(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
DPFと前記DPFの上流側に設置された酸化触媒とを備えた排気ガスの浄化システムにおいて、前記酸化触媒で生成された二酸化窒素及び酸素により該DPFに堆積したPMを燃焼させる再生制御を行うDPFの再生方法であって、
前記DPFの入口における排気ガスの温度が、前記二酸化窒素による前記PMの燃焼の方が主となる第1温度領域にあるときの、前記排気ガスの流量及び該DPFの入口における排気ガスの温度と該PMの燃焼反応速度との関係を示す第1データベース、並びに該排気ガスの流量及び該PMの堆積量と該PMの燃焼反応速度との関係を示す第2データベースをそれぞれ予め設定し、前記第1データベース及び第2データベースのうちの小さい方のPM燃焼反応速度を用いて、前記排気ガスの温度及び該PMの堆積量と予め設定した時間内における前記PMの除去量との関係を示す第5データベースを算出し、
前記DPFの入口における排気ガスの温度が、前記酸素による前記PMの燃焼の方が主となる第2温度領域にあるときの、前記排気ガスの流量及び該DPFの入口における排気ガスの温度と該PMの燃焼反応速度との関係を示す第3データベース、並びに該排気ガスの流量及び該PMの堆積量と該PMの燃焼反応速度との関係を示す第4データベースをそれぞれ予め設定し、前記第3データベース及び第4データベースのうちの小さい方のPM燃焼反応速度を用いて、前記排気ガスの温度及び該PMの堆積量と予め設定した時間内における前記PMの除去量との関係を示す第6データベースを算出し、
前記DPFの前後の差圧が予め設定された判定値超となったときに、前記再生制御を開始し、
前記DPFの前後の差圧から前記PMの堆積量を推定し、
前記DPFの入口における排気ガスの温度を計測し、排気ガス温度が前記第1温度領域にあるときは前記第5データベースを、排気ガス温度が前記第2温度領域にあるときは前記第6データベースを用いて、前記計測された排気ガスの温度における予め設定した時間内におけるPMの除去量を算出し、
前記算出されたPMの除去量を累積した累積PM除去量が、前記推定されたPM堆積量超になってから前記再生制御を終了することを特徴とするDPFの再生方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態のDPFの再生方法、及び、排気ガス浄化システムについて説明する。最初に、本発明に係る実施の形態のDPFの再生方法を実施するための排気ガス浄化システムについて説明する。
【0016】
このDPFを備えた排気ガス浄化システムは、上流側の酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)の担体と下流側の酸化触媒が担持されているディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter:以下DPFという)を備えて構成され、内燃機関の排気通路に設けられる。なお、この排気ガス浄化システムは、上流に酸化触媒(DOC)の担体が付き、下流には、酸化触媒無しのDPFの担体が付く構成の排気ガス浄化システムであってもよい。
【0017】
内燃機関の運転中においては、排気ガス中に含まれている粒子状物質(PM: Particulate Matter:以下PMという)は、排気ガスの温度や組成によっては、排気ガス中の酸素や二酸化窒素(NO
2)により排気ガス中もしくはDPFで一部は酸化されるが、排気ガスの温度や組成によっては、排気ガス中もしくはDPFで酸化されずに、排気ガス浄化システムのDPFに捕集される。
【0018】
このDPFに捕集されたPMの堆積量が増加してくると、DPFの圧力損失が大きくなり、内燃機関の運転に支障をきたすので、DPFの前後の差圧を計測したり、前回の再生処理からの走行距離や燃料消費量等からPMの堆積量を推定したりして、DPFの前後差圧やPMの堆積量がそれぞれの閾値を超えた場合に、DPFのフィルタ温度をPM燃焼温度まで高めて、その温度を維持して、DPFに捕集されているPMを燃焼除去するDPFの再生処理が行われる。このフィルタ温度の昇温と温度維持に際しては、シリンダ内のマルチ噴射(多段遅延噴射)やポスト噴射、排気管内直接燃料噴射、吸気絞り、排気絞り、EGR制御等を組み合わせて、排気ガスの昇温と高温維持が行われ、この高温の排気ガスでフィルタ温度を制御している。
【0019】
本発明に係る実施の形態のDPFの再生方法においては、DPFを有して構成される排気ガス浄化システムで、DPFの前後差圧等からPM堆積量が限界に達しているか否かを判定し、PM堆積量が限界に達している場合には、DPFの再生制御を行い、このDPFの再生制御時にDPFの温度をモニターしながら、シリンダ内燃料噴射におけるマルチ噴射(多段遅延噴射)
、ポスト噴射等によるDPFの昇温制御とDPFの温度維持制御を行う。
【0020】
また、このDPFの再生方法において、特定の温度における化学反応の速度を予測する式であるアレニウスの式を用いて、予め設定したPM捕集量と、予め設定したフィルタ温度に対して排気ガス流量とDPF入口温度とPM堆積量とから予め決定したPM燃焼反応速度を用いて、PM捕集量別でかつフィルタ温度別のPM燃焼反応速度のデータベースを予め設定したり、又は、このPM燃焼反応速度を用いて算出したPM捕集量別でかつフィルタ温度別のPM除去量のデータベースを予め設定したりして、このデータベースをDPFの再生制御装置に記憶する。
【0021】
そして、DPFの再生制御時に、PM燃焼反応速度又はPM除去量のデータベースに基づいて、計測又は推定されたフィルタ温度における、予め設定した時間内におけるPM除去量を算出し、この算出されたPM除去量を累積して、再生制御開始から燃焼除去したPMの累積PM除去量を算出し、この累積PM除去量が再生制御開始時に推定したPM堆積量になってから再生制御を終了するようにする。
【0022】
このDPFの再生方法では、事前準備として、排気ガス流量別でかつDPF入口温度別のデータベースと、排気ガス流量別でかつPM堆積量別のPM燃焼反応速度のデータベースと、PM捕集量別でかつフィルタ温度別のPM除去量のデータベースとを用意する必要がある。
【0023】
このPM除去量の算出に際しては、DPFにおけるPM燃焼反応速度がDPFのフィルタ温度に依存して燃焼の反応が異なる。
【0024】
図6に示すように、DPFに流入する排気ガスの温度が低く、酸化触媒が活性化温度T1より低い間は、PMを燃焼除去することができないので、排気ガスの昇温を行い、酸化触媒が活性化温度である第1温度T1以上になるのを待つ。
【0025】
酸化触媒が第1温度T1以上になり、第1温度領域R1になると、排気ガス中の一酸化窒素(NO)が酸化されて二酸化窒素(NO
2)が発生し、(1a)式の燃焼反応式(化学反応式)により、二酸化窒素(NO
2)でDPFに捕集されたPM(C)が酸化され除去される。この活性化温度T1は酸化触媒の種類にもよるが、概ね200℃程度である。この第1温度領域R1ではDPFの上流側の酸化触媒(DOC)によって二酸化窒素(NO
2)が生成されるので、二酸化窒素の生成量が多く、二酸化窒素によるPM酸化が主に行われる温度領域である。
【数1】
【0026】
また、酸化触媒が第1温度T1よりも高く、二酸化窒素が減少する第2温度T2以上になり、第2温度領域R2になると、
図7に示すように、酸化触媒に接触した後の排気ガス中の二酸化窒素(NO
2)の量が減少し、(1b)式の燃焼反応式により、排気ガス中の酸素(O
2)でDPFに捕集されたPM(C)が酸化され除去される。つまり、二酸化窒素は第2温度T2以上になると生成量が
図7に示すように減少するため、PM燃焼反応に寄与する割合が減少し、この二酸化窒素の代わりに酸素によるPM燃焼が主に行われる領域である。この第2温度T2は酸化触媒の種類にもよるが、概ね500℃程度である。
【数8】
【0027】
このように、PMの燃焼反応は、酸化触媒の温度領域によって異なるので、その燃焼反応速度も異なってくる。
【0028】
上記のように、PMの燃焼反応はフィルタ温度によって、二酸化窒素(NO
2)による酸化と酸素(O
2)による酸化との違いがあり化学反応が異なるため、PMの燃焼反応速度も異なる、そのため、PMの燃焼反応をフィルタ温度Tmを用いて、昇温過程の第1温度T1から第2温度T2までの第1温度領域R1と、温度維持過程の第2温度T2以上の第2温度領域R2の2つの温度領域に分類する。この第1温度領域R1は、目安の温度で200℃以上500℃以下の温度範囲であり、この第2温度領域R2は、目安の温度で500℃以上の温度範囲である。この第2温度領域の上限は、DPFの耐熱温度や排気ガスの最高予測温度等であり、例えば、1000℃等に設定される。つまり、データベースの第2温度領域の温度範囲としては500℃以上で1000℃以下としておく。
【0029】
上記のように、第1温度領域R1と第2温度領域R2とでは、PMを燃焼させる酸化剤が二酸化窒素と酸素という具合に異なるため、PMの燃焼反応の反応式は異なる。
【0030】
次に、第1温度領域におけるPM燃焼反応式(1a)、PM燃焼反応速度式(2a)、反応次数決定式(3a)、反応速度定数決定式(4a)、活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を用いたアレニウス(Arrehenius)の式(5a)(6a)、時間tで燃焼除去したPM除去量ΔPMe1の算出式(7a)を示す。なお、以下の計算では、反応時間(DPFの再生制御の制御間隔の時間)を「t」、初期PM堆積量を「[C
0]」、時間t後のPM堆積量を「[C]」、反応速度を「v1、−d[C]/dt」、反応速度定数を「k1」、反応次数を「n1」、排気ガス流量を「G」、DPF入口温度を「Ts1」とする。
【0031】
PM燃焼反応式(1a)は、DPF入口温度Ts1が第1温度T1から第2温度T2までの第1温度領域R1では、次の(1a)式となる。
【数1】
【0032】
PM燃焼反応速度v1は、排気ガス流量GとPM堆積量[C]とDPF入口温度Ts1とによって決定される。そのため、本発明では、再生処理でのDPF入口温度Ts1をモニタリングしつつ、排気ガス流量GごとのPM燃焼反応速度v1をリグ装置で計測し、それを基にして
図1に示すように、DPF入口温度Ts1と排気ガス流量Gとに対するPM燃焼反応速度v1をGT
i1j(GT
111〜GT
313に相当)としてマップデータ等の第1データベースとしてデータベース化しておく。また、
図2に示すように、DPF入口温度Ts1におけるPM堆積量[C
-n+1]と排気ガス流量Gとに対する燃焼反応速度v1をGC
i1j(GC
111〜GC
313に相当)として第2データベースとしてデータベース化しておく。そして、以下の計算に用いるPM燃焼反応速度v1として、第1及び第2データベースのうちの小さい方の値を用いる。
【0033】
反応次数n1の算出は、PM燃焼反応速度式(2a)を変形した、反応次数決定式(3a)を用いて行う。
【数2】
【数3】
【0034】
この反応次数決定式(3a)を基に、
図8に示すように、縦軸にln(V
0)を、横軸にln(C
0)を取ったグラフを作成すると一次曲線が得られる(「ln( )」は自然対数を示す)。この一次曲線の傾きが反応次数n1となる。
【0035】
次に、この決定した反応次数n1を用いて、反応速度定数k1を算出する。この算出は、PM燃焼反応速度式を変形し、反応次数n1を代入した反応速度決定式(4a)式を用いて行う。
【数4】
【0036】
この反応速度決定式(4a)式に基づいて、
図9に示すように、縦軸に「[1/(−n+1)][(C
0)
-n+1−(C)
-n+1]を、横軸に時間tを取ったグラフを作成すると一次曲線が得られる。この一次曲線の傾きが反応速度定数k1となるので、この傾きの数値を反応速度定数k1の数値とすることで、反応速度定数k1の数値を決定する。
【0037】
一方、気体定数を「R」とし、反応温度(絶対温度)を「T」とし、活性化エネルギー(アレニウスパラメータ)を「Ea1」とし、温度に無関係な定数である頻度因子を「A1」とすると、ある温度での化学反応の速度を予測する式であるアレニウスの式は「k1=A1・exp(−Ea1/RT)」となる。先に決定された反応速度定数k1から、アレニウスの式の活性化エネルギーEa1と、頻度因子A1を算出する。アレニウスの式を自然対数の形にすると(5a)(6a)のようになる。
【数5】
【数6】
【0038】
この(6a)式から、
図10に示すような、縦軸にlnk1を、横軸に温度の逆数(1/T)を取った対数グラフ(アレニウスプロット)を作成すると、(1/T)の一次曲線である直線が得られる。この直線の傾きが(−Ea1/R)となるので、この傾きの数値を活性化エネルギーEa1の数値とし、縦軸との交点(切片)lnA1の数値から、頻度因子A1の数値を算出する。
【0039】
この方法で算出された活性化エネルギーEa1と頻度因子A1は、この第1温度範囲R1におけるPM燃焼反応を一般化した値であるため、この値を使用することで、一般化したPM燃焼反応速度定数k1を算出することが可能となる。
【0040】
従って、アレニウスの式に、この活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を代入すると、(6a)式となり、(6a)式のアレニウスの式に代入して求めた各温度Tにおける反応速度定数k1を(2a)式に代入して変形した(7a)から、t秒間で燃焼したPM除去量ΔPMe1を算出することができる。
【数7】
【0041】
この(7a)式のPMの初期堆積量[C
0]
-n1+1は、DPFの前後差圧から推定する。このPMの初期堆積量[C
0]
-n1+1からt秒後のPM堆積量(PM残量)[C]
-n1+1を差し引くとt秒で燃焼したPM除去量ΔPMe1を求めることができる。次に計算で、このPM堆積量[C]
-n1+1を次の再生処理の開示時の初期堆積量として扱うことで、順次PM除去量ΔPMe1を計算することができる。従って、このt秒で燃焼したPM除去量ΔPMe1を累積計算(積算)していくことでDPFに堆積したPM堆積量ΔPMcが燃え尽きるまでの燃焼時間を求めることが可能となる。
【0042】
つまり、第1及び第2データベースから決定したPM燃焼反応速度v1をアレニウスプロットすることで、アレニウスの式の活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を算出でき、この活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を固定化することで、そのPM燃焼反応における一般的な燃焼速度定数kを算出できる一般的なアレニウスの式を得ることができる。
【0043】
この活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を特定したアレニウスの式により、ある温度Tmにおける反応速度定数k1mを算出できる。従って、さらに、これらの算出の過程で得られた反応次数n1により、制御間隔tの間で燃焼除去されるPM除去量ΔPMe1mをPM堆積量[C
0]、[C]と温度[T]の組み合わせに対して算出することができるようになる。
【0044】
この算出結果を
図11に示すように、PM堆積量[C
0i]、[C](C1〜C4に相当)と温度[Tj](T1〜T4に相当)に対するt時間の間のPM除去量ΔPMe1mをCTij(CT11〜CT44に相当)としてマップデータ等の第5データベースとしてデータベース化しておく。
【0045】
同様にして、第2温度領域R2におけるPM燃焼反応式(1b)、PM燃焼反応速度式(2b)、反応次数決定式(3b)、反応速度定数決定式(4b)、活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を用いたアレニウスの式(5b)(6b)、時間tで燃焼除去したPM除去量ΔPMe2の算出式(7b)を示す。なお、以下の計算では、反応時間(DPFの再生制御の制御間隔の時間)を「t」、初期PM堆積量を「[C
0]」、時間t後のPM堆積量を「[C]」、反応速度を「v2、−d[C]/dt」、反応速度定数を「k2」、反応次数を「n2」、DPF入口温度を「Ts2」とする。
【0046】
PM燃焼反応式(1b)は、DPF入口温度Ts2が第1温度T2以上の第2温度領域R2では、次の(1b)式となる。
【数8】
【0047】
本発明では、排気ガス流量GごとのPM燃焼反応速度v2をリグ装置で計測し、それを基にして
図1と同様に、DPF入口温度Ts2と排気ガス流量Gとに対するPM燃焼反応速度v2をGT
i2jとしてマップデータ等の第3データベースとしてデータベース化しておく。また、
図2と同様に、DPF入口温度Ts2におけるPM堆積量[C
-n+1]と排気ガス流量Gとに対する燃焼反応速度v2をGC
i2jとして第4データベースとしてデータベース化しておく。そして、以下の計算に用いるPM燃焼反応速度v2として、第3及び第4データベースのうちの小さい方の値を用いる。
【0048】
反応次数n2の算出は、PM燃焼反応速度式(2b)を変形した、反応次数決定式(3b)を用いて行う。
【数9】
【数10】
【0049】
この反応次数決定式(3b)を基に、
図6と同様に、縦軸にln(V
0)を、横軸にln(C
0)を取ったグラフを作成すると一次曲線が得られる。この一次曲線の傾きが反応次数n2となるので、この傾きの数値を反応次数n2の数値とすることで、反応次数n2の数値を決定する。
【0050】
次に、この決定した反応次数n2を用いて、反応速度定数k2を算出する。この算出は、PM燃焼反応速度式を変形し、反応次数n2を代入した反応速度決定式(4b)式を用いて行う。
【数11】
【0051】
この反応速度決定式(4b)式に基づいて、
図9と同様に、縦軸に「[1/(−n+1)][(C
0)
-n+1−(C)
-n+1]を、横軸に時間tを取ったグラフを作成すると一次曲線が得られる。この一次曲線の傾きが反応速度定数k2となるので、この傾きの数値を反応速度定数k2の数値とすることで、反応速度定数k2の数値を決定する。
【0052】
一方、気体定数を「R」とし、反応温度(絶対温度)を「T」とし、活性化エネルギー(アレニウスパラメータ)を「Ea2」とし、温度に無関係な定数である頻度因子を「A2」とすると、ある温度での化学反応の速度を予測する式であるアレニウスの式は「k2=A2・exp(−Ea2/RT)」となる。先に決定された反応速度定数k2から、アレニウスの式の活性化エネルギーEa2と、頻度因子A2を算出する。アレニウスの式を自然対数の形にすると(5b)(6b)のようになる。
【数12】
【数13】
【0053】
この(6b)式から、
図10と同様に、縦軸にlnk2を、横軸に温度の逆数(1/T)を取った対数グラフ(アレニウスプロット)を作成すると、(1/T)の一次曲線である直線が得られる。この直線の傾きが(−Ea2/R)となるので、この傾きの数値を活性化エネルギーEa2の数値とし、縦軸との交点(切片)lnA2の数値から、頻度因子A2の数値を算出する。
【0054】
この方法で算出された活性化エネルギーEa2と頻度因子A2は、この第2温度範囲R2におけるPM燃焼反応を一般化した値であるため、この値を使用することで、一般化したPM燃焼反応速度定数k2を算出することが可能となる。
【0055】
従って、アレニウスの式に、この活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を代入すると、(6b)式となり、(6b)式のアレニウスの式に代入して求めた各温度Tにおける反応速度定数k2を(2b)式に代入して変形した(7b)から、t秒間で燃焼したPM除去量ΔPMe2を算出することができる。
【数14】
【0056】
この(7b)式のPMの初期堆積量[C
0]
-n2+1は、DPFの前後差圧から推定する。このPMの初期堆積量[C
0]
-n2+1からt秒後のPM堆積量(PM残量)[C]
-n2+1を差し引くとt秒で燃焼したPM除去量ΔPMeを求めることができる。次に計算で、このPM堆積量[C]
-n2+1を次の再生処理の開示時の初期堆積量として扱うことで、順次PM除去量ΔPMe2を計算することができる。従って、このt秒で燃焼したPM除去量ΔPMeを累積計算(積算)していくことでDPFに堆積したPM堆積量ΔPMcが燃え尽きるまでの燃焼時間を求めることが可能となる。
【0057】
つまり、第3及び第4データベースから決定したPM燃焼反応速度v2をアレニウスプロットすることで、アレニウスの式の活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を算出でき、この活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を固定化することで、そのPM燃焼反応における一般的な燃焼速度定数kを算出できる一般的なアレニウスの式を得ることができる。
【0058】
この活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を特定したアレニウスの式により、ある温度Tmにおける反応速度定数k2mを算出できる。従って、さらに、これらの算出の過程で得られた反応次数n2により、制御間隔tの間で燃焼除去されるPM除去量ΔPMe2mをPM堆積量[C
0]、[C]と温度[T]の組み合わせに対して算出することができるようになる。
【0059】
この算出結果を
図11と同様に、PM堆積量[C
0i]、[C](C1〜C4に相当)と温度[Tj](T1〜T4に相当)に対するt時間の間のPM除去量ΔPMe2mをCTij(CT11〜CT44に相当)としてマップデータ等の第6データベースとしてデータベース化しておく。
【0060】
本発明に係る実施の形態のDPFの再生方法においては、上記の第1温度領域R1と第2温度領域R2の両方に対してそれぞれ、PM堆積量[C
0i]、[C]と温度[Tj]に対するt時間の間のPM除去量ΔPMe1m、ΔPMe2mをCTijとしてデータベース化しておき、このデータベースをもとに、DPFの再生処理に際して、DPFの再生処理時の進捗に応じて変化する触媒温度指標温度Tmに対するPM除去量ΔPMemを求めて、累積計算して累積PM除去量ΣPMemが、DPFの再生開始時に推定したPM堆積量ΣPMcmに達するまでは、再生制御を終了しないようにしている。
【0061】
このDPFの再生方法は、
図3〜
図5に示すような制御フローによって行われる。この制御フローでは、内燃機関の運転開始と共に、上位の制御フローから呼ばれてスタートし、ステップS11で、DPFの前後差圧の測定を行う。このとき、内燃機関の運転開始と共に、内燃機関で発生する排気ガス中のPMをDPFで捕集している。次のステップS12で、このDPFの前後差圧ΔPmが所定の第1判定用差圧(閾値)ΔP1を超えているか否かを判定する。
【0062】
このステップS12の判定で、DPFの前後差圧ΔPmが第1判定用差圧ΔP1を超えていない場合(NO)は、DPFのPM捕集能力に余裕があるとして、ステップS11に戻り、PMの捕集を継続する。また、このステップS12の判定で、DPFの前後差圧ΔPmが第1判定用差圧ΔP1を超えている場合(YES)は、DPFのPM捕集能力に余裕がなくなってきているとして、ステップS13に行き、DPFに捕集されたPMを燃焼除去するDPFの再生制御を開始する。
【0063】
このDPFの再生制御が開始されると、ステップS20の制御フローとステップS30の制御フローが並行して行われる。このステップS20の制御フローでは、DPFに堆積されたPMの燃焼除去のために、排気ガス浄化装置に流入する排気ガスの昇温制御と排気ガスの温度維持制御が行われる。この排気ガス昇温制御と排気ガスの温度維持制御は従来技術における周知の技術を用いて行うことができるので、ここでは、詳細は述べない。
【0064】
一方、ステップS30は、DPFの再生制御の終了判定を行う制御フローである。
図4に示すように、最初のステップS31では、DPFの前後差圧ΔPmからDPFに堆積されたPM堆積量ΣPMcmを算出する。このPM堆積量ΣPMcmは、予め実験等で、DPFの前後差圧ΔPとDPFにおけるPM堆積量ΣPMcとの関係を求めてデータベースを作成し、マップデータ等の形で、このDPFの前後差圧ΔPとPM堆積量ΣPMcとの関係のデータベースをDPFの再生制御装置に記憶しておき、実際に測定されたDPF前後差圧ΔPmに対して、このDPFの前後差圧ΔPとPM堆積量ΣPMcとの関係のデータベースを参照することにより、容易に求めることができる。また、このステップS31で、累積PM除去量ΣPMemをゼロに設定しておく。
【0065】
次のステップS32では、DPF内部の温度であるフィルタ温度TmをDPF内部に設けた温度センサによる測定し、又はDPFに流入する排気ガスの温度等から推定し、読み込む。次のステップS33では、このフィルタ温度Tmに対しての制御時間tの間におけるPM除去量ΔPMemを算出する。このステップS33は
図5に示すような制御フローになっているが、これについては後で説明する。次のステップS34では、このPM除去量ΔPMemを累積計算して、累積PM除去量ΣPMemを算出する(ΣPMem=ΣPMem+ΔPMem)。
【0066】
次のステップS35では、累積PM除去量ΣPMemがPM堆積量ΣPMcmを超えたか否かを判定する。このステップS35の判定で累積PM除去量ΣPMemがPM堆積量ΣPMcmを超えていない場合(NO)は、DPFに堆積したPMを除去できていないとして、ステップS32に戻り、ステップS32からステップS35を繰り返す。このステップS35の判定で累積PM除去量ΣPMemがPM堆積量ΣPMcmを超えている場合(YES)は、DPFに堆積したPMを除去できたとして、ステップS14に行く。
【0067】
ステップS14では、DPFの前後差圧ΔPmの測定を行い、次のステップS15で、このDPFの前後差圧ΔPmが所定の第2判定用差圧(閾値)ΔP2以下になっているか否かを判定する。このステップS15の判定で、DPFの前後差圧ΔPmが第2判定用差圧(閾値)ΔP2以下になっていない場合(NO)は、DPFに堆積したPMを完全に除去できていないとして、ステップS16で予め設定した時間(ステップS15の判定のインターバルに関係する時間)の間待機して、ステップS14に戻る。このステップS15の判定で、DPFの前後差圧ΔPmが第2判定用差圧(閾値)ΔP2以下になっている場合(YES)は、DPFに堆積したPMを完全に除去できているとして、ステップS17に行く。
【0068】
ステップS17では、再生制御が完了したとして、並行して実施されているステップS20の制御フローに対して、再生制御終了の信号の発信を行い、ステップS20の制御フローを停止させて、ステップS11に戻る。一方、再生制御終了の信号を受けたステップS20の制御フローでは、再生処理の終了処理を行ってステップS20の制御フローを終了させて、ステップS11に戻る。
【0069】
上記のように、
図3から
図5に示す制御フローでは、ステップS11に戻ると、内燃機関の通常運転によるPMの捕集を再開し、ステップS11からステップS17を繰り返して実施する。そして、内燃機関の運転を終了するときには、割り込みが生じて、ステップS18で、終了処理をした後、上位の制御フローに戻り、上位の制御フローの終了と共に、
図3の制御フローも終了する。
【0070】
次に、このフィルタ温度Tmに対しての制御時間tの間におけるPM除去量ΔPMemを算出するステップS33について、
図5に示す制御フローを参照しながら説明する。このステップS33においては、最初のステップS33aで、DPF入口温度Tsが所定の第1判定温度T1以上であるか否かを判定する。このステップS33aで、DPF入口温度Tsが第1判定温度T1より小さい場合(NO)はフィルタ温度Tmが低すぎてDPFに捕集されたPMの燃焼除去はできないとして、ステップS34に行く。このステップS33aで、DPF入口温度Tsが第1判定温度T1以上の場合(YES)はステップS33bに行く。
【0071】
ステップS33bでは、DPF入口温度Tsが所定の第2判定温度T2以上であるか否かを判定する。このステップS33bで、DPF入口温度Tsが第2判定温度T2より小さい場合(NO)はフィルタ温度Tmが第1温度領域R1にあるとして、ステップS33cに行く。また、このステップS33bで、DPF入口温度Tsが第2判定温度T1以上の場合(YES)はフィルタ温度Tmが第2温度領域R2にあるとして、ステップS33dに行く。
【0072】
ステップS33cでは、第1温度領域R1における活性化エネルギーEa1と頻度因子A1を用いて算出した、フィルタ温度T毎のt秒間に燃焼除去されるPM除去量ΔPMe1の第5データベースを用いて、フィルタ温度Tmにおけるt秒間に燃焼除去されるPM除去量ΔPMemを算出する。その後、ステップS34に行く。
【0073】
ステップS33dでは、第2温度領域R2における活性化エネルギーEa2と頻度因子A2を用いて算出した、フィルタ温度T毎のt秒間に燃焼除去されるPM除去量ΔPMe2の第6データベースを用いて、フィルタ温度Tmにおけるt秒間に燃焼除去されるPM除去量ΔPMemを算出する。その後、ステップS34に行く。
【0074】
このDPFの再生方法によれば、DPFを有して構成される排気ガス浄化システムで、DPFの前後差圧ΔPmからPM堆積量ΔPMcが限界に達しているか否かを判定し、PM堆積量ΔPMcが限界に達している場合には、DPFの再生制御を行い、このDPFの再生制御時にDPFのフィルタ温度Tmをモニターしながら、ポスト噴射によるDPFの昇温制御とDPFの温度維持制御を行うDPFの再生方法において、特定の温度における化学反応の速度を予測する式であるアレニウスの式を用いて、予め設定したPM捕集量ΔPMcと、予め設定したフィルタ温度Tに対して排気ガス流量GとDPF入口温度Ts1、Ts2とPM堆積量[C]
-n+1とから予め決定したPM燃焼反応速度v1、v2を用いて、PM捕集量別でかつフィルタ温度別のPM燃焼反応速度のデータベース、または、このPM燃焼反応速度を用いて算出したPM捕集量別でかつフィルタ温度別のPM除去量のデータベースを予め設定して、DPFの再生制御装置に記憶し、DPFの再生制御時に、PM燃焼反応速度又はPM除去量のデータベースに基づいて、計測又は推定されたフィルタ温度Tmにおける、予め設定した時間内におけるPM除去量ΔPMemを算出し、この算出されたPM除去量ΔPMemを累積して、再生制御開始から燃焼除去したPMの累積PM除去量ΣPMemを算出し、この累積PM除去量ΣPMemが再生制御開始時に推定したPM堆積量ΣPMcmになってから再生制御を終了することができる。
【0075】
特に、PM燃焼反応速度v1、v2として、排気ガス流量GとDPF入口温度Ts1、Ts2とPM堆積量[C]
-n+1とから予め決定した値を用いて、車両の実走行時におけるエンジンの運転状態に応じた最適なDPF再生制御を行うので、余分なポスト噴射等を避けることができるため、DPF再生効率を向上して燃費の悪化を抑制することができる。また、DPFにコートする触媒や材料でもパラメータ算出により容易に再生効率を向上することができるという効果も期待できる。
【0076】
更に、上記のDPFの再生方法において、
図3〜
図5の制御フローのステップS30の「DPFの再生処理の終了判定」の中に、DPFの再生制御時に、再生中のPM捕集量ΔPMcに対して、PM燃焼反応速度v又はPM除去量ΔPMeのデータベースに基づいて、PM除去量ΔPMeが最大になる目標フィルタ温度Ttを算出するステップを加えて、この目標フィルタ温度Ttを、ステップS20の「DPF再生処理」に出力し、計測又は推定されたフィルタ温度Tmがこの目標フィルタ温度TtになるようにDPFの昇温制御とDPFの温度維持制御を制御するように構成すると、PM除去量ΔPMeに関わるアレニウスの式の、反応次数n1、n2、活性化エネルギーEa1、Ea2、反応速度定数k1、k2等の反応パラメータから、PMが燃焼するのに必要な温度と時間の関係を算出して、最も都合のよい条件で再生を実行することができるようになる。これにより、再生処理の効率が向上し、低燃費化を図ることができる。
【0077】
上記のDPFの再生方法によれば、DPFの再生処理時のPM除去量ΔPMe1m、ΔPMe2mが、PM捕集量(PM堆積量)ΔPMcとフィルタ温度Tmの両方に依存することに着目して、フィルタ温度Tmをモニターすることで、より正確なPM除去量ΔPMe1m、ΔPMe2mを算出でき、より適切な反応終了の時期(タイミング)を算出することが可能となる。
【0078】
そして、本発明の実施の形態の排気ガス浄化システムは、上流側の酸化触媒と下流側のDPFとを有して構成される排気ガス浄化システムにおいて、上記の実施の形態のDPFの再生方法を行う再生制御装置を備えて構成される。