(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[画像表示装置の構成]
図1は、本実施形態に係る画像表示装置1の構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示装置1は、生体状態(詳しくは自律神経の状態)を示す生体状態画像を表示するものである。この画像表示装置1は、
図1に示すように、外部機器EDと通信して、当該外部機器EDから受信される情報に基づいて、生体状態画像を生成及び表示する。
なお、本実施形態では、外部機器EDは、当該外部機器EDが装着された人体から生体情報である脈拍(心拍)等を取得し、当該脈拍の変動を周波数解析した結果を所定の演算式に当てはめることで、自律神経を構成する交感神経及び副交感神経の優位度と、当該自律神経の活動強度とを含む情報を取得する。そして、外部機器EDは、当該情報と、生体情報の取得日時とを画像表示装置1に送信する。
【0018】
画像表示装置1は、それぞれバスラインBを介して互いに接続される操作手段3、送受信手段4、表示手段5、姿勢検出手段6及び制御手段7と、これらを内部に収納する筐体2とを備える。このような画像表示装置1は、本実施形態では、例えば、スマートフォンやタブレット端末等の携帯可能な小型端末装置として構成されているが、これに限らず、PC(Personal Computer)等の据置の画像表示装置であってもよい。
【0019】
操作手段3は、キーボードやポインティングデバイス等により構成されており、入力操作に応じた操作信号を制御手段7に出力する。
送受信手段4は、外部機器EDと通信して、当該外部機器EDとの間で情報を送受信する。本実施形態では、送受信手段4は、外部機器EDから、前述の優位度及び活動強度を含む情報を受信して、当該情報を制御手段7に出力する。なお、本実施形態では、送受信手段4と外部機器EDとは互いに無線で通信するが、これに限らず、有線で通信する構成としてもよい。
【0020】
表示手段5は、本発明の表示部に相当し、制御手段7から入力される画像信号に応じた画像を表示する。この表示手段5における画像の表示領域AR(
図5参照)は、長方形状となっている。このような表示手段5として、液晶パネル、有機EL(Electro-Luminescence)パネル及びプラズマパネル等の各種表示デバイスを採用できる。
姿勢検出手段6は、筐体2の姿勢を検出する。具体的に、姿勢検出手段6は、筐体2の姿勢を検出するセンサー(例えば加速度センサーやジャイロセンサー)を有し、表示手段5の表示領域AR(
図5参照)が縦長となっているか、横長となっているかを検出する。そして、姿勢検出手段6は、当該筐体2の姿勢を示す信号を制御手段7に出力する。
【0021】
[制御手段の構成]
図2は、制御手段7の構成を示す機能ブロック図である。
制御手段7は、CPU(Central Processing Unit)7A及びメモリー7B等により構成され、操作手段3に対する使用者の操作に基づいて、或いは、自律的に、画像表示装置1の動作を制御する。例えば、制御手段7は、外部機器EDから受信された情報に基づいて生体状態画像を生成し、当該生体状態画像を表示手段5に表示させる。
このような制御手段7は、上記メモリー7Bにより構成される記憶部71を備える。この他、制御手段7は、
図2に示すように、上記CPU7Aが記憶部71に記憶されたプログラムを実行することで実現される情報取得部72、画像生成部73及び表示制御部74としての機能を有する。
【0022】
記憶部71は、フラッシュメモリーやHDD(Hard Disk Drive)等により構成され、画像表示装置1の動作に必要な各種プログラム及びデータを記憶する。この記憶部71に記憶されているプログラムとしては、例えば、後述する表示制御処理を実行するための制御プログラムが挙げられる。また、当該記憶部71に記憶されるデータとしては、例えば、送受信手段4により受信された各種情報が挙げられる。
【0023】
情報取得部72は、送受信手段4を制御して、当該送受信手段4に外部機器EDから送信される各種情報を受信させる。そして、情報取得部72は、受信された当該情報を記憶部71に記憶させる。なお、情報取得部72は、送受信手段4により外部機器EDから定期的(例えば30分ごと)に上記情報を取得し、当該情報に含まれる前述の優位度及び活動強度を取得する。
【0024】
画像生成部73は、表示手段5により表示される画像を生成(描画)する。この他、画像生成部73は、操作手段3に対する使用者の入力操作に応じて、情報取得部72により取得された情報に基づく生体状態画像を生成する。
【0025】
[積算画像の構成]
図3は、生体状態画像に含まれる積算画像P1の一例を示す図である。なお、見易さを考慮して、以降の図においては、図形Fの符号を一部省略している。
画像生成部73は、生体状態画像として、以下に示す積算画像P1(
図3参照)及び時系列画像P2(
図7参照)を生成する。
積算画像P1は、表示手段5の表示領域AR(
図8(B)参照)が横長となっている場合に表示される画像であり、
図3に示すように、所定期間(例えば1日)内に検出された生体情報に基づく上記優先度及び活動強度を、所定の図形F(本実施形態では円)により示す画像である。この積算画像P1は、本発明の第1画像に相当する。
【0026】
この積算画像P1には、表示領域ARの長手方向に沿うレベル軸A1(第1軸)が設定されており、当該レベル軸A1には、交感神経の優位度及び副交感神経の優位度を示す目盛りが設定されている。具体的に、レベル軸A1における中央の基準点SP(「0」が設定されている位置)に対して一端側(左側)に、交感神経の優位度を示す目盛りが1〜10の数値で設定され、当該基準点SPに対して他端側(右側)に、副交感神経の優位度を示す目盛りが1〜10の数値で設定されている。また、積算画像P1には、当該生体情報が取得された日付が設定される。
そして、積算画像P1には、情報取得部72により上記優位度及び活動強度を含む情報が取得されるごとに、レベル軸A1において、取得された優位度に対応する位置に、取得された活動強度に応じた寸法の図形Fが設定される。これら図形Fは、レベル軸A1に沿う仮想の直線L上に中心が位置するように、それぞれ配置される。
【0027】
例えば、取得された情報に「交感神経の優位度が8.2である」ことを示す情報と、「自律神経の活動強度が4である」ことを示す情報とが含まれている場合には、交感神経の優位度「8.2」の位置に、活動強度4に対応する大きさの図形F(F1)が、上記直線L上に設定される。
また、取得された情報に「副交感神経の優位度が4.1である」ことを示す情報と、「自律神経の活動強度が2である」ことを示す情報とが含まれている場合には、副交感神経の優位度「4.1」の位置に、活動強度2に対応する大きさの図形F(F2)が、上記直線L上に設定される。
【0028】
このような積算画像P1では、過去に設定された図形Fと重なる位置に、新たに図形Fが設定される場合が生じる。このため、積算画像P1に設定される図形Fには、所定の透過率が設定されている。これにより、各図形Fにおいて重ならない領域は、薄い色で表され、互いに重なる領域は、濃い色で表される。このような色の濃淡に基づいて、各図形Fの重なり具合が表され、所定期間における上記優位度及び活動強度の分布及び傾向を把握することができる。
【0029】
例えば、
図3における「副交感神経の優位度4〜5」の範囲には、当該範囲内に中心を有する図形Fが1つ設定されている。このため、該当日「2012/02/29」の1日に、「副交感神経の優位度が4〜5の範囲にある」ことを示す生体情報が1回取得されたことが示される。
一方、「交感神経の優位度0〜1」の範囲には、当該範囲内に中心を有する図形Fが2つ設定されている。このため、該当日「2012/02/29」の1日に、「交感神経の優位度が0〜1の範囲にある」ことを示す生体情報が2回取得されたことが示される。
【0030】
また、図形Fの色は、優位である自律神経の種別及び優位度に応じて設定される。
すなわち、取得された情報に交感神経の優位度が含まれている場合には「交感神経が優位である」と判断され、設定される図形Fの色に暖色(例えば、赤、黄及び橙等の色)が設定される。更に、当該図形Fの色は、交感神経の優位度が高くなるに従って、暖色が強まる色(すなわち黄から赤に変化する色)に設定される。
また、取得された情報に副交感神経の優位度が含まれている場合には「副交感神経が優位である」と判断され、設定される図形Fの色に寒色(例えば、青及び青に近い色)が設定される。更に、当該図形Fの色は、副交感神経の優位度が高くなるに従って、寒色が強まる色(すなわち緑から青に変化する色)に設定される。
【0031】
ここで、暖色は、視覚的に交感神経に作用して、人の感情を高揚させる効果があるとされている。一方、寒色は、視覚的に副交感神経に作用し、興奮を鎮める効果があるとされている。このため、図形Fの色を、交感神経が優位である場合には暖色とし、副交感神経が優位である場合には寒色とすることにより、交感神経及び副交感神経のうち、どちらが優位であるかを直感的に把握できる。従って、自律神経の状態をより容易かつ適切に把握できる。
なお、取得された情報に「優位度0」を示す情報が含まれていた場合には、レベル軸A1の中央の基準点SPに対応する位置に、灰色の図形Fが設定される。
【0032】
このような積算画像P1が表示される際には、日付ごとに過去数日分の積算画像P1も合わせて表示される。すなわち、
図3では、「2012/02/29」の積算画像P1のみが示されているが、実際には、
図8(B)に示すように、当日を含めて過去数日分(例えば1週間分)の積算画像P1が表示される。そして、積算画像P1の表示時に、表示手段5の表示領域をスクロールさせることで、他の日付の積算画像P1を観察することができる。
【0033】
図4〜
図6は、積算画像P1の他の一例を示す図である。
上記の積算画像P1からは、以下の内容を把握できる。
例えば、
図4に示す「2012/02/28」の積算画像P1では、比較的大きな寸法の図形Fが、レベル軸A1に沿って基準点SPを中心とする比較的広い範囲にそれぞれ配置されている。ここで、健康な人ほど活動強度が高く(図形Fの寸法が大きく)、交感神経及び副交感神経がバランスよく作用する。このため、
図4に示す状態は、健康な状態に分類される状態であり、自律神経が良好である状態である。
【0034】
一方、
図5に示す「2012/02/27」の積算画像P1では、レベル軸A1の交感神経側に偏って各図形Fが配置されている。また、
図6に示す「2012/02/26」の積算画像P1では、レベル軸A1の基準点SPを中心として比較的狭い範囲に、比較的小さな寸法の図形Fが集中して配置されている。ここで、優位度が交感神経及び副交感神経のどちらかに偏って変化がない状態や、自律神経の活動強度が小さい状態は、不健康な状態に分類される。このため、
図5及び
図6に示す状態は、自律神経の状態が良好でない状態である。
このように、所定期間(本実施形態では1日)に取得された生体情報に基づく積算画像P1により、自律神経の状態が良好であるか否かを判断することができる。
【0035】
[時系列画像の構成]
図7は、生体状態画像に含まれる時系列画像P2の一例を示す図である。
時系列画像P2は、表示手段5の表示領域AR(
図8(A)参照)が縦長となっている場合に表示される画像であり、
図7に示すように、生体情報が取得されるごとに、当該生体情報に応じた図形Fを時系列で設定した画像である。この時系列画像P2は、本発明の第2画像に相当する。
【0036】
時系列画像P2は、本実施形態では、使用者により選択された日時から過去数日分(例えば3日分)の生体情報に基づく上記優位度及び活動強度に応じて図形Fが設定された縦長の画像となっており、後述する表示制御部74により、当該時系列画像P2の一部が表示手段5に表示される。そして、操作手段3に対して時系列画像P2を上下にスクロールさせる操作(時間軸A2に沿ってスクロールさせる操作)が行われた場合には、表示制御部74により、当該時系列画像P2におけるスクロール後の領域が表示される。なお、使用者が表示対象の日時を選択していない場合には、現在時刻から過去数日分に相当する期間内に取得された上記優位度及び活動強度に応じた時系列画像P2が、生成及び表示される。
【0037】
このような時系列画像P2には、当該時系列画像P2の短手方向に沿うレベル軸A1と、長手方向に沿う時間軸A2(第2軸)とが設定されている。すなわち、レベル軸A1と時間軸A2とは、当該レベル軸A1の基準点SPにて互いに交差する。
時間軸A2には、現在時刻が設定される時刻設定領域A21が設けられている他、現在時刻に対して過去の時刻(
図7では過去10時間分で、かつ、3時間毎の時刻)が目盛りとして設定されている。
なお、レベル軸A1は、時系列画像P2を上下にスクロールさせても常に表示される。一方、時間軸A2に設定された過去の時刻は、現在時刻が更新された場合には、レベル軸A1から離れる方向に移動され、これに伴い、対応する時刻に応じて設定された図形Fも同方向に移動される。
【0038】
この時系列画像P2では、図形Fは、生体情報が取得された時刻に応じた時間軸A2の位置で、かつ、当該生体情報に基づく交感神経及び副交感神経の優位度に応じた位置に、自律神経の活動強度に応じた寸法で設定される。
例えば、「PM9:00」に取得された生体情報に基づいて、交感神経及び副交感神経の優位度として「副交感神経の優位度が6.0である」ことを示す情報が取得され、かつ、自律神経の活動強度として「活動強度4」であることを示す情報が取得された場合には、時間軸A2における「PM9:00」に応じた位置で、かつ、レベル軸A1の「副交感神経の優位度6.0」に応じた位置に、「活動強度4」に応じた大きさの図形F(F3)が設定される。
【0039】
一方、「PM3:00」に取得された生体情報に基づいて、「交感神経の優位度が6.3である」ことを示す情報及び「自律神経の活動強度が2である」ことを示す情報が取得された場合には、時間軸A2における「PM3:00」に応じた位置で、かつ、レベル軸A1における「交感神経の優位度6.3」に応じた位置に、「活動強度2」に応じた大きさの図形F(F4)が設定される。
このような時系列画像P2により、生体情報が取得された時刻が示されるとともに、当該生体情報の内容が示される。なお、当該時系列画像P2において、設定される図形Fの色及び透過率は、前述の積算画像P1と同様である。
【0040】
このような時系列画像P2が生成及び表示されることにより、自律神経の経時変化を時刻とともに把握できる。これにより、例えば、正常な場合には、昼間では交感神経が優位となり、夜間では副交感神経が優位となる傾向と比較して、使用者の自律神経の状態にどのような差異があるのかを把握することもでき、当該自律神経の状態が正常であるか否かを判断することができる。
【0041】
図8は、筐体2の姿勢に応じた積算画像P1と時系列画像P2との切替状態を示す図である。
上記積算画像P1及び時系列画像P2の表示切替は、表示制御部74により行われる。この表示制御部74は、画像生成部73により生成された画像(上記生体状態画像の他、画像表示装置1の状態を示す画像も含む)を表示手段5に表示させる。
例えば、表示制御部74は、
図8に示すように、姿勢検出手段6から入力される検出信号に基づいて、使用者から見て表示手段5の表示領域ARが縦長となっていると判定した場合には、時系列画像P2を当該表示手段5に表示させる。
【0042】
一方、表示制御部74は、当該検出信号に基づいて、使用者から見て表示領域ARが横長となっていると判定した場合には、積算画像P1を当該表示手段5に表示させる。
更に、表示制御部74は、前述のように、表示された画像をスクロールする操作が使用者により操作手段3に対して行われた場合には、スクロール後の領域の画像を読み出して、当該画像を表示手段5に表示させる。
このような表示切替が行われることにより、例えば1日ごとの自律神経の状態を把握できる積算画像P1と、それぞれの日の自律神経の状態の経時変化を把握できる時系列画像P2とを切り替えることで、より詳細に自律神経の状態を把握できる。
【0043】
[表示制御処理]
図9は、画像表示装置1(詳しくは制御手段7)により実行される表示制御処理を示すフローチャートである。
上記画像表示装置1では、生体状態画像を表示させる操作が使用者により操作手段3に対して行われると、制御手段7を構成するCPU7Aが、メモリー7B(記憶部71)に記憶された表示制御プログラムを読み出して、以下に示す表示制御処理を実行する。
この表示制御処理では、
図9に示すように、まず、表示制御部74が、姿勢検出手段6の検出結果に基づいて、表示領域ARが縦長であるか否かを判定する(ステップS1)。
【0044】
ステップS1での判定処理にて、表示領域ARが縦長であると判定した場合、表示制御部74は、前述の時系列画像P2を画像生成部73に生成させ、当該画像P2を表示手段5に表示させる(ステップS2)。この後、表示制御部74は、処理をステップS4に移行する。
ステップS1での判定処理にて、表示領域ARが縦長でない(横長である)と判定した場合、表示制御部74は、前述の積算画像P1を画像生成部73に生成させ、当該画像P1を表示手段5に表示させる(ステップS3)。この後、表示制御部74は、処理をステップS4に移行する。
【0045】
ステップS4では、表示制御部74は、姿勢検出手段6から入力される信号に基づいて、筐体2の姿勢が変更されたか否かを判定する(ステップS4)。ここで、筐体2の姿勢が変更されたと判定した場合、表示制御部74は、処理をステップS1に移行する。
一方、筐体2の姿勢が変更されていないと判定した場合、表示制御部74は、操作手段3から入力される操作信号に基づいて、生体状態画像の表示を終了させる操作が行われたか否かを判定する(ステップS5)。
【0046】
ステップS5での判定処理にて、当該操作は行われていないと判定した場合、表示制御部74は、処理をステップS4に移行し、生体状態画像の表示を継続する。
ステップS5での判定処理にて、当該操作が行われたと判定した場合、表示制御部74は、生体状態画像の表示を終了させ、制御手段7は、表示制御処理を終了する。この後、表示制御部74は、画像表示装置1の状態を示す画像を表示させる。
【0047】
以上説明した本実施形態に係る画像表示装置1によれば、以下の効果がある。
(1)画像生成部73により生成される生体状態画像(積算画像P1及び時系列画像P2)における図形Fの位置及び大きさにより、交感神経及び副交感神経の優位度、並びに、自律神経の活動強度が示される。これによれば、交感神経及び副交感神経の活動レベルがグラフにより示される前述の画像や、自律神経の状態を文章により説明する画像に比べて、交感神経及び副交感神経のどちらがどれほど優位であるかを直感的に把握できる他、自律神経の活動強度を容易に把握できる。従って、自律神経の状態を把握しやすくすることができる。
【0048】
(2)積算画像P1及び時系列画像P2では、前述の優位度及び活動強度が取得されるごとに、これらを示す図形Fがレベル軸A1に沿って設定される。これによれば、当該各画像P1,P2に設定された各図形Fの位置から、当該優位度及び活動強度の分布を把握できる。従って、所定期間内における交感神経及び副交感神経のバランスを把握できる。
また、各図形Fにおいて重なった部分の色は濃く、重なっていない部分の色は薄いことから、当該各図形Fの重なり具合を判別することができる。従って、積算画像P1においては、当該重なり具合から、上記優位度及び活動強度の分布や傾向を視覚的に把握でき、ひいては、自律神経の状態の良否を判定できる。
【0049】
(3)時系列画像P2では、前述の優位度及び活動強度を示す図形Fが、時間軸A2において、対応する生体情報が取得された時刻に応じた位置に設定される。これによれば、当該優位度及び活動強度の経時変化を把握できる。従って、自律神経の状態をより正確に把握できる。
(4)表示制御部74は、姿勢検出手段6により検出される筐体2の姿勢に応じて、表示手段5に表示される画像を切り替える。これによれば、上記優位度及び活動強度の分布及び傾向を日ごとに把握できる積算画像P1と、選択された日の上記優位度及び活動強度の経時変化を把握できる時系列画像P2とをを切り替えることにより、自律神経の状態をより詳しく把握できる。
【0050】
[積算画像の変形]
図10は、積算画像の他の一例を示す図である。
なお、画像生成部73により生成される積算画像は、前述の積算画像P1に限らず、以下に示す積算画像P1Aであってもよい。
積算画像P1Aは、
図10に示すように、時系列画像P2の内容と、各優先度ごとの生体情報の取得回数を示す内容とを含む画像であり、当該積算画像P1Aには、時系列領域TAとグラフ領域GAとが設定されている。
【0051】
これらのうち、時系列領域TAには、前述の時系列画像P2と同様に、レベル軸A1及び時間軸A2が設定されている。この時系列領域TAには、前述の生体情報を取得した時刻に応じた位置で、かつ、交感神経及び副交感神経の優位度に応じた位置に、自律神経の活動強度に応じた寸法の図形Fが設定される。これにより、当該優位度及び活動強度が時系列で示される。
【0052】
一方、グラフ領域GAは、時系列領域TAにおける時間軸A2の先端側(過去に遡る方向)に位置し、当該グラフ領域GAには、レベル軸A1と、当該レベル軸A1に交差する積算軸A3とが設定されている。この積算軸A3は、時間軸A2に沿って伸びる軸となっている。
そして、グラフ領域GAには、交感神経及び副交感神経の優位度ごとに、当該優位度の生体情報が取得された回数を積算したグラフGが設定される。換言すると、当該グラフ領域GAには、所定期間(例えば1日)内に取得された各生体情報に基づいて設定される図形Fの優位度ごとの設定回数を積算したグラフGが設定される。
【0053】
ここで、本実施形態では、時間経過に応じて時系列領域TAの時間軸A2が下方にスクロールして、当該時系列領域TA内に設定された図形Fが、グラフ領域GAの上端部GA1と重なったときに、当該図形Fにより示される優位度の生体情報の取得回数が加算され、グラフGが更新される。この際、グラフ領域GAには、グラフGにて対応する優位度の位置に雫が落ち、当該位置が上昇するアニメーション画像が生成される。しかしながら、このようなアニメーションは無くてもよく、更には、最新の生体情報を含む所定期間内の生体情報に応じたグラフGが設定されてもよい。
このような積算画像P1Aによっても、所定期間内での各優位度の分布及び傾向を視覚的に把握でき、前述の積算画像P1及び時系列画像P2が表示される場合と同様の効果を奏することができる。
【0054】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る画像表示装置は、当該画像表示装置を装着した使用者から生体情報を直接取得し、当該生体情報に基づいて前述の優位度及び活動強度を取得する構成及び機能を更に備える点で、前述の画像表示装置1と相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
図11は、本実施形態に係る画像表示装置1Aの外観を示す模式図である。また、
図12は、画像表示装置1Aの構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像表示装置1Aは、
図11に示すように、使用者の手首等に装着され、装着部位にて検出した脈拍(心拍)を含む生体情報に基づいて、前述の優位度及び活動強度を示す生体状態画像を生成及び表示するものである。この画像表示装置1Aは、当該画像表示装置1Aを装着するためのリストバンドLBが取り付けられた腕時計様の筐体2Aを備える。この他、画像表示装置1Aは、
図12に示すように、操作手段3、表示手段5、脈波検出手段8及び制御手段9とを備える。
【0056】
脈波検出手段8は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光素子とからなる光電式脈波センサーを備える。この脈波検出手段8は、生体情報として検出された血流脈波を制御手段9に出力する。なお、脈波検出手段8は、光電式脈波センサーを備える構成に限らず、圧力式脈波検出センサーを備える構成であってもよい。
【0057】
制御手段9は、前述の制御手段7と同様に、CPU7A及びメモリー7Bを備え、これらにより実現される記憶部71、情報取得部92、画像生成部93及び表示制御部94を機能的に備える。
【0058】
情報取得部92は、脈波検出手段8により検出された生体情報(すなわち脈波)を所定周期(例えば30秒周期)で取得する。なお、この情報取得部92による生体情報の取得は、本実施形態では、使用者の特別な操作を要せずに自律的に行われるが、操作手段3に対する使用者による操作があった場合に行うようにしてもよい。また、当該周期は、使用者により適宜設定可能である。
また、情報取得部92は、取得された脈波の変動を周波数分析した結果を所定の演算式に当てはめて、前述の優位度及び活動強度を取得する。そして、情報取得部92は、取得した優位度及び活動強度を、当該脈波が検出された日時とともに、記憶部71に記憶させる。
【0059】
図13は、積算画像P1及び時系列画像P2の切替状態を示す図である。このうち、
図13(A)は、積算画像P1が表示された画像表示装置1Aが示されており、
図13(B)は、時系列画像P2が表示された画像表示装置1Aが示されている。
画像生成部93は、前述の画像生成部73と同様の機能を有し、使用者により生体状態画像を表示させる操作が行われた場合に、記憶部71に記憶された情報に基づいて、当該生体状態画像(積算画像P1及び時系列画像P2)を生成する。
【0060】
詳述すると、本実施形態に係る画像生成部93は、
図13(A)に示すように、所定期間として現在時刻から過去10分間の生体情報に基づく積算画像P1を生成する。そして、当該積算画像P1が表示されている間に、新たな生体情報が取得された場合には、画像生成部93は、当該生体情報に基づいて、積算画像P1を更新する。この際、取得から10分を経過した生体情報に基づく図形Fは、当該積算画像P1から順次消去してもよい。
また、当該所定期間は、使用者により適宜設定可能であり、例えば、第1実施形態にて示した積算画像P1のように、1日単位の積算画像P1を生成することも可能である。
加えて、画像生成部93が生成する積算画像P1及び時系列画像P2(
図13(B))を生成する対象日時は、前述の画像表示装置1と同様に、使用者により設定可能である。
【0061】
表示制御部94は、使用者による操作手段3の操作に応じて、積算画像P1及び時系列画像P2を含む生体状態画像を表示手段5に表示させる。この際、表示制御部94は、
図13(A)及び
図13(B)に示すように、当該操作に基づいて、各画像P1,P2を切り替えて表示させる。
【0062】
なお、画像表示装置1Aは、前述のように、使用者の手首に装着されるものであるため、表示手段5の表示領域ARの解像度は、画像表示装置1と比べて大きくない。このため、当該表示領域ARに表示される各画像P1,P2は、画像表示装置1にて生成される各画像P1,P2に比べて小さい画像であり、レイアウトも多少異なる。しかしながら、当該画像表示装置1と同様に、スクロール操作により、当該画像P1,P2の全体を観察可能に構成されている。
【0063】
図14は、画像表示装置1Aにおける表示制御処理を示すフローチャートである。
制御手段9は、生体状態画像を表示させる操作が操作手段3に対して実施された場合に、記憶部71から表示制御プログラムを読み出して、以下の表示制御処理を実行する。
この表示制御処理では、
図14に示すように、まず、表示制御部94が、表示対象の画像が、時系列画像P2であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0064】
このステップS6の判定処理にて、時系列画像P2であると判定すると、表示制御部94は、画像生成部93により生成された時系列画像P2を表示手段5に表示させる(ステップS2)。この後、表示制御部94は、処理をステップS7に移行する。
一方、ステップS6の判定処理にて、時系列画像P2ではない(積算画像P1である)と判定すると、表示制御部94は、画像生成部93により生成された積算画像P1を表示手段5に表示させる(ステップS3)。この後、表示制御部94は、処理をステップS7に移行する。
【0065】
ステップS7では、表示制御部94は、表示画像を切り替える操作が操作手段3に対して実施されたか否かを判定する(ステップS7)。
このステップS7の判定処理にて、当該操作が行われたと判定すると、表示制御部94は、処理をステップS6に戻す。
また、ステップS7の判定処理にて、当該操作は行われていないと判定すると、表示制御部94は、生体状態画像の表示を終了する操作が行われたか否かを判定する(ステップS5)。
【0066】
ステップS5での判定処理にて、当該操作は行われていないと判定した場合には、表示制御部94は、処理をステップS7に移行する。
ステップS5での判定処理にて、当該操作が行われたと判定した場合には、表示制御部94は、生体状態画像の表示を終了させ、表示制御処理を終了させる。
【0067】
以上説明した本実施形態に係る画像表示装置1Aによれば、前述の画像表示装置1と同様の効果を奏することができる他、以下の効果がある。
画像表示装置1Aが、脈波検出手段8を備えることにより、装着部位にて生体情報を適宜取得できる。そして、情報取得部92が、当該生体情報を処理することで、前述の優位度及び活動強度を取得できるので、所望のタイミングで検出された生体情報に応じた生体状態画像を表示できる。
【0068】
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
前記第1実施形態では、外部機器EDは、検出された生体情報に基づいて求められた前述の優位度及び活動強度を画像表示装置1に送信するとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、外部機器が、検出した生体情報を画像表示装置に送信し、当該画像表示装置が、受信された生体情報に基づく前述の優位度及び活動強度を取得し、これらに応じた生体状態画像を生成及び表示する構成としてもよい。すなわち、画像表示装置1が、情報取得部92と同様の機能を備えていてもよい。
【0069】
前記各実施形態では、積算画像P1,P1A及び時系列画像P2に設定される図形Fは、円形の図形であるとしたが、本発明はこれに限らない。すなわち、四角形等、他の形状の図形であってもよい。
更に、最新の生体情報に基づく優位度及び活動強度に応じた図形Fの形状を、他の図形Fとは異なる形状としてもよく、当該図形Fの色や表示状態を変更してもよい。例えば、最新の図形Fは、点滅表示するようにしてもよい。
【0070】
前記各実施形態では、図形Fには、所定の透過率が設定され、複数の図形Fが重なっている部分の色は濃くなり、重なっていない部分の色は薄くなるようにしていたが、本発明はこれに限らない。例えば、最新の生体情報に基づく図形Fを所定の色で表し、他の図形Fは当該所定の色とは異なる色で表すようにしてもよい。更に、優位度ごとの図形の設定回数(生体情報の取得回数)を数値で表すようにしてもよい。
更に、各図形を互いに重ならないように、間隔を空けて配置してもよい。この場合、優位度ごとの図形の設定回数を、図形の色及び濃淡で表してもよい。
【0071】
前記各実施形態では、交感神経が優位である場合に設定される図形Fの色を暖色とし、副交感神経が優位である場合に設定される図形Fの色を寒色としたが、本発明はこれに限らない。すなわち、図形の色は、他の色でもよく、更には、優位度ごとに色を調整しなくてもよい。また、優位度に応じて色を調整するのではなく、対応する生体情報が取得された時刻と現在時刻との時間差が大きくなるに従って階調を増減させるなど、当該時間差に応じて色を調整するようにしてもよい。
【0072】
前記各実施形態では、画像P1,P1A,P2はスクロール可能であり、当該画像P1,P1A,P2は、操作手段3に対する操作に応じて切り替えて表示されるとした。このため、過去の生体情報に基づく内容が表示されるように時系列画像P2をスクロールさせた後で、表示される画像を積算画像P1に切り替えた場合には、当該過去の生体情報が取得された時刻までの所定期間内の生体情報に基づく積算画像P1を生成して表示してもよい。同様に、積算画像P1Aの表示時に、時系列領域TAをスクロールさせた場合には、スクロール位置に応じたグラフGを生成して、当該グラフGをグラフ領域GAに設定してもよい。
【0073】
前記各実施形態では、交感神経及び副交感神経の優位度をそれぞれ1〜10の数値(小数点以下を含む)で表し、自律神経の活動強度を4段階で表したが、本発明はこれに限らない。すなわち、当該優位度及び活動強度の評価段階は、それぞれ適宜変更してよい。
また、前述のように、積算画像P1,P1A及び時系列画像P2を生成する際に参照される生体情報の取得期間や、上記優位度及び活動強度の取得周期も適宜変更可能である。
【0074】
前記各実施形態では、画像表示装置1,1Aが生体情報に基づく交感神経及び副交感神経の優位度と自律神経の活動強度とを取得して、これら優位度及び活動強度に基づく生体状態画像(画像P1,P1A,P2)を生成及び表示する構成としたが、本発明はこれに限らない。例えば、PC(Personal Computer)等の画像生成装置が生体状態画像を生成して送信し、画像表示装置が当該生体状態画像を受信して表示する構成としてもよい。このような画像生成装置に対しても、本発明の適用可能である。
【0075】
前記各実施形態では、生体情報として、脈波を取得する構成を例示したが、本発明はこれに限らない。すなわち、他の生体情報(例えば心電、体温、血圧など)に基づいて、上記生体状態画像を生成及び表示する構成としてもよい。
【0076】
前記各実施形態では、第1軸としてのレベル軸A1と、第2軸としての時間軸A2とは互いに直交し、当該レベル軸A1と積算軸A3とは互いに直交しているが、本発明はこれに限らず、90°以外の角度で交差させてもよい。更に言えば、それぞれの軸を離して、交差しないように各軸を配置してもよい。加えて、積算画像P1,P1A及び時系列画像P2のレイアウトも適宜変更可能である。