関係により左右に分岐する。また、末端ノードLは、末端ノードLのデータd
sが各クラスc
uに属する確率p(c
u|L)を保存する。
【0059】
図8は、本発明に従った営業支援方法を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS802で処理が開始される。最初に、アプリケーションサーバ108のモデル生成部414は、既契約顧客データベース502から 既契約顧客の“顧客ID”i(i=1,…,N
c)を取得し、担当者データベース510から“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)を取得する(ステップS804)。モデル生成部414は、既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504から顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iのセットx
i=[F
i,CS
i]を学習サンプルSとして取得する(ステップS806)。
モデル生成部414は、これらのサブセットを利用することにより決定木を構築する。決定木の構築は、分岐が不可能になるまで分岐ノードを繰り返し作成することにより行われる。分岐ノードはある特徴量F
iと閾値A
THを用いて左もしくは右への分岐を決めるものである。そのため、特徴量F
iと閾値A
THは様々な候補の中から厳選する必要がある。例えば、この際のサブセットへの分割は、主成分分析の手法を用いて、顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iのセットx
i=[F
i,CS
i]に含まれる特徴量のうちの一部を、データの分布に与える分散が大きいほうから選択した上で、選択した特徴量を用いて、クラスタリングにより複数のサブセットに分割することにより行われても良い。この場合の複数のクラスターへの分割は、k−means法、Ward法、及びBisection法の少なくとも1つ又は組み合わせによって行われても良い。モデル生成部414は、サブセットの番号をk=1に設定する(ステップS810)。モデル生成部414は、ステップS812、ステップS814、ステップS816でN
T個の決定木を生成するための学習を実行する。
【0061】
図9は、
図8のステップS812で行われる決定木モデルの学習アルゴリズムを示すフローチャートである。
【0062】
ステップS902で処理が開始される。
【0063】
アプリケーションサーバ108のモデル生成部414は、入力データを取得する(ステップS904)。この場合の入力データは、既契約顧客データベース502及び契約状態データベース504から顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iのセットx
i=[F
i,CS
i]として取得した学習サンプルSと、決定木の数k(k=1,…,N
T)と、学習サンプルを分割したサブセットS=[S
1,S
2,…,S
NT]と、木の深さD
kと、特徴量選択数l(l=1,…,N
F)と、閾値選択回数m(m=1,…,N
TH)とを含む。モデル生成部414は、決定木の番号をk=1に設定する(ステップS906)。モデル生成部414は、特徴量選択回数をl=1に設定する(ステップS908)。このとき、モデル生成部414は、情報利得ΔEの値を初期値ΔE
0に設定する(ステップS908)。モデル生成部414は、分岐関数f
(k,l)をランダムに選択する(ステップS910)。モデル生成部414は、閾値選択回数をm=1に設定する(ステップS912)。モデル生成部414は、閾値A
THをランダムに選択する(ステップS914)。
【0064】
モデル生成部414は、分岐関数f
(k,l)と閾値A
THを用いて、データS
nを、S
LとS
Rに分岐させる(ステップS916)。ここで、S
nを分岐ノードnに割り当てたデータの集合、そのデータの集合のサイズを|S|、n(u)をu番目のクラスに属するデータの数(u=1,…,NC)とすると、データS
nを認識するためのエントロピーE(S
n)は、
となる(ステップS916)。モデル生成部414は、教師信号を用いて、情報利得ΔEを、
モデル生成部414は、閾値選択回数mがN
THよりも小さいか否かを判定し(ステップS922)、処理は、閾値選択回数mがN
THよりも小さい場合には、m←m+1の処理を行い(ステップS924)、処理は、再びステップS914に戻る。閾値選択回数mがN
TH以上である場合には、処理は、ステップS926に進み、モデル生成部414は、特徴量選択数lがN
Fよりも小さいか否かを判定し(ステップS926)、特徴量選択数lがN
Fよりも小さい場合には、l←l+1の処理を行い(ステップS928)、処理は、再びステップS910に戻る。特徴量選択数lがN
F以上である場合には、処理は、ステップS930に進み、モデル生成部414は、情報利得ΔEが0になるか、又はΔEが所定の閾値Dに達した場合には、末端ノードを作成する(ステップS930)。モデル生成部414は、決定木の数kがN
Tよりも小さいか否かを判定し(ステップS932)、決定木の数kがN
Tよりも小さい場合には、k←k+1の処理を行い(ステップS934)、処理は、再びステップS908に戻る。決定木の数kがN
T以上である場合には、モデル生成部414は、すべての決定木k(k=1,…,N
T)を生成したと判断し、学習を終了する(ステップS936)。
【0065】
再び
図8に戻ると、アプリケーションサーバ108のモデル生成部414は、“顧客ID”をi=1に設定する(ステップS818)。モデル生成部414は、生成したN
T個の決定木により、各商品パターンy
inについて予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)を算出する(ステップS820)。ここで、
図10を参照すると、本発明に従って生成された決定木モデルを使用してある特定の商品パターンy
inについて予測契約確率p(y
in,x
i)を計算した様子が示されている。最初に、モデル生成部414は、顧客iが契約している保険商品の解約更新までの日数を特徴量F
iとして使用し、所定の分岐関数f
(k,l)と閾値A
THを用いて、ノード0のデータ要素を、ノード1と、ノード2と、ノード3とに分岐させる。次に、モデル生成部414は、三大疾病保障の商品の保有件数を特徴量F
iとして使用し、所定の分岐関数f
(k,l)と閾値A
THを用いて、ノード1のデータ要素を、ノード12と、ノード13とに分岐させる。モデル生成部414は、保険料払い込みの残余期間を特徴量F
iとして使用し、所定の分岐関数f
(k,l)と閾値A
THを用いて、ノード12のデータ要素を、末端ノード46と、末端ノード47とに分岐させる。一方、モデル生成部414は、世帯主年齢を特徴量F
iとして使用し、所定の分岐関数f
(k,l)と閾値A
THを用いて、ノード13のデータ要素を、末端ノード48と、末端ノード49とに分岐させる。末端ノード46、末端ノード47、末端ノード48、及び末端ノード49において、それぞれ、予測契約確率が、1.5%、5.7%、25.1%、及び14.4%と算出される。本実施形態においては、商品パターンy
inは、全部で14パターン存在するが、モデル生成部414は、この14パターンすべてについて決定木を生成する。すなわち、本実施形態においては、N
T=14である。
【0066】
アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて、「アポイント及び保全の切り口」の欄に表示されるメッセージを“顧客ID”iごとに選択する(ステップS822)。「アポイント及び保全の切り口」の欄に表示されるメッセージは、メッセージデータベース514に「アポイント及び保全の切り口」のカテゴリーに分類されて格納されており、訪問準備データの一部として出力されて訪問準備画面及び訪問準備シートに表示される。メッセージ決定部416は、
図20に示されているようなメッセージデータベース514の「アポイント及び保全の切り口」メッセージテーブルを参照して、「アポイント及び保全の切り口」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って、優先順位の高い順に複数のメッセージを選択する。このとき、メッセージ決定部416は、選択した複数のメッセージについて、データベースサーバ110の活動履歴データベース512に格納されている、該当する“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)の担当者アカウントを参照する。メッセージ決定部416は、担当者jが既に実行済みのメッセージを、表示対象から除外し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。一方で、ある時間期間において表示されているメッセージのうち、担当者jがその後に実行したメッセージについては、担当者jが実行したという事実がデータベースサーバ110の活動履歴データベース512に反映され、契約状態データベース504内の顧客iの顧客アカウントに反映される。そうすると、メッセージ決定部416は、その後の時間期間において訪問準備データが更新される際に、その実行されたメッセージを削除し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。
【0067】
アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて、「ヒアリングすべき事項」のカテゴリーに分類される複数のメッセージを“顧客ID”iごとに選択する(ステップS824)。「ヒアリングすべき事項」の欄に表示されるメッセージは、メッセージデータベース514に「ヒアリングすべき事項」のカテゴリーに分類されて格納されており、訪問準備データの一部として出力されて訪問準備画面及び訪問準備シートに表示される。メッセージ決定部416は、
図21に示されているようなメッセージデータベース514の「ヒアリングすべき事項」メッセージテーブルを参照して、「ヒアリングすべき事項」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って、優先順位の高い順に複数のメッセージを選択する。上記と同様に、このとき、メッセージ決定部416は、選択した複数のメッセージについて、該当する“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)の担当者アカウントを参照し、担当者jが既に実行済みのメッセージを、表示対象から除外し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。また、ある時間期間において表示されているメッセージのうち、担当者jがその後に実行したメッセージについては、担当者jが実行したという事実がデータベースサーバ110の活動履歴データベース512に反映され、契約状態データベース504内の顧客iの顧客アカウントに反映される。そうすると、メッセージ決定部416は、その後の時間期間において訪問準備データが更新される際に、その実行されたメッセージを削除し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。
【0068】
アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて、「提案の切り口」のカテゴリーに分類される複数のメッセージを“顧客ID”iごとに選択する(ステップS826)。「提案の切り口」の欄に表示されるメッセージは、メッセージデータベース514に「提案の切り口」のカテゴリーに分類されて格納されており、訪問準備データの一部として出力されて訪問準備画面及び訪問準備シートに表示される。メッセージ決定部416は、
図22に示されているようなメッセージデータベース514の「提案の切り口」メッセージテーブルを参照して、「提案の切り口」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って、優先順位の高い順に複数のメッセージを選択する。上記と同様に、このとき、メッセージ決定部416は、選択した複数のメッセージについて、該当する“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)の担当者アカウントを参照し、担当者jが既に実行済みのメッセージを、表示対象から除外し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。一方で、ある時間期間において表示されているメッセージのうち、担当者jがその後に実行したメッセージについては、担当者jが実行したという事実がデータベースサーバ110の活動履歴データベース512に反映され、契約状態データベース504内の顧客iの顧客アカウントに反映される。そうすると、メッセージ決定部416は、その後の時間期間において訪問準備データが更新される際に、その実行されたメッセージを削除し、代わりに、1つ低い優先順位のメッセージを、順序を繰り上げて表示する。
【0069】
アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、上記で選択したメッセージ群を使用して、該当する“担当者ID”jごとに訪問準備画面を表示する(ステップS834)。すなわち、メッセージ決定部416は、(1)上記で算出した予測契約確率p(y
in,x
i)=p(y
in|x
i)・p(x
i)が最も高い商品パターンy
in、(2)顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて決定され、「アポイント及び保全の切り口」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って選択された「アポイント及び保全の切り口」メッセージ、(3)顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて決定され、「ヒアリングすべき事項」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って選択された「ヒアリングすべき事項」メッセージ、及び(4)顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、及び担当者活動履歴H
jに基づいて決定され、「提案の切り口」メッセージテーブルに示されている優先順位に従って選択された「提案の切り口」メッセージの4つを、該当する“担当者ID”j(j=1,…,N
ag)の担当者アカウントに反映する(ステップS828)。
【0070】
アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、“顧客ID”iがN
cよりも小さいか否かを判定する(ステップS830)。メッセージ決定部416は、“顧客ID”iがN
cよりも小さい場合には、i←i+1の処理を実行し(ステップS832)、処理は、ステップS820に戻る。“顧客ID”iがN
c以上である場合には、処理は、ステップS834に進み、メッセージ決定部416は、該当する“担当者ID”jごとに、クライアント端末114‐jに訪問準備データを送信し、クライアント端末114‐jは、訪問準備画面を表示する。ステップS836で処理は終了する。
【0071】
(7) 訪問準備画面の表示
図11は、担当者jによる顧客iの4つの保障ニーズ(顧客嗜好)の聞き取りの前後の訪問準備画面を示す図である。
【0072】
4つの顧客嗜好の聞き取りの前の画面においては、「提案の切り口」メッセージの欄に、「新商品を訴求」、「残された家族の生活費、教育費等のために死亡保障を訴求」、及び「老後や将来の住宅購入資金等のために年金を訴求」の順で3つのメッセージが表示されている。顧客の嗜好が、老後資産、重病介護、死亡、医療の順であることが判明した後の画面では、「老後や将来の住宅購入資金等のために年金を訴求」、「一生涯の保障に備え、資産形成効果のある終身、マイステを訴求」、及び「新商品を訴求(医療もあわせて訴求)」の順に3つのメッセージが表示されている。
【0073】
図12は、メッセージ選択のおおよその考え方、すなわち、どのように各メッセージ群のメッセージに優先順位をつけるかのおおよその考え方を示す図である。複数のメッセージは、上記の確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好(顧客ニーズ)、及び担当者活動履歴H
jに基づいて選択される。優先順位は、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、及び顧客嗜好に基づいて決定される。
【0074】
図13は、クライアント端末114‐jの訪問準備画面を示す図である。
【0075】
図13は、クライアント端末114‐jの表示部210に表示された、“顧客ID”i=4498‐1875‐120の顧客についてのものである。
図13は、画面1300の中の領域1302に、開拓の視点と題する担当者j用にカスタマイズされたメッセージが表示されている。このメッセージの中で、顧客iが契約する予測契約確率が最も高い商品パターンy
inは、介護関連のものであることが表示されている。この領域1302のメッセージ内容は、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、顧客iのアカウントの顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、及び顧客嗜好、担当者jのアカウントの担当者活動履歴H
jに基づいて決定される。また、予測契約確率p(y
in,x
i)は、顧客iのアカウントの顧客属性F
i及び顧客契約状況CS
iに基づいて算出される。さらに、領域1302のメッセージは、メッセージテーブルの優先順位に従って選択され表示されるが、その優先順位は、顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、及び顧客嗜好に基づいて決定される。従って、顧客iのアカウント及び担当者jのアカウントのうちの少なくとも一方に変化または更新があれば、その変化又は更新は、領域1302のメッセージに直ちに(すなわち、リアルタイムで)反映される。
【0076】
図14は、訪問準備画面1300と訪問準備シート1400の切り替えを示す図である。
【0077】
訪問準備画面1300の中の領域1304は、“顧客ID”i=4498−1875−120の顧客についてのものであることを示している。領域1306は、顧客iの氏名、住所、電話番号、メールアドレス、勤務先、勤務先の住所、勤務先の電話番号を含んでおり、これらの情報は、既契約顧客データベース502から検索してきたものである。領域1308は、入力領域である。例えば、担当者jが提案した事項や、担当者jと顧客iとの間の次回のアポイントの約束、商品の契約成立情報、担当者jの営業活動の履歴等を入力する。入力した内容は、既契約顧客データベース502又は新規顧客データベース506の顧客iのアカウントに反映される。領域1310は、顧客iの嗜好を示している。例えば、図示の例では、顧客iは、1番目の優先順位で「老後資産」の嗜好を持っており、2番目の優先順位で「医療」の嗜好を持っており、3番目の優先順位で「重病介護」の嗜好を持っており、4番目の優先順位で「死亡」の嗜好を持っている。領域1312は、顧客iの世帯情報を示している。この情報は、世帯情報データベース508から検索してきた情報である。領域1312の左端にあるボタンで、他の家族を指定し、領域1312の下端にある「背板内の訪問準備」ボタンを押すと、その家族についての「アポイント及び保全の切り口」メッセージ、「ヒアリングすべき事項」メッセージ、及び「提案の切り口」メッセージ等を表示する。領域1314は、顧客iについての自社のみならず、他社も含めた既契約情報を示している。この情報は、契約状態データベース504から検索してきたものであり、商品別加入状況(生保、がん保険、一時払い終身、据置年金、損保、自動車保険、他社生保)、保険金(日額、月額、年額)、保険満期期間、支払期間、保険料等を含む顧客契約状況CS
iとして表示される。
【0078】
この画面の特徴は、(1)顧客の様々な情報を一元化してあるという点と、(2)顧客に伝えるべき事項が一目瞭然で判別可能であり、また、「アポイント及び保全の切り口」、「ヒアリングすべき事項」、「提案の切り口」という観点から所定の優先順位に従って複数のメッセージを表示するという点と、(3)世帯内開拓に向けて世帯内の家族各々の間で画面を切り替え可能であるという点である。訪問準備画面1300の中の「印刷」ボタン1318をクリックすると、訪問準備画面1300から訪問準備シート1400に切り替わる。
【0079】
図15は、訪問準備シート1500の詳細を示す図である。
【0080】
図示の訪問準備シート1400は、“担当者ID”j=1234567、担当者氏名“井上晴子”についてのものである。領域1402は、顧客属性及び顧客の嗜好を表示している。領域1404は、顧客iについての自社の既契約商品を表示しており、図示の例では、終身保険である。領域1406は、顧客iについての他社の既契約商品を示しており、図示の例では、自動車保険である。領域1408は、顧客iの世帯情報及びその世帯を構成する個々の家族に対して提案すべき事項を示している。例えば、顧客i本人は、更改までの期間が1乃至3月に迫った自動車損害保険に加入している。こういった更改の場合には、保険料が値上がりすることがよくある。従って、顧客iは、より値段が安く、保証が同程度の他社の自動車損害保険に乗り換える可能性がある。この場合の契約確率は、本発明に従った決定木モデルで予測することができ、その確率が高いため、領域1408に1番目の優先順位を持つメッセージとして表示されている。また、2番目の優先順位のメッセージは、顧客iが更新前2年以内の他社の生命保険に加入していることを示している。この場合も上記と同様である。さらに、3番目の優先順位を持つメッセージは、子息が小学校に入学することを示している。領域1410は、「アポイント及び保全の切り口」メッセージを表示する領域である。1番目の優先順位を持つメッセージは、その年度中に期間満了により消滅するマイレージがあるため、何らかの商品を提案するべき旨を示している。領域1412は、「ヒアリングすべき事項」メッセージを表示する領域である。領域1412は、顧客iからまだヒアリングできてない事項を優先順位に従って表示する。領域1414は、「提案の切り口」メッセージを表示する領域である。領域1414の「提案の切り口」メッセージは、確率モデルによって予測された予測契約確率p(y
in,x
i)、世帯情報等の顧客属性F
i、顧客契約状況CS
i、顧客嗜好、担当者jの担当者活動履歴H
jに基づいて表示される。
【0081】
図16乃至
図20は、訪問準備画面1300を生成する際のデータベースサーバ110の処理のフローを示す図である。
【0082】
最初に、アプリケーションサーバ108のメッセージ決定部416は、データベースサーバ110の担当者エリアから“担当者ID”j、担当者jが所属する事業所と検索し、データベースサーバ110の顧客情報エリアから、担当者jが担当する顧客の“顧客ID”i、職業、職域、勤務先を検索する。次に、顧客エリアの契約状態データベース504から生命保険既契約基本情報及び生命保険既契約詳細情報、据置年金情報、他社生命保険契約情報、損害保険既契約情報、自動車保険既契約情報、他社損害保険既契約情報を検索して表示する。その後、メッセージ決定部416は、担当者エリアの活動履歴データベース512から、担当者jと顧客iとの間の前回のアポイントの日時及び提案内容、担当者jと顧客iとの間の次回のアポイントの約束等を検索して表示する。その後、メッセージ決定部416は、顧客エリアの世帯情報データベース508から、顧客情報、生命保険既契約基本情報、生命保険既契約詳細情報、他社生命保険既契約情報、損害保険既契約情報、他社損害保険既契約情報等を、顧客i本人及び世帯を構成する各家族について繰り返し検索して、表示する。その後、メッセージ決定部416は、メッセージデータベース514を検索して、開拓の視点として、「アポイント及び保全の切り口」メッセージ、「ヒアリングすべき事項」メッセージ、及び「提案の切り口」メッセージ等を、それぞれの優先順位に従って表示する。
【0083】
本発明に従った方法の各ステップは、管理者端末116の記憶装置に格納されているソフトウェアプログラムを、管理者端末116のCPU上で実行することにより、ファイアウォール104、ウェブサーバ106、アプリケーションサーバ108、及びデータベースサーバ110を制御することで実行されても良い。
【0084】
本発明に従った上記の方法の各ステップは、CPUとメモリとを備えた、図示しないオペレータの端末によって行われてもよい。本発明の実施形態においては、上記の方法を実行するのに用いられるソフトウェアプログラムが、デジタル・データ・ストレージ媒体等のプログラム・ストレージ・デバイスに格納されていてもよく、これらのプログラム・ストレージ・デバイスは、機械読取り可能、又はコンピュータ読取り可能であり、また、これらのコンピュータ又は機械は、プログラム命令を機械実行可能プログラム、又はコンピュータ実行可能プログラムとしてエンコードし、エンコードされたプログラム命令は、本発明の方法のステップのうちの一部又は全部を実行する。プログラム・ストレージ・デバイスは、例えば、デジタル・メモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気ストレージ媒体、ハード・ドライブ、又は光学的読取り可能デジタル・データ・ストレージ媒体とすることができる。
【0085】
本発明は、ソフトウェア、及び/又はソフトウェアとハードウェアの組合せで、例えば、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)と、汎用コンピュータ、又は他の任意のハードウェア等価物を使用して実装されてもよい。
【0086】
上記の説明は、単に、本発明の特定の実施形態の開示を提供しているにすぎず、本発明を上記の実施形態のみに限定するように意図されてはいない。従って、本発明は、上記で説明された実施形態だけに限定されるものではなく、むしろ、当業者が本発明の範囲内に含まれる代替の実施形態を考案し得ることが認識される。
【解決手段】既契約顧客及び新規顧客についての顧客属性、顧客契約状況、及び顧客嗜好と、営業担当者の担当者活動履歴と、営業担当者用のメッセージを、データベースに格納し、確率モデルを用いて、既契約顧客及び新規顧客の各々について、複数の商品パターンの予測契約確率を算出し、顧客嗜好と顧客属性と顧客契約状況とに基づいて決定される優先順位と、担当者活動履歴と、予測契約確率に基づいて、メッセージテーブルから営業担当者用の複数のメッセージを選択する。