(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035561
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】同伴粒子をガスから除去するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
B01D 46/24 20060101AFI20161121BHJP
B01J 8/24 20060101ALI20161121BHJP
B01J 38/00 20060101ALI20161121BHJP
B01J 38/02 20060101ALI20161121BHJP
B01J 38/30 20060101ALI20161121BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20161121BHJP
B01J 37/14 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
B01D46/24 Z
B01J8/24
B01J38/00 301R
B01J38/02
B01J38/30
B01J37/08
B01J37/14
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-32772(P2015-32772)
(22)【出願日】2015年2月23日
(65)【公開番号】特開2015-211957(P2015-211957A)
(43)【公開日】2015年11月26日
【審査請求日】2015年2月23日
(31)【優先権主張番号】14/262,348
(32)【優先日】2014年4月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(72)【発明者】
【氏名】カート アール. シュッテンバーグ
【審査官】
目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】
特表平02−502477(JP,A)
【文献】
特開昭62−091221(JP,A)
【文献】
特開平02−014749(JP,A)
【文献】
特開平05−261228(JP,A)
【文献】
特開平04−250809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D46/00−46/54
B01J8/00−8/46
B01J21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同伴粒子をガスから除去するためのプロセスであって、
前記同伴粒子の実質的部分をガスから濾過するステップであり、ガスから粒子を除去するためにガスを透過性フィルタ媒体の供給側から前記フィルタ媒体を通じて前記フィルタ媒体の濾過物側へ方向付ける工程と、前記フィルタ媒体の前記供給側を掻き落とすために粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付ける工程とを含む、ステップと、
粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側からディップ脚へ方向付けるステップと、
前記ディップ脚の出口端から出る粒子及びガスの流れを与えると共に背圧を前記ディップ脚内に与えるために前記ディップ脚の前記出口端でバルブを開閉するステップと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
ガスを前記フィルタ媒体を通じて方向付ける前記工程は、ガスを複数の中空の長尺なフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける段階を含み、前記各フィルタチューブが前記フィルタ媒体を含み、同伴粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って方向付ける前記工程は、同伴粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って略軸方向に方向付ける段階を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ガスを複数の中空のフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける前記段階は、ガスを前記フィルタチューブを通じて径方向内側から外側へ方向付けることを含み、同伴粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って軸方向に方向付ける前記段階は、同伴粒子を前記フィルタチューブ内の前記供給側に沿って前記各チューブの入口端から出口端へ向けてほぼ下方に方向付けることを含み、粒子をディップ脚へ方向付ける前記ステップは、粒子を前記各フィルタチューブの出口端から前記フィルタチューブよりも下側の前記ディップ脚へ方向付けることを含む、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記同伴粒子の実質的部分をガスから濾過する前記ステップは、容器内で粒子をガスから濾過する工程を含み、該工程は、前記容器内に配置されるフィルタ媒体を通じて粒子をガスから濾過する段階を含み、粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側からディップ脚へ方向付ける前記ステップは、粒子を前記容器内で前記ディップ脚へ方向付ける工程を含み、前記プロセスは、濾過されたガスを前記容器から排出するステップを更に備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ガスおよび同伴粒子をガスと粒子との流動層から前記フィルタ媒体の前記供給側へ方向付けるステップと、同伴粒子を前記ディップ脚から前記流動層へ通すステップとを更に備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ガスおよび同伴粒子をガスと粒子との流動層から前記フィルタ媒体の前記供給側へ方向付けるステップを更に備え、該ステップは、ガスおよび同伴粒子の速度を増大させた後に、その高い速度でガスおよび同伴粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側へ方向付ける工程を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付ける前記工程は、粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側に対してそらす段階を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
同伴粒子をガスから除去するためのプロセスであって、
容器内で化学反応を行うステップであり、該ステップは、前記容器内において粒子を流動層の状態でガス中に浮遊させる工程を含む、ステップと、
ガスおよび同伴粒子の一部を透過性フィルタ媒体へ方向付けるステップと、
前記同伴粒子をガスから濾過するステップであり、ガスを前記フィルタ媒体の供給側から前記フィルタ媒体を通じて前記フィルタ媒体の濾過物側へ方向付ける工程と、前記フィルタ媒体の前記供給側を掻き落とすために同伴粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付ける工程とを含む、ステップと、
粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側からディップ脚へ方向付けるステップと、
前記ディップ脚の出口端から出る粒子及びガスの流れを与えると共に背圧を前記ディップ脚内に与えるために前記ディップ脚の前記出口端でバルブを開閉するステップと、
を備えるプロセス。
【請求項9】
前記容器内で粒子を前記ディップ脚から前記流動層へ通すステップを更に備える、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
粒子の実質的部分をガスから濾過する前記ステップは、前記容器内で粒子をガスから濾過する工程を含み、該工程は、前記容器内でガスをフィルタ媒体を通じて方向付ける段階と、同伴粒子を前記容器内で前記フィルタ媒体の供給側に沿って方向付ける段階とを含み、粒子をディップ脚へ方向付ける前記ステップは、粒子を前記容器内で前記ディップ脚へ方向付ける工程を含み、前記プロセスは、濾過されたガスを前記容器から排出するステップを更に備える、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項11】
ガスを前記フィルタ媒体を通じて方向付ける前記工程は、ガスを複数の中空の長尺なフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける段階を含み、前記各フィルタチューブが前記フィルタ媒体を含み、同伴粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って方向付ける前記工程は、同伴粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って略軸方向に方向付ける段階を含む、請求項8〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
ガスを複数のフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける前記段階は、ガスを前記フィルタチューブを通じて径方向内側から外側へ方向付けることを含み、同伴粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って略軸方向に方向付ける前記段階は、同伴粒子を前記フィルタチューブ内の前記供給側に沿って前記各チューブの入口端から出口端へ向けてほぼ下方に方向付けることを含み、粒子をディップ脚へ方向付ける前記ステップは、粒子を前記各フィルタチューブの出口端から前記フィルタチューブよりも下側の前記ディップ脚へ方向付けることを含む、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
ガスおよび同伴粒子の一部を前記フィルタ媒体の前記供給側へ方向付けるステップは、ガスおよび同伴粒子の速度を増大させた後に、その高い速度でガスおよび同伴粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側へ方向付ける工程を含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付ける前記工程は、粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側に対してそらす段階を含む、請求項8〜13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
触媒粒子をガスから除去するためのプロセスであって、
触媒粒子を再生するステップであり、該ステップは、再生容器内において触媒粒子を流動層の状態で高温ガス中に浮遊させる工程を含む、ステップと、
ガスおよび同伴触媒粒子の一部を前記再生容器内で透過性フィルタ媒体の供給側へ方向付けるステップと、
前記再生容器内で前記同伴触媒粒子をガスから濾過するステップであり、ガスを前記フィルタ媒体の供給側から前記フィルタ媒体を通じて前記フィルタ媒体の濾過物側へ方向付ける工程と、前記フィルタ媒体の前記供給側を掻き落とすために同伴触媒粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付ける工程とを含む、ステップと、
濾過されたガスを前記再生容器から排出するステップと、
前記再生容器内で触媒粒子を前記フィルタ媒体の前記供給側からディップ脚へ方向付けるステップと、
前記ディップ脚の出口端から出る粒子及びガスの流れを与えると共に背圧を前記ディップ脚内に与えるために前記ディップ脚の前記出口端でバルブを開閉するステップと、
を備えるプロセス。
【請求項16】
前記再生容器内で触媒粒子を前記ディップ脚から前記流動層へ通すステップを更に備える、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
ガスを前記フィルタ媒体を通じて方向付ける前記工程は、ガスを複数の中空の長尺なフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける段階を含み、前記各フィルタチューブが前記フィルタ媒体を含み、同伴触媒粒子の少なくとも一部を前記フィルタ媒体の供給側に沿って方向付ける前記工程は、同伴触媒粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って略軸方向に方向付ける段階を含む、請求項15または16に記載のプロセス。
【請求項18】
ガスを複数のフィルタチューブを通じて径方向に方向付ける前記段階は、ガスを前記フィルタチューブを通じて径方向内側から外側へ方向付けることを含み、同伴触媒粒子を前記フィルタチューブの供給側に沿って略軸方向に方向付ける前記段階は、同伴粒子を前記フィルタチューブ内の前記供給側に沿って前記各チューブの入口端から出口端へ向けてほぼ下方に方向付けることを含み、触媒粒子をディップ脚へ方向付ける前記ステップは、粒子を前記各フィルタチューブの出口端から前記フィルタチューブよりも下側の前記ディップ脚へ方向付けることを含む、請求項17に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[0001]本発明は、同伴粒子をガスから除去するためのプロセスに関し、この場合、ガスは1つ以上の蒸気を含んでもよい。任意の多くのタイプの粒子が多種多様な方法で任意のいくつかの異なるガス中に同伴される場合がある。例えば、多くの異なる化学反応は、ガス中に浮遊されるようになる粒子をもたらす場合がある。ガスは、化学反応自体の結果として生成される場合があり、あるいは、ガスは、任意の数々の方法で、例えば促進剤または反応剤として、化学反応を促進するために化学反応に供給されてもよい。同様に、例えば化学反応自体の最中に、反応生成物として、例えば燃焼生成物として、粒子が生成される場合があり、あるいは、例えば促進剤、反応剤、または、触媒として、粒子が化学反応に加えられる場合がある。これらのガスと粒子との混合物は、しばしば、粒子がガス中に浮遊し成る流動層を形成する。ガスおよび浮遊粒子を収容して閉じ込めるために、容器内で、例えば反応容器内または再生容器内で、化学反応が実行され、あるいは、行われる場合がある。
【0002】
[0002]本発明を具現化するプロセスは、同伴粒子をガスから除去するために、例えば燃焼反応、合成反応、分解反応、および、触媒反応を含む様々な化学反応と共に使用されてもよい。多くの例のうちの1つが石油精製業および化学工業で行われ、この場合、汚染された触媒粒子をそれらが使用され得る前に再生しなければならない場合がある。汚染された触媒粒子は、再生容器内で高温ガスの流動層中に浮遊される場合があり、その場合には、ファウラント(foulant)が燃焼されて触媒粒子から除去され得る。ガスおよび同伴触媒粒子の一部が流動層から引き出されてもよく、また、本発明を具現化するプロセスにしたがって同伴触媒粒子がガスから除去されてもよい。その後、ガスは、例えば更なる処理のために排出されてもよく、あるいは、排ガスとして環境へ排出されてもよく、一方、触媒粒子は、再使用のために収集されてもよく、あるいは、更なる処理のために流動層に戻されてもよい。
【0003】
[0003]多くの他の産業が、ガス中に粒子が浮遊し成る流動層を利用する場合がある。例えば、触媒製造産業では、焼成中または活性化中に触媒粒子が流動層を成してガス中に浮遊される場合がある。これらの産業の全てにおいて、本発明を具現化するプロセスは、同伴粒子をガスから除去するために使用され得る。
【0004】
[0004]本発明の1つの態様によれば、同伴粒子をガスから除去するためのプロセスは、同伴粒子の実質的部分をガスから濾過するステップを備えてもよい。同伴粒子を濾過するステップは、ガスを透過性フィルタ媒体の供給側からフィルタ媒体を通じてフィルタ媒体の濾過物側へ方向付けることを含む。ガスがフィルタ媒体を通過すると、フィルタ媒体は、同伴粒子の大部分またはほぼ全てをガスから除去し、それにより、濾過されたガスがフィルタ媒体の濾過物側に残るとともに、粒子がフィルタ媒体の供給側に残る。同伴粒子を濾過するステップは、同伴粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることを更に含む。粒子がフィルタ媒体の供給側に沿って接線方向で通過すると、粒子が供給側を掻き落とし、それにより、ファウラント、例えば除去された粒子のフィルタケーキが供給側に蓄積してフィルタ媒体を塞ぐことが防止される。本発明を具現化するプロセスは、粒子をフィルタ媒体の供給側からディップ脚へ方向付けるステップを更に備えてもよい。ディップ脚は、粒子をフィルタ媒体から離れるように案内し、それにより、掻き落とされたフィルタ媒体は、同伴粒子をガスから濾過し続けることができる。
【0005】
[0005]本発明の他の態様によれば、同伴粒子をガスから除去するためのプロセスは、容器内で化学反応を行うステップを備えてもよく、該ステップは、ガスと浮遊粒子との流動層を容器内に形成することを含む。また、プロセスは、ガスおよび同伴粒子の一部をフィルタ媒体へ方向付けるステップと、同伴粒子をガスから濾過するステップとを備えてもよい。同伴粒子を濾過するステップは、ガスをフィルタ媒体の供給側からフィルタ媒体を通じてフィルタ媒体の濾過物側へ方向付けることを含む。ガスがフィルタ媒体を通過すると、フィルタ媒体は、同伴粒子の大部分またはほぼ全てをガスから除去し、それにより、濾過されたガスがフィルタ媒体の濾過物側に残るとともに、粒子がフィルタ媒体の供給側に残る。同伴粒子を濾過するステップは、同伴粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることを更に含む。粒子がフィルタ媒体の供給側に沿って接線方向で通過すると、粒子が供給側を掻き落とし、それにより、ファウラント、例えば除去された粒子のフィルタケーキが供給側に蓄積してフィルタ媒体を塞ぐことが防止される。本発明を具現化するプロセスは、粒子をフィルタ媒体の供給側からディップ脚へ方向付けるステップを更に備えてもよい。ディップ脚は、粒子をフィルタ媒体から離れるように案内し、それにより、掻き落とされたフィルタ媒体は、同伴粒子をガスから濾過し続けることができる。本発明を具現化する多いが全てではないプロセスにおいて、粒子は、流動層を含む容器内でガスから濾過されてもよく、また、粒子は、容器内でディップ脚へ方向付けられてもよい。濾過されたガスは、その後、容器から排出されてもよく、また、粒子は、廃棄または再使用のためにディップ脚から容器の外側へ方向付けられてもよく、あるいは、更なる処理のために流動層へ戻されてもよい。
【0006】
[0006]本発明の別の態様によれば、同伴触媒粒子をガスから除去するためのプロセスは、再生容器内で触媒粒子を再生するステップを備えてもよく、該ステップは、再生容器内において高温ガスと浮遊触媒粒子との流動層を形成することを含む。また、プロセスは、再生容器内で同伴触媒粒子の実質的部分をガスから濾過するステップを備えてもよい。同伴触媒粒子を濾過するステップは、ガスを再生容器内のフィルタ媒体の供給側からフィルタ媒体を通じてフィルタ媒体の濾過物側へ方向付けることを含む。ガスがフィルタ媒体を通過すると、フィルタ媒体は、触媒粒子の大部分またはほぼ全てをガスから除去し、それにより、濾過されたガスがフィルタ媒体の濾過物側に残るとともに、触媒粒子がフィルタ媒体の供給側に残る。同伴触媒粒子を濾過するステップは、同伴触媒粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることも含む。触媒粒子がフィルタ媒体の供給側に沿って接線方向で通過すると、触媒粒子が供給側を掻き落とし、それにより、ファウラント、例えば除去された触媒粒子のフィルタケーキが供給側に蓄積してフィルタ媒体を塞ぐことが防止される。本発明を具現化するプロセスは、濾過されたガスを再生容器から排出するステップと、再生容器内で触媒粒子をフィルタ媒体の供給側からディップ脚へ方向付けるステップとを更に備えてもよい。ディップ脚は、触媒粒子をフィルタ媒体から離れるように案内してもよい。例えば、触媒粒子は、再使用のためにディップ脚から再生容器の外側へ方向付けられてもよく、あるいは、更なる処理のために再生容器内の流動層へ戻されてもよい。
【0007】
[0007]本発明を具現化するプロセスは、多くの有利な特徴を有する。例えば、フィルタ媒体を通じてガスを方向付けることにより、微粒子を含む同伴粒子の非常に多くの部分を効果的に、かつ効率的にガスから除去することができる。その結果、パイプ、バルブ、または、熱交換器などのフィルタ媒体の下流側にある構成要素がより確実に機能する。これは、濾過されたガスが、下流側の構成要素を汚染する、あるいは擦り減らす粒子を有するとしても、僅かしか有さないからである。濾過されたガスのどのような放出も極めて僅かな粒子しか有さないため、環境がより良好に保護される。例えば、濾過されたガスの放出は、約15mg/Nm
3以下、例えば、10mg/Nm
3以下または5mg/Nm
3以下または更には2mg/Nm
3以下程度の低い粒子負荷を有し得る。ここで、Nm
3は、ガスの標準立方メートル、すなわち、0℃および1.01325bar絶対圧でのガスの立方メートルである。また、粒子をフィルタ媒体の供給側に沿って方向付けてフィルタ媒体の供給側を連続的に掻き落とすことにより、フィルタ媒体は、供給側の粒子負荷が極めて高いときであっても、長期にわたって清浄で非常に有効なままである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ガスから同伴粒子を除去するためのプロセスの一実施形態の典型的な図である。
【0009】
[0009]蒸気を含むガスから同伴粒子を除去するための多くの異なるプロセスが本発明を具現化してもよい。多くの例のうちの1つでは、
図1に示されるように、本発明を具現化するプロセスは、ガス中に粒子が浮遊する流動層10を形成することを含めて、化学反応を実行する、あるいは行うことを備えてもよい。多くの実施形態において、化学反応は主に流動層10中で行われてもよく、また、流動層10は容器11内に閉じ込められ、あるいは収容されてもよい。容器11は、化学反応容器、再生容器、または、ガス化容器を含むがこれらに限定されない多種多様な圧力容器のいずれかであってもよい。非常に大型であってもよい容器が任意の数の入口ポートおよび/または出口ポートを有してもよい。
【0010】
[0010]燃焼反応、合成反応、分解反応、および、触媒反応を含む多種多様な化学反応が、石油精製業、化学工業、および、ガス化産業を含む多くの産業のいずれかで行われ得る。いくつかの理由により、様々なガスが化学反応に供給される場合がある。例えば、加圧ガス供給源12は、流動層10を生成して維持するためにガスを容器11内に方向付けてもよい。1つ以上のガスが、様々な方法で、例えば反応剤または促進剤として反応を促進するために、化学反応に供給されてもよい。更に、ガス、例えば燃焼生成物などのガス状反応生成物が化学反応自体の結果として生成される場合がある。同様に、多くの理由により、様々な粒子が化学反応に供給される場合がある。例えば、粒子状の反応剤、促進剤、または、触媒が化学反応に加えられる場合がある。また、例えば化学反応自体の最中に、反応生成物として、例えば燃焼生成物として粒子が生成される場合がある。
【0011】
[0011]これらのガスと粒子との混合物は、ガス中に粒子が浮遊する流動層10を容器11内に形成し得る。ガスは、例えば、流動層のサイズ、流動層中の粒子の所望の密度、および、化学反応の性質に応じた度合いで、ガス供給源12から流動層10に供給されてもよい。ガスおよび粒子の温度および圧力は、例えば化学反応の性質に応じて幅広く変化してもよい。例えば、温度は、約70°F以下〜1800°F以上の範囲内であってもよい。圧力は、約5psig以下〜約1200psig以上の範囲内であってもよい。多くの実施形態において、温度は、約550°F以下〜約1400°F以上の範囲内であってもよく、また、圧力は、約15psig以下〜約45psig以上の範囲内であってもよい。
【0012】
[0012]プロセスは、ガスおよび同伴粒子の一部をフィルタ媒体の供給側に方向付けることを備えてもよい。多くの実施形態において、フィルタ媒体13は容器11内に配置されてもよい。例えば、フィルタ媒体13は、流動層10よりも上側で容器11内に配置されてもよい。ガスおよび同伴粒子が流動層10を越えて、例えば流動層10よりも上側で洗浄分離(elutriate)され、あるいは分散されると、容器11の上側領域は、分散ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体13の供給側14に方向付けてもよい。
【0013】
[0013]プロセスは、ガスから同伴粒子を濾過することを更に備えてもよく、これは、ガスをフィルタ媒体13の供給側14からフィルタ媒体13を通してフィルタ媒体13の濾過物側15に方向付けることを含み、濾過物側15はフィルタ媒体13によって供給側14から分離される。ガスがフィルタ媒体13を通過すると、フィルタ媒体13は、同伴粒子の大部分またはほぼ全てをガスから除去し、それにより、濾過されたガスがフィルタ媒体13の濾過物側15に残るとともに、粒子がフィルタ媒体13の供給側14に残る。同伴粒子を濾過することは、同伴粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体13の供給側14に沿って略接線方向に方向付けることを更に含む。粒子がフィルタ媒体の供給側14に沿って接線方向で通過すると、粒子が供給側14を掻き落とし、それにより、ファウラント、例えば除去された粒子のフィルタケーキが供給側14に蓄積してフィルタ媒体13を塞ぐことが防止される。ガスおよび同伴粒子は、容器内のガス圧によって、あるいはブロワ、ファン、または、コンプレッサによって、フィルタ媒体を通過してフィルタ媒体に沿って推し進められてもよい。
【0014】
[0014]フィルタ媒体13はフィルタアセンブリ20の一部であってもよく、また、フィルタアセンブリおよびフィルタ媒体の両方が任意の多くの方法で構成されてもよい。例えば、フィルタ媒体は、多種多様な濾過特性のいずれかを有してもよい。透過性のフィルタ媒体は、多孔性、細孔性、超多孔性、あるいは更には、ナノ多孔性であってもよく、また、任意の所望のガス除去率を有してもよい。例えば、フィルタ媒体は、約0.01μ以下〜約100μ以上、または、約0.2μ以下〜約20μ以上、または、約2μ以下〜約10ミクロン以上の範囲内のガス除去率を有してもよい。また、透過性フィルタ媒体は、金属材料、セラミック材料、または、高分子材料を含む任意の様々な材料から形成されてもよい。高温用途においては、金属材料またはセラミック材料が使用されてもよい。
【0015】
[0015]フィルタ媒体は、任意の多くの構造に形成され、あるいは組み込まれてもよい。多いが全てではない実施形態において、フィルタ媒体は、フィルタ媒体13を含む円筒壁22と両端23、24とを有する中空の長尺なフィルタチューブ21として形成されてもよい。フィルタチューブの長さは、約4インチ以下〜約240インチ以上、または、約10インチ以下〜約100インチ以上、または、約15インチ以下〜約60インチ以上の範囲内、例えば、約25インチであってもよい。フィルタチューブの内径(ID)は、約0.25インチ以下〜約12インチ以上、または、約0.4インチ以下〜約6インチ以上、または、約0.6インチ以下〜約2インチ以上の範囲内、例えば、約0.75インチであってもよい。フィルタチューブのIDは、一定であってもよく、または、チューブの一端部から反対側の端部に向けて先細っていてもよく、例えば、IDは、出口端で最小直径まで先細ってもよく、あるいは、逆もまた同様である。
【0016】
[0016]フィルタアセンブリは、様々な異なる方法でフィルタ媒体を支持してもよい。例えば、フィルタアセンブリ20が第1および第2の離間するチューブシート25、26を含んでもよく、また、複数のフィルタチューブ21が互いから側方に離間されるチューブシート25、26間で支持されてもよい。例えば、最大で約1000個以上、または、最大で約3000個以上、または、最大で約10000個以上のフィルタチューブがチューブシート間に支持されてもよい。多くの実施形態において、フィルタチューブは、チューブシート間で略垂直に支持されてもよい。ケーシング30がフィルタチューブ21およびチューブシート25、26を取り囲んでもよい。フィルタアセンブリ20は、ケーシング30またはチューブシート25、26に濾過ガス出口31、すなわち、濾過物出口を更に含んでもよい。任意のフィルタチューブ21の破損を防ぐために、1つ以上の安全フィルタ32が濾過ガス出口31と関連付けられてもよい。1つ以上のフィルタアセンブリ20が様々な方法で容器11内に取り付けられてもよい。多くの実施形態において、フィルタアセンブリ20は、容器11の上側領域内に取り付けられてもよい。各フィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31は、容器11の残りの部分にあるガスおよび同伴粒子から濾過されたガスを分離する容器11の濾過ガスプレナム33に流体接続されてもよい。一方、濾過ガスプレナム33は、容器11の濾過ガス出口34に流体接続されてもよく、それにより、濾過されたガスを更なる処理のために容器11から排出することができ、または、濾過されたガスを排ガスとして環境へ排出することができる。
【0017】
[0017]多くの実施形態において、各フィルタチューブ21の供給側14および濾過物側15は、フィルタチューブ21の内側および外側をそれぞれ構成してもよい。ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体の供給側に方向付けることは、ガスおよび同伴粒子をフィルタチューブの内側に方向付けることを備えてもよい。多くの実施形態において、フィルタチューブ21の両端23、24は開放していてもよく、また、フィルタチューブ21の入口端23がフィルタチューブ21の上端であってもよい。このとき、ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体13の供給側14に方向付けることは、ガスおよび同伴粒子をフィルタチューブ21の開放した上側入口端23へ方向付けるとともに、フィルタチューブ21の内側に沿って軸方向に、例えば下方に方向付けることを備えてもよい。あるいは、フィルタチューブの下側開放端が入口端であってもよく、また、ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体の供給側に方向付けることは、ガスおよび同伴粒子をフィルタチューブ21の開放した下側入口端へ方向付けるとともに、フィルタチューブ21の内側に沿って軸方向に、例えば上方に方向付けることを備えてもよい。フィルタチューブの入口端における軸方向速度および粒子負荷が変化してもよい。例えば、ガスは、約0.33ft/秒以下〜約100ft/秒以上の範囲内の軸方向速度を伴って各チューブの入口端に入ってもよい。フィルタ媒体の摩耗または浸食および/または粒子の摩滅を抑制するために、フィルタ媒体の性質および/または粒子の性質に応じて、軸方向速度が、例えば約40ft/秒に制限されてもよい。フィルタチューブの入口端における粒子負荷は、例えば、約0.1lb/ft
3以下〜約10lbs/ft
3以上の範囲内、または、約0.1体積%〜約50体積%の範囲内であってもよい。
【0018】
[0018]ガスから同伴粒子を濾過することは、ガスを略径方向内側から外側へフィルタチューブ21に通すことを含んでもよい。例えば、ガスは、透過性のフィルタチューブ21の全長に沿って内側の供給側14からフィルタチューブ21の壁22を通じて外側の濾過物側15まで通り過ぎてもよい。フィルタチューブを通じた流動速度が変化してもよい。例えば、流動速度は、約0.001m/秒以下〜約0.25m/秒以上の範囲内であってもよい。多くの実施形態において、フィルタ媒体の総面積およびガス除去率は、フィルタ媒体を通じた圧力降下が殆どないように、かつ濾過されたガス中に粒子があるとしてもそれが僅かであるように選択されてもよい。例えば、フィルタ媒体13を通じた圧力降下は、約15psid以下、例えば、約10psid以下または約5psid以下または約3psid以下の範囲であってもよく、一方、濾過されたガス中の放出量は、約15mg/Nm
3以下、例えば、10mg/Nm
3以下または5mg/Nm
3以下または更には2mg/Nm
3以下であってもよい。
【0019】
[0019]ガスを濾過することは、濾過されたガスをフィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31と関連付けられる安全フィルタ32に通すことを更に含んでもよい。例えば、チューブシート25、26がケーシング30に対してシールされてもよく、また、フィルタアセンブリ20は、フィルタチューブの濾過物側15とチューブシート25、26とケーシング30とによって境界付けられる濾過ガスチャンバ36を含んでもよい。1つ以上の安全フィルタが濾過ガスチャンバ36内に、あるいはフィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31に取り付けられてもよい。例えば、それぞれが盲端40と開放端41とを有する1つ以上の長尺な中空の安全フィルタ32が濾過ガス出口31に配置されてチューブシート、例えば上側チューブシート25によって支持されてもよい。それぞれの安全フィルタは、フィルタチューブのフィルタ媒体よりも粗くてもよいがフィルタチューブの破損、例えば破裂を防ぐ透過性フィルタ媒体を含んでもよい。安全フィルタ32の開放端41は、フィルタアセンブリ20の濾過ガスチャンバ36に通じていてもよい。このとき、ガスを濾過することは、濾過されたガスをフィルタチューブ21の濾過物側15から濾過ガスチャンバ36へ方向付けるとともに安全フィルタ32を通じてフィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31へ方向付けることを含んでもよい。これに代えて、あるいは加えて、フィルタチューブ間の空間を含む濾過ガスチャンバには、金属繊維、粗いセラミック粒子または繊維、セラミック発泡体、または、高分子繊維などの粗いバルクフィルタ媒体が充填されてもよい。バルクフィルタ媒体は、欠陥のあるフィルタチューブを通過し得る粒子を捕捉する深層安全フィルタとして作用する。バルクフィルタ媒体は、非常に数少ないフィルタチューブ、例えば欠陥のあるフィルタチューブおよび恐らく1つ以上の隣り合うフィルタチューブを密封する一方で、フィルタチューブの膨大な残りの部分を完全に機能的な状態のままにしておくという更なる利点を有する。
【0020】
[0020]本発明を具現化するプロセスは、濾過されたガスを更なる処理のために排出する、あるいは例えば排ガスとして環境へ排出することを更に備えてもよい。多くの実施形態において、濾過されたガスを排出することは、濾過されたガスを容器から排出することを含んでもよい。例えば、図示の実施形態において、濾過されたガスを容器11から排出することは、濾過されたガスをフィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31から容器11の濾過ガスプレナム33へ、したがって容器11の濾過ガス出口へ通すことを含んでもよい。あるいは、濾過されたガスを容器から排出することは、濾過されたガスをフィルタアセンブリの濾過ガス出口から容器の濾過ガス出口へ直接に通すことを備えてもよい。
【0021】
[0021]ガスが透過性フィルタ媒体を通過すると、粒子、特に微粒子は、最初はフィルタ媒体の供給側の表面上に集まって、非常に少ない度合いでフィルタ媒体自体の中にたまる場合がある。例えば、粒子は、最初は、大部分がフィルタチューブ21の内側の供給側14の表面上に集まる場合がある。ガスを濾過することは、集められた粒子を含むファウラントを供給側から掻き落とすために、粒子の少なくとも一部、例えば大部分をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることを更に含む。粒子が様々な異なる粒度分布を有してもよく、また、より大きい粒子、すなわち、約5μ以上または約10μ以上または約20μ以上のサイズを有する粒子が、ファウラントをフィルタ媒体の供給側からより一層効果的に掻き落としてもよい。より大きい粒子を含む粒子をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることは、粒子を透過性フィルタ媒体の長さの大部分または全長にわたり供給側に沿って略軸方向に方向付けることを含んでもよい。例えば、ガスおよび同伴粒子がフィルタチューブ21の開放入口端23へ方向付けられるとき、粒子は、透過性フィルタチューブ21の軸方向長さ全体にわたり内側の供給側14に沿って略軸方向に方向付けられてもよい。多くの実施形態において、粒子は、フィルタチューブ21の内側を通じてほぼ下方に向けられてもよい。粒子がフィルタ媒体13の供給側14に沿って略接線方向で通過する際に、フローストリームの変動、例えばフローストリームの乱流、および/または、他の粒子との衝突が、粒子を偏向させて、粒子を供給側14に衝突させ、それにより、フィルタ媒体13の供給側14に最初に集まり得る微粒子等の任意のファウラントが供給側14から掻き落とされてもよい。フィルタ媒体13の供給側14を連続的に掻き落とすことにより、ガスは、長期間にわたって透過性フィルタ媒体13を自由に通過できる。
【0022】
[0022]粒子のほぼ全て、掻き落とされたファウラント、および、ガスのごく一部は、フィルタチューブ21の開放出口端24、例えば下側開放端でフィルタチューブ21の内部から抜け出てもよい。アンダーフロー、すなわち、透過性フィルタ媒体を接線方向で通り越すがフィルタ媒体を通過しないガスは、最初にフィルタ媒体の供給側へ方向付けられるガス、例えば最初にフィルタチューブ21の開放入口端23へ方向付けられるガスの約60%未満であってもよい。多くの実施形態において、アンダーフローは、フィルタチューブ21の開放入口端23に入るガスの約40%以下、または、約20%以下、または、約10%以下、または、約7%以下、または、約5%以下であってもよく、一方、フィルタチューブを通過するガスは、フィルタチューブ21の開放入口端23に入るガスの約98%以下であってもよい。
【0023】
[0023]本発明を具現化するプロセスは、粒子およびアンダーフローガスをフィルタ媒体の供給側からディップ脚またはディップチューブへ方向付けることを更に備えてもよい。ディップ脚42は様々に構成されてもよい。例えば、ディップ脚42は、開放入口端44と出口端45とを有する長尺な中空脚43を含んでもよい。ディップ脚42の開放入口端44は、フィルタ媒体13の供給側14を越えてフィルタアセンブリ20に接続されてもよい。例えば、ディップ脚42の開放入口端44は、フィルタチューブ21の供給側14、例えば内側の供給側14よりも下側のケーシング30の粒子出口46、例えば円錐粒子出口に接続されてもよい。フィルタチューブ21の開放した下側出口端24は、フィルタアセンブリ20の粒子出口46に通じてもよく、また、粒子出口46は、ディップ脚42の開放入口端44に通じてもよい。このとき、粒子をフィルタ媒体の供給側からディップ脚へ方向付けることは、粒子およびアンダーフローガスをフィルタチューブの出口端からディップ脚の開放端へ方向付けることを含んでもよい。例えば、粒子をディップチューブへ方向付けることは、粒子およびアンダーフローガスをフィルタチューブ21の開放した下側出口端24からフィルタアセンブリ20の粒子出口46を通じてディップ脚42の開放入口端44へ通すことを含んでもよい。
【0024】
[0024]中空脚43は、フィルタアセンブリ20よりも下側で垂直に垂れ下がってもよく、また、粒子およびアンダーフローガスをフィルタ媒体13の供給側14から離れるように案内する役目を果たしてもよい。中空脚の長さは、約1フィート以下から約30フィート以上まで変化してもよく、また、IDは、約2インチ以下〜約24インチ以上の範囲内であってもよい。中空脚43の出口端45は、交互に開閉してもよいバルブ50を含んでもよい。バルブは様々に構成されてもよい。例えば、バルブは、ガスおよび同伴粒子が出口端を通じてディップ脚に入ることを防止するために、例えばばねによって、あるいはバルブの重量によって通常は閉じられるフラップバルブであってもよい。粒子は、中空脚43の軸方向長さに沿って重力または他の手段により沈降してもよく、それにより、脚43の下側領域で密度がより高くなり得る。粒子が出口端45で脚43内に蓄積すると、粒子の重量がバルブ50を強制的に開放させ、それにより、蓄積された粒子およびアンダーフローガスの一部がディップ脚42から逃れることができてもよい。ディップ脚の出口端における粒子の密度は、ディップ脚の開放端における粒子の密度よりも高くなり得るが、出口端における粒子がアンダーフローガスによって流動化されたままであってもよく、それにより、蓄積された粒子が中空脚43内でおよびディップ脚42の出口端45から容易に流れることができてもよい。
【0025】
[0025]中空脚43の長さおよびID、ならびに、バルブ50の閉鎖力は、ディップ脚42の開放入口端44へ所望のアンダーフローをもたらす背圧を与えるように経験的に調整されてもよい。例えば、ディップ脚の長さおよびID、ならびに、バルブ50の閉鎖力は、ディップ脚から出る粒子およびガスの流れを与えるとともにディップ脚の開放端へ向かう前述したアンダーフロー、例えば約60%以下のアンダーフローをもたらす背圧をディップ脚内に与えるべく十分にバルブを開閉するように調整されてもよい。したがって、本発明を具現化するプロセスは、ディップ脚を通じた粒子およびガスの流れ、例えばディップ脚の開放端へ向かう約60%以下のアンダーフローをもたらすディップ脚を通じた粒子およびガスの流れを与えることを更に備えてもよい。また、ディップ脚を通じた粒子およびガスの流れを与えることは、ディップ脚の出口端でバルブを開閉すること、および、粒子およびアンダーフローガスをディップ脚の出口端から排出することを含んでもよい。ディップ脚の出口端は、容器内に開放してもよく、例えば流動層に通じてもよい。このとき、粒子およびガスをディップ脚の出口端から排出することは、粒子を更なる処理のために流動層へ戻すことを含んでもよい。あるいは、ディップ脚の出口端が容器の外側に開放してもよい。このとき、粒子およびガスをディップ脚の出口端から排出することは、例えば廃棄、再使用、または、更なる処理のために粒子を容器の外側に排出することを含んでもよい。
【0026】
[0026]本発明を具現化するプロセスの多くの例のうちの1つは、石油精製業における流動触媒クラッカーで使用される触媒粒子の再生を伴う。触媒粒子は、ガソリンまたはディーゼル燃料などの更に精製された炭化水素への油の処理を促進するために反応器に供給される。このプロセスにおいて、触媒粒子は、触媒粒子の触媒効果を低下させるコークス状物質で汚染されるようになる。触媒粒子を再生するために、コークス状物質が燃焼されて触媒粒子から除去され、それにより、触媒粒子を再使用できるようにしてもよい。
【0027】
[0027]汚染された触媒粒子を再生することは、
図1に示されるように、高温空気中に浮遊する汚染された触媒粒子を含む流動層10を再生容器11内に、例えば再生容器11の下側領域に形成することを含んでもよい。流動層10を形成することは、高温空気供給源12から高温空気を再生容器11に、例えば再生容器11の底部に供給するとともに、汚染された触媒粒子を例えば反応器(図示せず)から汚染触媒粒子入口51を介して再生容器11に供給することを含んでもよい。高温空気は、約1250°F〜約1400°Fの範囲内の温度と、約15psig〜約45psigの範囲内の圧力とを有してもよい。汚染された触媒粒子は、粒子の99%が約90μ未満であり、かつD
50が約60μである粒度分布を有してもよい。
【0028】
[0028]プロセスは、空気および同伴触媒粒子の一部をフィルタ媒体13の供給側14へ、例えば複数のフィルタチューブ21の内側の供給側14へ方向付けることを更に含んでもよい。例えば、空気およびガス状燃焼生成物および同伴触媒粒子の一部は、再生容器11内のガス圧により推し進められて、流動層10を越えて、例えば流動層10よりも上側で分散してもよい。再生容器11は、分散されたガスおよび触媒粒子を流動層10よりも上側の再生容器11内に配置されるフィルタアセンブリ20のフィルタチューブ21の開放入口端23へ方向付けてもよく、この場合、ガスおよび同伴触媒粒子は、フィルタチューブ21の内側の供給側14に沿って軸方向に、例えば下方に方向付けられる。フィルタチューブ21内のガスの軸方向速度は、約0.33ft/秒〜約100ft/秒の範囲内であってもよく、また、フィルタチューブ21の開放入口端23における粒子負荷は、約0.1lb/ft
3〜約10lbs/ft
3の範囲内であってもよい。
【0029】
[0029]プロセスは、ガスをフィルタ媒体13の供給側14からフィルタ媒体13を通じてフィルタ媒体13の濾過物側15へ方向付けることを含めて、同伴触媒粒子をガスから濾過することを更に含んでもよい。具体的には、ガスは、フィルタチューブ21を通じて内側の供給側14から外側の濾過物側15へ向けて、略径方向内側から外側へ方向付けられてもよい。流動速度は約0.001m/秒〜約0.25m/秒の範囲内であってもよく、また、濾過されたガス中の粒子負荷は約15mg/Nm3以下であってもよい。その後、濾過されたガスは再生容器11から排出されてもよい。濾過されたガスは、フィルタチューブ21の濾過物側15から、容器11内のガス圧により、濾過ガスチャンバ36および安全フィルタ32を通じてフィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31へ推し進められてもよい。濾過されたガスは、フィルタアセンブリ20の濾過ガス出口31から、濾過ガスプレナム33内へ推し進められて、再生容器11から、再生容器11の濾過ガス出口34を介して排出されてもよい。その後、ガスは、粒子があるとしても僅かしか含まない排ガスとして環境へ排出されてもよい。
【0030】
[0030]同伴触媒粒子をガスから濾過することは、フィルタ媒体13の供給側14を掻き落とすために同伴触媒粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体13の供給側14に沿って略接線方向に方向付けることを更に含んでもよい。より大きな粒子を含む同伴触媒粒子の大部分は、各フィルタチューブ21の内側の供給側14に沿って開放入口端23から開放出口端24へ向けて軸方向下方に方向付けられてもよい。触媒粒子が各フィルタチューブ21の内側の供給側14を横切ると、これらの触媒粒子が供給側14からファウラントを掻き落とし、それにより、ガスが長期間にわたってフィルタチューブ21を自由に通過できる。
【0031】
[0031]プロセスは、触媒粒子をフィルタ媒体13の供給側14から再生容器11内のディップ脚42内へ方向付けることを更に備えてもよい。触媒粒子およびアンダーフローガスは、フィルタチューブ21の開放出口端24からフィルタアセンブリ20の粒子出口46を通じてディップ脚42の開放入口端44へ向けて下向きに通過してもよい。ディップ脚42の長さおよびID、ならびに、バルブ50の閉鎖力は、約60%以下のアンダーフローをディップ脚42の開放入口端44へ与えるように調整される。触媒粒子およびアンダーフローガスは、中空脚43に沿って通過して、バルブ50の開閉によりディップ脚42から抜け出る。触媒粒子は、更なる処理のため、ディップ脚42から再生容器11内の流動層10へ排出される。再生された触媒粒子は、再生触媒粒子出口52を介して再生容器11から排出される。
【0032】
[0032]本発明の様々な態様をいくつかの実施形態に関して説明しおよび/または例示してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されない。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態の1つ以上の特徴が排除され、あるいは変更されてもよく、または、1つの実施形態の1つ以上の特徴が別の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わされてもよい。非常に異なる特徴を有する実施形態でさえ本発明の範囲内に入る場合がある。
【0033】
[0033]例えば、フィルタアセンブリは、フィルタ媒体の供給側および濾過物側が各フィルタチューブの外側および内側をそれぞれ構成する状態で容器内に配置されてもよい。このとき、ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体の供給側へ方向付けることは、ガスおよび同伴粒子を、例えば各フィルタチューブの上端でフィルタチューブの外側へ方向付けるとともに、各フィルタチューブの外側に沿って軸方向に、例えば下方に方向付けることを備えてもよい。各フィルタチューブの一端、例えば下端は盲端であってもよく、一方、他端、例えば上端は開放端であってもよい。ガスを供給側からフィルタ媒体を通じて濾過物側へ方向付けることは、ガスを各フィルタチューブの外側の供給側からフィルタチューブの壁を通じてフィルタチューブの内側の濾過物側へ向けて略径方向外側から内側へ方向付けることを含んでもよい。各フィルタチューブの内側の濾過物側は、フィルタアセンブリの濾過流体出口と直接に、あるいは安全フィルタを介して流体連通してもよい。このとき、濾過されたガスを排出することは、濾過されたガスを各フィルタチューブの内側の濾過物側からフィルタチューブの開放端を介してフィルタアセンブリの濾過ガス出口へ方向付けること、したがって、直接に、あるいはフィルタチューブの開放端に流体接続される容器内の濾過ガスプレナムを介して容器の濾過ガス出口へ方向付けることを含んでもよい。同様に、粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることは、外側の供給側を掻き落とすために各フィルタチューブの外側の供給側に沿って粒子を略軸方向に、例えば下方に方向付けることを含んでもよい。例えば、粒子は、フィルタチューブの外側の供給側の全長に沿ってほぼ下方に方向付けられて下側盲端を通り過ぎた後、ディップ脚内へ方向付けられてもよい。
【0034】
[0034]他の実施形態の一例として、フィルタアセンブリおよびディップ脚は、容器の外側の別個のハウジング内に配置されてもよい。ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体の供給側へ方向付けることは、ガスおよび同伴粒子をダクトまたはパイプを介して容器から別個のハウジングへ流すことを含んでもよい。濾過されたガスを排出することは、濾過されたガスを容器からではなくハウジングから排出することを含んでもよい。更に、粒子をディップ脚から排出することは、粒子を再使用または廃棄のために容器から離れるように方向付けること、または、粒子を更なる処理のために容器内の流動層へ戻すことを含んでもよい。
【0035】
[0035]他の実施形態において、ガスおよび同伴粒子をフィルタ媒体の供給側へ方向付けることは、同伴粒子および/またはガスの速度を増大させた後、その高い速度で同伴粒子および/またはガスをフィルタ媒体の供給側へ方向付けることを含んでもよい。例えば、各フィルタチューブには、透過性フィルタチューブの入口端に、中空の不透過性加速チューブが取り付けられてもよい。加速チューブは、約2インチ以下〜約30インチ以上の範囲の長さを有してもよく、また、フィルタチューブのIDに等しい、あるいはフィルタチューブのIDに対して先細る一定のIDまたは先細りIDを有してもよい。加速チューブは、粒子および/またはガスをそれらがフィルタ媒体の供給側、例えばフィルタチューブの内側供給側と接触する前に加速する役目を果たし、それにより、粒子の掻き落とし効果が高められる。
【0036】
[0036]更なる他の実施形態において、粒子の少なくとも一部をフィルタ媒体の供給側に沿って略接線方向に方向付けることは、フィルタ媒体の供給側に対して粒子をそらせることを含んでもよい。例えば、フィルタチューブの供給側に対して粒子を偏向させるために、フィルタチューブの内側の供給側内に、あるいはフィルタチューブの外側の供給側に沿ってダイバータが挿入されてもよい。ダイバータは、様々に形成されてもよく、また、フィルタチューブの長さに沿って部分的に、あるいは全体的に延びてもよい。フィルタチューブの供給側に対して粒子を偏向させることにより、更に一層多い粒子がフィルタチューブの供給側に衝突し、それにより、粒子の掻き落とし効果が高められる。
【0037】
[0037]多くの他の技術が本発明を具現化するプロセスを補完してもよい。例えば、フィルタ媒体からファウラントを更に除去するために、断続的なガスパルスがフィルタ媒体を通じて前方へ、あるいは後方へ方向付けられてもよく、バイブレータがフィルタ媒体を断続的に振動させてもよく、あるいは、フィルタ媒体からファウラントを放すために、フィルタ媒体を通過する濾過されたガス流が断続的に断ち切られてもよく、あるいは、フィルタ媒体からファウラントを洗浄するために洗浄溶液がフィルタ媒体に加えられてもよい。
【0038】
[0038]本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a,an)」および「その(the)」および「少なくとも1つ」および同様の言及の使用は、本明細書中で別段に示唆されず、あるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ、単数および複数の両方を網羅するように解釈されるべきである。1つ以上の項目のリストがその後に続く「少なくとも1つ」という用語の使用(例えば、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」)は、本明細書中で別段に示唆されず、あるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ、リストに挙げられた項目から選択される1つの項目(AまたはB)、あるいはリストに挙げられた項目のうちの2つ以上の任意の組み合わせ(AおよびB)を意味するように解釈されるべきである。用語「備える」、「有する」、「含む」、および、「包含する」は、別段に言及されなければ、制限のない用語(すなわち、「〜を含むがこれに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書中における値の範囲の列挙は、本明細書中に別段に示唆されなければ、その範囲内に入るそれぞれの別個の値を個別に示す簡潔な方法としての役目を果たそうとしているにすぎず、また、それぞれの別個の値は、あたかもそれがここに個別に列挙されているかのように明細書中に組み入れられる。本明細書中に記載される全ての方法は、本明細書中で別段に示唆されず、あるいは別段に文脈的に明らかに矛盾しなければ、任意の適した順序で行うことができる。本明細書中で与えられる任意の全ての例または典型的な言葉(例えば、「など(such as)」、「例えば(for example)」、または、「例えば(e.g.)」)の使用は、本発明をより良く説明しようとしているにすぎず、特許請求の範囲に別段に記載されていなければ本発明の範囲に限定をもたらさない。明細書中の言葉は、特許請求の範囲に記載されない任意の要素を本発明の実施に不可欠なものとして示唆していると解釈されるべきではない。
【0039】
[0039]この発明の好ましい実施形態は、本明細書中では、本発明を実施するための発明者等に知られる最良の形態を含んで記載されている。それらの好ましい実施形態の変形は、先の説明を読む際に当業者に明らかになり得る。本発明者等は、当業者がそのような変形を必要に応じて使用すると予期し、また、本発明者等は、本明細書中に具体的に記載される以外の方法で本発明が実施されることを意図する。したがって、この発明は、適用可能な法律によって許容されるように本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される主題の全ての改変および等価物を含む。また、前述した要素のその全ての想定し得る変形での任意の組み合わせは、本明細書中で別段に示唆されず、あるいは文脈的に明らかに矛盾しなければ本発明によって包含される。
【符号の説明】
【0040】
10…流動層、11…容器、12…加圧ガス供給源、13…フィルタ媒体、14…供給側、15…濾過物側、20…フィルタアセンブリ、21…フィルタチューブ、22…円筒壁、23…入口端、24…出口端、25、26…チューブシート、30…ケーシング、31…フィルタアセンブリの濾過ガス出口、32…安全フィルタ、33…濾過ガスプレナム、34…容器の濾過ガス出口、36…濾過ガスチャンバ、40…盲端、41…開放端、42…ディップ脚、43…中空脚、44…開放入口端、45…出口端、46…ケーシングの粒子出口、50…バルブ、51…汚染触媒粒子入口、52…再生触媒粒子出口