(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035523
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】レンズホルダ、レンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20060101AFI20161121BHJP
G02B 7/02 20060101ALI20161121BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/02 Z
H04N5/225 D
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-224478(P2015-224478)
(22)【出願日】2015年11月17日
(65)【公開番号】特開2016-110106(P2016-110106A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2014-243356(P2014-243356)
(32)【優先日】2014年12月1日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513049790
【氏名又は名称】新シコー科技株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(74)【代理人】
【識別番号】100173392
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100189290
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 直人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 啓
【審査官】
小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−083720(JP,A)
【文献】
特開2009−047859(JP,A)
【文献】
特開2006−244629(JP,A)
【文献】
特開2015−041096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
G02B 7/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に所定の長さを有し、外周にコイルが巻回される、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置におけるレンズホルダであって、
前記レンズホルダの外周壁から径方向で外側に向かって突出し、前記レンズホルダの外周に巻回されるコイルの下部側の高さ位置を位置決めする鍔部と、
前記レンズホルダの外周壁から径方向で外側に向かって突出する突起部と、を有し、
当該突起部は、径方向における外側から径方向内側に向かって下向きに傾斜し、前記突起部の本体部における周方向の端部を除いて形成されている傾斜面を備えていて、前記傾斜面の最内径側と前記鍔部の上側面との間の寸法が前記コイルを整列巻きしたときの巻幅と一致し、前記傾斜面の最内径側が前記コイルの上部側の高さ位置を位置決めし、
前記傾斜面の周方向の端部から前記突起部の前記本体部に向かって傾斜し前記傾斜面の周方向の端部を前記突起部の本体部と接続する第二の傾斜面が形成してある
ことを特徴とするレンズホルダ。
【請求項2】
前記突起部は、周方向に所定の間隔をあけて複数設けてあることを特徴とする請求項1記載のレンズホルダ。
【請求項3】
請求項1記載のレンズホルダを備えているボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置。
【請求項4】
請求項3記載のレンズ駆動装置を備えているカメラ装置。
【請求項5】
請求項4記載のレンズ駆動装置を備えている電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、上下方向に所定の長さを有し、外周にコイルが巻回される、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置におけるレンズホルダと、当該レンズホルダを備えているレンズ駆動装置、カメラ装置、並びに、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカスカメラや、カメラ付きの電子機器には、従来から、ボイスコイルモータ方式(VCM方式)のレンズ駆動装置が採用されている。このレンズ駆動装置によって光軸方向などにおけるレンズの位置を調整し、フォーカスやズームなどが行われている。
【0003】
ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置では、例えば、(特許文献1)に示すような構成が提案されている。
【0004】
この(特許文献1)のレンズ駆動装置は、レンズホルダと、スペーサ部と、コイルと、ヨークと、マグネットと、一対の固定部材と、導電性のシート部材とを備えている。
【0005】
レンズホルダは上下方向に所定の長さを有し、レンズを周囲から囲んだ状態で保持する。
【0006】
スペーサ部は、レンズホルダの外周面で周方向に一定間隔毎に複数形成され、外周面から外方に向けて所定距離離間した位置にガイド面を有する。
【0007】
コイルは平面視で環状で、前記複数のスペーサ部のガイド面に内周面が面接触した状態で、前記レンズホルダの周囲を囲むように取り付けられる。
【0008】
ヨークは、前記レンズホルダに組み合わされるもので、外筒部と、複数の爪部とを備えている。外筒部は、前記コイルを内部に収納可能な枠状である。複数の爪部は、該外筒部の上下方向における一端側の外縁から前記レンズホルダ側に向けて90度折曲された背面部と、該背面部からさらに90度折曲され、隣接する前記スペーサ部間で前記コイルと前記レンズホルダの外周面との間に配される。
【0009】
マグネットは、該ヨークの外筒部内面に固定され、前記コイルに対して対向配置される。
【0010】
一対の固定部材は、前記レンズホルダを移動可能な状態で前記ヨークを上下の両側から挟み込んで固定する。
【0011】
導電性のシート部材は、該一対の固定部材と前記ヨークとの間に挟まれ、前記レンズホルダが移動したときに逆方向にばね力を付与すると共に前記コイルに電気的接続される。
【0012】
前記ガイド面は、前記コイルの上下方向における高さと少なくとも同じ高さになるように形成されている。
【0013】
さらに、前記複数のスペーサ部は、前記コイルを高さ方向に位置決めさせる突起部を有している。
【0014】
この(特許文献1)のレンズ駆動装置では、前記コイルは、前記複数のスペーサ部のガイド面に直接巻回された直巻きコイルになっている。
【0015】
そして、コイルを正確に位置決めした状態で安定的に支持することができ、部品間のギャップを極力小さくして小型化を図ることができるとされている。
【0016】
図7(a)、
図7(b)はこのようなレンズ駆動装置に採用されている従来のレンズホルダにコイルが巻回される方式を説明する図である。従来は、レンズホルダ101の外周面に、コイル102の高さ方向に位置決めさせる突起部となるスペーサ部101a、101bが形成される。コイル線を確実に両スペーサ部101a、101bの間に入れるためには、この両スペーサ部101a、101b間の上下方向の距離は、整列巻きしたときのコイル102の上下方向の巻幅+レンズホルダ101の寸法公差以上にする必要があった。
【0017】
整列巻きは、フォーカス等の位置制御を行うための安定した推力を得るために必要なものである。
【0018】
図7(a)図示の方法は、このスペーサ部101a、101bを基準にして、コイル102をレンズホルダ101の周方向に巻回している。すなわち、コイル5の上下方向巻幅は、スペーサ部101a、101b間の上下方向の距離と同じになるように形成されている。そのため、整列巻きが難しいという問題があった。
【0019】
図7(b)図示の方法は、スペーサ部101aの位置にとらわれずに、整列巻きを行うものである。このようにすると、スペーサ部101aと巻線後のコイル102との間に隙間が形成されることになってしまう。この隙間が存在することによりレンズホルダ101に巻回したコイル102が矢印103で示すようにガタつくという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2007−121695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
この発明は、上下方向に所定の長さを有し、外周にコイルが巻回される、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置におけるレンズホルダへのコイルの整列巻きを容易に行うことを可能とし、なおかつ、レンズホルダに巻回したコイルがガタつくことを抑制できるレンズホルダと、これが採用されているレンズ駆動装置、カメラ装置、並びに、電子機器を提案することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1記載の発明は、
上下方向に所定の長さを有し、外周にコイルが巻回される、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置におけるレンズホルダであって、
前記レンズホルダの外周壁から径方向で外側に向かって突出し、前記レンズホルダの外周に巻回されるコイルの下部側の高さ位置を位置決めする鍔部と、
前記レンズホルダの外周壁から径方向で外側に向かって突出する突起部と、を有し、
当該突起部は、径方向における外側から径方向内側に向かって下向きに傾斜
し、前記突起部の本体部における周方向の端部を除いて形成されている傾斜面を備えていて、前記傾斜面の最内径側と前記鍔部の上側面との間の寸法が前記コイルを整列巻きしたときの巻幅と一致し、前記傾斜面の最内径側が前記コイルの上部側の高さ位置を位置決め
し、
前記傾斜面の周方向の端部から前記突起部の前記本体部に向かって傾斜し前記傾斜面の周方向の端部を前記突起部の本体部と接続する第二の傾斜面が形成してある
ことを特徴とするレンズホルダ
である。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、上下方向に所定の長さを有し、外周にコイルが巻回される、ボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置におけるレンズホルダへのコイルの整列巻きを容易に行うことを可能とし、なおかつ、レンズホルダに巻回したコイルがガタつくことを抑制できるレンズホルダと、これが採用されているレンズ駆動装置、カメラ装置、並びに、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明のレンズホルダが採用される本発明のレンズ駆動装置の一例を表す分解斜視図。
【
図2】本発明のレンズホルダが採用される本発明のレンズ駆動装置の一例を表す図であって、(a)は平面図、(b)はA−A断面図。
【
図3】本発明の一実施形態に係るレンズホルダの下方からの一部拡大斜視図。
【
図4】本発明の一実施形態に係るレンズホルダの斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態に係るレンズホルダの正面図。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコイルが巻回されている状態を示すレンズホルダを表す正面図。
【
図7】(a)、(b)はレンズ駆動装置に採用される従来のレンズホルダにコイルを巻回する従来の方式を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、VCM方式のレンズ駆動装置が組み込まれているオートフォーカスカメラや、このようなオートフォーカスカメラが備えられている携帯電話、多機能携帯電話、等の電子機器に採用される。
【0026】
(実施の形態1)
本発明のレンズホルダの実施形態を、添付図面を参照して説明する。まず、
図1、
図2を用いて本実施の形態1のレンズホルダが採用されるVCM方式のレンズ駆動装置を説明する。
【0027】
図2(b)において上側が光軸方向における前側、下側が光軸方向における後側である。
【0028】
図1、
図2に例示されているレンズ駆動装置1は、フレーム2、ヨーク3、レンズホルダ4、コイル5、マグネット6、前側スプリング7、後側スプリング8、ベース9を備えている。
【0029】
ベース9にヨーク3が支持され、ヨーク3にマグネット6が取り付けられている。上下方向(光軸方向)に所定の長さを有するレンズホルダ4によってレンズ(不図示)が支持される。レンズホルダ4の外周には前述したマグネット6に対向するようにコイル5が配置されている。図示の例では、ヨーク3は環状で、ベース9とフレーム2との間に固定的に配置される。
【0030】
フレーム2、ベース9にそれぞれ支持される前側スプリング7と後側スプリング8とが、光軸方向における前後からレンズホルダ4を挟み込む。これによって、レンズホルダ4は、上下方向等に移動自在に支持される。
【0031】
マグネット6はヨーク3の外周壁3aの内側に配置される。図示の実施形態では、環状のヨーク3は、平面視で略矩形状の略四角筒形状体になっている。そして、4個のマグネット6が、それぞれ、ヨーク3の4個の角部の外周壁3aの内側に配置されている。
【0032】
上下方向(光軸方向)に所定の長さを有するレンズホルダ4はその内側に不図示のレンズを支持する。また、レンズホルダ4の外周に、4個のマグネット6に対向するようにコイル5が巻回される。また、図示の実施形態では、4個のマグネット6に対応する位置では、レンズホルダ4の外周とコイル5との間に隙間を設けて、ヨーク3の内周壁3bをその隙間に挿入している。
【0033】
図示の実施形態では、レンズホルダ4が、略円筒形状になっていることに対応して、各マグネット6の内周側は、レンズホルダ4の外周に沿った円弧状になっている。
【0034】
コイル5に印加する電流を制御することにより推力を発生させ、レンズホルダ4及びこれに支持されているレンズを光軸方向に移動させる。これにより、レンズ(不図示)は、前側スプリング7、後側スプリング8の復元力と釣り合う位置まで移動し、フォーカスやズームなどが行われる。
【0035】
図3〜
図6は本発明の実施形態のレンズホルダ4の一例を表すものである。
【0036】
レンズホルダ4は、筒状の形状で、上下方向(光軸方向)に所定の長さを有する。レンズホルダ4は、その内側に不図示のレンズを支持し、その外周にコイル5が巻回される。
【0037】
レンズホルダ4の外周には、周方向に所定の間隔をあけて、外周壁12から径方向で外側に向かって突出する突起部13a、13b、13c、13dが形成されている。
【0038】
突起部13a〜13dはレンズホルダ4の外周に巻回されるコイル5の上部側の高さ位置を位置決めする役割を果たす。
【0039】
一方、図示の実施形態では、レンズホルダ4の下部側において外周に形成されている環状の鍔部14の上側面が、レンズホルダ4の外周に巻回されるコイル5の下部側の高さ位置を位置決めする役割を果たす。
【0040】
図4、
図5図示のように、本実施形態のレンズホルダ4では、レンズホルダ4の外周壁に備えられている鍔部14は、レンズホルダ4の外周壁の周方向における所定の箇所に切欠き部24を備えている。図示の実施形態では、切欠き部24を、レンズホルダ4の周方向において突起部13a〜13dが形成されている位置に形成している。
【0041】
突起部13a〜13dが形成されている位置の鍔部14には切欠き部24が形成されているが、切欠き部24が形成されている箇所でも、鍔部14の上側面の高さ位置が、レンズホルダ4の外周に巻回されるコイル5の下部側の高さ位置となる。
【0042】
また、光軸方向における突起部13a〜13dと鍔部14との間には、周方向に所定の間隔をあけて、外周壁12の本体から径方向で外側に向かって隆起する巻回面4a、4b、4c、4dが形成されている。コイル5が巻回されたときに巻回面4a〜4dにコイル5の内周面が当接する。
【0043】
本実施の形態において、突起部13a〜13dは、それぞれ巻回面4a〜4dに対応した位置に設けてある。また、鍔部14には、突起部13a〜13dに対応した位置に切欠き部24が設けてある。逆に鍔部14の切欠き部24以外の鍔部本体部分は、突起部13a〜13dの間の周方向の間隔に対応した位置に設けてある。ヨーク3の内周壁3bが挿入されるのは、隆起した巻回面4aから4bの隣接する二つの巻回面の間の隙間である。
【0044】
なお、巻回面4a〜4dを外周壁12の本体から隆起させない構造にすることもできる。この場合、ヨーク3は、レンズホルダ4の外周とコイル5との間に形成されている隙間に挿入される内周壁3bを備えていない構造になる。
【0045】
突起部13a〜13dは、径方向における外側から径方向内側に向かって下向きに傾斜する傾斜面15a〜15dを備えている。各突起部13a〜13dがそれぞれ備えている傾斜面をそれぞれ符号15a〜15dで表すこととする。
【0046】
突起部13a〜13dがそれぞれ傾斜面15a〜15dを備えていることにより、鍔部14から突起部13a〜13dまでの上下方向(光軸方向)の寸法は、突起部13a〜13dの最内径側が最も小さく、外径側に行くほど大きい。
【0047】
鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最内径側との間の上下方向の距離、即ち巻回面4a〜4dの上下方向の寸法は、コイル5を整列巻きしたときの巻幅(上下方向の寸法)と一致するように形成している。また、鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最外径側との間の上下方向の距離は、レンズホルダ4とコイル線の寸法公差を考慮しても、確実にコイル線を巻回できる寸法にしている。すなわち、鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最外径側との間の上下方向の距離は、コイル5の上下方向の巻幅+レンズホルダ4の寸法公差以上の寸法にしている。
【0048】
また、本実施の形態においては、傾斜面15a〜15dは、突起部13a〜13dの周方向の端部を除いて形成していて、周方向の端部には突起部13a〜13dの本体部との間に第二の傾斜面15eをそれぞれ設けている。これによって、巻回時にコイル線に傷が入ることを抑制することができる。第二の傾斜面15eは、平面に限らず、R面やその他の面形状でも良く、傾斜面15a~15dの周方向端部のエッジでコイル線に傷が入りにくい形状であれば良い。
【0049】
この実施形態のレンズホルダ4に整列巻きを施す。すると、鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最外径側との間の上下方向の距離が公差範囲内で小さいものができても、コイル線は確実に鍔部14と突起部13a〜13dとの間に入るし、整列巻きがほぼできる。
【0050】
また、鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最外径側との間の上下方向の距離が公差範囲内で大きいものができても、コイル5が巻回面4a〜4d上を動く余裕がほとんど無い。そこで、コイル5が光軸方向にガタつくのを抑制することができる。これによって、傾斜面15a〜15dの最内径側がコイル5の上部側の高さ位置を位置決めすることができる。
【0051】
また、突起部13a〜13dを、周方向に所定の間隔をあけて、複数設けることによって、鍔部14の上側面と突起部13a〜13dの最内径側との間の上下方向の距離が公差範囲内で小さいものができても、容易に整列巻きとすることができる。
【0052】
この実施の形態では、突起部13a〜13dに対応した位置の鍔部には切欠き部24が設けてある。しかし、突起部13a〜13dはレンズホルダ4の周方向に所定の間隔をあけて形成されており、鍔部14の切欠き部24以外の鍔部本体部分は、突起部13a〜13dの間の周方向の間隔に対応した位置に設けてある。そこで、切欠き部24が形成されている箇所でも、鍔部14の上側面に対応する位置と突起部13a〜13dの最内径側との間の上下方向の距離が公差範囲内で小さいものができても、容易に整列巻きとすることができる。
さらに
図3〜
図5に示すように、光軸方向から見て、鍔部14の切欠き部24以外の鍔部本体部分と突起部13a〜13dは重ならない。即ち、レンズホルダ4の周方向において、コイル5が鍔部本体部分及び突起部13a〜13dの両方に挟まれている部分が無い。これによってさらに容易に整列巻きとすることができる。たとえ鍔部14と突起部13a〜13dの最内径側との間の寸法が小さくできても、無理やりその間にコイル線が入れ込まれることなく、コイル線が空いている方の空間に逃げることができるので、整列巻きしやすい。
また、
図3に示すように、切欠き部24は巻回面4aと面一に形成されている。切欠き部24の方を巻回面4aよりも半径方向内側に凹ませても良い。切欠き部24は巻回面4aよりも半径方向外側に突出していないので、レンズホルダ4を製造する際に上下に分割した金型だけで製造可能になる。そこで、レンズホルダ4を容易に製造することができる。
【0053】
そこで、この実施形態によれば、整列巻きと、光軸方向のガタつき抑制を同時に実現できるレンズホルダを提供できる。
【0054】
図4、
図5図示のように、本実施形態のレンズホルダ4では、鍔部14は、切欠き部24に向かうにつれて鍔部14の上側面が下り傾斜に傾斜する鍔部傾斜部25を備えている。また、鍔部傾斜部25とは上下方向の反対側の鍔部14に、下方向に突出する突部26を設けている。
【0055】
コイル5をレンズホルダ4に巻きつけるにあたり、コイル線は、まず、突部26に引っ掛けられてから、切欠き部24の下方から切欠き部24内に導入され、鍔部傾斜部25を経由して鍔部14の上側面に導かれる。鍔部14の上側面は、レンズホルダ4の外周に巻回されるコイル5の下部側の高さ位置を位置決めする。鍔部傾斜部25を巻き始めの傾斜部として利用することにより、巻き始めスタートのコイル線が曲がる負荷を小さくし、レンズホルダ4の外周を一周してきた2列目をまっすぐにエントリーさせることができる。これによって、より容易に、また、より正確に整列巻を行うことができる。
【0056】
次に内周側から順に整列巻きを行い、最後に別位置の切欠き部24から切欠き部24の下方へコイル線を導き、その切欠き部24がある位置にある突部26に引っ掛けられて終了する。
【0057】
突部26は半径方向の外側に突出させても良い。
【0058】
また、隣接する突起部13a〜13dの間から巻線装置の巻線調整治具を挿入して、巻回面4a〜4dの間のコイル線を案内したり、コイル5の上下方向の巻幅を規制したりしても良い。
【0059】
以上の通り、本実施形態のレンズホルダ4によれば、レンズホルダ4の外周壁12から径方向で外側に向かって突出し、レンズホルダ4の外周に巻回されるコイル5の下部側の高さ位置を位置決めする鍔部14と、レンズホルダ4の外周壁12から径方向で外側に向かって突出する突起部13a〜13dとを備えている。当該突起部13a〜13dは、径方向における外側から径方向内側に向かって下向きに傾斜する傾斜面15a〜15dを備えていて、傾斜面15a〜15dの最内径側がコイル5の上部側の高さ位置を位置決めする構成となっている。そのため、整列巻きと、光軸方向のガタつき抑制を同時に実現できるレンズホルダを提供できる。整列巻きは、フォーカス等の位置制御を行うための安定した推力を得るために必要なものであり、この実施形態のレンズホルダによれば、フォーカス等の位置制御を一層安定して行うことができる。
【0060】
そこで、本実施形態のレンズホルダ4を備えているボイスコイルモータ方式のレンズ駆動装置1によれば、より一層精密なレンズホルダ4の移動を可能とし、使用中にコイル5がガタつくなどの不具合が生じにくく、フォーカス等の位置制御を一層安定して行うことができるレンズ駆動装置1を提供することができる。
【0061】
また、このような本実施形態のレンズ駆動装置1を備えているオートフォーカスカメラ等のカメラ装置、このようなカメラ装置を備えている携帯電話、多機能携帯電話、等の電子機器によれば、より一層精密なレンズホルダの移動を可能とし、使用中にコイル5がガタつくなどの不具合が生じにくく、フォーカス等の位置制御を一層安定して行うことができるい電子機器を提供することができる。
【0062】
以上、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から把握される技術的範囲において種々に変更可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 レンズ駆動装置
2 フレーム
3 ヨーク
4 レンズホルダ
5 コイル
6 マグネット
7 前側スプリング
8 後側スプリング
9 ベース
12 外周壁
13a、13b、13c、13d 突起部
14 鍔部
15a、15b、15c、15d 傾斜面
24 切欠き部
25 鍔部傾斜部