(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035700
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】新構造・機能キャスター
(51)【国際特許分類】
B60B 33/00 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
B60B33/00 502D
B60B33/00 502Z
【請求項の数】1
【全頁数】4
(21)【出願番号】特願2010-36616(P2010-36616)
(22)【出願日】2010年2月1日
(65)【公開番号】特開2011-157060(P2011-157060A)
(43)【公開日】2011年8月18日
【審査請求日】2011年12月19日
【審判番号】不服2014-18020(P2014-18020/J1)
【審判請求日】2014年8月22日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】510049012
【氏名又は名称】伊江 朝日郎
(72)【発明者】
【氏名】伊江 朝日郎
(72)【発明者】
【氏名】伊江 朝弼
【合議体】
【審判長】
島田 信一
【審判官】
和田 雄二
【審判官】
平田 信勝
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−59114(JP,A)
【文献】
実開昭53−141662(JP,U)
【文献】
特開2002−36807(JP,A)
【文献】
実公昭36−19001(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の下部に装着し走行・旋回を自在にするキャスターであって、前記台車に固定されるキャスターの台座と、この台座の下面に装着された主軸と、この主軸の下部に装着された車輪とを備え、前記台座の下面に、この台座の下面と並行な軸線上の左右に間隔を置いて一対のベアリングが装着され、前記主軸の上部が、前記一対の左右ベアリングの中央に位置させられると共に各ベアリングに嵌合される事により、前記軸線を回動軸線として回動可能に支持され、前記車輪が、その回転軸線と並行な軸線が前記主軸の回動軸線と直交するように、前記主軸に装着されている事を特徴とするキヤスター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は在来キャスター装備の台車が180度、反転走行時に発生する旋回走行の不具合を改善するものである。
【背景技術】
【0002】
在来キャスターの軽量用では黙認されているが、中・重量用の運送機器では容認できない欠陥がある。下記はその欠陥による不具合発生の事例である。
(イ)空港で、以前使用されていたキャスター装備の中量用以上のトレーラーは牽引車による後退時に車輪の旋廻がスムースに出来ず、車輪を引き摺り破損するので中量用トレーラーは廃止され、現在は牽引車で後退走行が不可能なトーバー一体型のターンテーブル方式が使用されている。従って、トレーラーを後退する場合は、牽引車から切り離して人力による非効率な後退作業をしている。
然し、重量用トレーラーは人力で後退操作が出来ないので、仕方無くキャスター装備方式のままで、牽引車で強引に前進・後退走行をしているが、空気タイヤはパンクするので使用できない。従ってノーパンクタイアを使用しているが磨耗が激しい。
(ロ)キャスター使用のコンテナー移送ステージはスムースな移動作業が出来ないので、現在は高価なオムニローラーが採用されている。しかし、構造複雑で衝撃に弱い。
【0003】
在来キャスターには下記のような問題点がある。
(イ)台車が前後進の反転走行時にキャスターの偏心分だけ荷台が左右に移動する事にのみ進行が可能となる構造上の欠陥がある。従って、反転走行時の荷台の左右の車輪がハの字、または逆ハの字形に相対した時、荷台は中立状態で左右移動ができないので、車輪と旋回軸は膠着状態になり走行は停止する。無理に牽引すると、車輪に不合理な側圧が掛り、引き摺るのでタイヤを破損することになる。
(ロ)台車のトーバーが牽引車に接続されている場合にも、荷台は自由に左右移動が出来ないので上記(イ)と同じ問題が発生する。
本発明は以上の問題点を解決するためのものである。
【0004】
台車が直進する時にはキャスターの車輪が代わりに左右移動してスムースな旋回走行をするフレキシブルな機構にする。
旋回主軸、又はホークを垂直に固定せず、車輪の進行方向の正面から見て左右に最大5度程度傾斜できる構造にする。
キャスターの旋回時、車輪の走行負荷(回転・旋廻)は進行方向に対して角度が1〜45度と変化するに伴って増大し膠着状態になり、車輪に掛かる側圧も増加する。そうなる直前の軽い側圧に反応して車輪・ホーク・主軸が傾くと車輪も連動するので膠着状態は発生しない。主軸の傾きはほんの一瞬1〜3度程度で復元する。この連続連動作用がブレーキ状態を解消し、スムースな旋回走行と台車の直進を可能にする。
【0005】
作業効率の向上と省エネ。
(イ)牽引車で(車輪の破損を起さず)容易に後退走行ができるので、現在使用されているトーバー一体型ターンテーブル方式を廃止して、代替すれば人力に依る後退作業が省けて作業効率が向上する。
(ロ)安価で堅牢な新機構キャスターを用いれば、一人でステージ上の重量コンテナーを容易に回転操作や移送ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(イ)市販ベアリングを加工や付属品を付加せずに機能する構造・組み立てをする。
(ロ)既存キヤスターを修正して製作コストを抑える。
(ハ)構造の簡略化・軽量化・耐性強化・低価格化に留意する。
(
図1)5度以内傾斜可能な主軸に偏心角を適度に付加して車輪を装着する。
(
図1)(
図3)基盤ハウジングとベアリングの接触間隙を最小限に保ち、ガタの無い機構にする。
(
図1)(
図2)(
図3)基盤ハウジング内にあるベアリングと主軸及びホークは車輪にかかる側圧により5度以内の傾斜が可能で、即、復元可能な機構である事。
【符号の説明】
【0008】
1 台座(上下)
2 主軸
3 ベアリング
4 車輪
5 ホーク
6 ピン