(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記パージ手段は、前記1のパージ期間の最後に、前記第2パージの後に前記第1パージを行うというシーケンスを1又は複数回行うことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
先ず、
図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0014】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間には、給紙ユニット1cから排紙部31に向けて、
図1に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される搬送経路が形成されている。
【0015】
筐体1aの下部空間であって、給紙ユニット1cの下方には、カートリッジ2a,2bが設けられている。カートリッジ2aは前処理液を収容し、カートリッジ2bはブラックインクを収容する。前処理液は顔料を含まないのに対し、ブラックインクは顔料を含む。前処理液は、インク中の顔料色素を凝集させることにより、インクの滲みや裏抜けを防止する機能、インクの発色性や速乾性を向上させる機能等を有する液体である。前処理液は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有してよい。カートリッジ2a,2bは、チューブ等を介して、前処理液吐出ヘッド10a及びインクジェットヘッド10bのそれぞれと連通している。カートリッジ2a,2b内の液体は、コントローラ1pによる制御の下、適時、ポンプ10Pa,10Pb(
図6参照)の駆動により、ヘッド10a,10bのそれぞれに供給される。
【0016】
筐体1aの内部空間には、ヘッド10a,10b、コントローラ1p、搬送ユニット20、各ヘッド10a,10bの下方に設けられた支持機構5及び対向部材42、給紙ユニット1c等が収容されている。
【0017】
ヘッド10a,10bは、互いに同じ構造であり、主走査方向(
図1の紙面に垂直な方向)に長尺な略直方体形状を有するラインヘッドである。記録(画像形成)に際して、ヘッド10a,10bの下面(吐出面10x)からそれぞれ前処理液及びブラックインク(以下、これらを「液体」と総称する場合がある。)が吐出される。ヘッド10a,10bは、副走査方向(主走査方向及び鉛直方向と直交する方向)に所定ピッチで並び、ホルダ3を介して筐体1aに支持されている。ホルダ3はさらに、ヘッド10a,10b毎に設けられた環状部材41を支持している。環状部材41は、平面視で吐出面10xの外周を囲む環状に形成された部材である。
【0018】
対向部材42は、環状部材41よりも一回り大きい矩形状の板であり、ガラスや金属(例えばSUS)等の、水分を吸収しない又は吸収し難い材料から構成されている。環状部材41及び対向部材42が、キャップ40を構成する。キャップ40の詳細については後述する。
【0019】
支持機構5は、2つのプラテン6a,6bから構成されている。プラテン6a,6bは、軸7a,7bを中心としてそれぞれ回動可能である。プラテン6a,6bは、コントローラ1pによる制御の下、プラテン回動モータ5M(
図6参照)の駆動により回動し、支持面形成位置(
図1)と開放位置(
図5(b))とを取り得る。支持面形成位置では、プラテン6a,6bの先端同士が突き合わされ、これらプラテン6a,6bによって、吐出面10xと対向する位置において用紙Pを支持する支持面5aが形成されている。支持面5aは、全体として平面状である。開放位置では、プラテン6a,6bが下方に垂れ下がっている。プラテン6a,6bは、記録時は支持面形成位置、メンテナンス時は開放位置に配置される。
【0020】
本実施形態において、メンテナンスとは、キャッピング、パージ、ワイピング等をいう。メンテナンスの詳細については後述する。
【0021】
搬送ユニット20は、ローラ対22,23,24,25,26,27、ガイド29a,29b,29c,29d,29e、及び、中間ローラ21を有する。
【0022】
ローラ対22〜27は、給紙ユニット1cから排紙部31に向かう搬送経路を形成するよう、搬送方向上流側からこの順で配置されている。ローラ対23〜25の下側ローラ23b,24b,25b、及び、各ローラ対26,27の一方のローラは、搬送モータ20M(
図6参照)に接続されており、コントローラ1pによる制御の下、搬送モータ20Mの駆動により回転する駆動ローラである。ローラ対23〜25の上側ローラ23a,24a,25a、及び、各ローラ対26,27の他方のローラは、従動ローラである。
【0023】
ガイド29a〜29eは、搬送経路を形成するよう、搬送方向上流側からこの順で、給紙ユニット1cとローラ対22との間、各ローラ対間等に、配置されている。各ガイド29a〜29eは、互いに面方向に離隔配置された一対の板からなる。
【0024】
中間ローラ21は、ヘッド10aとローラ対24との間の、搬送経路に対して上側の位置に配置されている。
【0025】
給紙ユニット1cは、給紙トレイ1c1及び給紙ローラ1c2を有する。このうち給紙トレイ1c1が筐体1aに対して副走査方向に着脱可能である。給紙トレイ1c1は、上面が開口した箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収容可能である。給紙ローラ1c2は、コントローラ1pによる制御の下、給紙モータ1cM(
図6参照)の駆動により回転し、給紙トレイ1c1内で最も上方にある用紙Pを送り出す。
【0026】
コントローラ1pは、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)に加え、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )、I/F(Interface)、I/O(Input/Output Port)等を有する。ROMには、CPUが実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAMには、プログラム実行時に必要なデータ(画像データ等)が一時的に記憶される。ASICでは、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/Fは、外部装置とのデータ送受信を行う。I/Oは、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
【0027】
コントローラ1pは、外部装置(プリンタ1に接続されたPC等)から供給された記録指令に基づいて、用紙Pに画像が記録されるよう、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期した液体吐出動作等を制御する。給紙ユニット1cから送り出された用紙Pは、ローラ対22〜27に挟持されつつ、ガイド29a〜29eの板間を通って、搬送方向に搬送される。用紙Pが支持面5a上に支持されつつヘッド10a,10bの真下を順次通過する際に、コントローラ1pの制御により各ヘッド10a,10bが駆動し、各吐出面10xの吐出口14a(
図3参照)から用紙Pの表面に向けて液体が吐出されることで、用紙P上に画像が形成される。吐出口14aからの液体吐出動作は、用紙Pの先端を検出する用紙センサ32からの検出信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後上方に搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31に排出される。
【0028】
次いで、
図2〜
図4を参照し、ヘッド10a,10bの構成について詳細に説明する。
【0029】
各ヘッド10a,10bは、上下に積層されたリザーバユニット及び流路ユニット12、流路ユニット12の上面12xに固定された8つのアクチュエータユニット17、各アクチュエータユニット17に接合されたFPC(平型柔軟基板)19等を有する。リザーバユニットには、リザーバを含む流路が形成されている。リザーバは、カートリッジ2の対応する収容部から供給された液体を一時的に貯留する。流路ユニット12には、上面12xの開口12yから下面(吐出面10x)の各吐出口14aに至る流路が形成されている。アクチュエータユニット17は、吐出口14a毎の圧電型アクチュエータを有する。
【0030】
リザーバユニットの下面には凹凸が形成されている。凸部は、アクチュエータユニット17を避けるようにして、流路ユニット12の上面12xに接着されている。具体的には、
図2に示す開口12yを含む二点鎖線で囲まれた領域が、凸部の接着領域である。凸部の先端面は、リザーバに接続し且つ開口12yと対向する開口を有する。これにより、上記各開口を介して、リザーバから流路ユニット12に液体が供給される。凹部は、流路ユニット12の上面12x、アクチュエータユニット17の表面、及びFPC19の表面と、若干の隙間を介して対向している。
【0031】
流路ユニット12は、略同一サイズの矩形状の9枚の金属プレート12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i(
図4参照)を互いに積層し接着することにより形成された積層体である。流路ユニット12の流路は、開口12yを一端に有するマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、及び、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を介して吐出口14aに至る個別流路14を含む。個別流路14は、吐出口14a毎に形成されており、流路抵抗調整用の絞りであるアパーチャ15を含む。上面12xにおける各アクチュエータユニット17の接着領域には、圧力室16を露出させる略菱形形状の開口がマトリクス状に配置されている。下面(吐出面10x)における各アクチュエータユニット17の接着領域と対向する領域には、圧力室16と同様の配置パターンで、吐出口14aがマトリクス状に配置されている。
【0032】
なお、
図3では、アクチュエータユニット17の下側にあって点線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
【0033】
アクチュエータユニット17は、それぞれ台形の平面形状を有し、2列の千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット17は、対応する多数の圧力室16の開口を覆っている。図示は省略するが、アクチュエータユニット17は、圧電層、振動板、共通電極、及び個別電極から構成されている。上記各部材のうち、圧電層、振動板、及び共通電極は、アクチュエータユニット17の外形を画定するサイズの台形形状を有する。個別電極は、圧力室16毎に設けられており、圧電層の上面において各圧力室16と対向して配置されている。振動板は、共通電極と圧力室16との間に配置されている。アクチュエータユニット17の各個別電極に対応する部分が、1の圧電型アクチュエータとして機能する。各アクチュエータは、FPC19を介した電圧の印加によって独立して変形可能であり、対応する圧力室16の容積を変化させ、圧力室16内の液体にエネルギーを付与する。これにより、吐出口14aから液体が吐出される。
【0034】
FPC19は、アクチュエータユニット17の各電極に対応する配線を有し、その途中部にドライバICが実装されている。FPC19は、一端がアクチュエータユニット17、他端がヘッド10a,10bの回路基板に固定されている。回路基板は、コントローラ1pから入力された信号を調整し、当該調整した信号をFPC19の配線を介してドライバICに出力する。ドライバICは、回路基板から入力された信号を駆動信号に変換し、当該駆動信号をFPC19の配線を介してアクチュエータユニット17の各電極に伝達する。
【0035】
次いで、
図5を参照し、キャップ40の構成、キャッピング及びパージの各動作等について説明する。
【0036】
環状部材41は、複数のギア43と接続されており、コントローラ1pによる制御の下、環状部材昇降モータ41M(
図6参照)の駆動に伴いギア43が回転することにより、昇降する。環状部材41は、一端(先端部分)が昇降可能であり、他端(基端部分)はヘッド10の側面全周に亘って固定されている。
【0037】
対向部材42は、対向部材昇降モータ42M(
図6参照)と接続されており、コントローラ1pによる制御の下、対向部材昇降モータ42Mの駆動により、昇降する。対向部材42は、第1位置、第2位置、及び第3位置のいずれかに配置される。第1位置が最も上方、第3位置が最も下方、第2位置が第1位置よりも下方且つ第3位置よりも上方にある。対向部材42は、キャッピングが行われるとき第1位置に配置され、パージが行われるとき第2位置に配置され、記録時又は待機時は第3位置に配置される。対向部材42が第1位置に配置されているときの対向面(対向部材42の表面であり、プラテン6a,6bが開放位置にあるときに吐出面10xと対向する面)42aと吐出面10xとの離隔距離は、記録時の支持面5aと吐出面10xとの離隔距離に等しい。
【0038】
キャップ40は、対応するヘッド10a,10bの吐出面10xと対向する吐出空間V1を画定して吐出口14aを覆うキャッピング位置(
図5(b))と、対応するヘッド10a,10bの吐出空間V1を開放して吐出口14aを覆わないアンキャッピング位置(
図1及び
図5(a))とを取り得る。キャップ40がキャッピング位置にあるとき、吐出面10xと対向面42xとの隙間が、環状部材41により吐出空間V1として区画される。
【0039】
キャッピングとは、キャップ40をキャッピング位置に保持することをいう。本実施形態において、コントローラ1pは、キャップ40をキャッピング位置に配置する場合、
図5(b)に示すように、支持機構5を開放位置に且つ対向部材42を第1位置に配置した状態で、環状部材41を下降させる。これにより、環状部材41の先端41aが対向面42aに当接し、吐出空間V1が画定される。キャッピングは、例えば、記録指令が所定時間以上受信されなかった場合等に行われる。キャッピングにより吐出空間V1が画定されることで、吐出空間V1の乾燥が防止され、吐出口14a内の液体の増粘が抑制される。
【0040】
なお、キャッピングに際して、ヘッド10a,10bにそれぞれ対応する2つの環状部材41は同時に駆動し、また、ヘッド10a,10bにそれぞれ対応する2つの対向部材42も同時に駆動する。この場合、ヘッド10a,10b毎にキャップ40の構成要素を駆動する場合に比べ、構成及び制御の簡素化が実現される。
【0041】
パージは、ポンプ10Pa,10Pb(
図6参照)の駆動によってヘッド10a,10bに液体を送り込み、吐出口14aから液体を強制的に排出させる動作をいう。パージにより排出された液体は、対向面42a上に受容される。パージにより、吐出口14a内の増粘した液体や異物(粉塵、気泡等)混じりの液体が排出され、吐出性能が回復する。
【0042】
ヘッド10a,10b毎にポンプ10Pa,10Pbが設けられているが、パージのための動力源は、ヘッド10a,10bにおいて共通である。パージ対象(ヘッド10a及びヘッド10b)の切換えは、遊星ギアを応用した切換機構が行う。
【0043】
パージ後は、ワイピングが行われる。ワイピングは、ゴム等の弾性材料からなる板状のワイパを、対象物(吐出面10x又は対向面42a)と当接させつつ、対象物に対して移動させることにより、対象物上の異物を除去する動作をいう。ワイピングには、吐出面10xのワイピングと、対向面42aのワイピングとがある。ワイパの構成によるが、吐出面10xのワイピングを行った後に対向面42aのワイピングを行ってもよいし、吐出面10xのワイピングと対向面42aのワイピングとを同時に行ってもよい。ワイパは、ヘッド10a,10b毎に設けられている。ワイパは、ワイピング時にヘッド10xの長手方向(主走査方向)に移動され、ワイピング後に待機位置に戻る。ワイパの待機位置は、ヘッド10xの長手方向一端近傍にある。
【0044】
ヘッド10a,10b毎にワイパが設けられているが、ワイピングのための動力源は、ヘッド10a,10bにおいて共通である。ワイピング対象(吐出面10x及び対向面42a)の切換は、遊星ギアを応用した別の切換機構が行う。
【0045】
パージ及びワイピングは、セットとして、ヘッド10a,10b毎に行われる。
【0046】
次いで、
図7及び
図8を参照し、コントローラ1pが実行するパージ制御について説明する。
【0047】
コントローラ1pは、先ず、パージ指令を受信したか否かを判断する(S1)。コントローラ1pは、キャッピングが所定時間以上継続された場合に、パージ指令を受信する。
【0048】
コントローラ1pは、パージ指令を受信すると(S1:YES)、キャップ40をアンキャッピング位置に配置する(S2)。このときコントローラ1pは、
図5(b)に示すように支持機構5を開放位置に且つ対向部材42を第1位置に保持しつつ、環状部材昇降モータ41M(
図6参照)の駆動によりギア43を回転させ、環状部材41を上昇させる。これにより、環状部材41の先端41aが対向面42aから離隔し、吐出空間V1が開放される。さらにコントローラ1pは、対向部材昇降モータ42Mの駆動により、対向部材42を第2位置に移動させる。
【0049】
コントローラ1pは、S2の後、パージを行う(S3)。このときコントローラ1pは、支持機構5を開放位置に、対向部材42を第2位置に、且つキャップ40をアンキャップ位置に保持しつつ、
図8(a)のパージパターンが実現されるように、ポンプ10Pa,10Pb等の駆動を制御する。
図8(a)のパージパターンは、最初にBk(インクジェットヘッド10bについてのパージ,第1パージ)をn回(n:2以上の自然数)連続して行い、その後、Pr(前処理液吐出ヘッド10aについてのパージ,第2パージ)の後にBkを行うというシーケンスをm回(m:自然数)行うというものである。各パージの後は、上述のように、ワイピングが行われる。
図8(a)のパージパターンでは、BkとPrとの組合せからなる1のパージ期間において、Bkの回数がPrの回数よりも多く、且つ、Bkが最後に行われる。なお、Bk,Prの各パージにおけるポンプ10Pa,10Pbの駆動回数等は適宜設定可能である。
【0050】
コントローラ1pは、S3の後、キャップ40をキャッピング位置に配置する(S4)。このときコントローラ1pは、先ず、対向部材昇降モータ42Mの駆動により、対向部材42を第2位置から第1位置に移動させる。コントローラ1pは、その後、支持機構5を開放位置に且つ対向部材42を第1位置に保持しつつ、環状部材昇降モータ41M(
図6参照)の駆動によりギア43を回転させ、環状部材41を下降させる。これにより、環状部材41の先端41aが対向面42aに当接することによって、対向面42aと吐出面10xとの間に、吐出空間V1が画定される。
【0051】
コントローラ1pは、S4の後、当該ルーチンを終了する。
【0052】
以上に述べたように、本実施形態によると、BkとPrとの組合せからなる1のパージ期間において、Bkの回数がPrの回数よりも多い。これにより、前処理液の排液量を削減することができる。また、1のパージ期間においてBkを最後に行うことで、1のパージ期間の最後にヘッド10bがキャップ40に覆われない状態のまま待機する時間を低減することができる。これにより、ヘッド10bの吐出口14aの乾燥を抑制することができる。
【0053】
1のパージ期間にPrを連続して行う場合、当該連続したPrの間に、ヘッド10bの吐出口14aの乾燥が進んでしまう。これに対し、本実施形態によれば、1のパージ期間にPrが連続して行われない分、ヘッド10bの吐出口14aの乾燥を抑制することができる。
【0054】
1のパージ期間にBkを連続して行うことで、前処理液の排液量の削減とヘッド10bの吐出性能の回復との両立を実効的に行うことができる。
【0055】
1のパージ期間の最後に連続してBkを行う場合、当該連続したBkの間に、ヘッド10aの吐出口14aの乾燥が進んでしまう。これに対し、本実施形態によれば、1のパージ期間の最後に、Prの後にBkを行うというシーケンスを1又は複数回行うことで、ヘッド10bの吐出口14aのみならずヘッド10aの吐出口14aの乾燥をも抑制することができる。
【0056】
続いて、本発明の第2及び第3実施形態に係るインクジェット式プリンタについて説明する。
【0057】
第2及び第3実施形態のプリンタは、コントローラがS3において
図8(a)のパージパターンではなく
図8(b),(c)のパージパターンが実現されるようにポンプ10Pa,10Pbの駆動を制御する点を除き、第1実施形態のプリンタ1と同じ構成である。
【0058】
第2実施形態に係る
図8(b)のパージパターンは、最初に、Prの後にBkを行うというシーケンスをm回行い、次にBkをm回連続して行い、その後、Prの後にBkを行うというシーケンスをm回行うというものである。
図8(b)のパージパターンは、1のパージ期間においてBkの回数がPrの回数よりも多く且つBkが最後に行われること、1のパージ期間にPrが連続して行われないこと、1のパージ期間にBkが連続して行われること、及び、1のパージ期間の最後にPrの後にBkを行うというシーケンスが1又は複数回行われることにおいて、
図8(a)のパージパターンと共通している。
【0059】
第3実施形態に係る
図8(c)のパージパターンは、最初に、Prの後にBkを行うというシーケンスをm回行い、その後、Bkをm回連続して行うというものである。
図8(c)のパージパターンは、1のパージ期間においてBkの回数がPrの回数よりも多く且つBkが最後に行われること、1のパージ期間にPrが連続して行われないこと、1のパージ期間にBkが連続して行われることにおいて、
図8(a)のパージパターンと共通している。
【0060】
第2及び第3実施形態によると、第1実施形態と同じ構成により、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0062】
・第1ヘッド及び第2ヘッドは、それぞれ、1以上の任意の数であってよい。
・第1ヘッド及び第2ヘッドは、ライン式に限定されず、シリアル式であってもよい。
・第1液は、カラーの顔料インクでもよく、また、顔料を含む限り、その他任意の液体であってよい。
・第2液は、上述のような前処理液に限定されず、記録媒体上に第1液が着弾した後に着弾する後処理液でもよく、また、顔料を含まない限り、その他任意の液体であってよい。
・キャップは、上述のような環状部材41及び対向部材42から構成されることに限定されず、例えば、吐出面10xを下方から覆う凹形状の単一部材から構成されてもよい。このタイプのキャップは、例えば、全体が可撓性材料(ゴム等)で構成され、底部と底部の外周縁から立設されたリップ部とから構成される。キャップがキャッピング位置にあるとき、リップ部の先端が吐出面10xに当接し、吐出面10xと底部との隙間が、リップ部により吐出空間として区画される。このタイプのキャップの場合、底部とリップ部とが一体であるので、複数の昇降機構が不要である。また、底部が上述の実施形態の対向部材として機能するため、対向部材を別途設ける必要がない。また、特にこのタイプのキャップの場合において、上述の実施形態のような加圧パージ(ポンプによりヘッドに液体を供給して吐出口から液体を排出させる方式のパージ)ではなく、吸引パージ(キャップ内を負圧として吸引力により吐出口から液体を排出させる方式のパージ)を採用してよい。さらに、このタイプのキャップは、パージで排出された液体を受容する機能と共に、吐出口内の液体の増粘を防止する機能を有してよい。なお、配置スペースに余裕があれば、パージで排出された液体を受容する機能を有するキャップと、吐出口内の液体の増粘を防止する機能を有するキャップとを、別々に設けてもよい。
・上述の実施形態では各パージの後にワイピングを行うものとしているが、時間短縮の観点から、パージパターンにおける最後の第1パージ及び第2パージ(例えば
図8(a)の最後のPr及びBk)の後にのみ、ワイピングを行ってもよい。
・1のパージ期間に、第1パージを連続して行わなくてもよい。また、1のパージ期間に、第2パージを連続して行ってもよい。
・記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な任意の媒体であってよい。
・液体吐出装置は、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等であってもよい。