特許第6035698号(P6035698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035698
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】打撃工具
(51)【国際特許分類】
   B25D 11/06 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
   B25D11/06
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-519747(P2015-519747)
(86)(22)【出願日】2014年4月25日
(86)【国際出願番号】JP2014061700
(87)【国際公開番号】WO2014192477
(87)【国際公開日】20141204
【審査請求日】2015年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-114823(P2013-114823)
(32)【優先日】2013年5月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】高野 信宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慎一郎
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−173053(JP,A)
【文献】 特開昭59−076785(JP,A)
【文献】 特開2012−161916(JP,A)
【文献】 特開2011−189412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25D 11/00 − 11/06
B25D 16/00
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
該ハウジング内に配置されたモータと、
該モータによる回転駆動を往復動に変換する運動変換機構と、
該運動変換機構の該往復動を打撃力として出力する出力部と、
該モータの負荷を検出する負荷検出部と、
該モータに駆動電力を供給する電力供給部と、
該負荷検出部が検出した負荷が所定値を超えた場合、該モータに供給する該駆動電力を所定時間上げるとともに、該所定時間内において該負荷検出部が検出した負荷が該所定値を超えた場合であっても、該所定時間経過後に該駆動電力を下げるように該電力供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
該所定時間とは、少なくとも1回の打撃の期間であることを特徴とする請求項1に記載の打撃工具。
【請求項3】
該制御部は、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げた後、該駆動電力を元に戻すことを特徴とする請求項1または2に記載の打撃工具。
【請求項4】
該電力供給部は、インバータ回路基板を備えており、該制御部は該インバータ回路基板に出力するPWMのデューティ比を上げることにより、該駆動電力を上げることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項5】
該負荷検出部は、該モータに流れる電流を検出する電流検出部を備え、
該制御部は、該電流検出部が検出した該電流が電流閾値を超えた場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項6】
該負荷検出部は、該モータの回転数を検出する回転数検出部を備え、
該制御部は、該回転数検出部が検出した該回転数が回転数閾値を下回った場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項7】
該負荷検出部は、音圧を検出する音圧検出部を備え、
該制御部は、該音圧検出部が検出した該音圧が音圧閾値を上回った場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項8】
該制御部は、該負荷検出部が検出した該負荷が該所定値を超えている間は、該モータに供給する該駆動電力を上げるように該電力供給部を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項9】
該制御部は、該負荷検出部が検出した該負荷が該所定値を超えた後、該所定値よりも大きい閾値を超えた場合は、該モータに供給する該駆動電力をさらに上げるように該電力供給部を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の打撃工具。
【請求項10】
該制御部は、該モータを起動した直後は該モータを低速制御し、該負荷検出手段の検出した該負荷に応じて該モータを高速制御することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の打撃工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の打撃工具は、モータと、モータの回転運動を往復動に変換する運動変換機構と、運動変換機構により往復動するピストンと、ピストンの往復動に連動して往復動する打撃子と、打撃子により打撃される中間子と、打撃力を出力する出力部と、を備えている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−139752号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
打撃工具では、打撃力の向上と工具の小型化の要請がある。従来の打撃工具でこの両方を実現しようとした場合、工具の小型化によって運動変換機構等の部品が小型化するとともに打撃力の向上によって当該部品に過大な力が加わるため、寿命が短くなるという問題があった。さらに、従来の打撃工具においては、打撃力向上に伴い、振動及び騒音もより顕著になっていた。
【0005】
そこで、本発明は、打撃工具の部品の耐久性を向上させ、振動及び騒音を低減可能な打撃工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ハウジングと、該ハウジング内に配置されたモータと、該モータによる回転駆動を往復動に変換する運動変換機構と、該運動変換機構の該往復動を打撃力として出力する出力部と、該モータの負荷を検出する負荷検出部と、該モータに駆動電力を供給する電力供給部と、該負荷検出部が検出した負荷が所定値を超えた場合、該モータに供給する該駆動電力を所定時間上げるとともに、該所定時間内において該負荷検出部が検出した負荷が該所定値を超えた場合であっても、該所定時間経過後に該駆動電力を下げるように該電力供給部を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする打撃工具を提供している。
【0007】
このような構成によると、常に高い駆動電力を供給する必要がなく、負荷が大きい場合に高い駆動電力を供給するため、強い打撃の回数が減少する。これにより、運動変換機構及び出力部の部品の耐久性を高めることができる。さらに、負荷が低い状態では、打撃力が小さいため、振動や騒音を低減することができる。特に、無負荷状態の運転では振動低減及び騒音低減の効果が顕著である。
【0008】
また、該所定時間とは、少なくとも1回の打撃の期間であることが好ましい。
【0009】
また、制御部は、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げた後、該駆動電力を元に戻すことが好ましい。
【0010】
このような構成によると、必要な時にのみ強い打撃力を得ることができる。これにより、強い打撃の回数が減少し、運動変換機構及び出力部の部品の耐久性を高めることができる。
【0011】
また、該電力供給部は、インバータ回路基板を備えており、該制御部は該インバータ回路基板に出力するPWMのデューティ比を上げることにより、該駆動電力を上げることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、制御部がインバータ回路基板に出力するPWMデューティ比を上げることにより駆動電力を上げることができる。
【0013】
また、該負荷検出部は、該モータに流れる電流を検出する電流検出部を備え、該制御部は、該電流検出部が検出した該電流が電流閾値を超えた場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することが好ましい。
【0014】
このような構成によると、モータに流れる電流に基づいて、負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0015】
また、該負荷検出部は、該モータの回転数を検出する回転数検出部を備え、該制御部は、該回転数検出部が検出した該回転数が回転数閾値を下回った場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することが好ましい。
【0016】
このような構成によると、モータの回転数に基づいて、負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0017】
また、該負荷検出部は、音圧を検出する音圧検出部を備え、該制御部は、該音圧検出部が検出した該音圧が音圧閾値を上回った場合、該モータに供給する該駆動電力を該所定時間上げるように該電力供給部を制御することが好ましい。
【0018】
このような構成によると、打撃時の音圧に基づいて、負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0019】
また、該制御部は、該負荷検出部が検出した該負荷が該所定値を超えている間は、該モータに供給する該駆動電力を上げるように該電力供給部を制御することが好ましい。
【0020】
このような構成によると、負荷が高い状態の間は通常時よりも高い駆動電力が供給されているため、強い打撃力を得ることができる。これにより、高い打撃力を必要とする石等を確実に破砕することができる。
【0021】
また、該制御部は、該負荷検出部が検出した該負荷が該所定値を超えた後、該所定値よりも大きい閾値を超えた場合は、該モータに供給する該駆動電力をさらに上げるように該電力供給部を制御することが好ましい。
【0022】
このような構成によると、負荷の大きさに応じて段階的に駆動電力を変更することができる。これにより、負荷の大きさに応じて適切な打撃力を得ることができ、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減、省エネといった効果を得ることができる。
【0023】
また、該制御部は、該モータを起動した直後は該モータを低速制御し、該負荷検出手段の検出した該負荷に応じて該モータを高速制御することが好ましい。
【0024】
このような構成によると、モータが起動した直後はモータが低速制御されるため、破砕する箇所の位置決めを容易に行うことができる。これにより、打撃工具の操作性が改善され作業効率が向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、打撃工具の部品の耐久性を向上させ、振動及び騒音を低減可能な打撃工具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施の形態のハンマの断面図。
図2】本発明の第1の実施の形態のハンマの制御ブロック図。
図3】本発明の第1の実施の形態のハンマで被削材を破砕する際の概略図。
図4】本発明の第1の実施の形態のハンマのフローチャート。
図5】本発明の第1及び第2の実施の形態のハンマの各種パラメータを示すグラフ。
図6】本発明の第2の実施の形態のハンマのフローチャート。
図7】本発明の第3の実施の形態のハンマドリルで被削材を穿孔する際の概略図。
図8】本発明の第3の実施の形態のハンマドリルの各種パラメータを示すグラフ。
図9】本発明の第3の実施の形態のハンマドリルのフローチャート。
図10】本発明の第4の実施の形態のハンマの断面図。
図11】本発明の第4の実施の形態のハンマの制御ブロック図。
図12】本発明の第4の実施の形態のハンマのフローチャート。
図13】本発明の変形例のハンマドリルの各種パラメータを示すグラフ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の実施の形態による打撃工具について、図1に基づき説明する。図1は代表的な打撃工具であるハンマ1の断面図であり、ハンドル部10とモータハウジング20と外枠部材30とによりハウジング2が構成される。外枠部材30の反ハンドル部10側には、図3に示す先端工具3を着脱可能に保持する工具保持部15が配置されている。以下の説明において、工具保持部15が設けられた側を前側とし、ハンドル部10側を後側とし、モータハウジング20の延出方向を下側とし、逆を上側として以下説明する。更に、図1において後側から見た時のハンマ1の右側を右側と定義し、逆側を左側と定義する。
【0028】
ハンドル部10には、電源ケーブル11が取付けられると共に、スイッチ機構12が内蔵されている。スイッチ機構12には、使用者により操作可能なトリガ13が機械的に接続されている。電源ケーブル11は、スイッチ機構を図示せぬ外部電源に接続し、トリガ13を操作することにより、後述のブラシレスモータ21と外部電源との接続と断続とを切換えることができるようになっている。また、ハンドル部10は、使用者がハンマ1を使用するときに握る握り部14と、モータハウジング20及び外枠部材30に対して後側からそれらを覆うように接続される接続部16とを有している。電源ケーブル11は、本発明の電力供給部に相当する。
【0029】
モータハウジング20は、ハンドル部10の前方下側に設けられている。ハンドル部10とモータハウジング20は別体構造であるが、プラスチックで一体成型として作ることも可能である。
【0030】
ブラシレスモータ21は、モータハウジング20内に収納されている。ブラシレスモータ21は、ロータ21Aと、ステータ21Bと、回転駆動力を出力する出力軸22を備えている。ロータ21Aの下端部には、センシング用のマグネット21Cが設けられている。出力軸22の先端には、ピニオンギヤ23が設けられており、外枠部材30内に位置している。ピニオンギヤ23の下方には、出力軸22に同軸固定されたファン22Aが設けられている。また、モータハウジング20内であって、ブラシレスモータ21の下側には、ブラシレスモータ21の回転速度を制御するための制御部24が配置されている。
【0031】
制御部24は、回転位置検出素子25Aを備えたインバータ回路基板25と、制御基板26と、を備えている。詳細な制御部24の構成は後述する。
【0032】
外枠部材30内には、ピニオンギヤ23の後端側において、出力軸22と平行に延びるクランク軸33が回転可能に支承されている。クランク軸33の下端には、ピニオンギヤ23と噛合する第1ギヤ34が同軸固定されている。クランク軸33の上端部には、運動変換機構35が設けられている。運動変換機構35は、クランクウェイト36、クランクピン37、及びコンロッド38を有している。クランクウェイト36は、クランク軸33の上端に固定されている。クランクピン37は、クランクウェイト36の端部に固定されている。コンロッド38の後端には、クランクピン37が挿入されている。クランク軸33、クランクウェイト36及びクランクピン37は、一体の部品から機械加工によって構成されている。だたし、一部の部品(例えばクランクピン37)を別に加工した後に組み合わせて構成するようにしても良い。
【0033】
外枠部材30内には、出力軸22と直交する方向(前後方向)に延びるシリンダ40が設けられている。シリンダ40には、円周方向に亘って複数の呼吸孔40aが形成されている。シリンダ40の中心軸と、出力軸22の回転軸は、同一平面上に位置している。また、シリンダ40の後端部は、上下方向においてブラシレスモータ21と対向している。また、シリンダ40内には、その内周に前後方向に摺動可能なピストン41が設けられている。ピストン41は、ピストンピン41Aを有し、コンロッド38の先端には、ピストンピン41Aが挿入されている。シリンダ40内の先端側には打撃子42が、シリンダ40の内周に摺動(往復動)可能に設けられている。シリンダ40内であってピストン41と打撃子42との間には空気室43が画成されている。
【0034】
また、外枠部材30の前部には、先端工具3(図3)が着脱自在に取付けられる工具保持部15が設けられている。また、打撃子42の先端側には、中間子44が前後方向に移動可能に設けられている。工具保持部15は、本発明の出力部に相当する。
【0035】
外枠部材30及びモータハウジング20と接続部16との間であって、ハンドル部10に対向する部分には、カウンタウェイト機構(振動低減機構)60が配置されている。カウンタウェイト機構60は、板バネ61と、カウンタウェイト62と、を備えている。板バネ61に支持されたカウンタウェイト62が振動することにより、打撃子42の往復動に起因して発生する振動を吸収している。
【0036】
次に、ブラシレスモータ21の駆動制御系の構成を図2に基づき説明する。本実施の形態では、ブラシレスモータ21は、3相のブラシレスDCモータであり、ロータ21Aは複数組(本実施の形態では2組)のN極とS極を含む永久磁石21Dを有し、ステータ21Bはスター結線された3相の固定子巻線U、V、Wである。
【0037】
図2に示すように、インバータ回路基板25は、3相ブリッジ形式に接続されたFET等の6個のスイッチング素子Q1〜Q6及び回転位置検出素子25Aが設けられている。回転位置検出素子25Aは、ロータ21Aのマグネット21Cに対向する位置に複数設けられており、ロータ21Aの周方向に所定の間隔毎(例えば角度60°毎)に配置されている。
【0038】
制御基板26は、インバータ回路基板25に電気的に接続されている。また、制御基板26は、電流検出回路71と、スイッチ操作検出回路72と、電圧検出回路73と、回転位置検出回路74と、回転数検出回路75と、演算部76と、制御信号出力回路77と、を備えている。
【0039】
電源ケーブル11を介して供給される交流電源17は、ブリッジ回路78及び平滑コンデンサ79により全波整流及び平滑化されて、インバータ回路基板25へ供給される。
【0040】
インバータ回路基板25の各スイッチング素子Q1〜Q6のゲートは、制御基板26の制御信号出力回路77に接続され、各スイッチング素子Q1〜Q6のドレイン又はソースは、ステータ21Bの固定子巻線U、V、Wに接続されている。6個のスイッチング素子Q1〜Q6は、制御信号出力回路77から入力されるスイッチング素子駆動信号によってスイッチング動作を行い、インバータ回路基板25に印加される直流電圧を3相(U相、V相及びW相)電圧Vu、Vv、Vwとして固定子巻線U、V、Wに駆動電力を供給する。詳細には、制御信号出力回路77から正電源側スイッチング素子Q1、Q2、Q3に入力される出力切替信号H1、H2、H3により、通電される固定子巻線U、V、W、すなわち、ロータ21Aの回転方向が制御される。また、制御信号出力回路77から負電源側スイッチング素子Q4、Q5、Q6に入力されるパルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6により、固定子巻線U、V、Wへの電力供給量、すなわち、ロータ21Aの回転速度が制御される。
【0041】
電流検出回路71は、ブラシレスモータ21に供給される電流を検出し、演算部76に出力する。電圧検出回路73は、インバータ回路基板25の電圧を検出し、演算部76に出力する。スイッチ操作検出回路72は、トリガ13の操作の有無を検出して演算部76に出力する。電流検出回路71は、本発明の負荷検出部及び電流検出部に相当する。
【0042】
回転位置検出回路74は、回転位置検出素子25Aからの信号に基づきロータ21Aの回転位置を検出し、演算部76及び回転数検出回路75に出力する。回転数検出回路75は、回転位置検出素子25Aからの信号に基づきロータ21Aの回転数を検出し、演算部76へ出力する。回転位置検出回路74及び回転数検出回路75は、本発明の負荷検出部及び回転数検出部に相当する。ただし、回転位置検出回路74及び回転数検出回路75は一体の回路として構成することも可能である。また、回転位置検出回路74及び回転数検出回路75の一部又は全部の機能を演算部76に内蔵させても良い。また、回転位置検出素子25Aから回転数検出回路75へ信号を出力し、回転数検出回路75はこれに基づいて回転数を検出するようにしても良い。
【0043】
演算部76は、処理プログラムとデータに基づいて駆動信号を出力するための図示せぬ中央処理装置(CPU)と、処理プログラムや制御データを記憶するための記憶部76Aと、時間をカウントするタイマ76Bと、を備えている。具体的には、記憶部76Aには、図5に示すような電流閾値I1等の各種閾値が保存されている。演算部76は、回転位置検出回路74及び回転数検出回路75からの信号に基づき、出力切替信号H1、H2、H3を生成し、制御信号出力回路77に出力するとともに、パルス幅変調信号(PWM信号)H4、H5、H6を生成し、制御信号出力回路77に出力する。なお、PWM信号を正電源側スイッチング素子Q1〜Q3に出力し、出力切替信号を負電源側スイッチング素子Q4〜Q6に出力してもよい。
【0044】
次に、第1の実施の形態によるハンマ1の動作について説明する。ハンドル部10を手で把持した状態で、図3Aに示すように、先端工具3を被削材4に押し当てる。これにより、打撃子42、中間子44が後方に後退し、打撃子42により呼吸孔40aが塞がれ、空気室43は密閉空間となる。次に、トリガ13を引き、ブラシレスモータ21に駆動電力を供給し回転駆動させる。この回転駆動力は、ピニオンギヤ23及び第1ギヤ34を介してクランク軸33に伝達される。クランク軸33の回転は、運動変換機構35(クランクウェイト36、クランクピン37、及びコンロッド38)によって、シリンダ40内におけるピストン41の往復運動に変換される。
【0045】
ピストン41の往復運動により、空気室43中の空気に圧力変動が生じて、空気室43内の空気ばねの作用により、打撃子42がピストン41の往復動に追従して往復動を開始する。打撃子42が往復動することによって、打撃子42が中間子44に衝突し、先端工具3に打撃力が伝達される。これにより、被削材4が破砕される。より詳細には、図3Bから図3Dに示すように、先端工具3の打撃によって被削材4にひび割れ5が発生する。この図3Bから図3Dまでの期間は、被削材4にひび割れ5を発生させる必要があるため、強い打撃力を必要とする。次に、図3Eから図3Hに示すように、先端工具3の先端部がひび割れ5の内部に侵入してひび割れ5を大きくし、被削材4を破砕する。この図3Eから図3Hまでの期間は、被削材4に発生したひび割れ5を拡大させるため、上述の図3Bから図3Dまでの区間と比較して強い打撃力を必要としない。
【0046】
電流検出回路71により検出されるブラシレスモータ21に流れる電流は、図5Bに示すように脈動する。詳細には、ピストン41と打撃子42とが最も近接した時に、電流のピークとなり、図5Dに示す回転数は低下する(時刻t2)。ピストン41と打撃子42とが最も離間した時、電流は低下し回転数は上昇する(時刻t3)。その後、打撃子42に打撃された中間子44が先端工具3を打撃して、図5Aに示すように先端工具3に打撃力が伝達される(時刻t4)。
【0047】
ハンマ1の動作時には、打撃子42の往復動に起因するほぼ一定周期の振動がハンマ1に発生し、外枠部材30及びモータハウジング20を介して、板バネ61及びカウンタウェイト62に伝達される。板バネ61及びカウンタウェイト62は、この振動によってピストン41の往復動方向と同じ方向に振動する。この振動により、打撃によるハンマ1の振動を低減することができ、ハンマ1の操作性を向上させることができる。
【0048】
次に、ハンマ1の制御について、図4のフローチャート及び図5のグラフに基づいて説明する。S1にて、トリガ13が引かれると(S1:YES)、スイッチ操作検出回路72がトリガ13操作を検出し、演算部76に信号を出力する。これに基づいて、演算部76は、ソフトスタート制御を開始する(S2)。ソフトスタート制御とは、図5Cに示すように、ブラシレスモータ21起動時にPWM駆動信号のデューティ比を徐々に増加させていく制御である。そのため、図5Dに示す回転数の上昇も緩やかになり、図5Aに示す打撃力も徐々に上昇する。また、図5Bに示す起動電流も、ソフトスタート制御によって小さく抑えることができる。このようなソフトスタート制御を行うことにより、先端工具3の被削材4に対する位置ずれや、欠け、割れ等の破損又は亀裂を防止し、かつ破砕作業の作業効率を上昇させることができる。ソフトスタート制御の期間、つまり、トリガ13を引いてから時刻t1までの期間を不感期間と定義する。不感期間は、本発明の低速制御に相当し、不感期間以外の期間が、本発明の高速制御に相当する。
【0049】
図5Cに示すPWM駆動信号のデューティ比は、時刻t1のときに定常デューティ比に到達する。本実施の形態では、定常デューティ比は80%である。演算部76のタイマ76Bは、トリガ13を引いてから時間のカウントを開始する。演算部76は、タイマ76Bからの信号に基づいて、不感期間が経過したか否かを判断する(S3)。不感期間が経過していない場合は(S3:NO)、経過するまで待つ。不感期間が経過した場合は(S3:YES)、定常デューティ比(80%)でブラシレスモータ21を駆動する(S4)。演算部76は、電流検出回路71からの信号に基づいて、ブラシレスモータ21に流れる電流を監視する(S5)。具体的には、ブラシレスモータ21を流れる電流が記憶部76Aに記憶された電流閾値I1を超えたか否かを判断している(S6)。ブラシレスモータ21を流れる電流が電流閾値I1を超えていない場合(S6:NO)、S4まで戻る。ブラシレスモータ21を流れる電流が電流閾値I1を超えた場合(S6:YES)、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断する。そして、制御信号出力回路77は、演算部76からの信号に基づいて、PWM駆動信号のデューティ比を上昇させる。本実施の形態では、PWM駆動信号のデューティ比を99%まで上昇させる(S7)。詳細には、演算部76が時刻t5において電流の電流閾値I1超えを検出してから時刻t6でPWM駆動信号のデューティ比を上昇させる。時刻t5から時刻t6までタイムラグがあるのは、電流の電流閾値I1超えを検出した打撃D1の次の打撃D2の打撃力を上昇させるためである。演算部76は、時刻t6から時刻t7までの期間(以下、所定時間という)、デューティ比を上昇させる。本実施の形態では、約1回の打撃に相当する約1/30秒だけデューティ比を上昇させる。換言すると、約1/30秒だけブラシレスモータ21に供給する駆動電力を上昇させている。これにより、図5Aに示すように、電流の電流閾値I1超えを検出した打撃D1の次の打撃D2の打撃力が上昇している。
【0050】
演算部76は、タイマ76Bからの信号に基づいて、所定時間が経過したか否かを判断する(S8)。所定時間が経過していない場合には(S8:NO)、デューティ比は99%のままである。所定時間が経過した場合には(S8:YES)、再び定常デューティ比に戻る(S4)。トリガ13がオフされるまで、S4からS8を繰り返し実行する。なお、図4において図示していないが、トリガ13がオフされると、ブラシレスモータ21への駆動電力の供給を停止する。このように、演算部76は、駆動電力を所定時間上げた後、駆動電力を元に戻す制御を行う。
【0051】
図5Bに示すように、時刻t8にて再び電流が電流閾値I1を超えている場合は(S6:YES)、時刻t9にてデューティ比を上昇させ(S7)、打撃D3において打撃力を上昇させる。その後、時刻t10において定常デューティ比となり(S8:YES)、打撃D4は通常の打撃力に戻る。しかし、時刻t11においても依然として電流が電流閾値I1を超えているため(S6:YES)、時刻t12において再びデューティ比を上昇させ(S7)、打撃D5において高い打撃力を得ている。つまり、第1の実施の形態では、電流が電流閾値I1を超えた次の打撃1回のみブラシレスモータ21に供給する駆動電力を上昇させている。
【0052】
このような構成によると、1回の打撃のみ駆動電力を上昇させているため、その後の時刻t11において次の打撃のデューティ比を上げる必要があるか否かを判断することができる。これにより、ブラシレスモータ21の負荷が高い状態のときのみ、駆動電力を上昇させることができる。
【0053】
このような構成によると、図3Aから図3Dに示す被削材4を割る際の強い打撃力が必要な場合は、ブラシレスモータ21の負荷に応じて自動的に先端工具3の打撃力を上昇させることができる(S6)。さらに、図3Eから図3Hに示すような被削材4にひび割れ5が発生した後であって強い打撃力が必要ない場合は、自動的に先端工具3の打撃力を元に戻すことができる(S8:YES)。
【0054】
このような構成によると、ハンマ1に常に高い駆動電力を供給する必要がなく、負荷が大きい場合に高い駆動電力を供給するため、強い打撃の回数が減少する。これにより、運動変換機構35及び工具保持部15の部品の耐久性を高めることができる。さらに、負荷が低い状態では、打撃力が小さいため、振動や騒音を低減することができる。特に、無負荷状態の運転では振動低減及び騒音低減の効果が顕著である。
【0055】
このような構成によると、制御部24がインバータ回路基板25に出力するPWM駆動電力のデューティ比を上げることにより駆動電力を上げることができる。
【0056】
このような構成によると、ブラシレスモータ21に流れる電流に基づいて、負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0057】
このような構成によると、ブラシレスモータ21が起動した直後はソフトスタート制御されるため、破砕する箇所の位置決めを容易に行うことができる。これにより、ハンマ1の操作性が改善され作業効率が向上する。
【0058】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図5及び図6に基づいて説明する。第1の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。第1の実施の形態では、ブラシレスモータ21の電流が電流閾値I1を超えた場合に、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断していたが、第2の実施の形態では、ブラシレスモータ21の回転数が回転数閾値R1以下となった場合に、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断する。
【0059】
演算部76の記憶部76Aには、回転数閾値R1が予め記憶されている。演算部76は、回転数検出回路75からの信号に基づいて、ブラシレスモータ21の回転数を監視している(S15)。図5Dの時刻t5において、ブラシレスモータ21の回転数が回転数閾値R1を下回った場合(S16:YES)、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断し、所定時間デューティ比を99%まで上昇させる(S7)。時刻t8及び時刻t11においても同様に、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断して、再び所定時間デューティ比を99%まで上昇させる(S7)。
【0060】
このような構成によると、ブラシレスモータ21の回転数に基づいて、負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0061】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図7から図9に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。第3の実施の形態では、打撃工具の一例としてハンマドリル201を用いる。ハンマドリル201では、先端工具31(図7)に打撃力に加えて回転力も付与される。
【0062】
図7に示すように、先端工具31は、打撃力及び回転力によってコンクリート45及びコンクリート45よりも硬い石46から成る被削材47に穿孔する。被削材47に穿孔する際、図7Bに示すように、先端工具31の先端が石46に当接すると、図7Cに示すように、石46を破砕するまでは強い打撃力及び回転力が必要となる。第3の実施の形態では、ブラシレスモータ21の負荷が高い間、ブラシレスモータ21に供給する駆動電力を上昇させているため、効率的に穿孔作業を行うことができる。
【0063】
演算部76の記憶部76Aには、電流閾値I2が記憶されている。図8に示すように、時刻t13から時刻t16までの期間は、先端工具31が石46に当接している。時刻t13で先端工具31が石46に当接すると、ブラシレスモータ21の負荷が上昇することにより、その後の電流のピーク値は電流閾値I2を超える(S26:YES)。時刻t14で電流が電流閾値I2を超えると、ブラシレスモータ21の負荷が所定値を超えたと判断して、デューティ比を99%まで上昇させる(S7)。
【0064】
タイマ76Bにより、時刻t14から時刻t15までの期間(所定時間)を計測する。所定時間は、電流の周期と略同一である。時刻t15において、再び電流が電流閾値I2以上であるか否かを判断し(S26)、電流閾値I2以上である場合には(S26:YES)、デューティ比が99%のまま維持される(S7)。さらに、図7Cに示すように、石46を破砕するまではデューティ比が99%の状態が続く。時刻t16において、石46が破砕されると、その後の電流のピーク値は電流閾値I2以下となる。つまり、時刻t16から所定時間経過したt17において(S28:YES)、電流は電流閾値I2以下と判断されるため(S26:NO)、デューティ比は定常デューティ比に戻る(S4)。つまり、第3の実施の形態においては、時刻t14から時刻t16までの期間が、本発明の所定時間に相当する。このように、演算部76は、負荷検出部が検出した負荷が所定値を超えている間は、ブラシレスモータ21に供給する駆動電力を上げるように制御する。
【0065】
このような構成によると、負荷が高い状態の間は通常時よりも高い駆動電力が供給されているため、強い打撃力を得ることができる。これにより、高い打撃力を必要とする石等を確実に破砕することができる。
【0066】
次に、第4の実施の形態について、図10から図12に基づいて説明する。上述の実施の形態と同一の構成は、同一の符号を付し説明を省略する。
【0067】
ドリル201は、制御基板26に周囲の音圧を検出する音圧計178が設けられている(図10)。制御基板26は、音圧計178と接続された音圧検出回路179を備えている。音圧検出回路179は、音圧計178からの出力に基づいて、演算部76に検出された音圧を信号として出力している。音圧検出回路179は、本発明の負荷検出部及び音圧検出部に相当する。
【0068】
図3Aから図3Dに示すように、高い打撃力が必要となる場合(ブラシレスモータ21の負荷が大きくなる場合)には、先端工具3が被削材4を打撃する音量が大きくなる。また、図3Eから図3Hに示すように、高い打撃力が必要ない場合(ブラシレスモータ21の負荷が小さい場合)には、先端工具3が被削材4を打撃する音量が小さくなる。第4の実施の形態では、ブラシレスモータ21の負荷を、音圧計178から検出された音圧に基づいて判断している。
【0069】
演算部76は、トリガ13操作後(S1:YES)に定常デューティ比でブラシレスモータ21を駆動し、音圧監視を開始する(S35)。演算部76は、音圧検出回路179からの信号が記憶部76Aに保存されている音圧閾値よりも高いか否かを判断する(S36)。検出された音圧が音圧閾値よりも高い場合には(S36:YES)、デューティ比を99%まで上昇させる。
【0070】
このような構成によると、打撃又は穿孔作業時に発生する音(音圧)に基づいて、ブラシレスモータ21の負荷を検出することができる。これにより、負荷に応じて駆動電力を調整することが可能となり、使用部品の長寿命化や振動、騒音の低減といった効果を得ることができる。
【0071】
本発明による打撃工具は、上述した実施の形態に限定されず、たとえば特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲内で種々の変更が可能である。
【0072】
上述した実施の形態では、定常デューティ比を80%とし、ブラシレスモータ21の負荷に応じてデューティ比を99%に上昇させたが、これに限定されない。例えば、定常デューティを90%としてもよく、上昇した際のデューティ比を100%としてもよい。
【0073】
上述した実施の形態では、電流、回転数、音圧のいずれかが所定の閾値を超えると、ブラシレスモータ21の負荷が上昇したと判断していたが、これに限定されない。例えば、電流、回転数、音圧の少なくとも1つが閾値を超えるとブラシレスモータ21の負荷が上昇したと判断してもよい。これにより、複数のパラメータに基づいてブラシレスモータ21の負荷を判断することができるため、判断精度を上げることができる。
【0074】
上述の第1の実施の形態では、電流が電流閾値I1を超えると、本発明の所定時間の一例として次の打撃1回の期間(約1/30秒)デューティ比を上昇させたが、これに限定されない。例えば、次の打撃2回の期間(約1/15秒)デューティ比を上昇させてもよく、これ以上長い期間であってもよい。また、時刻t3のような電流の下限を検出することにより、上昇させたデューティ比を元に戻してもよい。
【0075】
上述の実施の形態では、1つの閾値(例えば、I1、I2)を超えた場合に、デューティ比を80%から99%まで上昇させたが、これに限定されない。例えば、2つの閾値に基づいて、デューティ比を段階的に上昇させてもよい。具体的には、記憶部76Aには、電流閾値I2に加えて、電流閾値I2よりも大きい電流閾値I3が記憶されている。図13Bに示すように、電流検出回路71が検出する電流が電流閾値I2を超えた場合であって電流閾値I3よりも小さい場合には(時刻t14)、図13Cに示すようにデューティ比を90%まで上昇させる。時刻t18において、電流が電流閾値I3を超えると、デューティ比を99%まで上昇させる。時刻t20においては、電流が電流閾値I2を下回ったため、デューティ比は80%に戻っている。これにより、ブラシレスモータ21の負荷の変動に応じて適切な打撃力で被削材を打撃することができる。同様に、回転数についても2つの閾値に基づいてデューティ比を段階的に上昇させても良い。具体的には、記憶部76Aには、回転数閾値R2に加えて回転数閾値R2よりも小さい回転数閾値R3が記憶されている。図13Dに示すように、回転数検出回路75が検出する回転数が回転数閾値R2を下回って回転数閾値R3よりも大きい場合には(時刻t14)、図13Cに示すようにデューティ比を90%まで上昇させる。時刻t18において、回転数が回転数閾値R3を下回ると、デューティ比を99%まで上昇させる。また、閾値を3つ以上設けてもよい。また、電流及び回転数の両方を常時監視し、電流が電流閾値を超え且つ回転数が回転数閾値を下回った場合にデューティ比を上昇させるようにしてもよい。なお、音圧についても同様に2つ以上の閾値を設けてもよく、音圧、電流、回転数の少なくともいずれか1つに基づいてブラシレスモータ21の負荷を判断してもよい。
【0076】
上述の実施の形態では、打撃工具の一例として、ハンマ又はハンマドリルを用いたが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0077】
1、101:ハンマ、 2:ハウジング、 3:先端工具、 4:被削材、
11:電源ケーブル、15:工具保持部、21:ブラシレスモータ、
24:制御部、25:インバータ回路基板、I1、I2、I3:電流閾値、
R1,R2,R3:回転数閾値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13