特許第6035839号(P6035839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6035839
(24)【登録日】2016年11月11日
(45)【発行日】2016年11月30日
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/00 20060101AFI20161121BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20161121BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20161121BHJP
【FI】
   B41J29/00 D
   B41J2/14 611
   B41J2/175 153
   B41J2/175 161
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-95852(P2012-95852)
(22)【出願日】2012年4月19日
(65)【公開番号】特開2013-220656(P2013-220656A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100122312
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 正優
(72)【発明者】
【氏名】太田 英伸
(72)【発明者】
【氏名】木内 亮
【審査官】 有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−040553(JP,U)
【文献】 特開2006−212969(JP,A)
【文献】 特開2006−164797(JP,A)
【文献】 実開昭64−057058(JP,U)
【文献】 実開昭62−015954(JP,U)
【文献】 特開2006−205741(JP,A)
【文献】 特開2001−171145(JP,A)
【文献】 特開2004−058452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00−29/70
B41J 23/00−25/34
B41J 2/01− 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して走査可能なキャリッジに搭載された記録ヘッドにより記録を行う記録装置において、
前記記録ヘッド側に一端が接続され、該記録ヘッドの制御を行う制御部と前記記録ヘッドとの間の電気信号を伝える長尺状の可撓性配線基板と、
複数の前記可撓性配線基板を重ねた状態で保持する保持部材と、
一対のクリップ部材と、を備え、
前記保持部材は、前記重ねた状態の前記複数の可撓性配線基板の幅方向の両端部を規制する規制部と、該重ねた状態の前記複数の可撓性配線基板の厚さ方向における一方面側に配置される可撓性を有する第1フィルム部材と、該第1フィルム部材に対して前記複数の可撓性配線基板の総厚よりも大きい間隔を確保した状態で前記厚さ方向における他方面側に配置される可撓性を有する第2フィルム部材と、を含み、
前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材は前記可撓性配線基板を挟持してフィルム体を構成し、
前記フィルム体は、厚み方向に屈曲した屈曲部を有しており、
前記一対のクリップ部材の一方は、前記フィルム体の一端側を前記キャリッジに固定支持し、
前記一対のクリップ部材の他方は、前記フィルム体の他端側を当該フィルム体の長さ方向に沿って移動可能な状態で記録装置本体に取り付けられ、
前記一対のクリップ部材は、それぞれ、前記フィルム体の幅方向における位置を規制する両端部と、前記両端部から中央に向かって円弧状に湾曲することで前記フィルム体に当接する湾曲形状部と、を含む
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記第1フィルム部材又は前記第2フィルム部材のいずれかに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記規制部は、一対のベルト部材から構成され、
前記一対のベルト部材は、各々が係合することで前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材を一体化させることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記屈曲部は、前記可撓性配線基板が鉛直方向に向かって屈曲することで構成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式の記録装置として、インクカートリッジ内に設けられたインク収容体を、インク供給チューブを介してキャリッジの下面に設けられた記録ヘッドに接続する所謂オフキャリッジタイプのものが知られている。このようなオフキャリッジタイプの記録装置では、インク供給チューブがキャリッジの往復移動に追従して不規則な動きをする場合があった。そこで、インクチューブに重ねて配置したスチールベルトの一端をキャリッジ走行路に面する静止部に固定し、該インクチューブの他端をキャリッジに連結したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このようなオフキャリッジタイプの記録装置では、小型化を図るべく、記録ヘッドおよび該記録ヘッドを搭載するキャリッジの背面にFFC(Flexible flat cables)等の配線が引き回された構成となっている。
FFCは、記録ヘッドおよび紙幅検出等の検出器に対する電源供給や信号送受信を行うことから複数の配線が形成される必要があるため、複数枚が積層された構造を有している。そのため、記録ヘッドが上述のような往復運動を行うと、複数のFFC間にズレが生じることで各FFCの配線間でクロストークが発生し、キャリッジ本体や記録ヘッドおよび検出器類の誤動作を引き起こすおそれがある。そこで、上記特許文献1に示されたように複数枚のFFCを重ねて保持し、キャリッジに固定することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−102985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように複数のFFCを重ねてキャリッジに固定した場合、キャリッジの往復移動時に複数のFFCがスムースに屈曲することができないため、キャリッジの移動が妨げられてしまい、記録処理を安定的に行うことができなってしまうおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、電気信号の通信及び電源供給が安定的に行われるとともに動作不良の発生が防止された信頼性の高い記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の記録装置は、記録媒体に対して走査可能なキャリッジに搭載された記録ヘッドにより記録を行う記録装置において、前記記録ヘッド側に一端が接続され、該記録ヘッドの制御を行う制御部と前記記録ヘッドとの間の電気信号を伝える長尺状の可撓性配線基板と、複数の前記可撓性配線基板を重ねた状態で保持する保持部材と、一対のクリップ部材と、を備え、前記保持部材は、前記重ねた状態の前記複数の可撓性配線基板の幅方向の両端部を規制する規制部と、該重ねた状態の前記複数の可撓性配線基板の厚さ方向における一方面側に配置される可撓性を有する第1フィルム部材と、該第1フィルム部材に対して前記複数の可撓性配線基板の総厚よりも大きい間隔を確保した状態で前記厚さ方向における他方面側に配置される可撓性を有する第2フィルム部材と、を含み、前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材は前記可撓性配線基板を挟持してフィルム体を構成し、前記フィルム体は、厚み方向に屈曲した屈曲部を有しており、前記一対のクリップ部材の一方は、前記フィルム体の一端側を前記キャリッジに固定支持し、前記一対のクリップ部材の他方は、前記フィルム体の他端側を当該フィルム体の長さ方向に沿って移動可能な状態で記録装置本体に取り付けられ、前記一対のクリップ部材は、それぞれ、前記フィルム体の幅方向における位置を規制する両端部と、前記両端部から中央に向かって円弧状に湾曲することで前記フィルム体に当接する湾曲形状部と、を含むことを特徴とする。
【0008】
本発明の記録装置によれば、保持部材は第1フィルム部材及び第2フィルム間に複数の可撓性配線基板を挟持した状態で保持することができる。保持部材に保持された複数の可撓性配線基板は、規制部によって幅方向の位置ずれが規制されたものとなる。よって、可撓性配線基板の各々に形成された配線が幅方向に位置ずれが生じることがなく、クロストークの発生を防止することができる。よって、可撓性配線基板は、記録ヘッド側に対して電気信号の通信及び電源供給を安定的に行うことができる。
また、第2フィルム部材は、第1フィルム部材に対して複数の可撓性配線基板の総厚よりも大きい間隔を確保した状態で配置されるので、記録ヘッドの走査時に複数の可撓性配線基板が例えば屈曲した場合に積層された可撓性配線基板間に隙間を生じさせることができる。保持部材は、屈曲時に可撓性配線基板の長辺方向に対する規制力を生じさせることがない。よって、積層された可撓性配線基板間の内輪および外輪の差が生じた場合であっても各可撓性配線基板間に長辺方向に対する規制が発生しないので、歪みを生じさせることなく可撓性配線基板を屈曲させることができる。
したがって、電気信号の通信及び電源供給が安定的に行われるとともに可撓性配線基板の屈曲動作不良の発生が防止された信頼性の高い記録装置を提供できる。
【0009】
前記規制部は、前記第1フィルム部材又は前記第2フィルム部材のいずれかに形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、規制部が第1フィルム部材又は第2フィルム部材のいずれかに形成されているので、保持部材の部品点数が少なくなり、組み立て性の向上及び低コスト化を実現できる。
【0010】
前記規制部は、一対のベルト部材から構成され、前記一対のベルト部材は、各々が係合することで前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材を一体化させる構成としてもよい。
この構成によれば、一対のベルト部材の各々を係合させることで第1フィルム部材及び第2フィルム部材を容易に一体化させることができるので、部品点数が少なくなり、組み立て性の向上及び低コスト化を実現できる。
【0011】
前記可撓性配線基板は、厚み方向に屈曲した屈曲部を有した状態で前記記録ヘッドに接続される構成としてもよい。
この構成によれば、可撓性配線基板が屈曲部を有した状態とされるので、上述したように可撓性配線基板に歪みを発生させることなく屈曲させるという効果を確実に得ることができる。
【0012】
前記屈曲部は、前記可撓性配線基板が鉛直方向に向かって屈曲する構成としてもよい。
この構成によれば、可撓性配線基板が自重による撓みを生じ易い鉛直方向に屈曲部の屈曲方向を設定することで可撓性配線基板を容易に屈曲させることができる。よって、記録ヘッドに接続される可撓性配線基板の屈曲性が向上するので、キャリッジの走査を滑らかに実行させることができる。
【0013】
前記第1フィルム部材及び前記第2フィルム部材は前記可撓性配線基板を挟持してフィルム体を構成し、前記フィルム体は、一端側が前記キャリッジに固定支持され、他端側が当該フィルム体の長さ方向に沿って移動可能な状態で記録装置本体に取り付けられる構成としてもよい。
この構成によれば、フィルム体の他端側が長さ方向に沿って移動可能とされているので、フィルム体自体が完全に固定される場合に比べ、可撓性配線基板の屈曲運動に伴って発生する振動が記録ヘッド側に伝わるのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係るプリンターの斜視構成を示す図。
図2】プリンターの前蓋を開いた状態を示す斜視構成図。
図3】印刷部3の要部構成をプリンターの背面側から視た構成を示す図。
図4】ケーブルホルダーの分解斜視構成を示す図。
図5】(a)は第1フィルム部材の構成を示す平面図、(b)は第2フィルム部材の構成を示す平面図。
図6】ケーブルホルダーの要部構成を示す図。
図7】(a)はケーブルホルダーの一端側を保持する保持部分の構成を示す図、(b)は一端側がケーブルホルダーに保持されたケーブルホルダーの構成を示す図。
図8】(a)はケーブルホルダーの他端側を保持する保持部分の構成を示す図、(b)は他端側がケーブルホルダーに保持されたケーブルホルダーの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各部材毎に縮尺を異ならせている。本実施形態は、印刷装置をA1判またはB1判程度の用紙幅の印刷用紙まで印刷を行うことができる大型プリンターに適用したものである。
【0016】
図1は本実施形態に係るプリンターの斜視構成を示す図であり、図2はプリンターの前蓋を開いた状態を示す斜視構成図である。
【0017】
プリンター1は、プリンター本体を構成する給紙部2、印刷部3および排紙部4が組み込まれており、脚装置5と、排紙受け装置6とを備えている。給紙部2は、プリンター1の後方上部に突き出るように設けられており、その内部にはロール紙(記録媒体)がセットされ、このロール紙を覆うようにロール紙カバー20が開閉可能に取り付けられている。
【0018】
印刷部3は上蓋32と前蓋33とを有している。印刷部3は、上蓋32及び前蓋33で仕切られる空間内に印刷ヘッド31を搭載したキャリッジ30が設けられている。キャリッジ30に搭載される印刷ヘッド31にはインクチューブ41が接続されている。印刷ヘッド31は、インクチューブ41を介して供給されるインクを吐出するための複数のノズルが形成された所謂インクジェットヘッドから構成されるものである。
【0019】
前蓋33は、用紙搬送面側に位置する下部が装置本体に回動可能に支持されている。キャリッジ30は、主走査方向に設けたレール35に沿って移動可能に支持されている。キャリッジ30は、キャリッジ駆動装置(不図示)が作動するとレール35に案内されて往復移動するようになっている。
【0020】
図3は印刷部3の要部構成をプリンター1の背面側から視た構成を示す図である。図3に示すように、キャリッジ30及び該キャリッジ30に搭載される印刷ヘッド31には、上記インクチューブ41と、制御部100(図2参照)から印刷信号を送るための複数のフラットケーブル(可撓性配線基板)40とが接続されている。各フラットケーブル40は長尺状の可撓性配線基板から構成され、キャリッジ30側に各種信号を送るための配線が形成されている。本実施形態に係るプリンター1では、ケーブルホルダー(フィルム体)45に保持された複数のフラットケーブル40の一端が印刷ヘッド31に接続されている。また、フラットケーブル40の他端は筐体部1Aに搭載された制御部100(図2参照)のコネクターに接続されている。
【0021】
印刷部3の前側には、インク供給装置を構成するカートリッジホルダー7が備えられ、このカートリッジホルダー7のホルダー本体70に6色分(イエロー、ライトマゼンタ、ライトシアン、マゼンタ、シアン、黒)のインクカートリッジ71が横並びかつプリンター1の前面側から抜き差し可能に納められている。
【0022】
ホルダー本体70には、挿し込まれたインクカートリッジ71を覆うホルダカバー72が開閉可能に設けられている。各色のインクは、インクチューブ41を通して印刷ヘッド31に供給され、印刷用紙への印刷に使われる。
【0023】
上記のプリンター1の印刷動作は、給紙部2から給送されたロール紙に印刷部3で印刷し、そのロール紙が排紙部4を経由して、プリンター1の前方斜め下方に向けて排紙される。印刷部3と排紙部4の間には、ロール紙を切断するためのカッタ(図示略)が設けられており、印刷終了後にカッタによりロール紙が切断され、排紙受け装置6に受け取られるようになっている。
【0024】
再び図3に戻り、インクチューブ41は、一端側がキャリッジ30に接続され、途中で180°折り返されることで他端側がインクカートリッジ71に接続されている。すなわち、インクチューブ41は、水平面内において屈曲した状態でキャリッジ30側に接続されている。
【0025】
インクチューブ41と同様、フラットケーブル40は、一端側がキャリッジ30に接続され、キャリッジ30の走査方向に沿って引き回された後、途中で180°折り返されることで他端側がプリンター本体に接続されている。すなわち、フラットケーブル40は、図3に示すように鉛直面内において屈曲した屈曲部42を有した状態でキャリッジ30側に接続されている。この構成によれば、フラットケーブル40が自重による撓みを生じ易い鉛直方向に屈曲部42の屈曲方向を設定することでフラットケーブル40を容易に屈曲させることができる。よって、印刷ヘッド31に接続されるフラットケーブル40の屈曲性が向上するので、キャリッジ30の走査を滑らかに実行させることができる。
【0026】
ところで、キャリッジ30側に接続されるフラットケーブル40及びインクチューブ41は、キャリッジ30のレール35に沿って行われる往復運動に追従して動くため、各々が不規則な動きをする場合がある。そのため、キャリッジ30の往復移動時に複数のフラットケーブル40の各々の位置がずれるおそれがある。
【0027】
フラットケーブル40には印刷ヘッド31側に各種信号を送るための配線が形成されているため、複数のフラットケーブル40について幅方向(短軸方向)の位置ずれが生じると異なるフラットケーブル40の配線間で信号のクロストークが発生する可能性がある。
【0028】
このように複数のフラットケーブル40間でクロストークが生じると、キャリッジ30側に所定の信号が送信されなくなるため、印刷ヘッド31による印刷動作が良好に行えない、或いはキャリッジ30の動作といった不具合の発生を招き、印刷品質を大幅に低下させてしまう可能性がある。
【0029】
本実施形態に係るプリンター1は、上述した不具合の発生を防止したものであり、具体的に複数のフラットケーブル40を重ねた状態で保持するケーブルホルダー45を備えている。
【0030】
図4はケーブルホルダー45の分解斜視構成を示す図である。
図4に示すように、ケーブルホルダー45は一対のフィルム部材、具体的には第1フィルム部材46と第2フィルム部材47とから構成されている。第2フィルム部材47は、第1フィルム部材46よりも長く形成されている。そのため、第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47が重ねられた状態においては、第2フィルム部材47の両端部が第1フィルム部材46の両端部からはみ出した状態となる。
【0031】
第1フィルム部材46は、長尺状のフィルム基材50から構成され、長さ方向の複数個所(本実施形態では3箇所)に一対のベルト部材51,52が設けられている。
【0032】
ベルト部材51,52は、フィルム基材50の幅方向における両端にそれぞれ一体に設けられており、互いが対向するように配置されている。ベルト部材51,52は、後述するように互いが係合することで第1フィルム部材46と第2フィルム部材47とを一体化させるようになっている。
【0033】
ケーブルホルダー45は、複数のフラットケーブル40が積層された積層体40Aを第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47間に挟持した状態に保持する(図6参照)。
【0034】
ベルト部材51は、フィルム基材50に接続される接続部55と、該接続部55に一体に設けられる本体部56とを有する。
ベルト部材52は、フィルム基材50に接続される接続部57と、該接続部57に一体に設けられる本体部58と、該本体部58の端部から突出する凸部59とを有する。
【0035】
接続部55、57は、フィルム基材50との境界部分にて折り曲げ可能とされている。また、本体部56、58は接続部55、57との境界部分にて折り曲げ可能とされている。このようにベルト部材51、52は、それぞれが上記境界部分にてフィルム基材50の内側に折り曲げられることでフィルム基材50の表面に対向した状態に配置されるようになっている。
【0036】
ベルト部材51、52は、上述のように折り曲げられることで積層体40Aの一方面側(第1フィルム部材46と反対側)に配置されるようになっている。これにより、ベルト部材51、52は、積層体40Aの一方面側に配置された第2フィルム部材47を抱え込むように互いが係合可能とされている(図6参照)。ベルト部材51、52は第2フィルム部材47の裏面側(積層体40Aと反対側)にも固定されるようになっている。
【0037】
このような構成に基づき、ケーブルホルダー45は、第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47間に積層体40Aを挟持した状態に保持し、第1フィルム部材46に一体に形成された一対のベルト部材51、52同士が第2フィルム部材47を抱え込むように係合することで該第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47を一体化させることができる。また、本実施形態に係る第1フィルム部材46は、一対のベルト部材51、52を3箇所(複数個所)に有しているので、第2フィルム部材47との一体性を向上させることができる。
【0038】
以下、ベルト部材51、52の構成について詳細に説明する。
図5(a)は第1フィルム部材46の構成を示す平面図であり、図5(b)は第2フィルム部材47の構成を示す図である。また、図6はケーブルホルダー45の要部構成を示す図である。
【0039】
図5(a)に示すように第1フィルム部材46においては、接続部55、57がフィルム基材50の幅方向の端部に対し、内側に入り込んだ状態に形成されている。そのため、図4に示したように接続部55、57は折り曲げられた際にケーブルホルダー45の外形において外側に張り出した構造となるのを防止することができる。この構成によれば、キャリッジ30の移動に伴ってケーブルホルダー45が湾曲することで形状が変化した場合であっても、接続部55、57が該ケーブルホルダー45の外形の外側に張り出していないため、接続部55、57がプリンター1内の他の部品に接触するといった不具合の発生を防止することができる。
【0040】
ケーブルホルダー45を構成する第2フィルム部材47は、後述するように一端側がキャリッジ30に固定されるようになっている(図7、8参照)。フィルム基材50にはキャリッジ30の保持部材36に設けられるクリップ部材37に対応する大きさの切欠54が形成されている(図7参照)。
【0041】
また、フィルム基材50の切欠54と反対側の端部には、筐体部1Aに設けられるクリップ部材38に当接する切欠53が形成されている。
【0042】
ここで、ケーブルホルダー45に保持される積層体40Aは同じ外径を有する複数(例えば、3本)のフラットケーブル40が積層されることで構成されている。なお、積層体40Aを構成する各フラットケーブル40には、接続部55、57に対応する切欠40aが形成されている。ここで、接続部55、57に対応するとは、切欠40aがベルト部材51、52における接続部55、57の配列ピッチと同じピッチで形成されている事を意味する。
【0043】
フラットケーブル40における切欠40aが形成された部分(基部)の幅は、第1フィルム部材46の接続部55、57が形成された部分(基部)の幅と同等に設定されている。したがって、切欠40aと接続部55、57とを位置合わせした状態に配置し、上述のように接続部55、57を折り曲げると、接続部55、57は積層体40Aの両側面(幅方向の両端部)に当接した状態となる。従って、接続部55、57は、積層体40Aの幅方向の両端部の位置を規制する本発明の規制部として機能することができる。
【0044】
また、ベルト部材51の本体部56にはフィルム基材50の長さ方向に沿って形成された2つの切込部56a,56bが形成されている。ベルト部材52の本体部58にはU字状の切込58aが形成され、該切込58aにより本体部58の中央には凸部60が形成されている。本体部56を屈曲させると凸部60は切込58aによって本体部58に対して回動可能となる。
【0045】
そのため、図6に示すように凸部60はベルト部材51の本体部56の切込部56aに入り込む(係合する)ことが可能となっている。また、ベルト部材51の凸部59は、ベルト部材51の本体部56の切込部56bに入り込む(係合する)ことが可能となっている。このように凸部60、59と切込部56a、56bとを係合させることでベルト部材51、52同士を係止させ、一体化させることができる。
【0046】
また、第2フィルム部材47は、図5(b)に示されるように長尺状のフィルム基材61から構成され、長さ方向に亘って複数個所(本実施形態では3箇所)に一対の切欠62、63が形成されている。
【0047】
ケーブルホルダー45を構成する第2フィルム部材47は、後述するように一端側がキャリッジ30に固定されるようになっている(図7、8参照)。フィルム基材61にはキャリッジ30の保持部材36に設けられるクリップ部材37に対応する大きさの切欠65と、保持部材36に形成された突起部36aに係合する開口66とが形成されている(図7参照)。
【0048】
また、フィルム基材61における開口66と反対の端部側には、筐体部1Aに設けられるクリップ部材38に係合する切欠64が形成されている。
【0049】
切欠62、63は、第1フィルム部材46に設けられた一対のベルト部材51、52の形成位置に対応して形成されている。ここで、ベルト部材51、52の形成位置に対応するとは、切欠62、63が第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47におけるベルト部材51、52の配列ピッチと同じ事を意味する。切欠62、63の側面には、ベルト部材51、52の接続部55、57がそれぞれ当接するようになっている。
【0050】
このようにケーブルホルダー45は、ベルト部材51に形成された切込部56a,56bと、ベルト部材52に形成された凸部60、59と、をそれぞれ係合させることで第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47を一体に保持することができる。
【0051】
また、接続部55、57の高さは、複数のフラットケーブル40を積層した積層体40Aの厚さ(総厚)よりも大きく設定されている。本実施形態においては、ベルト部材51、52は積層体40Aとの間に第2フィルム部材47を挟持した状態とされるので、接続部55、57の高さは積層体40A及び第2フィルム部材47の厚さの合計値よりも大きく設定されている。
【0052】
また、ベルト部材51、52は上述のように第2フィルム部材47の裏面側(積層体40Aと反対側)に固定されるため、ケーブルホルダー45は積層体40Aの厚さよりも大きい接続部55、57の高さ分だけ第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47を互いに離間させた状態に保持したものとなっている。
【0053】
従って、ケーブルホルダー45はベルト部材51、52が互いに係合することで第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47間に積層体40Aを厚み方向に若干の隙間を確保した状態で保持することが可能となっている。
【0054】
図7はプリンター1におけるケーブルホルダー45の一端側の保持部分の要部構成を示す図である。具体的に図7(a)はケーブルホルダー45の一端側を保持する保持部分の構成を示す図であり、図7(b)は一端側がケーブルホルダーに保持されたケーブルホルダーの構成を示す図である。
【0055】
ケーブルホルダー45(第2フィルム部材47)は、図7(a)に示すようにキャリッジ30の上面に接続される保持部材36に一端側が保持されている。保持部材36には、保持部材36との間でケーブルホルダー45を押えるクリップ部材37が着脱可能に取り付けられている。
【0056】
また、保持部材36には、図7(b)に示すようにケーブルホルダー45の第2フィルム部材47に形成された切欠64に嵌合することで該第2フィルム部材47を保持する突起部36aが2個形成されている。第2フィルム部材47は、突起部36aに開口66が引っ掛けられることで保持部26に良好に固定されたものとなっている。
【0057】
クリップ部材37は、長さ方向における両端部37aが保持部材36に設けられた開口部(不図示)に対して係脱することで着脱可能とされている。クリップ部材37は、両端部37aが第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47に形成された切欠54、65に嵌合した状態で保持部材36に固定される。切欠54、65は、クリップ部材37の両端部37aの大きさに対応するため、第2フィルム部材47はクリップ部材37の両端部37aによって位置が拘束されることで保持部材36に確実に固定される。
【0058】
クリップ部材37は両端部37aから中央に向かって円弧状に湾曲した湾曲形状を有し、両端部37aが保持部材36に係合した状態では中央部が保持部材36に当接するようになっている。
このような構成に基づき、クリップ部材37は、ケーブルホルダー45の一端側を保持部材36に対して確実に保持することができる。
【0059】
図8はプリンター1におけるケーブルホルダー45の他端側の保持部分の要部構成を示す図である。具体的に図8(a)はケーブルホルダー45の他端側を保持する保持部分の構成を示す図であり、図8(b)は他端側がケーブルホルダーに保持されたケーブルホルダーの構成を示す図である。
【0060】
ケーブルホルダー45(第2フィルム部材47)は、図8(a)に示すようにプリンター1の装置本体を構成する筐体部1Aに他端側が保持されている。筐体部1Aには、該筐体部1Aとの間でケーブルホルダー45を押えるクリップ部材38が着脱可能に取り付けられている。
【0061】
クリップ部材38は、長さ方向における両端部38aが筐体部1Aに設けられた開口部(不図示)に対して係脱することで着脱可能とされている。
【0062】
クリップ部材38は、両端部38aが第1フィルム部材46及び第2フィルム部材47に形成された切欠53、64に嵌合した状態で筐体部1Aに固定される。具体的に本実施形態においては、ケーブルホルダー45が180°折り返されることで上下が反転した状態で切欠53、64がクリップ部材38により押さえられる。クリップ部材38は両端部38aから中央に向かって円弧状に湾曲した湾曲形状を有し、両端部38aが筐体部1Aに係合することで筐体部1Aに中央部を当接させるようになっている。したがって、クリップ部材38は第1フィルム部材46に当接した状態となる。
【0063】
ケーブルホルダー45における切欠53、64が形成された部分の幅は、クリップ部材38の両端部38aの大きさと同じに設定されている。そのため、ケーブルホルダー45はクリップ部材38の両端部38aによって幅方向における位置が拘束される。
【0064】
これに対し、切欠53、64の長さは、クリップ部材38の両端部38aの大きさよりも大きく設定されている。そのため、ケーブルホルダー45の他端側は、長さ方向においては切欠53、64がクリップ部材38の両端部38aに対して摺動可能となる。したがって、ケーブルホルダー45の他端側は長さ方向に沿って移動可能な状態に筐体部1Aに固定されたものとなっている。
【0065】
続いて、プリンター1の動作について説明する。以下の説明では本実施形態に係るプリンター1の特徴部分であるケーブルホルダー45の効果を得る印刷処理時のキャリッジ30の動作を主体に述べる。
【0066】
プリンター1が印刷処理を行う際、制御部100は印刷ヘッド31を駆動し、給紙部2が供給するロール紙上にインクを吐出する。制御部100は、印刷処理中においてはキャリッジ駆動装置を作動させ、キャリッジ30をレール35に沿って走査することでロール紙の幅方向の全域にインクを吐出することができる。
【0067】
ケーブルホルダー45は、図7に示したように一端側がキャリッジ30側に固定されているので、印刷処理時のキャリッジ30の移動に伴って筐体部1Aに保持される他端側に対する一端側の位置が変化する。本実施形態に係るケーブルホルダー45は、途中で180°折り返された態様とされていることから、キャリッジ30の移動に伴って屈曲部42の位置が変化するようになっている。
【0068】
このとき、ケーブルホルダー45は、積層体40A(複数のフラットケーブル40)を幅方向の位置を規制した状態に保持するため、キャリッジ30の移動に伴って複数のフラットケーブル40の幅方向への位置ずれを防止できる。よって、フラットケーブル40の各々に形成された配線が幅方向に位置ずれが生じることがないので、クロストークの発生を防止することができる。よって、フラットケーブル40は、印刷ヘッド31側に電気信号の通信及び電源供給を安定的に行うことができる。
【0069】
ここで、ケーブルホルダー45に保持された積層体40Aは、複数のフラットケーブル40が積層されて構成されるので、屈曲部42の内側或いは外側に配置されるフラットケーブル40間では内輪および外輪の差が生じてしまう。ここで、内輪および外輪の差とは、屈曲部42の内側のケーブルホルダー45は、外側のケーブルホルダー45に比べて、屈曲部42の曲率が小さくなることを意味する。
【0070】
本実施形態に係るケーブルホルダー45では、第2フィルム部材47が第1フィルム部材46に対して複数のフラットケーブル40からなる積層体40Aの総厚よりも大きい間隔を確保した状態で配置されるため、印刷ヘッド31の走査時に複数のフラットケーブル40が屈曲した場合に積層されたフラットケーブル40間に隙間を生じさせることができる。ケーブルホルダー45は、屈曲時にフラットケーブル40の長辺方向に対する規制力を生じさせることがない。
【0071】
よって、積層されたフラットケーブル40間の内輪および外輪の差が生じた場合であっても、各フラットケーブル40間に長辺方向に対する規制が発生しないので、歪みを生じさせることなくフラットケーブル40を屈曲させることができる。
【0072】
また、ケーブルホルダー45は、他端側が長さ方向に沿って移動可能な状態に筐体部1Aに固定されたものとなっているので、ケーブルホルダー45自体が完全に固定された構成に比べて屈曲運動に伴って発生する振動が記録ヘッド側に伝わるのを抑制できる。
【0073】
以上のように本実施形態に係るプリンター1によれば、電気信号の通信及び電源供給が安定的に行われるとともにフラットケーブル40の屈曲動作不良の発生が防止された信頼性の高いものとなる。
【0074】
本実施形態に係るプリンター1によれば、一対のベルト部材51,52の各々を係合させることで第1フィルム部材及び第2フィルム部材を容易に一体化させることができる。また、ベルト部材51、52が第1フィルム部材46を構成するフィルム基材50に一体に形成されているので、部品点数が少なくなり、組み立て性の向上及び低コスト化を実現できる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に係る構成に限定されることはなく、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記実施形態ではベルト部材51、52を第1フィルム部材46と一体に形成した場合を例に挙げたが、ベルト部材51、52を第2フィルム部材47と一体に形成した構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0076】
6…装置、26…保持部、30…キャリッジ、36…保持部材、37a,38a…両端部、40…フラットケーブル(可撓性配線基板)、42…屈曲部、45…ケーブルホルダー(フィルム体)、46…第1フィルム部材、47…第2フィルム部材、51,52…ベルト部材、55,57…接続部(規制部)、100…制御部
図1
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図8