(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035825
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】警報用ブザー
(51)【国際特許分類】
G10K 9/12 20060101AFI20161121BHJP
【FI】
G10K9/12 106
G10K9/12 C
G10K9/12 D
G10K9/12 E
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-87725(P2012-87725)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-218075(P2013-218075A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 俊行
(72)【発明者】
【氏名】稲田 豊
【審査官】
武田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−013969(JP,A)
【文献】
特開平09−319375(JP,A)
【文献】
特開2007−128267(JP,A)
【文献】
特開平02−056598(JP,A)
【文献】
特開昭53−048562(JP,A)
【文献】
特開昭57−139797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定に応じて用途が異なる複数種類の音色音量を出力できる警報用ブザーであって、
ユーザにより選択された音色音量選択用の複数の制御線のON/OFF状態の組み合わせを確認する選択確認部と、
前記確認された制御線のON/OFFに応じて波形パラメータを生成するパラメータ生成部と、
前記波形パラメータに基づいて波形を生成する波形生成部と、
前記生成された波形を音として出力する発音体と、を備え、
前記パラメータ生成部は、前記確認された制御線のON/OFF状態の組み合わせに対応させて、プログラムに応じて用途ごとに設定された1周期における2つのポートのオン時間およびオフ時間ならびに周期の繰り返し回数を波形パラメータとして生成することを特徴とする警報用ブザー。
【請求項2】
前記音色音量選択用の制御線は、2本で構成されていることを特徴とする請求項1記載の警報用ブザー。
【請求項3】
前記パラメータ生成部は、前記複数種類の音色音量として、小音量の短い確認音、大音量の警報音および小音量から徐々に大音量となる警報音に対応する波形パラメータを生成することを特徴とする請求項1または請求項2記載の警報用ブザー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定に応じて複数種類の音色音量を出力できる警報用ブザーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業機器、警報装置などのスイッチのON/OFF確認用のブザーが知られている。このようなブザーでは、発振器をいくつかのゲート回路やディスクリート部品の組み合わせで構成することから、通常、実装できる回路規模との関係で1種類の音色と音量しか発音できない事情がある。そのため、異常発生時確認用のブザーを警報装置のスイッチのON/OFF確認に兼用するとスイッチON/OFFするたびに大音量を発音し、周囲にいる人を驚かして迷惑を掛けるなどの問題が生じてしまう。
【0003】
この問題を解決し、1つのブザーユニットで数種類の音色音量を発音させるために、ユーザー側で発音体に発振器、ドライバーユニットを別に用意する場合がある。そのような場合には、発音体の仕様に合わせてユーザが設計して用意する必要がある。
【0004】
これに対して、発振パルスの周波数と同発振パルスのデューティー比並びにトリガパルスのパルス幅という三つのパラメータの組み合わせでブザーを鳴らす方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1には、三つのパラメータに代えて、トリガパルス発生のオン・オフと発振パルスの周波数のパラメータの組み合わせのみでブザーを鳴らすことも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−188084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1には、具体的な構成やユーザがパラメータを選択する方法までは記載されておらず、特許文献1記載のブザーが必ずしもシンプルな構成で、ユーザにとって使い勝手が良いものであるとはいえない。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、シンプルな構成で、ユーザが目的に応じて音色音量を選択できる警報用ブザーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するため、本発明に係る警報用ブザーは、設定に応じて複数種類の音色音量を出力できる警報用ブザーであって、音色音量選択用の制御線のON/OFFを確認する選択確認部と、前記確認された制御線のON/OFFに応じて波形パラメータを生成するパラメータ生成部と、前記波形パラメータに基づいて波形を生成する波形生成部と、前記生成された波形を音として出力する発音体と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように、本発明の警報用ブザーは、選択確認部が音色音量選択用の制御線のON/OFFを確認するため、小型のユニット1つに電源入力線と音色選択用制御線の入力を入れるシンプルな構成で、ユーザが目的に応じて音色音量を選択できるようにし、音色音量をカスタマイズ可能にしている。
【0010】
(2)また、本発明に係る警報用ブザーは、前記パラメータ生成部は、前記確認された制御線のON/OFFに対応させて1周期における2つのポートのオン時間およびオフ時間ならびに周期の繰り返し回数を波形パラメータとして生成することを特徴としている。これにより、シンプルな構成で、複数の音色音量を生成することができる。
【0011】
(3)また、本発明に係る警報用ブザーは、前記音色音量選択用の制御線は、2本で構成されていることを特徴としている。これにより、最小限の構成で、4つの音色音量を選択できるブザーを構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の警報用ブザーによれば、シンプルな構成で、ユーザが目的に応じて音色音量を選択できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る警報用ブザーの電気的構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る警報用ブザーの外観を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る警報用ブザーの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。また、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
(警報用ブザーの構成)
図1は、警報用ブザー10の電気的構成を示すブロック図である。図中の実線の矢印は、信号の流れを示し、破線の矢印は電源電圧の流れを示している。警報用ブザー10は、ユーザの設定に応じて複数種類の音色音量を出力できるように構成されている。
図1に示すように、警報用ブザー10は、選択確認部11、パラメータ生成部12、波形生成部13、駆動部14、発音体15およびDC/DCコンバータ15aを備えている。
【0016】
選択確認部11は、音色音量選択用の制御線のON/OFFを確認する。制御線は、外部に取り出され、ユーザが選択できる選択ボタンのいずれが押されているかによりON/OFFがなされるように接続されている。これにより、小型のユニット1つに電源入力線と音色選択用制御線の入力を入れるシンプルな構成で、ユーザが目的に応じて音色音量を選択できるようにし、音色音量をカスタマイズ可能にしている。
【0017】
パラメータ生成部12は、確認された制御線のON/OFFに応じて波形パラメータを生成する。たとえば、制御線を2本有する場合、ON、OFFの組合せにより最大4種類の発音タイプをユーザは選択できる。パラメータ生成部12は、n種類の発音タイプに対し第1〜第nパラメータ生成部を有しており、上記の例のように4種類の発音タイプがある場合には、第1〜第4パラメータ生成部により、それぞれの発音タイプに対応するパラメータを生成する。
【0018】
第1〜第nパラメータ生成部は、選択確認部11により確認された制御線のON/OFFに対応させて1周期における2つのポートのON時間およびOFF時間ならびに周期の繰り返し回数を波形パラメータとして生成する。これにより、シンプルな構成で、複数の音色音量を生成することができる。
【0019】
波形生成部13は、波形パラメータに基づいて波形を生成する。そして、発音体15に生成された波形を出力する。パラメータと波形の例については後述する。駆動部14は、生成された波形により発音体15を駆動し、波形の出力を行なう。駆動部14は、たとえば2回路入りインバータタイプのゲートドライバーICを有し、電流制限用抵抗を介して発音体15に接続された回路として構成される。
【0020】
発音体15は、波形生成部13で生成された波形を音として出力する。発音体15には、たとえばバイモルフ型の圧電素子によるものが用いられる。また、発音体15は、駆動部14とBTL接続で接続されていることが好ましい。これにより、出力電圧を効率良く稼ぐことができる。
【0021】
上記のうち、発振器に相当する選択確認部11、パラメータ生成部12および波形生成部13は、ワンチップマイクロコンピュータに書き込まれたプログラムの機能により構成できる。プログラムの書き込みは、プログラム書き込みポートから行なう。実装基板上でプログラム書き換えが可能であるため、書き込まれたプログラムをユーザー希望にカスタマイズした音色音量のプログラムに容易に書き換えることもできる。プログラムは、基板完成後にプログラムライターで書き込める。プログラムは、短いものとなるためアッセンブラ言語で作成するのが好ましい。
【0022】
DC/DCコンバータ15aは、電源電圧を安定供給する。電源は、逆接続破壊防止用ダイオードとON/OFF制御用のトランジスタを介してDC/DCコンバータ15aに接続されている。そして、電源電圧は昇圧され、DC/DCコンバータ15aにより駆動部14に安定出力される。また、選択確認部11、パラメータ生成部12および波形生成部13へはレギュレータで比較的低い電圧に安定化してから供給される。
【0023】
上記のように、警報用ブザー10は従来品に比べて多機能になったにも関わらず発振器部分がワンチップマイクロコンピュータ1個になっている。その結果、大幅な部品削減が実現でき、回路規模の小型化とコストダウンが可能となる。
【0024】
(警報用ブザーの外観)
図2は、警報用ブザー10の外観を示す斜視図である。
図2に示すように、警報用ブザー10は、ブザー本体16、電源入力線18a、18b、音色音量選択用の制御線19a、19bで構成されている。ブザー本体16は、直径40〜60mm、高さ15〜25mm程度のドラム状に形成されている。
【0025】
ワンチップマイクロコンピュータのI/Oの一部の配線を外に取り出したことで、ユーザは制御線19a、19bのON/OFFで数種類の音色音量を選択できる。ブザー本体16の内部には、ワンチップマイクロコンピュータを有する基板が設置されており、電源入力線18a、18bおよび制御線19a、19bは、基板に接続されている。このようなワンチップ化により部品点数が削減されコストを低減できる。
【0026】
音色音量選択用の制御線19a、19bは、2本で構成されていることが好ましい。これにより、ブザー本体16から引き出された制御線19a、19bをON/OFFすることで音色音量を選択することができる。そして、最小限の構成で、4つの音色音量を選択できるブザーを構成できる。また、ユーザーの希望に応じて音色音量をカスタマイズできる。制御線19a、19bは、たとえば4つの選択ボタンを有する選択部に接続され、ユーザによりON/OFFが決定される。
【0027】
このように数種類の音色音量を選択でき、状態に応じた音色音量を使い分けることができるため、例えば以下の(1)〜(3)に挙げるような用途で、音色音量を設定することもできる。スイッチと音色音量との対応は、書き込まれたプログラムに応じて決まる。
(1)産業機器、警報装置などのスイッチON/OFF確認用:小音量の短い確認音
(2)異常発生時確認用:大音量の警報音
(3)タイマーや装置停止確認用など:小音量から徐々に大音量
【0028】
また、1種類のブザーでユーザーの製品別に音色音量を多数使い分けするという応用例も考えられる。このような警報用ブザー10は、自動車、バイクの盗難防止用、産業用ロボットの動作状態確認警報用、防犯防災警報用等、様々な用途に使用可能である。
【0029】
(警報用ブザーの動作)
次に、上記のように構成された警報用ブザー10の動作を説明する。
図3は、警報用ブザーの動作を示すフローチャートである。まず、制御線のON/OFFでユーザによる音色音量選択を確認する(ステップS1)。次に、確認された音色音量選択の結果に応じてパラメータを生成する(ステップS2)。
【0030】
そして、生成されたパラメータに従って、ユーザにより選択された音色音量の波形を生成し(ステップS3)、波形を発音体15に出力する(ステップS4)。これにより、発音体15は、波形によって決まる音色音量の音を発生させる。電源がOFFになっているかを判定し(ステップS5)、OFFであれば終了する。ONであればステップS1に戻る。
【0031】
(波形生成の例)
上記のように、警報用ブザー10は、ユーザの選択に応じて生成されたパラメータにより波形を発生させることができる。
図4は、生成される波形の例を示す図である。
図4は、発音中の1サイクルを示している。
図4に示す例では、プラス側とマイナス側の電圧制御をワンチップマイコンの4つあるポートの内、2つのポートP1、P2を使用して別々に行ない、波形を生成する。この制御方法によりON時間とOFF時間とのデューティー比を制御し音圧も制御可能である。
【0032】
発音のパターンは、“ON時間”、“OFF時間”、“繰り返し回数”の3パラメータで設定できる。まず、発振周波数はON時間とOFF時間の合計時間で決定され、1サイクル=(ON時間+OFF時間)×2となる。したがって、周波数=1/((ON時間+OFF時間)×2)となる。また、発振時間=(ON時間+OFF時間)×2×繰り返し回数である。
【0033】
このようにして、波形生成が完了した後、引き続き同じパラメータを用いる場合もあるが、パラメータを変えて波形生成から発音までのサブルーチンを行なうことで、スイープや間欠などの特殊な発振も可能になる。
【符号の説明】
【0034】
10 警報用ブザー
11 選択確認部
12 パラメータ生成部
13 波形生成部
14 駆動部
15 発音体
15a DC/DCコンバータ
16 ブザー本体
18a、18b 電源入力線
19a、19b 制御線