特許第6035600号(P6035600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035600
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】媒体反射防止ケース
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/57 20060101AFI20161121BHJP
   H04N 1/19 20060101ALI20161121BHJP
   H04N 1/10 20060101ALI20161121BHJP
   H04N 1/107 20060101ALI20161121BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B65D85/57 C
   H04N1/04 103E
   H04N1/10
   H04N1/00 108Q
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-215488(P2012-215488)
(22)【出願日】2012年9月28日
(65)【公開番号】特開2014-69817(P2014-69817A)
(43)【公開日】2014年4月21日
【審査請求日】2015年3月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】藤村 真吾
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−131325(JP,A)
【文献】 特開2003−169192(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/57
H04N 1/00
H04N 1/10
H04N 1/107
H04N 1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の大きさに対応し前記媒体の厚みよりも浅い窪みを設け、前記媒体を載置可能な載置板と、
前記媒体の上部を覆う上蓋と、
前記載置板と前記上蓋とを回動可能に接続する接続部とを備え、
前記上蓋は前記媒体の印刷面を読み取り可能な窓部を有し、
前記窓部は反射防止部材により覆われ、
前記載置部と前記上蓋との間に前記媒体を保持することを特徴とする媒体反射防止ケース。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体反射防止ケースであって、
前記接続部はヒンジ機構を備え、
前記載置板と前記上蓋は前記ヒンジ機構と対向する位置にある留め部により閉状態として前記媒体を保持することを特徴とする媒体反射防止ケース。
【請求項3】
請求項1または2に記載の媒体反射防止ケースであって、
前記載置部は載置された前記媒体を押圧可能な穴部を備えることを特徴とする媒体反射防止ケース。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の媒体反射防止ケースであって、
前記反射防止部材は、光を拡散させる機能を備えるフィルムまたはシボ付きパネルであり、
前記載置板は左側または右側に持ち手部を有することを特徴とする媒体反射防止ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体反射防止ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体の画像を電子データで保存管理することが行われている。例えば、金融機関では、取引内容を記載した帳票や、口座開設者の本人確認に用いた利用者の運転免許証等の媒体の画像を電子データで保存管理している。
【0003】
媒体の画像を電子データで保存管理するには、その媒体の画像を取得する必要がある。この媒体の画像を取得する装置としては、媒体を載置する台座に対向する側に、この台座に載置した媒体の画像を読み取るイメージセンサを配置したものがある。(特許文献1等参照)。
【0004】
また、原稿台と媒体を撮像する画像読取部と、画像読取部にICカードリーダを組み込むことにより、画像読取部で取得した画像から媒体種別を判別し、ICカードリーダが必要な媒体の場合に駆動させる事が出来る画像読取装置がある。(特許文献2等参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000‐244706号公報
【特許文献2】特開2012‐124792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、媒体の画像を取得する場合、図8に示すように周囲環境の照明により媒体を照らして撮影する必要がある。例えば運転免許証等の表面が反射し易い媒体を撮影すると、図9に示すように照明の反射が当たった部分は白く飽和した画像となり表面に記載されている必要な情報が読み取れなくなるという問題があった。従来ではこの問題を解決するために、照明が反射しない位置を探して媒体を台座に載置する必要があった。また照明の種類や周囲環境によっては反射しないように媒体を台座に載置することができず、反射しない位置に媒体読取装置自体を移動する必要がある等、オペレータにとっては煩雑な作業が必要となるという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載された構成では、媒体表面の画像を取得しながら同時にICカードリーダ駆動により媒体に内蔵されたICチップの情報を読取る場合に、ICカードリーダのアンテナの位置により媒体を載置する場所が限定されるため、照明が反射しない位置を探して媒体を台座に載置することができないという問題があった。
【0008】
この発明の目的は、表面が反射し易い媒体の画像を取得するのに、照明の位置等を意識することなく台座に載置することができ、照明の反射の影響を軽減して媒体表面の文字や写真等の情報を認識できるような画像を取得できる媒体読取装置用の媒体反射防止ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。本願は上記課題を解決するための手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、媒体の大きさに対応する窪みを設け、前記媒体を載置可能な載置板と、前記媒体の上部を覆う上蓋と、前記載置板と前記上蓋とを回動可能に接続する接続部とを備え、前記上蓋は前記媒体の印刷面を読み取り可能な窓部を有し、前記窓部は反射防止部材により覆われ、前記載置部と前記上蓋との間に前記媒体を保持する媒体反射防止ケースである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、媒体の印刷面の画像を、外部照明の反射の影響によって印刷面の情報が白く飽和することなく媒体読取装置にて取得でき、それまでのように反射しない場所に移動する等の手間がなく撮影時間の短縮が図れる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】媒体反射防止ケースの外観図である。
図2】上蓋を開けた媒体反射防止ケースの外観図である。
図3】上蓋を開けた媒体反射防止ケースの外観図である。
図4】上蓋を開けた媒体反射防止ケースに免許証を載置した場合の外観図である。
図5】免許証を載置した媒体反射防止ケースの外観図である。
図6】媒体読取装置の外観図である。
図7】照明の反射を受けた媒体表面の画像の読み取りを説明する図である。
図8】照明の反射を受けた媒体表面の画像の読み取りを説明する図である。
図9】照明の反射を受け白く飽和した状態の免許証表面の画像の例である。
図10】媒体反射防止ケースを載置した媒体読取装置の外観図である。
図11】照明の反射を軽減した状態の免許証表面の画像の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の1つである媒体読取装置用の媒体反射防止ケースについて説明する。
図1は、本実施形態である媒体反射防止ケース1の外観図である。図2図3図4は、上蓋を開けた状態の媒体反射防止ケース1の外観を示している。
【0013】
媒体反射防止ケース1は、載置板2と、上蓋3と、反射防止シート4と、載置板側ヒンジ2a、2bと、上蓋側のヒンジ3a、3bと、軸5a、5bと、載置板側留め具6と、上蓋側留め具7と、媒体載置用の窪み8と、媒体取り出し用の穴9と、を備えている。
【0014】
この媒体反射防止ケース1は、図5に示すように免許証などの表面が反射しやすい媒体を、載置板2と、上蓋3とで挟み込み、上蓋3に貼付けられた反射防止シート4が、免許証などの表面が反射しやすい媒体の印字面に覆い被さるような構成である。
【0015】
載置板2と上蓋3は、それぞれ軸穴の開けられた載置板側ヒンジ2a、2bと、上蓋側ヒンジ3a、3bとを備え、ヒンジの軸穴に軸5a、5bを通すことによりそれぞれのヒンジ部が結合されて蝶番状に開閉(回動)ができるようになっている。なお、載置板側ヒンジ2a、2bと、上蓋側ヒンジ3a、3bとを合わせて接続部とする。
【0016】
また、載置板2と上蓋3には、ヒンジ部と対向する位置に載置板側留め具6と、上蓋側留め具7とを備えており、載置板2と上蓋3を閉めた状態を保持することを可能としている。これにより、免許証などの表面が反射しやすい媒体を挟み込んだまま保持することができ、媒体を反射防止シート4に密着させることができる。
【0017】
ここで、媒体と反射防止シート4を密着させることの重要性について説明する。
媒体と反射防止シート4を密着させることは、本発明において極めて重要であり、媒体と反射防止シート4の間に隙間ができると、反射防止シート4の表面に付けられた光を拡散するための細かな溝または突起の影響により、媒体の視認性、特にコントラストが低下しぼやけた画像になる。
【0018】
本実施形態である反射防止ケース1は、図3に示す媒体載置用の窪み8の深さを媒体の厚みよりわずかに浅くする構成を設けている。この構成にすることにより、媒体と反射防止シート4との密着性をさらに高める効果を有している。なお反射防止シート4は、媒体との密着性を高めるため、光を拡散できるフィルム状のものが望ましいが、シボ付きのパネルでも代用でき、また光を拡散できる性質を有しておりある程度の柔軟性及び耐久性を有するその他の材料であってもよい。
【0019】
また、この発明の実施形態の他に、載置板2と上蓋3を一体化して、媒体を載置板2と上蓋3の隙間にスライドして挿入する方式も考えられる。このスライド挿入方式では媒体と反射防止シート4との密着性が、本実施形態である媒体反射防止ケース1の挟み込み方式よりも低下するため、より好適なものは本実施形態に示す媒体反射防止ケース1である。
【0020】
次に、本実施形態である媒体反射防止ケース1の構成の詳細について説明する。媒体の載置状態のぶれを極力抑えるため、図3に示す媒体載置用の窪み8の大きさを、媒体の外周サイズぎりぎりにして隙間をなるべく減らすと、媒体が媒体載置用の窪み8に挟まって取れにくくなることがある。
【0021】
図3に示す媒体取り出し用の穴(穴部)9を設けることでこのことを解決することができる。媒体が媒体載置用の窪み8に挟まって取れにくくなった場合に、図3に示す媒体取り出し用の穴9を下から指もしくは棒状のもので突き上げる(押圧する)ことにより、媒体載置用の窪み8に載せた媒体を上側に押し出すことが可能となる。
【0022】
また、図5の例では載置板2の左側に幅広の持ち手(持ち手部)を設けることで、載置板側留め具6と、上蓋側留め具7を開閉する際に、片手で持ち手を持ち、もう片方の手で留め具を開閉するというように使い勝手を向上することが可能となる。この例では、右利きの人ように左側に持ち手が付いているが、持ち手は右側であっても構わない。
【0023】
次に、本実施例に示す媒体反射防止ケース1を利用して画像読取りを行う媒体読取装置について説明する。図6は、媒体読取装置10の外観図である。この媒体読取装置10は、図6に示すように、一般にスタンド型と呼ばれるものである。制御部15は、媒体読取装置10本体各部の動作を制御する。画像読取部14は、アーム11の一方の端部(上端部)に取り付けている。アーム11の他方の端部(下端部)は、ベース筐体12に取り付けている。
【0024】
画像読取部14は、画像読取エリア内の画像を読み取る。画像読取エリアは、図6においてハッチングで示す領域であり、画像読取部14に対向する媒体載置台13側に設定している。画像読取部14は、光学素子をマトリクス状に配置した撮像素子(不図示)、およびこの撮像素子上に媒体載置台13側の画像を結像する撮像レンズ(不図示)等を有し、媒体載置台13側に設定した画像読取エリア内の画像を読み取る(撮像する)構成である。
【0025】
なお、画像読取部14は、光学素子をライン状に配列したラインセンサを有し、画像の読取位置を、このラインセンサの光学素子の配列方向(主走査方向)に対して垂直な方向(副走査方向)に走査して媒体載置台13側の画像を読み取る(撮像する)構成であってもよい。
【0026】
入出力部16は、図示しない情報処理装置(パーソナルコンピュータ等)との間におけるデータの入出力を行う。情報処理装置との間で入出力されるデータには、画像読取部14による画像の読取指示にかかるデータや、画像読取部14が読み取った読取画像にかかるデータ等がある。
【0027】
オペレータは、情報処理装置を操作して、媒体読取装置10に画像読取エリア内の画像(媒体の画像)の読み取り(取得)を行わせる。また、媒体読取装置10は、読み取った画像読取エリア内の画像を情報処理装置に入力する。情報処理装置は、入力された画像(媒体読取装置10が読み取った画像)を、接続されている表示器に表示する処理や、画像データをハードディスク等の記憶媒体に記録する処理等を行う。
【0028】
媒体読取装置10は、図8に示すように媒体載置台13を上方から照らす光源を利用して被写体となる媒体を撮像する。ここでは照明器具20を利用して被写体を撮像する例を示しているが、窓からの太陽光やその他の光源であってもよい。
【0029】
このとき、免許証などの反射しやすい媒体が被写体の場合に、照明器具20の反射光が、媒体読取装置10の画像読取部14に入射する場合がある。この状態では図9に示す画像のように読取った画像は印字面の表面が反射光により白く飽和して撮影されるため印字内容がかすれて文字や写真などの認識が困難となる。
【0030】
ここで、図8に示す照明器具20の反射光が、媒体読取装置10の画像読取部14に入射するような状態において、図10のように、免許証などの反射しやすい媒体を、この発明の実施形態である媒体反射防止ケースに入れて挟み込むことで反射防止シート4を媒体表面に密着させた状態で、媒体載置台13に媒体反射防止ケースごと載せて画像読取りすることで、図11のように反射光が反射防止シート4により拡散されて白く飽和しない状態で画像読取りが可能となる。
【0031】
以上本実施例に示す構成とすることで、反射する媒体の表面の印刷面には読取り時には常に反射防止シートが被せられることになり、媒体読取装置で反射防止ケースごと撮影することで、媒体の印刷面がこの反射防止シートの効果により、反射面の光が拡散され、印刷面の情報が白く飽和することなく、撮影することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施例の構成の一部を別の構成を追加・削除・置換することも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1…反射防止ケース
2…載置板
3…上蓋
4…反射防止シート
2a、2b…載置板側ヒンジ
3a、3b…上蓋側ヒンジ
5a、5b…軸
6…載置板側留め具
7…上蓋側留め具
8…媒体載置用の窪み
9…媒体取り出し用の穴
10…媒体読取装置
11…アーム
12…ベース筐体
13…媒体載置台
14…画像読取部
15…制御部
16…入出力部
20…照明器具
21…照明を反射した状態の免許証画像
22…照明の反射をした状態の免許証画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11